説明

携帯時計

【課題】胴に取付けられた押しボタンのボタン軸が衝撃で変形することを抑制できるとともに、押しボタンの胴への着脱作業を容易に行うことが可能な携帯時計の提供。
【解決手段】腕時計1は、接点部材13を有したムーブメント11を収容した時計外装組立2、パイプ15、押しボタン21、及びコイルばね31を具備する。パイプが有した挿入円筒部16を、時計外装組立の胴3に形成された貫通孔8に挿入して、胴にパイプ15を固定する。ボタン21は、パイプを貫通して接点部材13に接離可能なボタン軸22、及びこの軸に連続して胴の外部に配置された押込み操作用のヘッド23を有する。ボタン軸21を、第1軸部24と、第1軸部に螺合された第2軸部25とで形成する。係合面25bが挿入円筒部の先端16aに接した状態に保持されるようにボタン21を胴の外方に向けてばね31で付勢している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタンを備えた携帯時計に関する。
【背景技術】
【0002】
腕時計や懐中時計などの携帯時計の中には、時計外装組立に内蔵されたモジュールの接点を動作させる押しボタンを備えたものがある。押しボタンが押圧されることによって、例えばクォーツ式携帯時計では、時計表示をアナログ表示からデジタル表示に切換えることができ、又、デジタル表示された日付や曜日を切換えることができる。
【0003】
従来、この種の携帯時計で、押しボタンは、軸部とこの軸部より大径で軸部に一体に設けられた頭部とから形成された一体構造物からなるとともに、時計外装組立の胴に以下の構成で取付けられている。
【0004】
即ち、胴が有する貫通孔に取付けられたパイプに、外周部に防水用のパッキンが取付けられた押しボタンの軸部を胴の外側から貫通させ、それにより胴の内部に突出された押しボタンの軸端部に止め輪を取付けるとともに、パイプの胴外側端部と押しボタンの頭部との間にコイルばねを圧縮状態に挟むことにより、胴の内部に突出されたパイプの内端に、パイプの内径より大径の止め輪を係合させて、押しボタンが胴の外部に抜けないように取付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−7164号公報(段落0002−0006、段落0026−0038、図1−図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、一体構造物からなる押しボタンを胴に抜け止めするのに止め輪を用いているので、この押しボタンの軸部において止め輪が取付けられる部位に、環形の止め輪取付け溝が形成されている。それにより、細くなった部位の強度は押しボタンの軸部の中で最も低い。
【0007】
このため、携帯時計が落下した場合、それに伴い押しボタンに加わる衝撃によって、止め輪取付け溝から軸部が曲がる恐れがある。特に、ムーブメントが小さく文字板の径が大きい機種程、ムーブメントの接点に近接される軸部の先端から止め輪取付け溝までの長さが長いので、なお更、軸部が曲がる可能性が高められる。このようにして軸部が曲がった場合、押しボタンが押込まれても、それに従い接点が適正に押されなくなるという動作不良(以下、これを接点動作不良と称する。)を起こすことがある。
【0008】
更に、止め輪は非常に小さいので、これを押しボタンの軸部への着脱する際の取扱いが難しい。これに加えて、止め輪を押しボタンの軸部に取付けるには、軸部をパイプに貫通させた状態でかつ胴の内側の限られた狭い空間で作業をする必要がある。したがって、止め輪の取付け作業性がよくないとともに、同様の理由により、押しボタンの軸部から止め輪を外す作業性もよくない。その上、止め輪を押しボタンの軸部に着脱する際に、小部品である止め輪を紛失する可能性が高い。
【0009】
以上のように押しボタン付きの従来の携帯時計は、胴に取付けられた押しボタンの軸部が衝撃で変形する可能性があるとともに、押しボタンの胴への着脱作業性がよくない、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の携帯時計は、接点部材を有したモジュールと、貫通孔が形成された胴を有し、かつ、前記モジュールが収容された時計外装組立と、挿入円筒部を有し、この挿入円筒部を前記貫通孔に挿入して前記胴に固定されたパイプと、このパイプを貫通して前記接点部材に接離可能なボタン軸、及びこの軸に連続して前記胴の外部に配置された押込み操作用のヘッドを有しており、前記ヘッドと一体の第1軸部に、この第1軸部より大径でかつ前記挿入円筒部の先端に接離可能な係合面を有した第2軸部を螺合して前記ボタン軸が形成されている押しボタンと、前記係合面が前記挿入円筒部の先端に接した状態に保持されるように前記押しボタンを前記胴の外方に向けて付勢して設けられた付勢部材と、を具備している。
【0011】
本発明で、モジュールとは、アナログ式の時計として実施する場合は、複数の時刻表示針を駆動するムーブメントを指しており、デジタル式の時計として実施する場合は、時刻等を示すディスプレイを駆動する電子回路を指している。本発明で、モジュールの接点部材とは、それが押しボタンで押された場合に、機能の切換えを行わせるための部材であって、この機能の切換えとは、例えばクォーツ式携帯時計では、時計表示をアナログ表示からデジタル表示に切換えることを指し、又は、デジタル表示された日付や曜日を切換えることなどを指している。
【0012】
本発明で、押しボタンのボタン軸をなす第1軸部と第2軸部とは、金属又は合成樹脂で形成できる。この場合、同種又は異種の金属製であっても、同種又は異種の合成樹脂製であっても、或いは、第1軸部と第2軸部のうちの一方が金属製で、他方が合成樹脂製であっても差し支えない。本発明で、第1軸部と第2軸部の螺合による両軸の連結は、これら軸部のうちの一方の軸部に雄ねじ部位を設けるとともに、他方の軸部に雌ねじ部位を設けて、これら雄ねじ部位と雌ねじ部位を螺合させて行うことができる。
【0013】
本発明は、押しボタンの誤操作を防止するためのロック機構を備えない携帯時計にも、又、ロック機構を備える携帯時計にも適用できる。又、本発明で、付勢部材にはコイルばねを好適に用いることが可能である。ロック機構を備えない携帯時計の場合、付勢部材をパイプと押しボタンのヘッドとで挟んで配設することができ、ロック機構を備えた携帯時計の場合、付勢部材をパイプに螺合されたロック部材と押しボタンのヘッドとで挟んで配設することができる。
【0014】
本発明では、押しボタンのボタン軸が、押しボタンのヘッドと一体の第1軸部とこれに螺合された第2軸部との二部品で形成されているとともに、第1軸部より大径の第2軸部が、パイプの挿入円筒部の先端に接離する係合面を有している。このため、係合面と挿入円筒部の先端との係合によって、付勢部材で付勢されている押しボタンが、胴の外側に抜けることを防止できる。このように押しボタンの抜け止めを、押しボタンのボタン軸に止め輪を取付けることなく実現したので、携帯時計の落下等に伴う衝撃でボタン軸が変形することを抑制可能である。
【0015】
更に、本発明では、既述のように第1軸部と第2軸部とが螺合されてボタン軸が形成されている。このため、押しボタンを胴に取付ける際、胴の内部で第2軸部を回転止めされた状態に保持した上で、胴の外から内部に向けて第1軸部をパイプに挿入し、かつ、この第1軸部をこれと一体のヘッドとともに回転させることにより、第1軸部と第2軸部を螺合させてボタン軸を組立てることができる。又、胴の内部で第2軸部を回転止めされた状態に保持した上で、前記組立ての場合と逆回りに第1軸部をこれと一体のヘッドとともに回転させることにより、第1軸部と第2軸部との螺合を外して押しボタンを分解できる。
【0016】
このように胴に押しボタンを着脱する際、第2軸部を回転止めされた状態に保持する操作の他に、胴の内部で部品を着脱する操作が不要であるとともに、作業空間が制約されない胴の外側から着脱操作ができる。これに加えて、第2軸部は止め輪に比較してはるかに大きいので、その取扱いが容易である。したがって、押しボタンの胴への着脱作業性を向上することが可能である。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記第2軸部の周面に少なくとも一対の平面が形成されていることを特徴としている。
【0018】
この好ましい形態の発明では、押しボタンを着脱する際、第2軸部の平面に回り止め用の工具を接触させてこの工具で第2軸部を挟むことによって、胴内で第2軸部を容易かつ確実に回り止めできる。このため、押しボタンを胴に着脱する作業をより容易に行うことが可能である、という利点を更に有する。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記挿入円筒部の先端部が前記胴の内部に突出されていて、前記付勢部材の付勢力により前記第2軸部の係合面が前記胴の内部で前記挿入円筒部の先端に接触保持されていることを特徴としている。
【0020】
この好ましい発明では、胴の貫通孔の径に制約されずに係合面の径を大きくすることが可能である。このため、押しボタンの抜け止めを担う上で、パイプ及び第2軸部の寸法公差内でのばらつきに拘らず、係合面を確実に挿入円筒部の先端に係合させることが可能である、という利点を更に有する。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記第1軸部がその外周部にパッキン取付け溝を有し、前記挿入円筒部の内周面に接する環形の防水パッキンが、前記パッキン取付け溝に嵌合して前記第1軸部に取付けられていて、前記第1軸部がその外径より小径の雄ねじ部位を有しているとともに前記第2軸部が雌ねじ部位を有しており、これら雄ねじ部位と雌ねじ部位を螺合させて前記第1軸部と第2軸部が連結されていることを特徴としている。
【0022】
この好ましい形態の発明では、パッキン取付け溝と雄ねじ部位との間に、パッキン取付け溝の底の径より太い第1軸部の軸部位が確保されるので、この軸部位の長さに応じて第1軸部と第2軸部の螺合箇所がパッキン取付け溝から遠ざけられている。これにより、第1軸部のパッキン取付け溝と雄ねじ部位との間に強度的に弱い箇所が形成されず、携帯時計の落下等に伴う衝撃で押しボタンのボタン軸の第1軸部が変形することを、抑制可能である、という利点を更に有する。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記パイプが、前記挿入円筒部より大径でかつこの挿入円筒部に一体に連続して前記胴の外部に配置された大径円筒部を有し、この大径円筒部内に前記ヘッドが嵌合されているとともに、これら大径円筒部の筒底壁部とヘッドとの間に前記付勢部材が圧縮された状態に挟まれていることを特徴としている。
【0024】
この好ましい形態の発明では、押しボタンを胴に取付けるための部品数が少なく単純な構成であるので、胴に押しボタンを容易に着脱することが可能である、という利点を更に有する。
【0025】
本発明の好ましい形態では、前記パイプが前記挿入円筒部に一体に連続して前記貫通孔の外部に配置されるとともに外周に雄ねじが形成された雄ねじ円筒部を有し、かつ、前記パイプの軸方向に沿って移動可能に前記雄ねじ円筒部に螺合されて前記胴に接するボタン解放位置と前記ヘッドに接するボタン拘束位置とにわたって配設されるロック部材を更に備え、このロック部材が前記ボタン拘束位置で前記ヘッドの周面を覆うカバー円筒部を有しているとともに、前記ヘッドと前記ロック部材との間に前記付勢部材が圧縮された状態に挟まれていることを特徴としている。
【0026】
この好ましい形態の発明では、ロック部材をボタン拘束位置に配置することで、押しボタンが不用意に押込まれて誤操作されることを防止可能である。これとともに、ロック部材をボタン拘束位置に配置させた状態で、このロック部材が更に回転されて押しボタンに胴から抜ける方向に力が作用することがあっても、それに伴ってパイプが有した挿入円筒部の先端に係合している係合面を有した第2軸部が変形することがないとともに、この第2軸部が挿入円筒部の先端部に入り込むこともない。このため、ロック部材をボタン解放位置に戻した状態での押しボタンの動作信頼性を確保ですることが可能である、という利点を更に有する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の携帯時計によれば、胴に取付けられた押しボタンのボタン軸が衝撃で変形することを抑制できるとともに、押しボタンの胴への着脱作業を容易に行うことが可能である、という効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係る腕時計の一部を示す断面図である。
【図2】図1の腕時計が備えた押しボタンとその周りの部品を示す分解斜視図である。
【図3】図1の腕時計が備えた押しボタンとその周りの部品を示す分解断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る腕時計の一部を示す断面図である。
【図5】図4の腕時計が備えた押しボタンとその周りの部品を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る腕時計の一部を示す押しボタンがボタン拘束位置に配置された状態で示す断面図である。
【図7】図腕時計の一部を示す押しボタンのボタン解放位置に配置された状態で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図1〜図3を参照して詳細に説明する。
図1中符号1は携帯時計例えば腕時計を示している。この腕時計1が備える時計外装組立2内に、モジュール例えばムーブメント11、文字板12、及び時針・分針・秒針などの時刻表示針(図示しない)等が収められている。時刻表示針を駆動するムーブメント11は板ばね等からなる接点部材13を有している。この接点部材13が後述の押しボタンで押されることによって、ムーブメント11の機能が切換えられるようになっている。
【0030】
図1に示すように時計外装組立2は、ステンレス鋼やチタンなどの金属により環形に作られた胴3の厚み方向の一面(上面)に、文字板12を透視可能とするカバーガラス4を液密に装着するとともに、胴3の厚み方向の他面(下面)に、ステンレス鋼やチタンなどの金属で作られた裏蓋5を液密に装着して形成されている。
【0031】
胴3は文字板12の周部上面を覆う見切り部6を有している。図1に示された見切り部6は、胴3の上部内周に一体に形成されたものであるが、胴3と別体に成形されたリング形の部材であっても良い。見切り部6はその開口径が下側ほど狭くなるように形成された内周斜面6aを有し、この内周斜面6aはカバーガラス4の周部裏面に対向している。
【0032】
胴3には竜頭(図示しない)が取付けられている。胴3は竜頭からずれた位置に、凹部7と胴3の内部3aとを連通した貫通孔8を有している。
【0033】
凹部7は胴3の外周面及び下面に夫々開放して設けられている。凹部7は、必須ではなく省略することも可能であるが、凹部7はそこに収容される後述の大径円筒部17を胴3でカバーして保護するために設けられている。
【0034】
貫通孔8は胴3の半径方向に沿って真っ直ぐに設けられている。この貫通孔8の一端は胴3の内部3aに開放されており、貫通孔8の他端は凹部7の底面略中央部に開放されている。
【0035】
図1〜図3中符号15はパイプを示している。このパイプ15は、金属例えばステンレス鋼製であって、挿入円筒部16と、これより径が大きい大径円筒部17とを有して段付き円筒状に形成されている。大径円筒部17は筒底壁部17aを有していて、この筒底壁部17aが挿入円筒部16に一体に連続されている。
【0036】
パイプ15は、その挿入円筒部16を貫通孔8に挿入するとともに、大径円筒部17を凹部7に収めて胴3にろう付けにより固定されている。この固定を担う金属製のろう材14を図1に示す。このろう材14は、凹部7の底面に接した筒底壁部17aと胴3の貫通孔8を形成した面に接した挿入円筒部16とがなす角部に設けられていて、パイプ15と胴3との間の防水を担っている。パイプ15の挿入円筒部16の長さは貫通孔8の全長より例えば短い。そのため、挿入円筒部16の先端16aは、貫通孔8内に位置されていて、胴3の内部3aには達していない。胴3の外部の凹部7内に配置された大径円筒部17は胴3の外部に開放されている。
【0037】
胴3の外部から胴3の内部3aに向けて押込まれる押しボタン21が、パイプ15を貫通して胴3に取付けられている。押しボタン21は、ボタン軸22及びヘッド23を有して形成されている。
【0038】
ボタン軸22は例えば金属製でパイプ15を貫通する長さを有している。このボタン軸22は、第1軸部24と第2軸部25とを螺合して形成されている。この螺合のために、第1軸部24の先端部にその端面に開放された穴に加工された雌ねじ部位26が設けられているとともに、第2軸部25に雄ねじ部位27が設けられている。これら雌ねじ部位26と雄ねじ部位27を螺合させることによって、第1軸部24と第2軸部25とが連結されて、ボタン軸22が形成されている。
【0039】
第1軸部24の直径はパイプ15の挿入円筒部16の内径より僅かに小さい。この第1軸部24の先端寄りに、周方向に一回り連続するパッキン取付け溝28が形成されていて、このパッキン取付け溝28に嵌合して環形の防水パッキン29が取付けられている。防水パッキン29は弾性変形が可能でかつ挿入円筒部16の内面に沿って摺動可能な材料で形成されている。
【0040】
第2軸部25の雄ねじ部位27を除いた部分は例えば六角の短い棒状をなしている。そのため、第2軸部25はその周面に互に平行な二つの平面25a(図2に三つのみ図示する。)を三組有している。第2軸部25の外径(この場合、周方向に隣接された平面25aの境をなす稜線に接して描くことができる円の直径を指す。)は、パイプ15の内径及び第1軸部24の直径より大きく、かつ、パイプ15の外径より小さい。
【0041】
第2軸部25は係合面25bを有している。係合面25bは第2軸部25の軸方向に直交した面で形成されており、この係合面25bの中央部に雄ねじ部位27が突設されている。第1軸部24と第2軸部25が連結された状態で、第1軸部24と第2軸部25の間に段差が形成されるように係合面25bが、第1軸部24の先端にこれから外側に食み出すように連続されている。
【0042】
第2軸部25が螺合された第1軸部24の端部と反対側の端に、押しボタン21を胴3の内部3aに向けて押し込み操作するために操作されるヘッド23が一体に連続されている。ヘッド23は、ボタン軸22より大径であるとともに、嵌合円筒部23aを有している。嵌合円筒部23aは第2軸部24に向けてヘッド23から一体に突設されていて、この嵌合円筒部23aの外径は大径円筒部17の内径より多少小さい。
【0043】
胴3に取付けられた押しボタン21は付勢部材例えばコイルばね31で胴3の外方に向けて付勢されている。コイルばね31は、第1軸部24より大径で、かつ、嵌合円筒部23aより小径である。コイルばね31は、圧縮状態となって、パイプ15の筒底壁部17aとヘッド23とで挟まれている。
【0044】
このコイルばね31のばね力(付勢力)によって、挿入円筒部16の先端16a(図1及び図3参照)に胴3の内部3a側から係合面25bが接した状態(係合状態)に押しボタン21が保持されている。こうして押しボタン21が保持された状態では、そのボタン軸22の先端、言い換えれば、第2軸部25の先端は、図1に示すように前記接点部材13との間に所定の間隙を形成して近接されている。
【0045】
押しボタン21は以下の手順で胴3に取付けられる。
まず、第1軸部24のパッキン取付け溝28に防水パッキン29を嵌合して取付けた上で、第1軸部24にコイルばね31を嵌合させる。次いで、裏蓋5が取付けられていない胴3に対してボタン軸22を組立てながら、胴3の貫通孔8に固定されているパイプ15の挿入円筒部16にボタン軸22を貫通させる。
【0046】
この場合、第2軸部25をその直径方向に挟む工具(図示しない)を用いて、この第2軸部25の雄ねじ部位27が挿入円筒部16内に位置されるように第2軸部25を、胴3の内部3aに配置させる。これとともに、第1軸部24を胴3の外側から挿入円筒部16に挿入する。この状態で、第1軸部24をヘッド23とともに所定方向に回転させて、その雌ねじ部位26と第2軸部25の雄ねじ部位27とを螺合させる。或いは、第1軸部24を挿入円筒部16に挿入した後に、前記工具を用いて胴3内に第2軸部25を配置してから、第1軸部24をヘッド23とともに所定方向に回転させて、雌ねじ部位26と雄ねじ部位27とを螺合させる。なお、挿入円筒部16に第1軸部24が挿入されるに伴って、防水パッキン29は圧縮されて挿入円筒部16の内面に密接される。
【0047】
こうした組立ての際、前記工具が、第2軸部25の平面25aに接触して第2軸部25をその径方向に挟んでいるので、第2軸部25は胴3内で回り止めされる。しかも、この場合、互に平行な二つの平面25aに接触して第2軸部25をその径方向に工具で挟んでいるので、回り止めの信頼性が高い。このように第2軸部25の回り止めが確実であることに伴い、第1軸部24と第2軸部25を螺合させる作業をより容易に行うことが可能である。又、同様の理由から、ボタン軸22を分解する上で、第1軸部24と第2軸部25との螺合を外す作業も、工具による第2軸部25の回り止めが確実であるので、容易に行うことができる。
【0048】
以上の手順で雌ねじ部位26と雄ねじ部位27とが螺合されることにより、第1軸部24と第2軸部25が連結されて、挿入円筒部16を貫通するボタン軸22が組立てられる。
【0049】
こうして押しボタン21が胴3に取付けられた状態では、パイプ15が有した大径円筒部17の筒底壁部17aとヘッド23との間に挟まれたコイルばね31がその軸方向に圧縮された状態に保持されるので、このコイルばね31のばね力により押しボタン21が胴3の外部に抜ける方向に付勢される。それにより、第2軸部25の第1軸部24側の部位が貫通孔8内に引き込まれるように押しボタン21が移動されて、係合面25bが挿入円筒部16の先端16aに引っ掛かった係合状態に保持される。これとともに、ヘッド23は胴3の外部に配置され、かつ、その嵌合円筒部23aは第1軸部25及びコイルばね31を覆ってパイプ15の大径円筒部17内に嵌合される。
【0050】
以上のように腕時計1のパイプ15は、挿入円筒部16より大径でかつこの挿入円筒部16に一体に連続して胴3の外部に配置された大径円筒部17を有していて、この大径円筒部17内に押しボタン21のヘッド23が嵌合されているとともに、これら大径円筒部17の筒底壁部17aとヘッド23との間にコイルばね31が圧縮された状態に挟まれている。このため、押しボタン21を胴3に取付けるための部品数が少なく構成が単純であるともに、それに伴い胴3に押しボタン21を既述の手順で容易に着脱することが可能である。
【0051】
以上説明した手順により明らかなように工具を用いて第2軸部25を回転止めされた状態に保持する操作の他に、胴3の内部3aで部品を着脱するための操作を要することなく、胴3の外側から押しボタン21の着脱操作を行うことができる。しかも、第2軸部25は止め輪に比較してはるかに大きいので、その取扱いが容易で、作業中に紛失する恐れも少ない。したがって、押しボタン21の胴3への着脱作業性を向上することが可能である。
【0052】
ところで、ムーブメント11と、これに取付けられた文字板12、及び図示しない時刻表示針等を含むアセンブリは、裏蓋5が取付けられていない胴3内に、裏蓋5で閉じられる開口を通して組み込まれる。この場合、前記アセンブリは、文字板12の周部が胴3の見切り部6の裏面(下面)に接することで位置決めされる。
【0053】
こうしたアセンブリの組込み前に押しボタン21の取付け作業を行うことも可能である。しかし、既述のように押しボタン21の取付けは、胴3の内部3aでの作業が殆どなく、胴3により作業空間が制限されることがない胴3の外部からの挿入及び回転作業が大半を占めているので、前記アセンブリの胴3への組込み後に押しボタン21を取付けることができる。このように前記アセンブリより後に胴3に押しボタン21を取付ける場合は、胴3の内部3aに突出された第2軸部25の長さが長くても、この第2軸部25と文字板12が干渉して胴3内へのアセンブリの収容が妨げられることないので、前記アセンブリを胴3内に容易に取付けることができる点で好ましい。
【0054】
図1に示すように組立てられた腕時計1の押しボタン21が、そのヘッド23に添えられた使用者の指でコイルばね31に抗して押込まれた場合、ボタン軸22の係合面25bが挿入円筒部16の先端16aから離れるとともに、ボタン軸22の第2軸部25がムーブメント11の接点部材13に接触して、機能の切換えが行われる。又、この押しボタン21の押込み力が解放されると、コイルばね31のばね力で押しボタン21が胴3の外側に向けて押し戻される。これにより、ボタン軸22の第2軸部25が接点部材13から離れるとともに、ボタン軸22の係合面25bが挿入円筒部16の先端16aに接して、押しボタン21が抜け止めされた状態に保持される。
【0055】
又、既述のように押しボタン21のボタン軸22は、一体構造物ではなく、押しボタン21のヘッド23と一体の第1軸部24とこれに螺合された第2軸部25との二部品で形成されているとともに、第1軸部24より大径の第2軸部25が、パイプ15の挿入円筒部16の先端16aに接離する係合面25bを有している。これにより、押しボタン21のボタン軸22に止め輪を取付けることなく、係合面25bと挿入円筒部16の先端16aとの接触によって、コイルばね31で胴3の外方に付勢されている押しボタン21が、胴3から抜けることを防止できる。
【0056】
これとともに、押しボタン21の抜け止めを実現する上で、ボタン軸22はその強度低下をもたらす止め輪取付け用の溝を有していないので、ボタン軸22の耐衝撃性が向上されている。これにより、ムーブメント11が小さいことにより、胴3の内面からボタン軸22の先端までの長さが長い構成の腕時計1であっても、腕時計1が誤って落下した場合、それに伴う衝撃で押しボタン21のボタン軸22が変形して曲がることを抑制可能である。したがって、ボタン軸22の曲がりを原因とする接点動作不良が起こる恐れがなく、押しボタン21が押込まれるに伴い接点部材13が適正に押されて、腕時計1の機能を切換えることができる。
【0057】
更に、既述のように押しボタン21が二部材で形成されているので、ヘッド23を貴金属製として腕時計1の装飾性を高める場合、押しボタン21全体ではなく、第1軸部24及びヘッド23のみを貴金属製とすれば良く、第2軸部25は他の低コストの金属又は合成樹脂で形成できる。このため、材料コストが高い貴金属の使用量を減少しつつ腕時計1の装飾性を高めることが可能である。
【0058】
加えて、押しボタン21が二部材で形成されているので、腕時計1を製造する上で以下の利点がある。即ち、腕時計1の機種によってムーブメント11の大きさは異なっているので、機種ごとに適合する長さのボタン軸22を有した押しボタン21が用いられる。この場合、腕時計1の機種ごとに異なる長さの第2軸部25を用意して置いて、その中から機種に適合した長さの第2軸部25を選択して、それを第1軸部24に螺合することで、機種ごとに適合した長さのボタン軸22を有した押しボタン21を形成できる。このため、第1軸部24とこれに一体成形されたヘッド23を共通部品とできるに伴い、部品の在庫管理を容易にできる、という製造上の利点がある。
【0059】
図4及び図5は本発明の第2の実施の形態を示している。この第2実施形態に係る腕時計は、以下説明する構成以外は第1実施形態と同じである。そのため、第1実施形態と同じ構成については第1実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0060】
第2実施形態では、雄ねじ部位27がボタン軸22の第1軸部24に設けられている。この雄ねじ部位27は、第1軸部24の外径より小径で、第1軸部24の先端部をなしているとともにパッキン取付け溝28から遠ざかる方向に突出して設けられている。更に、雌ねじ部位26がボタン軸22の第2軸部25に設けられている。これら雄ねじ部位27と雌ねじ部位26を螺合させて第1軸部24と第2軸部25が連結されて、押しボタン21のボタン軸22が形成されている。尚、ムーブメント11の径は第1実施形態のムーブメントより大きいとともに、第2軸部25の長さは第1実施形態の第2軸部より短い。これとともに、第2軸部25の外周の一箇所のみに平面25aが設けられている。
【0061】
以上説明した以外の構成は第1実施形態と同じである。そのため、第2実施形態では、第1実施形態で既に説明したのと同じ理由によって、第1実施形態と同じ作用を得て、本発明の課題を解決できる。即ち、胴3に取付けられた押しボタン21のボタン軸22が衝撃で変形することを抑制できるとともに、押しボタン21の胴3への着脱作業を容易に行うことが可能な腕時計1を提供可能である。
【0062】
更に、第2実施形態では、第2軸部25の雌ねじ部位26に螺合する雄ねじ部位27を第1軸部24が有しているから、第1軸部24においてそのパッキン取付け溝28と雄ねじ部位27との間に、パッキン取付け溝28の底の径より太い第1軸部24の軸部位24aが存在している。このため、軸部位24aの長さに応じて第1軸部24と第2軸部25の螺合箇所がパッキン取付け溝28から遠ざかっていて、第1軸部24のパッキン取付け溝28と雄ねじ部位26との間に、強度的に弱い箇所が形成されることがない。したがって、腕時計1の落下等に伴う衝撃でボタン軸22の第1軸部24が変形することを、抑制可能である。
【0063】
図6及び図7は本発明の第3の実施の形態を示している。この第3実施形態に係る腕時計は、以下説明する構成以外は第2実施形態と同じである。そのため、第2実施形態と同じ構成については第2実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0064】
第3実施形態では、パイプ15の挿入円筒部16の先端16aが、胴3の内部3aに突出されているとともに、胴3の内部3aで第2軸部25の係合面25bが挿入円筒部16の先端16aに接触している。
【0065】
この構成により、胴3の貫通孔8の径に制約されずに係合面25bの径を大きくすることが可能である。このため、パイプ15及び第2軸部25の寸法公差内でのばらつきに拘らず、係合面25bを確実に挿入円筒部16の先端16aに係合させて、胴3に対する押しボタン21の抜け止めを担うことができる。尚、第3実施形態において、第1軸部24の先端部に設けられた雄ねじ部27は、第1軸部24の外径より小径であることに制約されず、第1軸部24の外径と同一径であっても差し支えない。こうした第3実施形態での抜け止めの構成は、前記第1、第2の実施形態にも適用することが可能である。
【0066】
更に、第3実施形態で凹部7は胴3の外面にのみ開放されている。又、第3実施形態の腕時計1は押しボタン21に対するロック機構を備えている。そのために、以下の構成とともにロック部材35が採用されている。
【0067】
即ち、胴3にろう付けされたパイプ15は、挿入円筒部16と、これに一体に連続して凹部7内に突出された雄ねじ円筒部19を有して形成されている。挿入円筒部16及び雄ねじ円筒部19の内径は同じであり、互いの内面同士は面一に連続している。雄ねじ円筒部19の外径は挿入円筒部16の外径より大きく、これらの外径差に従って形成された外周の段部は、凹部7の底面に接してろう材14で固定されている。貫通孔8の外部に配設された雄ねじ円筒部19はその外周に雄ねじ部19aを有している。
【0068】
ロック部材35は、螺合筒部36とこれより大径のカバー円筒部37を有して段付き円筒状をなしている。カバー円筒部37の筒底壁部37aは螺合筒部36に一体に連続されている。螺合筒部36の内周には雌ねじ部36aが形成されている。
【0069】
このロック部材35は、雌ねじ部36aを雄ねじ円筒部19の雄ねじ部19aに螺合させて、パイプ15の軸方向に沿って移動可能に設けられている。こうした移動により、ロック部材35は、胴3に接するボタン解放位置、具体的には図7に示すように凹部7の底面に螺合筒部36が接するボタン解放位置と、押しボタン21のヘッド23に接するボタン拘束位置、具体的には図6に示すようにヘッド23の嵌合円筒部23aの先端面に筒底壁部37aが接するボタン拘束位置とにわたって移動可能である。ロック部材35がボタン拘束位置に配設された状態では、カバー円筒部37の内側にヘッド23が収まってこのヘッド23の周面がカバー円筒部37で覆われるようになっている。
【0070】
又、コイルばね31は、パイプ15に螺合して支持されたロック部材35の筒底壁部37aとヘッド23との間に圧縮状態に挟まれていて、そのばね力により、押しボタン21を胴3の外方に向けて付勢している。尚、以上のロック機構を設ける構成は、第1、第2の実施形態にも適用することができる。
【0071】
以上説明した以外の構成は第2実施形態と同じである。そのため、第3実施形態では、第2実施形態で既に説明したのと同じ理由によって、第2実施形態と同じ作用を得て、本発明の課題を解決できる。即ち、胴3に取付けられた押しボタン21のボタン軸22が衝撃で変形することを抑制できるとともに、押しボタン21の胴3への着脱作業を容易に行うことが可能な腕時計1を提供可能である。
【0072】
更に、第3実施形態では、既述のロック機能を備えているので、以下の利点がある。即ち、図7に示すボタン解放位置のロック部材35を手で所定方向に回転操作させることで、雄ねじ部19aと雌ねじ部36aの噛み合いの変化で、ロック部材35を胴3の外側方向に更に突出させてボタン拘束位置に配置できる。尚、この場合、コイルばね31はその軸方向に更に圧縮される。
【0073】
ボタン拘束位置に配置されたロック部材35は、ストッパとなってヘッド23に胴3側から接して、押しボタン21の押込みを妨げる。したがって、腕時計1の携帯中に誤って押しボタン21が押されても、この押しボタン21が不用意に押込まれる誤操作を防止することができる。
【0074】
ところで、ボタン拘束位置に配置されたロック部材35は使用者により更に回転されることがある。この場合、ロック部材35の回転操作は、カバー円筒部37を指で摘んで行われるが、ヘッド23を覆っているカバー円筒部37の外径は比較的大きいので、比較的容易に回転操作することが可能である。
【0075】
こうしてボタン拘束位置に達したロック部材35が更に回転された場合、押しボタン21に対して胴3から抜ける方向に力が作用する。こうした状況での押しボタン21の抜け止めは、第2軸部25の係合面25bが挿入円筒部16の先端16aに接していることで実現されている。このため、前記抜け方向に作用する力で、係合面25bを有した第2軸部25が変形することはなく、当然に、第2軸部25がこれより小径の挿入円筒部16の先端部に入り込むこともない。
【0076】
特に、第2軸部25全体が貫通孔8から外れて胴3の内部3aに配置されていることにより、この第2軸部25の径を、貫通孔8に制約されずに、図6及び図7に示すように貫通孔8の径以上に大径にできる。そのため、この構成の場合には、なお更、第2軸部25がこれより小径の挿入円筒部16の先端部に入り込む恐れがない。
【0077】
したがって、後述するようにロック部材35をボタン解放位置に戻した状態での押しボタン21の動作信頼性を確保ですることが可能である。
【0078】
尚、比較のために説明すれば、前記特許文献1に記載の携帯時計は、ロック部材の内周に形成した雌ねじ部を、胴に取付けられたパイプの外周に形成された雄ねじ部に螺合して、これらねじ部の螺合位置の変化によりロック部材をボタン拘束位置とボタン解放位置とにわたって移動可能に設けてなるねじロック機構を備えているので、第3実施形態と同じくロック部材がボタン拘束位置に配置された状態で押しボタンが誤って押し込まれることを防止できる。しかし、ロック部材をボタン拘束位置に配置させた状態で、使用者が引き続いてロック部材を回転操作した場合、押しボタンに胴から引き出される方向の力が作用するに伴って、押しボタンに取付けられた止め輪に過大な力が加わって、この止め輪が胴外側に向けてすり鉢状となるように変形して、パイプの胴内側端部に食い込む恐れがある。このようになった場合、止め輪をパイプから取外すことが困難となり、分解修理性を損う事態になる。又、こうした事態に至らないまでも、ロック部材をボタン解放位置に戻した上で、押しボタンを押しても、この押しボタンを押し込むことが困難になる、という押込み不良を生じる恐れがある。
【0079】
又、第3実施形態の腕時計1で押しボタン21を操作する場合には、まず、ボタン拘束位置に配置されたロック部材35を逆回転することで、雄ねじ部19aと雌ねじ部36aの噛み合いの変化により、ボタン拘束位置のロック部材35を胴3に近付く方向に移動させて、図7に示すボタン解放位置に配置する。尚、この場合、コイルばね31は延びる。又、ボタン解放位置に配置されたロック部材35の筒底壁部37aは、ヘッド23の嵌合円筒部23aの先端から離れている。そのため、押しボタン21のヘッド23を押すことに伴い、コイルばね31を圧縮させながら押しボタン21が胴3内に向けて押込まれるので、その先端でムーブメント11の接点部材13を適正に押すことができる。
【0080】
本発明は前記各実施形態には制約されない。例えば、本発明は、腕時計以外に懐中時計等にも適用できる。
【符号の説明】
【0081】
1…腕時計(時計)
2…時計外装組立
3…胴
3a…胴の内部
8…貫通孔
11…ムーブメント(モジュール)
13…接点部材
15…パイプ
16…挿入円筒部
16a…挿入円筒部の先端
17…大径円筒部
17a…大径円筒部の筒底壁部
19…雄ねじ円筒部
19a…雄ねじ円筒部の雄ねじ部
21…押しボタン
22…ボタン軸
23…ヘッド
24…第1軸部
24a…軸部位
25…第2軸部
25a…第2軸部の平面
25b…係合面
26…雌ねじ部位
27…雄ねじ部位
28…パッキン取付け溝
29…防水パッキン
31…コイルばね(付勢部材)
35…ロック部材
36…螺合筒部
37…カバー円筒部
37a…カバー円筒部の筒底壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点部材を有したモジュールと、
貫通孔が形成された胴を有し、かつ、前記モジュールが収容された時計外装組立と、
挿入円筒部を有し、この挿入円筒部を前記貫通孔に挿入して前記胴に固定されたパイプと、
このパイプを貫通して前記接点部材に接離可能なボタン軸、及びこの軸に連続して前記胴の外部に配置された押込み操作用のヘッドを有しており、前記ヘッドと一体の第1軸部に、この第1軸部より大径でかつ前記挿入円筒部の先端に接離可能な係合面を有した第2軸部を螺合して前記ボタン軸が形成されている押しボタンと、
前記係合面が前記挿入円筒部の先端に接した状態に保持されるように前記押しボタンを前記胴の外方に向けて付勢して設けられた付勢部材と、
を具備する携帯時計。
【請求項2】
前記第2軸部の周面に少なくとも一対の平面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯時計。
【請求項3】
前記挿入円筒部の先端部が前記胴の内部に突出されていて、前記付勢部材の付勢力により前記第2軸部の係合面が前記胴の内部で前記挿入円筒部の先端に接触保持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯時計。
【請求項4】
前記第1軸部がその外周部にパッキン取付け溝を有し、前記挿入円筒部の内周面に接する環形の防水パッキンが、前記パッキン取付け溝に嵌合して前記第1軸部に取付けられていて、前記第1軸部がその外径より小径の雄ねじ部位を有しているとともに前記第2軸部が雌ねじ部位を有しており、これら雄ねじ部位と雌ねじ部位を螺合させて前記第1軸部と第2軸部が連結されていることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の携帯時計。
【請求項5】
前記パイプが、前記挿入円筒部より大径でかつこの挿入円筒部に一体に連続して前記胴の外部に配置された大径円筒部を有し、この大径円筒部内に前記ヘッドが嵌合されているとともに、これら大径円筒部の筒底壁部とヘッドとの間に前記付勢部材が圧縮された状態に挟まれていることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の携帯時計。
【請求項6】
前記パイプが前記挿入円筒部に一体に連続して前記貫通孔の外部に配置されるとともに外周に雄ねじが形成された雄ねじ円筒部を有し、かつ、前記パイプの軸方向に沿って移動可能に前記雄ねじ円筒部に螺合されて前記胴に接するボタン解放位置と前記ヘッドに接するボタン拘束位置とにわたって配置されるロック部材を更に備え、このロック部材が前記ボタン拘束位置で前記ヘッドの周面を覆うカバー円筒部を有しているとともに、前記ヘッドと前記ロック部材との間に前記付勢部材が圧縮された状態に挟まれていることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の携帯時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−189521(P2012−189521A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54889(P2011−54889)
【出願日】平成23年3月13日(2011.3.13)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】