説明

携帯用照明装置

【課題】容易に光源を切り換えることができる携帯用照明装置を提供すること。
【解決手段】電源としての電池13が収容されたケーシング2と、投光用光源9を有する投光部15と、散光用光源10を有する散光部16と、前記ケーシング2が設置面F上に置かれた際に前記散光用光源10を発光させると共に前記ケーシングを持ち上げた際に前記投光用光源9を発光させる切換手段19を設けたことで、前記ケーシング2を置く或いは持ち上げるという操作だけで、持った状態で使用されるべき投光用光源9と、置かれた状態で使用されるべき散光用光源10とを自動的に切り換えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持しても設置しても使用可能な携帯用照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の携帯用照明装置としては、集光用ランプ(本発明の投光用光源に相当する)及び拡散用ランプ(本発明の散光用光源に相当する)を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、集光用ランプは、通常、持って使用するものであり、拡散用ランプは、通常、置いたり吊り下げたりして使用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−268601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような携帯用照明装置は、各光源の切り換えを手動で行わなければならないので、使い勝手が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、容易に光源を切り換えることができる携帯用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の携帯用照明装置は、電源が収容されたケーシングと、投光用光源を有する投光部と、散光用光源を有する散光部と、前記ケーシングが設置面上に載置された際に前記散光用光源を発光させると共に前記ケーシングが前記設置面から浮いた際に前記投光用光源を発光させる切換手段を設けたものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の携帯用照明装置は、請求項1において、前記ケーシングが半透明な材質で構成されると共に、前記ケーシング内に前記散光用光源を設けたものである。
【0008】
更に、本発明の請求項3に記載の携帯用照明装置は、請求項2において、前記投光用光源の色温度を、前記散光用光源の色温度よりも高くしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の携帯用照明装置は、以上のように構成することにより、設置面上に前記ケーシングを設置した際に、前記切換手段によって前記電源から前記散光部の散光用光源に電力が供給され、光が広い範囲に拡散すると共に、前記ケーシングを把持した際に、前記切換手段によって前記電源から前記投光部の投光用光源に電力が供給されるので、前記ケーシングを置く或いは持ち上げるだけで、自動的に光源を切り換えることができる。
【0010】
また、前記ケーシングを半透明な材質で構成し、このケーシング内に前記散光用光源を設けたことにより、前記散光用光源から発する光を柔らかくすることができる。
【0011】
更に、前記投光用光源の色温度を高く、前記散光用光源の色温度を低くしたことにより、用途に応じて最適な光を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示す携帯型照明装置の正面図である。
【図2】同、携帯時における断面図である。
【図3】同、設置時における断面図である。
【図4】同、回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図4に基づいて説明する。なお、本実施形態において、図1乃至図3の姿勢に基づいて上下を規定する。1は本発明の携帯用照明装置である。この携帯用照明装置1のケーシング2は、半透明の合成樹脂からなる上ケーシング3と、透明の合成樹脂からなる下ケーシング4とを有して構成される。そして、前記携帯用照明装置1は、前記上ケーシング3の下端3Aが設置面Fに接した状態で、この設置面F上に置いて使用可能に構成される。なお、前記上ケーシング3の下端3Aは、前記下ケーシング4の下端4Aよりも下方に突出する。即ち、前記上ケーシング3の下端3Aが設置面Fに接するように、前記携帯用照明装置1を設置面Fに置いた場合、前記下ケーシング4は設置面Fから浮いた状態となる。
【0014】
前記上ケーシング3は、把持部5を有する。そして、前記下ケーシング4は、集光レンズ6を有する。また、前記下ケーシング4には、操作体7及び切換体8が設けられる。これらの操作体7及び切換体8は、上下方向に移動可能に設けられる。また、前記ケーシング2内には、投光用光源9と、散光用光源10と、操作スイッチ11と、切換スイッチ12と、電池13と、電子回路14が設けられる。なお、前記電池13は、一次電池であっても二次電池であっても、或いは燃料電池等であっても良い。前記投光用光源9は、白色LEDであり、下向きに設けられる。そして、この投光用光源9の下方(即ち照射方向)に、前記集光レンズ6が設けられる。これら投光用光源9と集光レンズ6とで、投光部15が構成される。一方、前記散光用光源10は、電球色LEDであり、上向きに設けられる。そして、この散光用光源10は、半透明の前記上ケーシング3によって覆われる。即ち、前記上ケーシング3は、半透明のセードとなる。これら散光用光源10と上ケーシング3とで、散光部16が構成される。
【0015】
また、前記操作スイッチ11は、前記操作体7に対応して設けられる。即ち、前記操作体7を押すことで、前記操作スイッチ11が押されるように構成される。同様に、前記切換スイッチ12は、前記切換体8に対応して設けられる。即ち、前記切換体8が押されることで、前記切換スイッチ12が押されるように構成される。なお、前記操作体7及び切換体8は、押圧により押し込まれ、且つ、押圧を止めた際に復元するように、弾性的に支持される。本例では、前記操作体7及び切換体8は、それぞれ付勢手段17,18によって常時下方に付勢される構造だが、他の構造を採用しても良い。更に、前記下ケーシング4の下端4Aからの前記操作体7の突出量は、前記上ケーシング3の下端3Aの突出量よりも小さい。一方、前記下ケーシング4の下端4Aからの前記切換体8の突出量は、前記上ケーシング3の下端3Aの突出量よりも大きい。即ち、前記上ケーシング3の下端3Aが設置面Fに接するように、前記携帯用照明装置1を設置面F上に置いた場合、前記操作体7の下端7Aは設置面Fから浮いた状態となり、前記切換体8の下端8Aは前記設置面Fにより押される。そして、前記切換スイッチ12と切換体8と付勢手段18によって、切換手段19が構成される。
【0016】
前記各光源を点灯させるための電子回路14について詳述する。この電子回路14は、制御回路20及び定電流回路21を有する。そして、前記制御回路20には、前記操作スイッチ11が接続される。また、前記定電流回路21は、前記制御回路20と並列に設けられると共に、前記制御回路20によって制御されるように構成される。また、前記電池13と定電流回路21との間には、前記切換スイッチ12が設けられており、この切換スイッチ12と定電流回路21との間に、前記投光用光源9と散光用光源10とが並列に設けられる。そして、前記切換スイッチ12を操作することで、前記投光用光源9又は散光用光源10の何れか一方に通電することができるように構成される。また、前記制御回路20は、前記操作スイッチ11が一回オンになると、前記投光用光源9又は散光用光源10を強点灯させるように、前記定電流回路21を制御する。また、前記制御回路20は、前記操作スイッチ11がもう一回オンになると、前記投光用光源9又は散光用光源10を弱点灯させるように、前記定電流回路21を制御する。更に、前記制御回路20は、前記操作スイッチ11がもう一回オンになると、前記投光用光源9又は散光用光源10を消灯させるように、前記定電流回路21を制御する。なお、前記切換スイッチ12は、前記切換体8によって押されていない状態では、前記投光用光源9が点灯可能となり、前記切換体8によって押された状態では、前記散光用光源10が点灯可能となるように切り換わるように構成される。
【0017】
次に、本発明の作用について説明する。本発明の携帯用照明装置1を使用する場合、まず使用者は、前記把持部5を把持して前記携帯用照明装置1を持ち上げる。この場合、前記投光用光源9が通電可能な状態となるように、前記切換スイッチ12が切り換わる。そして、前記操作体7を一回押すことで、前記操作スイッチ11を一回オンにする。前記制御回路20は、前記操作スイッチ11が一回オンになったことを検知すると、前記定電流回路21を作動させる。このように、前記定電流回路21が作動すると、前記電池13から、前記切換スイッチ12、投光用光源9、定電流回路21を経て前記電池13に戻るように、電流が流れる。なお、前記操作スイッチ11が一回オンにされた場合、前記制御回路20は、前記投光用光源9を強点灯させるように前記定電流回路21を制御する。前記操作体7をもう一回押して、前記操作スイッチ11をもう一回オンにすると、前記制御回路20は、前記投光用光源9を弱点灯させるように前記定電流回路21を制御する。前記操作体7を更にもう一回押して、前記操作スイッチ11をもう一回オンにすると、前記制御回路20は、前記投光用光源9を消灯させるように前記定電流回路21を制御する。このように、使用者が前記操作体7を繰り返し押すことで、前記投光用光源9は、強点灯−弱点灯−消灯を繰り返す。
【0018】
そして、前記投光用光源9が点灯した状態で、前記投光部15を照射したい方向に向けることで、前記携帯用照明装置1を投光器として使用することができる。なお、前述した通り、前記投光用光源9は白色LED、即ち比較的色温度が高い光源なので、投光器として使用した場合、照射された箇所を明るく感じさせることができる。
【0019】
そして、このように投光用光源9が点灯した状態の携帯用照明装置1を、前記投光部15が下を向いた図3の姿勢で設置面F上に置くと、前記切換体8は、前記切換スイッチ12を押して、電流が流れる光源を、前記投光用光源9から前記散光用光源10に切り換える。これによって、前記散光用光源10が点灯する。このように、前記携帯用照明装置1は、周囲を広く照らすランタンとして使用することができる。なお、前記操作体7の下端7Aは、設置面Fから浮いた状態なので、前記携帯用照明装置1を設置面F上に置いても押されない。そして、前記散光用光源10から発した光は、半透明の前記上ケーシング3を通って拡散するので、周囲を柔らかく照射することができる。なお、前述した通り、前記散光用光源10は電球色LED、即ち色温度が比較的低い光源なので、ランタンとして使用した場合、照射された箇所をより柔らかく照らすことができる。
【0020】
更に、前記携帯用照明装置1を前記設置面Fから浮かせると、前記切換スイッチ12が再び切り換わり、前記投光用光源9が再び点灯する。即ち、前記携帯用照明装置1は、持つことで投光器として使用可能となり、設置面Fに置くことでランタンとして使用可能となる。そして、前記投光用光源9と散光用光源10は、前記携帯用照明装置1を設置面Fから持ち上げたり設置面F上に置いたりすることで、自動的に切り換えられるので、従来のように、手動で両光源を切り換える必要がなく、使い勝手を向上させることができる。
【0021】
以上のように本発明は、電源としての電池13が収容されたケーシング2と、投光用光源9を有する投光部15と、散光用光源10を有する散光部16と、前記ケーシング2が設置面F上に置かれた際に前記散光用光源10を発光させると共に前記ケーシングを持ち上げた際に前記投光用光源9を発光させる切換手段19を設けたことで、前記ケーシング2を置く或いは持ち上げるという操作だけで、持った状態で使用されるべき投光用光源9と、置かれた状態で使用されるべき散光用光源10とを自動的に切り換えることができるものである。
【0022】
また、本発明は、前記ケーシング2の上ケーシング3を半透明な材質で構成し、この上ケーシング3内に前記散光用光源10を設けたことにより、前記上ケーシング3自体をセードとし、前記散光用光源10から発する光を拡散させて柔らかくすることができるものである。
【0023】
更に、本発明は、投光用光源9の色温度を高く、散光用光源10の色温度を低くしたことにより、投光器或いはランタンとして最適な光を得ることができるものである。
【0024】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、光源は何れもLEDであるが、光源の何れか或いは両方を電球や蛍光灯等にしても良い。
【符号の説明】
【0025】
1 携帯用照明装置
2 ケーシング
3 上ケーシング
9 投光用光源
10 散光用光源
13 電池(電源)
15 投光部
16 散光部
19 切換手段
F 設置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源が収容されたケーシングと、投光用光源を有する投光部と、散光用光源を有する散光部と、前記ケーシングが設置面上に載置された際に前記散光用光源を発光させると共に前記ケーシングが前記設置面から浮いた際に前記投光用光源を発光させる切換手段を設けたことを特徴とする携帯用照明装置。
【請求項2】
前記ケーシングが半透明な材質で構成されると共に、前記ケーシング内に前記散光用光源を設けたことを特徴とする請求項1記載の携帯用照明装置。
【請求項3】
前記投光用光源の色温度を、前記散光用光源の色温度よりも高くしたことを特徴とする請求項2記載の携帯用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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