説明

携帯用空気クッション用空気入れ

【課題】 携帯用空気クッションに弁付きの空気注入・排出口を通して簡便に空気を注入することができ、嵩張ることがなく、折り畳んでバッグに入れて携行することができ、構成も簡易である空気入れを提供する。
【解決手段】 可撓性素材により一辺が開口した袋状に形成し、開口した一辺の端縁部分に、開口を開閉自在に気密に閉塞するスライドファスナ16を設け、袋内部と外部とを連通させる空気通路が形設され携帯用枕10の空気注入・排出口12に係脱自在に気密に係合するプラグ18を取着して、空気入れを構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、弁付きの空気注入・排出口を通して空気を注入することにより膨らませて使用される携帯用の空気枕、シートクッション、腰当てクッション、背当てクッションなどの携帯用空気クッションに空気を注入するのに使用される空気入れに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用空気クッション、例えば、長距離列車、飛行機、自動車等の乗り物に長時間乗って移動する場合などに重宝する携帯用空気枕は、可撓性素材、例えば塩化ビニル等の合成樹脂製シート材、合成ゴム製シート材、気密加工された化学繊維製布帛をベロア加工したシート材などにより密閉袋状に形成され、弁付きの空気注入・排出口を通して空気を注入して膨らませたときに、シートに座って背中を背凭れに凭れかけさせた状態において首を支持し頭部を固定して快適な姿勢が得られるような形態に形成されている。このような携帯用空気枕は、使用しないときには空気を抜いて折りたたんで携行し、使用するときに空気を注入して枕形態に膨らませる。携帯用空気枕への空気の注入は、息を吹き込むことにより行われるが、空気入れポンプ、例えば蛇腹状操作部を手動で伸縮させる空気入れポンプを使用して外気を注入することも行われる(例えば、特許文献1参照。)。特に、老齢者などのように肺活量の小さい利用者にとっては、空気入れポンプの使用が不可欠であり、また、携帯用シートクッションのように比較的多くの空気量を必要とする携帯用空気クッションへの空気の注入には、空気入れポンプの使用が便利である。
【特許文献1】特開平10−201591号公報(第2頁、図1および図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の空気入れポンプは立体形状であり、携帯用空気クッションは、空気を抜いて折り畳んだ状態でバッグなどに入れて携行することができるに対し、空気入れポンプは、バッグなどに入れると嵩張ってしまうので、携行するのには向かない。
【0004】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、嵩張ることがなく、折り畳むなどして携帯用空気クッションと共にバッグ等に入れて携行することができ、構成も簡易である携帯用空気クッション用空気入れを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、可撓性素材により密閉袋状に形成された携帯用空気クッションに、その空気クッションに形設された弁付きの空気注入・排出口を通して空気を注入する空気入れであって、可撓性素材により一辺が開口した袋状に形成され、開口した一辺の端縁部分に、開口を開閉自在に気密に閉塞するスライドファスナが設けられるとともに、袋内部と外部とを連通させる空気通路が形設され携帯用空気クッションの空気注入・排出口に係脱自在に気密に係合するプラグが取着されたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の空気入れにおいて、前記プラグが弾性チューブを介して袋面に取着されたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の空気入れにおいて、前記プラグを、先端部が携帯用空気クッションの空気注入・排出口に挿脱自在に気密に嵌挿される管状部およびこの管状部の基端部に一体形成されたフランジ部から構成し、袋面に、前記プラグの管状部が遊嵌する挿通孔を有しフランジ部が密接する板状パッキンを一体的に固着し、前記プラグを前記パッキンに、プラグのフランジ部が袋内部側に配置されて管状部がパッキンの挿通孔に挿通されるように係脱自在に係合させたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の空気入れにおいて、前記プラグを、先端部が携帯用空気クッションの空気注入・排出口に挿脱自在に気密に嵌挿される管状部およびこの管状部の基端部に一体形成されたフランジ部から構成し、袋外面に、板厚内部に形成され前記プラグのフランジ部が厚み方向に対し直交する方向から嵌脱自在に嵌入して密着保持される保持溝、この保持溝内に保持された前記プラグの空気通路と連通する連通孔および前記保持溝内への前記プラグのフランジ部の嵌入を許容する切欠きを有する板状パッキンを一体的に固着し、前記プラグを前記パッキンに係脱自在に係合させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明の空気入れを用いて携帯用空気クッションに空気を注入するには、プラグを空気クッションの空気注入・排出口に気密に係合させ、一辺を開口させた状態でその開口を通して袋内へ空気を入れ、空気入れを膨らませた後、スライドファスナを操作して開口を気密に閉塞する。この状態において、手で空気入れ(袋)を押し潰したり丸めたりするなどして袋内の空気を押し出すことにより、袋内の空気がプラグを通り弁付きの空気注入・排出口を通って空気クッション内へ流入し、空気クッションが空気で膨らむ。
このように、請求項1に係る発明の空気入れを使用すると、老齢者や子供などでも携帯用空気クッションに空気を注入して携帯用空気クッションを膨らませることができ、この空気入れは、嵩張ることがなく、折り畳むなどして携帯用空気クッションと共にバッグ等に入れて携行することができ、構成も簡易である。
【0010】
請求項2に係る発明の空気入れでは、弾性チューブが自在に曲がることにより、プラグと空気クッションの空気注入・排出口との係合操作がより容易になる。
【0011】
請求項3に係る発明の空気入れでは、プラグが、袋面に固着された板状パッキンに対し離脱可能であるので、空気入れを折り畳んだりしたときに、プラグが袋面から突出して邪魔になる、といったことが避けられる。
【0012】
請求項4に係る発明の空気入れでは、プラグが、袋外面に固着された板状パッキンから取り外し可能であるので、空気入れを折り畳んだりしたときに、プラグが袋面から突出して邪魔になる、といったことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1ないし図3は、この発明の実施形態の1例を示し、図1は、携帯用空気クッションの1種である携帯用枕およびこの携帯用枕に空気を注入するのに使用される空気入れを示す平面図であり、図2および図3は、空気入れを用いて携帯用枕に空気を注入している状態を示す平面図および正面図である。
【0014】
図1の(a)に示すように、携帯用枕10は、同一形状に切り抜かれた2枚の可撓性シート材、例えば塩化ビニル等の合成樹脂製シート材、合成ゴム製シート材、気密加工された化学繊維製布帛をベロア加工したシート材などをぴったりと重ね合わせ、周縁部をシール加工することにより、密閉袋状に形成されている。携帯用枕10には、弁付きの空気注入・排出口12が設けられており、携帯用枕10は、その空気注入・排出口12を通して空気を注入することにより膨らませて使用される。
【0015】
図1の(b)に示すように、携帯用枕10に空気を注入するのに使用される空気入れ14は、矩形状の2枚の可撓性素材、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の比較的厚手の合成樹脂フィルム材をぴったりと重ね合わせ、一辺だけを残して周縁部を熱接着(ヒートシール)することにより、一辺が開口した袋状に形成されている。空気入れ14の、開口した一辺の端縁部分には、開口を開閉自在に気密に閉塞するスライドファスナ16が設けられている。また、空気入れ14には、スライドファスナ16が設けられた一辺と対向する辺の一端部に、袋内部と外部とを連通させる空気通路が形設され携帯用枕の空気注入・排出口12に係脱自在に気密に係合するプラグ18が取着されている。プラグ18は、その先端部分を露出させてそれ以外の部分の外周面が2枚の合成樹脂フィルム材間に介挿されて気密に熱接着されることにより、空気入れ14に一体的に固着されている。
【0016】
この空気入れ14を用いて携帯用枕10に空気を注入するには、図2および図3に示すように、空気入れ14のプラグ18を携帯用枕10の空気注入・排出口12に気密に係合させる。そして、空気入れ14の一辺を開口させた状態でその開口を通して袋内へ空気を入れた後、スライドファスナ16を操作して開口を気密に閉塞することにより、空気入れ14の袋内部を空気で満たして空気入れ14を膨らませた状態にする。この状態において、図3に示すように手で空気入れ14を押し潰したり、空気入れ14を丸めたり折り畳んだりして、袋内の空気を押し出すようにする。これにより、空気入れ14の袋内の空気がプラグ18を通り弁付きの空気注入・排出口12を通って携帯用枕10内へ流入し、空気入れ14が萎むとともに携帯用枕10が空気で膨らむ。このように、この空気入れ14を使用すると、老齢者や子供などでも携帯用枕10に空気を注入して携帯用枕10を容易に膨らませることができる。そして、この空気入れ14は、袋内から空気を抜いた状態で折り畳むことができ、嵩張ることがなく携帯用枕10と共にバッグ等に入れて携行することができる。
【0017】
上記した実施形態では、空気入れ14にプラグ18が一体的に固着されているが、図4に示すようにプラグを空気入れ本体に係脱自在に取着したり、図5および図6に示すようにプラグを空気入れ本体から取り外すことができるようにしてもよい。
【0018】
図4に部分拡大断面図を示した実施形態では、プラグ20(断面で示さず)が、細長い円錐台状の管状部22とこの管状部22の基端部に一体形成されたフランジ部24とから構成されている。管状部22およびフランジ部24には、軸線方向に貫通する空気通路26が形成されている。このプラグ20の管状部22先端部が、携帯用枕10の空気注入・排出口12に挿脱自在に気密に嵌挿される。一方、空気入れ本体の袋内面28には、例えばゴム材で形成された板状パッキン30が熱接着等により一体的に固着されている。板状パッキン30には、袋内部側となる面に段付き孔32が形設されるとともに、中央部に挿通孔34が形成されている。段付き孔32は、プラグ20のフランジ部24が嵌合するようにフランジ部24の外径より僅かに大きい内径を有する。また、挿通孔34は、プラグ20の管状部22が遊嵌するように管状部22の最大径部の外径より大きい内径を有している。
【0019】
図4に示したプラグ20および板状パッキン30を備えた空気入れにおいては、携帯用枕10への空気の注入に用いていないときは、図4の(a)に示したように、空気入れ本体に固着された板状パッキン30に対しプラグ20が離脱可能になっている。このため、空気入れを折り畳んだりしたときに、プラグ20が袋面から突出して邪魔になる、といったことが避けられる。一方、プラグ20を携帯用枕10の空気注入・排出口12に気密に係合させ、空気入れの袋内部に空気を密封して、空気入れの袋面に外部から力を加えたときは、図4の(b)に示したように、内圧によってプラグ20の管状部22が押し出されて、フランジ部24が板状パッキン30の段付き孔32底面に気密に押し付けられる。これにより、空気入れの袋内部からプラグ20を通して携帯用枕10へ空気を注入することが可能となる。
【0020】
次に、図5に部分拡大平面図を示し図6に図5(b)のVI−VI矢視断面図を示した実施形態では、プラグ36(図6において断面で示さず)が、細長い円錐台状の管状部38、この管状部38の基端部に一体形成された連接係合部40、および、この連接係合部40に連接したフランジ部42から構成されている。管状部38、連接係合部40およびフランジ部42には、軸線方向に貫通する空気通路44が形成されている。このプラグ36の管状部38先端部が、携帯用枕10の空気注入・排出口12に挿脱自在に気密に嵌挿される。
【0021】
一方、空気入れ本体の袋外面46には、例えばゴム材で形成された板状パッキン48が熱接着等により一体的に固着されている。板状パッキン48は、矩形の一辺を円弧状とした平面形状を有している。この板状パッキン48の板厚内部には、平坦な一側面に開口し内周縁が板状パッキン48の外周縁に沿った保持溝50が形成されている。また、板状パッキン48の表面側には、平面視で平坦な一側面から中心部に向かってかつ厚み方向において保持溝50に達するように切除され内周縁が保持溝50の内周縁に沿った切欠き52が設けられている。さらに、板状パッキン48の中央部には連通孔54が形成されている。保持溝50は、プラグ36のフランジ部42が板状パッキン48の厚み方向に対し直交する方向から嵌脱自在に嵌入することができるとともにフランジ部42を密着保持することができるように、板状パッキン48の厚み方向における寸法がフランジ部42の厚みと同等とされ、また、平面視での幅寸法がフランジ部42の直径より僅かに大きくされている。切欠き52は、連接係合部40に係脱自在に係合するとともに保持溝50内へのプラグ36のフランジ部42の嵌入を許容するように、平面視での幅寸法が連接係合部40の直径より僅かに大きくされている。また、連通孔54は、プラグ36のフランジ部42が保持溝50の内奥まで挿入されて保持溝50に密着保持された状態で(図5の(b)参照)、プラグ36の空気通路44と連通する位置に設けられている。
【0022】
図5および図6に示したプラグ36および板状パッキン48を備えた空気入れにおいては、携帯用枕10への空気の注入に用いていないときは、図5の(a)に示したように、空気入れ本体に固着された板状パッキン48からプラグ36を取り外すことができる。このため、空気入れを折り畳んだりしたときに、プラグ36が袋面から突出して邪魔になる、といったことがない。一方、この空気入れによって携帯用枕10に空気を注入するときは、図5の(a)に示した状態から、板状パッキン48に対しプラグ36を矢印で示した方向へスライドさせて、図5の(b)に示したように、板状パッキン48の保持溝50内へプラグ36のフランジ部42を挿入して保持溝50にフランジ部42を密着保持させる。そして、プラグ36の管状部38の先端部を携帯用枕10の空気注入・排出口12に気密に係合させるようにする。これにより、空気入れによる携帯用枕10への空気の注入が可能となる。
【0023】
また、図7に平面図を示した実施形態では、開口した一辺の端縁部分にスライドファスナ58が設けられた空気入れ56に、弾性チューブ60を介してプラグ62が取着されている。このような構成を備えた空気入れ56では、弾性チューブ60が自在に曲がることにより、プラグ62を携帯用枕10の空気注入・排出口12に係合させる操作がより容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施形態の1例を示し、携帯用空気クッションの1種である携帯用枕およびこの携帯用枕に空気を注入するのに使用される空気入れを示す平面図である。
【図2】図1に示した空気入れを用いて携帯用枕に空気を注入している状態を示す平面図である。
【図3】同じく、図1に示した空気入れを用いて携帯用枕に空気を注入している状態を示す正面図である。
【図4】この発明の別の実施形態を示し、空気入れの部分拡大断面図である。
【図5】この発明のさらに別の実施形態を示し、空気入れの部分拡大断面図である。
【図6】図5(b)のVI−VI矢視断面図である。
【図7】この発明のさらに別の実施形態を示す空気入れの平面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 携帯用枕
12 弁付きの空気注入・排出口
14、56 空気入れ
16、58 スライドファスナ
18、20、36、62 プラグ
22、38 プアラグの管状部
24、42 プラグのフランジ部
26、44 プラグの空気通路
28 空気入れ本体の袋内面
30、48 板状パッキン
32 板状パッキンの段付き孔
34 板状パッキンの挿通孔
40 連接係合部
46 空気入れ本体の袋外面
50 板状パッキンの保持溝
52 板状パッキンの切欠き
54 板状パッキンの連通孔
60 弾性チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性素材により密閉袋状に形成された携帯用空気クッションに、その空気クッションに形設された弁付きの空気注入・排出口を通して空気を注入する空気入れであって、
可撓性素材により一辺が開口した袋状に形成され、開口した一辺の端縁部分に、開口を開閉自在に気密に閉塞するスライドファスナが設けられるとともに、袋内部と外部とを連通させる空気通路が形設され携帯用空気クッションの空気注入・排出口に係脱自在に気密に係合するプラグが取着されたことを特徴とする携帯用空気クッション用空気入れ。
【請求項2】
前記プラグが弾性チューブを介して袋面に取着された請求項1に記載の携帯用空気クッション用空気入れ。
【請求項3】
前記プラグは、先端部が携帯用空気クッションの空気注入・排出口に挿脱自在に気密に嵌挿される管状部、および、この管状部の基端部に一体形成されたフランジ部からなり、
袋面に、前記プラグの管状部が遊嵌する挿通孔を有しフランジ部が密接する板状パッキンが一体的に固着され、
前記プラグが前記パッキンに、プラグのフランジ部が袋内部側に配置されて管状部がパッキンの挿通孔に挿通されるように係脱自在に係合した請求項1に記載の携帯用空気クッション用空気入れ。
【請求項4】
前記プラグは、先端部が携帯用空気クッションの空気注入・排出口に挿脱自在に気密に嵌挿される管状部、および、この管状部の基端部に一体形成されたフランジ部からなり、
袋外面に、板厚内部に形成され前記プラグのフランジ部が厚み方向に対し直交する方向から嵌脱自在に嵌入して密着保持される保持溝、この保持溝内に保持された前記プラグの空気通路と連通する連通孔および前記保持溝内への前記プラグのフランジ部の嵌入を許容する切欠きを有する板状パッキンが一体的に固着され、
前記プラグが前記パッキンに係脱自在に係合した請求項1に記載の携帯用空気クッション用空気入れ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−82879(P2007−82879A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277359(P2005−277359)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(591185342)株式会社ゴーウェル (3)
【Fターム(参考)】