説明

携帯端末装置、同装置を利用した流通履歴記録システム、同装置にダウンロードされるプログラムおよび同装置を利用した流通履歴記録方法

【課題】流通過程における商品データの改ざんなどを防止することが可能な流通履歴記録のしくみを、データの実体的な内容の管理だけではなく、取引者間におけるデータの受渡し方法についてもデータの改ざん等が困難なものとすることができるように構築し、データの信頼性を高めることを低コストで簡単に実現できるしくみを提供する。
【解決手段】取引者当人識別情報を保持する手段と、上流取引者識別情報と受取商品識別情報とをトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して取得するための手段と、引渡商品識別情報を取得する手段と、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とを取得したトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する手段とを有する携帯端末装置、同装置を利用した流通履歴記録システム、同装置にダウンロードされるプログラムおよび携帯端末装置を利用した流通履歴記録方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の流通経路での商品の取引に際して流通履歴を記録するために用いる携帯端末装置、同装置を利用した流通履歴記録システム、同装置にダウンロードされるプログラムおよび同装置を利用した流通履歴記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるBSE問題や食品偽装問題の発生などを契機とする食の安心・安全に対する関心の高まりなどもあって、食品をはじめとする商品の流通履歴を記録・監視するための流通履歴記録システム(いわゆるトレーサビリティシステム)の整備が図られつつある。この流通履歴記録システムは流通過程において流通履歴に関する不正・不備(その代表的な例はデータの改ざんである)が混入することをチェックして、流通商品に対する消費者等の安心感や商品の安全性を高めうるものとして期待されているが、その一方で、かかる不正・不備の混入を細大漏らさずチェックし、また不正・不備発覚の場合に商品回収等の対応を機敏に行えるようにするためには、生産者から最終的な消費者に至るまで細かく枝分かれしつつ拡散していく流通過程のすべてを厳格にフォローできる体制が必要となり、人的・物的コストが膨大なものにならざるを得ないという問題点もあった。
【0003】
そこで、このようなコスト面での問題を解消するための努力もなされており、その一環として、携帯電話機などの携帯端末装置を利用することにより低コストでシステムを構築できるようにしたものなども見られる。例えば、特許文献1には、収穫された農産物と購入した農産物とが同一であることを確認できる個体認証・追跡システムにおいて、非接触RFIDなども利用して農産物の収穫時のデータを収集・記録し、農産物の移動・搬送を追跡可能とした上で、移動・搬送された農作物に対して最終需要者がWebブラウザを有する携帯電話、パソコンなどによりインターネットを介してその農産物の収穫時のデータにアクセスして同一性を確認できるようにしたシステムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006‐146570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の発明をはじめとする従来のトレーサビリティシステムには、依然として以下のような問題点があった。
【0006】
即ち、従来のトレーサビリティシステムでは、生産時のデータを記録・追跡し、最終需要者(最終消費者)など流通過程における下流者が現時点でのデータと比較して同一性の有無を判断するようにしているが、この方法では、データに現れない改ざんがなされた場合にはチェックできないという問題がある。この点、特許文献1の発明では、収穫時だけでなく、選果時、小売り時など複数の時点でデータを収集し、その際の収集データ内容についても、農産物の表面の傷や色、テクスチャなどの生体情報だけでなく、保存時の温度、湿度といった環境情報などを含む例が開示されており、チェックできないデータを減らすことにある程度配慮がなされているとはいえる。しかし、それでもはじめに収集・記録されたデータに含まれていない要素は比較の対象とならないため、収集されていないデータに変更が加えられた場合(例えば農産物の成分データが収集されていない場合に成分に変更が加えられた場合など)には対処できないことに変わりはない。もしこれを防ごうとして、最初の段階でありとあらゆるデータを収集して追跡できるしくみを構築しようとすると膨大なコストがかかることが予想され、せっかく低コストでシステムを構築できるという効果自体が損なわれてしまうことになりかねない。
【0007】
また、特許文献1の発明のように各取引時におけるデータの比較のみで同一性を判断する方法は、まさに同発明が対象としている農産物のように同一の状態で流通していく商品の場合には有効であるが、加工食品などのように流通過程で原料から加工製品へと形を変えていくようなものの場合には、例えば表面の傷といったような同種のデータで比較することができないため、有効性には限界があるといわざるを得ない。
【0008】
一般に、データの信頼性の要素としては、データの実体的な内容が適正であることのほかに、データの受渡し経路(データがどのように受け渡されてきたか)が適正であることも考えられる。にもかかわらず、上例のような従来の方法は、データの実体的な内容だけでデータの信頼性を判断しようとしているため、これを極限まで追求すると膨大なコストを要しかねないものとなっていたといえる。
【0009】
そこで、本発明の解決すべき課題は、流通過程における商品データの改ざんなどを防止することが可能な流通履歴記録のしくみを、データの実体的な内容の管理だけではなく、取引者間におけるデータの受渡し方法についてもデータの改ざん等が困難なものとすることができるように構築し、もってデータの信頼性を高めることができ、しかもこれを低コストで簡単に実現することが可能なしくみを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するため、第一の発明は、上流から下流に向けて商品を流通する流通経路での商品の取引に際して流通履歴を記録するために用いる携帯端末装置であって、取引者当人を識別する情報である取引者当人識別情報を保持する取引者当人識別情報保持部と、商品の受取に際して上流の取引者である上流取引者を識別する上流取引者識別情報と、上流取引者から受取る商品を識別する情報である受取商品識別情報と、を上流から電子的に流されるトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して取得するためのトークン取得部と、下流の取引者に対して引渡すべき商品を識別する引渡商品識別情報を取得する引渡商品識別情報取得部と、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とをトークン取得部にて取得した上流から流されてきたトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力するトークン出力部とを有する携帯端末装置を提供する。
【0011】
また、第二の発明は、第一の発明を基礎として、上流から受取った商品を複数の下流取引者に引渡す場合に取得したトークンを分割した分割トークンを生成するための分割トークン生成部と、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とを分割トークン生成部にて生成した分割トークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する分割トークン出力部とを有する携帯端末装置を提供する。
【0012】
また、第三の発明は、第一または第二の発明を基礎として、複数の上流取引者から受け取った商品を下流取引者に引渡す場合に取得した複数のトークンを結合した結合トークンを生成するための結合トークン生成部と、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とを結合トークン生成部にて生成した結合トークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する結合トークン出力部とを有する携帯端末装置を提供する。
【0013】
また、第四の発明は、第一から第三のいずれか一の発明を基礎として、トークン取得部での取得結果を取引者当人識別情報と関連付けた情報である履歴情報として外部管理装置に対して出力するための履歴情報出力部をさらに有する携帯端末装置を提供する。
【0014】
また、第五の発明は、第一から第四のいずれか一の発明を基礎として、トークン出力部での出力結果を取引者当人識別情報と関連付けて外部管理装置に対して出力するための出力結果出力部をさらに有する携帯端末装置を提供する。
【0015】
また、第六の発明は、第一から第五のいずれか一の発明を基礎として、取引される商品の画像を撮影するための撮影部をさらに有し、前記トークン出力部は、さらに撮影された画像をトークンと関連付けて出力する画像付出力手段を有する携帯端末装置を提供する。
【0016】
また、第七の発明は、第四の発明又は第四の発明に従属する第五若しくは第六の発明に係る携帯端末装置と、前記外部管理装置とからなる流通履歴記録システムであって、前記外部管理装置は、前記履歴情報を取得する履歴情報取得部と、取得した履歴情報を記録する履歴情報記録部とを有する流通履歴記録システムを提供する。
【0017】
また、第八の発明は、携帯端末装置にダウンロードされるプログラムであって、取引者当人を識別する情報である取引者当人識別情報を保持する処理と、商品の受取に際して上流の取引者である上流取引者を識別する上流取引者識別情報と、上流取引者から受取る商品を識別する情報である受取商品識別情報と、を上流から電子的に流されるトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して取得する処理と、下流の取引者に対して引渡すべき商品を識別する引渡商品識別情報を取得する処理と、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とをトークン取得部にて取得した上流から流されてきたトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する処理とをコンピュータに実行させるプログラムを提供する。
【0018】
また、第九の発明は、携帯端末装置を利用して上流から下流に向けて商品を流通する流通経路での商品の取引に際して流通履歴を記録する方法であって、取引者当人を識別する情報である取引者当人識別情報を保持する取引者当人識別情報保持ステップと、商品の受取に際して上流の取引者である上流取引者を識別する上流取引者識別情報と、上流取引者から受取る商品を識別する情報である受取商品識別情報と、を上流から電子的に流されるトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して取得するトークン取得ステップと、下流の取引者に対して引渡すべき商品を識別する引渡商品識別情報を取得する引渡商品識別情報取得ステップと、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とをトークン取得部にて取得した上流から流されてきたトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力するトークン出力ステップとを有する方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、流通過程における商品データの改ざんなどを防止することが可能な流通履歴記録のしくみを、データの実体的な内容の管理だけではなく、取引者間におけるデータの受渡し方法についてもデータの改ざん等が困難なものとすることができるように構築し、もってデータの信頼性を高めることができ、しかもこれを低コストで簡単に実現することが可能なしくみを提供することができる。
【0020】
即ち、本発明では、携帯端末装置を用いて流通履歴記録のためのデータの受渡しをするようにしており、しかもこの携帯端末装置として市販の携帯電話機などを利用可能なように構成している。このため、流通履歴記録のしくみを低コストで簡単に実現することが可能となっている。また、データの受渡しは携帯端末装置間でトークンと近距離通信手段を用いて行うようにしているため、データの受渡しが取引者間の対面取引の場面でしか行えないようになっている。そして、登録などによりあらかじめ認証された取引者どうしでないとデータの受渡しができないように携帯端末装置を構成することも可能である。従って、適正な取引者間でデータが確実に受け渡されたことを担保することができ、第三者の不正な介入などによるデータの改ざん等が混入するおそれを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る携帯端末装置の構成の一例を示す概念図
【図2】本発明に係る携帯端末装置の構成の一例を示す概念図
【図3】実施例1の携帯端末装置の機能ブロックの一例を示す図
【図4】携帯端末装置の表示画面の一例を示す図
【図5】実施例1の携帯端末装置のハードウェア構成の一例を示す概略図
【図6】実施例1の携帯端末装置における処理の流れの一例を示す図
【図7】実施例2の携帯端末装置の機能ブロックの一例を示す図
【図8】実施例2の携帯端末装置のハードウェア構成の一例を示す概略図
【図9】実施例2の携帯端末装置における処理の流れの一例を示す図
【図10】実施例3の携帯端末装置の機能ブロックの一例を示す図
【図11】実施例3の携帯端末装置のハードウェア構成の一例を示す概略図
【図12】実施例3の携帯端末装置における処理の流れの一例を示す図
【図13】実施例4の携帯端末装置の機能ブロックの一例を示す図
【図14】実施例4の携帯端末装置のハードウェア構成の一例を示す概略図
【図15】実施例4の携帯端末装置における処理の流れの一例を示す図
【図16】実施例5の携帯端末装置の機能ブロックの一例を示す図
【図17】実施例5の携帯端末装置の機能ブロックの一例を示す図
【図18】実施例5の履歴情報記録システムの機能ブロックの一例を示す図
【図19】実施例5の携帯端末装置のハードウェア構成の一例を示す概略図
【図20】実施例5の外部管理装置のハードウェア構成の一例を示す図
【図21】実施例5の履歴情報記録システムにおける処理の流れの一例を示す図
【符号の説明】
【0022】
0100a〜0100e 携帯端末装置
0101 生産者
0102 集荷者
0103 卸売業者
0104 小売業者
0105 消費者
0106a〜0106e 近距離通信手段
0107 外部管理装置
0110a〜0110e 取引者当人識別情報
0120a〜0120d 上流取引者識別情報
0121 トークン
0122〜0125 受取商品識別情報
0131 引渡商品識別情報
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施例を説明する。実施例と請求項の相互の関係は以下のとおりである。実施例1は主に請求項1、請求項8、請求項9などに関し、実施例2は主に請求項2などに関し、実施例3は主に請求項3などに関し、実施例4は主に請求項6などに関し、実施例5は主に請求項4、請求項5、請求項7などに関する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【実施例1】
【0024】
<概要>
本実施例の携帯端末装置は、商品流通経路での商品取引に際して流通履歴を記録するために用いる携帯端末装置であって、取引者当人を識別する情報を保持する手段と、商品の受取に際して上流取引者を識別する情報と、上流取引者から受取る商品を識別する情報とを上流から電子的に流されるトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して取得するための手段と、下流取引者に対して引渡すべき商品を識別する情報を取得する手段と、少なくとも取引者当人を識別する情報と引渡すべき商品を識別する情報とを取得したトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する手段を有することを特徴とする携帯端末装置である。平たく言えば、本実施例の携帯端末装置は、商品と取引者をトークンを利用して関連付け、このトークンを近距離通信手段を用いて上流から下流に流していく機能を有するものであり、このようにトークンと近距離通信手段を利用することで、情報の受渡しが適正になされているかどうかを判断し、もって商品の履歴監視を適正に行えるようにするものである。
【0025】
<構成>
(携帯端末装置の構成の概念的な説明)
はじめに本発明の理解の容易のため、本発明の構成についての概念的な説明を図を用いて行う。図1は、本発明に係る携帯端末装置の構成の一例を示す概念図である。本図には、複数の「携帯端末装置」0100a〜0100eが示されている。これらは、いずれも商品流通過程における商品取引に際して流通履歴を記録するために用いるものである。これらの携帯端末装置は、専用の装置である必要はなく、市販の携帯電話機などを利用することも可能である。特に、市販の携帯電話機としてiPhone(登録商標)のような全世界で共通に使用可能なものを用いれば、流通過程における取引場所が全世界のどこであろうと本発明の携帯端末装置として使用することが可能となるため、グローバルな商品取引に際しての流通履歴の記録を好適に実現することができる。
【0026】
ここでは、商品名が「コシヒカリ」である商品(白米)が流通していく過程における流通履歴を記録する例で本装置の構成を説明する。この場合、流通過程に登場する取引者として、例えば本図に示すように、農家などの生産者0101、生産者から集荷する農協などの集荷者0102、集荷者から卸売りのために購入する卸売業者0103、卸売業者から小売りのために購入する小売業者0104、小売業者から購入する最終的な消費者0105といった主体が考えられる。そこで、これらの各主体がそれぞれ本発明に係る携帯端末装置0100a〜0100eを所持し、相互の取引の際に、当該携帯端末装置間で商品や業者を識別する情報をやりとりしていくといったケースを考える。
【0027】
この場合、まず生産者の段階で以後の受渡しの元になる情報が記録される。具体的には、本図に示すように、生産者0101によって所持される携帯端末装置0100aが、引き渡すべき商品を識別する情報(引渡商品識別情報)0131を記録する。この引渡商品識別情報の具体的な内容としては、例えば商品名や生産地、生産日時、出荷先などが挙げられる。また、商品の写真などを記録するようにしてもよい。この記録は、例えば、生産者が携帯端末装置にキー入力したり、携帯端末装置の撮影機能(カメラ機能)を用いて取得したり、他装置から情報をメールなどで受信したりすることにより行うことが可能である。
【0028】
また、この携帯端末装置0100aは、取引者当人を識別する情報(取引者当人識別情報)0110aとして、この携帯端末装置を利用する生産者を識別するための情報を保持する。この情報も、例えば、生産者が自己の住所、氏名等をキー入力したものを取得して保持してもよいし、あるいは、携帯端末装置を一意的に識別するための例えば機器製造番号などを利用してもよい。
【0029】
さらに、生産者の携帯端末装置にはトークン0121が保持される。トークンの詳細については後述するが、簡単にいえば、トークンとは情報送信権を化体した情報をいい、実体的な情報(本例で言えば引渡商品識別情報や取引者当人識別情報)を流す(送信する)際にこれに関連付けて流すことで、これらの情報が適正に受け渡されていることを担保するためのものである。本発明においては、引渡商品識別情報や取引者当人識別情報だけを受け渡すことはできず、これらがトークンと関連付けられてトークンと一緒に流された場合にはじめてこれらの情報を受け渡すことができる構成になっている。このようにトークンを利用して情報の受渡しが適正になされているかどうかという観点から商品の流通履歴を記録・監視することを可能にしたことが本発明の特徴である。
【0030】
次に、生産者の携帯端末装置が以上の情報を保持している状態を前提として、生産者の携帯端末装置から集荷者の携帯端末装置に対する情報の受渡しについて説明する。生産者と集荷者が取引を行う際には、生産者の携帯端末装置0100aから集荷者の携帯端末装置0100bに対して取引者当人識別情報0110aと引渡商品識別情報0131をトークン0121に関連付けて出力(送信)する。集荷者の携帯端末装置は出力された取引者当人識別情報と引渡商品識別情報をトークンに関連付けて取得(受信)する。なお、引渡商品識別情報は、集荷者側から見れば受け取るべき商品を識別する情報(受取商品識別情報)であるので、受取商品識別情報として取得される。また、取引者当人識別情報は、集荷者側から見れば上流に位置する取引者を識別する情報であるので、上流取引者識別情報として取得される。
【0031】
この情報の出力および取得(送受信)は両携帯端末装置が備える近距離通信手段0106a、0106bを利用して行う。近距離通信手段を用いた情報の出力・取得自体は公知技術を用いて実行可能であるが、本発明における近距離通信手段の好適な通信可能距離は十数cmから10m程度以下である。従って、生産者と集荷者は対面で取引を行うことが前提となる。つまり、対面取引の際に近距離内に位置する携帯端末装置の間でなければ情報の受渡しができないことが本装置のしくみとして必須の条件となる。このため、当該商品が実際に両当事者間で適正に取引されたものであることを流通履歴として記録することが可能となる。また、その際対面取引であることをより確実に担保するため、例えば両端末が取引の場において商品の画像(写真など)をそれぞれ撮影し、その撮影場所・撮影日時や撮影機器の識別情報とともに流通履歴として記録するようにしてもよい。
【0032】
また、両携帯端末装置は、それぞれ送受信した引渡商品識別情報・受取商品識別情報をネットワークを介して接続された外部管理装置のサーバに送信し、当該サーバが受信したこれら情報を閲覧可能に保持するようにしてもよい。このようにすることで、第三者が当該サーバにアクセスして情報を閲覧することが可能となり、また、それぞれの携帯端末装置の中だけに情報が記録される場合に比べて、情報の改ざんの危険性をより少なくすることが可能となる。かかる外部管理装置に送信する構成の詳細については、別の実施例にて後述する。
【0033】
図2は、図1と同様に本発明に係る携帯端末装置の構成の一例を示す概念図であり、図1を補足してするための図である。本図は、図1に示したうち、生産者の携帯端末装置0100aと集荷者の携帯端末装置0100bとの間での情報の受渡しの概要を、情報の具体的な内容の一例とともに示したものである。
【0034】
本図左側に示す生産者の携帯端末装置0200aは、引渡商品識別情報0231と、取引者当人識別情報0210aを保持している。また、これらの情報を受け渡すためのトークン0221も保持している。このうち、引渡商品識別情報としては、商品名「コシヒカリ」、生産地「○○県○○村」、生産日時「○年10月1日9時」、出荷量「100kg」、出荷先「○○農協」、商品の写真などが保持されている。また、取引者当人識別情報としては、当該携帯端末装置の製造番号である「A012」(説明の便宜のため、ごく簡単な例で示した)が保持されている。
【0035】
そこで、生産者と集荷者が対面取引を行う際に、生産者の携帯端末装置から集荷者の携帯端末装置に対して、上記の情報が受け渡される。具体的には、引渡商品識別情報と取引者当人識別情報が、トークンに関連付けられて集荷者の携帯端末装置に向けて受け渡される。この受渡しは近距離通信手段0206aを利用して行う(なお、本図に示した近距離通信手段もあくまで概念図として示したものであり、必ずしもその形状や取付け位置を示すものではない)。従って、近距離通信手段を用いて送信される情報は、本図中央にイメージ的に示したように、トークンに関連付けられた引渡商品識別情報および取引者当人識別情報ということになる。このとき、生産者の携帯端末装置は、例えば集荷者携帯端末装置の取引者当人識別情報を予め登録して保持しており、受け渡しの際に改めて集荷者の携帯端末装置から取引者当人識別情報を取得してこれが登録された集荷者のものと一致することを確認(認証)した上で、当該集荷者の携帯端末装置に情報を送信するようにしてもよい。このように構成することで、適正な取引者間でのみ商品履歴の受渡しがなされることがより一層確実となり、履歴情報の信頼性を高めるという本発明の目的をより好適に実現することが可能となる。
【0036】
一方、集荷者の携帯端末装置は、このようにして送信された情報、即ち、トークンに関連付けられた引渡商品識別情報と取引者当人識別情報とを近距離通信手段を用いて取得する。このとき、前述のように、引渡商品識別情報は集荷者側から見れば受取商品識別情報として、取引者当人識別情報は上流取引者識別情報として取得されることになる。受取商品識別情報に含まれる情報の中には、送信された情報をそのまま取得するものだけでなく、送信された情報とあらかじめ自身が保持する他の情報と照合して得られた新たな情報として取得するものが含まれていてもよい。例えば、集荷者の携帯端末装置があらかじめ他者の取引者識別情報とその情報によって識別される取引者の名称を対応付けたテーブルを保持しており、当該テーブルを参照することにより取得した上流取引者識別情報「A012」によって識別される取引者の名称が「甲山一郎」であることを検出し、この「甲山一郎」を受取商品識別情報のうちの入荷元を示す情報として取得するようにしてもよい。また、図示は省略したが、集荷者の携帯端末装置は、生産者の携帯端末装置から取得した情報に加え、自身が独自に取得した情報も合わせて保持するようにしてもよい。例えば、集荷者の携帯端末装置が備える撮影機能を用いて撮影した商品の写真を受取商品識別情報の一部として取得するようにしてもよい。集荷者の携帯端末装置は、このようにして取得した受取商品識別情報0222、上流取引者識別情報0220aを自身のメモリ等に保持する。
【0037】
以上が、生産者の携帯端末装置から集荷者の携帯端末装置への情報の受渡しの概要である。以後、集荷者の携帯端末装置から卸売業者の携帯端末装置への情報の受渡し、卸売業者の携帯端末装置から小売業者の携帯端末装置への情報の受渡しも同様の構成によって実行可能である。このようにして、集荷者・卸売業者間、卸売業者・小売業者間、小売業者・消費者間において順次同様の処理を行って流通履歴を記録することで、流通過程の全過程を通じてその商品の情報が適正に受け渡されたことを確実に知ることができ、これにより商品の流通履歴が適正であることを情報の受渡し面から担保することが可能となる。
【0038】
なお、流通履歴は携帯端末装置とネットワークを介して接続されている外部管理装置に対して携帯端末装置からアップロードして閲覧可能に保持させるようにしてもよい点は、卸売業者の携帯端末装置や小売業者の携帯端末装置においても同様である。
【0039】
(携帯端末装置の各部の構成)
(全般)
次に、携帯端末装置の各部の構成について説明する。図3は、本実施例の携帯端末装置の機能ブロックの一例を示す図である。本図に示すように、本実施例の「携帯端末装置」0300は、「取引者当人識別情報保持部」0310と、「トークン取得部」0320と、「引渡商品識別情報取得部」0330と、「トークン出力部」0340とを有する。
【0040】
(取引者当人識別情報保持部)
「取引者当人識別情報保持部」は、取引者当人を識別する情報である取引者当人識別情報を保持するように構成されている。「取引者当人」とは、当該携帯端末装置を利用している取引者をいう。前出の図1の例に即せば、例えば携帯端末装置0100aが保持する取引者当人識別情報にいう「取引者当人」は、この携帯端末装置を利用している生産者A0101である。
【0041】
取引者当人識別情報の具体的な内容としては、例えば、当該取引者の氏名、住所、電話番号、FAX番号、メールアドレスなどが該当する。また、当該取引者を一意的に識別するために付与された数字列、符号列などで表わされる業者IDなどであってもよい。さらに、携帯端末装置とこれを利用する取引者が一対一に対応している場合には、当該携帯端末装置を一意的に識別する数字列、符号列などで表わされる機器ID(例えば機器製造番号など)を取引者当人識別情報として利用してもよい。
【0042】
取引者当人識別情報を保持するための構成としては、例えば、当該情報が当該取引者の氏名、住所等や業者IDなどの場合には、取引者によるキー入力操作に基づいて取得した情報を保持する構成や、他の装置に保持されている情報をメール等によって受信して取得した情報を保持する構成が考えられる。また、取引者当人識別情報として機器製造番号などの機器IDを利用する場合には、予め携帯端末装置に記憶されている当該IDをそのまま利用して取引者当人識別情報として保持すればよい。
【0043】
取引者当人識別情報を保持する目的は、これをトークンと関連付けて下流に流すことができるようにすることにある。そして、後述するように、下流に流されるトークンが取引者当人識別情報と関連付けられていることで、商品が正しい履歴を有していることを判別することができるようになる。
【0044】
(トークン取得部)
「トークン取得部」は、上流取引者識別情報と受取商品識別情報とを上流から電子的に流されるトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して取得するように構成されている。
【0045】
「上流取引者識別情報」は、商品の受取に際して上流の取引者である上流取引者を識別する情報である。「商品」は、独立して取引の対象となるものをいい、農産物などの一次産品であるとこれらの加工品などの二次産品であるとを問わない。また、「上流取引者」とは、ある取引者から見て流通過程の流れにおける上流側に位置する取引者をいう。例えば、前出の図1でいえば、集荷者から見た生産者や、卸売業者から見た集荷者が該当する。
【0046】
「受取商品識別情報」は、上流取引者から受取る商品を識別する情報である。情報の種類は問わないので、テキスト情報、音声情報、画像情報などのいずれであってもよい。受取商品識別情報の具体例としては、図2を用いた説明の中でも述べたように、例えば、商品名(例えば「コシヒカリ」)、商品の生産地(例えば「○○県○○村」)、商品の生産日時(例えば「○年10月1日9時」)、出荷量(例えば「100kg」)、出荷先(例えば「○○農協」)、商品の写真などが挙げられる。
【0047】
「トークン」とは、情報送信権を化体した情報をいう。平たくいえば、ある実体的な情報を載せて上流から下流に流れていく情報であり、これが途中で途切れたり改ざんされたりすることなく順次受け渡されていくことで、商品の流通過程における流通履歴の適正を担保することを可能にするためのものである。本発明におけるトークンの特徴は、単にトークンを保持している主体だけが情報を送信できる(トークンは実体的な情報と一緒に流れていかなくてもよい)というのとは異なり、トークンが実体的な情報を載せた形でこの実体的な情報と一緒に流れていく点にある。本実施例では、トークンに載せられて流れていく実体的な情報は、上流取引者識別情報と受取商品識別情報であり、これらの情報に関連付けられたトークンが、後述のトークン出力部によって出力され(流され)、当該トークンが下流側の取引者の携帯端末装置が有するトークン取得部によって取得され、これが順次繰り返されてトークンが上流から下流に向かって流れていく。つまり本発明では、実体的な情報は各取引段階で新たな内容を付加することで変化するが、これに関連付けられるトークンは基本的には一つであり、この一つのトークンが上流から下流に向かって流れていくこととなる。このように本発明においては、引渡商品識別情報や取引者当人識別情報が必ずトークンと関連づけられて受け渡されように構成されるため、引渡商品識別情報や取引者当人識別情報だけを受け渡すことはできない構成になっている。
【0048】
このようにトークンは、実体的な情報とは別に、この実体的な情報の送信権を化体する情報であるから、トークンの情報内容には、実体的な内容が含まれる必要がない半面、送信権の存在を担保するための情報が含まれている必要がある。送信権の存在を担保するための情報としては、例えば、生産者の携帯端末装置であることを一意的に識別できる情報が考えられる。この場合、生産者が所持する携帯端末装置の機器製造番号などを利用することができ、これが取引者当人識別番号にも共通して用いられていてもよい。この生産者の携帯端末装置であることを一意的に識別できる情報が上流から下流に向かって流れていくことで、生産者からの正しい流れが保たれていることが保証される。トークンの情報内容の他の例としては、生産者が外部管理装置から発行を受けたIDなども考えられる。この場合、例えば生産者があらかじめ自己を識別するための情報(氏名、住所など)を外部管理装置に登録しておき、取引に際して必要なトークンの発行を要求する情報を自己の識別情報とともに外部管理装置に送信し、外部管理装置から認証を得て当該トークンを発行してもらうといった構成が考えられる。さらに、上流から下流に至るすべての取引者が予め登録されている場合(つまりはじめから取引者の範囲が有資格者に限定されている場合)には、トークンの情報内容をこれらすべての取引者それぞれの所持する携帯端末装置を識別するための情報とし、送信先がこれら携帯端末装置である場合には送信権があると判断される構成でもよい。
【0049】
トークンの取得は近距離通信手段を利用して行われる。その目的は、トークンおよび実体的な情報の受渡しを対面者間でしか行えないようにすることで、履歴情報の改ざんを防止することにある。「近距離通信手段」には、一般に近距離通信手段ないし短距離通信手段と呼ばれる数百メートル以内をカバーできるものがすべて含まれ、公知の手段を利用可能である。具体的には、NFC(登録商標)、Wibree(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信手段やIrDA(Infrared Data Association)などの赤外線通信手段が含まれる。
【0050】
ただし、上述のような近距離通信手段を利用する目的(トークンおよび実体的な情報の受渡しを対面者間でしか行えないようにすること)に照らせば、その通信距離は対面取引で通常データをやり取りすることが想定される距離に限られるものであることが望ましい。この点からは、NFC(通信距離十数cm程度以下)、IrDA(通信距離1m程度以下)、Wibree(通信距離10m程度以下)などが最も好適である。また、近距離通信手段は短いケーブル(好適には十数cm〜10m程度以下)で両携帯端末装置の端子間を接続して行う有線通信手段であってもよい。なお、本発明にいう「電子的に流される」とは、狭義の電子的方式に限られることなく、このほか磁気的方式その他の人の知覚によっては認識できない方式であってコンピュータによって処理可能な方法が広く含まれる。
【0051】
上流取引者識別情報と受取商品識別情報とをトークンと「関連付けて」取得するための構成としては、例えば、上流から上流取引者識別情報(流される際には取引者当人識別情報として流される)および受取商品識別情報(同じく引渡商品識別情報として流される)を流す際に、トークンに含まれる情報(例えば生産者が所持する携帯端末装置の機器製造番号)をこれらに含ませて流し、トークン取得部が、これを含む上流取引者識別情報および受取商品識別情報が当該トークンと関連付けられるべきものと判断して、これを関連付けて取得するといった構成が考えられる。また、単に同じ出力元から同時に流された上流取引者識別情報・受取商品識別情報とトークンとを関連付けて取得するようにしてもよい。取得したトークンは、携帯端末装置内で厳格に管理され、第三者によって不正な操作がなされないように保護される。このための具体的な構成としては公知技術を用いればよく、例えば、適正なパスワードが入力されない限り、メインメモリからトークンを読み出したり、内容を書き換えたり、消去したりすることができないようにしておけばよい。
【0052】
なお、本発明において、トークンと関連付けられて取得される受取商品識別情報の内容は、実際にその場において取引される商品と一致していることが原則である。つまり、図1などの例に即せば、実際に「コシヒカリ100kg」が出荷されるとともに、受取商品識別情報にも商品名「コシヒカリ」、出荷量「100kg」といった情報が含まれるので、受取商品識別情報を通じて「コシヒカリ100kg」が適正に取引されたことを確認できるわけである。しかし、万一何らかの原因で実際の商品と受取商品識別情報の内容が一致しないことも考えられる。例えば、出荷者は「コシヒカリ100kg」だと思って出荷しようとして、引渡商品識別情報も「コシヒカリ100kg」との内容で出力されたが、実際の商品は計量ミスで「コシヒカリ99kg」であったといったような場合である。
【0053】
そこで、このような場合にも本発明に係る携帯端末装置が目的とする機能(適正な流通履歴の記録・監視)を十分に発揮するため、下流側の取引者が入荷する際には検収(納品受領に先立って商品が契約内容に合致しているかどうか検査すること)を行った上で商品を受領するしくみを本発明の携帯端末装置に取り込むようにしてもよい。そのための具体的な構成としては、例えば、携帯端末装置が、商品情報を取得する手段(商品情報取得部)、商品情報と受取商品識別情報を比較する手段(比較部)およびトークン取得を制御する手段(制御部)を有しており、商品情報取得部が取得した商品情報(この取得は、例えば検査結果に基づいて入荷者が行ったキー入力(例えば、入荷者が実際に軽量したコシヒカリの重量が99kgであれば「99kg」と入力))と、受取商品識別情報(例えば「100kg」)を比較して、一致しない場合には、いったん取得した当該受取商品識別情報を出力元の携帯端末装置に返信し、改めて正しい引渡商品識別情報が送信されてこない限り、受取商品識別情報と上流取引者識別情報をトークンと関連付けて取得するという処理を完了させないという制御を行うといった構成が考えられる。
【0054】
(引渡商品識別情報取得部)
「引渡商品識別情報取得部」は、引渡商品識別情報を取得するように構成されている。「引渡商品識別情報」とは、下流の取引者に対して引渡すべき商品を識別する情報をいう。当該情報の具体的な内容としては、例えば、商品名(例えば「コシヒカリ」)、商品の生産地(例えば「○○県○○村」)、商品の生産日時(例えば「○年10月1日9時」)、入荷量(例えば「100kg」)、入荷元(例えば「甲山一郎」)、商品の写真などが挙げられる。これらの情報は、トークン取得部が上流取引者の携帯端末装置から受取商品識別情報として取得したものをそのまま用いてもよいが、独自に取得した情報をこれに加えてもよい。前出の図2を用いた説明において挙げた入荷元を示す情報はこの例である。また、携帯端末装置が備える撮影機能を用いて撮影した商品の写真などの画像を示す情報を取得してもよい。かかる例については別の実施例にて後述する。
【0055】
特に、取引者が商品を加工して出荷するような場合には、当該取引者の携帯端末装置が上流者の装置から取得した受取商品識別情報と当該取引者の装置から下流者の装置に出力される引渡商品識別情報は異なるものとなる。例えば、受取商品識別情報における商品名が原材料である「男爵いも」であり、引渡商品識別情報における商品名が加工食品である「マッシュドポテト」であるといったごときである。
【0056】
(トークン出力部)
「トークン出力部」は、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とをトークン取得部にて取得した上流から流されてきたトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力するように構成されている。「トークン出力部」が行う「出力」は、上述の「トークン取得部」が行う「取得」に対応するものである。つまり、上流の携帯端末装置のトークン出力部が取引者当人識別情報と引渡商品識別情報を関連付けて出力したトークンを、下流の携帯端末装置のトークン取得部が取引者当人識別情報と受取商品識別情報を関連付けて取得することとなり、トークンに関連付けられて上流側から出力される「引渡商品識別情報」が下流側では「受取商品識別情報」として取得されることとなる。「少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とを出力する」とは、このほかに上流取引者識別情報等を出力してもよいという意味である。
【0057】
(携帯端末装置の表示画面の一例)
ここで、以上の構成を用いて携帯端末装置間でトークンおよびこれを関連付けた情報のやりとりを行う場合の表示画面の一例について説明する。
【0058】
図4は、かかるやりとりを行う場合における携帯端末装置の表示画面の一例を示す図である。本図でも図1の例と同様、商品名が「コシヒカリ」である商品(白米)を取引する場合の例で説明することとし、流通過程のうち生産者から集荷者に対して商品が受け渡される場面の例で説明することとする。
【0059】
図4(a)は、生産者側の携帯端末装置の表示画面の一例である。ここでは、トークンおよびこれを関連付けた情報の出力を行う際に遷移する代表的な画面を時間の順序に従って示した。左の画面は、携帯端末装置0400aの表示部0400a´に入荷・出荷の選択を行うためのアイコン等を表示したもので、例えばこれが初期画面として表示されるように設定されていてもよい。ここで出荷を行うことを選択した生産者によって「出荷する」のアイコンがタッチされると、携帯端末装置の表示画面は中央の画面に遷移する。ここでは、出荷する商品を選択するための画面が表示される。本図では、表示部上半に商品の種類を選択するための表示部分が現れ、これを左右に移動させて「白米」が表示された状態が示されている。このとき、表示部下半には商品「白米」に属する商品名が複数表示される。ここで出荷する商品名として「コシヒカリ」を選択した生産者によって「コシヒカリ」と表示されている部分がタッチされると、携帯端末装置の表示画面は右の画面に遷移する。ここでは、出荷する量を選択するための画面が表示される。本図では、表示部左半に数値、右半に単位をそれぞれ選択するための表示部分が現れ、これをそれぞれスクロールさせて「100kg」が表示された状態が示されている。そこで、生産者によって「100kg」と表示されている部分がタッチされると、表示画面はさらに別の画面に遷移する(本図は代表的な画面を示したものなので図示を省略した)。別の画面は、例えば、出荷先を選択する画面や、商品の写真を撮影した場合に当該写真を表示する画面などが考えられる。そして、すべての選択を終えると、表示画面は左の画面に戻り、ここで「出荷する」を再度タッチすると入力された内容に従った引渡商品識別情報が取引者当人識別情報とともにトークンに関連付けられて出力される。
【0060】
図4(b)は、集荷者側の携帯端末装置の表示画面の一例である。ここでも、トークンおよびこれを関連付けた情報の取得を行う際に遷移する代表的な画面を時間の順序に従って示した。左の画面は、携帯端末装置0400bの表示部0400b´に入荷・出荷の選択を行うためのアイコン等を表示したもので、当該部分は(a)に示した左の画面と同一の画面である。ここで入荷を行うことを選択した集荷者によって「入荷する」のアイコンがタッチされると、携帯端末装置の表示画面は中央の画面に遷移する。ここでは、入荷する商品を確認するための画面が表示される。本図では、出荷者である生産者の携帯端末装置から取得したされた受取商品識別情報に含まれる商品名「コシヒカリ」、入荷量「100kg」がそのまま表示されるとともに、取得した上流取引者識別情報を予め保持する取引者名と識別情報を対応付けたテーブルを参照するなどして得られた入荷元「甲山一郎」が表示されている。ここでこれらの内容に間違いがないことを確認した集荷者によって画面下の方にある「入荷OK」と表示されている部分がタッチされると、携帯端末装置の表示画面は右の画面に遷移する。ここでは、取引者を連結するための画面が表示される。本図では、最初の取引者である生産者がその氏名・名称とともに「01 甲山一郎」として表示され、次いで、これに連結された状態で次の取引者である集荷者がその氏名・名称とともに「02 ○○農協」として表示される。
【0061】
なお、本例ではまだ最初の二取引者しか登場していないが、その後の取引においては、本画面を上にスクロールさせることにより過去の取引に遡ってすべての取引者を表示させることもできるようになっている。そこで、集荷者によって「02 ○○農協」と表示されている部分がタッチされると、表示画面はさらに別の画面に遷移する(本図も代表的な画面を示したものなので図示を省略した)。別の画面は、例えば、商品の写真を撮影した場合に当該写真を表示する画面などが考えられる。そして、すべての確認を終えると、表示画面は左の画面に戻り、ここで「入荷する」を再度タッチすると入力された内容に従った受取商品識別情報が上流取引者識別情報とともにトークンに関連付けられて取得される。
【0062】
(ハードウェア構成)
次に、本実施例の携帯端末装置のハードウェア構成について説明する。
図5は、本実施例の携帯端末装置のハードウェア構成の一例を示す概略図である。本図に示すように、本例の携帯端末装置の取引者当人識別情報保持部と、引渡商品識別情報取得部は、「CPU」0501と、「記憶装置」0502と、「メインメモリ」0503と、「I/O」0504とから構成される。トークン取得部と、トークン出力部とは、「CPU」と、「記憶装置」と、「メインメモリ」と、「I/O」と、「I/O」に接続された「近距離通信手段」0505とから構成される。これらは「システムバス」0506などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。記憶装置はCPUによって実行される各種プログラムなどを記憶している。またメインメモリは、プログラムがコンピュータに処理を実行させる際の作業領域であるワーク領域を提供する。また、このメインメモリや記憶装置にはそれぞれ複数のメモリアドレスが割り当てられており、プログラムは、そのメモリアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、コンピュータに処理を実行させることが可能になっている。
【0063】
このプログラムは、例えば、携帯端末装置にダウンロードされるプログラムであって、取引者当人を識別する情報である取引者当人識別情報を保持する処理と、商品の受取に際して上流の取引者である上流取引者を識別する上流取引者識別情報と上流取引者から受取る商品を識別する情報である受取商品識別情報とを上流から電子的に流されるトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して取得する処理と、下流の取引者に対して引渡すべき商品を識別する引渡商品識別情報を取得する処理と、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とをトークン取得部にて取得した上流から流されてきたトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する処理とをコンピュータに実行させるプログラムである。
【0064】
また、このプログラムはそれぞれの処理を実行させるためのサブプログラムによって構成されていてもよい。この場合、サブプログラムは上記それぞれの処理に対応して、取引者当人識別情報保持プログラムと、トークン取得プログラムと、引渡商品識別情報取得プログラムと、トークン出力プログラムとであり、これらのプログラムが記憶装置に記憶され、例えば電源投入とともに自動的に記憶装置から読み出されてメインメモリに常駐する。
【0065】
次に、取引者当人識別情報保持部の構成について説明する。取引者当人識別情報保持プログラムは、取引者当人識別情報を記憶装置に保持する処理をコンピュータに実行させる。この取引者当人識別情報は、例えば取引者によってなされた携帯端末装置のキー操作に基づいて受け付けた入力信号に含まれる取引者の住所、氏名等の情報を取得して保持するものであってもよいし、携帯端末装置の工場出荷時に組み込まれた機器製造番号等の情報を保持するものであってもよい。
【0066】
次に、トークン取得部の構成について説明する。トークン取得プログラムは、商品の受取に際して上流取引者を識別する情報と、上流取引者から受取る商品を識別する情報とを上流から電子的に流されるトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して取得する処理をコンピュータに実行させる。具体的には、上流取引者によって利用される携帯端末装置のトークン出力部が当該装置のI/Oに接続された近距離通信手段を利用して出力したトークンおよびこれに関連付けられている上流取引者識別情報と受取商品識別情報(出力の際は引渡商品識別情報として出力される)とを近距離通信手段およびI/Oを介して取得し、メインメモリのデータ領域に格納するとの処理を行わせる。
【0067】
次に、引渡商品識別情報取得部の構成について説明する。引渡商品識別情報取得プログラムは、引渡商品識別情報を取得する処理をコンピュータに実行させる。
【0068】
次に、トークン出力部の構成について説明する。トークン出力プログラムは、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とをトークン取得部にて取得した上流から流されてきたトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する処理とをコンピュータに実行させる。具体的には、トークン取得部が携帯端末装置のI/Oに接続された近距離通信手段を利用して取得したトークンおよびこれに関連付けられている情報のうち少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報(取得の際は受取商品識別情報として取得されたもの)とをI/Oおよび近距離通信手段を介して出力するとの処理を行わせる。
【0069】
<処理の流れ>
図6は、本実施例の携帯端末装置における処理の流れの一例を示す図である。本実施例における処理の流れは以下のステップからなる。
【0070】
まず、取引者当人識別情報の取得ステップS0601において、携帯端末装置は、取引者当人を識別する情報である取引者当人識別情報を取得して保持する。
【0071】
次に、トークン取得ステップS0602において、携帯端末装置は、上流取引者識別情報と受取商品識別情報とをトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して取得する。
【0072】
次に、引渡商品識別情報取得ステップS0603において、携帯端末装置は、引渡商品識別情報を取得する。
【0073】
次に、トークン出力ステップS0604において、携帯端末装置は、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とをトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する。
【0074】
なお、携帯端末装置が流通過程の途中に位置している場合(例えば、図1の例で言えば集荷者、卸売業者、小売業者の携帯端末装置の場合)には以上のステップをすべて備えるのに対し、携帯端末装置が流通過程の最上流に位置している場合(同じく生産者の携帯端末装置の場合)には、ステップS0602を欠いた処理を行う。即ち、ステップS0601、S0603、S0604の順に処理を行う。また、携帯端末装置が流通過程の最下流に位置している場合(同じく消費者の携帯端末装置の場合)には、ステップS0603、S0604を欠いた処理を行う。即ち、ステップS0601、S0602の順にこれらの処理だけを行う。
【0075】
<効果>
本実施例の発明により、流通過程における商品データの改ざんなどを防止することが可能な流通履歴記録のしくみを、データの実体的な内容の管理だけではなく、取引者間におけるデータの受渡し方法についてもデータの改ざん等が困難なものとすることができるように構築し、もってデータの信頼性を高めることができ、しかもこれを低コストで簡単に実現することが可能なしくみを提供することができる。
【実施例2】
【0076】
<概要>
本実施例の携帯端末装置は、実施例1の携帯端末装置と基本的に共通するが、上流から受取った商品を複数の下流取引者に引渡す場合に取得したトークンを分割した分割トークンを生成するための手段と、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とを生成した分割トークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する手段をさらに有することを特徴とするものである。本実施例は、例えば、加工業者が大量に加工した製品を複数の小売店に納める場合などのように、複数の下流取引者に商品を引き渡す場合に対応するためのものである。
【0077】
<構成>
(全般)
図7は、本実施例の携帯端末装置の機能ブロックの一例を示す図である。本図に示すように、本実施例の「携帯端末装置」0700は、「取引者当人識別情報保持部」0710と、「トークン取得部」0720と、「引渡商品識別情報取得部」0730と、「トークン出力部」0740と、「分割トークン生成部」0750と、「分割トークン出力部」0760とを有する。以下、「分割トークン生成部」と「分割トークン出力部」の構成について説明する。その余の各部の構成は実施例1の携帯端末装置と同様であるから、説明を省略する。
【0078】
(分割トークン生成部)
「分割トークン生成部」は、上流から受取った商品を複数の下流取引者に引渡す場合に取得したトークンを分割した分割トークンを生成するための手段である。
【0079】
トークンを分割する目的は、上流から受取った商品を複数の下流取引者に引き渡す場合には、引渡商品識別情報を複数の下流取引者に向けて下流に流す必要があり、これに伴ってトークンも引渡商品識別情報に応じた複数を流す必要があるためである。かかる必要がある具体的な場合として、例えば、加工業者が大量に加工した製品を複数の小売店に納める場合などが考えられる。
【0080】
この場合、上流から流されるトークンの数は典型的には単数である。つまり、上流から単数のトークンを取得して複数に分割して下流に流すというのが典型例である。ただし、上流から流されるトークンの数は、下流に流すトークンの数より少なければ複数であってもよい。例えば、上流から2個のトークンを取得し、これを4個に分割して下流に流すといったごときである。
【0081】
ここで「分割」といっているが、分割後の各トークンは分割前のトークンと完全に同一のものであり、分割前のトークンと分割後のトークンに関連付けられている情報の内容は同一である。即ち、1個のトークンを不完全な数個の部分に分ける(これら不完全な数個を合わせた時にはじめて1個のトークンが出来上がる)のではなく、いわば同一のトークンを新たに生成するということである。従って、トークンの分割方法としては、例えば、トークンをコピーするという方法が考えらえる。
【0082】
(分割トークン出力部)
「分割トークン出力部」は、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とを分割トークン生成部にて生成した分割トークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力するように構成されている。「少なくとも」とは、上流取引者識別情報等を含んでもよいという意味である。この場合、分割トークンのそれぞれが取引者当人識別情報および引渡商品識別情報と関連付けられることになるため、取引者当人識別情報および引渡商品識別情報も分割トークンと同数だけ生成される。出力そのものの構成は、すでに述べたトークン出力部の構成と共通する。
【0083】
(ハードウェア構成)
次に、本実施例の携帯端末装置のハードウェア構成について説明する。
図8は、本実施例の携帯端末装置のハードウェア構成の一例を示す概略図である。本図に示すように、本例の携帯端末装置の分割トークン生成部は、「CPU」0801と、「記憶装置」0802と、「メインメモリ」0803とから構成される。分割トークン出力部は、「CPU」と、「記憶装置」と、「メインメモリ」と、「I/O」0804と、「I/O」に接続された「近距離通信手段」0805とから構成される。これらは「システムバス」0806などのデータ通信経路によって相互に接続される。
【0084】
以下、分割トークン生成部と分割トークン出力部の構成について説明する。その余の各部の構成は実施例1で述べたところと共通するので、ここでは説明を省略する。
【0085】
まず、分割トークン生成部については、分割トークン生成プログラムが、分割トークンを生成する処理をコンピュータに実行させる。具体的には、前実施例で説明した構成に従いトークン取得プログラムが取得してメインメモリに格納されたトークンを読み出し、これをコピーするとの処理を行わせる。その際、取引者当人識別情報および引渡商品識別情報もコピーする処理がなされる。コピーされた分割トークン、取引者当人識別情報および引渡商品識別情報は、例えば、それぞれ一つずつを含むものを一組として、メインメモリのデータ領域の同じメモリアドレスの領域に格納される。
【0086】
次に、分割トークン出力部については、分割トークン出力プログラムが、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とを分割トークン生成部にて生成した分割トークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する処理とをコンピュータに実行させる。具体的には、当該プログラムが、例えば、メインメモリの同じメモリアドレスに格納されている分割トークン、取引者当人識別情報および引渡商品識別情報を一組として、携帯端末装置のI/Oに接続された近距離通信手段を介して出力するとの処理を行わせる。
【0087】
<処理の流れ>
図9は、本実施例の携帯端末装置における処理の流れの一例を示す図である。本図に示す処理の流れのうち、ステップS0901からステップS0903までは、前実施例で図6を用いて説明した処理の流れのうちのステップS0601からステップS0603までと共通する。
【0088】
次に、下流取引者は複数か否かの判断ステップS0904において、携帯端末装置は、引渡商品識別情報の取得ステップS0903において取得した引渡商品識別情報の出力先である下流取引者が複数か否かを判断する。この判断は、例えば、引渡商品識別情報に含まれる「出荷先」が複数か存在するどうかを読み取ることで可能である。
【0089】
当該判断ステップS0904において下流取引者が複数であると判断された場合、分割トークンの生成ステップS0905に進み、当該ステップS0905において、携帯端末装置は、分割トークンを生成する。
【0090】
次に、分割トークン出力ステップS0906において、携帯端末装置は、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とを前記分割トークン生成ステップS0905にて生成した分割トークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する。
【0091】
一方、前記判断ステップS0904において下流取引者が複数でないと判断された場合には、トークン出力ステップS0907に進み、携帯端末装置は当該ステップにおける処理を行う。この処理内容は、図6に示したトークン出力ステップS0604における処理内容と共通する。
【0092】
<効果>
本実施例の発明により、例えば加工業者が大量に加工した製品を複数の小売店に納める場合などのように、複数の下流取引者に商品を引き渡す場合においても、流通過程における商品データの改ざんなどを防止することが可能な流通履歴記録のしくみを低コストで簡単に実現することが可能となる。
【実施例3】
【0093】
<概要>
本実施例の携帯端末装置は、実施例1の携帯端末装置と基本的に共通するが、複数の上流取引者から受取った商品を下流取引者に引渡す場合に取得したトークンを結合した結合トークンを生成するための手段と、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とを生成した結合トークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する手段をさらに有することを特徴とするものである。本実施例は、例えば、複数の原材料供給業者から加工業者が原材料を仕入れる場合などのように、複数の上流者から下流者に商品が流れる場合に対応するためのものである。
【0094】
<構成>
(全般)
図10は、本実施例の携帯端末装置の機能ブロックの一例を示す図である。本図に示すように、本実施例の「携帯端末装置」1000は、「取引者当人識別情報保持部」1010と、「トークン取得部」1020と、「引渡商品識別情報取得部」1030と、「トークン出力部」1040と、「結合トークン生成部」1070と、「結合トークン出力部」1080とを有する。以下、「結合トークン生成部」と「結合トークン出力部」の構成について説明する。その余の各部の構成は実施例1の携帯端末装置と同様であるから、説明を省略する。
【0095】
(結合トークン生成部)
「結合トークン生成部」は、複数の上流取引者から受け取った商品を下流取引者に引渡す場合に取得した複数のトークンを結合した結合トークンを生成するための手段である。
【0096】
トークンを結合する目的は、複数の上流取引者から受取った商品をこれより少数の下流取引者に引き渡す場合には、引渡商品識別情報を取得した数よりも少ない数だけ下流取引者に流すことになるため、これに伴ってトークンも引渡商品識別情報に応じた数を流す必要があるためである。かかる必要がある具体的な場合として、例えば、複数の原材料供給業者から加工業者が原材料を仕入れて加工し、加工した商品を単数の卸売業者に引き渡す場合などが考えられる。
【0097】
この場合、下流に流されるトークンの数は典型的には単数である。つまり、上流から複数のトークンを取得して一つに結合して下流に流すというのが典型例である。ただし、下流に流されるトークンの数は、上流から取得したトークンの数より少なければ複数であってもよい。例えば、上流から4個のトークンを取得し、これを2個に結合して下流に流すといったごときである。
【0098】
ここで「結合」といっているが、結合後のトークンは結合前の複数のトークンのそれぞれと完全に同一のものであり、結合前のトークンと結合後のトークンに関連付けられている情報の内容は同一である。即ち、複数のトークンを足し合わせて大きなトークンを作る(結合前のトークンの複数倍の情報内容をもつ1個のトークンを作る)のではなく、いわば複数のトークンの数を減らすということである。従って、トークンの結合方法としては、例えば、複数のトークンの一部を削除するという方法が考えらえる。
【0099】
(結合トークン出力部)
「結合トークン出力部」は、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とを結合トークン生成部にて生成した結合トークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力するように構成されている。「少なくとも」の意味は前実施例で分割トークン出力部について説明したところと同様である。この場合、結合トークンのそれぞれが取引者当人識別情報および引渡商品識別情報と関連付けられることになるため、取引者当人識別情報および引渡商品識別情報も結合トークンと同数だけ生成される。出力そのものの構成は、すでに述べたトークン出力部の構成と共通する。
【0100】
(ハードウェア構成)
次に、本実施例の携帯端末装置のハードウェア構成について説明する。
図11は、本実施例の携帯端末装置のハードウェア構成の一例を示す概略図である。本図に示すように、本例の携帯端末装置の結合トークン生成部は、「CPU」1101と、「記憶装置」1102と、「メインメモリ」1103とから構成される。結合トークン出力部は、「CPU」と、「記憶装置」と、「メインメモリ」と、「I/O」1104と、「I/O」に接続された「近距離通信手段」1105とから構成される。これらは「システムバス」1106などのデータ通信経路によって相互に接続される。
【0101】
以下、結合トークン生成部と結合トークン出力部の構成について説明する。その余の各部の構成は実施例1で述べたところと共通するので、ここでは説明を省略する。
【0102】
まず、結合トークン生成部については、結合トークン生成プログラムが、結合トークンを生成する処理をコンピュータに実行させる。具体的には、前実施例で説明した構成に従いトークン取得プログラムが取得してメインメモリに格納されたトークンを読み出し、この一部を削除するとの処理を行わせる。その際、取引者当人識別情報および引渡商品識別情報もこれに合わせた数だけ生成するという処理がなされる。削除されずに残された結合トークン、これに合わせて生成された取引者当人識別情報および引渡商品識別情報は、例えば、それぞれ一つずつを含むものを一組として、メインメモリのデータ領域の同じメモリアドレスの領域に格納される。
【0103】
次に、結合トークン出力部については、結合トークン出力プログラムが、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とを結合トークン生成部にて生成した結合トークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する処理とをコンピュータに実行させる。具体的には、当該プログラムが、例えば、メインメモリの同じメモリアドレスに格納されている結合トークン、取引者当人識別情報および引渡商品識別情報を一組として、携帯端末装置のI/Oに接続された近距離通信手段を介して出力するとの処理を行わせる。
【0104】
<処理の流れ>
図12は、本実施例の携帯端末装置における処理の流れの一例を示す図である。本図に示す処理の流れのうち、ステップS1201、ステップS1202は、前実施例で図6を用いて説明した処理の流れのうちのステップS0601、ステップS0602と共通する。
【0105】
次に、次回に取得すべきトークンがあるか否かの判断ステップS1203において、携帯端末装置は、当該判断を行う。この判断は、例えば、当該携帯端末装置がさらに別の携帯端末装置から受け付けたトークンの出力信号を受け付けたかどうかをみることで可能である。そして、当該判断ステップS01203において次回に取得すべきトークンがあるとの判断結果が得られた場合、トークン取得(N回目)ステップS1204(「N」は2以上の整数)において、携帯端末装置はさらにトークンを取得する。次に、携帯端末装置は、さらに次回に取得すべきトークンがあるか否かの判断を行い、あるとの判断結果が得られる限りトークンの取得を繰り返す(ステップS1205、S1203、S1204)。
【0106】
前記判断ステップS1203においてもはや次に取得すべきトークンがないと判断された場合には、結合トークンの生成ステップS1206に進み、携帯端末装置は、当該ステップにおいて、それまでに取得したトークンを結合した結合トークンを生成する。
【0107】
次に、結合トークン出力ステップS1207において、携帯端末装置は、少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とを前記結合トークン生成ステップS1206にて生成した結合トークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する。
【0108】
<効果>
本実施例の発明により、例えば加工業者が大量に加工した製品を複数の小売店に納める場合などのように、複数の下流取引者に商品を引き渡す場合においても、流通過程における商品データの改ざんなどを防止することが可能な流通履歴記録のしくみを低コストで簡単に実現することが可能となる。
【実施例4】
【0109】
<概要>
本実施例の携帯端末装置は、実施例1などの携帯端末装置と基本的に共通するが、取引される商品の画像を撮影するための手段をさらに有し、トークン出力部が、さらに撮影された画像をトークンと関連付けて出力する手段を有することを特徴とするものである。
【0110】
<構成>
図13は、本実施例の携帯端末装置の機能ブロックの一例を示す図である。本図に示すように、本実施例の「携帯端末装置」1300は、「取引者当人識別情報保持部」1310と、「トークン取得部」1320と、「引渡商品識別情報取得部」1330と、「トークン出力部」1340と、「撮影部」1390とを有する。また、「トークン出力部」は、「画像付出力手段」1341を有する。なお、本図では図示を省略したが、本実施例の携帯端末装置は、「分割トークン生成部」と「分割トークン出力部」をさらに有していてもよいし、または、これらに加え、あるいはこれらに代えて「結合トークン生成部」と「結合トークン出力部」をさらに有していてもよい。以下、「撮影部」と「トークン出力部」の構成について説明する。その余の各部の構成は実施例1などの携帯端末装置と同様であるから、説明を省略する。
【0111】
(撮影部)
「撮影部」は、取引される商品の画像を撮影するための手段である。具体的には、例えば携帯端末装置に備えられたカメラが該当する。この場合、携帯端末装置が市販の携帯電話機である場合にこれに備えられたカメラを利用するものであってもよい。
【0112】
撮影部を備える目的は、取引の場において商品の写真などの画像(静止画でも動画でもよい)を撮影し、その撮影場所・撮影日時や撮影機器の識別情報とともに流通履歴として記録することで、当該商品が実際に両当事者間で適正に取引されたものであることを流通履歴として記録できるようにするためである。前述のように、本発明の携帯端末装置は、近距離通信手段で情報の受渡しをするように構成されていることで対面取引の際に近距離内に位置する携帯端末装置の間でなければ情報の受渡しができないことが必須の条件となるとなるように構成されているので、かかる撮影機能を利用することで、このことを一層確実に担保できることになる。撮影場所に関する情報の記録は、例えば携帯端末装置が備えるGPS機能を用いればよい。以上の構成により、例えば商品の引渡側、受取側双方がそれぞれ撮影した写真を比較したり、双方に記録された撮影場所の情報を比較したりすることで、受け渡された情報の信ぴょう性を確認することが可能となる。
【0113】
この撮影は、上流者が商品を引き渡す際に当該商品の画像を撮影して他の引渡商品識別情報とともに下流者の携帯端末装置に受け渡すという場面でなされてもよいし、下流者が商品を受け取る際に自身も当該商品の画像を撮影するという場面でなされてもよい。後者の場合には、当該画像情報をいったん保存しておき、後刻自身の下流者に商品を引き渡す際に当該下流者の携帯端末装置に対して出力してもよいし、画像撮影時に外部管理装置にアップロードする形で出力してもよい。
【0114】
さらに、本実施例の携帯端末装置は、この撮影部を用いて商品の画像を記録しないと情報受渡しにおける次の処理手順に進むことができないように構成されていることが望ましい。このための具体的な構成としては、例えば、本装置が撮影部が商品の画像を記録したかどうかを判断する手段を有し、利用者によって情報を出力するための操作がなされた場合には当該判断ステップにおいてこの判断を行い、記録していないと判断した場合は、情報の出力をしないとの処理を行うようにすることが考えられる。
【0115】
(ハードウェア構成)
次に、本実施例の携帯端末装置のハードウェア構成について説明する。図14は、本実施例の携帯端末装置のハードウェア構成の一例を示す概略図である。本図に示すように、本例の携帯端末装置の撮影部は、「CPU」1401と、「記憶装置」1402と、「メインメモリ」1403と、「I/O」1404と、「I/O」に接続された「カメラ」1406とから構成される。画像付出力手段を含むトークン出力部は、「CPU」と、「記憶装置」と、「メインメモリ」と、「I/O」と、「I/O」に接続された「近距離通信手段」1405とから構成される。これらは「システムバス」1407などのデータ通信経路によって相互に接続される。
【0116】
以下、撮影部の構成について説明する。なお、画像付出力手段を含むトークン出力部の構成は、出力に係る構成自体は実施例1で述べたトークン出力部の構成と共通するので、ここでは説明を省略する。また、その余の各部の構成も実施例1で述べたところと共通するので説明を省略する。
【0117】
撮影部については、撮影プログラムが、取引される商品の画像を撮影する処理をコンピュータに実行させる。具体的には、利用者の画像撮影のための操作(例えば、シャッターボタンの押下)に基づく入力信号を受け付けて、当該画像の撮影処理を行い、撮影した画像をメインメモリに格納するとの処理を行わせる。
【0118】
<処理の流れ>
図15は、本実施例の携帯端末装置における処理の流れの一例を示す図である。本図に示す処理の流れのうち、ステップS1501からステップS1503までは、実施例1で図6を用いて説明した処理の流れのうちのステップS0601からステップS0603までと共通する。
【0119】
次に、取引される商品の画像の撮影ステップS01504において、携帯端末装置は、利用者の操作などに基づいて当該商品の画像を撮影する。
【0120】
さらに、トークン出力ステップS1505において、携帯端末装置は、少なくとも取引者当人識別情報、引渡商品識別情報および商品の画像をトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する。なお、本図には示されていないが、トークン取得ステップS1502における処理に続いて、商品の画像の撮影を行い(ステップS1504)、いて撮影した商品の画像を受取商品識別情報などとともに外部管理装置に出力するようにしてもよい。
【0121】
<効果>
本実施例の発明により、取引の場において商品の画像(写真など)を撮影し、その撮影場所・撮影日時や撮影機器の識別情報とともに流通履歴として記録することで、当該商品が実際に両当事者間で適正に取引されたものであることを流通履歴として記録できるようにすることが可能となる。
【実施例5】
【0122】
<概要>
本実施例は、携帯端末装置と外部管理装置とからなる流通履歴記録システムに関するものである。ここでの携帯端末装置は、実施例1などの携帯端末装置と基本的に共通するが、トークン取得部での取得結果を取引者当人識別情報と関連付けた情報である履歴情報として外部管理装置に対して出力するための手段をさらに有するものである。また、外部管理装置は携帯端末装置から出力された履歴情報を取得する手段と、これを記録する手段を有するものである。このように携帯端末装置から外部管理装置に履歴情報をアップロードすることで、当該情報を他者が閲覧することが可能となる。
【0123】
<構成>
はじめに本実施例の流通履歴記録システムを構成する携帯端末装置について説明し、その後に外部管理装置を含む流通履歴記録システムの構成について説明する。
【0124】
(携帯端末装置)
図16は、本実施例の携帯端末装置の機能ブロックの一例を示す図である。本図に示すように、本実施例の「携帯端末装置」1600は、「取引者当人識別情報保持部」1610と、「トークン取得部」1620と、「引渡商品識別情報取得部」1630と、「トークン出力部」1640と、「履歴情報出力部」1691とを有する。また、本実施例の携帯端末装置には、以上の構成に加え、さらに「出力結果出力部」を有するものも含まれる。携帯端末装置が出力結果出力部を備える構成については後述する。なお、本実施例の携帯端末装置は、このほか分割トークン生成部および分割トークン出力部、結合トークン生成部および結合トークン出力部、または撮影部およびトークン出力部の画像付出力手段のうち、少なくとも一つをさらに有していてもよい。以下では、これらの構成のうち「履歴情報出力部」と「出力結果出力部」の構成について説明する。その余の各部の構成は実施例1などの携帯端末装置と同様であるから、説明を省略する。
【0125】
(履歴情報出力部)
「履歴情報出力部」は、トークン取得部での取得結果を取引者当人識別情報と関連付けた情報である履歴情報として外部管理装置に対して出力するための手段である。「外部管理装置」は、後述するように携帯端末装置とともに流通履歴記録システムを構成する装置であり、例えばネットワークを介して携帯端末装置と接続されたサーバである。
【0126】
「トークン取得部での取得結果」は、トークン取得部の構成のところで述べたように、受取商品識別情報と上流取引者識別情報とをトークンによって関連付けたものである。
【0127】
この履歴情報を外部管理装置に出力することの意義は、第一に、第三者が当該サーバにアクセスして情報を閲覧することを可能にすることにある。この場合の「第三者」とは、不特定多数の者であってもよいし、予め登録されるなどによりアクセス権を付与された者だけであってもよい。第二に、この意義は、履歴情報がそれぞれの携帯端末装置の中だけに記録される場合に比べて、情報の改ざんの危険性をより少なくすることを可能にすることにある。即ち、この構成によれば履歴情報が各携帯端末装置の中と外部管理装置のサーバ上の両方に記録されるため、たとえ一方だけを改ざんできたとしても、両方を改ざんしない限り当該履歴情報が一致しないことでこの履歴情報の信ぴょう性を疑うことが可能となるため、記録されている情報の信頼性を一層増すことができる。
【0128】
(出力結果出力部)
「出力結果出力部」は、トークン出力部での出力結果を取引者当人識別情報と関連付けて外部管理装置に対して出力するための手段である。
【0129】
図17は、本実施例の携帯端末装置の機能ブロックの別の一例を示す図であって、「携帯端末装置」1700が図16に示した構成に加え「出力結果出力部」1792をさらに有する例を示すものである。なお、本実施例の携帯端末装置も、このほか分割トークン生成部および分割トークン出力部、結合トークン生成部および結合トークン出力部、または撮影部およびトークン出力部の画像付出力手段のうち、少なくとも一つをさらに有していてもよい点は、図16に示した携帯端末装置の場合と同様である。
【0130】
(履歴情報記録システム)
次に、以上に説明した携帯端末装置と外部管理装置を有する履歴情報記録システムの構成について説明する。図18は、本実施例の履歴情報記録システムの機能ブロックの一例を示す図である。本実施例の「履歴情報記録システム」1893は、「携帯端末装置」1800と「外部管理装置」1807とを有する。なお、携帯端末装置は通例複数存在し、一の携帯端末装置のトークン出力部から出力された引渡商品識別情報等は他の携帯端末装置のトークン取得部によって取得される(本図では、一の携帯端末装置1800と他の携帯端末装置1800´とを示した)。このうち、携帯端末装置の構成は本実施例ですでに説明したところと共通するので説明を省略し、以下では外部管理装置の構成について説明する。
【0131】
(外部管理装置)
「外部管理装置」は、「履歴情報取得部」1808と、「履歴情報記録部」1809とを有する。「履歴情報取得部」は、携帯端末装置の履歴情報出力部から出力された履歴情報を取得するように構成されている。また、「履歴情報記録部」は、取得した履歴情報を記録するように構成されている。なお、本図には示されていないが、携帯端末装置が出力結果出力部を有する場合には、外部管理装置が当該出力結果を取得する手段(出力結果取得部)および取得した出力結果を記録する手段(出力結果記録部)を有していてもよい。
【0132】
外部管理装置の目的は、すでに言及したように、第一に、第三者がアクセスして情報を閲覧することを可能にすることにあり、第二に情報の改ざんの危険性をより少なくすることにある。前者の目的に照らせば、外部管理装置は、閲覧の便宜に資するため、取得した情報(履歴情報またはこれに加え出力結果)を整理して開示できるための編集手段(履歴情報編集部など)を有していることが望ましい。この編集内容の具体例としては、例えば、取得した履歴情報をトークンの受渡し経路に従って並べ、すべてを一覧できるように編集するといったことが挙げられる。
【0133】
<効果>
本実施例の発明により、第三者がアクセスして履歴情報を閲覧することが可能になるとともに、情報の改ざんの危険性をより少なくすることが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から下流に向けて商品を流通する流通経路での商品の取引に際して流通履歴を記録するために用いる携帯端末装置であって、
取引者当人を識別する情報である取引者当人識別情報を保持する取引者当人識別情報保持部と、
商品の受取に際して上流の取引者である上流取引者を識別する上流取引者識別情報と、上流取引者から受取る商品を識別する情報である受取商品識別情報と、を上流から電子的に流されるトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して取得するためのトークン取得部と、
下流の取引者に対して引渡すべき商品を識別する引渡商品識別情報を取得する引渡商品識別情報取得部と、
少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とをトークン取得部にて取得した上流から流されてきたトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力するトークン出力部と、
を有する携帯端末装置。
【請求項2】
上流から受取った商品を複数の下流取引者に引渡す場合に取得したトークンを分割した分割トークンを生成するための分割トークン生成部と、
少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とを分割トークン生成部にて生成した分割トークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する分割トークン出力部と、
を有する請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
複数の上流取引者から受け取った商品を下流取引者に引渡す場合に取得した複数のトークンを結合した結合トークンを生成するための結合トークン生成部と、
少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とを結合トークン生成部にて生成した結合トークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する結合トークン出力部と、
を有する請求項1又は2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
トークン取得部での取得結果を取引者当人識別情報と関連付けた情報である履歴情報として外部管理装置に対して出力するための履歴情報出力部をさらに有する請求項1から3のいずれか一に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
トークン出力部での出力結果を取引者当人識別情報と関連付けて外部管理装置に対して出力するための出力結果出力部をさらに有する請求項1から4のいずれか一に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
取引される商品の画像を撮影するための撮影部をさらに有し、
前記トークン出力部は、さらに撮影された画像をトークンと関連付けて出力する画像付出力手段を有する請求項1から5のいずれか一に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
請求項4又は請求項4に従属する請求項5若しくは6に記載の携帯端末装置と、前記外部管理装置とからなる流通履歴記録システムであって、
前記外部管理装置は、前記履歴情報を取得する履歴情報取得部と、
取得した履歴情報を記録する履歴情報記録部と、を有する流通履歴記録システム。
【請求項8】
携帯端末装置にダウンロードされるプログラムであって、
取引者当人を識別する情報である取引者当人識別情報を保持する処理と、
商品の受取に際して上流の取引者である上流取引者を識別する上流取引者識別情報と、上流取引者から受取る商品を識別する情報である受取商品識別情報と、を上流から電子的に流されるトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して取得する処理と、
下流の取引者に対して引渡すべき商品を識別する引渡商品識別情報を取得する処理と、
少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とをトークン取得部にて取得した上流から流されてきたトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力する処理とをコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項9】
携帯端末装置を利用して上流から下流に向けて商品を流通する流通経路での商品の取引に際して流通履歴を記録する方法であって、
取引者当人を識別する情報である取引者当人識別情報を保持する取引者当人識別情報保持ステップと、
商品の受取に際して上流の取引者である上流取引者を識別する上流取引者識別情報と、上流取引者から受取る商品を識別する情報である受取商品識別情報と、を上流から電子的に流されるトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して取得するトークン取得ステップと、
下流の取引者に対して引渡すべき商品を識別する引渡商品識別情報を取得する引渡商品識別情報取得ステップと、
少なくとも取引者当人識別情報と引渡商品識別情報とをトークン取得部にて取得した上流から流されてきたトークンと関連付けて近距離通信手段を利用して下流に流すために出力するトークン出力ステップと、
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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