説明

携帯端末装置、変換候補定方法及び変換候補決定プログラム

【課題】変換候補の検索に用いられるデータベースのデータ量の増加を抑制しつつ、ユーザが所望する絵文字を変換候補として提示することができる確率を向上することができる携帯端末装置、変換候補定方法及び変換候補決定プログラムを提供すること。
【解決手段】本発明にかかる携帯端末装置50は、絵文字と、絵文字を示す複数の文字列と、を関連付けた関連情報を複数格納する記憶部51と、複数の関連情報に基づいて、ユーザから入力された入力文字列が示す絵文字を検索し、検索した絵文字を入力文字列の変換候補として決定する決定部50とを備える。決定部50は、複数の関連情報に基づいて、入力文字列が示す絵文字に関連付けられた複数の文字列のうち、入力文字列以外の少なくとも1つの関連文字列が示す絵文字を検索し、検索した絵文字も前記入力文字列の変換候補として決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置、変換候補決定方法及び変換候補決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが携帯電話で電子メール(以下、「メール」とする)の文章を入力する場合、任意の入力語を入力して、入力した入力語を絵文字に変換するという操作が行われている。その場合に、携帯電話は、入力語を読みとする絵文字を変換候補として表示するようにしている。
【0003】
その変換方法の一例について説明する。ここでは、携帯電話に、「浴衣」及び「祭り」を読みとする絵文字1と、「花火」及び「祭り」を読みとする絵文字2と、「海」を読みとする絵文字3と、「うちわ」及び「祭り」を読みとする絵文字4と、が用意されている場合について例示する。
【0004】
例えば、ユーザが花火を見に行ったことを他の人に伝えるためのメールを作成する場合に、入力語「花火」を入力して変換候補の絵文字を表示する操作をしたとき、「花火」を読みとする絵文字2のみが変換候補として表示される。しかし、ユーザが「花火」の変換候補として表示された絵文字2が使用する絵文字として気に入らなかった場合、入力語を入力し直して別の絵文字を探す必要がある。つまり、この変換方法では、変換候補として表示される絵文字が限定されすぎているため、ユーザが使用したい絵文字が表示されないことがあるという問題がある。
【0005】
特許文献1には、コンテンツを間接的に想起させるような文字列に関するコンテンツも検索することができるメール作成支援システムが開示されている。メール作成支援システムは、携帯電話及びサーバを有する。サーバは、携帯電話に入力された文字の変換候補の関連語を、シソーラス辞書を用いて検索する。サーバは、素材と素材に関連付けたタグを記憶するタグ一覧テーブルを用いて、変換候補と関連語をタグとしてもつ素材を検索する。携帯電話は、サーバが検索した素材を表示する。しかし、このメール作成支援システムは、シソーラス辞書及びタグ一覧テーブルを必要とするため、変換候補の検索に用いられるデータベースのデータ量が膨大になってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−015743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
背景技術として説明したように、ユーザが入力した入力文字列の変換候補となる絵文字が、入力文字列が示す絵文字のみに限定されているため、ユーザが所望する絵文字を変換候補として提示することができないことがあるという課題がある。
【0008】
本発明の目的は、上述したような課題を解決するために、変換候補の検索に用いられるデータベースのデータ量の増加を抑制しつつ、ユーザが所望する絵文字を変換候補として提示することができる確率を向上することができる携帯端末装置、変換候補定方法及び変換候補決定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様にかかる携帯端末装置は、絵文字と、当該絵文字を示す複数の文字列と、を関連付けた関連情報を複数格納する記憶部と、前記複数の関連情報に基づいて、ユーザから入力された入力文字列が示す絵文字を検索し、当該検索した絵文字を前記入力文字列の変換候補として決定する決定部と、を備えた携帯端末装置であって、前記決定部は、前記複数の関連情報に基づいて、前記入力文字列が示す絵文字に関連付けられた複数の文字列のうち、前記入力文字列以外の少なくとも1つの関連文字列が示す絵文字を検索し、当該検索した絵文字も前記入力文字列の変換候補として決定するものである。
【0010】
本発明の第2の態様にかかる変換候補定方法は、それぞれが、絵文字と、当該絵文字を示す複数の文字列と、を関連付けた複数の関連情報に基づいて、ユーザから入力された入力文字列が示す絵文字を検索する検索ステップと、前記検索した絵文字も前記入力文字列の変換候補として決定する検索ステップと、を備え、前記検索ステップでは、前記複数の関連情報に基づいて、前記入力文字列が示す絵文字に関連付けられた複数の文字列のうち、前記入力文字列以外の少なくとも1つの関連文字列が示す絵文字を検索するものである。
【0011】
本発明の第3の態様にかかる変換候補決定プログラムは、それぞれが、絵文字と、当該絵文字を示す複数の文字列と、を関連付けた複数の関連情報に基づいて、ユーザから入力された入力文字列が示す絵文字を検索する検索処理と、前記検索した絵文字も前記入力文字列の変換候補として決定する検索処理と、を携帯端末装置に実行させ、前記検索処理では、前記複数の関連情報に基づいて、前記入力文字列が示す絵文字に関連付けられた複数の文字列のうち、前記入力文字列以外の少なくとも1つの関連文字列が示す絵文字を検索するものである。
【発明の効果】
【0012】
上述した本発明の各態様によれば、変換候補の検索に用いられるデータベースのデータ量の増加を抑制しつつ、ユーザが所望する絵文字を変換候補として提示することができる確率を向上することができる携帯端末装置、変換候補定方法及び変換候補決定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる携帯端末装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる携帯電話の構成図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる本発明の実施の形態1にかかる絵文字変換用データベースの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる絵文字変換用データベースを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1にかかる携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2にかかる絵文字変換用データベースを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2にかかる携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【図8】その他の本発明の実施の形態にかかる絵文字変換用データベースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の実施の形態1.
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態1にかかる携帯電話の概要となる携帯装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる携帯端末装置の構成図である。
【0015】
携帯端末装置5は、決定部50及び記憶部51を有する。
決定部50は、複数の関連情報に基づいて、ユーザから入力された入力文字列が示す絵文字を検索し、検索した絵文字を入力文字列の変換候補として決定する。さらに、決定部50は、複数の関連情報に基づいて、入力文字列が示す絵文字に関連付けられた複数の文字列のうち、入力文字列以外の少なくとも1つの関連文字列が示す絵文字を検索し、検索した絵文字も入力文字列の変換候補として決定する。
記憶部51は、絵文字と、その絵文字を示す複数の文字列と、を関連付けた関連情報を複数格納する。
【0016】
続いて、本発明の実施の形態1にかかる携帯端末装置の処理について説明する。
決定部50は、複数の関連情報に基づいて、ユーザから入力された入力文字列が示す絵文字を検索する。さらに、決定部50は、複数の関連情報に基づいて、入力文字列が示す絵文字に関連付けられた複数の文字列のうち、入力文字列以外の少なくとも1つの関連文字列が示す絵文字を検索する。そして、決定部50は、検索した絵文字を入力文字列の変換候補として決定する。
【0017】
続いて、図2を参照して、本発明の実施の形態1にかかる携帯電話1の構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態1にかかる携帯電話1の構成図である。
【0018】
携帯電話1は、演算部10、記憶部11、入力部12、表示部13及び通信部14を有する。
【0019】
演算部10は、ユーザからの入力に応じて、メールを作成する処理を実行する。演算部10は、メールの作成において、ユーザから文字列が入力され、その文字列を変換する旨が入力された場合に、その文字列の変換候補となる文字列及び絵文字を表示部13に表示する。具体的には、演算部10は、表示部13に任意の表示内容を表示する場合、その表示内容を示す表示内容情報を表示部13に出力する。演算部10は、作成したメールを他の携帯電話に送信する場合、そのメールの内容を示すメール内容情報を通信部14に出力する。演算部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)等の演算装置を含み、演算装置によって処理を実行する。演算部10は、決定部50に対応する。
【0020】
記憶部11は、絵文字と、その絵文字の読みとなる複数の文字列と、を関連付けた絵文字変換用データベースを有する。記憶部11は、文字列と、その文字列の変換候補の文字列と、関連付けた文字列変換用データベースを有する。絵文字変換用データベース及び文字列変換用データベースは、演算部10による変換候補の検索に使用される。記憶部11は、例えば、メモリ及びハードディスク等の記憶装置を含む。記憶部11は、記憶部51に対応する。
【0021】
入力部12は、ユーザからの入力を受ける。入力部12は、ユーザからの入力内容を示す入力内容情報を演算部10に出力する。よって、演算部10は、入力部12から出力された入力内容情報が示す入力内容を、ユーザからの入力内容として認識する。入力部12は、例えば、操作ボタン及びニューロポインター(登録商標)等の入力装置を含む。
【0022】
表示部13は、演算部10から出力された表示内容情報が示す表示内容を表示する。表示部13は、例えば、プラズマディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル及び有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイパネル等の表示装置を含む。
【0023】
通信部14は、演算部10から出力されたメール内容情報が示す内容のメールを、他の携帯電話に送信する。通信部14は、任意の無線通信手段によって、基地局を介してメールを送信する。
【0024】
続いて、図3を参照して、本発明の実施の形態1にかかる絵文字変換用データベースの構成について説明する。図3は、本発明の実施の形態1にかかる絵文字変換用データベースの構成を示す図である。
【0025】
図3に示すように、絵文字変換用データベースは、絵文字と、その絵文字の複数の読みと、が関連付けられている。つまり、1つの絵文字は、複数の読みを有する。以下、本実施の形態では、ユーザが入力した文字列を「入力語」といい、入力語を読みとして有する絵文字の入力語以外の読みとなる文字列を「関連語」という。なお、入力語は、入力文字列に相当する。つまり、絵文字変換用データベースは、絵文字と、その絵文字の読みとなる入力語及びその入力語に関連する複数の関連語と、が関連付けられている。
【0026】
続いて、図4を参照して、本発明の実施の形態1にかかる絵文字変換用データベースの一例について説明する。図4は、本発明の実施の形態1にかかる絵文字変換用データベースの一例を示す図である。
【0027】
図4に例示するように、絵文字変換用データベースは、「浴衣」及び「祭り」と、それらの文字列を読みとする絵文字1と、が関連付けられ、「花火」及び「祭り」と、それらの文字列を読みとする絵文字2と、が関連付けられ、「海」と、その文字列を読みとする絵文字3と、が関連付けられ、「うちわ」及び「祭り」と、それらの文字列を読みとする絵文字4と、が関連付けられている。
【0028】
ユーザが入力語「花火」を入力した場合、絵文字1が変換候補として検出される。さらに、本実施の形態1では、入力語「花火」を読みに持つ絵文字2の入力語「花火」以外の読みである関連語「祭り」を読みに持つ絵文字1及び絵文字4が変換候補として検出される。このように、本実施の形態1では、1つの絵文字に対する複数の読みから関連性を捉え、入力語だけでなく関連語も読みとする絵文字を変換候補とする。これによって、入力語に関連する多くの絵文字を変換候補としてユーザに提示することができる。
【0029】
続いて、図5を参照して、本発明の実施の形態1にかかる携帯電話の動作について説明する。図5は、本発明の実施の形態1にかかる携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【0030】
演算部10は、ユーザが入力語W0を入力して、入力語W0を絵文字に変換するための操作を行った場合、入力語W0の変換処理を開始する(S101)。なお、変換するための操作とは、例えば、ユーザが入力語W0を入力した後に、変換用のボタンを押した場合である。変換用のボタンは、例えば、入力部12に含まれる。
演算部10は、入力語W0と一致する読みを持つ絵文字P0を、絵文字変換用データベースから検索する(S102)。
【0031】
絵文字P0が見つからない場合(S103:No)、演算部10は、変換候補なしとして変換処理を終了する(S111)。この場合、演算部10は、表示部13に変換候補となる絵文字を表示しない。
絵文字P0が見つかった場合(S103:Yes)、演算部10は、絵文字P0を変換候補として決定する(S104)。そして、演算部10は、絵文字P0の入力語W0以外の読みWrを絵文字変換用データベースから検索する(S105)。
【0032】
絵文字P0が入力語W0以外の読みWrを持たない場合(S106:No)、演算部10は、検出済みの絵文字P0以外の入力語W0と一致する読みを持つ絵文字を絵文字変換用データベースから検索する(S102)。以降、演算部10は、上述したステップS103以降の処理を実行する。
絵文字P0が入力語W0以外の読みWrを持つ場合(S106:Yes)、演算部10は、入力語W0以外の読みWrを関連語Wrとする(S107)。演算部10は、関連語Wrと一致する読みを持つ絵文字Prを絵文字変換用データベースから検索する(S108)。
【0033】
絵文字Prが見つからない場合(S109:No)、演算部10は、絵文字P0の入力語W0と検出済みの関連語Wr以外の読みWrを絵文字変換用データベースから検索する(S105)。以降、演算部10は、上述したステップS106以降の処理を実行する。
絵文字Prが見つかった場合(S109:Yes)、演算部10は、絵文字Prを変換候補として決定する(S110)。演算部10は、検出済みの絵文字Pr以外の関連語Wrと一致する読みを持つ絵文字Prを絵文字変換用データベースから検索する(S108)。以降、演算部10は、上述したステップS109以降の処理を実行する。
【0034】
続いて、図4に例示する絵文字変換用データベースを使用して、図5に示す動作を行う場合について説明する。
【0035】
ユーザが「花火」を入力した場合、演算部10は、入力語W0=「花火」とする。ユーザが入力語「花火」を変換するための操作を行った場合、入力語「花火」という読みを持つ絵文字P0を絵文字変換用データベースから検索する(S102)。
絵文字変換用データベースには、入力語「花火」を読み1として持つ絵文字2があるので(S103:Yes)、絵文字P0=絵文字2として、絵文字2を変換候補とする(S104)。
【0036】
演算部10は、絵文字2の入力語「花火」以外の読みWrを検索した場合(S105)、絵文字2が入力語「花火」以外に「祭り」という読み2を持つので(S106:Yes)、関連語Wr=「祭り」とする(S107)。
【0037】
演算部10は、絵文字2以外に、関連語「祭り」を読みとして持つ絵文字Prを検索する(S108)。絵文字1の読み2が「祭り」であるため(S109:Yes)、演算部10は、絵文字Pr=絵文字1として、絵文字1も変換候補とする(S110)。
演算部10は、絵文字2及び絵文字1以外に、関連語「祭り」を読みとして持つ絵文字Prを検索する(S108)。絵文字4の読み2が「祭り」であるため(S109:Yes)、演算部10は、絵文字Pr2=絵文字4として、絵文字4も変換候補とする(S110)。
【0038】
演算部10は、絵文字1、絵文字2及び絵文字4以外に、関連語「祭り」を読みとして持つ絵文字Prを検索するが(S108)、絵文字1、絵文字2及び絵文字4以外には関連語Wr「祭り」を読みとする絵文字がないので、絵文字P0の絵文字2に入力語「花火」と関連語「祭り」以外の読みWrがないか検索する(S105)。
【0039】
絵文字2は「花火」と「祭り」以外に読みは持たないので(S106:No)、演算部10は、絵文字2の関連語検索を終了する。演算部10は、絵文字2以外に入力語「花火」を読みとして持つ絵文字P0を検索する(S102)。
しかし、絵文字2以外に入力語「花火」を読みとして持つ絵文字はないので(S103:No)、演算部10は、変換処理を終了する(S111)。そして、演算部10は、絵文字1、絵文字2及び絵文字4を入力語「花火」の変換候補の絵文字として、表示部13に表示する。
【0040】
以上の動作により、「花火」と入力することで、絵文字1、絵文字2及び絵文字4を変換候補としてユーザに提示することができる。よって、ユーザが「花火」の絵文字2が気に入らなくても、「浴衣」の絵文字1や、「うちわ」の絵文字4が表示されるため、それらのうちいずれかを変換する絵文字として選択することができる。
【0041】
以上に説明したように、本実施の形態1では、入力語が示す絵文字以外にも、入力語が示す絵文字に関連付けられた関連語が示す絵文字も変換候補とするようにしている。そのため、入力語の変換候補として、ユーザに対して表示する絵文字を増やすことができ、ユーザが所望する絵文字を変換候補として提示することができる確率を向上することができる。また、それによって、ユーザが所望の絵文字を変換候補として得るために、入力語を再入力する等のユーザの操作負荷を低減することができる。
【0042】
また、本実施の形態1では、絵文字と、その絵文字を示す複数の文字列と、を関連付けた絵文字変換用データベースによって、入力語が示す絵文字を検索するとともに、入力語が示す絵文字に関連付けられた関連語が示す絵文字も検索するようにしている。そのため、絵文字と、その絵文字を示す文字列と、を関連付けた絵文字変換用データベースがある携帯端末装置であれば、データベースを更新する必要も、新たなデータベースを用意する必要もなく実装することができる。つまり、データベースのデータ量を増やすことなく、変換候補として表示する絵文字を増やすことができる。
【0043】
発明の実施の形態2.
上述したように、実施の形態1では、関連語と一致する読みを持つ絵文字も全て変換候補としている。しかし、入力語と関連性の低い絵文字が変換候補として表示されてしまう可能性がでてしまうという問題がある。
【0044】
続いて、図6を参照して、その問題について説明する。図6は、本実施の形態2にかかる絵文字変換用データベースを示す図である。
【0045】
ここでは、実施の形態1において、図6に例示する絵文字変換用データベースを使用した場合について説明する。例えば、入力語「花火」を入力した場合、入力語「花火」を読みとする絵文字2の関連語「夏」を読みとする絵文字1、3、4も変換候補として決定される。しかし、この場合、「花火」とは関連性の低い「海」の絵文字3も表示されてしまう。
【0046】
そこで、本実施の形態2では、このような問題を解決するために、関連語を検索する場合に、多くの絵文字に用いられている読みは関連語として扱わないように処理をする。具体的には、多くの絵文字の読みとして使用される文字列は、「夏」及び「食べ物」等のように抽象的な文字列が多く、少ない絵文字の読みとして使用される文字列は、「花火」及び「ケーキ」等のように具体的な文字列が多い。一般的に、多くの絵文字の読みとして使用される抽象的な文字列を関連語とした場合、入力語と関連性の低い絵文字が変換候補となる可能性が高くなると考えられる。そのため、本実施の形態2では、多くの絵文字の読みとして使用される抽象的な読みを、変換候補を検索する関連語としないようにすることで、入力語と関連性の低い絵文字を表示しないようにする。
【0047】
入力語W0以外の読みWnが抽象的な読みであるか否かは、絵文字変換用データベースに含まれる全ての絵文字数に対する、Wnを読みとする絵文字の数の割合が、任意に予め定めた閾値よりも大きいか否かによって判定する。具体的には、「Wnを読みとする絵文字の数/全絵文字の数」の値が閾値以下の場合に、その読みWnを、変換候補を検索する関連語Wrとして使用する。
【0048】
なお、入力語W0以外の読みWnが抽象的な読みであるか否かは、絵文字変換用データベースに含まれる全ての絵文字数に対する、Wnを読みとする絵文字の数の割合に応じて決定するものであれば、他の方法で決定するようにしてもよい。例えば、入力語W0以外の複数の読みWnのうち、「Wnを読みとする絵文字の数/全絵文字の数」の値が一番小さくなる読みWnのみを関連語Wrとして使用するようにしてもよい。
【0049】
続いて、図7を参照して、本発明の実施の形態2にかかる携帯電話の動作について説明する。図7は、本発明の実施の形態2にかかる携帯電話の動作を示すフローチャートである。なお、本実施の形態2にかかる携帯電話の構成は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。また、ステップS101〜S111の処理については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
ステップS106において、絵文字P0が入力語W0以外の読みWnを持つと判定した場合(S106:Yes)、演算部10は、その「Wnを読みとする絵文字の数/全絵文字の数」の値が所定の閾値より大きいか否かを判定する(S112)。
所定の閾値よりも大きい場合(S112:Yes)、演算部10は、絵文字P0の入力語W0と検出済みのWn以外の読みを検索する(S105)。以降、演算部10は、上述したステップS112以降の処理を実行する。
所定の閾値以下の場合(S112:No)、演算部10は、その入力語W0以外の読みWnを関連語Wrとする(S107)。続けて、演算部10は、ステップS108以降の処理を実行する。
【0051】
以上に説明したように、本実施の形態2では、絵文字変換用データベースに含まれる全ての絵文字数に対する、関連語を読みとする絵文字の数の割合に応じて、その関連語を変換候補とする絵文字を検索するようにしている。これによって、多くの絵文字の読みとして使用される抽象的な読みを関連語としないようにすることができるため、入力語と関連性の低い絵文字を変換候補として提示しないようにすることができる。
【0052】
その他の発明の実施の形態.
また、上述した本発明の実施の形態で使用される絵文字変換用データベースは、上述した例に限られず、図8に例示する絵文字変換用データベースを使用することもできる。本発明の実施の形態に図8に例示するような絵文字変換用データベースを使用することで、複数の異なる感情のいずれかを表す読みを入力語とした場合であっても、それらの複数の異なる感情を表す絵文字を変換候補とすることができる。
【0053】
例えば、図8に例示する絵文字変換用データベースを使用した場合、ユーザが入力語「泣く」を入力すると、入力語「泣く」を読みとする絵文字2及び絵文字3と、絵文字2の関連語「嬉しい」を読みとする絵文字1とが変換候補となる。これによって、ユーザが「嬉しくて泣いた」の意味で入力語「泣く」と入力した場合であっても、「悲しくて泣いた」の意味で入力語「泣く」を入力した場合であっても、「笑顔」の絵文字1と、「泣き顔」の絵文字2と、が変換候補となる。つまり、ユーザが「嬉しい」と「悲しい」という複数の異なる感情のうち、いずれかを表す場合に入力される入力語「泣く」を入力した場合に、「嬉しい」という感情を表す絵文字1と「悲しい」又は「嬉しい」という感情を表す絵文字2が変換候補として表示される。
【0054】
以上に説明したように、その他の発明の実施の形態の絵文字変換用データベースは、絵文字と関連付けられる複数の文字列に、複数の異なる感情を示す文字列と、それらの複数の異なる感情のそれぞれを示す複数の文字列と、を含むようにしている。これによれば、ユーザが複数の異なる感情のいずれかを表す場合に使用される入力語を入力した場合であっても、複数の異なる感情のそれぞれを示す複数の絵文字を変換候補として提示することができる。そのため、入力語の変換候補として、ユーザに対して表示する絵文字を増やすことができ、ユーザが所望する絵文字を変換候補として提示することができる確率を向上することができる。例えば、それらの複数の異なる感情のそれぞれを示す複数の文字列のうち、1つ又は複数の文字列のそれぞれが他の1つ又は複数の絵文字に関連付けられていれば、その絵文字も変換候補として提示することができる。
【0055】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0056】
本実施の形態では、本発明を携帯電話に適用した場合について例示したが、これに限られない。例えば、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)及びPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末装置のいずれに適用してもよい。
【0057】
本実施の形態における入力文字列とは、ユーザが入力した文字列そのものと、その文字列の変換候補の文字列とを含む。例えば、実施の形態1において、文字列変換用データベースは、「はなび」と、「はなび」の変換候補の文字列「花火」と、が関連付けられている。そして、演算部10は、ユーザが「はなび」と入力した場合に、文字列変換用データベースを参照して、「はなび」の変換候補の「花火」を読みとする絵文字2を変換候補とする。よって、絵文字変換用データベースは、絵文字と、ユーザが入力した文字列及びその文字列の変換候補の文字列の少なくとも1つと、が関連付けられていればよい。例えば、実施の形態1において絵文字変換用データベースは、絵文字2と、「花火」と、を関連付けているが、絵文字2と、「花火」及び「はなび」の少なくとも1つと、が関連付けられていればよい。
【0058】
本発明の実施の形態にかかる携帯端末装置は、上述の実施の形態の機能を実現するプログラムを、携帯端末装置又は携帯端末装置が有するCPU又はMPUが実行することによって構成することが可能である。
【0059】
また、このプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、携帯端末装置に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によって携帯端末装置に供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムを携帯端末装置に供給できる。
【符号の説明】
【0060】
1 携帯電話
5 携帯端末装置
10 演算部
11、51 記憶部
12 入力部
13 表示部
14 通信部
50 決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絵文字と、当該絵文字を示す複数の文字列と、を関連付けた関連情報を複数格納する記憶部と、
前記複数の関連情報に基づいて、ユーザから入力された入力文字列が示す絵文字を検索し、当該検索した絵文字を前記入力文字列の変換候補として決定する決定部と、を備えた携帯端末装置であって、
前記決定部は、前記複数の関連情報に基づいて、前記入力文字列が示す絵文字に関連付けられた複数の文字列のうち、前記入力文字列以外の少なくとも1つの関連文字列が示す絵文字を検索し、当該検索した絵文字も前記入力文字列の変換候補として決定する
携帯端末装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記複数の関連情報に含まれる全ての絵文字の数に対する、前記関連文字列が示す絵文字の数の割合に応じて、当該関連文字列が示す絵文字を検索するか否かを判定する請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記関連文字列が示す絵文字の数を、前記複数の関連情報に含まれる全ての絵文字の数で除算した値が、任意の閾値以下の場合に、当該関連文字列が示す絵文字を検索する請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記関連情報は、前記絵文字と、当該絵文字の読みとなる複数の文字列と、を関連付けた情報である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記関連情報に含まれる複数の文字列は、第1の文字列と、当該第1の文字列によって表される複数の感情のそれぞれを示す複数の第2の文字列と、を含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記携帯端末装置は、携帯電話である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
それぞれが、絵文字と、当該絵文字を示す複数の文字列と、を関連付けた複数の関連情報に基づいて、ユーザから入力された入力文字列が示す絵文字を検索する検索ステップと、
前記検索した絵文字も前記入力文字列の変換候補として決定する検索ステップと、を備え、
前記検索ステップでは、前記複数の関連情報に基づいて、前記入力文字列が示す絵文字に関連付けられた複数の文字列のうち、前記入力文字列以外の少なくとも1つの関連文字列が示す絵文字を検索する
変換候補決定方法。
【請求項8】
それぞれが、絵文字と、当該絵文字を示す複数の文字列と、を関連付けた複数の関連情報に基づいて、ユーザから入力された入力文字列が示す絵文字を検索する検索処理と、
前記検索した絵文字も前記入力文字列の変換候補として決定する検索処理と、を携帯端末装置に実行させ、
前記検索処理では、前記複数の関連情報に基づいて、前記入力文字列が示す絵文字に関連付けられた複数の文字列のうち、前記入力文字列以外の少なくとも1つの関連文字列が示す絵文字を検索する
変換候補決定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−88950(P2012−88950A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235285(P2010−235285)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】