携帯端末装置
【課題】携帯端末装置に接続されたイヤホンの特性を携帯端末装置自身で測定し、補正することができるようにするものである。
【解決手段】携帯端末装置100において、増幅部112から出力端子130までの間に直流遮断用のコンデンサ117,118を有する信号経路にインピーダンス測定用の抵抗121,122を選択的に介挿する切替手段(スイッチ113〜116)を設ける。この抵抗121,122を信号経路に介挿された状態で信号処理部111からテスト用音声信号を出力し、出力端子に接続されたイヤホンと抵抗とで構成される分圧回路の中間点の電圧を検出する。この検出された中間点の電圧に基づいてイヤホンのインピーダンスを測定する。この測定結果に基づいてイヤホンのインピーダンスとコンデンサとにより構成される高域通過フィルタの特性を補償するように出力音声信号の低域ブースト補正を行う。
【解決手段】携帯端末装置100において、増幅部112から出力端子130までの間に直流遮断用のコンデンサ117,118を有する信号経路にインピーダンス測定用の抵抗121,122を選択的に介挿する切替手段(スイッチ113〜116)を設ける。この抵抗121,122を信号経路に介挿された状態で信号処理部111からテスト用音声信号を出力し、出力端子に接続されたイヤホンと抵抗とで構成される分圧回路の中間点の電圧を検出する。この検出された中間点の電圧に基づいてイヤホンのインピーダンスを測定する。この測定結果に基づいてイヤホンのインピーダンスとコンデンサとにより構成される高域通過フィルタの特性を補償するように出力音声信号の低域ブースト補正を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤホンを接続することができる携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イヤホン接続端子を持つ携帯端末装置として、携帯電話端末、PHS、音楽端末等の種々の装置および機種が市販されている。イヤホン接続端子には、ユーザがさまざまな種類・特性のイヤホンを自由に接続することができる。しかし、接続したイヤホンに応じて周波数特性等の音響特性が異なって聞こえてしまう。
【0003】
市場で流通しているイヤホンは、そのインピーダンスが16Ω、32Ω、64Ω等、さまざまな種類のものがある。最近ではチャージポンプ等を用い、負電源を生成したGNDバイアス型のイヤホンアンプもあるが、一般的なイヤホンアンプの出力はDC電源でバイアスされている。そのため、DCカット用(直流遮断用)のコンデンサ(47μF−220μF程度)が用いられる。
【0004】
図1に示すように、端末100のイヤホン接続端子にイヤホン200が接続されると、信号処理部10から出力される音声信号が増幅部(イヤホンアンプ)11で増幅され、DCカット用のコンデンサ12を介して、イヤホン200へ出力される。この場合、コンデンサ12とイヤホン200のインピーダンス13とで、CRのハイパスフィルタ(HPF)が形成されてしまう。
【0005】
図2(a)(b)に、DCカット用のコンデンサ12の容量を220μFとした場合の、接続したイヤホン200のインピーダンスが16Ωのときと、64ΩのときのそれぞれのHPF特性を表したグラフを示す。グラフの横軸は周波数(Hz)、縦軸は信号強度(dB)を表している。両グラフから分かるように、同じコンデンサ12に対してもインピーダンスの異なるイヤホンが接続された場合には、可聴帯域である20−20000Hzにおいて両者の周波数特性が異なってしまう。
【0006】
また、イヤホン自体も周波数感度特性を持っている。図3にイヤホンの周波数感度特性の例をグラフで示す。このグラフの横軸は周波数(Hz)、縦軸は感度(dB)を表している。このようにイヤホンについても可聴帯域である20−20000Hzにおいて平坦な特性とはなっていないことが分かる。
【0007】
このような二つの要因、すなわち(1)DCカット用のコンデンサとイヤホンのインピーダンスとによりHPFが形成されること(DCバイアス型のイヤホンアンプ使用の場合)、および(2)イヤホン自体に周波数感度特性を持っていること、により現状、端末から出された音が原音に忠実にイヤホンで再生されていない。
【0008】
特許文献1では、接続先機器のインピーダンスに応じて出力する音声信号の状態を調整し、接続機器を変更する手間を削減できる音響機器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−148861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に記載の技術では、接続先機器がイヤホンであるか、ライン出力ケーブルであるかを判断し、音声信号を自動で調整する回路、制御構成となっている。しかし、イヤホンの種別が異なることの検出およびそれに基づく音質の自動補正までは考慮されていない。
【0011】
本発明はこのような背景においてなされたものであり、携帯端末装置に接続されたイヤホンの特性を携帯端末装置自身で測定し、補正することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による携帯端末装置は、音声信号を処理する信号処理部と、この信号処理部の出力音声信号を増幅する増幅部と、音声信号の出力端子と、前記増幅部から前記出力端子までの間に直流遮断用のコンデンサを有する信号経路と、前記増幅部から前記出力端子までの信号経路にインピーダンス測定用の抵抗を選択的に介挿する切替手段と、制御手段とを備えたものである。制御手段は、前記抵抗を前記信号経路に介挿された状態で前記信号処理部からテスト用音声信号を出力し、前記抵抗と前記出力端子に接続されたイヤホンとで構成される分圧回路の中間点の電圧を検出し、この検出された中間点の電圧に基づいて前記イヤホンのインピーダンスを測定する動作モードを有する。
【0013】
本明細書における「イヤホン」とは携帯端末装置に着脱可能に接続され、電気音声信号を音声に変換する手段であり、ステレオ、モノラルを問わない。また、いわゆるヘッドホンも含むものとする。
【0014】
前記制御手段は、前記測定手段により測定されたイヤホンのインピーダンスに応じて、前記信号処理部を制御し、前記イヤホンのインピーダンスと前記コンデンサとにより構成される高域通過フィルタの特性を補償するように出力音声信号の低域ブースト補正を行うことができる。
【0015】
前記制御手段は、音声を電気信号に変換するマイクをさらに備え、前記信号処理部から前記イヤホンに対して可聴周波数範囲内で掃引されるテスト音声信号を出力し、この出力音声を前記マイクで収音して得られた入力音声信号に基づいて、前記イヤホンの周波数特性を測定する第2の測定モードを有してもよい。この場合、前記制御手段は、前記第2の測定モードで測定されたイヤホンの周波数特性に基づいて、その周波数特性を補正する特性補正データを求め、この特性補正データに基づいて前記信号処理部を制御し、出力音声信号の周波数特性を補正することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、イヤホン接続端子が付属している携帯端末装置において、ユーザが接続したイヤホンの特性を携帯端末装置自身で測定し、個々のイヤホンに対応してその出力音声の特性を補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の端末のイヤホンへの出力回路の構成を示した図である。
【図2】図1内に示したDCカット用のコンデンサとイヤホンとにより構成されるHPF特性を表したグラフである。
【図3】イヤホンの周波数感度特性の例を示したグラフである。
【図4】本発明の実施の形態における携帯端末装置の主要部の回路構成を示した図である。
【図5】図4の回路中の、イヤホンのインピーダンスを測定するための測定回路要部を抜粋して示した図である。
【図6】設定した全周波数で測定されたイヤホンの左右のインピーダンスのパターンの例を示したグラフである。
【図7】本発明の実施の形態におけるイヤホンの周波数特性の測定時のユーザ操作の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるイヤホンの周波数特性測定に利用する端末の主要部の構成例を示した図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるイヤホンデータをテーブル形式で模式的に示した図である。
【図10】本発明の実施の形態における端末でのユーザインタフェース画面の例を示した図である。
【図11】第1および第2の測定を統合し、イヤホンの音響特性を補正する処理のフローチャートを示す。
【図12】本発明の実施の形態の処理に対する付加的な処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図4は本実施の形態における携帯端末装置100の主要部の回路構成を示している。以下、携帯端末装置を単に「携帯端末」または「端末」ともいう。
【0020】
制御部110からはステレオの音声データ(R音声、L音声)が出力され、信号処理部111にてそれぞれアナログ信号に変換され、増幅部112で増幅される。増幅部112の左右両出力は、スイッチ113,114,115,116を通過し、DCカット用のコンデンサ117,118を介して、イヤホンジャック130へ出力される。スイッチ113,114,115,116は制御部110の制御下で(すなわち制御部110からの制御信号CNT1に従って)連動し、信号経路の切替を行う。すなわち、スイッチ113,114,115,116は、増幅部112から音声出力端子であるイヤホンジャック130までの信号経路にインピーダンス測定用の抵抗を選択的に介挿する切替手段を構成する。この切替手段により、増幅部112の出力をそのままスルーでそれぞれコンデンサ115,116へ導通させるか、抵抗(R1)121,122を介してコンデンサ117,118へ導通させるかを切り替える。
【0021】
信号処理部111および増幅部112がステレオ信号を処理する場合、図示のように、音声の信号経路、抵抗および出力端子は、それぞれ左右の1組が設けられる。制御部110は、左右の前記中間点の電圧を選択的に検出する。そのために、抵抗121のスイッチ115側の端部の信号と、抵抗122のスイッチ116側の信号とは、スイッチ120により選択的にADC119を介して制御部110へデジタル信号として入力される。スイッチ120は制御部110からの制御信号CNT2により切替制御される。
【0022】
イヤホンジャック130は、イヤホンプラグの挿入により接地されるイヤホン検出端子131(接続検出手段)を有する。これにより、イヤホン接続時にイヤホン接続検出信号が制御部110へ入力される構成となっている。制御部110は、接続検出手段の検出出力に応じて信号経路に測定用の抵抗を介挿するようスイッチ113,114,115,116を制御し、イヤホンのインピーダンスを測定する動作モードへ移行する。この測定を第1の測定という。
【0023】
制御部110には、CPU、その他のプロセッサおよびROM,RAM等のメモリを含む記憶部151、表示画面上に情報を表示する表示部152、ユーザから情報の入力操作を受ける操作部153が接続される。記録媒体に格納された楽曲データ(音楽データ)等の再生処理は制御部110が担当してもよいし、他の専用の再生処理部(図示せず)が担当してもよい。
【0024】
図5は、図4の回路中の、イヤホンジャック130に接続されたイヤホンのインピーダンスを測定するための測定回路要部を抜粋して示したものである。イヤホンのインピーダンスを測定する動作モードでは、インピーダンス測定用の抵抗(R1)を信号経路に介挿された状態で信号処理部111からテスト用音声信号を出力する。さらに、抵抗と音声出力端子に接続されたイヤホンとで構成される分圧回路の中間点の電圧を検出し、この検出された中間点の電圧に基づいてイヤホンのインピーダンスを算出する。そのために測定回路では、右音声の所定の周波数のテスト信号StRは、コンデンサ117を通過し、イヤホンの抵抗201を介して接地される。よって、抵抗121と抵抗201との間の中間点であるA点にはテスト信号StRを抵抗121と抵抗201とで分圧した信号が現れる。同様に、左音声の所定の周波数のテスト信号StLは、コンデンサ118を通過し、イヤホンの抵抗202を介して接地される。よって、抵抗122と抵抗202との間の中間点であるB点にはテスト信号StLを抵抗122と抵抗202とで分圧した信号が現れる。A点の信号とB点の信号とはスイッチ120を介して選択的にADC119へ入力される。
【0025】
ここで、本実施の形態におけるイヤホン200のインピーダンス測定(第1の測定)の手順を説明する。ここでは、イヤホンのインピーダンス(右または左)をR2とする。ただし、左右のインピーダンス値は必ずしも同じではない。
(1)イヤホン200のプラグがイヤホンジャック130に接続されたことを制御部110が検出すると、本実施の形態の動作モードの一つとしての第1の測定モードであるインピーダンス測定モードに入る。これを契機に、制御部110は、信号経路のスイッチ113,114、115,116を抵抗R1側に切り替える。
(2)制御部110より、ある周波数(f1)に設定されたサイン波の音声信号出力する。
(3)抵抗R1とイヤホンの抵抗値R2とで分圧された電圧値をADC119で測定する。
(4)ADC119の出力データを制御部110に入力することにより、制御部110にてイヤホンのf1周波数での中間点の電圧を測定する。この電圧はサイン波の実効値、ピーク値等により求めることができる。
(5)(2)の音声出力の周波数を変更し、同じ(3)(4)の手順で測定を行うことでイヤホンのインピーダンスを測定する。
(6)設定した全周波数の周波数特性の結果より、イヤホンのインピーダンスを決定する。
(7)スイッチ120を切り替えて、(2)〜(6)を実行する。
(8)イヤホンのインピーダンスが決定した後、インピーダンス測定モードを終了し、信号経路のスイッチ113,114、115,116を制御し、音声経路を切り替えて元の状態に戻す。
【0026】
図6に、設定した全周波数で測定されたイヤホンの左右のインピーダンスのパターンをグラフとして例示する。測定されたイヤホンの代表インピーダンス(代表値)として、全周波数のインピーダンスの平均値をとることができる。但し、図2に示したようにDCカット用のコンデンサによるHPFの特性では低域側の信号低下が問題となる。そこで、本実施の形態では、低域において測定されたインピーダンスをイヤホンの代表インピーダンスとする。
【0027】
なお、イヤホンの左右のインピーダンスは同じとみなして上記(7)を省略することも可能である。また、インピーダンスを測定する周波数については全周波数範囲ではなく、一部の周波数範囲(例えば低域)のみとしてもよい。
【0028】
このようにして得られたイヤホンの代表インピーダンスに応じて、HPFの特性を補正する。例えば、図2(a)(b)に示したようにインピーダンスが小さい程、低域における大きな減衰が見られる。そこで、制御部は、測定されたイヤホンのインピーダンスに応じて、信号処理部111を制御し、イヤホンのインピーダンスとコンデンサとにより構成される高域通過フィルタの特性を補償するように出力音声信号の低域ブースト補正を行う。例えば、インピーダンス値に応じて次のように信号処理部111により出力する音声信号の低域ブースト補正を行う。
【0029】
インピーダンス (16Ω) → 低域ブースト補正:強
インピーダンス (32Ω) → 低域ブースト補正:中
インピーダンス (64Ω) → 低域ブースト補正:なし
【0030】
なお、これらはDCカット用のコンデンサにも依存する為、その容量によっても補正量は変化しうる。
【0031】
次に、本実施の形態におけるイヤホンの周波数特性(感度周波数特性)を測定する方法について説明する。この測定を第2の測定といい、その動作モードを第2の測定モードという。
【0032】
図7は、本実施の形態におけるイヤホン200の周波数特性の測定時のユーザ操作の説明図である。この例では携帯端末として携帯電話端末を示している。図示のように、端末100から所定の周波数のテスト音声信号をイヤホン200に出力する。左右いずれかの測定対象のスピーカ部から発生する音声を端末100のマイク140で収音できるように、スピーカ部をマイク140に接近させて保持または配置する。周知のように、スピーカ部は電気信号を音声に変換する装置であり、マイク140は音声を電気信号に変換する装置である。
【0033】
図8は、この測定に利用する端末100の主要部の構成例を示している。上記のように、イヤホン200には信号処理部111および増幅部112からのテスト音声信号を与える。左右いずれかの測定対象のスピーカ部から発生する音声を、端末100のマイク140で収音し、マイク140の出力信号をADC150でデジタル値に変換し、制御部110に入力する。このようにしてマイク140から出力された信号のレベルを測定する。イヤホン200に与えるテスト音声信号のレベルは一定で、所定の周波数範囲で周波数が連続的に変換する周波数SWEEP(掃引)信号を出力して、マイク140の出力信号のレベルを測定を行うことにより、イヤホン200の周波数特性が測定できる。
【0034】
具体的なイヤホンの周波数感度特性の測定手順は次のとおりである。
【0035】
(1)イヤホンの音声出力部をマイクに押しあてる。
(2)イヤホンの伝達関数を設定する。
イヤホンには一般に、スポンジカバーがつき耳にはめるタイプのオープン型と、シリコンカバーがつき耳に挿入するタイプのカナル型がある。オープン型のほうが低域音声が外部に漏れやすく、カナル型の方が低域音声が外部に漏れづらい。そのため、端末内部に測定する前にこれらの差分を吸収する伝達関数の代表値を持っておき、測定前に設定できるようにすることでイヤホンの種別による伝達関数差分を吸収する。
(3)外部雑音を測定する。
この際、イヤホン200へのテスト音声信号は与えず、マイク140の出力信号を測定する。これにより得られた外部雑音を後の測定データから減算することで、環境雑音の影響を減少させることができる。
(4)制御部110より周波数SWEEP信号を出力し、ADC150で測定し、制御部110にて周波数解析演算を行う。これにより、イヤホンの周波数感度特性が得られる。
【0036】
なお、外部雑音の影響を減少させる為に、同じ測定を複数回繰り返して行うことも考慮する。
【0037】
図9は、イヤホンのインピーダンスの測定の結果、当該端末100の内部のメモリ(図示せず)に記憶するイヤホンデータをテーブル形式で模式的に示したものである。
【0038】
端末に新たなイヤホンを接続する度にそのインピーダンスの測定を行い、イヤホン毎に、その測定データおよびこれに基づいて決定された特性補正データをイヤホンデータとして保存する。図示の例では、各イヤホンデータは、「イヤホン名」と「代表インピーダンス」と「インピーダンスパターン」と「特性補正データ」を含んでいる。「イヤホン名」は後述するようにユーザが付与することができるイヤホンの名称である。「代表インピーダンス」は、上述のとおり、測定の結果得られたイヤホンの代表的なインピーダンス値である。「インピーダンスパターン」は測定されたインピーダンスの周波数特性を示すパターンである。このインピーダンスパターンは、特定の周波数範囲での周波数と測定インピーダンス値との関係を示すデータ群またはそれらのデータ群を表すパターン名である。「特性補正データ」は、当該イヤホンに対して決定された音声出力特性(音響特性)を補正するためのデータである。
【0039】
図10は、本実施の形態における端末でのユーザインタフェース画面の例を示している。図10(a)は、端末へのイヤホンの接続時にイヤホンのインピーダンス測定を行った後に、そのイヤホンが当該端末に対して新たなイヤホンであると判断されたときに、ユーザに対してそのイヤホンに対して任意の名称を付与することを要求する画面例を示している。すなわち、新たな種別のイヤホンが接続されたと判断されたときそのイヤホン名を入力するようにユーザに促す。これに応じて、ユーザにより入力されたイヤホン名はその測定された代表インピーダンス値およびインピーダンスパターンおよび特性補正データとともに記憶部に記憶される。図10(b)は、インピーダンス測定後に測定結果から、そのイヤホンは過去に測定を行い、データを保持している特定のイヤホンと推測される場合に、そのイヤホン名をユーザに提示して確認を求める画面例を示している。すなわち、記憶済みのイヤホンが接続されたと判断されたとき、そのイヤホン名を表示画面上に示して、接続されたイヤホンが当該イヤホンであるか否かを確認するようユーザに促す。ユーザの確認が「否」であれば第2の測定モードに移行し、「肯」であれば当該イヤホン名のイヤホンの特性補正データを利用するものとする。
【0040】
図11に、上述した第1および第2の測定を統合し、イヤホンの音声出力特性を補正する処理のフローチャートを示す。この処理は制御部110(図4)の制御下で携帯端末100の各部により実行される処理である。
【0041】
「イヤホン接続」すなわちイヤホンジャック130に対してイヤホン200(のプラグ)が挿入されたか否かを監視する(S1)。イヤホン接続が検出されたら、この端末の増幅部がDCバイアスアンプかどうかをチェックする(S2)。DCバイアスアンプであれば(Yes「肯))、ステップS3へ進み、そうでなければ(No「否」)、ステップS13へ移行する。なお、DCバイアスアンプが搭載された端末にのみこの処理を適用する場合には、ステップS2は削除してもよい。
【0042】
ステップS3では、動作モードをインピーダンス測定モードに切り替える。この動作モードでは、インピーダンスを判定する周波数を設定し(S4)、その周波数の音声出力信号(サイン波)を出力する(S5)。そこで、上記中間点の電圧を測定する(S6)。この測定結果に基づいてインピーダンスを計算する(S7)。測定対象となるすべての周波数についての測定が終了するまで、ステップS4に戻って測定を繰り返して実行する。
【0043】
すべての周波数についての測定が終了したら(S8,Yes)、イヤホンインピーダンス(の代表値)を特定し、その周波数特性(インピーダンスパターン)を記憶する(S9)。
【0044】
このインピーダンスパターンを記憶済のインピーダンスパターンと比較して、一致するインピーダンスパターンが存在するとき、すなわち、このイヤホンが過去に測定しているイヤホンであると確認された場合には(S10,No)、過去の補正データを読み出し(S22)、ステップS21へ移行する。
【0045】
過去に測定していないイヤホンについては、上記測定されたイヤホンインピーダンスに応じて音声経路周波数特性の補正を行い(S11)、インピーダンス測定モードを終了する(S12)。
【0046】
次いで、本実施の形態の第2の測定モードであるイヤホン周波数特性の測定モードに入り、その測定を開始する(S13)。このイヤホン周波数特性の測定では、信号処理部111からイヤホン200に対して可聴周波数範囲内で掃引されるテスト音声信号を出力し、この出力音声を前記マイクで収音して得られた入力音声信号に基づいて、イヤホンの周波数特性を測定する。
【0047】
具体的にはまず、イヤホンとマイクとの間の伝達関数を設定する(S14)。これは、イヤホンとマイクの位置関係を一定にしても、例えば、イヤホンの形式(オープン型、カナル型等)によってイヤホンからマイクへの伝達特性が異なるため、その違いを補償するために予め定めた伝達関数をイヤホンの形式の指定によって選択するものである。
【0048】
ついで、環境雑音の測定を行う(S15)。これは、イヤホンに対して何ら音声信号を出力しない状態でマイクから得られる音声信号を検出し、環境雑音を推定する処理である。このようにして得られた環境雑音は、後続の周波数測定の結果から相殺するのに利用する。
【0049】
そこで、判定音声周波数の設定を行う(S16)。例えば、掃引開始周波数、周波数間隔、送信終了周波数を設定し、これらに基づいて所定の周波数範囲でのサイン波の周波数掃引信号を「判定音声出力」として出力する(S17)。このような判定音声出力に対するマイク音声の解析を行う(S18)。設定された周波数範囲の測定を終了するまでステップS16〜18を繰り返して実行する。終了したら(S19,Yes)、ステップS15に戻り、このような測定処理をさらにN−1回(Nは複数)繰り返して行う。これによりN回の測定結果を得て、その平均値等から各周波数の測定結果を算出する。
【0050】
このようにして得られた測定結果に基づいて、イヤホン周波数特性を補正する(S21)。すなわち、第2の測定モードで測定されたイヤホンの周波数特性に基づいて、その周波数特性を補正する特性補正データを求め、この特性補正データに基づいて信号処理部111を制御し、出力音声信号の周波数特性を補正する。例えば、イヤホンの感度周波数特性が図3に示したような場合、出力する音声信号に対して、低域のブースト補正、中域(1−4KHz)のアッテネート補正を行い、周波数感度がイヤホンまで含めた経路でフラットになるように補正する。また、全体の音量(Volume)の調整も設定する。このようなイヤホンの周波数特性の補正データは、図9に示したテーブルの「特性補正データ」に追加、または別項目として追加し、保持することができる。
【0051】
ステップS15〜S20までは、ステレオ出力の場合、測定は右と左で別々に行ってもよいし、いずれか一方のみを代表として行ってもよい。
【0052】
上述したような音声信号の補正を行なうことで、端末に接続されたイヤホンの種別による音響特性の差分を吸収し、端末から出力された音声に忠実な再生環境を提供できる。また、もちろん、この補正を行なったのちに、ユーザによりイコライザを設定して音声出力パラメータを変更することにより、ユーザの好みの音質設定を行なうことも可能である。
【0053】
次に、図12により上記の実施の形態の処理に対する付加的な処理について説明する。この処理は、携帯端末の使用状況・環境に応じてイヤホン周波数特性をさらに補正するものである。近年の携帯端末にはさまざまな機能を実現するためのデバイスが装備されている。そのような機能には、上記音楽再生機能の他、例えば、現在位置検出手段としてのGPS(Global Positioning System)機能、端末の加速度を検出する加速度センサによる加速度検出機能等が挙げられる。図12の処理は、このような各種の機能の使用状況や環境に応じて、それに相応しいイヤホン周波数特性を提供しようとするものである。
【0054】
まず、携帯端末情報、すなわち端末の使用状況・環境を判断する(S31)。ここでは、端末位置情報、加速度情報、楽曲(再生曲)データの属性情報、周囲の雑音レベル、等である。
【0055】
ついで、最適な音声出力パラメータを求める(S32)。図示しないが、上記のような各種の携帯端末情報の内容に応じて、それに相応しい音声出力パラメータを定めたデータテーブル等を端末内または外部サーバに参照可能に用意しておく。得られた音声出力パラメータに基づいてイヤホン周波数特性の補正を行う(S33)。以下に具体例を示す。
【0056】
(1)位置情報の利用
外出時に音楽再生機能を利用している場合、繁華街、市街地のような特定の場所では周囲の騒音で音楽が聴き取りにくくなる。そこで、GPS機能により現在地を検出し、端末内または外部サーバの地図データベース等の利用により、現在地が当該特定の場所に属するか否かを判断する。特定の場所に属する場合には、それに対応して予め定めた音声出力パラメータを取得し、この音声出力パラメータに基づいてイヤホン周波数特性の補正を行う。より具体的には、例えば、音量を変えずに周波数特性を変更する(中高域の周波数帯域、例えば100Hz−10KHz程度の範囲の出力を強調する)ことで出力音声を聞きとりやすくする。
【0057】
(2)加速度情報の利用
携帯端末に内蔵された加速度センサより、その携帯端末を所持したユーザが歩行中か静止中かを判断することができる。そこで、歩行中であれば、周辺騒音が聞こえないと交通事故の危険性が増すことを考慮して、例えば、全体的に音量を下げる。
【0058】
(3)楽曲データの属性情報の利用
楽曲データから、その属性情報、例えば、楽曲の種別(Pops、ロック、クラシック等)、歌手の性別、等が認識できる場合、その属性情報に相応しい音声出力パラメータを選定する。例えば、ロックであれば低域(100Hz以下)および高域を強調し(5KHz以上)、Popsであれば音声帯域(1−4KHz)を強調する、等の措置を採る。さらに例えば、歌手が男性であればその音声域(100Hz−8000Hz)を強調し、女性であればその音声域(150Hz−10000Hz)を強調する等の措置を採る。
【0059】
(4)周囲の雑音レベルの利用
マイクで雑音レベルを判別し、出力音声の聞き取りやすさを改善する。例えば、ノイズキャンセルではなく、周波数特性を変更する(中高域を強調する)ことで聞きとりやすくする。
【0060】
上記の処理はあくまで例示であり、複数種類の携帯端末情報を取得後、総合的に判断して音声出力パラメータ設定することもできる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。
【0062】
例えば、上述した第1および第2の測定動作およびその測定結果の利用は必ずしも上記のように併用する必要はなく、いずれか一方のみを独立に実行することも可能である。
【0063】
携帯端末装置は携帯電話端末に限るものではなく、本発明は、DCカット用のコンデンサを音声の出力信号経路に有する任意の携帯型の端末装置に適用することができる。
【0064】
図12に示した処理は図11に示した処理に対する付加的な処理として説明したが、図11に示した処理と独立して単独で実行することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
100…携帯端末装置、110…制御部、111…信号処理部、112…増幅部、113,114,115,116…スイッチ、117,118…コンデンサ、120…スイッチ、121,122…抵抗、130…イヤホンジャック、131…イヤホン検出端子、140…マイク、200…イヤホン、201,202…抵抗
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤホンを接続することができる携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イヤホン接続端子を持つ携帯端末装置として、携帯電話端末、PHS、音楽端末等の種々の装置および機種が市販されている。イヤホン接続端子には、ユーザがさまざまな種類・特性のイヤホンを自由に接続することができる。しかし、接続したイヤホンに応じて周波数特性等の音響特性が異なって聞こえてしまう。
【0003】
市場で流通しているイヤホンは、そのインピーダンスが16Ω、32Ω、64Ω等、さまざまな種類のものがある。最近ではチャージポンプ等を用い、負電源を生成したGNDバイアス型のイヤホンアンプもあるが、一般的なイヤホンアンプの出力はDC電源でバイアスされている。そのため、DCカット用(直流遮断用)のコンデンサ(47μF−220μF程度)が用いられる。
【0004】
図1に示すように、端末100のイヤホン接続端子にイヤホン200が接続されると、信号処理部10から出力される音声信号が増幅部(イヤホンアンプ)11で増幅され、DCカット用のコンデンサ12を介して、イヤホン200へ出力される。この場合、コンデンサ12とイヤホン200のインピーダンス13とで、CRのハイパスフィルタ(HPF)が形成されてしまう。
【0005】
図2(a)(b)に、DCカット用のコンデンサ12の容量を220μFとした場合の、接続したイヤホン200のインピーダンスが16Ωのときと、64ΩのときのそれぞれのHPF特性を表したグラフを示す。グラフの横軸は周波数(Hz)、縦軸は信号強度(dB)を表している。両グラフから分かるように、同じコンデンサ12に対してもインピーダンスの異なるイヤホンが接続された場合には、可聴帯域である20−20000Hzにおいて両者の周波数特性が異なってしまう。
【0006】
また、イヤホン自体も周波数感度特性を持っている。図3にイヤホンの周波数感度特性の例をグラフで示す。このグラフの横軸は周波数(Hz)、縦軸は感度(dB)を表している。このようにイヤホンについても可聴帯域である20−20000Hzにおいて平坦な特性とはなっていないことが分かる。
【0007】
このような二つの要因、すなわち(1)DCカット用のコンデンサとイヤホンのインピーダンスとによりHPFが形成されること(DCバイアス型のイヤホンアンプ使用の場合)、および(2)イヤホン自体に周波数感度特性を持っていること、により現状、端末から出された音が原音に忠実にイヤホンで再生されていない。
【0008】
特許文献1では、接続先機器のインピーダンスに応じて出力する音声信号の状態を調整し、接続機器を変更する手間を削減できる音響機器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−148861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に記載の技術では、接続先機器がイヤホンであるか、ライン出力ケーブルであるかを判断し、音声信号を自動で調整する回路、制御構成となっている。しかし、イヤホンの種別が異なることの検出およびそれに基づく音質の自動補正までは考慮されていない。
【0011】
本発明はこのような背景においてなされたものであり、携帯端末装置に接続されたイヤホンの特性を携帯端末装置自身で測定し、補正することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による携帯端末装置は、音声信号を処理する信号処理部と、この信号処理部の出力音声信号を増幅する増幅部と、音声信号の出力端子と、前記増幅部から前記出力端子までの間に直流遮断用のコンデンサを有する信号経路と、前記増幅部から前記出力端子までの信号経路にインピーダンス測定用の抵抗を選択的に介挿する切替手段と、制御手段とを備えたものである。制御手段は、前記抵抗を前記信号経路に介挿された状態で前記信号処理部からテスト用音声信号を出力し、前記抵抗と前記出力端子に接続されたイヤホンとで構成される分圧回路の中間点の電圧を検出し、この検出された中間点の電圧に基づいて前記イヤホンのインピーダンスを測定する動作モードを有する。
【0013】
本明細書における「イヤホン」とは携帯端末装置に着脱可能に接続され、電気音声信号を音声に変換する手段であり、ステレオ、モノラルを問わない。また、いわゆるヘッドホンも含むものとする。
【0014】
前記制御手段は、前記測定手段により測定されたイヤホンのインピーダンスに応じて、前記信号処理部を制御し、前記イヤホンのインピーダンスと前記コンデンサとにより構成される高域通過フィルタの特性を補償するように出力音声信号の低域ブースト補正を行うことができる。
【0015】
前記制御手段は、音声を電気信号に変換するマイクをさらに備え、前記信号処理部から前記イヤホンに対して可聴周波数範囲内で掃引されるテスト音声信号を出力し、この出力音声を前記マイクで収音して得られた入力音声信号に基づいて、前記イヤホンの周波数特性を測定する第2の測定モードを有してもよい。この場合、前記制御手段は、前記第2の測定モードで測定されたイヤホンの周波数特性に基づいて、その周波数特性を補正する特性補正データを求め、この特性補正データに基づいて前記信号処理部を制御し、出力音声信号の周波数特性を補正することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、イヤホン接続端子が付属している携帯端末装置において、ユーザが接続したイヤホンの特性を携帯端末装置自身で測定し、個々のイヤホンに対応してその出力音声の特性を補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の端末のイヤホンへの出力回路の構成を示した図である。
【図2】図1内に示したDCカット用のコンデンサとイヤホンとにより構成されるHPF特性を表したグラフである。
【図3】イヤホンの周波数感度特性の例を示したグラフである。
【図4】本発明の実施の形態における携帯端末装置の主要部の回路構成を示した図である。
【図5】図4の回路中の、イヤホンのインピーダンスを測定するための測定回路要部を抜粋して示した図である。
【図6】設定した全周波数で測定されたイヤホンの左右のインピーダンスのパターンの例を示したグラフである。
【図7】本発明の実施の形態におけるイヤホンの周波数特性の測定時のユーザ操作の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるイヤホンの周波数特性測定に利用する端末の主要部の構成例を示した図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるイヤホンデータをテーブル形式で模式的に示した図である。
【図10】本発明の実施の形態における端末でのユーザインタフェース画面の例を示した図である。
【図11】第1および第2の測定を統合し、イヤホンの音響特性を補正する処理のフローチャートを示す。
【図12】本発明の実施の形態の処理に対する付加的な処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図4は本実施の形態における携帯端末装置100の主要部の回路構成を示している。以下、携帯端末装置を単に「携帯端末」または「端末」ともいう。
【0020】
制御部110からはステレオの音声データ(R音声、L音声)が出力され、信号処理部111にてそれぞれアナログ信号に変換され、増幅部112で増幅される。増幅部112の左右両出力は、スイッチ113,114,115,116を通過し、DCカット用のコンデンサ117,118を介して、イヤホンジャック130へ出力される。スイッチ113,114,115,116は制御部110の制御下で(すなわち制御部110からの制御信号CNT1に従って)連動し、信号経路の切替を行う。すなわち、スイッチ113,114,115,116は、増幅部112から音声出力端子であるイヤホンジャック130までの信号経路にインピーダンス測定用の抵抗を選択的に介挿する切替手段を構成する。この切替手段により、増幅部112の出力をそのままスルーでそれぞれコンデンサ115,116へ導通させるか、抵抗(R1)121,122を介してコンデンサ117,118へ導通させるかを切り替える。
【0021】
信号処理部111および増幅部112がステレオ信号を処理する場合、図示のように、音声の信号経路、抵抗および出力端子は、それぞれ左右の1組が設けられる。制御部110は、左右の前記中間点の電圧を選択的に検出する。そのために、抵抗121のスイッチ115側の端部の信号と、抵抗122のスイッチ116側の信号とは、スイッチ120により選択的にADC119を介して制御部110へデジタル信号として入力される。スイッチ120は制御部110からの制御信号CNT2により切替制御される。
【0022】
イヤホンジャック130は、イヤホンプラグの挿入により接地されるイヤホン検出端子131(接続検出手段)を有する。これにより、イヤホン接続時にイヤホン接続検出信号が制御部110へ入力される構成となっている。制御部110は、接続検出手段の検出出力に応じて信号経路に測定用の抵抗を介挿するようスイッチ113,114,115,116を制御し、イヤホンのインピーダンスを測定する動作モードへ移行する。この測定を第1の測定という。
【0023】
制御部110には、CPU、その他のプロセッサおよびROM,RAM等のメモリを含む記憶部151、表示画面上に情報を表示する表示部152、ユーザから情報の入力操作を受ける操作部153が接続される。記録媒体に格納された楽曲データ(音楽データ)等の再生処理は制御部110が担当してもよいし、他の専用の再生処理部(図示せず)が担当してもよい。
【0024】
図5は、図4の回路中の、イヤホンジャック130に接続されたイヤホンのインピーダンスを測定するための測定回路要部を抜粋して示したものである。イヤホンのインピーダンスを測定する動作モードでは、インピーダンス測定用の抵抗(R1)を信号経路に介挿された状態で信号処理部111からテスト用音声信号を出力する。さらに、抵抗と音声出力端子に接続されたイヤホンとで構成される分圧回路の中間点の電圧を検出し、この検出された中間点の電圧に基づいてイヤホンのインピーダンスを算出する。そのために測定回路では、右音声の所定の周波数のテスト信号StRは、コンデンサ117を通過し、イヤホンの抵抗201を介して接地される。よって、抵抗121と抵抗201との間の中間点であるA点にはテスト信号StRを抵抗121と抵抗201とで分圧した信号が現れる。同様に、左音声の所定の周波数のテスト信号StLは、コンデンサ118を通過し、イヤホンの抵抗202を介して接地される。よって、抵抗122と抵抗202との間の中間点であるB点にはテスト信号StLを抵抗122と抵抗202とで分圧した信号が現れる。A点の信号とB点の信号とはスイッチ120を介して選択的にADC119へ入力される。
【0025】
ここで、本実施の形態におけるイヤホン200のインピーダンス測定(第1の測定)の手順を説明する。ここでは、イヤホンのインピーダンス(右または左)をR2とする。ただし、左右のインピーダンス値は必ずしも同じではない。
(1)イヤホン200のプラグがイヤホンジャック130に接続されたことを制御部110が検出すると、本実施の形態の動作モードの一つとしての第1の測定モードであるインピーダンス測定モードに入る。これを契機に、制御部110は、信号経路のスイッチ113,114、115,116を抵抗R1側に切り替える。
(2)制御部110より、ある周波数(f1)に設定されたサイン波の音声信号出力する。
(3)抵抗R1とイヤホンの抵抗値R2とで分圧された電圧値をADC119で測定する。
(4)ADC119の出力データを制御部110に入力することにより、制御部110にてイヤホンのf1周波数での中間点の電圧を測定する。この電圧はサイン波の実効値、ピーク値等により求めることができる。
(5)(2)の音声出力の周波数を変更し、同じ(3)(4)の手順で測定を行うことでイヤホンのインピーダンスを測定する。
(6)設定した全周波数の周波数特性の結果より、イヤホンのインピーダンスを決定する。
(7)スイッチ120を切り替えて、(2)〜(6)を実行する。
(8)イヤホンのインピーダンスが決定した後、インピーダンス測定モードを終了し、信号経路のスイッチ113,114、115,116を制御し、音声経路を切り替えて元の状態に戻す。
【0026】
図6に、設定した全周波数で測定されたイヤホンの左右のインピーダンスのパターンをグラフとして例示する。測定されたイヤホンの代表インピーダンス(代表値)として、全周波数のインピーダンスの平均値をとることができる。但し、図2に示したようにDCカット用のコンデンサによるHPFの特性では低域側の信号低下が問題となる。そこで、本実施の形態では、低域において測定されたインピーダンスをイヤホンの代表インピーダンスとする。
【0027】
なお、イヤホンの左右のインピーダンスは同じとみなして上記(7)を省略することも可能である。また、インピーダンスを測定する周波数については全周波数範囲ではなく、一部の周波数範囲(例えば低域)のみとしてもよい。
【0028】
このようにして得られたイヤホンの代表インピーダンスに応じて、HPFの特性を補正する。例えば、図2(a)(b)に示したようにインピーダンスが小さい程、低域における大きな減衰が見られる。そこで、制御部は、測定されたイヤホンのインピーダンスに応じて、信号処理部111を制御し、イヤホンのインピーダンスとコンデンサとにより構成される高域通過フィルタの特性を補償するように出力音声信号の低域ブースト補正を行う。例えば、インピーダンス値に応じて次のように信号処理部111により出力する音声信号の低域ブースト補正を行う。
【0029】
インピーダンス (16Ω) → 低域ブースト補正:強
インピーダンス (32Ω) → 低域ブースト補正:中
インピーダンス (64Ω) → 低域ブースト補正:なし
【0030】
なお、これらはDCカット用のコンデンサにも依存する為、その容量によっても補正量は変化しうる。
【0031】
次に、本実施の形態におけるイヤホンの周波数特性(感度周波数特性)を測定する方法について説明する。この測定を第2の測定といい、その動作モードを第2の測定モードという。
【0032】
図7は、本実施の形態におけるイヤホン200の周波数特性の測定時のユーザ操作の説明図である。この例では携帯端末として携帯電話端末を示している。図示のように、端末100から所定の周波数のテスト音声信号をイヤホン200に出力する。左右いずれかの測定対象のスピーカ部から発生する音声を端末100のマイク140で収音できるように、スピーカ部をマイク140に接近させて保持または配置する。周知のように、スピーカ部は電気信号を音声に変換する装置であり、マイク140は音声を電気信号に変換する装置である。
【0033】
図8は、この測定に利用する端末100の主要部の構成例を示している。上記のように、イヤホン200には信号処理部111および増幅部112からのテスト音声信号を与える。左右いずれかの測定対象のスピーカ部から発生する音声を、端末100のマイク140で収音し、マイク140の出力信号をADC150でデジタル値に変換し、制御部110に入力する。このようにしてマイク140から出力された信号のレベルを測定する。イヤホン200に与えるテスト音声信号のレベルは一定で、所定の周波数範囲で周波数が連続的に変換する周波数SWEEP(掃引)信号を出力して、マイク140の出力信号のレベルを測定を行うことにより、イヤホン200の周波数特性が測定できる。
【0034】
具体的なイヤホンの周波数感度特性の測定手順は次のとおりである。
【0035】
(1)イヤホンの音声出力部をマイクに押しあてる。
(2)イヤホンの伝達関数を設定する。
イヤホンには一般に、スポンジカバーがつき耳にはめるタイプのオープン型と、シリコンカバーがつき耳に挿入するタイプのカナル型がある。オープン型のほうが低域音声が外部に漏れやすく、カナル型の方が低域音声が外部に漏れづらい。そのため、端末内部に測定する前にこれらの差分を吸収する伝達関数の代表値を持っておき、測定前に設定できるようにすることでイヤホンの種別による伝達関数差分を吸収する。
(3)外部雑音を測定する。
この際、イヤホン200へのテスト音声信号は与えず、マイク140の出力信号を測定する。これにより得られた外部雑音を後の測定データから減算することで、環境雑音の影響を減少させることができる。
(4)制御部110より周波数SWEEP信号を出力し、ADC150で測定し、制御部110にて周波数解析演算を行う。これにより、イヤホンの周波数感度特性が得られる。
【0036】
なお、外部雑音の影響を減少させる為に、同じ測定を複数回繰り返して行うことも考慮する。
【0037】
図9は、イヤホンのインピーダンスの測定の結果、当該端末100の内部のメモリ(図示せず)に記憶するイヤホンデータをテーブル形式で模式的に示したものである。
【0038】
端末に新たなイヤホンを接続する度にそのインピーダンスの測定を行い、イヤホン毎に、その測定データおよびこれに基づいて決定された特性補正データをイヤホンデータとして保存する。図示の例では、各イヤホンデータは、「イヤホン名」と「代表インピーダンス」と「インピーダンスパターン」と「特性補正データ」を含んでいる。「イヤホン名」は後述するようにユーザが付与することができるイヤホンの名称である。「代表インピーダンス」は、上述のとおり、測定の結果得られたイヤホンの代表的なインピーダンス値である。「インピーダンスパターン」は測定されたインピーダンスの周波数特性を示すパターンである。このインピーダンスパターンは、特定の周波数範囲での周波数と測定インピーダンス値との関係を示すデータ群またはそれらのデータ群を表すパターン名である。「特性補正データ」は、当該イヤホンに対して決定された音声出力特性(音響特性)を補正するためのデータである。
【0039】
図10は、本実施の形態における端末でのユーザインタフェース画面の例を示している。図10(a)は、端末へのイヤホンの接続時にイヤホンのインピーダンス測定を行った後に、そのイヤホンが当該端末に対して新たなイヤホンであると判断されたときに、ユーザに対してそのイヤホンに対して任意の名称を付与することを要求する画面例を示している。すなわち、新たな種別のイヤホンが接続されたと判断されたときそのイヤホン名を入力するようにユーザに促す。これに応じて、ユーザにより入力されたイヤホン名はその測定された代表インピーダンス値およびインピーダンスパターンおよび特性補正データとともに記憶部に記憶される。図10(b)は、インピーダンス測定後に測定結果から、そのイヤホンは過去に測定を行い、データを保持している特定のイヤホンと推測される場合に、そのイヤホン名をユーザに提示して確認を求める画面例を示している。すなわち、記憶済みのイヤホンが接続されたと判断されたとき、そのイヤホン名を表示画面上に示して、接続されたイヤホンが当該イヤホンであるか否かを確認するようユーザに促す。ユーザの確認が「否」であれば第2の測定モードに移行し、「肯」であれば当該イヤホン名のイヤホンの特性補正データを利用するものとする。
【0040】
図11に、上述した第1および第2の測定を統合し、イヤホンの音声出力特性を補正する処理のフローチャートを示す。この処理は制御部110(図4)の制御下で携帯端末100の各部により実行される処理である。
【0041】
「イヤホン接続」すなわちイヤホンジャック130に対してイヤホン200(のプラグ)が挿入されたか否かを監視する(S1)。イヤホン接続が検出されたら、この端末の増幅部がDCバイアスアンプかどうかをチェックする(S2)。DCバイアスアンプであれば(Yes「肯))、ステップS3へ進み、そうでなければ(No「否」)、ステップS13へ移行する。なお、DCバイアスアンプが搭載された端末にのみこの処理を適用する場合には、ステップS2は削除してもよい。
【0042】
ステップS3では、動作モードをインピーダンス測定モードに切り替える。この動作モードでは、インピーダンスを判定する周波数を設定し(S4)、その周波数の音声出力信号(サイン波)を出力する(S5)。そこで、上記中間点の電圧を測定する(S6)。この測定結果に基づいてインピーダンスを計算する(S7)。測定対象となるすべての周波数についての測定が終了するまで、ステップS4に戻って測定を繰り返して実行する。
【0043】
すべての周波数についての測定が終了したら(S8,Yes)、イヤホンインピーダンス(の代表値)を特定し、その周波数特性(インピーダンスパターン)を記憶する(S9)。
【0044】
このインピーダンスパターンを記憶済のインピーダンスパターンと比較して、一致するインピーダンスパターンが存在するとき、すなわち、このイヤホンが過去に測定しているイヤホンであると確認された場合には(S10,No)、過去の補正データを読み出し(S22)、ステップS21へ移行する。
【0045】
過去に測定していないイヤホンについては、上記測定されたイヤホンインピーダンスに応じて音声経路周波数特性の補正を行い(S11)、インピーダンス測定モードを終了する(S12)。
【0046】
次いで、本実施の形態の第2の測定モードであるイヤホン周波数特性の測定モードに入り、その測定を開始する(S13)。このイヤホン周波数特性の測定では、信号処理部111からイヤホン200に対して可聴周波数範囲内で掃引されるテスト音声信号を出力し、この出力音声を前記マイクで収音して得られた入力音声信号に基づいて、イヤホンの周波数特性を測定する。
【0047】
具体的にはまず、イヤホンとマイクとの間の伝達関数を設定する(S14)。これは、イヤホンとマイクの位置関係を一定にしても、例えば、イヤホンの形式(オープン型、カナル型等)によってイヤホンからマイクへの伝達特性が異なるため、その違いを補償するために予め定めた伝達関数をイヤホンの形式の指定によって選択するものである。
【0048】
ついで、環境雑音の測定を行う(S15)。これは、イヤホンに対して何ら音声信号を出力しない状態でマイクから得られる音声信号を検出し、環境雑音を推定する処理である。このようにして得られた環境雑音は、後続の周波数測定の結果から相殺するのに利用する。
【0049】
そこで、判定音声周波数の設定を行う(S16)。例えば、掃引開始周波数、周波数間隔、送信終了周波数を設定し、これらに基づいて所定の周波数範囲でのサイン波の周波数掃引信号を「判定音声出力」として出力する(S17)。このような判定音声出力に対するマイク音声の解析を行う(S18)。設定された周波数範囲の測定を終了するまでステップS16〜18を繰り返して実行する。終了したら(S19,Yes)、ステップS15に戻り、このような測定処理をさらにN−1回(Nは複数)繰り返して行う。これによりN回の測定結果を得て、その平均値等から各周波数の測定結果を算出する。
【0050】
このようにして得られた測定結果に基づいて、イヤホン周波数特性を補正する(S21)。すなわち、第2の測定モードで測定されたイヤホンの周波数特性に基づいて、その周波数特性を補正する特性補正データを求め、この特性補正データに基づいて信号処理部111を制御し、出力音声信号の周波数特性を補正する。例えば、イヤホンの感度周波数特性が図3に示したような場合、出力する音声信号に対して、低域のブースト補正、中域(1−4KHz)のアッテネート補正を行い、周波数感度がイヤホンまで含めた経路でフラットになるように補正する。また、全体の音量(Volume)の調整も設定する。このようなイヤホンの周波数特性の補正データは、図9に示したテーブルの「特性補正データ」に追加、または別項目として追加し、保持することができる。
【0051】
ステップS15〜S20までは、ステレオ出力の場合、測定は右と左で別々に行ってもよいし、いずれか一方のみを代表として行ってもよい。
【0052】
上述したような音声信号の補正を行なうことで、端末に接続されたイヤホンの種別による音響特性の差分を吸収し、端末から出力された音声に忠実な再生環境を提供できる。また、もちろん、この補正を行なったのちに、ユーザによりイコライザを設定して音声出力パラメータを変更することにより、ユーザの好みの音質設定を行なうことも可能である。
【0053】
次に、図12により上記の実施の形態の処理に対する付加的な処理について説明する。この処理は、携帯端末の使用状況・環境に応じてイヤホン周波数特性をさらに補正するものである。近年の携帯端末にはさまざまな機能を実現するためのデバイスが装備されている。そのような機能には、上記音楽再生機能の他、例えば、現在位置検出手段としてのGPS(Global Positioning System)機能、端末の加速度を検出する加速度センサによる加速度検出機能等が挙げられる。図12の処理は、このような各種の機能の使用状況や環境に応じて、それに相応しいイヤホン周波数特性を提供しようとするものである。
【0054】
まず、携帯端末情報、すなわち端末の使用状況・環境を判断する(S31)。ここでは、端末位置情報、加速度情報、楽曲(再生曲)データの属性情報、周囲の雑音レベル、等である。
【0055】
ついで、最適な音声出力パラメータを求める(S32)。図示しないが、上記のような各種の携帯端末情報の内容に応じて、それに相応しい音声出力パラメータを定めたデータテーブル等を端末内または外部サーバに参照可能に用意しておく。得られた音声出力パラメータに基づいてイヤホン周波数特性の補正を行う(S33)。以下に具体例を示す。
【0056】
(1)位置情報の利用
外出時に音楽再生機能を利用している場合、繁華街、市街地のような特定の場所では周囲の騒音で音楽が聴き取りにくくなる。そこで、GPS機能により現在地を検出し、端末内または外部サーバの地図データベース等の利用により、現在地が当該特定の場所に属するか否かを判断する。特定の場所に属する場合には、それに対応して予め定めた音声出力パラメータを取得し、この音声出力パラメータに基づいてイヤホン周波数特性の補正を行う。より具体的には、例えば、音量を変えずに周波数特性を変更する(中高域の周波数帯域、例えば100Hz−10KHz程度の範囲の出力を強調する)ことで出力音声を聞きとりやすくする。
【0057】
(2)加速度情報の利用
携帯端末に内蔵された加速度センサより、その携帯端末を所持したユーザが歩行中か静止中かを判断することができる。そこで、歩行中であれば、周辺騒音が聞こえないと交通事故の危険性が増すことを考慮して、例えば、全体的に音量を下げる。
【0058】
(3)楽曲データの属性情報の利用
楽曲データから、その属性情報、例えば、楽曲の種別(Pops、ロック、クラシック等)、歌手の性別、等が認識できる場合、その属性情報に相応しい音声出力パラメータを選定する。例えば、ロックであれば低域(100Hz以下)および高域を強調し(5KHz以上)、Popsであれば音声帯域(1−4KHz)を強調する、等の措置を採る。さらに例えば、歌手が男性であればその音声域(100Hz−8000Hz)を強調し、女性であればその音声域(150Hz−10000Hz)を強調する等の措置を採る。
【0059】
(4)周囲の雑音レベルの利用
マイクで雑音レベルを判別し、出力音声の聞き取りやすさを改善する。例えば、ノイズキャンセルではなく、周波数特性を変更する(中高域を強調する)ことで聞きとりやすくする。
【0060】
上記の処理はあくまで例示であり、複数種類の携帯端末情報を取得後、総合的に判断して音声出力パラメータ設定することもできる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。
【0062】
例えば、上述した第1および第2の測定動作およびその測定結果の利用は必ずしも上記のように併用する必要はなく、いずれか一方のみを独立に実行することも可能である。
【0063】
携帯端末装置は携帯電話端末に限るものではなく、本発明は、DCカット用のコンデンサを音声の出力信号経路に有する任意の携帯型の端末装置に適用することができる。
【0064】
図12に示した処理は図11に示した処理に対する付加的な処理として説明したが、図11に示した処理と独立して単独で実行することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
100…携帯端末装置、110…制御部、111…信号処理部、112…増幅部、113,114,115,116…スイッチ、117,118…コンデンサ、120…スイッチ、121,122…抵抗、130…イヤホンジャック、131…イヤホン検出端子、140…マイク、200…イヤホン、201,202…抵抗
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号を処理する信号処理部と、
この信号処理部の出力音声信号を増幅する増幅部と、
音声信号の出力端子と、
前記増幅部から前記出力端子までの間に直流遮断用のコンデンサを有する信号経路と、
前記増幅部から前記出力端子までの信号経路にインピーダンス測定用の抵抗を選択的に介挿する切替手段と、
前記抵抗を前記信号経路に介挿された状態で前記信号処理部からテスト用音声信号を出力し、前記抵抗と前記出力端子に接続されたイヤホンとで構成される分圧回路の中間点の電圧を検出し、この検出された中間点の電圧に基づいて前記イヤホンのインピーダンスを測定する動作モードを有する制御手段と
を備えた携帯端末装置。
【請求項2】
前記出力端子にイヤホンが接続されたことを検出する接続検出手段とを備え、前記制御手段は、前記接続検出手段の検出出力に応じて前記信号経路に前記測定用の抵抗を介挿するよう前記切替手段を制御し、前記イヤホンのインピーダンスを測定する動作モードへ移行する請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記信号処理部、前記増幅部はステレオ信号を処理し、前記信号経路、前記抵抗、前記出力端子は、それぞれ左右の1組設けられ、前記制御手段は、左右の前記中間点の電圧を選択的に検出する請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記測定手段により測定されたイヤホンのインピーダンスに応じて、前記信号処理部を制御し、前記イヤホンのインピーダンスと前記コンデンサとにより構成される高域通過フィルタの特性を補償するように出力音声信号の低域ブースト補正を行う請求項1〜3のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記制御手段は、音声を電気信号に変換するマイクをさらに備え、前記信号処理部から前記イヤホンに対して可聴周波数範囲内で掃引されるテスト音声信号を出力し、この出力音声を前記マイクで収音して得られた入力音声信号に基づいて、前記イヤホンの周波数特性を測定する第2の測定モードを有する請求項1〜4のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2の測定モードで測定されたイヤホンの周波数特性に基づいて、その周波数特性を補正する特性補正データを求め、この特性補正データに基づいて前記信号処理部を制御し、出力音声信号の周波数特性を補正する請求項5に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記第2の測定モードにより得られた特性補正データをイヤホン毎に記憶する記憶手段をさらに備え、前記制御手段は、イヤホンが接続されたとき、可聴周波数範囲内の複数の周波数で前記イヤホンのインピーダンスを測定し、この測定により得られたインピーダンスの周波数特性を表すインピーダンスパターンを前記記憶手段に記憶しておき、イヤホンが新たに接続されたとき当該イヤホンのインピーダンスを測定し、そのインピーダンスパターンを前記記憶手段に記憶済みのインピーダンスパターンと比較し、一致するインピーダンスパターンが存在するときそのインピーダンスパターンのイヤホンに対する特性補正データを前記記憶手段から読み出して利用する請求項6に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
表示画面上に情報を表示する表示部と、ユーザから情報の入力操作を受ける操作部とを備え、新たな種別のイヤホンが接続されたと判断されたときそのイヤホン名を入力するようにユーザに促し、入力されたイヤホン名をその測定された代表インピーダンス値およびインピーダンスパターンおよび特性補正データとともに前記記憶手段に記憶する請求項7に記載の携帯端末装置。
【請求項9】
記憶済みのイヤホンが接続されたと判断されたとき、そのイヤホン名を表示画面上に示して、接続されたイヤホンが当該イヤホンであるか否かを確認するようユーザに促し、ユーザの確認が「否」であれば前記第2の測定モードに移行し、「肯」であれば当該イヤホン名のイヤホンの特性補正データを利用する請求項7または8に記載の携帯端末装置。
【請求項10】
端末位置情報、加速度情報、楽曲(再生曲)データの属性情報、周囲の雑音レベルの少なくとも一つを含む携帯端末情報を検出する手段を備え、前記制御手段は、検出された携帯端末情報に基づいてイヤホン周波数特性を補正する請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項11】
音声信号を処理する信号処理部と、
この信号処理部の出力音声信号を増幅する増幅部と、
音声信号の出力端子と、
音声を電気信号に変換するマイクと、
前記信号処理部から前記イヤホンに対して可聴周波数範囲内で掃引されるテスト音声信号を出力し、この出力音声を前記マイクで収音して得られた入力音声信号に基づいて、前記イヤホンの周波数特性を測定する制御手段と、
を備えた携帯端末装置。
【請求項1】
音声信号を処理する信号処理部と、
この信号処理部の出力音声信号を増幅する増幅部と、
音声信号の出力端子と、
前記増幅部から前記出力端子までの間に直流遮断用のコンデンサを有する信号経路と、
前記増幅部から前記出力端子までの信号経路にインピーダンス測定用の抵抗を選択的に介挿する切替手段と、
前記抵抗を前記信号経路に介挿された状態で前記信号処理部からテスト用音声信号を出力し、前記抵抗と前記出力端子に接続されたイヤホンとで構成される分圧回路の中間点の電圧を検出し、この検出された中間点の電圧に基づいて前記イヤホンのインピーダンスを測定する動作モードを有する制御手段と
を備えた携帯端末装置。
【請求項2】
前記出力端子にイヤホンが接続されたことを検出する接続検出手段とを備え、前記制御手段は、前記接続検出手段の検出出力に応じて前記信号経路に前記測定用の抵抗を介挿するよう前記切替手段を制御し、前記イヤホンのインピーダンスを測定する動作モードへ移行する請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記信号処理部、前記増幅部はステレオ信号を処理し、前記信号経路、前記抵抗、前記出力端子は、それぞれ左右の1組設けられ、前記制御手段は、左右の前記中間点の電圧を選択的に検出する請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記測定手段により測定されたイヤホンのインピーダンスに応じて、前記信号処理部を制御し、前記イヤホンのインピーダンスと前記コンデンサとにより構成される高域通過フィルタの特性を補償するように出力音声信号の低域ブースト補正を行う請求項1〜3のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記制御手段は、音声を電気信号に変換するマイクをさらに備え、前記信号処理部から前記イヤホンに対して可聴周波数範囲内で掃引されるテスト音声信号を出力し、この出力音声を前記マイクで収音して得られた入力音声信号に基づいて、前記イヤホンの周波数特性を測定する第2の測定モードを有する請求項1〜4のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2の測定モードで測定されたイヤホンの周波数特性に基づいて、その周波数特性を補正する特性補正データを求め、この特性補正データに基づいて前記信号処理部を制御し、出力音声信号の周波数特性を補正する請求項5に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記第2の測定モードにより得られた特性補正データをイヤホン毎に記憶する記憶手段をさらに備え、前記制御手段は、イヤホンが接続されたとき、可聴周波数範囲内の複数の周波数で前記イヤホンのインピーダンスを測定し、この測定により得られたインピーダンスの周波数特性を表すインピーダンスパターンを前記記憶手段に記憶しておき、イヤホンが新たに接続されたとき当該イヤホンのインピーダンスを測定し、そのインピーダンスパターンを前記記憶手段に記憶済みのインピーダンスパターンと比較し、一致するインピーダンスパターンが存在するときそのインピーダンスパターンのイヤホンに対する特性補正データを前記記憶手段から読み出して利用する請求項6に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
表示画面上に情報を表示する表示部と、ユーザから情報の入力操作を受ける操作部とを備え、新たな種別のイヤホンが接続されたと判断されたときそのイヤホン名を入力するようにユーザに促し、入力されたイヤホン名をその測定された代表インピーダンス値およびインピーダンスパターンおよび特性補正データとともに前記記憶手段に記憶する請求項7に記載の携帯端末装置。
【請求項9】
記憶済みのイヤホンが接続されたと判断されたとき、そのイヤホン名を表示画面上に示して、接続されたイヤホンが当該イヤホンであるか否かを確認するようユーザに促し、ユーザの確認が「否」であれば前記第2の測定モードに移行し、「肯」であれば当該イヤホン名のイヤホンの特性補正データを利用する請求項7または8に記載の携帯端末装置。
【請求項10】
端末位置情報、加速度情報、楽曲(再生曲)データの属性情報、周囲の雑音レベルの少なくとも一つを含む携帯端末情報を検出する手段を備え、前記制御手段は、検出された携帯端末情報に基づいてイヤホン周波数特性を補正する請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項11】
音声信号を処理する信号処理部と、
この信号処理部の出力音声信号を増幅する増幅部と、
音声信号の出力端子と、
音声を電気信号に変換するマイクと、
前記信号処理部から前記イヤホンに対して可聴周波数範囲内で掃引されるテスト音声信号を出力し、この出力音声を前記マイクで収音して得られた入力音声信号に基づいて、前記イヤホンの周波数特性を測定する制御手段と、
を備えた携帯端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−226329(P2010−226329A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70289(P2009−70289)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】
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