説明

携帯端末装置

【課題】タイムゾーンの相違に応じたメッセージを簡単かつ確実に発信者側端末に通知することができる携帯端末装置を提供する。
【解決手段】携帯端末装置1では、検知部111が、発信者側端末からの電話の呼出信号や電子メールなど発信情報の着信を検知すると、情報抽出部112が、発信情報に伴う付属情報から発信日時などの発信者側端末のタイムゾーン情報を抽出するともに、情報取得部113が、現在時刻や受信時刻などの自己のタイムゾーン情報を取得する。そして、タイムゾーン判断部114が、発信者側端末のタイムゾーン情報と自己のタイムゾーン情報とを比較し、通知部115が、比較結果に応じた通知を発信者側端末に発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置に関し、特に、電話や電子メールなどの着信に対してメッセージを返信する機能を有する携帯端末装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末装置には、電話などの着信に対して所定のメッセージで応答する機能を備えるものがある(たとえば、特許文献1)。かかる携帯端末装置では、目覚まし機能でモーニングコール時刻が設定されているときに、着信があると、モーニングコール時刻以降に通話可能である旨のメッセージが発信者側端末へ送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−151766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術の携帯端末装置によれば、海外などタイムゾーンの異なる場所に受信者または発信者がいる場合、その時差を発信者が理解できないことがある。ここで、「タイムゾーン」とは、共通の標準時(地方時)を使う地域全体のことをいう。
【0005】
たとえば、イギリスにいる受信者が、モーニングコール時刻をAM9時に設定した場合、日本にいる発信者がAM11時に電話しても、時差が8時間のイギリスではAM3時である。このため、目覚まし機能が働き、AM9時以降に通話可能である旨のメッセージが発信される。このように、発信時刻とメッセージの時刻に矛盾が生じ、受信者が海外などにいることを発信者が知らないと、発信者はこの矛盾を理解することができず、混乱してしまう。
【0006】
仮に、受信者が海外などにいることを発信者は知っていたとしても、受信者はメッセージを聞いて、時差から通話可能時間を計算しなければならず、煩わしい。
【0007】
本発明は、かかる課題を解消するために為されたものであり、発信者と受信者とのタイムゾーンの関係に応じたメッセージを簡単かつ確実に発信者側端末に発信できる携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる態様に係る携帯端末装置は、当該携帯端末装置側の時刻に応じたメッセージであってユーザにより予め設定されたメッセージを発信者側端末に通知する通知部と、前記発信者側端末から受信した情報に基づいて、前記発信者側端末が位置するタイムゾーンと当該携帯端末装置が位置するタイムゾーンとの関係を判断するタイムゾーン判断部とを備え、前記通知部は、前記タイムゾーン判断部の判断結果に応じて前記メッセージに対応する時刻を修正する。
【0009】
本発明の携帯端末装置において、発信者側端末からの着信を検知する検知部と、前記着信時に前記発信者側端末から送信される発信情報に付加された付属情報から前記発信者側端末のタイムゾーン情報を抽出する情報抽出部と、当該携帯端末装置のタイムゾーン情報を取得する情報取得部とを、さらに備え得る。この場合、前記タイムゾーン判断部は、前記発信者側端末のタイムゾーン情報と当該携帯端末装置のタイムゾーン情報との差異を判
断する。
【0010】
ここで、発信情報は、たとえば、電話の場合には、受信側端末に対する呼出信号であり、電子メールの場合には、電子メールの本文などの主情報である。あるいは、主情報に先だって受信要求信号が発信されるときには、受信要求信号が発信情報となる。
【0011】
本態様に係る携帯端末装置において、着信音を出力する通常モードと、前記着信音を出力しない着信音制限モードとを、設定された時刻において切り替えるモード制御部をさらに備え得る。ここで、前記タイムゾーン判断部は、前記判断結果に基づき、前記設定時刻を前記発信者側端末が位置するタイムゾーンに合わせた時刻に変換し、前記通知部は、変換された前記時刻を含むメッセージを発する。
【0012】
本態様に係る携帯端末装置において、前記着信音制限モードの解除条件が満たされるか否かを判断する解除判断部をさらに備え得る。ここで、前記モード制御部は、前記着信音制限モードが実行されているときに、前記解除判断部が前記解除条件が満たされたと判断すると、前記着信音制限モードから前記通常モードに切り替える。
【0013】
本態様に係る携帯端末装置において、前記情報抽出部は、前記検知部による電話の呼出の検知中および検知前のいずれかに、前記発信者側端末から電子メールが送られて来ると、前記電話の呼出信号に付加された前記付属情報を抽出するとともに前記電子メールに付加された前記付属情報を抽出するよう構成され得る。この場合、前記解除判断部は、抽出された各付属情報から、前記電話と前記電子メールの発信者側端末が一致する場合、前記解除条件が満たされたと判断する。
【0014】
本態様に係る携帯端末装置において、前記解除判断部は、前記検知部により電話の呼出が検知されている間に前記発信者側端末からキー情報が送られて来ると、前記キー情報が予め登録された情報である場合に、前記解除条件が満たされたと判断するよう構成され得る。
【0015】
本態様に係る携帯端末装置において、前記情報抽出部は、前記付属情報から発信者側端末に関する情報を抽出するよう構成され得る。この場合、前記解除判断部は、前記発信者側端末に関する情報が予め登録された情報であるとき、前記解除条件が満たされたと判断する。
【発明の効果】
【0016】
以上のとおり、本発明によれば、タイムゾーンの関係に応じたメッセージを簡単かつ確実に発信者側端末に通知することができる携帯端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係る携帯端末装置を示す図である。
【図2】実施の形態に係る携帯端末装置のブロック図である。
【図3】実施の形態に係る通知処理を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態に係る携帯端末装置のブロック図である。
【図5】実施の形態に係る通知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を参照して、本実施の形態に係る携帯端末装置1について説明する。
【0019】
<第1実施形態の構成>
図1は、第1キャビネット10に対して第2キャビネット20をほぼ鉛直に立てた状態
の携帯端末装置1を示す側面図である。携帯端末装置1は、第1キャビネット10および第2キャビネット20を備える。第2キャビネット20は、ヒンジ部30によって、第1キャビネット10に対し回動可能に連結されている。
【0020】
第1キャビネット10の正面側には、キー操作部11が設けられている。キー操作部11には、カーソルキー、センターキー、各種の機能モードへの切替えキー、通話開始キー、通話終了キー、番号入力キーおよび文字入力キーなどの各種キーが配される。
【0021】
第2キャビネット20の正面側には、やや縦長の矩形状を有する液晶表示パネル21が配されており、この表示面22が外部に臨んでいる。液晶表示パネル21の背後には、バックライト装置として導光板23および光源24が配されている。LEDなどの光源24からの光は、導光板23を介して液晶表示パネル21に供給される。
【0022】
図2は、携帯端末装置1の全体構成を示すブロック図である。図2に示すように、携帯端末装置1は、上述した各構成要素の他、CPU100、マイク101、音声エンコーダ102、クロック103、通信モジュール104、メモリ105、光源駆動回路106、映像デコーダ107、音声デコーダ108およびスピーカ109を備える。
【0023】
マイク101は、外部から受けた音声を音声信号に変換して音声エンコーダ102へ出力する。音声エンコーダ102は、マイク101からのアナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換するとともに、デジタルの音声信号にエンコード処理を施してCPU100へ出力する。
【0024】
クロック103は、時刻を計測して時刻信号をCPU100へ出力する。キー操作部11は、各種キーが押されると、キー信号をCPU100へ出力する。
【0025】
通信モジュール104は、CPU100からの音声信号や画像信号、テキスト信号などを電波信号に変換し、アンテナ104aを介して基地局へ送信する。反対に、アンテナ104aを介して受信した電波信号を音声信号や画像信号、テキスト信号などに変換してCPU100へ出力する。
【0026】
メモリ105は、ROMおよびRAMを含む。RAMは、キー操作部11のキー操作により入力されたデータを一時的に記憶する。これらデータは、必要に応じてRAMから読み出されたり、1つの情報としてまとめられてROMに保存されたりする。
【0027】
ROMは、連絡先情報、電子メール情報およびメモ情報などのテキストデータ、ならびに通信モジュール104を介して外部から取り込んだ画像データ、音声データおよびテキストデータなどが所定のファイル形式で記憶する。また、ROMは、CPU100を動作させるための制御プログラムを記憶する。なお、連絡先情報は、氏名、電話番号およびアドレスなどを含み、これらの情報が対応付けられて記憶されている。
【0028】
光源駆動回路106は、CPU100からの制御信号に応じた電圧信号を光源24に供給する。光源24は、電圧信号に応じた強度の可視光を出射する。
【0029】
映像デコーダ107は、CPU100からの映像信号を液晶表示パネル21で表示できるアナログもしくはデジタルの映像信号に変換し、液晶表示パネル21に出力する。液晶表示パネル21は、映像信号に応じて画像を表示面22に表示する。
【0030】
音声デコーダ108は、CPU100からの音声信号をスピーカ109で出力できるアナログの音声信号に変換し、スピーカ109に出力する。スピーカ109は、音声デコー
ダ108からの音声信号を音声として再生する。
【0031】
CPU100は、キー操作部11、マイク101およびクロック103など各部からの入力信号に基づいて、通信モジュール104、映像デコーダ107、音声デコーダ108および光源駆動回路106などの各部に制御信号を出力することにより、通話処理や各種の機能モードの処理を行う。
【0032】
CPU100は、モード制御部110、検知部111、情報抽出部112、情報取得部113、タイムゾーン判断部114および通知部115を備える。これら各部は、CPU100によって実行されるソフトウェアの機能として実現される。
【0033】
モード制御部110は、キー操作部11からのキー信号、およびクロック103からの時刻信号などを受け、これらの信号に応じて通常モードと着信音制限モードとを切り替える。なお、通常モードは、着信音を出力するモードであり、着信音制限モードは着信音を出力しないモードである。
【0034】
また、モード制御部110は、キー操作部11からのキー信号により、着信音を出力しない時間帯、即ちその時間帯の始まりの時刻(開始時刻)および終わりの時刻(終了時刻)が設定されると、開始時刻および終了時刻をメモリ105に記憶させる。そして、モード制御部110は、上記時間帯になると、通常モードから着信音制限モードに切り替え、上記時間帯が終わると、着信音制限モードから通常モードへ切り替える。
【0035】
さらに、モード制御部110は、検知部111からの着信が通知されると、着信をユーザに知らせる。たとえば、通常モードでは、モード制御部110は、音声信号を音声デコーダ108へ出力することにより、音声デコーダ108を介してスピーカ109に着信音を出力させる。着信音制限モードでは、映像信号を映像デコーダ107に出力することにより、映像デコーダ107を介して液晶表示パネル21に着信を示す画像を表示させる。
【0036】
検知部111は、通信モジュール104からの入力信号より、電話など音声通信の呼出信号が着信したことを検知する。そして、検知部111は、呼出信号に伴う付属情報を情報抽出部112へ出力するとともに、呼出信号があった旨を情報取得部113およびモード制御部110へ通知する。
【0037】
ここで、呼出信号は、電話などの音声通信を求めるユーザの操作により端末装置から発信された発信情報である。付属情報は、呼出信号に付け加えられた情報であって、呼出信号を発信した端末装置(以下、発信者側端末という。)または発信者側端末の基地局により呼出信号に付加され、発信者側端末のタイムゾーン情報、電話番号などを含む。タイムゾーン情報は、呼出信号などを発信した時刻などであり、発信者側端末が属するタイムゾーンを示す。タイムゾーン情報は、呼出信号の発信時に、発信者側端末や基地局などにより呼出信号に付け加えられる。
【0038】
なお、発信者側端末は、携帯電話などの携帯端末装置、固定電話、パソコンなどのコンピュータなどであり、有線または無線の通信路により受信者側端末と通信され得る。また、受信者側端末は、呼出信号を受信する携帯端末装置1である。
【0039】
情報抽出部112は、検知部111から送られた付属情報から発信者側端末のタイムゾーン情報を必要に応じて抽出し、タイムゾーン判断部114へ出力する。
【0040】
情報取得部113は、検知部111から着信の通知を受けた際に、クロック103から現在時刻を取得し、現在時刻を受信者側端末のタイムゾーン情報としてタイムゾーン判断
部114へ出力する。なお、受信者側端末のタイムゾーン情報が自己のタイムゾーン情報に相当する。
【0041】
タイムゾーン判断部114は、情報抽出部112から発信者側端末のタイムゾーン情報を得ると共に、情報取得部113から受信者側端末のタイムゾーン情報を得て、これらを比較した結果を通知部115へ出力する。比較結果としては、発信者側端末のタイムゾーン情報の時刻と受信者側端末のタイムゾーン情報の時刻とが一致しているか否かの情報、これらの時刻の差、および受信者側端末のタイムゾーン情報などが挙げられる。また、着信音制限モードの時間帯が設定されている場合、タイムゾーン判断部114は、終了時刻をメモリ105から読み出し、時差などに基づいて、終了時刻を発信者側端末のタイムゾーンにおける時刻に変換する。そして、変換した時刻を比較結果として出力する。
【0042】
通知部115は、タイムゾーン判断部114からの比較結果を受けるとともに、所定のメッセージ情報をメモリ105から読み出して、メッセージ情報に比較結果の情報を加えて通信モジュール104へ出力する。これにより、通知部115は、電話の呼出信号に応答して、通信モジュール104により音声として比較結果の情報を含むメッセージ情報を発信者側端末へ出力させる。
【0043】
<第1の実施形態の処理手順>
図3は、着信音制限モードの設定中に発信者から電話がかかってきた場合の処理手順を示すフローチャートである。
【0044】
ユーザのキー操作により着信音制限モードが設定され、着信音制限モードの終了時刻が、たとえばAM9時に設定された場合、モード制御部110は、通常モードから着信音制限モードに切り替えて、終了時刻をメモリ105に記憶する(ステップS101)。
【0045】
発信者側端末から呼出信号などが発せられ、通信モジュール104が呼出信号およびその付属情報を受信すると、検知部111は、呼出信号の着信を検知する。そして、検知部111は、付属情報を情報抽出部112へ出力し、着信があった旨を情報取得部113およびモード制御部110へ通知する(ステップS102)。
【0046】
情報抽出部112は、発信時刻を付属情報から抽出し、発信時刻を発信者側端末のタイムゾーン情報とする(ステップS103)。また、情報取得部113は、着信の通知を受けると、現在時刻をクロック103から取得し、この現在時刻を受信者側端末のタイムゾーン情報とする(ステップS104)。
【0047】
モード制御部110は、着信の通知を受けると、現在時刻をクロック103から取得するとともに、着信音制限モードの終了時刻をメモリ105から読み出す。そして、モード制御部110は、現在時刻が終了時刻を経過しているか否かを判断する(ステップS105)。ここで、現在時刻が終了時刻を経過している場合(ステップS105:YES)、モード制御部110は、着信音制限モードを通常モードへ切り替えて、着信音をスピーカ109に出力させる(ステップS106)。一方、現在時刻が終了時刻を経過していない場合(ステップS105:NO)、着信があった旨を示す画像を表示パネルの表示面22に表示させる。
【0048】
次に、タイムゾーン判断部114は、発信者側端末のタイムゾーン情報と受信者側端末のタイムゾーン情報とを比較し、これらが一致するか否かを判断する(ステップS107)。
【0049】
ここで、日本にいる発信者が、イギリスにいる受信者へAM11時に電話をかけた場合
、発信時刻がAM11時であるのに対し、受信時刻はAM3時になるので、タイムゾーン判断部114の比較結果、発信者側端末のタイムゾーン情報と、受信者側端末のタイムゾーン情報とが一致しない(ステップS107:NO)。この場合、タイムゾーン判断部114は、終了時刻AM9時をメモリ105から読み出し、また、受信時刻と発信時刻との時差8時間を算出する。次に、タイムゾーン判断部114は、時差8時間に基づき、終了時刻AM9時を発信者側端末のタイムゾーンにおける時刻PM5時に変換する(ステップS108)。そして、通知部115は、メッセージ情報をメモリ105から読み出し、メッセージ情報、および発信者側端末のタイムゾーンに変換された終了時刻PM5時を加えて、通信モジュール104へ出力する。これにより、通知部115は、呼出信号に応答して、「PM5時まで電話に出ることができません」とのメッセージを音声にて発信者側端末へ発する(ステップS109)。
【0050】
一方、発信者および受信者が共に日本にいて、タイムゾーン判断部114の比較の結果、発信者側端末のタイムゾーン情報と、受信者側端末のタイムゾーン情報とが一致する場合(ステップS107:YES)、通知部115は、所定メッセージおよび終了時刻をメモリ105から読み出して、終了時刻AM9時を加えたメッセージを通信モジュール104へ出力する。これにより、通知部115は、呼出信号に応じて、「AM9時まで電話に出ることができません。」とのメッセージを発信者側端末へ通知する(ステップS109)。
【0051】
以上、本実施の形態によれば、発信者側端末からの呼出信号(発信情報)の着信に応答して、発信者側端末のタイムゾーン情報と受信者側端末のタイムゾーン情報との差異に応じたメッセージを発信者側端末に適切に通知することができる。より具体的には、タイムゾーンが異なる場合、着信音制限モードの終了時刻を発信者側端末のタイムゾーンに対応した時刻に変換して発信者側端末に通知する。これにより、発信者は時差を求めて通話可能時刻を計算する手間が省ける。
【0052】
また、本実施の形態によれば、発信者が発信した呼出信号から発信者のタイムゾーン情報を取得することにより、発信者のタイムゾーン情報を取得するための機能を別途設ける必要がなく、シンプルなシステムで発信者のタイムゾーン情報の取得が可能である。また、タイムゾーン情報の取得だけのための通信が不要で通信費が嵩まない。
【0053】
さらに、本実施の形態によれば、受信者側端末のタイムゾーン情報を着信時に得るため、発信者は、受信者側端末のタイムゾーン情報を受信者に要求しなくて済む上、受信者側端末のタイムゾーン情報を確実に取得できる。このため、発信者は、受信者とのタイムゾーンの差異などを簡単かつ確実に通知されるため、使い勝手が良い。
【0054】
<第2実施形態>
第2実施形態の携帯端末装置1は第1実施形態の携帯端末装置1とほぼ同じであるが、第2実施形態の携帯端末装置1が解除判断部116をさらに備える点と、検知部111および通知部115とが異なる。なお、第2実施形態の構成のうち第1実施形態の構成と同様なものについて、同じ番号を付して、その説明を省略する。
【0055】
検知部111は、電話の呼出信号の着信に加え、電子メールの着信や発信者側端末からのキー情報の着信も検知する。
【0056】
ここで、電子メールは、主情報およびこれに伴う付属情報を含む。主情報は、本文や件名などのテキストデータ、添付ファイルなどのテキストデータ、音声データや画像データなどを含み、発信者により発信された発信情報である。付属情報は、ヘッダー情報など電子メールの送受信に関する情報であって、電子メールを送受信する際に発信者側端末やサ
ーバーなどにより電子メールに付加される。付属情報には、発信者側端末のタイムゾーン情報、発信者側端末情報およびキー情報などが含まれる。発信者側端末情報は、発信者側端末を識別する情報であって、発信者側端末のアドレスなどである。また、キー情報は、発信者側端末のキー操作部11などが操作されることにより入力された数字や文字などである。
【0057】
図4は、携帯端末装置1の全体構成を示すブロック図である。図4に示すように、CPU100は、解除判断部116をさらに有する。
【0058】
解除判断部116は、着信音制限モードの設定中に、着信音制限モードの解除条件を具備するか否かを判断し、解除条件を具備する場合、解除指示をモード制御部110に与えて、着信音制限モードから通常モードに切り替えさせる。
【0059】
解除条件としては、検知部により電話の呼出が検知されている間に、発信者側端末から電子メールが送られて来たときに、電話の呼出信号に付加された付属情報および電子メールに付加された付属情報から、電話と電子メールの発信者側端末が一致する場合である。また、別の解除条件としては、検知部により電話の呼出が検知されている間に発信者側端末からキー情報が送られて来たときに、キー情報が暗証情報など予め登録された情報である場合である。なお、暗証情報は、メモリ105に予め登録されている数字や文字などの情報である。
【0060】
図5は、着信音制限モードが設定されている場合の処理手順を示すフローチャートである。なお、ステップS201〜S208のそれぞれは、図3のステップS101〜S108のそれぞれと同様であるため、説明は省略する。
【0061】
タイムゾーン判断部114の比較結果、発信者側端末のタイムゾーン情報と、受信者側端末のタイムゾーン情報とが一致しない場合、通知部115は、着信音制限モードの終了時刻およびメッセージ情報および暗証情報(1234など)をメモリ105から読み出し、時差や発信者側端末のタイムゾーンにおける終了時刻を算出して、これらを通信モジュール104へ出力する。このメッセージ情報には、着信音制限モードの終了時刻以降に連絡可能である旨のメッセージに加え、通信音制限モードの解除条件を示すメッセージを含む。これにより、通知部115は、呼出信号に応答し、「PM5時まで電話に出ることができません。お急ぎの方は、電子メールを送信していただくか、1234を入力してください。」とのメッセージを発信者側端末へ出力する(ステップS209)。
【0062】
一方、タイムゾーン判断部114の比較結果、発信者側端末のタイムゾーン情報と、受信者側端末のタイムゾーン情報とが一致する場合、通知部115は、着信音制限モードの終了時刻およびメッセージ情報および暗証情報(1234など)をメモリ105から読み出し、これらを通信モジュール104へ出力する。これにより、通知部115は、呼出信号に応え、「AM9時まで電話に出ることができません。お急ぎの方は、電子メールを送信していただくか、1234を入力してください。」とのメッセージを発信者側端末へ発する(ステップS209)。
【0063】
次に、解除判断部116は、検知部111が電話の着信を検知している間、情報抽出部112からの発信情報および検知部111からのキー情報を待つ。
【0064】
たとえば、発信者側端末が電話の呼出信号を受信者側端末へ発している間に、発信者側端末の表示面22に電子メールボタンが表示される。この電子メールボタンが選択されると、発信者側端末から受信者側端末へ電子メールが自動的に送信され、電子メールは受信者側端末の通信モジュール104に受信される。検知部111は、電子メールが着信した
ことを検知し、電子メールの付属情報を情報抽出部112へ出力する。情報抽出部112は、電子メールの付属情報から発信情報のアドレスを抽出し、解除判断部116へ出力する。解除判断部116は、メモリ105の連絡先情報を参照して、アドレスに対応する電話番号を取得する。そして、解除判断部116は、取得した電話番号と、発信者側端末の電話番号とを比較して、これらが一致している場合、解除条件に具備しているとして、解除信号をモード判断部へ出力する(ステップS210:YES)。
【0065】
モード制御部110は、解除判断部116から解除指示を受けて、音声信号を音声デコーダ108へ出力することにより、音声デコーダ108を介してスピーカ109に着信音を出力させる(ステップS211)。
【0066】
また、発信者側端末が電話の呼出信号を受信者側端末へ発している間に、ユーザのキー操作によって入力されたキー情報が発信者側端末から受信者側端末へ送信されると、検知部111は、キー情報が着信したことを検知し、キー情報を解除判断定部116へ出力する。解除判断部116は、検知部111からのキー情報をメモリ105の暗証情報と照合し、これらが一致している場合、解除条件に具備しているとして、解除指示をモード制御部110へ与えることにより、スピーカ109から着信音を出力させる(ステップS210:YES)。
【0067】
以上、本実施の形態によれば、発信者が通話を望む場合には、受信者だけでなく、発信者からも着信音制限モードを解除できることにより、発信者は、着信音を鳴らして、受信者側端末に着信を知らせることができる。また、受信者は、着信音制限モードを設定していても、緊急時などの電話の着信を知り、電話に出ることができる。
【0068】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0069】
たとえば、上記実施形態では、検知部111は、電話など音声通信の呼出信号を発信情報として検知したが、電子メールなどデータ通信を発信情報として検知することもできる。
【0070】
電子メールの場合、最初から主情報(本文など)とその付属情報が発信される場合と、最初に主情報の受信を求める受信要求信号および付属情報が発信され、受信要求が認められた後に主情報が発信される場合がある。最初から主情報が発信される場合、主情報が発信情報となり、最初に受信要求信号が発信される場合、要求信号が発信情報となる。
【0071】
電子メールの付属情報は、発信者側端末のタイムゾーン情報および発信者側端末情報などを含む。発信者側端末情報は発信者側端末のアドレスなどであり、タイムゾーン情報は電子メールなどを発信した時刻などである。この発信者側端末のアドレスや発信時刻などの付属情報がヘッダー部分に含まれている場合、検知部111はヘッダー情報を情報抽出部112へ出力することもできる。情報抽出部112は、付属情報から発信時刻などタイムゾーン情報を抽出し、タイムゾーン判断部114へ出力するとともに、付属情報からアドレスなど発信者側端末情報を抽出し、通知部115へ出力する。通知部115は、情報抽出部112からのアドレスに対して、メッセージ情報に着信音制御モードの終了時刻などを加えたメッセージを文字データとして電子メールで送信する。たとえば、通知部115は、「返信メールはPM5時以降になります。」などのメッセージを送信する。
【0072】
また、上記実施形態では、発信者側端末および受信者側端末のタイムゾーン情報に時刻
を用いたが、タイムゾーン情報は発信者側端末および受信者側端末が属するタイムゾーンを示す情報であれば、これに限定されない。たとえば、タイムゾーン情報に発信者側端末および受信者側端末の位置情報を用いることもできる。位置情報は発信者側端末などのGPSにより求められる。なお、基地局などの位置は発信者側端末などの位置と異なるが、これらのタイムゾーンの違いほとんどないことから、基地局などのタイムゾーンは発信者側端末および受信者側端末のタイムゾーンとみなされる。この場合、携帯端末装置には、位置と標準時との関係テーブルなどがメモリ105に保持され、関係テーブルなどを用いて位置情報が時刻情報に変換され得る。
【0073】
発信者側端末が固定電話の場合には、タイムゾーン情報として、電話番号を用いることもできる。この場合、発信者側端末からの付属情報には、国番号から始まる電話番号が含まれる。また、携帯端末装置1のメモリ105内には、たとえば、電話番号を構成する国番号と地域番号と標準時と対応づけられた関係テーブルが記憶されている。タイムゾーン判断部114は、発信者側端末の電話番号に対応する標準時と携帯端末装置1の標準時とに差異があれは、その時差に基づいて、着信音制御モードの終了時刻を変換する。なお、関係テーブルは、サマータイムが考慮され、時期に応じて標準時が変更される構成とされても良い。
【0074】
また、上記実施形態では、発信者側端末および受信者側端末のタイムゾーン情報が一致しない場合、タイムゾーン判断部114は、時差に基づき、着信音制限モードの終了時刻を発信者側端末のタイムゾーンにおける時刻に変換して、この変換時刻を含むメッセージが発信者側端末へ発せられた。これに対し、タイムゾーン判断部114は、発信者側端末および受信者側端末のタイムゾーン情報から算出した時差をメッセージとして発信者側端末へ発することもできる。この場合、時差でけでもよいし、時差に、発信者側端末のタイムゾーンに対応した終了時刻もメッセージに組み合わせてもよい。
【0075】
さらに、上記実施形態では、着信音制限モードの終了時刻をメモリ105に記憶したが、着信音制限モードの開始時刻も記憶することができる。この場合、タイムゾーン判断部114は、タイムゾーン情報が一致していないと、時差に応じて開始時刻の変換をも行う。たとえば、発信者が日本におり、受信者が時差8時間のイギリスにいて、着信音制限モードの時間帯がAM12時からAM9時までとされている場合は、通知部115は、「AM8時からPM5時までは電話に出ることができません。」などのメッセージを送信する。
【0076】
また、上記実施形態では、着信音を出力しない着信音制限モードが設定されたが、これに限定されない。たとえば、守番電話や伝言メモなど、着信音の出力の有無にかかわらず、通知部115が呼出信号の着信に対して自動的に応答してメッセージを発信者側端末に出力する着信制御モードが設定され得る。このようなモードにおいて、時刻が設定されている場合、発信者側端末のタイムゾーンに対応した時刻に設定時刻が変換され、この時刻を含むメッセージが発信者側端末に発信される。なお、留守番電話のモードの場合などは、通知部115が、留守番電話が設定されたサーバーに呼出信号および発信者側端末タイムゾーンに対応した設定時刻などを転送することにより、サーバーを介してタイムゾーンに対応した設定時刻などを含むメッセージが発信者側端末へ発信させ得る。
【0077】
また、第2実施形態では、検知部111が発信者端末からの電話の着信を検知している間、電子メールの着信を検知し、発信者側端末の電話番号と電子メールのアドレスから導き出した電話番号とが一致している場合、解除判断部116は、解除条件を具備していると判断した。これに対して、検知部111が発信者端末からの電話の着信を検知する前に、電子メールの着信を検知し、この電子メールから導き出した電話番号と電子メールに続いて着信した電話の電話番号が一致すると、解除判断部116は、解除条件を具備してい
ると判断することもできる。この場合、電子メールの着信と電話の着信との間に他の着信がなく連続していればよい。また、電子メールの着信から電話の着信までの経過時間を測定し、経過時間が所定の閾値以下であることをさらなる条件とすることもできる。
【0078】
さらに、上記実施形態の解除条件の他に、電話や電子メールの付属情報に含まれる発信者側端末情報が、解除対象として予め登録された連絡先情報と一致する場合に解除することもできる。この場合、情報抽出部112は、付属情報から発信者側端末の電話番号を抽出し、解除判断部116へ出力する。解除判断部116は、解除対象の連絡先情報を参照しながら、情報抽出部112からの発信者側端末の電話番号が解除対象であるか否かを判断する。発信者側端末の電話番号と一致する電話番号が解除対象にあれば、解除条件を具備するとして、解除判断部116は、解除指示をモード判断部へ与え、着信音を出力させる。
【0079】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 … 携帯端末装置
110 … モード制御部
111 … 検知部
112 … 情報抽出部
113 … 情報取得部
114 … タイムゾーン判断部
115 … 通知部
116 … 解除判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置において、
当該携帯端末装置側の時刻に応じたメッセージであってユーザにより予め設定されたメッセージを発信者側端末に通知する通知部と、
前記発信者側端末から受信した情報に基づいて、前記発信者側端末が位置するタイムゾーンと当該携帯端末装置が位置するタイムゾーンとの関係を判断するタイムゾーン判断部とを備え、
前記通知部は、前記タイムゾーン判断部の判断結果に応じて前記メッセージに対応する時刻を修正する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置において、
発信者側端末からの着信を検知する検知部と、
前記着信時に前記発信者側端末から送信される発信情報に付加された付属情報から前記発信者側端末のタイムゾーン情報を抽出する情報抽出部と、
当該携帯端末装置のタイムゾーン情報を取得する情報取得部とを、さらに備え、
前記タイムゾーン判断部は、前記発信者側端末のタイムゾーン情報と当該携帯端末装置のタイムゾーン情報との差異を判断する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の携帯端末装置において、
着信音を出力する通常モードと、前記着信音を出力しない着信音制限モードとを、設定された時刻において切り替えるモード制御部をさらに備え、
前記タイムゾーン判断部は、前記判断結果に基づき、前記設定時刻を前記発信者側端末が位置するタイムゾーンに合わせた時刻に変換し、前記通知部は、変換された前記時刻を含むメッセージを発する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯端末装置において、
前記着信音制限モードの解除条件が満たされるか否かを判断する解除判断部をさらに備え、
前記モード制御部は、前記着信音制限モードが実行されているときに、前記解除判断部が前記解除条件が満たされたと判断すると、前記着信音制限モードから前記通常モードに切り替える、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯端末装置において、
前記情報抽出部は、前記検知部による電話の呼出の検知中および検知前のいずれかに、前記発信者側端末から電子メールが送られて来ると、前記電話の呼出信号に付加された前記付属情報を抽出するとともに前記電子メールに付加された前記付属情報を抽出するよう構成され、
前記解除判断部は、抽出された各付属情報から、前記電話と前記電子メールの発信者側端末が一致する場合、前記解除条件が満たされたと判断する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】
請求項4に記載の携帯端末装置において、
前記解除判断部は、前記検知部により電話の呼出が検知されている間に前記発信者側端末からキー情報が送られて来ると、前記キー情報が予め登録された情報である場合に、前記解除条件が満たされたと判断する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
請求項4に記載の携帯端末装置において、
前記情報抽出部は、前記付属情報から発信者側端末に関する情報を抽出するよう構成され、
前記解除判断部は、前記発信者側端末に関する情報が予め登録された情報であるとき、前記解除条件が満たされたと判断する、
ことを特徴とする携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−10270(P2012−10270A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146487(P2010−146487)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】