説明

携帯端末

【課題】非接触通信機能を備えた携帯端末において、非接触通信媒体を端末側に翳して通信を行う場合でも、端末を非接触通信媒体側に移動させて通信を行う場合でも、通信を良好に行うことができる構成を、コストの増大を抑えて実現する。
【解決手段】携帯端末1では、アンテナユニット50の保持位置を変更可能な突出部53a、53b、第1係合部31a、31b及び第2係合部32a、32bが設けられており、アンテナユニット50の保持位置を、上方側に配置された非接触通信媒体Cと通信可能な上面位置と、下方側に配置された非接触通信媒体Cと通信可能な下面位置とに切り替え可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、非接触式ICカード等の非接触通信媒体と非接触通信を行う機能を備えた携帯端末が提供されている。例えば、このような携帯端末としては、下記特許文献1に示すものが知られている。
【0003】
特許文献1には、RFタグ(3)と交信可能なリーダライタを備えたRFタグ用携帯型情報端末装置が記載されている。このRFタグ用携帯型情報端末装置は、さらにバーコードを読むバーコードリ−ダを備えている。そして、リーダライタのアンテナ部(2)は、バーコード窓を備えており、このバーコード窓がバーコード光を照射するための読取口と向かい合う位置に、着脱可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3637821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような携帯端末(非接触通信端末)では、ICカード等の非接触通信媒体との間で非接触通信を行う際に、用途に応じて、当該携帯端末に対して非接触通信媒体を翳して通信すべき場合と、当該携帯端末側から非接触通信媒体に近づけて通信すべき場合とが想定される。例えば、商品等の代金を支払う決済用途などでは、金銭的な価値の大きい電子マネーやクレジットカード等を扱う都合上、客側が主体となり、ICカード等を携帯端末に設けられる表示装置などの上に翳して通信する場合が多い。一方、スキー場のリフト乗り場で行われるリフト券の確認や映画館などの施設等で行われるもぎり用途では、確認作業を円滑に素早く完了させることが重視されるため、確認者(端末操作者)が主体となり、携帯端末を通信対象となる非接触通信媒体に近づけて通信する場合が多い。このように、用途によって通信態様が異なるため、これら様々な用途に対応可能な携帯端末が望まれている。
【0006】
このようなニーズに応えるためには、例えば、各用途に合わせた携帯端末をそれぞれ個別に設計することも考えられるが、このような方法では、設計や開発にかかるコストが増大してしまうといった問題がある。また、上述のように複数の用途が想定される場合、各用途に合わせて設計された携帯端末を用意しなければならないという問題もある。
【0007】
例えば、特許文献1の装置では、表示装置が設けられる面とは反対側にアンテナ部が設けられているため、もぎり用途のように端末自体を読取対象物(リフト券やチケット等)に近づける場合、表示装置側が上方に向く通常姿勢からそれほど装置姿勢を変更せずに反対側のアンテナをそのまま読取対象物に近づけることができるため、特に持ち方を変更する必要もなく、上述のもぎり用途に適しているといえる。しかしながら、この構成は、ICカード等を表示装置側から翳して通信させにくく、決済用途には適していないという問題がある。特に、決済用途では、金銭的機能を有する非接触通信媒体(電子マネー機能付きICカード等)を利用する関係上、機器操作者側が主導的に機器を非接触通信媒体に近づけて読むのではなく、客側の意思の下、客側が自発的に且つ容易に非接触通信媒体を翳すことができるようにする必要がある。
【0008】
従って、上記のように表示装置の反対側にアンテナ部が設けられた携帯端末では、非接触通信媒体を読み取る際に、通常姿勢(表示装置側が上方に向く装置姿勢)から装置をひっくり返すように向きを変える必要があり、操作性が非常に悪くなってしまう。その上、このように反対向きにひっくり返して読み取りを行うと、今度は表示画面が下向きに配置されてしまうため、読み取り時に客や使用者が表示装置を確認できなくなる。ゆえに、上記構成のものは、決済時に決済金額や決済処理の完了を即座に確認することが求められる決済用途への使用は難しい。このような理由により、従来では、決済用途を円滑に行うために当該用途に適した端末を別途用意せざるを得なかった。
【0009】
また、別の方法としては、非接触通信媒体と通信を行うためのアンテナを端末内の様々な場所に多数配置することが考えられる。このようにすれば、非接触通信媒体の配置の自由度が高まるため、複数用途への適用可能性が大きくなる。しかしながら、この構成では、アンテナの配置領域の増大に起因するデメリットが避けられず、特に、コスト面で不利となってしまう。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、非接触通信機能を備えた携帯端末において、非接触通信媒体を端末側に翳して通信を行う場合でも、端末を非接触通信媒体側に移動させて通信を行う場合でも、通信を良好に行うことができる構成を、コストの増大を抑えて実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、アンテナと、前記アンテナを保持する保持部材と、を備えたアンテナユニットと、前記アンテナを介して非接触通信媒体と非接触通信を行う非接触通信手段と、前記非接触通信手段を収容する長手状のケースと、前記ケースの長手方向一方側且つ厚さ方向一方側に配置される表示装置と、前記アンテナユニットの保持位置を、前記ケースの長手方向一方側で変更可能な位置変更手段と、を備え、前記位置変更手段は、前記アンテナユニットの保持位置を、少なくとも前記厚さ方向一方側に配置された前記非接触通信媒体と通信可能な第1位置と、前記厚さ方向他方側に配置された前記非接触通信媒体と通信可能な第2位置とに切り替え可能とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明に係る携帯端末では、アンテナユニットの保持位置を変更可能な位置変更手段が設けられており、この位置変更手段は、アンテナユニットの保持位置を、少なくとも厚さ方向一方側に配置された非接触通信媒体と通信可能な第1位置と、厚さ方向他方側に配置された非接触通信媒体と通信可能な第2位置とに切り替え可能とされている。
この構成によれば、端末の厚さ方向一方側に配置された非接触通信媒体を読み取る用途では、アンテナユニットを第1位置に切り替えて読み取りをより確実に行うことができ、厚さ方向他方側に配置された非接触通信媒体を読み取る用途では、アンテナユニットを第2位置に切り替えて読み取りをより確実に行うことができる。従って、非接触通信媒体を厚さ方向一方側から端末側に翳して通信を行う場合でも、端末を非接触通信媒体側に移動させ当該非接触通信媒体を厚さ方向他方側に配して通信を行う場合でも、通信を良好に行うことができる。また、このような効果を得るためにアンテナを多数増設する必要が無く、コストの高騰も抑えられる。
【0013】
請求項2の発明では、位置変更手段において、アンテナユニットを第1位置で着脱可能に保持する第1装着部と、アンテナユニットを第2位置で着脱可能に保持する第2装着部とが設けられている。
この構成によれば、複雑な変位機構などを設ける必要が無く、アンテナユニットを第1位置及び第2位置のいずれでも安定的に保持し得る構成を簡易に実現できる。
【0014】
請求項3の発明では、ケースにおける厚さ方向の一方面側に、第1係合部が設けられ、ケースの厚さ方向の他方面側に、第2係合部が設けられている。そして、アンテナユニットは、第1係合部及び第2係合部のいずれとも嵌合及び離脱可能とされ、第1係合部と嵌合したときに第1位置で保持され、第2係合部と嵌合したときに第2位置で保持されるようになっている。
この構成によれば、厚さ方向一方側から翳された非接触通信媒体との通信により適した位置(ケースの厚さ方向一方面上)にアンテナユニットを安定的に装着することができ、厚さ方向他方側に配置された非接触通信媒体との通信により適した位置(即ちケースの厚さ方向他方面上)にもアンテナユニットを安定的に装着することができるようになる。また、それほど複雑な変位機構等を用いずに、簡易かつ安価な構成で上記効果を得ることができる。
【0015】
請求項4の発明では、ケースの幅方向両側に配置される1対の側壁部において、ケースの長手方向一方側に、アンテナユニットをスライドさせて取り付ける1対の取付対象部がそれぞれ形成されている。更に、アンテナユニットの保持部材には、アンテナが固定されるアンテナ固定部と、アンテナ固定部を1対の取付対象部に対してスライドさせつつ取り付ける1対の取付部とが設けられている。そして、アンテナ固定部をケースの厚さ方向一方側に配した状態で1対の取付部を1対の取付対象部にスライドさせつつ取り付けることにより、アンテナユニットが第1位置で保持され、アンテナ固定部をケースの厚さ方向他方側に配した状態で1対の取付部を1対の取付対象部にスライドさせつつ取り付けることにより、アンテナユニットが第2位置で保持されるようになっている。
この構成では、アンテナユニットを第1位置及び第2位置に安定的に配置し得る構成をより一層簡易に実現できる。特に、アンテナユニットを第1位置に配置する場合のケース側の保持部分と、アンテナユニットを第2位置に配置する場合のケース側の保持部分とが1対の取付対象部によって兼用されるため、アンテナユニットを保持するためのケース側の構造をより簡素化することができる。
【0016】
請求項5の発明では、位置変更手段において、アンテナユニットを、ケースの厚さ方向一方側の第1位置、ケースの長手方向一端部よりも外側の中間位置、ケースの厚さ方向他方側の第2位置にそれぞれ変更可能な変位機構が設けられている。
このように、アンテナユニットが変位機構によって変位される構成では、アンテナユニットを紛失してしまう可能性が低く、アンテナユニットの部品管理についても省力化できる。更に、上記構成では、アンテナユニットを第1位置、第2位置だけでなく、その中間にも変更することができるため、携帯端末と非接触通信媒体の配置関係において通信し易い配置関係が一層増えることになり、携帯端末をより広い用途に適合させやすくなる。
【0017】
請求項6の発明では、ケース側において、複数のケース側端子が設けられ、アンテナユニットには、ケース側端子と電気的に接続可能な複数のアンテナ側端子が設けられている。そして、アンテナユニットの保持位置が第1位置となったときに、複数のアンテナ側端子と複数のケース側端子との接続が、第1接続状態となり、アンテナユニットの保持位置が第2位置となったときに、複数のアンテナ側端子と複数のケース側端子との接続が、第2接続状態となるように構成されている。この構成では、アンテナユニットが第1位置のときの端子同士の接続状態と、第2位置のときの端子同士の接続状態とを明確に異ならせて、それぞれに対応した別個の電気的状態を確実に発生させることができる。
さらに、複数のケース側端子の状態に基づいて、第1接続状態及び第2接続状態のいずれの状態であるかを判断する判断手段が設けられている。この構成によれば、第1位置と第2位置とで明確に区別される電気信号に基づいて、アンテナユニットがいずれの位置にあるかを簡易な構成で正確に判断することができる。
【0018】
請求項7の発明では、アンテナからの電波の出力状態を所定の高出力状態とする高出力モードと、高出力モードのときよりも低出力状態とする低出力モードとに少なくとも変更可能な出力変更手段が設けられている。そして、出力変更手段は、判断手段により第1接続状態であると判断された場合に低出力モードに設定し、第2接続状態であると判断された場合に高出力モードに設定するように構成されている。
この構成では、アンテナユニットが第1位置にあるときに非接触通信媒体がより近くに翳され易い用途(例えば、第1位置のときにICカードを携帯端末の厚さ方向一方面側に翳すような決済用途等)においてアンテナからの出力を低めに設定し、低電力化を図ることができる。一方、アンテナユニットが第2位置にあるときに非接触通信媒体がある程度離れた位置で読み取られる可能性のある用途(例えば、第2位置のときに携帯端末自体を非接触通信媒体に近づけるもぎり用途等)においてアンテナからの出力を高めに設定し、読取性能を高めることができる。
【0019】
請求項8の発明では、判断手段により第1接続状態であると判断された場合に当該第1接続状態に対応する第1情報を報知し、第2接続状態であると判断された場合に当該第2接続状態に対応する第2情報を報知する報知手段が設けられている。
この構成によれば、アンテナユニットが第1位置及び第2位置のいずれにあるかをユーザ等が容易に認識することができ、認識した者が、アンテナユニットの位置に応じた対応をとりやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1(A)は、第1実施形態に係る携帯端末を概略的に例示する斜視図であり、図1(B)は、アンテナユニットがケースの上面側に装着された状態を示す説明図であり、図1(C)は、アンテナユニットがケースの下面側に装着された状態を示す説明図である。
【図2】図2(A)は、図1の携帯端末の電気的構成を例示するブロック図であり、図2(B)は、非接触通信部の構成を例示するブロック図である。
【図3】図3(A)は、第2実施形態に係る携帯端末を概略的に例示する斜視図であり、図3(B)は、アンテナユニットがケースの上面側に装着された状態を示す説明図であり、図3(C)は、アンテナユニットがケースの下面側に装着された状態を示す説明図である。
【図4】図4(A)は、第3実施形態に係る携帯端末を概略的に例示する斜視図であり、図4(B)は、ケース上方側端子及びケース下方側端子の電気的構成を示す説明図である。
【図5】図5(A)は、アンテナ側端子とケース上方側端子及びケース下方側端子の構成を概略的に例示する説明図であり、図5(B)は、アンテナユニットがケースに装着された状態を示す説明図である。
【図6】図6は、本第3実施形態に係る携帯端末で行われる非接触通信処理の流れを例示するフローチャートである。
【図7】図7(A)は、第4実施形態に係る携帯端末において、アンテナユニットがケースの上面側に装着された状態を示す説明図であり、図7(B)は、アンテナユニットがケースの中間位置に装着された状態を示す説明図であり、図7(C)は、アンテナユニットがケースの下面側に装着された状態を示す説明図である。
【図8】図8(A)は、第4実施形態における第1変形例に係る携帯端末において、アンテナユニットがケースの上面側に装着された状態を示す説明図であり、図8(B)は、アンテナユニットがケースの中間位置に装着された状態を示す説明図であり、図8(C)は、アンテナユニットがケースの下面側に装着された状態を示す説明図である。
【図9】図9(A)は、第1実施形態における他の変形例に係る携帯端末において、ケースの上方側から非接触通信媒体と通信する様子を説明する図であり、図9(B)は、ケースの下方側から非接触通信媒体と通信する様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、本発明の携帯端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(全体構成)
まず、第1実施形態の携帯端末の全体構成について説明する。図1(A)は、第1実施形態に係る携帯端末を概略的に例示する斜視図であり、図1(B)は、アンテナユニットがケースの上面側に装着された状態を示す説明図であり、図1(C)は、アンテナユニットがケースの下面側に装着された状態を示す説明図である。
【0022】
本発明に係る携帯端末1は、ICカード等の非接触通信媒体Cと非接触通信を行い得るものであり、電磁波を媒介として非接触通信媒体(例えばICカード)Cと非接触通信を行うアンテナ51を備えたアンテナユニット50が、当該携帯端末1に対して着脱可能に設けられている。なお、アンテナユニット50の構造及び携帯端末1におけるアンテナユニット50の脱着構造については、後で述べる。
【0023】
携帯端末1は、長手状のケース2によって外郭が構成されている。このケース2は、各種部品(各種電気部品等)を収容するものであり、例えば樹脂材料などからなる複数のケース体(例えば、上ケースと下ケースの2つのケース体)によって構成され、これらが結合した箱状形態をなしている。そして、このケース2の内部に各種部品(各種電気部品等)が収容されている。
【0024】
なお、本実施形態では、ケース2の長手方向を前後方向とし、表示装置3(後述)が形成された側を前方側、それとは反対側を後方側としている。また、ケース2の厚さ方向を上下方向とし、操作ボタン4a(後述)や表示装置3が設けられた側を上方側、それとは反対側を下方側としている。また、これら前後方向及び上下方向と直交する方向を幅方向(横方向)としている。なお、図1等では前後方向をX軸方向、上下方向をY軸方向、さらに幅方向をZ軸方向として示している。また、前方側は、「ケースの長手方向一方側」に相当する。ケース2の上方側は、「厚さ方向一方側」に相当し、下方側は、「厚さ方向他方側」に相当する。さらに、ケース2の上面側は、「厚さ方向の一方面側」に相当し、下面側は、「厚さ方向の他方面側」に相当する。
【0025】
ケース2の上方前方側(ケース2の長手方向一方側且つ厚さ方向一方側)の領域には、表示装置3が設けられている。表示装置3は、例えば液晶表示器として構成されており、制御部6(後述)からの指令を受けて、様々な表示動作が行われるようになっている。ケース2の上方後方側の領域には、複数個の操作ボタン4a(数字キーや機能キー等)を有するキー操作部4が設けられている。そして、使用者等は、表示装置3を見ながら、操作ボタン4aにより情報を入力できるように構成されている。
【0026】
次に、電気的構成について説明する。
図2(A)に示すように、携帯端末1のケース2内には、携帯端末1全体を制御する制御部6が設けられている。この制御部6は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有している。また、制御部6には、表示装置3、キー操作部4、検出部7、外部インタフェース8、メモリ9、電源部10などが接続されている。
【0027】
キー操作部4は、制御部6に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部6は、これらからの操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行うようになっている。また、表示装置3は、制御部6によって制御される構成をなしており、制御部6からの指令を受けて動作する構成をなしている。外部インタフェース8は、外部(例えばホスト装置)との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部6と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、ケース2内には、電源となるバッテリ11や電源部10が設けられており、これらによって制御部6や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0028】
検出部7は、後述するアンテナ51を備えたアンテナユニット50の脱着動作を検出するようになっている。そして、このアンテナユニット50の脱着動作を検出すると、制御部6へ出力するように構成されている。検出部7は、例えば、後述する第3実施形態の検出機構を備える構成としてもよい。また、検出部7は、光センサ、赤外線センサ、磁気センサ等を用いて構成することもできる。
【0029】
さらに、制御部6には、非接触通信部20が接続されている。非接触通信部20は、アンテナ51及び制御部6と協働して非接触通信媒体C(RFIDタグやICカード等)との間で電磁波による通信を行ない、非接触通信媒体Cに記憶されるデータの読取り、或いは非接触通信媒体Cに対するデータの書込みを行なうように機能するものである。なお、本実施形態では、アンテナ51を介して非接触通信媒体Cと非接触通信を行う非接触通信部20は、「非接触通信手段」の一例に相当する。
【0030】
非接触通信部20は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、図2(B)にて概略的に示すように、発振器21、変調器22、復調器23などを備えてなるものである。なお、非接触通信部20には、これら以外の公知構成(例えば、増幅器、フィルタ回路、整合回路等)も設けられているが、図2(B)ではこれらについては図示を省略している。
【0031】
この非接触通信部20では、発振器21にて生成された搬送波を、非接触通信媒体Cに与えるべき送信データ(制御部6から出される読取命令や書込命令など)に基づいて変調し、その変調波を、コイルアンテナなどからなるアンテナ51から非接触通信媒体Cに対して発射する構成をなしている。なお、これを受ける非接触通信媒体Cでは、アンテナ51から発射された電波を受信し、復調して読み取りや書込みを行う。一方、非接触通信媒体Cから携帯端末1へのデータ伝送は、アンテナ51から発射された電波を反射波に利用し、非接触通信媒体Cから送信すべきデータに基づいて変調することで行われる。非接触通信媒体Cから反射される電波は、アンテナ51にて受信され、復調器23にて復調された後、制御部6にてデータとして利用されることとなる。
【0032】
なお、読取対象となる、非接触通信媒体Cとしては、携帯端末1との間での通信を行うための、非接触通信媒体C側アンテナと、データの保持及び応答信号を発生するICチップと、を備えたものが挙げられる。また、当該、非接触通信媒体Cに内蔵されるICチップとしては、例えば、通信等の制御を行うCPU、送受信信号の変調・復調を行う変復調回路、動作プログラム等を記憶するROM、データを記憶する読書き可能なEEPROM等をワンチップ化したものなどが挙げられる。
【0033】
(特徴的部分の構成)
次に、図1等を参照し、本実施形態の特徴的構成について詳述する。
本実施形態に係る携帯端末1は、上述したように、アンテナ51を備えたアンテナユニット50が、当該携帯端末1に対して着脱可能に設けられている。なお、図1では、アンテナ51を省略して示しているが、アンテナの構成は、例えば、後述する図4等と同様の構成をなしている。
【0034】
アンテナユニット50は、ループ状のコイルアンテナなどからなるアンテナ51を備えている。また、アンテナユニット50は、樹脂材料などから構成される保持部材52を備えている。保持部材52は、ウレタン樹脂などの弾性部材から少なくとも一部が構成されていてもよい。このように、保持部材52を弾性部材から構成することで、アンテナユニット50と非接触通信媒体Cとが接触した際の衝撃を吸収することができる(すなわち、保持部材52に緩衝材としての機能を持たせることができる。)。
【0035】
そして、アンテナ51は、保持部材52の内部に配置される態様で、保持部材52に保持されている。また、アンテナユニット50は、図1に示すように、ロの字形状に構成されており、ケース2の上方前方側に配置されたときに、表示装置3を避ける態様となっている(アンテナ51が表示装置3の周囲を囲んで配置されるようになっている。)。
【0036】
さらに、アンテナユニット50には、1対の突出部53a、53bが設けられている。そして、この突出部53a、53bがケース2の所定部位に係合することによって、アンテナユニット50がケース2に装着されるようになっている。なお、突出部53a、53bの少なくともいずれかには、複数の端子(図示略)が設けられており、ケース2に装着された際に、ケース2に設けられる複数のケース側端子(図示略)と電気的に接続されるようになっている。
【0037】
ケース2の前方側の上面には、表示装置3を挟み込む位置に、1対の第1係合部31a、31bが設けられている。また、ケース2の前方側の下面には、1対の第2係合部32a、32bが設けられている。また、これら、第1係合部31a、31b及び第2係合部32a、32bは、凹状に形成されている。
【0038】
そして、アンテナユニット50は、第1係合部31a、31b及び第2係合部32a、32bのいずれとも嵌合及び離脱可能に構成されている。そして、アンテナユニット50の突出部53a、53bが第1係合部31a、31bにそれぞれ嵌合したときに、図1(B)に示すように、アンテナユニット50がケース2の上面位置で保持されるようになっている。このように、ケース2の上面位置にアンテナユニット50が保持された状態では、非接触通信媒体Cをケース2の上方側から端末側に翳して容易に通信を行うことができる。なお、上面位置は、「第1位置」の一例に相当する。
【0039】
また、アンテナユニット50の突出部53a、53bが第2係合部32a、32bにそれぞれ嵌合したときに、図1(C)に示すように、アンテナユニット50がケース2の下面位置で保持されるようになっている。このように、ケース2の下面位置にアンテナユニット50が保持された状態では、ケース2の下方側(表示装置3とは反対側)に配される非接触通信媒体C側に当該携帯端末1を移動させて容易に通信を行うことができる。なお、下面位置は、「第2位置」の一例に相当する。
【0040】
なお、アンテナユニット50の保持位置を、ケース2の前方側において上面位置と下面位置とで切替(変更)可能な突出部53a、53b、第1係合部31a、31b及び第2係合部32a、32bは、「位置変更手段」の一例に相当する。また、アンテナユニット50を上面位置で着脱可能に保持する第1係合部31a、31bは、「第1装着部」の一例に相当する。さらに、アンテナユニット50を下面位置で着脱可能に保持する第2係合部32a、32bは、「第2装着部」の一例に相当する。
【0041】
以上説明したように、本第1実施形態に係る携帯端末1では、アンテナユニット50の保持位置を変更可能な突出部53a、53b、第1係合部31a、31b及び第2係合部32a、32b(位置変更手段)が設けられており、この位置変更手段は、アンテナユニット50の保持位置を、少なくとも上方側(厚さ方向一方側)に配置された非接触通信媒体Cと通信可能な上面位置(第1位置)と、下方側(厚さ方向他方側)に配置された非接触通信媒体Cと通信可能な下面位置(第2位置)とに切り替え可能とされている。
この構成によれば、携帯端末1の上方側に配置された非接触通信媒体Cを読み取る用途では、アンテナユニット50を上面位置に切り替えて読み取りをより確実に行うことができ、下方側に配置された非接触通信媒体Cを読み取る用途では、アンテナユニット50を下面位置に切り替えて読み取りをより確実に行うことができる。従って、非接触通信媒体Cを上方側から端末側に翳して通信を行う場合でも、端末を非接触通信媒体C側に移動させ当該非接触通信媒体Cを下方側に配して通信を行う場合でも、通信を良好に行うことができる。また、このような効果を得るためにアンテナを多数増設する必要が無く、コストの高騰も抑えられる。
【0042】
また、位置変更手段において、アンテナユニット50を上面位置で着脱可能に保持する第1係合部31a、31b(第1装着部)と、アンテナユニット50を下面位置で着脱可能に保持する第2係合部32a、32b(第2装着部)とが設けられている。
この構成によれば、複雑な変位機構などを設ける必要が無く、アンテナユニット50を上面位置及び下面位置のいずれでも安定的に保持し得る構成を簡易に実現できる。
【0043】
また、ケース2における上面側(厚さ方向の一方面側)に、第1係合部31a、31bが設けられ、ケース2の下面側(厚さ方向の他方面側)に、第2係合部32a、32bが設けられている。そして、アンテナユニット50は、第1係合部31a、31b及び第2係合部32a、32bのいずれとも嵌合及び離脱可能とされ、第1係合部31a、31bと嵌合したときに上面位置で保持され、第2係合部32a、32bと嵌合したときに下面位置で保持されるようになっている。
この構成によれば、上方側(厚さ方向一方側)から翳された非接触通信媒体Cとの通信により適した位置(ケース2の上面)にアンテナユニット50を安定的に装着することができ、下方側に配置された非接触通信媒体Cとの通信により適した位置(即ちケース2の下面)にもアンテナユニット50を安定的に装着することができるようになる。また、それほど複雑な変位機構等を用いずに、簡易かつ安価な構成で上記効果を得ることできる。
【0044】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る携帯端末201について、図3を参照して説明する。本第2実施形態では、図3に示すように、アンテナユニットの保持位置を変更する位置変更手段の構成が異なる点以外は、上記第1実施形態と同様である。以下、これ以外の上記第1実施形態との相違点を中心に述べる。なお、上記第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
図3(A)は、第2実施形態に係る携帯端末を概略的に例示する斜視図であり、図3(B)は、アンテナユニットがケースの上面側に装着された状態を示す説明図であり、図3(C)は、アンテナユニットがケースの下面側に装着された状態を示す説明図である。
【0046】
上述した第1実施形態では、位置変更手段の構成として、アンテナユニット50に設けられる突出部53a、53bをケース2に設けられる第1係合部31a、31b及び第2係合部32a、32bに嵌合させることで、アンテナユニット50をケース2に装着するようにしたが、本第2実施形態ではこの構成に代えて、当該携帯端末201にスライド機構を設け、このスライド機構によりアンテナユニット250の保持位置を変更するようにしている。
【0047】
より具体的には、図3に示すように、ケース202の幅方向両側に配置される1対のケース側壁部33において、ケース202の前方側の領域に、ケース202の長手方向に対して平行に、1対の溝部34が設けられている。そして、この溝部34に沿って、アンテナユニット250をスライドさせてケース202に取り付けるように構成されている。なお、ケース側壁部33は、「側壁部」の一例に相当する。また、溝部34は、「取付対象部」の一例に相当する。
【0048】
アンテナユニット250の保持部材252は、アンテナ51が固定されるアンテナ固定部54と、アンテナ固定部54をケース202の溝部34に対して取付可能な取付部55a、55bとが設けられている。アンテナ固定部54は、ロの字形状に構成されており、アンテナユニット250が携帯端末201に取り付けられたときに、アンテナ固定部54の開口部54aから表示装置3の表示が視認できるようになっている。また、このアンテナ固定部54には、後述する図4等と同様に、アンテナ51が設けられている。そして、アンテナ固定部54の一端側と他端側からそれぞれ立ち上がるように1対の取付部55a、55bが設けられている。この取付部55a、55bには、溝部34に滑合可能な凸部56a、56bがそれぞれ形成されている。
【0049】
上述のように構成されるアンテナユニット250は、図3(A)に示すように、アンテナ固定部54をケース202の上方側に配した状態で、1対の取付部55a、55bを1対の溝部34にスライドさせつつ取り付けることにより、図3(B)に示すように、アンテナユニット250が上面位置で保持されることとなる。そして、このように、ケース202の上面位置にアンテナユニット250が保持された状態では、非接触通信媒体Cをケース202の上方側から端末側に翳して容易に通信を行うことができる。
【0050】
また、アンテナ固定部54をケース202の下方側に配した状態で、1対の取付部55a、55bを1対の溝部34にスライドさせつつ取り付けることにより、図3(C)に示すように、アンテナユニット250が下面位置で保持されることとなる。そして、このように、ケース202の下面位置にアンテナユニット250が保持された状態では、ケース202の下方側(表示装置3とは反対側)に配される非接触通信媒体C側に当該携帯端末201を移動させて容易に通信を行うことができる。
【0051】
以上説明したように、本第2実施形態に係る携帯端末201では、ケース202の幅方向両側に配置される1対のケース側壁部33において、ケース202の前方側に、アンテナユニット250をスライドさせて取り付ける1対の溝部34がそれぞれ形成されている。更に、アンテナユニット250の保持部材252には、アンテナ51が固定されるアンテナ固定部54と、アンテナ固定部54を1対の溝部34に対してスライドさせつつ取り付ける1対の取付部55a、55bとが設けられている。そして、アンテナ固定部54をケース202の上方側に配した状態で1対の取付部55a、55bを1対の溝部34にスライドさせつつ取り付けることにより、アンテナユニット250が上面位置で保持され、アンテナ固定部54をケース202の下方側に配した状態で1対の取付部55a、55bを1対の溝部34にスライドさせつつ取り付けることにより、アンテナユニット250が下面位置で保持されるようになっている。
この構成では、アンテナユニット250を上面位置及び下面位置に安定的に配置し得る構成をより一層簡易に実現できる。特に、アンテナユニット250を上面位置に配置する場合のケース202側の保持部分と、アンテナユニット250を第2位置に配置する場合のケース202側の保持部分とが1対の溝部34によって兼用されるため、アンテナユニット250を保持するためのケース202側の構造をより簡素化することができる。
【0052】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る携帯端末301について、図4及び図5を参照して説明する。本第3実施形態では、上述した第2実施形態の構成において、さらに、アンテナユニットの保持位置を判断するための複数の端子が、ケース及びアンテナユニットに設けられている点以外は、上記第2実施形態と同様である。以下、これ以外の上記第2実施形態との相違点を中心に述べる。なお、上記第2実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
図4(A)は、第3実施形態に係る携帯端末を概略的に例示する斜視図であり、図4(B)は、ケース上方側端子及びケース下方側端子の電気的構成を示す説明図である。図5(A)は、アンテナ側端子とケース上方側端子及びケース下方側端子の構成を概略的に例示する説明図であり、図5(B)は、アンテナユニットがケースに装着された状態を示す説明図である。
【0054】
本第3実施形態では、図4(A)に示すように、ケース302に設けられる幅方向一方側(−Z軸方向)の溝部34の上方側にケース上方側端子35a、35b、35c、35dが設けられており、この溝部34の下方側にケース下方側端子36a、36b、36c、36dが設けられている。そして、ケース上方側端子35d及びケース下方側端子36aは、検出部7に接続されており、アンテナユニット350側に設けられる端子(アンテナ側端子57d)との導通状態を検出部7に出力するようになっている。ケース上方側端子35aとケース下方側端子36dとは結線されており、また、ケース上方側端子35bとケース下方側端子36cとは結線されており、それぞれ非接触通信部20に接続されており、非接触通信部20からの信号をアンテナユニット350側へ出力するようになっている。ケース上方側端子35cとケース下方側端子36bは、それぞれ接地されている。なお、ケース上方側端子35a〜35d及びケース下方側端子36a〜36dは、「ケース側端子」の一例に相当する。
【0055】
また、アンテナユニット350の凸部56a近傍には、ケース上方側端子35a〜35d及びケース下方側端子36a〜36dと電気的に接続可能なアンテナ側端子57a、57b、57c、57dが設けられている。そして、アンテナ側端子57a、57bは、アンテナ51に接続されている。また、アンテナ側端子57c、57dは、互いに短絡されている。アンテナ側端子57(57a〜57d)は、図5に示すように、取付部55aにばね58を介して取り付けられている。また、アンテナユニット350がケース302に装着されると、ばね58の弾性変形によって当該アンテナ側端子57の突出具合が変化して、ケース上方側端子35(35a〜35d)またはケース下方側端子36(36a〜36d)と接触するように構成されている。
【0056】
上述のように構成されるアンテナユニット350は、アンテナユニットが装着されていない状態では、検出部7のP1、P2には、いずれもHレベルの信号が入力されるようになっている。その後、図4(A)に示すように、アンテナ固定部54をケース302の上方側に配した状態で、1対の取付部55a、55bを1対の溝部34にスライドさせ、アンテナユニット350が上面位置で保持されると、アンテナ側端子57aはケース上方側端子35aと接触し、アンテナ側端子57bはケース上方側端子35bと接触し、アンテナ側端子57cはケース上方側端子35cと接触し、アンテナ側端子57dはケース上方側端子35dと接触する。なお、このようにアンテナ側端子57a〜57dとケース上方側端子35a〜35dが接続された状態を第1接続状態とする。このとき、アンテナ側端子57c、57dと接続されたケース上方側端子35c、35dが短絡するため、検出部7のP1に入力される信号は、HレベルからLレベルに変化する。一方、P2に入力される信号は、Hレベルのままとなる。このとき、検出部7は、P1がLレベル、P2がHレベルであることを特定可能な信号(第1信号)を、制御部6へ出力し、制御部6では、この信号(第1信号)を受けているときに、アンテナユニット350が上面位置に保持されている状態(第1接続状態)であると判断する。
【0057】
また、アンテナ固定部54をケース302の下方側に配した状態で、1対の取付部55a、55bを1対の溝部34にスライドさせ、アンテナユニット350が下面位置で保持されると、アンテナ側端子57aはケース下方側端子36dと接触し、アンテナ側端子57bはケース下方側端子36cと接触し、アンテナ側端子57cはケース下方側端子36bと接触し、アンテナ側端子57dはケース下方側端子36aと接触する。なお、このようにアンテナ側端子57a〜57dとケース下方側端子36a〜36dが接続された状態を第2接続状態とする。このとき、アンテナ側端子57c、57dと接続されたケース下方側端子36a、36bが短絡するため、検出部7のP2に入力される信号は、HレベルからLレベルに変化する。一方P2に入力される信号はHレベルとなる。このとき、検出部7は、P1がHレベル、P2がLレベルであることを特定可能な信号(第2信号)を制御部6へ出力し、制御部6では、この信号を受けているときに、アンテナユニット350が下面位置に保持されている状態(第2接続状態)であると判断する。なお、ケース上方端子35a〜35d及びケース下方側端子36a〜36dの状態に基づいて、第1接続状態及び第2接続状態のいずれの状態であるかを判断する検出部7及び制御部6は、「判断手段」の一例に相当する。なお、検出部7を省略し、P1、P2の入力信号を直接制御部6に入力させるように構成し、制御部6がこれら信号の状態によって、第1接続状態と第2接続状態、非接続状態のいずれかを判断するようにしてもよい。
【0058】
次に、このように構成される携帯端末301における非接触通信処理について、図6を用いて説明する。なお、図6は、本第3実施形態に係る携帯端末で行われる非接触通信処理の流れを例示するフローチャートである。
【0059】
まず、アンテナユニット350がケース302に取り付けられると、ステップS101にて、このアンテナユニット350の保持位置か上面位置か否かが判定される。ここで、ステップS101にてYesと判定されると、当該携帯端末301の表示装置3側(上面側)に非接触通信媒体Cを翳して通信を行う場合に適した送受信設定がステップS102にて行われる。このステップS102の翳し読み送受信設定処理では、制御部6からの信号に基づき非接触通信部20において、アンテナ51からの電波の出力状態を所定の低出力状態とする低出力モードに設定する。なお、電波出力の増減方法は、公知の様々な方法を用いることができ、例えば、変調信号の振幅のレベルを調整する方法であってもよく、変調された信号を増幅させて出力する際の増幅器での増幅度合いを変化させる方法であってもよい。また、復調器23において、当該非接触通信処理にて通信を行う非接触通信媒体Cの種類(例えばICカード)に対応する受信フィルタが選択される。このようにステップS102にて設定することで、アンテナユニット350が上面位置にあるときに非接触通信媒体Cがより近くに翳され易い用途(例えば、上面位置のときにICカードを携帯端末301の上面側に翳すような決済用途等)においてアンテナ51からの出力を低めに設定することで、低電力化を図ることができる。
【0060】
次に、ステップS103にて、当該携帯端末301の上面側に非接触通信媒体Cを翳して通信を行う場合に適した操作設定が行われる。このステップS103の翳し読み操作設定処理では、アンテナユニット350が上面位置にあるときに非接触通信媒体Cがより近くに翳され易い用途で通信される場合に適した操作設定が行われる。具体的に、ICカードを携帯端末301の上面側に翳すような決済用途の場合では、表示装置3の表示を決済用画面(決済金額等を表示可能な画面)に設定する。また、決済用途に適したサウンド設定が行われる。このサウンド設定では、例えば、「カードを翳してください」や「ありがとうございました」などの音声や、ICカードの種類に応じた決済音(「シャリーン」など)が、処理に応じて流れるように設定される。なお、携帯端末301には、このサウンド音を発生させるためのスピーカ(図示略)が内蔵されている。また、キー操作部4が例えば、決済用途に応じた設定(決済用キーが光るなど)となる。この表示装置3に表示させる決済用画面は、「第1情報」の一例に相当する。また、表示装置3及びスピーカは、「報知手段」の一例に相当する。
【0061】
一方、ステップS101にてNoと判定されると、非接触通信媒体Cがある程度離れた位置で読み取られる可能性のある用途(例えば、携帯端末301自体を非接触通信媒体Cに近づけるもぎり用途等、ここでは説明の便宜上「もぎり読み」とする。)に適した送受信設定がステップS104にて行われる。このステップS104のもぎり読み送受信設定処理では、制御部6からの信号に基づき非接触通信部20において、アンテナ51からの電波の出力状態を所定の高出力状態とする高出力モードに設定する。また、復調器23において、当該非接触通信処理にて通信を行う非接触通信媒体Cの種類(例えばRFIDタグ)に対応する受信フィルタが選択される。このようにステップS104にて設定することで、アンテナユニット350が下面位置にあるときに、非接触通信媒体Cがある程度離れた位置で読み取られる可能性のある用途においてアンテナ51からの出力を高めに設定し、読取性能を高めることができる。なお、アンテナ51からの電波の出力状態を所定の高出力状態とする高出力モードと、高出力モードのときよりも低出力状態とする低出力モードとに変更可能な制御部6及び非接触通信部20は、「出力変更手段」の一例に相当する。
【0062】
次に、ステップS105にて、非接触通信媒体Cがある程度離れた位置で読み取られる可能性のある用途(もぎり読み)に適した操作設定が行われる。このステップS105のもぎり読み操作設定処理では、表示装置3の表示をもぎり読み用画面(リフト券やチケット等の読取対象物の読み取り結果を表示可能な画面)に設定する。また、もぎり読み用途に適したサウンド設定が行われる。このサウンド設定では、例えば、読み取り結果に応じて、「ピッ」などの高音や、「ブー」などの低音、ビープ音やアラーム音が流れるように設定される。また、キー操作部4が例えば、もぎり読み用途に応じた設定(読み取りキーが光るなど)となる。なお、この表示装置3に表示させるもぎり読み用画面は、「第2情報」の一例に相当する。
【0063】
そして、このようにステップS102〜S105の処理で、翳し読み設定若しくはもぎり読み設定がなされると、ステップS106にて設定確定処理がなされる。この処理では、例えば、携帯端末301の使用者がキー操作部4を操作することで、各設定が確定される。なお、このステップS106にて設定確定処理が行われると、アンテナユニット350の保持位置が変更されるまで、ステップS107以降の処理が繰り返されることとなる。
【0064】
まず、ステップS107で、非接触通信媒体Cの読み取り指示がなされたか否かが判定される。このステップS107では、使用者等によって、非接触通信媒体Cの読み取りのためのトリガキーなどが押されたか否かが判定される。読み取り指示がなされるまでは、ステップS107にてNoとの判定が繰り返される。
【0065】
ステップS107にて、読み取り指示がなされたと判定されると(S107でYes)、ステップS108にて、非接触通信媒体Cを検出したか否かが判定される。このステップS108では、非接触通信媒体Cが検出されるまでは、Noとの判定が繰り返される。そして、ステップS108にてYesと判定されると、ステップS109にて非接触通信媒体Cにおける所定処理(例えば、ICカードに記憶されている残金額より商品の金額を減算する処理など)が行われ、ステップS110にて制御部6にて所定のデータ処理が行われる。そして、上述したように、アンテナユニット350の保持位置が変更されるまで、ステップS107からの処理が繰り返し行われることとなる。
【0066】
以上説明したように、本第3実施形態に係る携帯端末301では、ケース302側において、ケース上方側端子35a〜35d及びケース下方側端子36a〜36dが設けられ、アンテナユニット350には、ケース上方側端子35a〜35d及びケース下方側端子36a〜36dと電気的に接続可能なアンテナ側端子57a〜57dが設けられている。そして、アンテナユニット350の保持位置が上面位置となったときに、アンテナ側端子57a〜57dとケース上方側端子35a〜35dとの接続が、第1接続状態となり、アンテナユニット350の保持位置が下面位置となったときに、アンテナ側端子57a〜57dとケース下方側端子36a〜36dとの接続が、第2接続状態となるように構成されている。この構成では、アンテナユニット350が上面位置のときの端子同士の接続状態と、下面位置のときの端子同士の接続状態とを明確に異ならせて、それぞれに対応した別個の電気的状態を確実に発生させることができる。
さらに、ケース上方側端子35a〜35d及びケース下方側端子36a〜36dの状態に基づいて、第1接続状態及び第2接続状態のいずれの状態であるかを判断する検出部7及び制御部6(判断手段)が設けられている。この構成によれば、上面位置と下面位置とで明確に区別される電気信号に基づいて、アンテナユニット350がいずれの位置にあるかを簡易な構成で正確に判断することができる。
【0067】
また、アンテナ51からの電波の出力状態を所定の高出力状態とする高出力モードと、高出力モードのときよりも低出力状態とする低出力モードとに少なくとも変更可能な制御部6及び非接触通信部20(出力変更手段)が設けられている。そして、制御部6及び非接触通信部20は、ステップS101にて上面位置にある(第1接続状態である)と判断された場合に低出力モードに設定し、下面位置にある(第2接続状態である)と判断された場合に高出力モードに設定するように構成されている。
この構成では、アンテナユニット350が上面位置にあるときに非接触通信媒体Cがより近くに翳され易い用途(例えば、上面位置のときにICカードを携帯端末301の上面側に翳すような決済用途等)においてアンテナ51からの出力を低めに設定し、低電力化を図ることができる。一方、アンテナユニット350が下面位置にあるときに非接触通信媒体Cがある程度離れた位置で読み取られる可能性のある用途(例えば、下面位置のときに携帯端末301自体を非接触通信媒体Cに近づけるもぎり用途等)においてアンテナ51からの出力を高めに設定し、読取性能を高めることができる。
【0068】
また、ステップS101にてアンテナユニット350が上面位置にあると判断された場合に当該上面位置に対応する第1情報を報知し、下面位置であると判断された場合に当該下面位置に対応する第2情報を報知する表示装置3及びスピーカが設けられている。この構成によれば、アンテナユニット350が上面位置及び下面位置のいずれにあるかをユーザ等が容易に認識することができ、認識した者が、アンテナユニット350の位置に応じた対応をとりやすくなる。
【0069】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る携帯端末401について、図7を参照して説明する。本第4実施形態では、図7に示すように、アンテナユニット450の保持位置を変更する位置変更手段の構成が異なる点以外は、上記第1実施形態と同様である。以下、これ以外の上記第1実施形態との相違点を中心に述べる。なお、上記第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
図7(A)は、第4実施形態に係る携帯端末において、アンテナユニットがケースの上面側に装着された状態を示す説明図であり、図7(B)は、アンテナユニットがケースの中間位置に装着された状態を示す説明図であり、図7(C)は、アンテナユニットがケースの下面側に装着された状態を示す説明図である。
【0071】
上述した第1実施形態では、位置変更手段の構成として、アンテナユニット50に設けられる突出部53a、53bをケース2に設けられる第1係合部31a、31b及び第2係合部32a、32bに嵌合させることで、アンテナユニット50をケース2に装着するようにしたが、本第4実施形態ではこの構成に代えて、当該携帯端末401にスライド機構を設け、このスライド機構によりアンテナユニット450の保持位置を連続的に変更するようにしている。
【0072】
より具体的には、図7に示すように、ケース402の前方側は、角部が面取りされて曲線状に形成されている。そして、ケース402の幅方向両側に配置される1対のケース側壁部33において、ケース402の前方側の領域に、1対のU字状溝38が設けられている。そして、このU字状溝38に沿って、アンテナユニット450を上面側(図7(A)参照)から下面側(図7(B)参照)にかけてスライド可能に構成されている。また、このU字状溝38の近傍の上面位置側及び下面位置側には、上述した第3実施形態と同様の構成のケース上方側端子35及びケース下方側端子36が設けられている。また、上下方向において上面位置と下面位置の間の中間位置には、ケース上方側端子35及びケース下方側端子36と同様の構成のケース中間端子37が設けられている。
【0073】
アンテナユニット450の保持部材452は、アンテナ51が固定されるアンテナ固定部54と、アンテナ固定部54をケース402のU字状溝38に対してスライド可能に取付可能な1対の取付部455が設けられている。1対の取付部455は、アンテナ固定部54の幅方向一方側と幅方向他方側にそれぞれ設けられている。また、取付部455には、上述した第3実施形態と同様に、複数のアンテナ側端子57が設けられている。
【0074】
上述のように構成されるアンテナユニット450は、図7(A)に示すように、アンテナ固定部54をケース402の上方側の上面位置に配した状態で、U字状溝38に沿ってスライドさせると、図7(B)に示すように、上下方向において上面位置と下面位置の間の中間位置に変位させることができる。また、アンテナユニット450を図7(A)に示す上面位置から、U字状溝38に沿って中間位置を経由してさらにスライドさせると、ケース402の下方側の下面位置に変位させることができる。このように、アンテナユニット450の保持位置を、当該アンテナユニット450をケース402から取り外すことなく、上面位置、中間位置及び下面位置とで変位させることができる。なお、U字状溝38及び取付部455は、「変位機構」の一例に相当する。
【0075】
このように、本第4実施形態では、アンテナユニット450を、ケース402の上方側の上面位置、上下方向において上面位置と下面位置の間の中間位置(ケースの長手方向一端部よりも外側の中間位置)、ケース402の下方側の下面位置にそれぞれ変更可能なU字状溝38及び取付部455が設けられている。
このように、アンテナユニット450が変位機構によって変位される構成では、アンテナユニットを紛失してしまう可能性が低く、アンテナユニット450の部品管理についても省力化できる。更に、上記構成では、アンテナユニット450を上面位置、下面位置だけでなく、その中間にも変更することができるため、携帯端末501と非接触通信媒体Cの配置関係において通信し易い配置関係が一層増えることになり、携帯端末501をより広い用途に適合させやすくなる。
【0076】
次に、本発明の第4実施形態における第1変形例に係る携帯端末501について、図8を参照して説明する。本第4実施形態における第1変形例では、図8に示すように、アンテナユニット550の保持位置を変更する位置変更手段の構成が異なる点以外は、上記第4実施形態と同様である。以下、これ以外の上記第4実施形態との相違点を中心に述べる。なお、上記第4実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
図8(A)は、第4実施形態における第1変形例に係る携帯端末において、アンテナユニットがケースの上面側に装着された状態を示す説明図であり、図8(B)は、アンテナユニットがケースの中間位置に装着された状態を示す説明図であり、図8(C)は、アンテナユニットがケースの下面側に装着された状態を示す説明図である。
【0078】
上述した第4実施形態では、携帯端末401にスライド機構を設け、このスライド機構によりアンテナユニット450の保持位置を連続的に変更するように構成したが、本第1変形例では、この構成に代えて、軸でアンテナユニット550を回転させて保持位置を連続的に変更するようにしている。
【0079】
より具体的には、図8に示すように、ケース502の前方側は、角部が面取りされて曲線状に形成されている。また、ケース502の幅方向両側に配置される1対のケース側壁部33において、アンテナ固定部54の幅方向一方側と幅方向他方側に回転軸部39が設けられている。そして、この回転軸部39が、ケース502の前方側のケース側壁部33に、この軸支されている。
【0080】
このように構成されるアンテナユニット550は、図8(A)に示すように、アンテナ固定部54をケース502の上方側の上面位置に配した状態から、アンテナユニットを550回転させて、図8(B)に示すように、上下方向において上面位置と下面位置の間の中間位置に変位させることができる。また、アンテナユニット550を図8(A)に示す上面位置からさらに回転させると、図8(C)に示すように、ケース502の下方側の下面位置に変位させることができる。このように、第1変形例の構成においても、上述した第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0081】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】
上記第1実施形態では、アンテナユニット50が、ケース2の上面位置と下面位置で着脱可能に保持される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、アンテナユニット50に回動軸40を設け、この回動軸40をケース2に回動可能に軸支する構成としてもよい。そして、図9(A)に示すように、アンテナユニット50が表示装置3の周囲を囲む位置(第1位置)に配置されるときに、非接触通信媒体Cをケース2の上方側から端末側に翳して容易に通信を行うことができる。また、図9(B)に示すように、アンテナユニット50が表示装置3から離れる位置(第2位置)に配置されるとき、ケース2の下方側(表示装置3とは反対側)に配される非接触通信媒体C側に当該携帯端末1を移動させて容易に通信を行うことができる。
【0083】
上記第1実施形態では、位置変更手段の一例として、アンテナユニット50に突出部53a、53bを設け、ケース2に第1係合部31a、31b及び第2係合部32a、32bを設けた構成を示したが、これに変えて例えば、ケース2の上面側と下面側に磁石を設け、またアンテナユニット50の保持部材52の少なくとも一部を磁性材料により構成し、磁石の吸引力によって、アンテナユニット50をケース2に保持させるようにすることもできる。
【0084】
上記各実施形態では、アンテナユニット50に設けられるアンテナ51は、表示装置3と略同一の大きさで構成した例を示したが、アンテナ51の大きさは特に限定されない。また、アンテナ51の大きさや種類は、例えば、非接触通信媒体の種類や、非接触通信媒体との距離などに応じて、適宜変更することができる。とくに、ケース2に対してアンテナユニットが着脱可能に保持される上記第1〜第3実施形態の構成では、アンテナ51の変更を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0085】
1、201、301、401、501…携帯端末
2、202、302、402、502…ケース
3…表示装置
4…キー操作部
4a…操作ボタン
6…制御部(判断手段)
7…検出部(判断手段)
8…外部インタフェース
9…メモリ
10…電源部
11…バッテリ
20…非接触通信部(非接触通信手段)
21…発振器
22…変調器
23…復調器
31a、31b…第1係合部(位置変更手段、第1装着部)
32a、32b…第2係合部(位置変更手段、第2装着部)
33…ケース側壁部(側壁部)
34…溝部(取付対象部)
35、35a、35b、35c、35d…ケース上方側端子(ケース側端子)
36、36a、36b、36c、36d…ケース下方側端子(ケース側端子)
37…ケース中間端子
38…U字状溝
39…回転軸部
50、250、350、450、550…アンテナユニット
51…アンテナ
52、252、452、552…保持部材
53a、53b…突出部(位置変更手段)
54…アンテナ固定部
54a…開口部
55a、55b、455…取付部
56a、56b…凸部
57、57a、57b、57c、57d…アンテナ側端子
58…ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、前記アンテナを保持する保持部材と、を備えたアンテナユニットと、
前記アンテナを介して非接触通信媒体と非接触通信を行う非接触通信手段と、
前記非接触通信手段を収容する長手状のケースと、
前記ケースの長手方向一方側且つ厚さ方向一方側に配置される表示装置と、
前記アンテナユニットの保持位置を、前記ケースの長手方向一方側で変更可能な位置変更手段と、
を備え、
前記位置変更手段は、前記アンテナユニットの保持位置を、少なくとも前記厚さ方向一方側に配置された前記非接触通信媒体と通信可能な第1位置と、前記厚さ方向他方側に配置された前記非接触通信媒体と通信可能な第2位置とに切り替え可能とされていることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記位置変更手段は、前記アンテナユニットを前記第1位置で着脱可能に保持する第1装着部と、前記アンテナユニットを前記第2位置で着脱可能に保持する第2装着部とを有することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記ケースにおける厚さ方向の一方面側には、第1係合部が設けられ、前記ケースの厚さ方向の他方面側には、第2係合部が設けられており、
前記アンテナユニットは、前記第1係合部及び前記第2係合部のいずれとも嵌合及び離脱可能とされ、前記第1係合部と嵌合したときに前記第1位置で保持され、前記第2係合部と嵌合したときに前記第2位置で保持されることを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記ケースの幅方向両側に配置される1対の側壁部において、前記ケースの長手方向一方側には、前記アンテナユニットをスライドさせて取り付ける1対の取付対象部がそれぞれ形成されており、
前記アンテナユニットの前記保持部材は、前記アンテナが固定されるアンテナ固定部と、前記アンテナ固定部を前記1対の取付対象部に対してスライドさせつつ取り付ける1対の取付部とが設けられており、
前記アンテナ固定部を前記ケースの厚さ方向一方側に配した状態で前記1対の取付部を前記1対の取付対象部にスライドさせつつ取り付けることにより、前記アンテナユニットが前記第1位置で保持され、
前記アンテナ固定部を前記ケースの厚さ方向他方側に配した状態で前記1対の取付部を前記1対の取付対象部にスライドさせつつ取り付けることにより、前記アンテナユニットが前記第2位置で保持されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記位置変更手段は、前記アンテナユニットを、前記ケースの厚さ方向一方側の前記第1位置、前記ケースの長手方向一端部よりも外側の中間位置、前記ケースの厚さ方向他方側の前記第2位置にそれぞれ変更可能な変位機構を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記ケース側には、複数のケース側端子が設けられ、
前記アンテナユニットには、前記ケース側端子と電気的に接続可能な複数のアンテナ側端子が設けられ、
前記アンテナユニットの保持位置が前記第1位置となったときに、複数の前記アンテナ側端子と複数の前記ケース側端子との接続が、第1接続状態となり、前記アンテナユニットの保持位置が前記第2位置となったときに、複数の前記アンテナ側端子と複数の前記ケース側端子との接続が、第2接続状態となるように構成されており、
更に、複数の前記ケース側端子の状態に基づいて、前記第1接続状態及び前記第2接続状態のいずれの状態であるかを判断する判断手段が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記アンテナからの電波の出力状態を所定の高出力状態とする高出力モードと、前記高出力モードのときよりも低出力状態とする低出力モードとに少なくとも変更可能な出力変更手段を備え、
前記出力変更手段は、前記判断手段により前記第1接続状態であると判断された場合に前記低出力モードに設定し、前記第2接続状態であると判断された場合に前記高出力モードに設定することを特徴とする請求項6に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記判断手段により前記第1接続状態であると判断された場合に当該第1接続状態に対応する第1情報を報知し、前記第2接続状態であると判断された場合に当該第2接続状態に対応する第2情報を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−203797(P2012−203797A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69761(P2011−69761)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】