説明

携帯端末

【課題】画像品質及び携帯性を維持したまま、大画面表示が可能である携帯端末を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる携帯端末1は、第1の表示部21、第2の表示部22、導光部10を備える。第1の内部表示エリア211と第2の内部表示エリア221とは、境界部90を介して隣り合って配置されている。導光部10は、第1及び第2の内部表示エリア211、221側に設けられている。導光部10は、第1の内部表示エリア211に表示される画像と、第2の内部表示エリア221に表示される画像と、が連続した画像となるように、第1及び第2の表示部21、22が出力する表示光を導光する。さらに、導光部10は、複数の繊維状の結晶を有する結晶構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末に関し、特に複数の表示部を有する携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、モバイル機器のディスプレイパネルは、表示データの容量増大に対する需要や、製造技術の進歩によって、大画面化、高精細化が図られている。携帯電話端末においては、端末筐体に納まる範囲で最大サイズのディスプレイパネルが用いられている。そのため、携帯電話端末は、端末内部の構造及びクリアランスを可能な限り詰めて設計されている。しかし、今後、携帯電話端末のディスプレイは更なる大画面化が求められ、より大きな表示領域を有するディスプレイパネルの搭載が望まれている。
【0003】
一方、携帯電話端末に搭載するディスプレイパネルサイズは、端末の携帯性とトレードオフの関係にある。そのため、ディスプレイパネルサイズを大きくすると、端末の大きさが必然的に大きくなる。つまり、携帯電話端末の携帯性が低下してしまう。したがって、携帯性を低下させずに、ディスプレイを大画面化することが望ましいが、1枚のディスプレイパネルにより携帯性及び大画面化の双方を実現することは困難である。そこで、複数のディスプレイパネルを用いて、一つの画像を表示することにより、表示エリアの拡大を図る技術が開発されている。
【0004】
特許文献1には、2つの平板表示素子の画面の表面に多数の傾斜薄膜及び透明体を設けたマルチディスプレイ装置が開示されている。多数の傾斜薄膜のそれぞれの間に透明体を設けることにより、当該透明体を通過する表示光の経路を平板表示素子間の境界部方向へ誘導する。そのため、境界部付近の表示光は、境界部上に出射されるため、表示エリアが境界部により分離して表示されることを防止できる。
【0005】
特許文献2には、隙間を空けて配置された2つのLCD(Liquid Crystal Display)の表示面側にレンズアレイ及び偏向素子を備える表示装置が開示されている。レンズアレイは、一方のLCDの表示光を平行光に変換する。そして、偏向素子が平行光を他方のLCDの方向に偏向する。これにより、2つのLCD間の隙間が表示されないため、2つのLCDにより連続した一つの画像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−5414号公報
【特許文献2】特開2001−350428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のマルチディスプレイ装置は、画面の表面側に多数の傾斜薄膜が設けられている。そのため、当該傾斜薄膜の存在により表示エリアにストライプまたはグリッドの模様が映し出され、表示エリアに表示された画像が異質的に見えてしまうという問題があった。
【0008】
さらに、特許文献2に記載の表示装置は、偏向素子に対して平行光を入射しなければならない。そのため、LCDの表示光を平行光にするレンズアレイが別途必要となり、表示装置全体として厚くなる。つまり、携帯性が低下するという問題もあった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、画像品質及び携帯性を維持したまま、大画面表示が可能である携帯端末を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる携帯端末は、第1の表示領域を有する第1の表示部と、前記第1の表示領域と境界部を介して隣り合って配置された第2の表示領域を有する第2の表示部と、前記第1及び第2の表示領域側に設けられ、前記第1の表示領域に表示される画像と、前記第2の表示領域に表示される画像と、が連続した画像となるように、前記第1及び第2の表示部が出力する表示光を導光する導光部と、を備え、前記導光部は、複数の繊維状の結晶を有する結晶構造である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、画像品質及び携帯性を維持したまま、大画面表示が可能である携帯端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1にかかる携帯端末の上面図である。
【図2】実施の形態1にかかる携帯端末の断面図である。
【図3】実施の形態1にかかる携帯端末の部分拡大断面図である。
【図4】実施の形態2にかかる携帯端末の上面図である。
【図5】実施の形態2にかかる携帯端末の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本実施の形態にかかる携帯端末1の上面図を示す図である。図2は図1のII−II線の矢視方向の断面図である。携帯端末1は、導光部10、第1の表示部21、第2の表示部22、筐体30を備える。なお、携帯端末とは、例えば、携帯電話機、携帯オーディオプレーヤー、携帯ゲーム機等である。
【0014】
第1の表示部21と第2の表示部22とは、筐体30に格納され、隣り合って配置されている。第1の表示部21は、第1の内部表示エリア211(第1の表示領域)から第1の外観表示エリア41に画像を表示するための表示光を出力する。第2の表示部22も同様に、第2の内部表示エリア221(第2の表示領域)から第2の外観表示エリア42に画像を表示するための表示光を出力する。第1及び第2の表示部21、22は、例えばLCDである。ここで、第1及び第2の内部表示エリア211、221とは、第1及び第2の表示部21、22において、第1及び第2の表示部21、22が出力した表示光(画像)が表示される領域を意味する。第1及び第2の外観表示エリア41、42とは、導光部10上において、実際に画像が表示される領域、つまり、携帯端末1のユーザが実際に画像を視認する領域を意味する。
【0015】
このとき、第1の表示部21において、画素配線等の関係上、第1の内部表示エリア211の周囲(図2において、第1の内部表示エリア211の左右)に額縁が必要となる。第2の表示部22においても同様に、額縁が必要となる。そのため、第1の内部表示エリア211と第2の内部表示エリア221は、額縁91及び額縁92からなる境界部90を介して隣り合って配置される。
【0016】
導光部10は、第1及び第2の表示部21、22の表示面側、つまり、第1及び第2の内部表示エリア211、221側に設けられている。なお、導光部10には強化処理が施されていることが好ましい。強化処理を施すことにより、導光部10自体を携帯端末1の画面スクリーンとして用いることができる。そのため、別途画面スクリーンを備える必要がなく、携帯端末1の部品点数を増やさなくて済む。
【0017】
導光部10は、第1の内部表示エリア211に表示される画像と、第2の内部表示エリア221に表示される画像とが、連続した画像となるように、第1及び第2の表示部21、22が出力する表示光を導光する。つまり、導光部10は、導光部10の表面において、第1及び第2の外観表示エリア41、42が接するように表示光を導光する。なお、本実施の形態においては、導光部10は、第1の外観表示エリア41と第2の外観表示エリア42との境界で分かれている2つの部材から構成されてもよいし、当該境界において分かれていない単一の部材から構成されていてもよい。
【0018】
具体的には、導光部10は、第1の内部表示エリア211から出力される表示光を境界部90の方向(図2において右側)にずらして表示する。一方、導光部10は、第2の内部表示エリア221から出力される表示光を境界部90の方向(図2において左側)にずらして表示する。より詳細には、導光部10は、第1及び第2の内部表示エリア211、221から出力される表示光を斜め上方向(図3の矢印方向)に導光する。なお、図3は境界部90付近の拡大断面図である。
【0019】
これにより、携帯端末1は、境界部90の上方において、第1及び第2の内部表示エリア211、221に表示される画像を、連続させて表示することができる。図2及び図3においては、境界部90の中央において第1及び第2の外観表示エリア41、42が接している。これにより、携帯端末1のユーザからは、第1の外観表示エリア41と第2の外観表示エリア42とに表示された画像の間に境界部90が見えない。つまり、第1及び第2の外観表示エリア41、42を合わせた一つの大画面としてユーザの目に映る。勿論、第1及び第2の外観表示エリア41、42に表示される画像と第1及び第2の内部表示エリア211、221に表示される画像とは、同一の画像である。
【0020】
さらに、導光部10は、複数の繊維状の結晶を有する結晶構造を有している。例えば、導光部10はウレキサイト等により構成される。第1の内部表示エリア211から出力された表示光は、導光部10の繊維状の結晶を通過し、第1の外観表示エリア41に表示される。同様に、第2の内部表示エリア221から出力された表示光は、導光部10の繊維状の結晶を通過し、第2の外観表示エリア42に表示される。
【0021】
このとき、導光部10が有する複数の繊維状の結晶は、その一つ一つをユーザが視認することができない程度に微小な結晶である。したがって、導光部10を介して第1及び第2の外観表示エリア41、42に表示された画像において、ストライプやグリッド状の模様が見えることはない。
【0022】
加えて、導光部10は、繊維状の結晶に表示光を通過させるにより、表示光を導光している。言い換えると、導光部10は、表示光を偏向させる偏向素子ではない。そのため、第1及び第2の内部表示エリア211、221から出力された表示光を導光部10に入射する前に、当該表示光を平行光にする必要がない。
【0023】
なお、導光部10が有する複数の繊維状の結晶は、繊維の太さが均一であり、導光方向に対して実質的に平行に配列されていることが好ましい。これにより、第1及び第2の内部表示エリア211、221に表示された画像を第1及び第2の外観表示エリア41、42に平行移動させることができる。つまり、導光部10の通過の前後において、画像の画素サイズ及び画素の位置関係が保たれる。
【0024】
以上のように、本実施の形態にかかる携帯端末1において、導光部10は、第1の内部表示エリア211に表示される画像と、第2の内部表示エリア221に表示される画像と、が連続した画像となるように、第1及び第2の表示部21、22が出力する表示光を導光する。そのため、第1の内部表示エリア211と第2の内部表示エリア221との間に境界部90が存在する場合であっても、第1の外観表示エリア41と第2の外観表示エリア42とに表示される画像は連続的な画像となる。したがって、携帯端末1は、境界部90が存在しない一つの大画面として画像を表示することができる。
【0025】
さらに、導光部10を構成する複数の繊維状の結晶は、ユーザが視認できない径である。そのため、第1及び第2の外観表示エリア41、42に表示される画像にストライプやグリッド状の線が見えることもない。したがって、画面品質を維持できる。
【0026】
加えて、それぞれの結晶は、レンズのように表示光を偏向させるのではなく、光ファイバのように表示光を導光する。そのため、第1及び第2の内部表示エリア211、221から出力されたままの表示光(拡散光)を導光可能である。つまり、表示光を平行光に変換するレンズ等を備える必要が無く、携帯端末1が分厚くなることを回避できる。したがって、携帯端末1の携帯性を維持できる。
【0027】
実施の形態2
本発明にかかる実施の形態2について説明する。図4は本実施の形態にかかる携帯端末2の上面図を示す図である。図5は図4のV−V線の矢視方向の断面図である。携帯端末2は、図1に示した携帯端末1が備える筐体30に代えて、第1の筐体31、第2の筐体32を備える。なお、その他の構成については携帯端末1と同様であるので、説明を省略する。
【0028】
第1の表示部21は、第1の筐体31に格納されている。第2の表示部22は、第2の筐体32に格納されている。第1の筐体31と第2の筐体32はヒンジ50により折り畳み可能に連結されている。
【0029】
そのため、携帯端末2においては、第1の表示部21と第2の表示部22との間に、第1の筐体31の額縁93と第2の筐体32の額縁94が存在する。したがって、携帯端末2においては、第1の表示部21の額縁91、第2の表示部22の額縁92に加えて、第1の筐体31の額縁93及び第2の筐体32の額縁94を合わせた部分が境界部90となる。
【0030】
なお、上記のように、携帯端末2は、第1及び第2の筐体31、32を折り畳むことができる。そのため、第1の筐体31上には導光部10aが設けられ、第2の筐体32上には導光部10bが設けられている。つまり、導光部は、単一の部材ではなく、第1の筐体31と第2の筐体32との境界上で導光部10aと導光部10bとに別れている。さらに、携帯端末2の開状態において、導光部10aのエッジ位置は第1の筐体31のエッジ位置(ヒンジ50側)と合うように設計され、導光部10bのエッジ位置は、第2の筐体32のエッジ位置(ヒンジ50側)と合うように設計されている。
【0031】
本実施の形態においても、導光部10a、10bは、実施の形態1と同様に表示光を導光する。具体的には、導光部10aは、第1の内部表示エリア211から出力された表示光を第1の筐体31のエッジ(ヒンジ50側)近傍まで導光する。同様に、導光部10bは、第2の内部表示エリア221から出力された表示光を第2の筐体32のエッジ(ヒンジ50側)近傍まで導光する。言い換えると、導光部10a、10bは、第1及び第2の内部表示エリア211、221に表示された二つの画像が連続した画像となるように、第1及び第2の表示部21、22が出力する表示光を導光する。
【0032】
以上のように、本実施の形態にかかる携帯端末2においては、第1の表示部21を格納する第1の筐体31と、第2の表示部22を格納する第2の筐体32とがヒンジ50により折り畳み可能に連結されている。そのため、携帯端末2を持ち運ぶ際には、折り畳んで携帯できる。したがって、携帯性を向上させることができる。勿論、携帯端末2は、導光部10a、10bを備えるため、第1及び第2の外観表示エリア41、42に表示される画像は連続している。つまり、携帯端末2は大画面表示が可能となる。加えて、実施の形態1の携帯端末1と同様に、画像品質を維持することができ、かつ、携帯端末2が分厚くなることを回避できる。
【0033】
その他の実施例
本発明にかかるその他の実施例について説明する。上記の実施の形態1、2においては、第1及び第2の表示部21、22は通常のLCD等の表示装置を用いていたが、LCDが有するガラス板として導光部10を設けてもよい。具体的には、一般的なLCDは、液晶が2枚のガラス板により挟まれて構成されている。そのガラス板のうち、表示面側のガラス板を強化処理を施した導光部10としてもよい。これにより、携帯端末の画面スクリーンに用いられる導光部10と、ガラス板に用いられる導光部10とが重なり、二重の導光部10を備える構成となる。その結果、LCDのガラス板として用いられている導光部10と、画面スクリーンとして用いられる導光部10とにより、二段階で表示光を導光できる。したがって、1つの導光部10により導光する場合よりも、第1及び第2の表示部21、22からより離れた位置に画像を表示させることができる。
【0034】
また、上述した実施の形態1、2においては、導光部10を画面スクリーンとして用いていたが、画面スクリーンは通常の部品を用いて、導光部10と同様の結晶構造を有するフィルムを当該画面スクリーンに貼り付けてもよい。
【0035】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更及び組み合わせをすることが可能である。例えば、表示部の数は2つに限られるものではない。
【符号の説明】
【0036】
1、2 携帯端末
10 導光部
21 第1の表示部
22 第2の表示部
30 筐体
31 第1の筐体
32 第2の筐体
41 第1の外観表示エリア
42 第2の外観表示エリア
50 ヒンジ
90 境界部
91〜94 額縁
211 第1の内部表示エリア
221 第2の内部表示エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表示領域を有する第1の表示部と、
前記第1の表示領域と境界部を介して隣り合って配置された第2の表示領域を有する第2の表示部と、
前記第1及び第2の表示領域側に設けられ、前記第1の表示領域に表示される画像と、前記第2の表示領域に表示される画像と、が連続した画像となるように、前記第1及び第2の表示部が出力する表示光を導光する導光部と、を備え、
前記導光部は、複数の繊維状の結晶を有する結晶構造である携帯端末。
【請求項2】
前記複数の繊維状の結晶は、実質的に平行に配列している請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記導光部は、ウレキサイトからなる請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記導光部は、前記第1及び第2の表示部が表示する画像サイズを維持したまま、当該第1及び第2の表示部が出力する表示光を導光する請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記導光部を複数備え、
複数の前記導光部は、重ねて配置されており、前記第1の表示領域に表示される画像と、前記第2の表示領域に表示される画像と、が連続した画像となるように、前記第1及び第2の表示部が出力する表示光を導光する請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記第1の表示部は、第1の筐体に格納され、前記第2の表示部は、前記第1の筐体とは異なる第2の筐体に格納されており、
前記第1及び第2の筐体は、ヒンジ部により折り畳み可能に連結されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記導光部が強化処理されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−85150(P2012−85150A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230506(P2010−230506)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】