携帯通信端末および信号送信プログラム
【解決手段】携帯通信端末10は、リモコン制御回路36および赤外線LED38を含み、外部装置に対して、赤外線信号を送信することができる。さらに、携帯通信端末10は、GPS制御回路32およびGPSアンテナ34を備え、現在位置の情報を取得することができる。また、使用者は、リモコン機能の初期設定で、自宅H内で現在位置の情報を取得し、自宅H内を所定位置の範囲として登録する事ができる。そして、使用者が携帯通信端末10を持って自宅Hに帰宅すると、携帯通信端末10の現在位置の情報が自宅H内に含まれるため、携帯通信端末10は、照明に対して赤外線信号を送信して、照明の電源をオンにする事ができる。
【効果】使用者は、予め登録した任意の場所に行く(帰る)だけで、照明の電源などを制御することができる。
【効果】使用者は、予め登録した任意の場所に行く(帰る)だけで、照明の電源などを制御することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯通信端末に関し、特にたとえば、外部装置を制御することが可能な、携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部装置を制御することが可能な、携帯通信端末が知られており、この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術における照明制御システムは、事務所内に複数の照明装置と複数の無線基地局とがそれぞれ配置され、複数の照明装置および複数の無線基地局のそれぞれは、LANによって制御部に接続される。また、事務所内のユーザは、照度センサを有する無線携帯端末を所持し、無線基地局と交信することができる。そして、制御部は位置検出モジュールおよび照度変更モジュールを備え、位置検出モジュールは無線携帯端末の現在位置を特定し、照度変更モジュールは特定された位置の近傍における照明装置の照度を変更する。これにより、ユーザは、自身が居る場所を照らす照明装置の照度を任意に制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−147183号公報[H05B 37/02, H04Q 9/00]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の背景技術における照明制御システムが、一般の家庭に設置される場合に、ユーザは、照明装置を全て取り替え、さらに無線基地局および制御部のそれぞれを新たに設置しなければならない。そのため、ユーザは、照明制御システムを、自身の家に対して、安易に設置することができない。さらに、無線携帯端末が発する電波は指向性が弱いため、精度よく無線携帯端末の現在位置を特定するのは困難である。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、携帯通信端末を提供することである。
この発明の他の目的は、任意の場所で容易に外部装置を制御することが可能な、携帯通信端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために記述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0007】
第1の発明は、外部装置に対して制御信号を送信する送信装置を備える携帯通信端末であって、位置情報を取得する位置情報取得手段、所定位置を登録する位置登録手段、および位置情報取得手段によって取得された位置情報が位置登録手段によって登録された所定位置の範囲内であるとき、送信装置に制御信号を送信させる送信手段を備える、携帯通信端末である。
【0008】
第1の発明では、送信装置(20,36,38,40,42)は、使用者の自宅に設置された外部装置の
電源を制御するための制御信号を送信する。また位置情報取得手段(20,32,34)は、GPS衛星(100)からのGPS信号を受信して、携帯通信端末(10)の位置情報を取得する。さら
に、使用者は、位置登録手段(20,S17)によって自宅(H)の中心などを所定位置として登
録することができる。そして、送信手段(20,S45,S63)は、携帯通信端末の現在の位置が所定位置から半径10メートル以内(自宅内)であれば、外部装置に対して、制御信号を送信させる。
【0009】
第1の発明によれば、使用者は、携帯通信端末を持って自宅に帰るだけで、外部装置に対して制御信号を送信させることができる。そして、使用者は、電源を制御する制御信号を送信させることで、外部装置の電源をオンにすることもできる。つまり、使用者は、予め登録した任意の場所に行く(帰る)だけで、外部装置の電源などを制御することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、位置登録手段は、位置情報取得手段によって取得された位置情報を所定位置として登録する。
【0011】
第2の発明では、受信したGPS信号から取得した現在の位置情報を所定位置として登録することができる。
【0012】
第2の発明によれば、使用者は、任意の場所で、所定位置を登録する事ができる。
【0013】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明に従属し、時刻を取得する時刻取得手段、および所定時間を設定する時間設定手段を備え、位置情報取得手段は、時刻取得手段によって取得された時刻が時間設定手段によって設定された所定時間に含まれるとき、位置情報を取得する。
【0014】
第3の発明では、携帯通信端末のプロセサ(20)に内蔵される時刻取得手段(20a)は、時刻を取得する。また、時間設定手段(20,S11)は、使用者が帰宅する時間帯などを所定時間として設定する。そして、位置情報取得手段は、使用者が帰宅する時間帯に、位置情報を取得する。
【0015】
第3の発明によれば、外部装置を制御する必要の無い時間帯には位置情報を取得しないようにすることで、携帯通信端末の消費電力を抑えることができる。
【0016】
第4の発明は、第1の発明ないし第3の発明のいずれかに従属し、外部装置に対する制御信号のパターンを設定するパターン設定手段をさらに備える。
【0017】
第4の発明では、制御信号のパターンは外部装置によって異なり、使用者は、パターン設定手段(20,S3)によって送信する制御信号のパターン(機種コード)を設定する。
【0018】
第4の発明によれば、使用者は、制御信号によって制御する外部装置を任意に決めることができる。
【0019】
第5の発明は、第4の発明に従属し、外部装置は、赤外線信号によって制御可能な照明を含み、送信装置は、赤外線信号を送信可能な赤外線LEDを含む。
【0020】
第5の発明では、照明(60)は、携帯通信端末が備える赤外線LED(38)から発信される赤外線信号によって制御される。
【0021】
第5の発明によれば、赤外線信号によって制御される外部装置は、広く一般家庭に普及しているため、照明やエアコンなどの外部装置を容易に制御できるようになる。
【0022】
第6の発明は、第1の発明ないし第3の発明のいずれかに従属し、外部装置の機器情報を登録する機器情報登録手段をさらに備える。
【0023】
第6の発明では、外部装置が近距離無線通信に対応している場合に、使用者は、機器情報登録手段(20,S23)によって外部装置の機器情報を登録することで、携帯通信端末と外部装置との無線接続を確立する。
【0024】
第6の発明によれば、使用者は、近距離無線通信によって無線接続される外部装置の機器情報を自由に登録する事ができる。
【0025】
第7の発明は、第6の発明に従属し、外部装置は、近距離無線通信によって制御可能であって、他の外部装置を制御するための信号を送信可能なリモコンを含み、送信装置は、リモコンに対して近距離無線通信によって制御信号を送信する近距離無線装置を含む。
【0026】
第7の発明では、携帯通信端末は、他の外部装置を制御するためのリモコン(70)との無線接続を近距離無線装置(40,42)によって確立する。そして、制御信号は、近距離無線通信によって、リモコンに送信される。
【0027】
第7の発明によれば、使用者は、赤外線信号に比べて障害物の影響が小さい、近距離無線通信を利用して外部装置を操作することができる。
【0028】
第8の発明は、外部装置に対して制御信号を送信する送信装置(20,36,38,40,42)と位置情報を取得する位置情報取得手段(20,32,34)とを備える携帯通信端末(10)のプロセサ(20)を、所定位置を登録する位置登録手段(S17)、および位置情報取得手段によって取得された位置情報が位置登録手段によって登録された所定位置の範囲内であるとき、送信装置に制御信号を送信させる送信手段(S45,S63)として機能させる、信号送信プログラムである。
【0029】
第8の発明でも、第1の発明と同様に、使用者は、予め登録した任意の場所に行く(帰る)だけで、外部装置の電源などを制御することができる。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、使用者は、予め登録した任意の場所に、携帯通信端末を持って行く(帰る)だけで、外部装置の電源などを制御することができる。
【0031】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は本発明の携帯通信端末の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は図1に示す携帯通信端末の外観を示す図解図である。
【図3】図3は図1に示すLDEモニタに表示されるGUIの一例を示す図解図である。
【図4】図4は本発明で説明される照明の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は第1実施例における照明の操作の一例を示す図解図である。
【図6】図6は図1に示すRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
【図7】図7は図1に示すCPUの初期設定処理を示すフロー図である。
【図8】図8は図1に示すCPUの第1実施例における自動送信処理を示すフロー図である。
【図9】図9は本発明で説明されるBTリモコンの構成を示すブロック図である。
【図10】図10は図9に示すBTリモコンの外観を示す図解図である。
【図11】図11は第2実施例における照明の操作の一例を示す図解図である。
【図12】図12は図1に示すCPUの第2実施例における自動送信処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<第1実施例>
図1を参照して、携帯通信端末10は、CPU(プロセサまたはコンピュータと呼ばれることもある。)20および入力装置であるキー入力装置22を含む。CPU20は、CDMA方式に対応する無線通信回路14を制御して発呼信号を出力する。出力された発呼信号は、アンテナ12から送出され、基地局を含む移動通信網に送信される。そして、通話相手が応答操作を行うと、通話可能状態が確立される。
通話可能状態に移行した後にキー入力装置22によって通話終了操作が行われると、CPU20は、無線通信回路14を制御して、通話相手に通話終了信号を送信する。そして、通話終了信号の送信後、CPU20は、通話処理を終了する。また、先に通話相手から通話終了信号を受信した場合も、CPU20は、通話処理を終了する。さらに、通話相手によらず、移動通信網から通話終了信号を受信した場合も、CPU20は通話処理を終了する。
【0034】
携帯通信端末10が起動している状態で通話相手からの発呼信号がアンテナ12によって捉えられると、無線通信回路14は、着信をCPU20に通知する。また、CPU20は、LCDドライバ24によって表示装置であるLCDモニタ26を制御し、着信通知に記述された発信元情報を表示させる。そして、CPU20は、図示しない着信通知用のスピーカから着信音を出力させる。
【0035】
通話可能状態では、次のような処理が実行される。通話相手から送られてきた変調音声信号(高周波信号)は、アンテナ12によって受信される。受信された変調音声信号は、無線通信回路14によって復調処理および復号処理を施される。そして、得られた受話音声信号は、スピーカ18から出力される。一方、マイク16によって取り込まれた送話音声信号は、無線通信回路14によって符号化処理および変調処理を施される。そして、生成された変調音声信号は、上述と同様、アンテナ12を利用して通話相手に送信される。
【0036】
また、CPU20は、位置情報取得手段である、GPS(Global Positioning System)制御回路32およびGPSアンテナ34によって、現在位置の情報を取得する事ができる。たとえば、使用者によって現在位置の情報を取得する操作がされると、CPU20は、GPS制御回路32を起動し、GPSアンテナ34によってGPS衛星100から送信されるGPS信号を受信する。そして、CPU20は、受信したGPS信号から現在位置の緯度および経度を取得する。
【0037】
なお、携帯通信端末10は、受信したGPS信号を利用して、ナビゲーション機能などを実行することができる。また、図1では、GPS衛星100は、簡単のため1つしか描画していないが、実際には複数のGPS衛星100が存在する。そして、現在位置の情報は、複数のGPS衛星100が送信する、複数のGPS信号に基づいて取得される。
【0038】
また、携帯通信端末10はリモコン機能を備えており、リモコン機能が実行されると、CPU20は、送信装置として機能するリモコン制御回路36および赤外線LED38を利用して、携帯通信端末10をリモコンとして機能させる。たとえば、使用者がキー入力装置22に対して、外部装置をリモートコントロールする操作(以下、リモコン操作と言う)を入力すると、CPU20は、キー入力装置22に入力されたリモコン操作に応じて、リモコン制御回路36に対して制御信号の発信命令を与える。そして、リモコン制御
回路36は、与えられた発信命令に基づいて、制御信号を赤外線信号に変換して、赤外線信号を赤外線LED38に発信させる。これにより、外部装置は、受信した赤外線信号を制御信号に変換し、変換した制御信号に応じて、動作状態を変更する。たとえば、外部装置が照明であれば、リモコン操作に応じて電源のオン/オフが制御される。また、外部装置がエアコンであれば、リモコン操作に応じて電源のオン/オフおよび温度調整が制御される。
【0039】
また、赤外線信号は、高速で点滅する赤外線によってバイナリデータを表現しており、本実施例の赤外線信号が表すバイナリデータは、機種コード部およびコマンド部などを含む。機種コード部は、外部装置の種類を特定する機種コードを含んでおり、リモコン操作される外部装置によって異なる。また、コマンド部は、外部装置を制御するためのコマンド(制御信号)を含んでおり、たとえば電源のオン/オフを制御するコマンド(制御信号)が含まれる。そして、外部装置は、受信した赤外線信号に含まれる機種コードが、予め設定されたものでなければ、リモコン操作として受け付けない。
【0040】
さらに、携帯通信端末10には、Bluetooth(登録商標)方式に従う近距離無線通信を行うBT通信回路40が設けてあり、BT通信回路40は、BTアンテナ42を通じ、他の機器との間で、Bluetooth(登録商標)方式に従う近距離無線通信を行う。使用者は、任意の外部装置と、パスワードで保護される接続設定を行うことで、画像ファイルや文字列ファイルなどのデータを、任意の外部装置に送信したり、任意の外部装置から受信したりすることが可能である。
【0041】
図2は、携帯通信端末10の外観を示す図解図である。図2を参照して、携帯通信端末10は、板状に形成されたケースC1を有する。図2では図示しないマイク16およびスピーカ18は、ケースC1に内蔵される。内蔵されたマイク16に通じる開口OP2は、ケースC1の長さ方向一方の主面に設けられ、内蔵されたスピーカ18に通じる開口OP1は、ケースC1の長さ方向他方の主面に設けられる。つまり、使用者は、開口OP1を通じてスピーカ18から出力される音を聞き、開口OP2を通じてマイク16に音声を入力する。
【0042】
キー入力装置22は、通話キー、終話キー、カーソルキー、確定キーおよび0〜9の数字キーを含み、それぞれのキーは、ケースC1の主面に設けられる。LCDモニタ26は、モニタ画面がケースC1の主面に露出するように取り付けられる。
【0043】
使用者は、通話キーを操作することで応答操作を行い、終話キーを操作することで通話終了操作を行う。また、使用者は、カーソルキーまたは数字キーによってGUI(Graphical User Interface)を操作し、操作の結果を確定キーによって確定する。また、0〜9の数字キーを利用して、通話相手の電話番号を入力する。そして、終話キー22cを長押しすることで携帯通信端末10の電源オン/オフ操作を行うことができる。また、携帯通信端末10がリモコンとして機能している状態で、使用者は、カーソルキーおよび確定キーによってリモコン操作を入力する。たとえば、使用者は、リモコン操作によって外部装置の電源をオン/オフする場合に、確定キーを押下することで、電源のオン/オフを切り替える。
【0044】
また、ケースC1の長さ方向一方の側面には、赤外線LED38に通じる窓W1が設けられる。つまり、使用者は、ケースC1の長さ方向一方の側面を外部装置に向けて、リモコン操作を行う。なお、窓W1には、赤外線を透過するプラスチックがはめ込まれている。
【0045】
ここで、本実施例におけるリモコン機能では、所定位置の範囲内で携帯通信端末10を
リモコンとして機能させて、外部装置を操作することができる。具体的に、このリモコン機能では、使用者によって設定された所定時間になると、GPS信号を受信することで現在位置の情報を取得し、所定位置の範囲内であれば、外部装置を制御する制御信号を発信する。これにより、使用者は、携帯通信端末10の窓W1を外部装置に向けるだけで、外部装置を制御することができる。
【0046】
まず、制御する外部装置の種類、所定時間および所定位置の初期設定について、図3に示すGUIを利用して説明する。
【0047】
図3は、リモコン機能における初期設定を行うためのGUIの一例を示す図解図である。図3を参照して、LCDモニタ26は、状態表示領域50および機能表示領域52を含む。状態表示領域50には、アンテナ12による電波受信状態、充電池の残電池容量および現在日時などが表示される。なお、状態表示領域50に表示される現在日時は、CPU20に内蔵されるRTC20a(時刻取得手段)から取得される。
【0048】
また、機能表示領域52には、リモコン機能における初期設定を行うGUIが表示され、キー入力装置22を利用して操作される。図3に示すGUIでは、「1.通信設定」、「2.自動送信設定」、「3.時間設定」、「4.位置登録」および「5.BTリモコン登録」のメニューが示される。そして、各メニューに対応する番号は、キー入力装置22の数字キーに対応しており、使用者は、数字キーを押下することで、任意のメニューを選択することができる。
【0049】
たとえば、使用者は、「1」の数字キーを押下すると、「1.通信設定」のメニューを選択することができる。この「1.通信設定」メニューが選択されると、発信される赤外線信号に含まれる機種コードとコマンドとの内容を設定するGUIがさらに表示される。たとえば、機種コードの設定では、外部装置の種類(照明やエアコンなどのメーカーおよび型番)を選択することができる。一方、コマンドの設定では、具体的な制御内容、たとえば電源のオン/オフなどを選択することができる。このように、使用者は、赤外線信号によって操作される外部装置を任意に決めることができる。そして、赤外線信号によって操作される外部装置は、広く一般家庭に普及しており、本願発明の携帯通信端末10を利用して、照明やエアコンなどの外部装置を容易に操作できるようになる。
【0050】
また、使用者は、「2」の数字キーを押下すると、「2.自動送信設定」のメニューを選択することができる。「2.自動送信設定」のメニューが選択されると、赤外線信号(制御信号)を自動送信するか否かを設定するGUIを表示させることができる。つまり、使用者は、制御信号を自動的に発信するか否かを任意に決めることができる。
【0051】
また、使用者は、「3」の数字キーを押下すると、「3.時間設定」のメニューを選択することができる。「3.時間設定」のメニューが選択されると、制御信号を自動発信する時間を設定するためのGUIがさらに表示される。そして、使用者は、0時から23時59分の間で、任意の時間帯を設定することができる。たとえば、使用者は、帰宅する時間帯を所定時間として設定することができる。
【0052】
さらに、使用者は、「4」の数字キーを押下すると、「4.位置登録」のメニューを選択することができる。「4.位置登録」のメニューが選択されると、GPS衛星100からのGPS信号を受信し、現在位置を示す緯度および経度を取得し、取得した緯度および経度を所定位置としてRAM30に記憶する。また、リモコン機能における所定位置の範囲とは、所定位置から半径10メートル以内である。たとえば、使用者は、半径10メール内に収まる自宅H(図5参照)で、位置登録の初期設定を行うと、自宅Hが所定位置の範囲となる。つまり、使用者は、自宅H内などの任意の場所で、所定位置を登録する事が
できる。
【0053】
そして、使用者は、「5」の数字キーを押下すると、「5.BTリモコン登録」のメニューを選択することができる。この「5.BTリモコン登録」のメニューが選択された場合については、第2実施例で後述するため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0054】
続いて、外部装置の一例である照明60について説明する。図4を参照して、照明60は、外部電源から電力を得る電源回路62を備える。電源回路62には、蛍光灯64が電気的に接続されており、電源回路62内のスイッチがオンにされると、蛍光灯64は発光する。また、受光センサを備える赤外線受光部68は、赤外線信号を受光(受信)すると、制御回路66に出力する。制御回路66は、赤外線信号に含まれる機種コードが予め設定されたものと一致すれば、赤外線信号を制御信号に変換し、電源回路62を制御する。たとえば、電源をオフする制御信号であれば、蛍光灯64を消灯するために、電源回路62内のスイッチをオフにする。一方、電源をオンする制御信号であれば、蛍光灯64を発光させるために、電源回路62内のスイッチをオンにする。
【0055】
なお、照明60では、電源のオン/オフだけに限らず、照度調整も行うようにしてもよい。
【0056】
続いて、リモコン機能の初期設定において、20〜23時の間で、携帯通信端末10の現在位置が使用者の自宅H内であれば、照明60の電源をオンにする制御信号を発信する設定がされている場合について説明する。図5を参照して、使用者の自宅Hには照明60が設置されている。そして、使用者が、携帯通信端末10を持って20〜23時の間に帰宅すると、携帯通信端末10の現在位置が、所定位置の範囲内となる。このとき、携帯通信端末10は、照明60の電源をオンにする制御信号、つまり赤外線信号を発信する。そして、使用者は、携帯通信端末10の窓W1を照明60の赤外線受光部68に向けると、照明60の電源をオンにする事ができる。
【0057】
つまり、使用者は、自宅Hに帰宅した後に、携帯通信端末10を照明60に向けるだけで、照明60の電源をオンにすることができる。さらに、使用者は、帰宅する時間帯を設定することで、携帯通信端末10が余計な時間帯にGPS信号を受信しないようにできるため、携帯通信端末10の消費電力を抑えることができる。
【0058】
また、携帯通信端末10は、設定された所定時間であるか否かを1分毎に確認し、所定時間内であれば、1分毎にGPS衛星100からGPS信号を受信して所定位置の範囲内であるか否かを判断する。そして、所定位置の範囲内であれば、30秒毎に赤外線信号を発信するようにする。さらに、30秒毎に赤外線信号を発信する場合に、使用者によって停止操作が行われると、赤外線信号を自動的に発信する処理を終了する。なお、赤外線信号の発信に連動するバイブレータをさらに備え、携帯通信端末10は、赤外線信号の発信を明確に通知するようにしてもよい。
【0059】
図6は、RAM30のメモリマップを示す図解図である。図6を参照して、RAM30のメモリマップ300には、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304が含まれる。プログラムおよびデータの一部は、フラッシュメモリ28から一度にまたは必要に応じて部分的にかつ順次的に読み出され、RAM30に記憶され、そしてCPU20などで処理される。
【0060】
プログラム記憶領域302は、携帯通信端末10を動作させるためのプログラムを記憶する。この携帯通信端末10を動作させるためのプログラムは、リモコン機能プログラム310およびGPS通信プログラム312などから構成される。
【0061】
リモコン機能プログラム310は、携帯通信端末10をリモコンとして機能させるためのプログラムであり、さらに初期設定プログラム314および自動送信プログラム316のサブルーチンを含む。初期設定プログラム314は、リモコン機能における初期設定を行うためのプログラムであり、図3に示すGUIを表示したりする。自動送信プログラム316は、初期設定プログラム314の処理によって設定された、設定内容に基づいて制御信号を自動送信するためのプログラムである。
【0062】
GPS通信プログラム312は、GPS衛星100からGPS信号を受信するためのプログラムである。なお、図示は省略するが、携帯通信端末10を動作させるためのプログラムは、通話を行うためのプログラムなどを含む。
【0063】
データ記憶領域304には、RTCバッファ320、キー操作バッファ322およびGPS通信バッファ324が設けられる。また、データ記憶領域304には、機種コードパターンデータ326、コマンドパターンデータ328、設定時間データ330、登録GPSデータ332およびBTリモコンデ334データが記憶されると共に、自動送信フラグ336が設けられる。
【0064】
RTCバッファ320には、RTC20aから読み出された時刻のデータが一時的に記憶される。キー操作バッファ322には、キー入力装置22で押下されたキーを示すデータが一時的に記憶される。GPS通信バッファ324には、GPS衛星100から受信したGPS信号が一時的に記憶される。
【0065】
機種コードパターンデータ326は、赤外線信号に含まれる機種コード部のパターンを示すデータである。コマンドパターンデータ328は、コマンド(制御信号)による制御内容を示すデータであり、たとえば電源のオン/オフを行う制御内容を示す。設定時間データ330は、初期設定プログラム314によって設定される所定時間を示すデータである。登録GPSデータ332は、初期設定プログラム314によって登録される所定位置を示すデータである。BTリモコンデータ334は、Bluetooth(登録商標)方式に従う近距離無線通信で接続設定される、リモコンの機器情報を示すデータである。
【0066】
自動送信フラグ336は、制御信号の自動送信が設定されているか否かを判断するためのフラグである。たとえば、自動送信フラグ336は、1ビットのレジスタで構成される。自動送信フラグ336がオン(成立)されると、レジスタにはデータ値「1」が設定される。一方、自動送信フラグがオフ(不成立)されると、レジスタにはデータ値「0」が設定される。
【0067】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、GUIを表示するための画像データなどが記憶されると共に、携帯通信端末10の動作に必要な他のカウンタやフラグも設けられる。
【0068】
CPU20は、「Linux(登録商標)」および「REX」などのRTOS(real−time operating system)の制御下で、図7に示す初期設定処理および図8に示す自動送信処理などを含む複数のタスクを並列的に実行する。
【0069】
図7は、初期設定処理を示すフロー図である。図7を参照して、使用者によって図3に示すGUIを表示する操作がされると、CPU20は、ステップS1で通信設定がされたか否かを判断する。つまり、「1.通信設定」のメニューが表示されて設定されたか否かを判断する。ステップS1で“NO”であれば、つまり通信設定がされなければ、ステップS5に進む。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまり通信設定がされれば、
ステップS3で制御信号のパターンを記憶し、ステップS25に進む。つまり、ステップS3では、使用者によって選択された外部装置の種類を機種コードパターンデータ326として記憶し、使用者によって選択された制御内容をコマンドパターンデータ328としてRAM30に記憶する。なお、ステップS3の処理を実行するCPU20は、パターン設定手段として機能する。
【0070】
ステップS5では、自動送信設定がされたか否かを判断する。つまり、「2.自動送信設定」のメニューが表示されて設定されたか否かを判断する。ステップS5で“NO”であれば、つまり自動送信設定がされなければ、ステップS9に進む。一方、ステップS5で“YES”であれば、つまり自動送信設定がされれば、ステップS7で自動送信フラグ336の状態を切り替え、ステップS25に進む。つまり、制御信号(赤外線信号)を自動送信する設定がされれば、自動送信フラグ336をオンにし、制御信号(赤外線信号)を自動送信しない設定がされれば、自動送信フラグ336をオフにする。
【0071】
ステップS9では、時間設定がされたか否かを判断する。つまり、「3.時間設定」のメニューが表示されて設定されたか否かを判断する。ステップS9で“NO”であれば、つまり時間設定がされなければ、ステップS13に進む。一方、ステップS9で時間設定がされれば、ステップS11で設定された時間を記憶する。つまり、設定された時間(所定時間)を設定時間データ330としてRAM30に記憶する。なお、ステップS11の処理を実行するCPU20は、時間設定手段として機能する。
【0072】
ステップS13では、位置登録がされたか否かを判断する。つまり、「4.位置登録」のメニューを表示する操作がされて登録されたか否かを判断する。ステップS13で“NO”であれば、つまり位置登録がされなければ、ステップS19に進む。一方、ステップS13で“YES”であれば、つまり位置登録がされれば、ステップS15で現在位置の情報を取得する。つまり、GPS通信プログラム312を実行し、GPS衛星100からGPS信号を受信して、現在位置の情報を取得する。続いて、ステップS17では、現在位置の情報を登録し、ステップS25に進む。つまり、ステップS15で取得された現在位置(所定位置)の情報を登録GPSデータ332として、RAM30に記憶する。なお、ステップS17の処理を実行するCPU20は、位置登録手段として機能する。
【0073】
ここで、ステップS19−S23の処理については、後述する第2実施例で説明するため、詳細な説明は省略する。
【0074】
ステップS25では、終了操作か否かを判断する。たとえば、キー入力装置22の終話キーを押下するような終了操作がされたか否かを判断する。ステップS25で“NO”であれば、つまり終了操作がされなければ、ステップS1に戻る。一方、ステップS25で“YES”であれば、つまり終了操作がされれば、初期設定処理を終了する。
【0075】
図8は、自動送信処理を示すフロー図である。つまり、自動送信フラグ336がオンの状
態であれば、CPU20は、ステップS41で設定時間か否かを判断する。つまり、RTCバッファ320に一時的に記憶された時刻が、設定時間データ330が示す所定時間内で
あるか否かを判断する。このように、CPU20は、設定時間内であるか否かを確認することにより、たとえば、午後6時〜翌午前5時というように、暗い時間帯のみ制御信号を送信し、照明60の電源をオンさせる制御を行うことができる。ステップS41で“NO”であれば、つまり設定時間でなければ、ステップS41の処理を、1分毎に繰り返し実行する。一方、ステップS41で“YES”であれば、つまり設定時間であれば、ステップS43で登録位置範囲内であるか否かを判断する。つまり、GPS通信プログラム312を実行
し、GPS信号から現在位置の情報を取得する。そして取得した現在位置の情報が、登録GPSデータ322が示す位置から半径10メートル以内に含まれるか否かを判断する。
ステップS43で“NO”であれば、つまり登録位置範囲内でなければ、ステップS43の処理を1分毎に繰り返し実行する。
【0076】
一方、ステップS43で“YES”であれば、つまり登録位置範囲内であれば、ステップS45で制御信号を送信する。つまり、CPU20は、コマンドパターンデータ328に基づいて制御信号を決定する。そして、CPU20は、リモコン制御回路36に、機種コードパターンデータ326に基づいて制御信号を赤外線信号に変換させ、変換した赤外線信号を赤外線LED38から発信させる。続いて、ステップS47では、停止操作か否かを判断する。つまり、30秒毎に発信する赤外線信号を停止する操作がされたか否かを判断する。ステップS47で“NO”であれば、つまり停止操作でなければステップS45,S47の処理を30秒毎に繰り返し実行する。一方、ステップS47で“YES”であれば、つまり停止操作であれば、自動送信処理を終了する。このように、CPU20は、赤外線信号を間欠送信することで、携帯通信端末10の消費電力を抑えることができる。
【0077】
なお、ステップS47の停止操作に応じて、自動送信処理は終了されるが、一定時間(12時間)後に、再び実行されるようにされていてもよい。また、ステップS45の処理を実行するCPU20は、送信手段として機能する。
【0078】
また、たとえば、照明60が常に暗い場所に設置されており、使用者が必ず照明60の電源をオンにしたい場合に、使用者は、リモコン機能の初期設定で、0時〜23時59分と設定すればよい。これにより、使用者は、時間帯に関係なく、携帯通信端末10を持って帰宅するだけで、照明60の電源をオンにすることできる。
【0079】
さらに、制御信号(赤外線信号)を送信する周期を30秒毎としたが、光センサを備える携帯通信端末10であれば、CPU20は、光センサの出力値から周囲の明るさの変化を検出して、制御信号の間欠送信を停止するようにしてもよい。具体的には、ステップS47の判断内容を、明るさが変化したか否かを判断するようにすればよい。
【0080】
<第2実施例>
第2実施例では、Bluetooth(登録商標)方式の近距離無線通信回路を備えるBTリモコン70を外部装置とした場合について説明する。具体的には、所定時間に所定位置の範囲内であれば、携帯通信端末10は、BTリモコン70と無線接続し、無線接続されたBTリモコン70に対してBluetooth(登録商標)方式に従う制御信号を送信して、照明60の電源を操作する。
【0081】
なお、第2実施例では、図1の携帯通信端末10の構成を示すブロック図、図2の携帯通信端末10の外観を示す図解図、図3の初期設定のGUIを示す図解図、図4の照明60の構成を示すブロック図、図6のRAM30のメモリマップを示す図解図および図7の初期設定処理を示すフロー図については、第1実施例と同じであるため、それぞれの図については詳細な説明を省略する。また、第2実施例において、CPU20によって制御されるBT通信回路40およびBTアンテナ42は、送信装置として機能する。
【0082】
まず、照明60を操作可能な、BTリモコン70の構成について、図9を利用して説明する。図9を参照して、BTリモコン70は、リモコン制御回路72を備える。リモコン制御回路72には、操作キー74、赤外線LED76およびBTアンテナ80を有するBT通信回路78がそれぞれ接続される。操作キー74は、リモコン操作が入力され、リモコン操作の入力に応じてリモコン制御回路72に操作信号を出力する。そして、リモコン制御回路72は、操作キー74から操作信号が入力されると、予め設定された制御信号に対応する赤外線信号を、赤外線LED76から発信させる。また、予め設定された制御信
号とは、照明60の電源をオン/オフするための制御信号である。
【0083】
また、BTアンテナ80は、携帯通信端末10が発信する、パスワード情報を含む接続設定の無線通信データを受信すると、BT通信回路78に出力する。すると、BT通信回路78は、パスワード情報をリモコン制御回路72に出力し、リモコン制御回路72は、パスワード情報が予め設定されていたものと一致するか確認する。そして、リモコン制御回路72は、パスワード情報が一致すると、BT通信回路78に、無線接続可能なことを携帯通信端末10に対して応答させる。これにより、BTリモコン70は、Bluetooth(登録商標)方式の近距離無線通信に従って、携帯通信端末10と無線接続される。
【0084】
続いて、BT通信回路78は、無線接続された携帯通信端末10から電源をオンにする制御信号を、BTアンテナ80を通じて受信すると、受信した制御信号をリモコン制御回路72に出力する。そして、リモコン制御回路72は、入力された制御信号に対応する赤外線信号を、赤外線LED76から発信させる。これにより、照明60の電源はオンにされる。
【0085】
なお、携帯通信端末10とBTリモコン70とが無線接続された状態で、その無線接続が解除されたとしても、近距離無線通信の有効範囲内に入れば、携帯通信端末10とBTリモコン70とが自動的に無線接続される。
【0086】
図10は、BTリモコン70の外観を示す図解図である。図10を参照して、BTリモコン70は、板状に形成されたケースC2を有する。また、操作キー74は、ケースC2の長さ方向一方の主面に設けられる。また、ケースC2の長さ方向他方の主面には、赤外線LED76に通じる窓W2が設けられる。つまり、使用者は、ケースC2に設けられる窓W2を照明60に向けて、操作キー74にリモコン操作を入力する。なお、窓W2には、窓W1と同様に、赤外線を透過するプラスチックがはめ込まれている。
【0087】
ここで、図3を利用して、第2実施例におけるリモコン機能の初期設定を説明する。なお、「3.時間設定」および「4.位置登録」のメニューについては、第1実施例と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0088】
まず、第2実施例において、「1.通信設定」のメニューが選択されると、BTリモコン70に送信する制御信号の内容を選択するGUIが表示される。たとえば、使用者は、照明60の電源をオン/オフするための制御信号を選択することができる。次に、「2.自動送信設定」のメニューでは、BTリモコン70にBluetooth(登録商標)方式の制御信号を自動送信するか否かを設定することができる。
【0089】
そして、「5.BTリモコン登録」のメニューが選択されると、BTリモコン70と携帯通信端末10とを無線接続するためのGUIが表示される。つまり、携帯通信端末10は、「5.BTリモコン登録」のメニューが選択されると、周囲のBTリモコン70を検出し、パスワードを入力させるGUIをLCDモニタ26に表示させる。そして、CPU20は、入力されたパスワード情報を含む無線通信データをBTリモコン70に送信する。このとき、入力されたパスワードが正しければ、BTリモコン70と携帯通信端末10との無線接続が確立される。さらに、無線接続したBTリモコン70の機器情報は、RAM30内に記憶される。これにより、使用者は、近距離無線通信によって無線接続する外部装置の情報を自由に登録する事ができる。そして、使用者は、赤外線信号に比べて障害物の影響が小さい、近距離無線通信を利用して外部装置を操作することができる。
【0090】
なお、第2実施例における「1.通信設定」のメニューは、「5.BTリモコン登録」
のメニューでBTリモコン70の機器情報が記憶された状態でのみ、BTリモコン70に送信する制御信号の内容を選択するGUIを表示する。つまり、BTリモコン70の機器情報が消去または記憶されていなければ、第1実施例で記述した、赤外線信号に含まれる機種コードとコマンドとの内容を設定するGUIを表示する。また、近距離無線通信の規格は、Bluetooth(登録商標)方式だけに限らず、無線LAN、たとえばWi−Fi方式の近距離無線通信の規格であってもよい。
【0091】
ここで、リモコン機能の初期設定で、携帯通信端末10とBTリモコン70とが無線接続されており、20〜23時の間に、携帯通信端末10の現在位置の範囲が使用者の自宅Hであれば、BTリモコン70に、照明60の電源をオンにする制御信号を発信する設定がされている場合について説明する。図11を参照して、第1実施例と同様に、使用者の自宅Hの天井には、照明60が設置されている。また、BTリモコン70は、発信する赤外線信号が照明60の赤外線受光部68に届く状態で、自宅Hに置いてある。
【0092】
そして、使用者が20〜23時の間に帰宅すると、携帯通信端末10の現在位置が設定された所定位置の範囲内となる。このとき、携帯通信端末10は、BTリモコン70と無線接続されると、BTリモコン70に対して、照明60の電源をオンにする制御信号を発信する。そして、BTリモコン70は、受信した制御信号に基づいて、照明60の電源をオンにする赤外線信号を発信する。これにより、使用者は、所定時間内に自宅に帰宅するだけで、照明60の電源をオンにする事ができる。さらに、使用者は、携帯通信端末10をカバンやポケットの中に入れたままで、照明60の電源をオンにする事ができる。
【0093】
なお、所定時間であるかの確認および所定位置の範囲内であるかの確認をするタイミングについては、第1実施例と同じである。また、制御信号を発信するタイミングについては、第1実施例と同様に30秒毎である。さらに、第1実施例と同様に、制御信号の発信に連動するバイブレータを備えてもよい。
【0094】
第2実施例におけるCPU20も、「Linux(登録商標)」および「REX」などのRTOSの制御下で、図7に示す初期設定処理および図12に示す自動送信処理などを含む複数のタスクを並列的に実行する。なお、第2実施例における初期設定処理では、ステップS1、ステップS5−S17およびステップS25の処理については、第1実施例と同じであるため、説明は省略する。また、図12に示す、第2実施例の自動送信処理でも、ステップS41,ステップS43およびステップS47の処理は、第1実施例と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0095】
まず、図7を参照して、第2実施例のCPU20は、ステップS1の処理で“YES”であれば、ステップS3で制御信号のパターンを記憶する。つまり、送信する制御信号(コマンド)の種類をコマンドパターンデータ328として、RAM30に記憶する。
【0096】
また、ステップS13で“NO”であれば、ステップS19でBTリモコン登録がされたか否かを判断する。つまり、「5.BTリモコン登録」のメニューを表示する操作がされて登録されたか否かを判断する。ステップS19で“NO”であれば、つまりBTリモコン登録がされなければ、ステップS25に進む。一方、ステップS19で“YES”であれば、つまりBTリモコン登録がされれば、ステップS21でBTリモコン70の初期設定を行う。つまり、入力されたパスワードに基づいてBTリモコン70との無線接続を確立する。続いて、ステップS23では、BTリモコン70の情報を記憶し、ステップS25に進む。つまり、BTリモコン70の機器情報を、BTリモコンデータ334としてRAM30に記憶する。
【0097】
次に、図12を参照して、第2実施例のCPU20は、ステップS43で“YES”で
あれば、ステップS61でBTリモコン70と無線接続する。つまり、初期設定で無線接続されたBTリモコン70との無線接続を確立する。続いて、ステップS63では、BTリモコン70に制御信号を送信し、ステップS47に進む。つまり、コマンドパターンデータ328に基づいて、BTリモコン70に制御信号を送信する。
【0098】
なお、第2実施例における自動送信処理では、ステップS63で制御信号を送信した後に、ステップS47の処理を実行することなく終了してもよい。また、ステップS61でBTリモコン70との無線接続が確立できなかった場合に、無線接続を行う近距離無線通信を、30秒毎に行うようにしてもよい。また、BT通信回路を備える照明60との無線接続を確立し、リモコン操作をするようにしてもよい。また、ステップS63の処理を実行するCPU20は、送信手段として機能する。
【0099】
以上の説明から分かるように、携帯通信端末10は、リモコン制御回路36、赤外線LED38、BT通信回路40およびBTアンテナ42を備え、外部装置に対して、制御信号(赤外線信号)を送信することができる。さらに、携帯通信端末10は、GPS制御回路32およびGPSアンテナ34を備え、現在位置の情報を取得することができる。また、使用者は、リモコン機能の初期設定で、自宅Hの中心などで現在位置の情報を取得し、自宅H内を所定位置の範囲として登録する事ができる。そして、使用者が携帯通信端末10を持って自宅Hに帰宅すると、携帯通信端末10の現在位置の情報が自宅H内に含まれるため、携帯通信端末10は、照明60(またはBTリモコン70)に対して赤外線信号(制御信号)を送信して、照明60の電源をオンにする事ができる。
【0100】
これによって、使用者は、予め登録した任意の場所に行く(帰る)だけで、照明60の電源などを制御することができる。
【0101】
なお、照明60が備える蛍光灯64は、LED照明や有機EL照明などの他の発光装置であってもよい。また、所定位置の範囲における半径10メートルは、他の値であってもよい。さらに、所定位置の範囲は、使用者によって任意に変更可能であってもよい。また、自動的に発信される制御信号(赤外線信号)によって制御される外部装置は、照明60だけに限らず、エアコンや扇風機などの空調装置、テレビおよびラジオなどであってもよい。
【0102】
また、BTリモコン70は、発信する赤外線信号の機種コードが、使用者によって任意に設定可能であってもよい。さらに、機種コードが使用者によって任意に設定可能なBTリモコン70は、携帯通信端末10とセットで販売されてもよいし、オプション品として別売りされてもよい。
【0103】
また、携帯通信端末10の通信方式には、CDMA方式だけに限らず、W‐CDMA方式、TDMA方式およびPHS方式などを採用してもよい。また、携帯通信端末10のみに限らず、携帯型ゲーム機、携帯型音楽プレイヤ、ノート型PCおよびPDA(Personal Degital Assistant)などであってもよい。
【0104】
また他の実施例において、加速度センサを備える携帯通信端末10であれば、加速度センサが出力する加速度の値から、携帯通信端末10が持ち運ばれているか否かを判断し、携帯通信端末10が持ち運ばれているときにのみ、所定位置の範囲内であるか否かを判断するようにしてもよい。具体的には、ステップS41とステップS43との間に、加速度センサが出力する加速度の値に基づいて携帯通信端末10が持ち運ばれているか否かを判断する処理を新たに加え、新たに加えた処理で“YES”と判断されれば、ステップS43の処理を行うようにすればよい。これによって、消費電力が大きいGPS制御回路32を使用した現在位置の確認回数を減らすことができる。つまり、CPU20は、上記処理が加
えられることで、携帯通信端末10の消費電力を抑えることができる。
【符号の説明】
【0105】
10 … 携帯通信端末
20 … CPU
20a … RTC
22 … キー入力装置
30 … RAM
32 … GPS制御回路
34 … GPSアンテナ
36 … リモコン制御回路
38 … 赤外線LED
40 … BT通信回路
42 … BTアンテナ
60 … 照明
70 … BTリモコン
100 … GPS衛星
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯通信端末に関し、特にたとえば、外部装置を制御することが可能な、携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部装置を制御することが可能な、携帯通信端末が知られており、この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術における照明制御システムは、事務所内に複数の照明装置と複数の無線基地局とがそれぞれ配置され、複数の照明装置および複数の無線基地局のそれぞれは、LANによって制御部に接続される。また、事務所内のユーザは、照度センサを有する無線携帯端末を所持し、無線基地局と交信することができる。そして、制御部は位置検出モジュールおよび照度変更モジュールを備え、位置検出モジュールは無線携帯端末の現在位置を特定し、照度変更モジュールは特定された位置の近傍における照明装置の照度を変更する。これにより、ユーザは、自身が居る場所を照らす照明装置の照度を任意に制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−147183号公報[H05B 37/02, H04Q 9/00]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の背景技術における照明制御システムが、一般の家庭に設置される場合に、ユーザは、照明装置を全て取り替え、さらに無線基地局および制御部のそれぞれを新たに設置しなければならない。そのため、ユーザは、照明制御システムを、自身の家に対して、安易に設置することができない。さらに、無線携帯端末が発する電波は指向性が弱いため、精度よく無線携帯端末の現在位置を特定するのは困難である。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、携帯通信端末を提供することである。
この発明の他の目的は、任意の場所で容易に外部装置を制御することが可能な、携帯通信端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために記述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0007】
第1の発明は、外部装置に対して制御信号を送信する送信装置を備える携帯通信端末であって、位置情報を取得する位置情報取得手段、所定位置を登録する位置登録手段、および位置情報取得手段によって取得された位置情報が位置登録手段によって登録された所定位置の範囲内であるとき、送信装置に制御信号を送信させる送信手段を備える、携帯通信端末である。
【0008】
第1の発明では、送信装置(20,36,38,40,42)は、使用者の自宅に設置された外部装置の
電源を制御するための制御信号を送信する。また位置情報取得手段(20,32,34)は、GPS衛星(100)からのGPS信号を受信して、携帯通信端末(10)の位置情報を取得する。さら
に、使用者は、位置登録手段(20,S17)によって自宅(H)の中心などを所定位置として登
録することができる。そして、送信手段(20,S45,S63)は、携帯通信端末の現在の位置が所定位置から半径10メートル以内(自宅内)であれば、外部装置に対して、制御信号を送信させる。
【0009】
第1の発明によれば、使用者は、携帯通信端末を持って自宅に帰るだけで、外部装置に対して制御信号を送信させることができる。そして、使用者は、電源を制御する制御信号を送信させることで、外部装置の電源をオンにすることもできる。つまり、使用者は、予め登録した任意の場所に行く(帰る)だけで、外部装置の電源などを制御することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、位置登録手段は、位置情報取得手段によって取得された位置情報を所定位置として登録する。
【0011】
第2の発明では、受信したGPS信号から取得した現在の位置情報を所定位置として登録することができる。
【0012】
第2の発明によれば、使用者は、任意の場所で、所定位置を登録する事ができる。
【0013】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明に従属し、時刻を取得する時刻取得手段、および所定時間を設定する時間設定手段を備え、位置情報取得手段は、時刻取得手段によって取得された時刻が時間設定手段によって設定された所定時間に含まれるとき、位置情報を取得する。
【0014】
第3の発明では、携帯通信端末のプロセサ(20)に内蔵される時刻取得手段(20a)は、時刻を取得する。また、時間設定手段(20,S11)は、使用者が帰宅する時間帯などを所定時間として設定する。そして、位置情報取得手段は、使用者が帰宅する時間帯に、位置情報を取得する。
【0015】
第3の発明によれば、外部装置を制御する必要の無い時間帯には位置情報を取得しないようにすることで、携帯通信端末の消費電力を抑えることができる。
【0016】
第4の発明は、第1の発明ないし第3の発明のいずれかに従属し、外部装置に対する制御信号のパターンを設定するパターン設定手段をさらに備える。
【0017】
第4の発明では、制御信号のパターンは外部装置によって異なり、使用者は、パターン設定手段(20,S3)によって送信する制御信号のパターン(機種コード)を設定する。
【0018】
第4の発明によれば、使用者は、制御信号によって制御する外部装置を任意に決めることができる。
【0019】
第5の発明は、第4の発明に従属し、外部装置は、赤外線信号によって制御可能な照明を含み、送信装置は、赤外線信号を送信可能な赤外線LEDを含む。
【0020】
第5の発明では、照明(60)は、携帯通信端末が備える赤外線LED(38)から発信される赤外線信号によって制御される。
【0021】
第5の発明によれば、赤外線信号によって制御される外部装置は、広く一般家庭に普及しているため、照明やエアコンなどの外部装置を容易に制御できるようになる。
【0022】
第6の発明は、第1の発明ないし第3の発明のいずれかに従属し、外部装置の機器情報を登録する機器情報登録手段をさらに備える。
【0023】
第6の発明では、外部装置が近距離無線通信に対応している場合に、使用者は、機器情報登録手段(20,S23)によって外部装置の機器情報を登録することで、携帯通信端末と外部装置との無線接続を確立する。
【0024】
第6の発明によれば、使用者は、近距離無線通信によって無線接続される外部装置の機器情報を自由に登録する事ができる。
【0025】
第7の発明は、第6の発明に従属し、外部装置は、近距離無線通信によって制御可能であって、他の外部装置を制御するための信号を送信可能なリモコンを含み、送信装置は、リモコンに対して近距離無線通信によって制御信号を送信する近距離無線装置を含む。
【0026】
第7の発明では、携帯通信端末は、他の外部装置を制御するためのリモコン(70)との無線接続を近距離無線装置(40,42)によって確立する。そして、制御信号は、近距離無線通信によって、リモコンに送信される。
【0027】
第7の発明によれば、使用者は、赤外線信号に比べて障害物の影響が小さい、近距離無線通信を利用して外部装置を操作することができる。
【0028】
第8の発明は、外部装置に対して制御信号を送信する送信装置(20,36,38,40,42)と位置情報を取得する位置情報取得手段(20,32,34)とを備える携帯通信端末(10)のプロセサ(20)を、所定位置を登録する位置登録手段(S17)、および位置情報取得手段によって取得された位置情報が位置登録手段によって登録された所定位置の範囲内であるとき、送信装置に制御信号を送信させる送信手段(S45,S63)として機能させる、信号送信プログラムである。
【0029】
第8の発明でも、第1の発明と同様に、使用者は、予め登録した任意の場所に行く(帰る)だけで、外部装置の電源などを制御することができる。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、使用者は、予め登録した任意の場所に、携帯通信端末を持って行く(帰る)だけで、外部装置の電源などを制御することができる。
【0031】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は本発明の携帯通信端末の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は図1に示す携帯通信端末の外観を示す図解図である。
【図3】図3は図1に示すLDEモニタに表示されるGUIの一例を示す図解図である。
【図4】図4は本発明で説明される照明の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は第1実施例における照明の操作の一例を示す図解図である。
【図6】図6は図1に示すRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
【図7】図7は図1に示すCPUの初期設定処理を示すフロー図である。
【図8】図8は図1に示すCPUの第1実施例における自動送信処理を示すフロー図である。
【図9】図9は本発明で説明されるBTリモコンの構成を示すブロック図である。
【図10】図10は図9に示すBTリモコンの外観を示す図解図である。
【図11】図11は第2実施例における照明の操作の一例を示す図解図である。
【図12】図12は図1に示すCPUの第2実施例における自動送信処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<第1実施例>
図1を参照して、携帯通信端末10は、CPU(プロセサまたはコンピュータと呼ばれることもある。)20および入力装置であるキー入力装置22を含む。CPU20は、CDMA方式に対応する無線通信回路14を制御して発呼信号を出力する。出力された発呼信号は、アンテナ12から送出され、基地局を含む移動通信網に送信される。そして、通話相手が応答操作を行うと、通話可能状態が確立される。
通話可能状態に移行した後にキー入力装置22によって通話終了操作が行われると、CPU20は、無線通信回路14を制御して、通話相手に通話終了信号を送信する。そして、通話終了信号の送信後、CPU20は、通話処理を終了する。また、先に通話相手から通話終了信号を受信した場合も、CPU20は、通話処理を終了する。さらに、通話相手によらず、移動通信網から通話終了信号を受信した場合も、CPU20は通話処理を終了する。
【0034】
携帯通信端末10が起動している状態で通話相手からの発呼信号がアンテナ12によって捉えられると、無線通信回路14は、着信をCPU20に通知する。また、CPU20は、LCDドライバ24によって表示装置であるLCDモニタ26を制御し、着信通知に記述された発信元情報を表示させる。そして、CPU20は、図示しない着信通知用のスピーカから着信音を出力させる。
【0035】
通話可能状態では、次のような処理が実行される。通話相手から送られてきた変調音声信号(高周波信号)は、アンテナ12によって受信される。受信された変調音声信号は、無線通信回路14によって復調処理および復号処理を施される。そして、得られた受話音声信号は、スピーカ18から出力される。一方、マイク16によって取り込まれた送話音声信号は、無線通信回路14によって符号化処理および変調処理を施される。そして、生成された変調音声信号は、上述と同様、アンテナ12を利用して通話相手に送信される。
【0036】
また、CPU20は、位置情報取得手段である、GPS(Global Positioning System)制御回路32およびGPSアンテナ34によって、現在位置の情報を取得する事ができる。たとえば、使用者によって現在位置の情報を取得する操作がされると、CPU20は、GPS制御回路32を起動し、GPSアンテナ34によってGPS衛星100から送信されるGPS信号を受信する。そして、CPU20は、受信したGPS信号から現在位置の緯度および経度を取得する。
【0037】
なお、携帯通信端末10は、受信したGPS信号を利用して、ナビゲーション機能などを実行することができる。また、図1では、GPS衛星100は、簡単のため1つしか描画していないが、実際には複数のGPS衛星100が存在する。そして、現在位置の情報は、複数のGPS衛星100が送信する、複数のGPS信号に基づいて取得される。
【0038】
また、携帯通信端末10はリモコン機能を備えており、リモコン機能が実行されると、CPU20は、送信装置として機能するリモコン制御回路36および赤外線LED38を利用して、携帯通信端末10をリモコンとして機能させる。たとえば、使用者がキー入力装置22に対して、外部装置をリモートコントロールする操作(以下、リモコン操作と言う)を入力すると、CPU20は、キー入力装置22に入力されたリモコン操作に応じて、リモコン制御回路36に対して制御信号の発信命令を与える。そして、リモコン制御
回路36は、与えられた発信命令に基づいて、制御信号を赤外線信号に変換して、赤外線信号を赤外線LED38に発信させる。これにより、外部装置は、受信した赤外線信号を制御信号に変換し、変換した制御信号に応じて、動作状態を変更する。たとえば、外部装置が照明であれば、リモコン操作に応じて電源のオン/オフが制御される。また、外部装置がエアコンであれば、リモコン操作に応じて電源のオン/オフおよび温度調整が制御される。
【0039】
また、赤外線信号は、高速で点滅する赤外線によってバイナリデータを表現しており、本実施例の赤外線信号が表すバイナリデータは、機種コード部およびコマンド部などを含む。機種コード部は、外部装置の種類を特定する機種コードを含んでおり、リモコン操作される外部装置によって異なる。また、コマンド部は、外部装置を制御するためのコマンド(制御信号)を含んでおり、たとえば電源のオン/オフを制御するコマンド(制御信号)が含まれる。そして、外部装置は、受信した赤外線信号に含まれる機種コードが、予め設定されたものでなければ、リモコン操作として受け付けない。
【0040】
さらに、携帯通信端末10には、Bluetooth(登録商標)方式に従う近距離無線通信を行うBT通信回路40が設けてあり、BT通信回路40は、BTアンテナ42を通じ、他の機器との間で、Bluetooth(登録商標)方式に従う近距離無線通信を行う。使用者は、任意の外部装置と、パスワードで保護される接続設定を行うことで、画像ファイルや文字列ファイルなどのデータを、任意の外部装置に送信したり、任意の外部装置から受信したりすることが可能である。
【0041】
図2は、携帯通信端末10の外観を示す図解図である。図2を参照して、携帯通信端末10は、板状に形成されたケースC1を有する。図2では図示しないマイク16およびスピーカ18は、ケースC1に内蔵される。内蔵されたマイク16に通じる開口OP2は、ケースC1の長さ方向一方の主面に設けられ、内蔵されたスピーカ18に通じる開口OP1は、ケースC1の長さ方向他方の主面に設けられる。つまり、使用者は、開口OP1を通じてスピーカ18から出力される音を聞き、開口OP2を通じてマイク16に音声を入力する。
【0042】
キー入力装置22は、通話キー、終話キー、カーソルキー、確定キーおよび0〜9の数字キーを含み、それぞれのキーは、ケースC1の主面に設けられる。LCDモニタ26は、モニタ画面がケースC1の主面に露出するように取り付けられる。
【0043】
使用者は、通話キーを操作することで応答操作を行い、終話キーを操作することで通話終了操作を行う。また、使用者は、カーソルキーまたは数字キーによってGUI(Graphical User Interface)を操作し、操作の結果を確定キーによって確定する。また、0〜9の数字キーを利用して、通話相手の電話番号を入力する。そして、終話キー22cを長押しすることで携帯通信端末10の電源オン/オフ操作を行うことができる。また、携帯通信端末10がリモコンとして機能している状態で、使用者は、カーソルキーおよび確定キーによってリモコン操作を入力する。たとえば、使用者は、リモコン操作によって外部装置の電源をオン/オフする場合に、確定キーを押下することで、電源のオン/オフを切り替える。
【0044】
また、ケースC1の長さ方向一方の側面には、赤外線LED38に通じる窓W1が設けられる。つまり、使用者は、ケースC1の長さ方向一方の側面を外部装置に向けて、リモコン操作を行う。なお、窓W1には、赤外線を透過するプラスチックがはめ込まれている。
【0045】
ここで、本実施例におけるリモコン機能では、所定位置の範囲内で携帯通信端末10を
リモコンとして機能させて、外部装置を操作することができる。具体的に、このリモコン機能では、使用者によって設定された所定時間になると、GPS信号を受信することで現在位置の情報を取得し、所定位置の範囲内であれば、外部装置を制御する制御信号を発信する。これにより、使用者は、携帯通信端末10の窓W1を外部装置に向けるだけで、外部装置を制御することができる。
【0046】
まず、制御する外部装置の種類、所定時間および所定位置の初期設定について、図3に示すGUIを利用して説明する。
【0047】
図3は、リモコン機能における初期設定を行うためのGUIの一例を示す図解図である。図3を参照して、LCDモニタ26は、状態表示領域50および機能表示領域52を含む。状態表示領域50には、アンテナ12による電波受信状態、充電池の残電池容量および現在日時などが表示される。なお、状態表示領域50に表示される現在日時は、CPU20に内蔵されるRTC20a(時刻取得手段)から取得される。
【0048】
また、機能表示領域52には、リモコン機能における初期設定を行うGUIが表示され、キー入力装置22を利用して操作される。図3に示すGUIでは、「1.通信設定」、「2.自動送信設定」、「3.時間設定」、「4.位置登録」および「5.BTリモコン登録」のメニューが示される。そして、各メニューに対応する番号は、キー入力装置22の数字キーに対応しており、使用者は、数字キーを押下することで、任意のメニューを選択することができる。
【0049】
たとえば、使用者は、「1」の数字キーを押下すると、「1.通信設定」のメニューを選択することができる。この「1.通信設定」メニューが選択されると、発信される赤外線信号に含まれる機種コードとコマンドとの内容を設定するGUIがさらに表示される。たとえば、機種コードの設定では、外部装置の種類(照明やエアコンなどのメーカーおよび型番)を選択することができる。一方、コマンドの設定では、具体的な制御内容、たとえば電源のオン/オフなどを選択することができる。このように、使用者は、赤外線信号によって操作される外部装置を任意に決めることができる。そして、赤外線信号によって操作される外部装置は、広く一般家庭に普及しており、本願発明の携帯通信端末10を利用して、照明やエアコンなどの外部装置を容易に操作できるようになる。
【0050】
また、使用者は、「2」の数字キーを押下すると、「2.自動送信設定」のメニューを選択することができる。「2.自動送信設定」のメニューが選択されると、赤外線信号(制御信号)を自動送信するか否かを設定するGUIを表示させることができる。つまり、使用者は、制御信号を自動的に発信するか否かを任意に決めることができる。
【0051】
また、使用者は、「3」の数字キーを押下すると、「3.時間設定」のメニューを選択することができる。「3.時間設定」のメニューが選択されると、制御信号を自動発信する時間を設定するためのGUIがさらに表示される。そして、使用者は、0時から23時59分の間で、任意の時間帯を設定することができる。たとえば、使用者は、帰宅する時間帯を所定時間として設定することができる。
【0052】
さらに、使用者は、「4」の数字キーを押下すると、「4.位置登録」のメニューを選択することができる。「4.位置登録」のメニューが選択されると、GPS衛星100からのGPS信号を受信し、現在位置を示す緯度および経度を取得し、取得した緯度および経度を所定位置としてRAM30に記憶する。また、リモコン機能における所定位置の範囲とは、所定位置から半径10メートル以内である。たとえば、使用者は、半径10メール内に収まる自宅H(図5参照)で、位置登録の初期設定を行うと、自宅Hが所定位置の範囲となる。つまり、使用者は、自宅H内などの任意の場所で、所定位置を登録する事が
できる。
【0053】
そして、使用者は、「5」の数字キーを押下すると、「5.BTリモコン登録」のメニューを選択することができる。この「5.BTリモコン登録」のメニューが選択された場合については、第2実施例で後述するため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0054】
続いて、外部装置の一例である照明60について説明する。図4を参照して、照明60は、外部電源から電力を得る電源回路62を備える。電源回路62には、蛍光灯64が電気的に接続されており、電源回路62内のスイッチがオンにされると、蛍光灯64は発光する。また、受光センサを備える赤外線受光部68は、赤外線信号を受光(受信)すると、制御回路66に出力する。制御回路66は、赤外線信号に含まれる機種コードが予め設定されたものと一致すれば、赤外線信号を制御信号に変換し、電源回路62を制御する。たとえば、電源をオフする制御信号であれば、蛍光灯64を消灯するために、電源回路62内のスイッチをオフにする。一方、電源をオンする制御信号であれば、蛍光灯64を発光させるために、電源回路62内のスイッチをオンにする。
【0055】
なお、照明60では、電源のオン/オフだけに限らず、照度調整も行うようにしてもよい。
【0056】
続いて、リモコン機能の初期設定において、20〜23時の間で、携帯通信端末10の現在位置が使用者の自宅H内であれば、照明60の電源をオンにする制御信号を発信する設定がされている場合について説明する。図5を参照して、使用者の自宅Hには照明60が設置されている。そして、使用者が、携帯通信端末10を持って20〜23時の間に帰宅すると、携帯通信端末10の現在位置が、所定位置の範囲内となる。このとき、携帯通信端末10は、照明60の電源をオンにする制御信号、つまり赤外線信号を発信する。そして、使用者は、携帯通信端末10の窓W1を照明60の赤外線受光部68に向けると、照明60の電源をオンにする事ができる。
【0057】
つまり、使用者は、自宅Hに帰宅した後に、携帯通信端末10を照明60に向けるだけで、照明60の電源をオンにすることができる。さらに、使用者は、帰宅する時間帯を設定することで、携帯通信端末10が余計な時間帯にGPS信号を受信しないようにできるため、携帯通信端末10の消費電力を抑えることができる。
【0058】
また、携帯通信端末10は、設定された所定時間であるか否かを1分毎に確認し、所定時間内であれば、1分毎にGPS衛星100からGPS信号を受信して所定位置の範囲内であるか否かを判断する。そして、所定位置の範囲内であれば、30秒毎に赤外線信号を発信するようにする。さらに、30秒毎に赤外線信号を発信する場合に、使用者によって停止操作が行われると、赤外線信号を自動的に発信する処理を終了する。なお、赤外線信号の発信に連動するバイブレータをさらに備え、携帯通信端末10は、赤外線信号の発信を明確に通知するようにしてもよい。
【0059】
図6は、RAM30のメモリマップを示す図解図である。図6を参照して、RAM30のメモリマップ300には、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304が含まれる。プログラムおよびデータの一部は、フラッシュメモリ28から一度にまたは必要に応じて部分的にかつ順次的に読み出され、RAM30に記憶され、そしてCPU20などで処理される。
【0060】
プログラム記憶領域302は、携帯通信端末10を動作させるためのプログラムを記憶する。この携帯通信端末10を動作させるためのプログラムは、リモコン機能プログラム310およびGPS通信プログラム312などから構成される。
【0061】
リモコン機能プログラム310は、携帯通信端末10をリモコンとして機能させるためのプログラムであり、さらに初期設定プログラム314および自動送信プログラム316のサブルーチンを含む。初期設定プログラム314は、リモコン機能における初期設定を行うためのプログラムであり、図3に示すGUIを表示したりする。自動送信プログラム316は、初期設定プログラム314の処理によって設定された、設定内容に基づいて制御信号を自動送信するためのプログラムである。
【0062】
GPS通信プログラム312は、GPS衛星100からGPS信号を受信するためのプログラムである。なお、図示は省略するが、携帯通信端末10を動作させるためのプログラムは、通話を行うためのプログラムなどを含む。
【0063】
データ記憶領域304には、RTCバッファ320、キー操作バッファ322およびGPS通信バッファ324が設けられる。また、データ記憶領域304には、機種コードパターンデータ326、コマンドパターンデータ328、設定時間データ330、登録GPSデータ332およびBTリモコンデ334データが記憶されると共に、自動送信フラグ336が設けられる。
【0064】
RTCバッファ320には、RTC20aから読み出された時刻のデータが一時的に記憶される。キー操作バッファ322には、キー入力装置22で押下されたキーを示すデータが一時的に記憶される。GPS通信バッファ324には、GPS衛星100から受信したGPS信号が一時的に記憶される。
【0065】
機種コードパターンデータ326は、赤外線信号に含まれる機種コード部のパターンを示すデータである。コマンドパターンデータ328は、コマンド(制御信号)による制御内容を示すデータであり、たとえば電源のオン/オフを行う制御内容を示す。設定時間データ330は、初期設定プログラム314によって設定される所定時間を示すデータである。登録GPSデータ332は、初期設定プログラム314によって登録される所定位置を示すデータである。BTリモコンデータ334は、Bluetooth(登録商標)方式に従う近距離無線通信で接続設定される、リモコンの機器情報を示すデータである。
【0066】
自動送信フラグ336は、制御信号の自動送信が設定されているか否かを判断するためのフラグである。たとえば、自動送信フラグ336は、1ビットのレジスタで構成される。自動送信フラグ336がオン(成立)されると、レジスタにはデータ値「1」が設定される。一方、自動送信フラグがオフ(不成立)されると、レジスタにはデータ値「0」が設定される。
【0067】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、GUIを表示するための画像データなどが記憶されると共に、携帯通信端末10の動作に必要な他のカウンタやフラグも設けられる。
【0068】
CPU20は、「Linux(登録商標)」および「REX」などのRTOS(real−time operating system)の制御下で、図7に示す初期設定処理および図8に示す自動送信処理などを含む複数のタスクを並列的に実行する。
【0069】
図7は、初期設定処理を示すフロー図である。図7を参照して、使用者によって図3に示すGUIを表示する操作がされると、CPU20は、ステップS1で通信設定がされたか否かを判断する。つまり、「1.通信設定」のメニューが表示されて設定されたか否かを判断する。ステップS1で“NO”であれば、つまり通信設定がされなければ、ステップS5に進む。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまり通信設定がされれば、
ステップS3で制御信号のパターンを記憶し、ステップS25に進む。つまり、ステップS3では、使用者によって選択された外部装置の種類を機種コードパターンデータ326として記憶し、使用者によって選択された制御内容をコマンドパターンデータ328としてRAM30に記憶する。なお、ステップS3の処理を実行するCPU20は、パターン設定手段として機能する。
【0070】
ステップS5では、自動送信設定がされたか否かを判断する。つまり、「2.自動送信設定」のメニューが表示されて設定されたか否かを判断する。ステップS5で“NO”であれば、つまり自動送信設定がされなければ、ステップS9に進む。一方、ステップS5で“YES”であれば、つまり自動送信設定がされれば、ステップS7で自動送信フラグ336の状態を切り替え、ステップS25に進む。つまり、制御信号(赤外線信号)を自動送信する設定がされれば、自動送信フラグ336をオンにし、制御信号(赤外線信号)を自動送信しない設定がされれば、自動送信フラグ336をオフにする。
【0071】
ステップS9では、時間設定がされたか否かを判断する。つまり、「3.時間設定」のメニューが表示されて設定されたか否かを判断する。ステップS9で“NO”であれば、つまり時間設定がされなければ、ステップS13に進む。一方、ステップS9で時間設定がされれば、ステップS11で設定された時間を記憶する。つまり、設定された時間(所定時間)を設定時間データ330としてRAM30に記憶する。なお、ステップS11の処理を実行するCPU20は、時間設定手段として機能する。
【0072】
ステップS13では、位置登録がされたか否かを判断する。つまり、「4.位置登録」のメニューを表示する操作がされて登録されたか否かを判断する。ステップS13で“NO”であれば、つまり位置登録がされなければ、ステップS19に進む。一方、ステップS13で“YES”であれば、つまり位置登録がされれば、ステップS15で現在位置の情報を取得する。つまり、GPS通信プログラム312を実行し、GPS衛星100からGPS信号を受信して、現在位置の情報を取得する。続いて、ステップS17では、現在位置の情報を登録し、ステップS25に進む。つまり、ステップS15で取得された現在位置(所定位置)の情報を登録GPSデータ332として、RAM30に記憶する。なお、ステップS17の処理を実行するCPU20は、位置登録手段として機能する。
【0073】
ここで、ステップS19−S23の処理については、後述する第2実施例で説明するため、詳細な説明は省略する。
【0074】
ステップS25では、終了操作か否かを判断する。たとえば、キー入力装置22の終話キーを押下するような終了操作がされたか否かを判断する。ステップS25で“NO”であれば、つまり終了操作がされなければ、ステップS1に戻る。一方、ステップS25で“YES”であれば、つまり終了操作がされれば、初期設定処理を終了する。
【0075】
図8は、自動送信処理を示すフロー図である。つまり、自動送信フラグ336がオンの状
態であれば、CPU20は、ステップS41で設定時間か否かを判断する。つまり、RTCバッファ320に一時的に記憶された時刻が、設定時間データ330が示す所定時間内で
あるか否かを判断する。このように、CPU20は、設定時間内であるか否かを確認することにより、たとえば、午後6時〜翌午前5時というように、暗い時間帯のみ制御信号を送信し、照明60の電源をオンさせる制御を行うことができる。ステップS41で“NO”であれば、つまり設定時間でなければ、ステップS41の処理を、1分毎に繰り返し実行する。一方、ステップS41で“YES”であれば、つまり設定時間であれば、ステップS43で登録位置範囲内であるか否かを判断する。つまり、GPS通信プログラム312を実行
し、GPS信号から現在位置の情報を取得する。そして取得した現在位置の情報が、登録GPSデータ322が示す位置から半径10メートル以内に含まれるか否かを判断する。
ステップS43で“NO”であれば、つまり登録位置範囲内でなければ、ステップS43の処理を1分毎に繰り返し実行する。
【0076】
一方、ステップS43で“YES”であれば、つまり登録位置範囲内であれば、ステップS45で制御信号を送信する。つまり、CPU20は、コマンドパターンデータ328に基づいて制御信号を決定する。そして、CPU20は、リモコン制御回路36に、機種コードパターンデータ326に基づいて制御信号を赤外線信号に変換させ、変換した赤外線信号を赤外線LED38から発信させる。続いて、ステップS47では、停止操作か否かを判断する。つまり、30秒毎に発信する赤外線信号を停止する操作がされたか否かを判断する。ステップS47で“NO”であれば、つまり停止操作でなければステップS45,S47の処理を30秒毎に繰り返し実行する。一方、ステップS47で“YES”であれば、つまり停止操作であれば、自動送信処理を終了する。このように、CPU20は、赤外線信号を間欠送信することで、携帯通信端末10の消費電力を抑えることができる。
【0077】
なお、ステップS47の停止操作に応じて、自動送信処理は終了されるが、一定時間(12時間)後に、再び実行されるようにされていてもよい。また、ステップS45の処理を実行するCPU20は、送信手段として機能する。
【0078】
また、たとえば、照明60が常に暗い場所に設置されており、使用者が必ず照明60の電源をオンにしたい場合に、使用者は、リモコン機能の初期設定で、0時〜23時59分と設定すればよい。これにより、使用者は、時間帯に関係なく、携帯通信端末10を持って帰宅するだけで、照明60の電源をオンにすることできる。
【0079】
さらに、制御信号(赤外線信号)を送信する周期を30秒毎としたが、光センサを備える携帯通信端末10であれば、CPU20は、光センサの出力値から周囲の明るさの変化を検出して、制御信号の間欠送信を停止するようにしてもよい。具体的には、ステップS47の判断内容を、明るさが変化したか否かを判断するようにすればよい。
【0080】
<第2実施例>
第2実施例では、Bluetooth(登録商標)方式の近距離無線通信回路を備えるBTリモコン70を外部装置とした場合について説明する。具体的には、所定時間に所定位置の範囲内であれば、携帯通信端末10は、BTリモコン70と無線接続し、無線接続されたBTリモコン70に対してBluetooth(登録商標)方式に従う制御信号を送信して、照明60の電源を操作する。
【0081】
なお、第2実施例では、図1の携帯通信端末10の構成を示すブロック図、図2の携帯通信端末10の外観を示す図解図、図3の初期設定のGUIを示す図解図、図4の照明60の構成を示すブロック図、図6のRAM30のメモリマップを示す図解図および図7の初期設定処理を示すフロー図については、第1実施例と同じであるため、それぞれの図については詳細な説明を省略する。また、第2実施例において、CPU20によって制御されるBT通信回路40およびBTアンテナ42は、送信装置として機能する。
【0082】
まず、照明60を操作可能な、BTリモコン70の構成について、図9を利用して説明する。図9を参照して、BTリモコン70は、リモコン制御回路72を備える。リモコン制御回路72には、操作キー74、赤外線LED76およびBTアンテナ80を有するBT通信回路78がそれぞれ接続される。操作キー74は、リモコン操作が入力され、リモコン操作の入力に応じてリモコン制御回路72に操作信号を出力する。そして、リモコン制御回路72は、操作キー74から操作信号が入力されると、予め設定された制御信号に対応する赤外線信号を、赤外線LED76から発信させる。また、予め設定された制御信
号とは、照明60の電源をオン/オフするための制御信号である。
【0083】
また、BTアンテナ80は、携帯通信端末10が発信する、パスワード情報を含む接続設定の無線通信データを受信すると、BT通信回路78に出力する。すると、BT通信回路78は、パスワード情報をリモコン制御回路72に出力し、リモコン制御回路72は、パスワード情報が予め設定されていたものと一致するか確認する。そして、リモコン制御回路72は、パスワード情報が一致すると、BT通信回路78に、無線接続可能なことを携帯通信端末10に対して応答させる。これにより、BTリモコン70は、Bluetooth(登録商標)方式の近距離無線通信に従って、携帯通信端末10と無線接続される。
【0084】
続いて、BT通信回路78は、無線接続された携帯通信端末10から電源をオンにする制御信号を、BTアンテナ80を通じて受信すると、受信した制御信号をリモコン制御回路72に出力する。そして、リモコン制御回路72は、入力された制御信号に対応する赤外線信号を、赤外線LED76から発信させる。これにより、照明60の電源はオンにされる。
【0085】
なお、携帯通信端末10とBTリモコン70とが無線接続された状態で、その無線接続が解除されたとしても、近距離無線通信の有効範囲内に入れば、携帯通信端末10とBTリモコン70とが自動的に無線接続される。
【0086】
図10は、BTリモコン70の外観を示す図解図である。図10を参照して、BTリモコン70は、板状に形成されたケースC2を有する。また、操作キー74は、ケースC2の長さ方向一方の主面に設けられる。また、ケースC2の長さ方向他方の主面には、赤外線LED76に通じる窓W2が設けられる。つまり、使用者は、ケースC2に設けられる窓W2を照明60に向けて、操作キー74にリモコン操作を入力する。なお、窓W2には、窓W1と同様に、赤外線を透過するプラスチックがはめ込まれている。
【0087】
ここで、図3を利用して、第2実施例におけるリモコン機能の初期設定を説明する。なお、「3.時間設定」および「4.位置登録」のメニューについては、第1実施例と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0088】
まず、第2実施例において、「1.通信設定」のメニューが選択されると、BTリモコン70に送信する制御信号の内容を選択するGUIが表示される。たとえば、使用者は、照明60の電源をオン/オフするための制御信号を選択することができる。次に、「2.自動送信設定」のメニューでは、BTリモコン70にBluetooth(登録商標)方式の制御信号を自動送信するか否かを設定することができる。
【0089】
そして、「5.BTリモコン登録」のメニューが選択されると、BTリモコン70と携帯通信端末10とを無線接続するためのGUIが表示される。つまり、携帯通信端末10は、「5.BTリモコン登録」のメニューが選択されると、周囲のBTリモコン70を検出し、パスワードを入力させるGUIをLCDモニタ26に表示させる。そして、CPU20は、入力されたパスワード情報を含む無線通信データをBTリモコン70に送信する。このとき、入力されたパスワードが正しければ、BTリモコン70と携帯通信端末10との無線接続が確立される。さらに、無線接続したBTリモコン70の機器情報は、RAM30内に記憶される。これにより、使用者は、近距離無線通信によって無線接続する外部装置の情報を自由に登録する事ができる。そして、使用者は、赤外線信号に比べて障害物の影響が小さい、近距離無線通信を利用して外部装置を操作することができる。
【0090】
なお、第2実施例における「1.通信設定」のメニューは、「5.BTリモコン登録」
のメニューでBTリモコン70の機器情報が記憶された状態でのみ、BTリモコン70に送信する制御信号の内容を選択するGUIを表示する。つまり、BTリモコン70の機器情報が消去または記憶されていなければ、第1実施例で記述した、赤外線信号に含まれる機種コードとコマンドとの内容を設定するGUIを表示する。また、近距離無線通信の規格は、Bluetooth(登録商標)方式だけに限らず、無線LAN、たとえばWi−Fi方式の近距離無線通信の規格であってもよい。
【0091】
ここで、リモコン機能の初期設定で、携帯通信端末10とBTリモコン70とが無線接続されており、20〜23時の間に、携帯通信端末10の現在位置の範囲が使用者の自宅Hであれば、BTリモコン70に、照明60の電源をオンにする制御信号を発信する設定がされている場合について説明する。図11を参照して、第1実施例と同様に、使用者の自宅Hの天井には、照明60が設置されている。また、BTリモコン70は、発信する赤外線信号が照明60の赤外線受光部68に届く状態で、自宅Hに置いてある。
【0092】
そして、使用者が20〜23時の間に帰宅すると、携帯通信端末10の現在位置が設定された所定位置の範囲内となる。このとき、携帯通信端末10は、BTリモコン70と無線接続されると、BTリモコン70に対して、照明60の電源をオンにする制御信号を発信する。そして、BTリモコン70は、受信した制御信号に基づいて、照明60の電源をオンにする赤外線信号を発信する。これにより、使用者は、所定時間内に自宅に帰宅するだけで、照明60の電源をオンにする事ができる。さらに、使用者は、携帯通信端末10をカバンやポケットの中に入れたままで、照明60の電源をオンにする事ができる。
【0093】
なお、所定時間であるかの確認および所定位置の範囲内であるかの確認をするタイミングについては、第1実施例と同じである。また、制御信号を発信するタイミングについては、第1実施例と同様に30秒毎である。さらに、第1実施例と同様に、制御信号の発信に連動するバイブレータを備えてもよい。
【0094】
第2実施例におけるCPU20も、「Linux(登録商標)」および「REX」などのRTOSの制御下で、図7に示す初期設定処理および図12に示す自動送信処理などを含む複数のタスクを並列的に実行する。なお、第2実施例における初期設定処理では、ステップS1、ステップS5−S17およびステップS25の処理については、第1実施例と同じであるため、説明は省略する。また、図12に示す、第2実施例の自動送信処理でも、ステップS41,ステップS43およびステップS47の処理は、第1実施例と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0095】
まず、図7を参照して、第2実施例のCPU20は、ステップS1の処理で“YES”であれば、ステップS3で制御信号のパターンを記憶する。つまり、送信する制御信号(コマンド)の種類をコマンドパターンデータ328として、RAM30に記憶する。
【0096】
また、ステップS13で“NO”であれば、ステップS19でBTリモコン登録がされたか否かを判断する。つまり、「5.BTリモコン登録」のメニューを表示する操作がされて登録されたか否かを判断する。ステップS19で“NO”であれば、つまりBTリモコン登録がされなければ、ステップS25に進む。一方、ステップS19で“YES”であれば、つまりBTリモコン登録がされれば、ステップS21でBTリモコン70の初期設定を行う。つまり、入力されたパスワードに基づいてBTリモコン70との無線接続を確立する。続いて、ステップS23では、BTリモコン70の情報を記憶し、ステップS25に進む。つまり、BTリモコン70の機器情報を、BTリモコンデータ334としてRAM30に記憶する。
【0097】
次に、図12を参照して、第2実施例のCPU20は、ステップS43で“YES”で
あれば、ステップS61でBTリモコン70と無線接続する。つまり、初期設定で無線接続されたBTリモコン70との無線接続を確立する。続いて、ステップS63では、BTリモコン70に制御信号を送信し、ステップS47に進む。つまり、コマンドパターンデータ328に基づいて、BTリモコン70に制御信号を送信する。
【0098】
なお、第2実施例における自動送信処理では、ステップS63で制御信号を送信した後に、ステップS47の処理を実行することなく終了してもよい。また、ステップS61でBTリモコン70との無線接続が確立できなかった場合に、無線接続を行う近距離無線通信を、30秒毎に行うようにしてもよい。また、BT通信回路を備える照明60との無線接続を確立し、リモコン操作をするようにしてもよい。また、ステップS63の処理を実行するCPU20は、送信手段として機能する。
【0099】
以上の説明から分かるように、携帯通信端末10は、リモコン制御回路36、赤外線LED38、BT通信回路40およびBTアンテナ42を備え、外部装置に対して、制御信号(赤外線信号)を送信することができる。さらに、携帯通信端末10は、GPS制御回路32およびGPSアンテナ34を備え、現在位置の情報を取得することができる。また、使用者は、リモコン機能の初期設定で、自宅Hの中心などで現在位置の情報を取得し、自宅H内を所定位置の範囲として登録する事ができる。そして、使用者が携帯通信端末10を持って自宅Hに帰宅すると、携帯通信端末10の現在位置の情報が自宅H内に含まれるため、携帯通信端末10は、照明60(またはBTリモコン70)に対して赤外線信号(制御信号)を送信して、照明60の電源をオンにする事ができる。
【0100】
これによって、使用者は、予め登録した任意の場所に行く(帰る)だけで、照明60の電源などを制御することができる。
【0101】
なお、照明60が備える蛍光灯64は、LED照明や有機EL照明などの他の発光装置であってもよい。また、所定位置の範囲における半径10メートルは、他の値であってもよい。さらに、所定位置の範囲は、使用者によって任意に変更可能であってもよい。また、自動的に発信される制御信号(赤外線信号)によって制御される外部装置は、照明60だけに限らず、エアコンや扇風機などの空調装置、テレビおよびラジオなどであってもよい。
【0102】
また、BTリモコン70は、発信する赤外線信号の機種コードが、使用者によって任意に設定可能であってもよい。さらに、機種コードが使用者によって任意に設定可能なBTリモコン70は、携帯通信端末10とセットで販売されてもよいし、オプション品として別売りされてもよい。
【0103】
また、携帯通信端末10の通信方式には、CDMA方式だけに限らず、W‐CDMA方式、TDMA方式およびPHS方式などを採用してもよい。また、携帯通信端末10のみに限らず、携帯型ゲーム機、携帯型音楽プレイヤ、ノート型PCおよびPDA(Personal Degital Assistant)などであってもよい。
【0104】
また他の実施例において、加速度センサを備える携帯通信端末10であれば、加速度センサが出力する加速度の値から、携帯通信端末10が持ち運ばれているか否かを判断し、携帯通信端末10が持ち運ばれているときにのみ、所定位置の範囲内であるか否かを判断するようにしてもよい。具体的には、ステップS41とステップS43との間に、加速度センサが出力する加速度の値に基づいて携帯通信端末10が持ち運ばれているか否かを判断する処理を新たに加え、新たに加えた処理で“YES”と判断されれば、ステップS43の処理を行うようにすればよい。これによって、消費電力が大きいGPS制御回路32を使用した現在位置の確認回数を減らすことができる。つまり、CPU20は、上記処理が加
えられることで、携帯通信端末10の消費電力を抑えることができる。
【符号の説明】
【0105】
10 … 携帯通信端末
20 … CPU
20a … RTC
22 … キー入力装置
30 … RAM
32 … GPS制御回路
34 … GPSアンテナ
36 … リモコン制御回路
38 … 赤外線LED
40 … BT通信回路
42 … BTアンテナ
60 … 照明
70 … BTリモコン
100 … GPS衛星
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置に対して制御信号を送信する送信装置を備える携帯通信端末であって、
位置情報を取得する位置情報取得手段、
所定位置を登録する位置登録手段、および
前記位置情報取得手段によって取得された位置情報が前記位置登録手段によって登録された所定位置の範囲内であるとき、前記送信装置に制御信号を送信させる送信手段を備え、
前記外部装置は、近距離無線通信によって制御可能であって、他の外部装置を制御するための信号を送信可能なリモコンを含み、
前記送信装置は、前記リモコンに対して前記近距離無線通信によって前記制御信号を送信する近距離無線装置を含む、携帯通信端末。
【請求項2】
前記位置登録手段は、前記位置情報取得手段によって取得された位置情報を所定位置として登録する、請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記外部装置に対する制御信号のパターンを設定するパターン設定手段をさらに備える、請求項1又は2に記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記外部装置は、赤外線信号によって制御可能な照明を含み、
前記送信装置は、赤外線信号を送信可能な赤外線LEDを含む、請求項3記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記外部装置の機器情報を登録する機器情報登録手段をさらに備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯通信端末。
【請求項6】
外部装置に対して制御信号を送信する送信装置と位置情報を取得する位置情報取得手段とを備える携帯通信端末のプロセサを、
所定位置を登録する位置登録手段、および
前記位置情報取得手段によって取得された位置情報が前記位置登録手段によって登録された所定位置の範囲内であるとき、前記送信装置に制御信号を送信させる送信手段として機能させ、
前記外部装置は、近距離無線通信によって制御可能であって、他の外部装置を制御するための信号を送信可能なリモコンを含み、
前記送信装置を、前記リモコンに対して前記近距離無線通信によって前記制御信号を送信する近距離無線装置として機能させる、信号送信プログラム。
【請求項1】
外部装置に対して制御信号を送信する送信装置を備える携帯通信端末であって、
位置情報を取得する位置情報取得手段、
所定位置を登録する位置登録手段、および
前記位置情報取得手段によって取得された位置情報が前記位置登録手段によって登録された所定位置の範囲内であるとき、前記送信装置に制御信号を送信させる送信手段を備え、
前記外部装置は、近距離無線通信によって制御可能であって、他の外部装置を制御するための信号を送信可能なリモコンを含み、
前記送信装置は、前記リモコンに対して前記近距離無線通信によって前記制御信号を送信する近距離無線装置を含む、携帯通信端末。
【請求項2】
前記位置登録手段は、前記位置情報取得手段によって取得された位置情報を所定位置として登録する、請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記外部装置に対する制御信号のパターンを設定するパターン設定手段をさらに備える、請求項1又は2に記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記外部装置は、赤外線信号によって制御可能な照明を含み、
前記送信装置は、赤外線信号を送信可能な赤外線LEDを含む、請求項3記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記外部装置の機器情報を登録する機器情報登録手段をさらに備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯通信端末。
【請求項6】
外部装置に対して制御信号を送信する送信装置と位置情報を取得する位置情報取得手段とを備える携帯通信端末のプロセサを、
所定位置を登録する位置登録手段、および
前記位置情報取得手段によって取得された位置情報が前記位置登録手段によって登録された所定位置の範囲内であるとき、前記送信装置に制御信号を送信させる送信手段として機能させ、
前記外部装置は、近距離無線通信によって制御可能であって、他の外部装置を制御するための信号を送信可能なリモコンを含み、
前記送信装置を、前記リモコンに対して前記近距離無線通信によって前記制御信号を送信する近距離無線装置として機能させる、信号送信プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−59040(P2013−59040A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224277(P2012−224277)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【分割の表示】特願2008−328980(P2008−328980)の分割
【原出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【分割の表示】特願2008−328980(P2008−328980)の分割
【原出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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