携帯通信端末による投薬履歴管理システム及び方法
【課題】OTC医薬品等との飲み合わせ及び健康診断結果を基にした体質や健康状態の傾向を鑑みた処方薬の選択を支援するシステムを提供する。
【解決手段】処方箋データを作成してデータ送受信装置及びデータ管理装置にそれぞれ送信するデータ作成表示装置と、非接触ICカードを介して処方箋データを受信して記憶部に格納された投薬履歴を更新し格納された投薬履歴をデータ送受信装置に送信する携帯通信端末と、携帯通信端末の非接触ICカードに対して書き込み読み取るデータ送受信装置と、受信した処方箋データにより利用者情報DBに格納された投薬履歴を更新し医薬品情報DB及びサプリメント情報DBを備えたデータ管理装置と、携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示するデータ表示装置とを備えた投薬履歴管理システムである。
【解決手段】処方箋データを作成してデータ送受信装置及びデータ管理装置にそれぞれ送信するデータ作成表示装置と、非接触ICカードを介して処方箋データを受信して記憶部に格納された投薬履歴を更新し格納された投薬履歴をデータ送受信装置に送信する携帯通信端末と、携帯通信端末の非接触ICカードに対して書き込み読み取るデータ送受信装置と、受信した処方箋データにより利用者情報DBに格納された投薬履歴を更新し医薬品情報DB及びサプリメント情報DBを備えたデータ管理装置と、携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示するデータ表示装置とを備えた投薬履歴管理システムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末の非接触ICカード機能等を利用し、ネットワークを介して蓄積された投薬履歴等を携帯通信端末又は専用端末に配信するシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院を受診する際または薬を処方してもらう際、服用中の薬がある場合、正確な服薬情報を医師や調剤薬局等で伝える必要がある。従来、個人の投薬履歴は薬局等で入手できるお薬手帳に記載又はシール等を貼付することにより管理されている。
【0003】
しかしながら、お薬手帳の形状や大きさから、お薬手帳を常時携帯することは困難であるため、持参忘れや破損、紛失の懸念も多い。また、1冊に履歴が収まらなくなった場合は、過去の履歴を確認することがさらに困難になる。
【0004】
このような問題を解決するために、ICカードを利用した電子処方箋システム(特許文献1)、携帯電話を用いて併用禁忌薬が処方された際に警告するシステム(特許文献2)、処方箋データを暗号化技術を用いて携帯通信端末に送信するシステム(特許文献3)、非接触ICカードを用いた薬の処方データを管理するシステム(特許文献4)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−78825号公報
【特許文献2】特開2007−241404号公報
【特許文献3】特開2008−310716号公報
【特許文献4】特開2009−259004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献では、お薬手帳を携帯することなく、投薬履歴を管理し、病院で処方される薬に対して禁忌薬の投与防止や二重投薬防止を図ることが可能となる。しかしながら、眼科で処方された薬を服用しつつ、ドラッグストアで風邪薬を購入し服用する、というようなことも考えられる。その際には、処方薬とドラッグストア等で購入できる一般大衆薬(OTC医薬品)やサプリメントとの飲み合わせを考慮する必要がある。また、患者自身の健康診断結果を常時確認できるようにすることで、体質や健康状態の傾向を鑑みた薬の選択をすることも必要となる。
【0007】
本発明の目的は、投薬履歴を容易かつ確実に知るのみでなくOTC医薬品やサプリメントとの飲み合わせ並びに健康診断結果に基づいた体質や健康状態の傾向まで鑑みて処方薬を選択することを支援するシステム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を提供する。
(1)本発明の投薬履歴管理システムは、ネットワークを介して相互通信可能であるデータ作成表示装置、利用者の携帯通信端末、データ送受信装置、データ管理装置及びデータ表示装置を有する投薬履歴管理システムであって、前記データ作成表示装置は、処方箋データを作成する手段と、作成された処方箋データを前記データ送受信装置及び前記データ管理装置にそれぞれ送信する手段とを備え、前記携帯通信端末は、搭載された非接触ICカードを介して前記データ送受信装置から処方箋データを受信する手段と、受信した処方箋データにより記憶部に格納された投薬履歴を更新する手段と、格納された投薬履歴を前記非接触ICカードを介して前記データ送受信装置に送信する手段とを備え、前記データ送受信装置は、前記携帯通信端末の前記非接触ICカードに対して処方箋データを書き込みかつ投薬履歴を読み取る手段を備え、前記データ管理装置は、利用者情報を利用者の識別情報と対応付けて利用者データベースに格納する手段と、前記データ作成表示装置から受信した処方箋データにより前記利用者情報データベースに格納された投薬履歴を更新する手段と、前記データ表示装置から受診した情報により利用者情報を更新する手段と、医薬品情報を医薬品情報データベースに格納する手段と、サプリメント情報をサプリメント情報データベースに格納する手段と、各データベースに格納された各情報を要求に応じて送信する手段とを備え、かつ、前記データ表示装置は、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示する手段と、前記データ管理装置から受信した前記利用者情報データベース、前記医薬品情報データベース又は前記サプリメント情報データベースの各情報を表示する手段と、前記データ管理装置に送信する情報を入力する手段とを備えたことを特徴とする。
(2)上記システムにおいて、前記データ表示装置は、前記データ管理装置から受信した前記利用者情報データベースの投薬履歴に含まれるドラッグストアでの購入履歴を表示する手段と、前記データ管理装置から受信した前記医薬品情報データベースの医薬品情報又は前記サプリメント情報データベースのサプリメント情報に含まれる少なくとも投与禁止対象及び飲み合わせ禁止対象の情報を表示する手段とを備えたことが好適である。
(3)上記システムにおいて、前記データ作成表示装置がさらに、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示する手段と、前記データ管理装置に送信する健康診断の問診回答を入力する手段と、前記データ管理装置に送信する健康診断結果データを入力する手段とを備え、前記データ管理装置がさらに、受信した健康診断の問診回答及び健康診断結果データにより前記利用者データベースを更新する手段とを備えたことが好適である。
(4)上記システムにおいて、前記データ作成表示装置がさらに、作成された処方箋データを2次元コードに変換し、変換した2次元コードを前記データ表示装置に送信する手段を備え、前記データ表示装置がさらに、受信した2次元コードを表示する手段を備え、
前記携帯通信端末が、前記非接触ICカードを介して前記データ送受信装置から処方箋データを受信する手段に替えて、搭載したカメラ部を用いて、表示された2次元コードを読み取ることにより処方箋データを受信する手段を備えたことが好適である。
(5)上記システムにおいて、前記データ表示装置は、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示した際に、前記データ管理装置に送信する情報として少なくとも投薬の効果を入力することが好適である。
(6)上記システムにおいて、前記携帯通信端末は、前記記憶部に格納された投薬履歴を表示する手段と、前記データ管理装置にアクセスし前記利用者情報データベースに格納された投薬履歴を受信して表示する手段とを備えたことが好適である。
(7)本発明の投薬履歴管理方法は、ネットワークを介して相互通信可能であるデータ作成表示装置、利用者の携帯通信端末、データ送受信装置、データ管理装置及びデータ表示装置を用いて行う投薬履歴管理方法であって、前記データ作成表示装置により、処方箋データを作成するステップと、作成された処方箋データを前記データ送受信装置及び前記データ管理装置にそれぞれ送信するステップとを有し、前記携帯通信端末により、搭載された非接触ICカードを介して前記データ送受信装置から処方箋データを受信するステップと、受信した処方箋データにより記憶部に格納された投薬履歴を更新するステップと、格納された投薬履歴を前記非接触ICカードを介して前記データ送受信装置に送信するステップとを有し、前記データ送受信装置により、前記携帯通信端末の前記非接触ICカードに対して処方箋データを書き込みかつ投薬履歴を読み取るステップを有し、前記データ管理装置により、利用者情報を利用者の識別情報と対応付けて利用者データベースに格納するステップと、前記データ作成表示装置から受信した処方箋データにより前記利用者情報データベースに格納された投薬履歴を更新するステップと、前記データ表示装置から受診した情報により利用者情報を更新するステップと、医薬品情報を医薬品情報データベースに格納するステップと、サプリメント情報をサプリメント情報データベースに格納するステップと、各データベースに格納された各情報を要求に応じて送信するステップとを有し、かつ、前記データ表示装置により、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示するステップと、前記データ管理装置から受信した前記利用者情報データベース、前記医薬品情報データベース又は前記サプリメント情報データベースの各情報を表示するステップと、前記データ管理装置に送信する情報を入力するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明の投薬履歴管理システム及び方法によれば、次のような効果がある。
紙のお薬手帳を携帯することなく、投薬履歴を管理し病院で処方される薬に対して禁忌薬の投与防止や二重投薬防止を図ることが可能となる。
また、サプリメントやOTC医薬品との飲み合わせなども確認することができる。
さらに、健康診断結果も投薬履歴と同様に扱うことで、より適切な投薬の判断が可能となる。
利用者が、検索条件を設定し検索結果を得ることで、OTC医薬品やサプリメントの購入等を判断する手段の一つを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施例を示すシステム構成図である。
【図2】図1に示す実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す第二の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第二の実施の形態例を示すシステム構成図である。
【図5】図4に示す実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図6】図4に示す第二の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図7】図1に示す利用者情報DBに格納されるデータ構成図である。
【図8】図1に示す医薬品情報DBに格納されるデータ構成図である。
【図9】図2に示す利用者情報DBに格納されるデータ構成図である。
【図10】図2に示す利用者情報DBに格納されるデータ構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、実施例を示した図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例を示すシステム構成図である。特に、病院又は調剤薬局などにおいて本システムを利用する形態である。この実施例の投薬履歴管理システムは、ネットワーク9を介して処方箋データ等のデータを授受する携帯通信端末及び種々の装置を備えている。携帯通信端末1は、例えばFelica(登録商標)方式等の非接触ICカード機能を搭載した携帯電話等である。種々の装置としては、携帯通信端末1と非接触ICカード機能を介して直接データを授受するデータ送受信装置2、処方箋データを作成するデータ作成表示装置3、利用者情報及び医薬品情報等を表示するデータ表示装置4、利用者情報などのデータ管理装置5、病院などで処方箋を発行する処方箋発行装置10を備えている。
【0012】
ここで「処方箋データ」は、1回分の処方箋のデータであり、「投薬履歴」は、1又は複数の処方箋データからなる蓄積データを意味する。ここでは、投薬履歴の対象となる薬品として、医師により処方された薬品とともに、ドラッグストア等で購入したOTC医薬品及びサプリメントも含めるものとする。従って、投薬履歴の中には、OTC医薬品及びサプリメントの個々の購入データを蓄積した購入履歴も含まれる。また、「健康診断結果データ」は、1回の健康診断の結果のデータであり、「健康診断結果履歴」は、複数の健康診断結果データからなる蓄積データを意味する。
【0013】
携帯通信端末1は、図示しない各キャリアの保有する基地局を経由してネットワーク9に接続され通信を行う無線通信部101と、文字や記号、画像を表示する表示部102と、携帯通信端末を操作するテンキー、スクロールキー、決定キー及びファンクションキーからなる操作部103(端末によっては操作部がタッチパネルのものもある)と、送話部(マイクロフォン)及び受話部(スピーカ)並びにこれらを経由する音声信号を変復調処理する音声信号処理部104と、電話帳情報や送受信メール情報、発着信情報やアプリケーションプログラムやコンテンツ、携帯通信端末の諸設定等の種々のデータを格納する記憶部106と、撮影や撮影画像や動画の保存を行うカメラ部107と、非接触ICカードによるデータの入出力を行うICチップを具備する非接触ICカード部108と、電話機能、メール機能、インターネット接続機能、カメラ機能その他端末が有する機能や各部の制御を行う中央処理装置(CPU)を具備する制御部105とを備えている。また、通信のためのアンテナや電力を供給する電池パックを備えている。記憶部106には、少なくとも投薬履歴が記録されるが、さらにその他の利用者情報及び健康診断結果履歴も併せて格納してもよい。投薬履歴は、基本的にはデータ送受信装置2を介して取得する。
【0014】
データ送受信装置2は、非接触ICカードの読み取り書き込み機能を有する非接触ICカードリードライト部201と、制御部202と、記憶部203と、ネットワーク9への接続を行う通信部204とを備え、携帯通信端末1に処方箋データ等を書き込み、携帯通信端末1から直接処方箋データを読み取る装置である。データ送受信装置2は、利用者の携帯通信端末1から投薬履歴を取得して表示させたり利用者の携帯通信端末1の記憶部を更新する必要の生じる施設又は機関、すなわち病院、調剤薬局、ドラッグストア等に設置される。
【0015】
データ作成表示装置3は、処方箋データや投薬履歴等を表示する表示部301と、制御部302と、ネットワーク9への接続を行う通信部303と、記憶部304と、キーボードやタッチペンなどの操作部305と、データ作成部306とを備えている。データ作成部306は、操作部306から入力された処方のための情報に基づいて所定のフォーマットの処方箋データを作成する。データ作成表示装置3から所定のデータを入力し、データ管理装置5へ送信することができる。データ作成表示装置3は、処方箋データを作成したり修正したりする必要のある施設又は機関、すなわち主に病院の診察室及び薬局、調剤薬局等に設置される。また、健康診断の会場にも設置される場合がある。
【0016】
データ表示装置4は、利用者情報又は医薬品情報等を表示する表示部401と、制御部402と、ネットワーク9への接続を行う通信部403と、記憶部404と、キーボードやタッチペンなどの操作部405とを備えている。データ表示装置4から所定のデータを入力し、データ管理装置5へ送信することができる。データ表示装置4は、利用者情報を表示させて確認したり新たな利用者情報を入力したりする必要のある全ての施設又は機関、すなわち主に病院の診察室及び薬局、調剤薬局、ドラッグストア等に設置される。
【0017】
データ管理装置5は、利用者の処方箋データからなる投薬履歴等の利用者情報を記憶する利用者情報データベース(DB)6と、処方薬及びOTC薬品を含む医薬品情報を記憶する医薬品情報データベース(DB)7と、サプリメント情報を記憶するサプリメント情報データベース(DB)8とを備え、各DBの更新を行うDB更新部501と、各DBの検索を行うDB検索部503と、ネットワーク9への接続を行う通信部503とを備えている。全ての利用者情報(投薬履歴等)、医薬品情報及びサプリメント情報は、データ管理装置5により蓄積管理される。投薬履歴は、データ作成表示装置3からデータ管理装置5に送信される。
【0018】
処方箋発行装置10は、病院や調剤薬局などで作成された処方箋データを出力するための処方箋発行装置である。当然、主に病院の薬局や調剤薬局に設置される。
【0019】
ネットワーク9は、携帯通信端末1やデータ作成表示装置3などを接続し相互の通信を可能にする。ここでのネットワーク9は、施設又は機関の外部の通信ネットワーク及び内部のLAN等を含めた広い概念である。
【0020】
上記の通り、データ管理装置5は1つの拠点に設置されるが、それ以外の装置は、必要とされる多数の拠点にそれぞれ設置される。また、携帯通信端末1は、多数の利用者の各々が保有する。好適には、データ管理装置5がWebサーバとしての機能を備え、携帯通信端末1、データ作成表示装置3及びデータ表示装置4は、ブラウザソフトウェアを搭載したWeb端末として機能し、これらの機能により相互通信可能である。
【0021】
次に、図7〜図10を参照して図1のデータ管理装置5に接続される各DBについて説明する。
図7は、図1に示したデータ管理装置5に接続された利用者情報DB6に格納される利用者情報テーブル並びに関連する病院及び調剤薬局の登録情報テーブルの一例を示す図である。図に示すように、利用者の基本情報である「氏名」702、「生年月日」、「性別」、「住所」、「連絡先」704〜707等が登録される。また、本発明のシステムを利用するにあたり、利用者の識別情報である「登録ID」701を登録し、「パスワード」703を利用者によって設定する。利用者が通院する「病院」708ごとに「患者番号」709が設定される。また、「既往歴」710及び「禁忌薬」711も登録され、病院での診察時などに図1のデータ作成表示装置3にて確認することができる。さらに、「投薬履歴」712には、投薬履歴番号ごとに、病院番号、診察日及びカルテ番号が格納される。なお、「登録ID」701により利用者情報DB6の他のテーブルとリンクしている。「投薬履歴」712の投薬履歴番号は、後述する図9の投薬履歴テーブルとリンクしている。また、図7の例では、利用者情報DB6に病院及び調剤薬局のそれぞれの住所や電話番号などの登録情報713、714も併せて格納されており、利用者情報とリンクしている。
【0022】
図8は、図1に示したデータ管理装置5に接続された医薬品情報DB7に格納される医薬品情報テーブルの一例を示す図である。図に示すように、各医薬品に対して「薬ID」801を付与し、「薬名」802や「成分」803〜805を登録できる。また、"6歳未満児への投与禁止"など当該医薬品の「投与禁忌対象」806、807も登録できる。さらに、"当該医薬品と医薬品ppppとの飲み合わせ禁止"などの当該医薬品との「飲み合わせ禁止対象」808、809も登録できる。"眠くなる可能性があるので車などの運転時は注意"などの当該医薬品の「服用時注意事項」810、811も登録できる。必要に応じて「備考」812も登録可能とする。
【0023】
図9は、後述する図2のフローチャートの「過去の投薬に対する効果や薬疹等の入力」(ステップS203)において、図1のデータ管理装置5に接続された利用者情報DB6に格納される投薬履歴テーブルの一例を示す図である。図に示すように、利用者の「登録ID」901、「氏名」902、「投薬履歴番号」903に対し、診察した病院の「病院番号」904、「診察日」905、「カルテ番号」906並びにカルテ内容907〜910が登録される。「投薬1」909及び「投薬2」910は、図8の医薬品情報テーブルの「薬名」802とリンクしている。「備考」911として、"xzxzxz服用後、背中・腹部に赤い発疹"のように薬疹などを記入できる。
なお、図9の投薬履歴と同じ情報が、携帯通信端末1の記憶部にも記憶されている。
【0024】
図10は、図1に示したデータ管理装置5に接続された利用者情報DB6に格納される健康診断結果履歴テーブルの一例を示す図である。図に示すように、利用者の「登録ID」1001、「氏名」1002に対し、過去の健康診断の実施ごとの健康診断結果データを「健康診断履歴番号」1003、「健診日」1004、「問診回答」1005、1006、「健康診断結果」1007〜1010に格納する。また、健康診断結果データに基づく健康の傾向、例えば"血圧が高め"などの体質の所見を「備考」1011に入力することができる。利用者の「登録ID」により、利用者情報DB6内の他のテーブルとリンクする。
【0025】
図2は、図1に示すシステム構成図での第1の処理動作の流れを示すフローチャートである。この実施例は、主に病院での利用を想定している。従って、利用者は、診察を受ける患者である。病院で、投薬履歴管理システムが開始されると、利用者の携帯通信端末1に記録されている投薬履歴をデータ送受信装置2により読み出し、読み出した投薬履歴をデータ送受信装置2からデータ表示装置4に送信し、データ表示装置4が投薬履歴(図9の符号901〜911)を表示する(ステップS201)。さらに、ネットワーク9を介してデータ管理装置5に接続されている利用者情報DB6から利用者の「禁忌薬情報」711、「健康診断結果」1007〜1010及び健康の傾向や体質等を「備考」1011等を読み出し、投薬履歴と同様にデータ表示装置4に表示することも可能とする(ステップS202)。ステップS202における利用者の情報の読み出しにおいては、データ表示装置4から利用者の診察券番号又は登録ID等の識別情報を利用してデータ管理装置5にアクセスし、必要な情報を要求し、データ管理装置5は、識別情報に基づいて要求された情報を抽出してデータ表示装置4に送信する。
【0026】
医師は、診察中に、利用者情報DB6を更新する情報をデータ表示装置4に入力することができる。例えば、前回処方した「投薬」909、910の「備考」911に「服用後、発疹がでた」などの薬疹や「すぐに熱が下がった」などの効果を入力することができる(ステップS203)。
【0027】
なお、ステップS203において、OTC医薬品及びサプリメントに関しては利用者自身が、図9の「備考」911に効果等を入力可能としてもよい。携帯通信端末1から識別情報を利用してデータ管理装置5にアクセスし、OTC医薬品やサプリメントの効果等を入力する。入力された効果や薬疹等は、ネットワーク9を介してデータ管理装置5に接続された利用者情報DB6の投薬履歴に記録されると同時に、医薬品情報DB7及びサプリメント情報DB8に個人を特定できる情報を除いた、服用者情報(性別、体重、体質など)とともに記録される。
【0028】
医師は、データ表示装置4に表示された投薬履歴712や禁忌薬711、体質、健康状態の傾向(血圧が高めなど)1011の情報を鑑みて、データ作成表示装置3により処方箋データを作成する(ステップS204)。データ作成表示装置3により作成された処方箋データは、処方箋発行装置10により発行される。また、作成された処方箋データは、ネットワーク9を介してデータ送受信装置2に送信され、データ送受信装置2を介して利用者の携帯通信端末1の投薬履歴を更新する(ステップS205)。さらに、作成された処方箋データは、ネットワーク9を介してデータ管理装置5に送信され、データ管理装置5に接続された利用者情報DB6に投薬履歴として記録され利用者情報DB6を更新する(ステップS206)。
上記手順によって、病院等での投薬履歴管理システムの処理が実行できる。
【0029】
図3は、図1に示すシステム構成図での第2の処理動作の流れを示すフローチャートである。この実施例は、主に病院の薬局又は調剤薬局での利用を想定している。従って、利用者は、処方される患者である。調剤薬局等で、投薬履歴管理システムが開始されると、利用者の携帯通信端末1に記録されている投薬履歴をデータ送受信装置2により読み出し、読み出した投薬履歴をデータ送受信装置2からデータ表示装置4に送信し、データ表示装置4に投薬履歴を表示する(ステップS301)。この投薬履歴には、今回の調剤のために医師から処方された最新の処方箋データも含まれている。さらに、ネットワーク9を介してデータ管理装置5に接続されている利用者情報DB6から利用者の「禁忌薬情報」711、「健康診断結果」1007〜1010及び健康の傾向や体質等を「備考」1011等を読み出し、投薬履歴と同様にデータ表示装置4に表示することも可能とする(ステップS302)。
【0030】
図2と異なる点は、必要に応じて、データ作成表示装置3において医師から処方された処方箋データをデータ作成部306で修正し、処方箋発行装置10で処方箋を再発行する処理となっている。先ず、処方箋データの修正及び再発行が必要か否かを判断する(ステップS303)。例えば、病院での診察時に1日3回の服用で処方された薬を、可能であれば1日2回に変更してもらいたいという患者側の要望があり、医師が1日3回の服用を2回の服用に変更しても良いと判断したとき(このための医師との連絡は本システムの範囲外)に処方箋データを修正し、再発行する。修正された処方箋データは、ネットワーク9を介してデータ送受信装置2に送信され、データ送受信装置2を介して利用者の携帯通信端末1の投薬履歴を更新する(ステップS304)。また、修正された処方箋データは、ネットワーク9を介してデータ管理装置5に送信され、データ管理装置5に接続された利用者情報DB6に投薬履歴として記録され利用者情報DB6を更新する(ステップS305)。
上記手順によって、調剤薬局等での投薬履歴管理システムの処理が実行できる。
【0031】
図4は、本発明の別の実施例を示すシステム構成図である。特に、ドラッグストア等において本システムを利用する形態を想定している。図1で示した実施例とは、処方箋発行装置10が無い点が相違するのみで、他の構成はほぼ同様である。
【0032】
図5は、図4に示すシステム構成図での第1の処理動作の流れを示すフローチャートである。ドラッグストア等で、投薬履歴管理システムが開始されると、利用者の携帯通信端末1に記録されている投薬履歴(OTC薬品等の購入履歴を含む)をデータ送受信装置2を介して読み出し、読み出した投薬履歴をデータ表示装置4に送信し、データ表示装置4が表示する(ステップS501)。次に、データ表示装置4からネットワーク9を介してデータ管理装置5にアクセスし、利用者が購入しようとしている商品(OTC医薬品やサプリメント)の情報を医薬品情報DB7又はサプリメント情報DB8から取得するともに、利用者情報DB6に含まれる利用者情報を取得する(ステップS502)。続いて、医薬品情報DB7又はサプリメント情報DB8から取得した「投与禁止対象」806、807及び「飲み合わせ禁止対象」807、809などを確認する(ステップS503)。例えば、医薬品情報テーブルの「投薬禁止対象1」806と利用者情報テーブルの「生年月日」704から算出される年齢を比較し、服用しても良い年齢か判断する。次に、「投薬禁止対象2」807と利用者情報DB6の投薬履歴テーブルから妊婦ではないことを確認する。さらに、投薬履歴テーブルから現在服用中とされる薬が「飲み合わせ禁止対象1」808、「飲み合わせ禁止対象2」809でないことを確認する。OTC医薬品やサプリメントを購入することが決定した場合、データ表示装置4から購入データをデータ送受信装置2に送信し、データ送受信装置2を介して利用者の携帯通信端末1の投薬履歴を更新する(ステップS504)。また、データ表示装置4からネットワーク9を介してデータ管理装置5に購入データを送信し、データ管理装置5は利用者情報DB6の投薬履歴を更新する(ステップS505)。
上記手順によって、ドラッグストア等での投薬履歴管理システムの処理が実行できる。
【0033】
図6は、図4に示すシステム構成図での第2の処理動作の流れを示すフローチャートである。学校や会社などで実施される健康診断の会場などに、データ送受信装置2とデータ作成表示装置3を設置し、ネットワーク9が利用できる環境を整える。健康診断会場などで、投薬履歴管理システムが開始されると、利用者の携帯通信端末1に記録されている身長や体重などの健康状態履歴(健康診断結果履歴)をデータ送受信装置2介して読み出し、読み出した健康診断結果履歴をデータ作成表示装置3に送信し、データ作成表示装置3が表示する(ステップS601)。例えば、前回の健康診断結果データとして、「身長」や「体重」、「血圧」1007、1008、「問診の回答」1005、1006を表示する。次に、今回の健康診断前の問診(飲酒の有無、喫煙の状況など)の回答をデータ作成表示装置3から入力する(ステップS602)。入力された問診の回答をネットワーク9を介して、データ管理装置5に接続されている利用者情報DB6の健康診断結果履歴テーブルの問診の回答として更新する(ステップS603)。その後、健康診断を受診する。後日(N日後)、病院または健康診断実施機関が、データ作成表示装置3からネットワーク9を介してデータ管理装置5にアクセスし、利用者の識別情報を照会するともに健康診断結果データを入力し送信する(ステップS604、S605)。データ管理装置5は、利用者情報DB6の健康診断結果履歴テーブルに健康診断結果データを記録し利用者情報DBを更新する(ステップS606)。その後(さらにM日後)、利用者は、学校や会社などの健康管理室のような施設に設置されたデータ送受信装置2を利用し、ネットワーク9を介して利用者の健康診断結果データを利用者の携帯通信端末1に受信し記録する(ステップS607)。
【0034】
なお、別の実施例として、携帯通信端末1が非接触ICカード部108を備えていない場合は、例えばQRコード(登録商標)のような2次元コードを介して情報を取得することができる。その場合、データ作成表示装置3のデータ作成部306において処方箋データを変換した2次元コードを作成し、データ表示装置4の2次元コード表示部406に作成した2次元コードを表示し、これを携帯通信端末1のカメラ部107において読み取ることにより処方箋データを受信し、携帯通信端末1に記録してもよい。また、処方箋発行装置10で印刷される処方箋にもデータ作成表示装置3で作成された2次元コードを印刷し、データ表示装置4がない状態でも携帯通信端末1に処方箋データを記録できる手段を提供するようにしてもよい。この場合、携帯通信端末1から投薬履歴を出力するときは、ネットワーク9を介して投薬履歴を送信する。
【0035】
利用者が、携帯通信端末1からデータ管理装置5にアクセスし、利用者情報DB6、医薬品情報DB7、サプリメント情報DB8から個人を特定できる情報以外の情報、例えば、あるOTC医薬品の口コミ情報などをデータ管理装置5のDB検索部502を介して検索し表示することができる。また、利用者の健康の傾向(血圧が高め、花粉アレルギーあり、など)に基づいて効果的と思われるサプリメントやOTC医薬品をネットワーク9を介してデータ管理装置5に接続された利用者情報DB6、医薬品情報DB7、サプリメント情報DB8から検索し受信して、携帯通信端末1の表示部102に表示することができる。
【0036】
また利用者は、携帯通信端末1において、記憶部106に格納された投薬履歴を表示できるのみでなく、必要に応じて、データ管理装置5にアクセスし、識別情報に基づいて利用者情報DB6に格納された投薬履歴を受信し、表示できる。
【0037】
本発明の携帯通信端末1を所有する利用者が、事故や被災した場合に救急搬送された病院等で、データ送受信装置2の非接触ICカードリードライト部201を介して患者(利用者)の投薬履歴や既往歴などを読み出し、データ表示装置4に表示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、利用者の投薬履歴を携帯通信端末によって記録し、特別な作業を必要とせずに読み出しも可能となるため、医療分野だけでなく介護分野でも広範囲に利用できる可能性がある。
【符号の説明】
【0039】
1 携帯通信端末
2 データ送受信装置
3 データ作成表示装置
4 データ表示装置
5 データ管理装置
6 利用者情報DB
7 医薬品情報DB
8 サプリメント情報DB
9 ネットワーク
10 処方箋発行装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末の非接触ICカード機能等を利用し、ネットワークを介して蓄積された投薬履歴等を携帯通信端末又は専用端末に配信するシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院を受診する際または薬を処方してもらう際、服用中の薬がある場合、正確な服薬情報を医師や調剤薬局等で伝える必要がある。従来、個人の投薬履歴は薬局等で入手できるお薬手帳に記載又はシール等を貼付することにより管理されている。
【0003】
しかしながら、お薬手帳の形状や大きさから、お薬手帳を常時携帯することは困難であるため、持参忘れや破損、紛失の懸念も多い。また、1冊に履歴が収まらなくなった場合は、過去の履歴を確認することがさらに困難になる。
【0004】
このような問題を解決するために、ICカードを利用した電子処方箋システム(特許文献1)、携帯電話を用いて併用禁忌薬が処方された際に警告するシステム(特許文献2)、処方箋データを暗号化技術を用いて携帯通信端末に送信するシステム(特許文献3)、非接触ICカードを用いた薬の処方データを管理するシステム(特許文献4)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−78825号公報
【特許文献2】特開2007−241404号公報
【特許文献3】特開2008−310716号公報
【特許文献4】特開2009−259004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献では、お薬手帳を携帯することなく、投薬履歴を管理し、病院で処方される薬に対して禁忌薬の投与防止や二重投薬防止を図ることが可能となる。しかしながら、眼科で処方された薬を服用しつつ、ドラッグストアで風邪薬を購入し服用する、というようなことも考えられる。その際には、処方薬とドラッグストア等で購入できる一般大衆薬(OTC医薬品)やサプリメントとの飲み合わせを考慮する必要がある。また、患者自身の健康診断結果を常時確認できるようにすることで、体質や健康状態の傾向を鑑みた薬の選択をすることも必要となる。
【0007】
本発明の目的は、投薬履歴を容易かつ確実に知るのみでなくOTC医薬品やサプリメントとの飲み合わせ並びに健康診断結果に基づいた体質や健康状態の傾向まで鑑みて処方薬を選択することを支援するシステム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を提供する。
(1)本発明の投薬履歴管理システムは、ネットワークを介して相互通信可能であるデータ作成表示装置、利用者の携帯通信端末、データ送受信装置、データ管理装置及びデータ表示装置を有する投薬履歴管理システムであって、前記データ作成表示装置は、処方箋データを作成する手段と、作成された処方箋データを前記データ送受信装置及び前記データ管理装置にそれぞれ送信する手段とを備え、前記携帯通信端末は、搭載された非接触ICカードを介して前記データ送受信装置から処方箋データを受信する手段と、受信した処方箋データにより記憶部に格納された投薬履歴を更新する手段と、格納された投薬履歴を前記非接触ICカードを介して前記データ送受信装置に送信する手段とを備え、前記データ送受信装置は、前記携帯通信端末の前記非接触ICカードに対して処方箋データを書き込みかつ投薬履歴を読み取る手段を備え、前記データ管理装置は、利用者情報を利用者の識別情報と対応付けて利用者データベースに格納する手段と、前記データ作成表示装置から受信した処方箋データにより前記利用者情報データベースに格納された投薬履歴を更新する手段と、前記データ表示装置から受診した情報により利用者情報を更新する手段と、医薬品情報を医薬品情報データベースに格納する手段と、サプリメント情報をサプリメント情報データベースに格納する手段と、各データベースに格納された各情報を要求に応じて送信する手段とを備え、かつ、前記データ表示装置は、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示する手段と、前記データ管理装置から受信した前記利用者情報データベース、前記医薬品情報データベース又は前記サプリメント情報データベースの各情報を表示する手段と、前記データ管理装置に送信する情報を入力する手段とを備えたことを特徴とする。
(2)上記システムにおいて、前記データ表示装置は、前記データ管理装置から受信した前記利用者情報データベースの投薬履歴に含まれるドラッグストアでの購入履歴を表示する手段と、前記データ管理装置から受信した前記医薬品情報データベースの医薬品情報又は前記サプリメント情報データベースのサプリメント情報に含まれる少なくとも投与禁止対象及び飲み合わせ禁止対象の情報を表示する手段とを備えたことが好適である。
(3)上記システムにおいて、前記データ作成表示装置がさらに、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示する手段と、前記データ管理装置に送信する健康診断の問診回答を入力する手段と、前記データ管理装置に送信する健康診断結果データを入力する手段とを備え、前記データ管理装置がさらに、受信した健康診断の問診回答及び健康診断結果データにより前記利用者データベースを更新する手段とを備えたことが好適である。
(4)上記システムにおいて、前記データ作成表示装置がさらに、作成された処方箋データを2次元コードに変換し、変換した2次元コードを前記データ表示装置に送信する手段を備え、前記データ表示装置がさらに、受信した2次元コードを表示する手段を備え、
前記携帯通信端末が、前記非接触ICカードを介して前記データ送受信装置から処方箋データを受信する手段に替えて、搭載したカメラ部を用いて、表示された2次元コードを読み取ることにより処方箋データを受信する手段を備えたことが好適である。
(5)上記システムにおいて、前記データ表示装置は、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示した際に、前記データ管理装置に送信する情報として少なくとも投薬の効果を入力することが好適である。
(6)上記システムにおいて、前記携帯通信端末は、前記記憶部に格納された投薬履歴を表示する手段と、前記データ管理装置にアクセスし前記利用者情報データベースに格納された投薬履歴を受信して表示する手段とを備えたことが好適である。
(7)本発明の投薬履歴管理方法は、ネットワークを介して相互通信可能であるデータ作成表示装置、利用者の携帯通信端末、データ送受信装置、データ管理装置及びデータ表示装置を用いて行う投薬履歴管理方法であって、前記データ作成表示装置により、処方箋データを作成するステップと、作成された処方箋データを前記データ送受信装置及び前記データ管理装置にそれぞれ送信するステップとを有し、前記携帯通信端末により、搭載された非接触ICカードを介して前記データ送受信装置から処方箋データを受信するステップと、受信した処方箋データにより記憶部に格納された投薬履歴を更新するステップと、格納された投薬履歴を前記非接触ICカードを介して前記データ送受信装置に送信するステップとを有し、前記データ送受信装置により、前記携帯通信端末の前記非接触ICカードに対して処方箋データを書き込みかつ投薬履歴を読み取るステップを有し、前記データ管理装置により、利用者情報を利用者の識別情報と対応付けて利用者データベースに格納するステップと、前記データ作成表示装置から受信した処方箋データにより前記利用者情報データベースに格納された投薬履歴を更新するステップと、前記データ表示装置から受診した情報により利用者情報を更新するステップと、医薬品情報を医薬品情報データベースに格納するステップと、サプリメント情報をサプリメント情報データベースに格納するステップと、各データベースに格納された各情報を要求に応じて送信するステップとを有し、かつ、前記データ表示装置により、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示するステップと、前記データ管理装置から受信した前記利用者情報データベース、前記医薬品情報データベース又は前記サプリメント情報データベースの各情報を表示するステップと、前記データ管理装置に送信する情報を入力するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明の投薬履歴管理システム及び方法によれば、次のような効果がある。
紙のお薬手帳を携帯することなく、投薬履歴を管理し病院で処方される薬に対して禁忌薬の投与防止や二重投薬防止を図ることが可能となる。
また、サプリメントやOTC医薬品との飲み合わせなども確認することができる。
さらに、健康診断結果も投薬履歴と同様に扱うことで、より適切な投薬の判断が可能となる。
利用者が、検索条件を設定し検索結果を得ることで、OTC医薬品やサプリメントの購入等を判断する手段の一つを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施例を示すシステム構成図である。
【図2】図1に示す実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す第二の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第二の実施の形態例を示すシステム構成図である。
【図5】図4に示す実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図6】図4に示す第二の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図7】図1に示す利用者情報DBに格納されるデータ構成図である。
【図8】図1に示す医薬品情報DBに格納されるデータ構成図である。
【図9】図2に示す利用者情報DBに格納されるデータ構成図である。
【図10】図2に示す利用者情報DBに格納されるデータ構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、実施例を示した図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例を示すシステム構成図である。特に、病院又は調剤薬局などにおいて本システムを利用する形態である。この実施例の投薬履歴管理システムは、ネットワーク9を介して処方箋データ等のデータを授受する携帯通信端末及び種々の装置を備えている。携帯通信端末1は、例えばFelica(登録商標)方式等の非接触ICカード機能を搭載した携帯電話等である。種々の装置としては、携帯通信端末1と非接触ICカード機能を介して直接データを授受するデータ送受信装置2、処方箋データを作成するデータ作成表示装置3、利用者情報及び医薬品情報等を表示するデータ表示装置4、利用者情報などのデータ管理装置5、病院などで処方箋を発行する処方箋発行装置10を備えている。
【0012】
ここで「処方箋データ」は、1回分の処方箋のデータであり、「投薬履歴」は、1又は複数の処方箋データからなる蓄積データを意味する。ここでは、投薬履歴の対象となる薬品として、医師により処方された薬品とともに、ドラッグストア等で購入したOTC医薬品及びサプリメントも含めるものとする。従って、投薬履歴の中には、OTC医薬品及びサプリメントの個々の購入データを蓄積した購入履歴も含まれる。また、「健康診断結果データ」は、1回の健康診断の結果のデータであり、「健康診断結果履歴」は、複数の健康診断結果データからなる蓄積データを意味する。
【0013】
携帯通信端末1は、図示しない各キャリアの保有する基地局を経由してネットワーク9に接続され通信を行う無線通信部101と、文字や記号、画像を表示する表示部102と、携帯通信端末を操作するテンキー、スクロールキー、決定キー及びファンクションキーからなる操作部103(端末によっては操作部がタッチパネルのものもある)と、送話部(マイクロフォン)及び受話部(スピーカ)並びにこれらを経由する音声信号を変復調処理する音声信号処理部104と、電話帳情報や送受信メール情報、発着信情報やアプリケーションプログラムやコンテンツ、携帯通信端末の諸設定等の種々のデータを格納する記憶部106と、撮影や撮影画像や動画の保存を行うカメラ部107と、非接触ICカードによるデータの入出力を行うICチップを具備する非接触ICカード部108と、電話機能、メール機能、インターネット接続機能、カメラ機能その他端末が有する機能や各部の制御を行う中央処理装置(CPU)を具備する制御部105とを備えている。また、通信のためのアンテナや電力を供給する電池パックを備えている。記憶部106には、少なくとも投薬履歴が記録されるが、さらにその他の利用者情報及び健康診断結果履歴も併せて格納してもよい。投薬履歴は、基本的にはデータ送受信装置2を介して取得する。
【0014】
データ送受信装置2は、非接触ICカードの読み取り書き込み機能を有する非接触ICカードリードライト部201と、制御部202と、記憶部203と、ネットワーク9への接続を行う通信部204とを備え、携帯通信端末1に処方箋データ等を書き込み、携帯通信端末1から直接処方箋データを読み取る装置である。データ送受信装置2は、利用者の携帯通信端末1から投薬履歴を取得して表示させたり利用者の携帯通信端末1の記憶部を更新する必要の生じる施設又は機関、すなわち病院、調剤薬局、ドラッグストア等に設置される。
【0015】
データ作成表示装置3は、処方箋データや投薬履歴等を表示する表示部301と、制御部302と、ネットワーク9への接続を行う通信部303と、記憶部304と、キーボードやタッチペンなどの操作部305と、データ作成部306とを備えている。データ作成部306は、操作部306から入力された処方のための情報に基づいて所定のフォーマットの処方箋データを作成する。データ作成表示装置3から所定のデータを入力し、データ管理装置5へ送信することができる。データ作成表示装置3は、処方箋データを作成したり修正したりする必要のある施設又は機関、すなわち主に病院の診察室及び薬局、調剤薬局等に設置される。また、健康診断の会場にも設置される場合がある。
【0016】
データ表示装置4は、利用者情報又は医薬品情報等を表示する表示部401と、制御部402と、ネットワーク9への接続を行う通信部403と、記憶部404と、キーボードやタッチペンなどの操作部405とを備えている。データ表示装置4から所定のデータを入力し、データ管理装置5へ送信することができる。データ表示装置4は、利用者情報を表示させて確認したり新たな利用者情報を入力したりする必要のある全ての施設又は機関、すなわち主に病院の診察室及び薬局、調剤薬局、ドラッグストア等に設置される。
【0017】
データ管理装置5は、利用者の処方箋データからなる投薬履歴等の利用者情報を記憶する利用者情報データベース(DB)6と、処方薬及びOTC薬品を含む医薬品情報を記憶する医薬品情報データベース(DB)7と、サプリメント情報を記憶するサプリメント情報データベース(DB)8とを備え、各DBの更新を行うDB更新部501と、各DBの検索を行うDB検索部503と、ネットワーク9への接続を行う通信部503とを備えている。全ての利用者情報(投薬履歴等)、医薬品情報及びサプリメント情報は、データ管理装置5により蓄積管理される。投薬履歴は、データ作成表示装置3からデータ管理装置5に送信される。
【0018】
処方箋発行装置10は、病院や調剤薬局などで作成された処方箋データを出力するための処方箋発行装置である。当然、主に病院の薬局や調剤薬局に設置される。
【0019】
ネットワーク9は、携帯通信端末1やデータ作成表示装置3などを接続し相互の通信を可能にする。ここでのネットワーク9は、施設又は機関の外部の通信ネットワーク及び内部のLAN等を含めた広い概念である。
【0020】
上記の通り、データ管理装置5は1つの拠点に設置されるが、それ以外の装置は、必要とされる多数の拠点にそれぞれ設置される。また、携帯通信端末1は、多数の利用者の各々が保有する。好適には、データ管理装置5がWebサーバとしての機能を備え、携帯通信端末1、データ作成表示装置3及びデータ表示装置4は、ブラウザソフトウェアを搭載したWeb端末として機能し、これらの機能により相互通信可能である。
【0021】
次に、図7〜図10を参照して図1のデータ管理装置5に接続される各DBについて説明する。
図7は、図1に示したデータ管理装置5に接続された利用者情報DB6に格納される利用者情報テーブル並びに関連する病院及び調剤薬局の登録情報テーブルの一例を示す図である。図に示すように、利用者の基本情報である「氏名」702、「生年月日」、「性別」、「住所」、「連絡先」704〜707等が登録される。また、本発明のシステムを利用するにあたり、利用者の識別情報である「登録ID」701を登録し、「パスワード」703を利用者によって設定する。利用者が通院する「病院」708ごとに「患者番号」709が設定される。また、「既往歴」710及び「禁忌薬」711も登録され、病院での診察時などに図1のデータ作成表示装置3にて確認することができる。さらに、「投薬履歴」712には、投薬履歴番号ごとに、病院番号、診察日及びカルテ番号が格納される。なお、「登録ID」701により利用者情報DB6の他のテーブルとリンクしている。「投薬履歴」712の投薬履歴番号は、後述する図9の投薬履歴テーブルとリンクしている。また、図7の例では、利用者情報DB6に病院及び調剤薬局のそれぞれの住所や電話番号などの登録情報713、714も併せて格納されており、利用者情報とリンクしている。
【0022】
図8は、図1に示したデータ管理装置5に接続された医薬品情報DB7に格納される医薬品情報テーブルの一例を示す図である。図に示すように、各医薬品に対して「薬ID」801を付与し、「薬名」802や「成分」803〜805を登録できる。また、"6歳未満児への投与禁止"など当該医薬品の「投与禁忌対象」806、807も登録できる。さらに、"当該医薬品と医薬品ppppとの飲み合わせ禁止"などの当該医薬品との「飲み合わせ禁止対象」808、809も登録できる。"眠くなる可能性があるので車などの運転時は注意"などの当該医薬品の「服用時注意事項」810、811も登録できる。必要に応じて「備考」812も登録可能とする。
【0023】
図9は、後述する図2のフローチャートの「過去の投薬に対する効果や薬疹等の入力」(ステップS203)において、図1のデータ管理装置5に接続された利用者情報DB6に格納される投薬履歴テーブルの一例を示す図である。図に示すように、利用者の「登録ID」901、「氏名」902、「投薬履歴番号」903に対し、診察した病院の「病院番号」904、「診察日」905、「カルテ番号」906並びにカルテ内容907〜910が登録される。「投薬1」909及び「投薬2」910は、図8の医薬品情報テーブルの「薬名」802とリンクしている。「備考」911として、"xzxzxz服用後、背中・腹部に赤い発疹"のように薬疹などを記入できる。
なお、図9の投薬履歴と同じ情報が、携帯通信端末1の記憶部にも記憶されている。
【0024】
図10は、図1に示したデータ管理装置5に接続された利用者情報DB6に格納される健康診断結果履歴テーブルの一例を示す図である。図に示すように、利用者の「登録ID」1001、「氏名」1002に対し、過去の健康診断の実施ごとの健康診断結果データを「健康診断履歴番号」1003、「健診日」1004、「問診回答」1005、1006、「健康診断結果」1007〜1010に格納する。また、健康診断結果データに基づく健康の傾向、例えば"血圧が高め"などの体質の所見を「備考」1011に入力することができる。利用者の「登録ID」により、利用者情報DB6内の他のテーブルとリンクする。
【0025】
図2は、図1に示すシステム構成図での第1の処理動作の流れを示すフローチャートである。この実施例は、主に病院での利用を想定している。従って、利用者は、診察を受ける患者である。病院で、投薬履歴管理システムが開始されると、利用者の携帯通信端末1に記録されている投薬履歴をデータ送受信装置2により読み出し、読み出した投薬履歴をデータ送受信装置2からデータ表示装置4に送信し、データ表示装置4が投薬履歴(図9の符号901〜911)を表示する(ステップS201)。さらに、ネットワーク9を介してデータ管理装置5に接続されている利用者情報DB6から利用者の「禁忌薬情報」711、「健康診断結果」1007〜1010及び健康の傾向や体質等を「備考」1011等を読み出し、投薬履歴と同様にデータ表示装置4に表示することも可能とする(ステップS202)。ステップS202における利用者の情報の読み出しにおいては、データ表示装置4から利用者の診察券番号又は登録ID等の識別情報を利用してデータ管理装置5にアクセスし、必要な情報を要求し、データ管理装置5は、識別情報に基づいて要求された情報を抽出してデータ表示装置4に送信する。
【0026】
医師は、診察中に、利用者情報DB6を更新する情報をデータ表示装置4に入力することができる。例えば、前回処方した「投薬」909、910の「備考」911に「服用後、発疹がでた」などの薬疹や「すぐに熱が下がった」などの効果を入力することができる(ステップS203)。
【0027】
なお、ステップS203において、OTC医薬品及びサプリメントに関しては利用者自身が、図9の「備考」911に効果等を入力可能としてもよい。携帯通信端末1から識別情報を利用してデータ管理装置5にアクセスし、OTC医薬品やサプリメントの効果等を入力する。入力された効果や薬疹等は、ネットワーク9を介してデータ管理装置5に接続された利用者情報DB6の投薬履歴に記録されると同時に、医薬品情報DB7及びサプリメント情報DB8に個人を特定できる情報を除いた、服用者情報(性別、体重、体質など)とともに記録される。
【0028】
医師は、データ表示装置4に表示された投薬履歴712や禁忌薬711、体質、健康状態の傾向(血圧が高めなど)1011の情報を鑑みて、データ作成表示装置3により処方箋データを作成する(ステップS204)。データ作成表示装置3により作成された処方箋データは、処方箋発行装置10により発行される。また、作成された処方箋データは、ネットワーク9を介してデータ送受信装置2に送信され、データ送受信装置2を介して利用者の携帯通信端末1の投薬履歴を更新する(ステップS205)。さらに、作成された処方箋データは、ネットワーク9を介してデータ管理装置5に送信され、データ管理装置5に接続された利用者情報DB6に投薬履歴として記録され利用者情報DB6を更新する(ステップS206)。
上記手順によって、病院等での投薬履歴管理システムの処理が実行できる。
【0029】
図3は、図1に示すシステム構成図での第2の処理動作の流れを示すフローチャートである。この実施例は、主に病院の薬局又は調剤薬局での利用を想定している。従って、利用者は、処方される患者である。調剤薬局等で、投薬履歴管理システムが開始されると、利用者の携帯通信端末1に記録されている投薬履歴をデータ送受信装置2により読み出し、読み出した投薬履歴をデータ送受信装置2からデータ表示装置4に送信し、データ表示装置4に投薬履歴を表示する(ステップS301)。この投薬履歴には、今回の調剤のために医師から処方された最新の処方箋データも含まれている。さらに、ネットワーク9を介してデータ管理装置5に接続されている利用者情報DB6から利用者の「禁忌薬情報」711、「健康診断結果」1007〜1010及び健康の傾向や体質等を「備考」1011等を読み出し、投薬履歴と同様にデータ表示装置4に表示することも可能とする(ステップS302)。
【0030】
図2と異なる点は、必要に応じて、データ作成表示装置3において医師から処方された処方箋データをデータ作成部306で修正し、処方箋発行装置10で処方箋を再発行する処理となっている。先ず、処方箋データの修正及び再発行が必要か否かを判断する(ステップS303)。例えば、病院での診察時に1日3回の服用で処方された薬を、可能であれば1日2回に変更してもらいたいという患者側の要望があり、医師が1日3回の服用を2回の服用に変更しても良いと判断したとき(このための医師との連絡は本システムの範囲外)に処方箋データを修正し、再発行する。修正された処方箋データは、ネットワーク9を介してデータ送受信装置2に送信され、データ送受信装置2を介して利用者の携帯通信端末1の投薬履歴を更新する(ステップS304)。また、修正された処方箋データは、ネットワーク9を介してデータ管理装置5に送信され、データ管理装置5に接続された利用者情報DB6に投薬履歴として記録され利用者情報DB6を更新する(ステップS305)。
上記手順によって、調剤薬局等での投薬履歴管理システムの処理が実行できる。
【0031】
図4は、本発明の別の実施例を示すシステム構成図である。特に、ドラッグストア等において本システムを利用する形態を想定している。図1で示した実施例とは、処方箋発行装置10が無い点が相違するのみで、他の構成はほぼ同様である。
【0032】
図5は、図4に示すシステム構成図での第1の処理動作の流れを示すフローチャートである。ドラッグストア等で、投薬履歴管理システムが開始されると、利用者の携帯通信端末1に記録されている投薬履歴(OTC薬品等の購入履歴を含む)をデータ送受信装置2を介して読み出し、読み出した投薬履歴をデータ表示装置4に送信し、データ表示装置4が表示する(ステップS501)。次に、データ表示装置4からネットワーク9を介してデータ管理装置5にアクセスし、利用者が購入しようとしている商品(OTC医薬品やサプリメント)の情報を医薬品情報DB7又はサプリメント情報DB8から取得するともに、利用者情報DB6に含まれる利用者情報を取得する(ステップS502)。続いて、医薬品情報DB7又はサプリメント情報DB8から取得した「投与禁止対象」806、807及び「飲み合わせ禁止対象」807、809などを確認する(ステップS503)。例えば、医薬品情報テーブルの「投薬禁止対象1」806と利用者情報テーブルの「生年月日」704から算出される年齢を比較し、服用しても良い年齢か判断する。次に、「投薬禁止対象2」807と利用者情報DB6の投薬履歴テーブルから妊婦ではないことを確認する。さらに、投薬履歴テーブルから現在服用中とされる薬が「飲み合わせ禁止対象1」808、「飲み合わせ禁止対象2」809でないことを確認する。OTC医薬品やサプリメントを購入することが決定した場合、データ表示装置4から購入データをデータ送受信装置2に送信し、データ送受信装置2を介して利用者の携帯通信端末1の投薬履歴を更新する(ステップS504)。また、データ表示装置4からネットワーク9を介してデータ管理装置5に購入データを送信し、データ管理装置5は利用者情報DB6の投薬履歴を更新する(ステップS505)。
上記手順によって、ドラッグストア等での投薬履歴管理システムの処理が実行できる。
【0033】
図6は、図4に示すシステム構成図での第2の処理動作の流れを示すフローチャートである。学校や会社などで実施される健康診断の会場などに、データ送受信装置2とデータ作成表示装置3を設置し、ネットワーク9が利用できる環境を整える。健康診断会場などで、投薬履歴管理システムが開始されると、利用者の携帯通信端末1に記録されている身長や体重などの健康状態履歴(健康診断結果履歴)をデータ送受信装置2介して読み出し、読み出した健康診断結果履歴をデータ作成表示装置3に送信し、データ作成表示装置3が表示する(ステップS601)。例えば、前回の健康診断結果データとして、「身長」や「体重」、「血圧」1007、1008、「問診の回答」1005、1006を表示する。次に、今回の健康診断前の問診(飲酒の有無、喫煙の状況など)の回答をデータ作成表示装置3から入力する(ステップS602)。入力された問診の回答をネットワーク9を介して、データ管理装置5に接続されている利用者情報DB6の健康診断結果履歴テーブルの問診の回答として更新する(ステップS603)。その後、健康診断を受診する。後日(N日後)、病院または健康診断実施機関が、データ作成表示装置3からネットワーク9を介してデータ管理装置5にアクセスし、利用者の識別情報を照会するともに健康診断結果データを入力し送信する(ステップS604、S605)。データ管理装置5は、利用者情報DB6の健康診断結果履歴テーブルに健康診断結果データを記録し利用者情報DBを更新する(ステップS606)。その後(さらにM日後)、利用者は、学校や会社などの健康管理室のような施設に設置されたデータ送受信装置2を利用し、ネットワーク9を介して利用者の健康診断結果データを利用者の携帯通信端末1に受信し記録する(ステップS607)。
【0034】
なお、別の実施例として、携帯通信端末1が非接触ICカード部108を備えていない場合は、例えばQRコード(登録商標)のような2次元コードを介して情報を取得することができる。その場合、データ作成表示装置3のデータ作成部306において処方箋データを変換した2次元コードを作成し、データ表示装置4の2次元コード表示部406に作成した2次元コードを表示し、これを携帯通信端末1のカメラ部107において読み取ることにより処方箋データを受信し、携帯通信端末1に記録してもよい。また、処方箋発行装置10で印刷される処方箋にもデータ作成表示装置3で作成された2次元コードを印刷し、データ表示装置4がない状態でも携帯通信端末1に処方箋データを記録できる手段を提供するようにしてもよい。この場合、携帯通信端末1から投薬履歴を出力するときは、ネットワーク9を介して投薬履歴を送信する。
【0035】
利用者が、携帯通信端末1からデータ管理装置5にアクセスし、利用者情報DB6、医薬品情報DB7、サプリメント情報DB8から個人を特定できる情報以外の情報、例えば、あるOTC医薬品の口コミ情報などをデータ管理装置5のDB検索部502を介して検索し表示することができる。また、利用者の健康の傾向(血圧が高め、花粉アレルギーあり、など)に基づいて効果的と思われるサプリメントやOTC医薬品をネットワーク9を介してデータ管理装置5に接続された利用者情報DB6、医薬品情報DB7、サプリメント情報DB8から検索し受信して、携帯通信端末1の表示部102に表示することができる。
【0036】
また利用者は、携帯通信端末1において、記憶部106に格納された投薬履歴を表示できるのみでなく、必要に応じて、データ管理装置5にアクセスし、識別情報に基づいて利用者情報DB6に格納された投薬履歴を受信し、表示できる。
【0037】
本発明の携帯通信端末1を所有する利用者が、事故や被災した場合に救急搬送された病院等で、データ送受信装置2の非接触ICカードリードライト部201を介して患者(利用者)の投薬履歴や既往歴などを読み出し、データ表示装置4に表示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、利用者の投薬履歴を携帯通信端末によって記録し、特別な作業を必要とせずに読み出しも可能となるため、医療分野だけでなく介護分野でも広範囲に利用できる可能性がある。
【符号の説明】
【0039】
1 携帯通信端末
2 データ送受信装置
3 データ作成表示装置
4 データ表示装置
5 データ管理装置
6 利用者情報DB
7 医薬品情報DB
8 サプリメント情報DB
9 ネットワーク
10 処方箋発行装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して相互通信可能であるデータ作成表示装置、利用者の携帯通信端末、データ送受信装置、データ管理装置及びデータ表示装置を有する投薬履歴管理システムであって、
前記データ作成表示装置は、処方箋データを作成する手段と、作成された処方箋データを前記データ送受信装置及び前記データ管理装置にそれぞれ送信する手段とを備え、
前記携帯通信端末は、搭載された非接触ICカードを介して前記データ送受信装置から処方箋データを受信する手段と、受信した処方箋データにより記憶部に格納された投薬履歴を更新する手段と、格納された投薬履歴を前記非接触ICカードを介して前記データ送受信装置に送信する手段とを備え、
前記データ送受信装置は、前記携帯通信端末の前記非接触ICカードに対して処方箋データを書き込みかつ投薬履歴を読み取る手段を備え、
前記データ管理装置は、利用者情報を利用者の識別情報と対応付けて利用者データベースに格納する手段と、前記データ作成表示装置から受信した処方箋データにより前記利用者情報データベースに格納された投薬履歴を更新する手段と、前記データ表示装置から受診した情報により利用者情報を更新する手段と、医薬品情報を医薬品情報データベースに格納する手段と、サプリメント情報をサプリメント情報データベースに格納する手段と、各データベースに格納された各情報を要求に応じて送信する手段とを備え、かつ、
前記データ表示装置は、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示する手段と、前記データ管理装置から受信した前記利用者情報データベース、前記医薬品情報データベース又は前記サプリメント情報データベースの各情報を表示する手段と、前記データ管理装置に送信する情報を入力する手段とを備えたことを特徴とする
投薬履歴管理システム。
【請求項2】
前記データ表示装置は、前記データ管理装置から受信した前記利用者情報データベースの投薬履歴に含まれるドラッグストアでの購入履歴を表示する手段と、前記データ管理装置から受信した前記医薬品情報データベースの医薬品情報又は前記サプリメント情報データベースのサプリメント情報に含まれる少なくとも投与禁止対象及び飲み合わせ禁止対象の情報を表示する手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の投薬履歴管理システム。
【請求項3】
前記データ作成表示装置がさらに、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示する手段と、前記データ管理装置に送信する健康診断の問診回答を入力する手段と、前記データ管理装置に送信する健康診断結果データを入力する手段とを備え、
前記データ管理装置がさらに、受信した健康診断の問診回答及び健康診断結果データにより前記利用者データベースを更新する手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の投薬履歴管理システム。
【請求項4】
前記データ作成表示装置がさらに、作成された処方箋データを2次元コードに変換し、変換した2次元コードを前記データ表示装置に送信する手段を備え、
前記データ表示装置がさらに、受信した2次元コードを表示する手段を備え、
前記携帯通信端末が、前記非接触ICカードを介して前記データ送受信装置から処方箋データを受信する手段に替えて、搭載したカメラ部を用いて、表示された2次元コードを読み取ることにより処方箋データを受信する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の投薬履歴管理システム。
【請求項5】
前記データ表示装置は、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示した際に、前記データ管理装置に送信する情報として少なくとも投薬の効果を入力することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の投薬履歴管理システム。
【請求項6】
前記携帯通信端末は、前記記憶部に格納された投薬履歴を表示する手段と、前記データ管理装置にアクセスし前記利用者情報データベースに格納された投薬履歴を受信して表示する手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の投薬履歴管理システム。
【請求項7】
ネットワークを介して相互通信可能であるデータ作成表示装置、利用者の携帯通信端末、データ送受信装置、データ管理装置及びデータ表示装置を用いて行う投薬履歴管理方法であって、
前記データ作成表示装置により、処方箋データを作成するステップと、作成された処方箋データを前記データ送受信装置及び前記データ管理装置にそれぞれ送信するステップとを有し、
前記携帯通信端末により、搭載された非接触ICカードを介して前記データ送受信装置から処方箋データを受信するステップと、受信した処方箋データにより記憶部に格納された投薬履歴を更新するステップと、格納された投薬履歴を前記非接触ICカードを介して前記データ送受信装置に送信するステップとを有し、
前記データ送受信装置により、前記携帯通信端末の前記非接触ICカードに対して処方箋データを書き込みかつ投薬履歴を読み取るステップを有し、
前記データ管理装置により、利用者情報を利用者の識別情報と対応付けて利用者データベースに格納するステップと、前記データ作成表示装置から受信した処方箋データにより前記利用者情報データベースに格納された投薬履歴を更新するステップと、前記データ表示装置から受診した情報により利用者情報を更新するステップと、医薬品情報を医薬品情報データベースに格納するステップと、サプリメント情報をサプリメント情報データベースに格納するステップと、各データベースに格納された各情報を要求に応じて送信するステップとを有し、かつ、
前記データ表示装置により、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示するステップと、前記データ管理装置から受信した前記利用者情報データベース、前記医薬品情報データベース又は前記サプリメント情報データベースの各情報を表示するステップと、前記データ管理装置に送信する情報を入力するステップとを有することを特徴とする
投薬履歴管理方法。
【請求項1】
ネットワークを介して相互通信可能であるデータ作成表示装置、利用者の携帯通信端末、データ送受信装置、データ管理装置及びデータ表示装置を有する投薬履歴管理システムであって、
前記データ作成表示装置は、処方箋データを作成する手段と、作成された処方箋データを前記データ送受信装置及び前記データ管理装置にそれぞれ送信する手段とを備え、
前記携帯通信端末は、搭載された非接触ICカードを介して前記データ送受信装置から処方箋データを受信する手段と、受信した処方箋データにより記憶部に格納された投薬履歴を更新する手段と、格納された投薬履歴を前記非接触ICカードを介して前記データ送受信装置に送信する手段とを備え、
前記データ送受信装置は、前記携帯通信端末の前記非接触ICカードに対して処方箋データを書き込みかつ投薬履歴を読み取る手段を備え、
前記データ管理装置は、利用者情報を利用者の識別情報と対応付けて利用者データベースに格納する手段と、前記データ作成表示装置から受信した処方箋データにより前記利用者情報データベースに格納された投薬履歴を更新する手段と、前記データ表示装置から受診した情報により利用者情報を更新する手段と、医薬品情報を医薬品情報データベースに格納する手段と、サプリメント情報をサプリメント情報データベースに格納する手段と、各データベースに格納された各情報を要求に応じて送信する手段とを備え、かつ、
前記データ表示装置は、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示する手段と、前記データ管理装置から受信した前記利用者情報データベース、前記医薬品情報データベース又は前記サプリメント情報データベースの各情報を表示する手段と、前記データ管理装置に送信する情報を入力する手段とを備えたことを特徴とする
投薬履歴管理システム。
【請求項2】
前記データ表示装置は、前記データ管理装置から受信した前記利用者情報データベースの投薬履歴に含まれるドラッグストアでの購入履歴を表示する手段と、前記データ管理装置から受信した前記医薬品情報データベースの医薬品情報又は前記サプリメント情報データベースのサプリメント情報に含まれる少なくとも投与禁止対象及び飲み合わせ禁止対象の情報を表示する手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の投薬履歴管理システム。
【請求項3】
前記データ作成表示装置がさらに、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示する手段と、前記データ管理装置に送信する健康診断の問診回答を入力する手段と、前記データ管理装置に送信する健康診断結果データを入力する手段とを備え、
前記データ管理装置がさらに、受信した健康診断の問診回答及び健康診断結果データにより前記利用者データベースを更新する手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の投薬履歴管理システム。
【請求項4】
前記データ作成表示装置がさらに、作成された処方箋データを2次元コードに変換し、変換した2次元コードを前記データ表示装置に送信する手段を備え、
前記データ表示装置がさらに、受信した2次元コードを表示する手段を備え、
前記携帯通信端末が、前記非接触ICカードを介して前記データ送受信装置から処方箋データを受信する手段に替えて、搭載したカメラ部を用いて、表示された2次元コードを読み取ることにより処方箋データを受信する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の投薬履歴管理システム。
【請求項5】
前記データ表示装置は、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示した際に、前記データ管理装置に送信する情報として少なくとも投薬の効果を入力することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の投薬履歴管理システム。
【請求項6】
前記携帯通信端末は、前記記憶部に格納された投薬履歴を表示する手段と、前記データ管理装置にアクセスし前記利用者情報データベースに格納された投薬履歴を受信して表示する手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の投薬履歴管理システム。
【請求項7】
ネットワークを介して相互通信可能であるデータ作成表示装置、利用者の携帯通信端末、データ送受信装置、データ管理装置及びデータ表示装置を用いて行う投薬履歴管理方法であって、
前記データ作成表示装置により、処方箋データを作成するステップと、作成された処方箋データを前記データ送受信装置及び前記データ管理装置にそれぞれ送信するステップとを有し、
前記携帯通信端末により、搭載された非接触ICカードを介して前記データ送受信装置から処方箋データを受信するステップと、受信した処方箋データにより記憶部に格納された投薬履歴を更新するステップと、格納された投薬履歴を前記非接触ICカードを介して前記データ送受信装置に送信するステップとを有し、
前記データ送受信装置により、前記携帯通信端末の前記非接触ICカードに対して処方箋データを書き込みかつ投薬履歴を読み取るステップを有し、
前記データ管理装置により、利用者情報を利用者の識別情報と対応付けて利用者データベースに格納するステップと、前記データ作成表示装置から受信した処方箋データにより前記利用者情報データベースに格納された投薬履歴を更新するステップと、前記データ表示装置から受診した情報により利用者情報を更新するステップと、医薬品情報を医薬品情報データベースに格納するステップと、サプリメント情報をサプリメント情報データベースに格納するステップと、各データベースに格納された各情報を要求に応じて送信するステップとを有し、かつ、
前記データ表示装置により、前記データ送受信装置が前記携帯通信端末から読み取った投薬履歴を表示するステップと、前記データ管理装置から受信した前記利用者情報データベース、前記医薬品情報データベース又は前記サプリメント情報データベースの各情報を表示するステップと、前記データ管理装置に送信する情報を入力するステップとを有することを特徴とする
投薬履歴管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−190332(P2012−190332A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54394(P2011−54394)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】
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