説明

携帯電子機器、制御方法及び制御プログラム

【課題】文字入力にあたって、効率良く変換機能を使い分けることができる携帯電子機器、制御方法及び制御プログラムを提供すること。
【解決手段】文字を入力するための操作部11と、操作部11の操作により入力された文字を他の文字に変換するために参照される第1の変換テーブル及び当該第1の変換テーブルとは異なる第2の変換テーブルを記憶する第1の記憶部46と、第1のモード及び当該第1のモードとは異なる第2のモードが設定可能な設定部47と、操作部11の操作により入力された文字を他の文字に変換する場合に、設定部47により第1のモードが設定されている場合は、第1の変換テーブルを参照させ、設定部47により第2のモードが設定されている場合は、第2の変換テーブルを参照させる制御部45と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書の作成機能を有する携帯電子機器、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電子機器では、使用者の程度や年齢に応じて様々なモード(例えば、大人が使用する大人モードと子供が使用する子供モードや、簡単モードと通常モード等)を選択して使用することができるものが登場している。
また、入力された文字(例えば、「わたくし」)を他の文字(例えば、「私」)に変換する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
このような技術は、携帯電子機器に取り入れられ、様々な文字変換に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−290027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、文字入力にあたって、変換機能(通常変換や予測変換等)を利用することが多いが、使用されるモードに応じて変換機能を使い分けることができなかった。
【0005】
本発明は、文字入力にあたって、効率良く変換機能を使い分けることができる携帯電子機器、制御方法及び制御プログラムを提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る携帯電子機器は、上記課題を解決するために、文字を入力するための操作部と、前記操作部の操作により入力された文字を他の文字に変換するために参照される第1の変換テーブル及び当該第1の変換テーブルとは異なる第2の変換テーブルを記憶する第1の記憶部と、第1のモード及び当該第1のモードとは異なる第2のモードが設定可能な設定部と、前記操作部の操作により入力された文字を他の文字に変換する場合に、前記設定部により前記第1のモードが設定されている場合は、前記第1の変換テーブルを参照させ、前記設定部により前記第2のモードが設定されている場合は、前記第2の変換テーブルを参照させる制御部と、を有する。
【0007】
また、携帯電子機器では、前記設定部により設定されたモードにしたがって、一の変換テーブルから前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルを、それぞれ抽出して作成する変換テーブル作成部を有する構成でも良い。
【0008】
また、携帯電子機器では、第2の記憶部と、前記第1の変換テーブル又は前記第2の変換テーブルを参照して文字の変換を行った場合において、変換前後の文字の対応関係が、参照した前記第1の変換テーブル又は前記第2の変換テーブルに記憶されていないときには、前記変換前後の文字の対応関係を、参照した前記第1の変換テーブル又は前記第2の変換テーブルにそれぞれ関連付けて前記第2の記憶部に記憶させる学習部を有し、前記制御部は、前記第1の変換テーブルを参照する場合には、前記第1の変換テーブルに関連付けられた前記変換前後の文字の対応関係を参照させると共に、前記第2の変換テーブルに関連付けられた前記変換前後の文字の対応関係を参照させないように制限し、前記第2の変換テーブルを参照する場合には、前記第2の変換テーブルに関連付けられた前記変換前後の文字の対応関係を参照させると共に、前記第1の変換テーブルに関連付けられた前記変換前後の文字の対応関係を参照させないように制限する構成でも良い。
【0009】
また、携帯電子機器では、パスワードを設定するパスワード設定部を備え、前記制御部は、前記第1のモードから前記第2のモードへの切り替え、及び前記第2のモードから前記第1のモードに切り替えのいずれか一方が行われる場合に、パスワードの入力を促し、入力されたパスワードが前記パスワード設定部で設定されたパスワードと一致することを条件にモードの切り替えを許可する構成でも良い。
【0010】
また、携帯電子機器では、前記第1の変換テーブルは、入力された文字を漢字変換しない、又は入力された文字を所定の学年別漢字配当表にしたがった漢字のみに変換可能に構成される構成でも良い。
【0011】
また、携帯電子機器では、年齢を含むプロフィールを登録する登録部を有し、前記制御部は、入力された文字を他の文字に変換する場合に、前記登録部に年齢が登録されていると前記設定部により設定されているモードが前記第1のモードか前記第2のモードであるかに関わらず、前記登録部に登録されている年齢に基づいて、前記第1の変換テーブル又は前記第2の変換テーブルのいずれを参照するかを選択する構成でも良い。
【0012】
また、本発明に係る制御方法は、上記課題を解決するために、第1のモード及び当該第1のモードとは異なる第2のモードを設定する設定工程と、文字を入力するための操作部の操作により入力された文字を他の文字に変換する場合に、前記設定工程により前記第1のモードが設定されている場合は、入力された文字を他の文字に変換するために使用される第1の変換テーブルを参照し、前記設定工程により前記第2のモードが設定されている場合は、前記第1の変換テーブルとは異なる第2の変換テーブルを参照させる制御工程を有する。
【0013】
また、本発明に係る制御プログラムは、上記課題を解決するために、第1のモード及び当該第1のモードとは異なる第2のモードを設定する設定工程と、文字を入力するための操作部の操作により入力された文字を他の文字に変換する場合に、前記設定工程により前記第1のモードが設定されている場合は、入力された文字を他の文字に変換するために使用される第1の変換テーブルを参照し、前記設定工程により前記第2のモードが設定されている場合は、前記第1の変換テーブルとは異なる第2の変換テーブルを参照させる制御工程とをコンピュータによって実現するためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、文字入力にあたって、効率良く変換機能を使い分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】携帯電話機の外観斜視図である。
【図2】携帯電話機の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】携帯電話機による具体的な処理についての説明に供するフローチャートである。
【図4】第1の変換テーブル及び第2の変換テーブルが参照される場合における画面遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、本発明の携帯電子機器の一実施形態に係る携帯電話機1の基本構造について、図1を参照しながら説明する。図1は、携帯電話機1の外観斜視図である。
【0017】
携帯電話機1は、ストレートタイプの携帯電話機1である。携帯電話機1は、筐体2と、筐体2に対して一定方向に所定量だけ滑動するように取り付けられた滑動部材3と、滑動部材3に連結されたストラップ4により構成されている。携帯電話機1は、通話機能に加えて防犯ブザー機能を有している。防犯ブザー機能とは、ユーザが危険を察知した場合に携帯電話機1に所定の操作を施すことで大音量を発生させて、周囲にいる人に注意を促す機能である。具体的には、携帯電話機1は、ストラップ4が所定の力で引っ張られると、滑動部材3が一定方向に所定量だけ滑動し、この滑動をトリガーとして、大音量でブザーが周囲に鳴り響くことにより、周囲にいる人に注意を促す。なお、この場合には、後述する制御部45は、ストラップ4が所定の力で引っ張られたことにより防犯ブザーが鳴っている旨の通知を受け、提携している警備会社等にメール等の機能を利用して緊急通知を行う。
【0018】
また、筐体2の前面2aには、操作部11と、表示部21と、マイク12と、スピーカ22とが配置されている。操作部11は、互いに異なる方向を指定する複数の方向指定キー11a(方向指定手段)と、所定の機能を作動させるための機能作動キー11bとを備える。ここで、複数の方向指定キー11aは、図1に示すように物理的に一つのキーの場合でも、上方向、右方向、下方向及び左方向にそれぞれ異なる機能が割り当てられていれば、複数の方向指定キーとする。本実施例においては、方向指定キー11aは、上方向を指定する上キー111と、下方向を指定する下キー112と、右方向を指定する右キー113と、左方向を指定する左キー114により構成される。なお、方向指定キー11aは、複数の方向に指定可能なものであれば良く、ジョイスティックやトラックボール、その他ポインティングデバイスであっても良い。
【0019】
表示部21は、液晶表示ディスプレイや有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等から構成される。マイク12は、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声を入力する。スピーカ22は、携帯電話機1の使用時に通話の相手方の音声が出力する。
【0020】
なお、携帯電話機1は、上述したストレートタイプに限定されることはない。すなわち、携帯電話機は、操作部側筐体と表示部側筐体とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式や、操作部側筐体と表示部側筐体とを2軸ヒンジを介して連結したもの、さらには、操作部側筐体と表示部側筐体とをヒンジ機構で結合させた折り畳み式であっても良い。
【0021】
次に、携帯電話機1の機能構成について説明する。図2は、携帯電話機1の機能を示す機能ブロック図である。携帯電話機1は、操作部11と、マイク12と、メインアンテナ40と、RF回路部41と、画像処理部42と、音声処理部43と、メモリ44と、制御部45と、表示部21と、スピーカ22と、ドライバIC23とを備える。また、携帯電話機1は、滑動部材3と、ストラップ4を備え、ストラップ4が所定の力で引っ張られると、滑動部材3が一定方向に所定量だけ滑動し、その旨が制御部45に通知されるようになっている。
【0022】
メインアンテナ40は、所定の使用周波数帯(例えば、800MHz)で基地局等の外部装置と通信を行う構成である。なお、本実施形態では、所定の使用周波数帯として、800MHzとしたが、これ以外の周波数帯であっても良い。
【0023】
RF回路部41は、メインアンテナ40によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部45に供給する。また、RF回路部41は、制御部45から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ40を介して外部装置に送信する。また、その一方で、RF回路部41は、メインアンテナ40によって受信している信号の強度(RSSI、Received Signal Strength Indication)を制御部45に通知する。
【0024】
画像処理部42は、制御部45の制御にしたがって、所定の画像処理を行い、処理後の画像データをドライバIC23に出力する。ドライバIC23は、画像処理部42から供給された画像データをフレームメモリに蓄え、所定のタイミングで表示部21に出力する。
【0025】
音声処理部43は、制御部45の制御にしたがって、RF回路部41から供給された信号に対して所定の音声処理を行い、処理後の信号をスピーカ22に出力する。スピーカ22は、音声処理部43から供給された信号を外部に出力する。
【0026】
また、音声処理部43は、制御部45の制御にしたがって、マイク12から入力された信号を処理し、処理後の信号をRF回路部41に出力する。RF回路部41は、音声処理部43から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号をメインアンテナ40に出力する。
【0027】
メモリ44は、例えば、ワーキングメモリを含み、制御部45による演算処理に利用される。また、メモリ44には、複数のアプリケーションや当該アプリケーションが必要とする各種のテーブル等が記憶されている。また、メモリ44は、着脱可能な外部メモリを兼ねていても良い。
【0028】
制御部45は、携帯電話機1の全体を制御しており、中央処理装置(CPU)等を用いて構成される。
【0029】
このように構成される携帯電話機1は、文字入力にあたって、効率良く変換機能を使い分けることを可能とする機能を有する。以下に、当該機能を発揮するための構成と動作について詳述する。
【0030】
携帯電話機1は、図2に示すように、第1の記憶部46と、設定部47を備える。
第1の記憶部46には、操作部11の操作により入力された文字を他の文字に変換するために参照される第1の変換テーブル及び当該第1の変換テーブルとは異なる第2の変換テーブルが記憶されている。なお、第1の記憶部46は、メモリ44の一部として構成されても良い。
【0031】
設定部47は、第1のモード及び当該第1のモードとは異なる第2のモードを設定する。制御部45は、操作部11の操作により入力された文字を他の文字に変換する場合に、設定部47により第1のモードが設定されている場合は、第1の変換テーブルを参照し、設定部47により第2のモードが設定されている場合は、第2の変換テーブルを参照する。
【0032】
第1の変換テーブルは、例えば、平仮名を小学校や中学校で習う範囲の漢字に変換するテーブル(子供用テーブル)である。また、第2の変換テーブルは、例えば、平仮名を常用漢字に変換するテーブル(大人用テーブル)である。また、第1のモードは、例えば、子供が使用するモードである。また、第2のモードは、例えば、大人が使用するモードである。
【0033】
また、設定部47は、待受画面が表示部21に表示されている状態から操作部11により所定の操作が行われて、第1のモードと第2のモードが選択されることにより、各モードを設定する構成でも良い。第1のモードとは、例えば、使用できるアプリケーション等に一定の制限がかかるモードであって、いわゆる子供モードである。また、第2のモードとは、例えば、使用できるアプリケーション等に制限がかからないモードであって、いわゆる大人モードである。
【0034】
このようにして、携帯電話機1は、第1のモードが設定されている場合には、第1の変換テーブルを参照して変換処理を行い、第2のモードが設定されている場合には、第2の変換テーブルを参照して変換処理を行うので、設定されているモードにしたがって、効率良く変換機能を使い分けることができる。
【0035】
また、携帯電話機1は、図2に示すように、第1の変換テーブル及び第2の変換テーブルを、設定部47により設定されたモードにしたがって、元となる一の変換テーブルTから抽出してそれぞれ作成する変換テーブル作成部48を有する構成でも良い。
【0036】
例えば、元となる一の変換テーブルTは、JIS第1〜第4水準漢字に対応している。
変換テーブル作成部48は、設定部47により設定されたモードが第1のモード(例えば、子供モード)の場合には、変換テーブルTから子供が習熟している水準の漢字を抽出して第1の変換テーブルを作成する。また、変換テーブル作成部48は、設定部47により設定されたモードが第2のモード(例えば、大人モード)の場合には、変換テーブルTから大人が一般的に習熟している漢字を抽出して第2の変換テーブルを作成する。
【0037】
なお、本実施例では、設定部47は、第1のモードと第2のモードの2種類のモードのいずれかを設定するものとして説明したが、これに限られず3種以上のモードを設定できても良い。このような構成の場合には、変換テーブル作成部48は、3種以上の変換テーブルを作成することができ、設定部47により設定されたモードに適合する変換テーブルを適宜作成する。
【0038】
このようにして、携帯電話機1は、変換テーブルを設定部47により設定されているモードにしたがって動的に作成することができ、効率良く変換機能を使い分けることができる。
【0039】
また、携帯電話機1は、図2に示すように、第2の記憶部49と、学習部50を有する。なお、第2の記憶部49は、メモリ44の一部として構成されても良い。また、第1の記憶部46と第2の記憶部49とは、一体として構成されていても良い。
学習部50は、第1の変換テーブル又は第2の変換テーブルを参照して文字の変換を行った場合において、変換前後の文字(又は文章)の対応関係が、参照した第1の変換テーブル又は第2の変換テーブルに記憶されていないときには、変換前後の文字(又は文章)の対応関係を、参照した第1の変換テーブル又は第2の変換テーブルにそれぞれ関連付けて第2の記憶部49に記憶する。
【0040】
制御部45は、第1の変換テーブルを参照する場合には、第1の変換テーブルに関連付けられた変換前後の文字(又は文章)の対応関係を参照すると共に、第2の変換テーブルに関連付けられた変換前後の文字(又は文章)の対応関係を参照しないように制限し、また、第2の変換テーブルを参照する場合には、第2の変換テーブルに関連付けられた変換前後の文字(又は文章)の対応関係を参照すると共に、第1の変換テーブルに関連付けられた変換前後の文字(又は文章)の対応関係を参照しないように制限する。
【0041】
例えば、学習部50は、第1の変換テーブルを参照して文字の変換を行う場合において、入力された文字「しんしょうぼうだい」に対応する変換候補が第1の変換テーブルになく、入力された文字を「しんしょう」と「ぼうだい」に分節し、第1の変換テーブルを参照して、「しんしょう」を変換候補の中から「針小」に変換し、「ぼうだい」を変換候補の中から「棒大」に変換した場合には、変換前の文字「しんしょうぼうだい」と変換後の文字「針小棒大」の対応関係を第1の変換テーブルに関連付けて第2の記憶部49に記憶する。
【0042】
また、学習部50は、第2の変換テーブルを参照して文字の変換を行う場合において、入力された文字「ごりむちゅう」に対応する変換候補が第2の変換テーブルになく、入力された文字を「ごり」と「むちゅう」に分節し、第2の変換テーブルを参照して、「ごり」を変換候補の中から「五里」に変換し、「むちゅう」を変換候補の中から「霧中」に変換した場合には、変換前の文字「ごりむちゅう」と変換後の文字「五里霧中」の対応関係を第2の変換テーブルに関連付けて第2の記憶部49に記憶する。
【0043】
制御部45は、第1の変換テーブルを参照する場合には、第1の変換テーブルに関連付けられた変換前後の文字の対応関係を参照すると共に、第2の変換テーブルに関連付けられた変換前後の文字の対応関係を参照しないように制限するので、変換前の文字「しんしょうぼうだい」と変換後の文字「針小棒大」を参照できるが、変換前の文字「ごりむちゅう」と変換後の文字「五里霧中」を参照できない。
【0044】
また、制御部45は、第2の変換テーブルを参照する場合には、第2の変換テーブルに関連付けられた変換前後の文字の対応関係を参照すると共に、第1の変換テーブルに関連付けられた変換前後の文字の対応関係を参照しないように制限するので、変換前の文字「ごりむちゅう」と変換後の文字「五里霧中」を参照できるが、変換前の文字「しんしょうぼうだい」と変換後の文字「針小棒大」を参照できない。
【0045】
このようにして、携帯電話機1は、使用した変換テーブルのみに学習部50により学習した結果を関連付けるので、例えば、第1のモード(子供モード)を使用する者(子供)に対して第2のモード(大人モード)を使用する者(保護者)の変換処理を見せないようにガードすることができる。
【0046】
また、携帯電話機1は、図2に示すように、パスワードを設定するパスワード設定部51を有する構成でも良い。このような構成の場合、制御部45は、第1のモードから第2のモードへの切り替え、及び第2のモードから第1のモードに切り替えのいずれか一方が行われる場合に、パスワードの入力を促し、入力されたパスワードがパスワード設定部51で設定されたパスワードと一致することを条件にモードの切り替えを許可する。
【0047】
このように構成されることにより、携帯電話機1は、第1のモード(子供モード)の使用者(子供)が第2のモード(大人モード)の使用を制限することができる。
【0048】
また、第1の変換テーブルは、入力された文字を漢字変換しない、又は入力された文字を所定の学年別漢字配当表にしたがった漢字のみに変換可能に構成されても良い。
【0049】
例えば、第1の変換テーブルは、入力された平仮名を片仮名に変換したり、文部科学省の指導要領に規定されている学年別漢字配当表にしたがって、使用者の学年に対応した漢字のみに変換可能に構成されている。
【0050】
このように構成されることにより、携帯電話機1は、使用者の学年に応じた漢字変換を行うことができる。
【0051】
また、携帯電話機1は、図2に示すように、年齢を含むプロフィールを登録する登録部52を有する構成でも良い。このような構成の場合には、制御部45は、入力された文字を他の文字に変換する場合に、設定部47により設定されているモードが第1のモードか第2のモードであるかに関わらず、登録部52に登録されている年齢に基づいて、第1の変換テーブル又は第2の変換テーブルのいずれを参照するかを選択する。
【0052】
また、登録部52は、年度が改まるごとに、プロフィールに登録されている年齢を加算する機能を有していても良い。このような構成の場合には、制御部45は、年度が改まるごとに、使用者の学年に応じた変換テーブルを選択するようになる。
【0053】
このようにして、携帯電話機1は、プロフィールに登録されている情報に連動して変換テーブルを選択するので、使用者の学年に適した変換テーブルを選択することができる。
【0054】
なお、本実施例では、変換テーブルは、第1の変換テーブルと第2の変換テーブルの2つであるとして説明したが、これに限られず、3つ以上の変換テーブルにより構成されても良い。具体的には、変換テーブルは、学年別に、小学生用の変換テーブルが6つと、中学生用の変換テーブルが3つと、高校生用の変換テーブルが3つと、それ以上の一般用の変換テーブルが一つで構成されても良い。
【0055】
つぎに、携帯電話機1による具体的な処理について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下では、文字の入力等の編集が可能なアプリケーション(メモ帳アプリケーションやメールアプリケーション)が起動しているものとする。
【0056】
ステップST1において、制御部45は、表示部21の所定の領域に文字パレットを表示する。
【0057】
ステップST2において、制御部45は、操作部11による操作によって、入力すべき文字を選択するための文字パレットから選択された文字を表示部21の文字入力領域に入力する。
【0058】
ステップST3において、制御部45は、入力された文字に対して、変換の操作がされたかどうかを判断する。変換の操作がされた場合(Yes)には、ステップST4に進み、変換の操作がされない場合(No)には、文字の入力を継続する。
【0059】
ステップST4において、制御部45は、設定されているモードを確認する。ここで、モードの設定は、待受画面が表示部21に表示されている状態から、操作部11により所定の操作が行われて、第1のモード(子供モード)と第2のモード(大人モード)が選択されることにより、各モードが設定されるものとするが、これに限られない。
【0060】
ステップST5において、制御部45は、ステップST4の工程により設定されているモードが第1のモードであるか第2のモードであるかを判断する。設定されているモードが第1のモードである場合には、ステップST6に進み、設定されているモードが第2のモードである場合には、ステップST8に進む。
【0061】
ステップST6において、制御部45は、第1のモードが設定されているので、第1の変換テーブルを参照する。
【0062】
ステップST7において、制御部45は、第1の変換テーブルを参照して、入力された文字に対応する変換候補を表示する。また、制御部45は、変換候補の中から選択された一の候補を確定文字として表示部21の文字入力領域に表示する。
【0063】
また、ステップST8において、制御部45は、第2のモードが設定されているので、第2の変換テーブルを参照する。
【0064】
ステップST9において、制御部45は、第2の変換テーブルを参照して、入力された文字に対応する変換候補を表示する。制御部45は、変換候補の中から選択された一の候補を確定文字として表示部21の文字入力領域に表示する。
【0065】
ステップST10において、制御部45は、操作部11による操作に基づいて、文字の入力を継続するか否かを判断する。文字の入力を継続する場合(Yes)には、ステップST2に戻り、文字の入力を継続しない場合(No)には、処理を終了する。
【0066】
つぎに、第1の変換テーブルが参照される場合における表示部21の画面遷移と、第2の変換テーブルが参照される場合における表示部21の画面遷移について、図4を参照しながら説明する。なお、第1のモードの使用者は、子供を想定し、第2のモードの使用者は、大人(保護者)を想定する。
【0067】
まず、選択されたモードが第1のモード(子供モード)である場合について説明する。
制御部45は、文字入力領域A1が未入力の状態から(図4(a))、操作部11による操作によって文字パレットA2から選択された文字を文字入力領域A1に入力する(図4(b))。本実施例では、「あさ」が入力されたものとして説明を進める。
【0068】
制御部45は、操作部11の操作によって文字パレットA2の中から、未確定な文字を漢字に変換することを要求する「かんじ」が選択されると、文字パレットA2に代えて、漢字変換候補A3を表示する(図4(c))。なお、漢字変換候補A3は、第1の変換テーブルを参照して読み出されたものにより構成されている。したがって、使用者である子供は、違和感無く漢字等の選択を行うことができる。
【0069】
制御部45は、操作部11による操作によって漢字変換候補A3の中から「朝」を選択し(カーソルを「朝」に移動する)、決定の操作が行われると、「あさ」に代えて「朝」を文字入力領域A1に入力し、漢字変換候補A3に代えて文字パレットA2を表示する(図4(d))。
【0070】
つぎに、選択されたモードが第2のモード(大人モード)である場合について説明する。
制御部45は、文字入力領域A1が未入力の状態から(図4(e))、操作部11による操作によって文字パレットA2から選択された文字を文字入力領域A1に入力する(図4(f))。本実施例では、「あさ」が入力されたものとして説明を進める。
【0071】
制御部45は、操作部11の操作によって文字パレットA2の中から、未確定な文字を漢字に変換することを要求する「かんじ」が選択されると、文字パレットA2に代えて、漢字変換候補A3を表示する(図4(g))。なお、漢字変換候補A3は、第2の変換テーブルを参照して読み出されたものにより構成されている。したがって、使用者である大人は、違和感無く漢字等の選択を行うことができる。
【0072】
制御部45は、操作部11による操作によって漢字変換候補A3の中から「朝」を選択し(カーソルを「朝」に移動する)、決定の操作が行われると、「あさ」に代えて「朝」を文字入力領域A1に入力し、漢字変換候補A3に代えて文字パレットA2を表示する(図4(h))。
【0073】
このようにして、携帯電話機1は、第1のモードが設定されている場合には、第1の変換テーブルを参照して変換処理を行い、第2のモードが設定されている場合には、第2の変換テーブルを参照して変換処理を行うので、設定されているモードにしたがって、効率良く変換機能を使い分けることができ、かつ、簡易な操作によって、使用者の立場に応じた変換処理を提供することができる。
【0074】
また、携帯電話機1は、待受画面が表示部21に表示されている状態から、操作部11により所定の操作が行われて、第1のモード(子供モード)と第2のモード(大人モード)が選択されることにより、各モードが設定されるものとして説明したが、これに限られず、文字の入力時において、保護者用の起動メニューから操作を行って文字の入力が行われたのか、又は子供用の起動メニューから操作を行って文字の入力が行われたのかによって、モードを設定する構成でも良い。
【0075】
また、携帯電話機1は、複数のメールアドレスや電話番号に対応する機能を有する構成でも良い。このような構成の場合には、携帯電話機1は、使用するメールアドレスによって使用する変換テーブルを切り替える構成でも良い。
【0076】
また、携帯電話機1は、エルダーモードと通常モードの設定が可能なエルダー向けの機能を有する構成でも良い。このような構成の場合には、エルダーモードが選択されたときに使用される変換テーブルは、常用漢字に含まれていない漢字や、俳句に使用される季語が含まれる構成でも良い。
【0077】
また、携帯電話機1は、第1のモード(子供モード)で閲覧したメールに、第1の変換テーブルに存在しない漢字が含まれている場合には、第2の変換テーブルを参照して、当該漢字に平仮名又は片仮名によるルビを付けて表示する構成でも良い。
【0078】
また、携帯電話機1は、小学生用、中学生用及び高校生用と複数の変換テーブルを有し、所定のタイミングで、小学生用の変換テーブル→中学生用の変換テーブル→高校生用の変換テーブルに順次切り替えることによって、漢字に明るくない方に漢字を習熟させることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 携帯電話機
45 制御部
46 第1の記憶部
47 設定部
48 変換テーブル作成部
49 第2の記憶部
50 学習部
51 パスワード設定部
52 登録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字を入力するための操作部と、
前記操作部の操作により入力された文字を他の文字に変換するために参照される第1の変換テーブル及び当該第1の変換テーブルとは異なる第2の変換テーブルを記憶する第1の記憶部と、
第1のモード及び当該第1のモードとは異なる第2のモードが設定可能な設定部と、
前記操作部の操作により入力された文字を他の文字に変換する場合に、前記設定部により前記第1のモードが設定されている場合は、前記第1の変換テーブルを参照させ、前記設定部により前記第2のモードが設定されている場合は、前記第2の変換テーブルを参照させる制御部と、を有する携帯電子機器。
【請求項2】
前記設定部により設定されたモードにしたがって、一の変換テーブルから前記第1の変換テーブル及び前記第2の変換テーブルを、それぞれ抽出して作成する変換テーブル作成部を有する請求項1記載の携帯電子機器。
【請求項3】
第2の記憶部と、
前記第1の変換テーブル又は前記第2の変換テーブルを参照して文字の変換を行った場合において、変換前後の文字の対応関係が、参照した前記第1の変換テーブル又は前記第2の変換テーブルに記憶されていないときには、前記変換前後の文字の対応関係を、参照した前記第1の変換テーブル又は前記第2の変換テーブルにそれぞれ関連付けて前記第2の記憶部に記憶させる学習部を有し、
前記制御部は、
前記第1の変換テーブルを参照する場合には、前記第1の変換テーブルに関連付けられた前記変換前後の文字の対応関係を参照させると共に、前記第2の変換テーブルに関連付けられた前記変換前後の文字の対応関係を参照させないように制限し、
前記第2の変換テーブルを参照する場合には、前記第2の変換テーブルに関連付けられた前記変換前後の文字の対応関係を参照させると共に、前記第1の変換テーブルに関連付けられた前記変換前後の文字の対応関係を参照させないように制限する請求項1又は2記載の携帯電子機器。
【請求項4】
パスワードを設定するパスワード設定部を備え、
前記制御部は、前記第1のモードから前記第2のモードへの切り替え、及び前記第2のモードから前記第1のモードに切り替えのいずれか一方が行われる場合に、パスワードの入力を促し、入力されたパスワードが前記パスワード設定部で設定されたパスワードと一致することを条件にモードの切り替えを許可する請求項1乃至3のいずれか1項記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記第1の変換テーブルは、入力された文字を漢字変換しない、又は入力された文字を所定の学年別漢字配当表にしたがった漢字のみに変換可能に構成される請求項1乃至4のいずれか1項記載の携帯電子機器。
【請求項6】
年齢を含むプロフィールを登録する登録部を有し、
前記制御部は、入力された文字を他の文字に変換する場合に、前記登録部に年齢が登録されていると前記設定部により設定されているモードが前記第1のモードか前記第2のモードであるかに関わらず、前記登録部に登録されている年齢に基づいて、前記第1の変換テーブル又は前記第2の変換テーブルのいずれを参照するかを選択する請求項1乃至5記載の携帯電子機器。
【請求項7】
第1のモード及び当該第1のモードとは異なる第2のモードを設定する設定工程と、
文字を入力するための操作部の操作により入力された文字を他の文字に変換する場合に、前記設定工程により前記第1のモードが設定されている場合は、入力された文字を他の文字に変換するために使用される第1の変換テーブルを参照し、前記設定工程により前記第2のモードが設定されている場合は、前記第1の変換テーブルとは異なる第2の変換テーブルを参照させる制御工程を有する制御方法。
【請求項8】
第1のモード及び当該第1のモードとは異なる第2のモードを設定する設定工程と、
文字を入力するための操作部の操作により入力された文字を他の文字に変換する場合に、前記設定工程により前記第1のモードが設定されている場合は、入力された文字を他の文字に変換するために使用される第1の変換テーブルを参照し、前記設定工程により前記第2のモードが設定されている場合は、前記第1の変換テーブルとは異なる第2の変換テーブルを参照させる制御工程とをコンピュータによって実現するための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−146268(P2012−146268A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6269(P2011−6269)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】