説明

摺動部材

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は摺動面を溶射材で構成する摺動部材に関する。この摺動部材は例えばブレーキパッドと摺動するブレーキロータに適用できる。
【0002】
【従来の技術】従来より、摺動部材として、重量低減の目的でアルミ系合金やマグネシウム系合金で母材を形成し、その摺動面の耐摩耗性確保のために鉄系金属や銅系金属を溶射等の手段により被覆層を形成したものが知られている。(特開昭62ー70534号公報、特開昭60ー89558号公報、実公昭53ー30865号公報、実公昭53ー30866号公報、実開昭55ー158337号公報、特開昭49ー61564号公報、特開昭49ー90641号公報、特開昭59ー56438号公報等)。
【0003】また、特開昭61ー218841号公報には、0.1μm以上のファインセラミック粒子を分散したニッケルメッキ層で被覆されたディスク式のブレーキロータが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した特開昭61ー218841号公報にかかるブレーキロータでは、ファインセラミック粒子が分散している為、相手材との初期なじみ性は向上するが、相手材であるセミメタリックパッドの表面を削る。ファインセラミック粒子により削られる作用は、使用初期ばかりか、使用期間が長くなっても継続し、そのため摺動性はむしろ悪くなるという問題があった。
【0005】ところでブレーキロータでは、一般的に、車両走行距離が所定距離を越えると、パッドの摩耗(あらさ低減)とともに当たりがついて本来の摩擦係数となり、摩擦係数は安定する。しかし、初期(ロータの新品時)においては、つまり車両走行距離が所定距離例えば約1000kmを越えない場合においては、相手材であるブレーキパッドの初期における表面あらさが100μRZ〜500μRZと粗く、そのため、パッドとロータとの接触面積が小さく、従ってブレーキパッドとディスクロータとが摺動する初期における摩擦係数は、両者間の本来の摩擦係数に比べ0.1ぐらい小さい不具合がある。
【0006】本発明は上記した実情に鑑みなされたものであり、その目的は、所要の摩擦係数を初期から得ることができる摺動部材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は摺動部材について鋭意研究を重ね、摺動部材の母材の表面に所要の摩擦特性をもつ下地摺動層を積層するとともに、硬質粒子を分散しかつせん断密着強度を0.3〜8kgf/cm2とし下地摺動層に対して脱離可能な溶射層を下地摺動層に積層すれば、初期において硬質粒子が相手材を削ることにより、摩擦係数を早期に増加させて所要の摩擦係数を初期から得ることができ、しかもその後、溶射層が下地摺動層から脱離することにより、所要の摩擦特性をもつ下地摺動層と相手材とが摺動する様にすれば、初期から安定した摩擦係数が得られることを知見した。本発明はこの知見に基づきなされたものである。なお、特開昭61ー218841号公報にかかるメッキ層は母材への密着強度が大きく、仲々母材から脱離するものではない。
【0008】本発明の摺動部材は、母材と、母材表面に積層された所要の摩擦特性をもつ下地摺動層と、下地摺動層に溶射処理で積層された溶射材と溶射材に分散された硬質粒子とをもち且つせん断密着強度が0.3〜8kgf/cm2に規定され下地摺動層から脱離可能な溶射層とで構成されていることを特徴とするものである。摺動部材の母材は適宜選択でき、鉄系、鋼系、ステンレス鋼系、マグネシウム合金系、チタン合金系、アルミ合金系等を採用できる。アルミ合金系は例えばアルミ−シリコン系を採用できる。下地摺動層は母材表面に積層された所要の摩擦特性をもつものである。下地摺動層の厚みは摺動部材の種類によっても異なるが、例えば100〜500μmとすることができる。下地摺動層を構成する材質は、例えば、鉄−クロム−炭素系、鉄−クロム−炭素−銅系、タングステン系、モリブデン系、ニッケル系、ニッケル−クロム系、ニッケル−クロム−アルミ系等を採用できる。下地摺動層は溶射層、メッキ層、浸透メッキ層等で形成できる。溶射に際しては、母材表面に脱脂処理、ブラスチング処理等の前処理を行うことが望ましく、また砥石研削、ホーニング加工等の後処理を行うこともできる。
【0009】下地摺動層に溶射処理で積層された溶射層は、初期において相手材と摺動するものである。溶射層の厚みは摺動部材の種類にもよるが、例えば2〜10μmとすることができる。溶射層は、マトリックスを構成する溶射材と、溶射材に分散された硬質粒子とで形成されている。溶射層は、硬質粒子を分散させた溶射用粉末を溶射ガンで溶射することにより形成できる。この場合、溶射熱により硬質粒子自体が部分的にまたは全体的に溶けるか軟化する場合には、溶射の際に粒子が下地摺動層に衝突するなどのため、衝突時の衝撃により硬質粒子の形状が変形する作用もある。溶射材は、例えば、鉄−クロム−炭素系、鉄−クロム−炭素−銅系、タングステン系、モリブデン系、ニッケル系、ニッケル−クロム系、ニッケル−クロム−アルミ系等を採用できる。摺動部材の種類にもよるが、下地摺動層に溶射処理された溶射層の気孔率は例えば10〜30%程度とすることができる。硬質粒子はジルコニア粒子(ZrO2 )、アルミナ粒子、マグネシア粒子、初晶シリコン粒子、Fe2 3 粒子等を採用できる。硬質粒子の平均粒径は摺動部材の種類、溶射層の厚み、必要とするアブレージブ作用等にもよるが、例えば3〜40μm特に5〜30μmとすることができる。
【0010】溶射層は、相手材とある程度摺動したら下地摺動層から脱離する。溶射層と下地摺動層とのせん断密着強度は摺動部材の種類によっても異なるが、0.3〜8kgf/mm2 の範囲であり、特に0.5〜2kgf/mm2 とすることができる。せん断密着強度の調整は、電流値、電圧値、ガス流量、溶射距離などの溶射条件の変更、溶射粉末の種類の変更、溶射層の厚みの変更、溶射層の気孔率の変更、硬質粒子の形状の変更、あるいは、溶射層と下地摺動層と間に脱離促進層を介在させることにより、行い得る。なお脱離促進層は固体潤滑材等で形成できる。
【0011】本発明の摺動部材では、母材と下地摺動層との間の密着強度を確保するために、母材と下地摺動層との間に中間層を介在させることもできる。中間層は例えばニッケル系合金、なかでも重量%でニッケル−クロム合金94%、アルミニウム6%の溶射粉末を溶射して形成できる。あるいは、ニッケル95.5%、アルミニウム4.5%の溶射粉末を溶射して形成できる。なお中間層の厚みは例えば50〜100μm程度にできる。
【0012】相手材としては、例えば有機系摩擦材料のものを採用できる。有機系摩擦材料は、フェノール樹脂などの結合剤、金属、アラミド、無機繊維などの基材、カシュダスト、ゴム、炭酸カルシウムなどの摩擦調整剤を含む構成とすることができる。
【0013】
【作用】本発明の摺動部材では、初期においては溶射層が相手材と摺動する。このとき硬質粒子が相手材を削るので、所要の摩擦係数が確保される。そして、ある程度摺動したら、つまり初期以降においては、溶射層は特に溶射層の硬質粒子は脱離する。本発明の摺動部材では、溶射層のせん断密着強度の下限及び上限を規定しているため、硬質粒子を含む溶射層は下地摺動層に過剰に密着されず、そのため摩擦摺動の進行に伴い適切に脱離される。よって下地摺動層と相手材とが摺動する。
【0014】
【実施例】まず、実施例1を説明する。即ち、Al−12%Si合金を成形型のキャビティに鋳造し、図2に示すリング状の摺動面2をもつディスクロータ1を作製した。ディスクロータ1は直径300mm、ディスク厚20mmである。そして、重量%でFe−Cr−C合金粉末50%とCu粉末50%とを混合した第1混合粉末を用い、溶射ガンをディスクロータ1の摺動面2に対面させ、プラズマ溶射法によりディスクロータ1の摺動面2に下地摺動層3を形成した。この場合、Fe−Cr−C合金粉末は、その組成がCr55〜65wt%、C3〜4wt%、残部実質的にFeであり、粒度が10〜74μmのものを用いた。またCu粉末は純度95%、粒度10〜74μmのものを用いた。この場合、溶射装置はMETCO7MB型を用い、電流450A、電圧65V、ガス量はArガス40リットル/min、H2 ガス7.5リットル/min、溶射距離130mmの条件で、厚さ300μmになるまで積層した。
【0015】その後、重量%でZrO2 粉末50%と前述の第1混合粉末50%とを混合した第2混合粉末を用い、同じ溶射装置を用い、電流380A、電圧60V、ガス量Arガス40リットル/min、H2 ガス5リットル/min、溶射距離130mmの条件で、厚さ20μmになるまで溶射層としてのアブレージブ層4を積層し、これにより摺動層5を形成した。図1に摺動層5の断面を模式的に示す。図3に示す様に、下地摺動層3の上には、ZrO2 粒子4cと気孔4dとが混在するアブレージブ層4が積層されている。ZrO2 粉末は粒度15〜25μm程度のものを用いた。また、アブレージブ層4を溶射する際の溶射条件を低電流、低H2 ガス量側に設定したのは、アブレージブ層4をよりポーラス質にするとともに、ZrO2 粒子4cの未溶融部分を確保するためである。なお、溶射したアブレージブ層4の厚みは膜厚計により測定した。
【0016】その後、砥石(ダイヤモンド)を用い、アブレージブ層4の表面を砥石研削により削り、これにより下地摺動層3とアブレージブ層4との合計厚みが305μmになるようにした。この時のアブレージブ層4の厚さは約5μmである。更に比較例1のロータも形成した。即ち、実施例1と同種のAl−Si系のロータと、実施例1と同様なFe−Cr−C合金粉末とCu粉末とを混合した第1混合粉末とを用い、第1混合粉末を実施例1と同様な条件でロータに溶射し、厚さ320μmの摺動層を形成し、その後、摺動層の表面を研削により削り、厚みを305μmにした。比較例1にはZrO2 粒子を分散したアブレージブ層4は形成されていない。
【0017】実施例1のロータと比較例1のロータとを用い、同車種の車両のフロント両サイドに組みつけた。摺動の相手材であるパッドはスチールを含まないものであり、その材料組成は(体積比で、アラミド繊維10%、ガラス繊維5%、ケイ酸カルシウム10%、フェノール樹脂15%、カシューダスト20%、黒鉛5%、硫酸バリウム20%、その他充填材15%)である。またパッド面の初期の面粗さは300μmRZである。そして、テストコースで車両速度50kmの一定速度で車両を走行し、200km毎に制動(0.3Gの制動減速度)をかけて車両を停止させ、これを繰り返して走行距離1600kmまで走った。この試験では、走行距離200km毎にロータとパッドを取り外し、JASO C 406ー82(乗用車ブレーキ装置ダイナモメータ試験方法)にしたがい、初期すり合わせチェック時(制動初速度50km/hr、制動減速度0.3G、制動間隔120秒、制動回数10回)の平均摩擦係数を測定した。この結果を図4の特性線に示す。図4に示す試験結果により、比較例1では1000km以上走行しないと、摩擦係数μが本来の値(μ=0.4程度)に回復しない。一方、実施例1では走行距離200kmに至るまで摩擦係数が急激に増加し、走行距離400kmにおいて摩擦係数μが0.4付近となり回復する。またこの試験では、走行距離200km毎にパッド面の状態を観察した。その結果、比較例1では、初期の面粗さが300μmRZであったパッド面は、走行距離1000km以上で、やっと5μmRZ〜10μmRZになるのに対し、実施例1では走行距離200km、400kmでその程度の面粗さになる。これは、ZrO2 粒子4cを分散したアブレージブ層4がロータ1の表面に存在するため、ZrO2 粒子4cによりパッド面が平滑化した効果であると推察される。
【0018】実施例2において、ZrO2 粒子に代えて、アルミナ粒子(Al2 3 )、マグネシア粒子(MgO)、Fe2 3 粒子を分散したアブレージブ層4を下地摺動層3に積層したロータを形成した。そして、実施例1の場合と同様に、同車種の車両のフロント両サイドに組みつけ、テストコースで車両速度50kmの一定速度で車両を走行し、200km毎に制動をかけて車両を停止させ、ロータとパッドを取り外し、JASO C 406ー82にしたがい平均摩擦係数を測定した。実施例2においても、実施例1の場合と同様に摩擦係数μを早期に回復させる効果が発現された。
【0019】実施例3において、実施例1以外の組成をもつFe−Cr−C−Cu系合金の粉末とZrO2 粉末とを用い、ZrO2 粒子をもつアブレージブ層4を下地摺動層3に積層したロータを形成した。そして、実施例1の場合と同様に車両に組み込み試験したところ、実施例1の場合と同様に摩擦係数μを早期に回復させる効果が発現された。さらに、Cu粉末とZrO2 粉末とを混合した混合粉末を用い、アブレージブ層4を下地摺動層3に積層したロータを形成した。そして、実施例1の場合と同様に試験したところ、実施例1の場合と同様に摩擦係数μを早期に回復させる効果が発現された。
【0020】<試験例1>ZrO2 粉末の割合を表1に示す様にさせた以外は実施例1の場合と同様な方法でロータA〜Iを形成した。そして、実施例1の場合と同様に車両のフロント両サイドに組みつけ、テストコースで車両を走行させ、200km毎にJASOC 406ー82にしたがい、平均摩擦係数を測定した。この結果、ZrO2 粒子の少ないロータA、Bでは摩擦係数μが回復する効果は、走行距離1000km付近でも全く得られなかった。これに対し、ZrO2 粒子が多く分散したロータC〜Hでは実施例1と同様な特性線が得られ、早期に摩擦係数μが回復する効果が得られた。なおロータIはアブレージブ層4の密着性が悪く、評価に値しないため中止した。この結果よりアブレージブ層4においてZrO2 粉末の混合割合30〜80vol%が最適であることがわかった。
【0021】
【表1】


<試験例2>実施例1においてZrO2 粉末の粒度分布の中心値(正規分布の中央値が50%以上占める値)を表2のように変化させた以外は、実施例1の場合と同様な方法でロータJ〜Oを形成した。そして、同様な試験を行った。
【0022】この結果、粒度中心値3μmのロータJでは、ZrO2 粒子が小さくてアブレージブ作用がほとんどないため、摩擦係数μが回復する効果は走行距離1000km付近においてもほとんど得られなかった。また粒度中心値40μmのロータOでは初期つまり走行距離200km程度において摩擦係数μが0.35近くまで増加した。しかし、その後0.3付近まで低下した。これはパッド面の観察の結果、200kmではパッド面の面粗さが減って平滑化し、一時的に接触面積が増すが、その後、粒径が大きいZrO2 粒子によりパッドおよびロータの摺動傷が増し、かえってパッドとロータとの接触面積が低下したものと考えられる。これに対し粒度中心値5〜30μmのロータK〜Nでは、実施例1の場合と同様に、初期における良好な摩擦係数回復効果が発現された。この結果、ZrO2 粉末の粒度分布の中心値は5〜30μmが良いことがわかった。
【0023】
【表2】


<試験例3>実施例1においてZrO2 粒子を分散させたアブレージブ層4の厚さのみを砥石研削で表3のように変化させた以外は、実施例1の場合と同様な方法でロータP〜Uを形成した。そして、同様な試験を行った。この結果、厚みが1μmのロータPでは、図4の特性線で示す様に、200kmでの摩擦係数が回復する効果はあるが、アブレージブ層4が薄いため、アブレージブ層4が早期に消失し、その後の摩擦係数回復効果は緩やかであった。これは、アブレージブ層4が薄いためアブレージブ機能が不十分なためであると推察される。
【0024】一方、厚みが15μmのロータUでは、1000kmまでは実施例1と同様な効果を示すが、その後摩擦係数μがやや低下していく傾向がみられた。この場合、面観察及び面粗さ測定の結果、1000kmではパッド粗さは一時的に5〜10μmRZになるが、それ以上走行距離が増すとパッド粗さが20μmRZ以上に増すため、摩擦係数μが若干低下する。これはアブレージブ層4により良好な摩擦係数回復を示すが、その後、残存アブレージブ層4とパッドとの更なる摩耗により、パッドの面粗さが増加するであると推察される。一方、厚みが2〜10μmロータQ〜Tでは、実施例1の場合の様な良好な摩擦係数回復効果が得られた。しかも摩擦係数μが回復した1000km付近でほぼアブレージブ層4は脱離し消失していることがわかった。これより、アブレージブ層4は厚すぎても逆効果になり、アブレージブ層の厚みは2〜10μm程度が良いことがわかった。
【0025】
【表3】


<試験例4>実施例1の場合と同様な方法で下地摺動層3を積層した後、表4に示す様に溶射条件を変更して溶射を行ない、アブレージブ層4と下地摺動層3とのせん断密着強度を変化をさせたロータV〜Z、ロータ&を形成した。そして、実施例1の場合と同様な試験を行った。この結果を図5の特性線に示す。ここで、せん断密着強度が0.5〜2.0kgf/mm2 のロータW〜Zにおいては、図5に示す様に、実施例1と全く同様な摩擦係数の傾向を示し、初期における摩擦係数回復効果が得られた。これに対し、せん断密着強度が小さいロータVでは、初期のうちにアブレージブ層4が脱離し、摩擦係数回復効果がなく、図4に示す比較例1とほぼ同様な傾向を示した。
【0026】また、せん断密着強度が2.5kgf/mm2 のロータ&では、走行距離100kmまでの初期では、摩擦係数μは一時的に増すものの、その後、走行距離が増しても摩擦係数の回復効果がなく、むしろ比較例1よりも低い摩擦係数を示した。これは、面観察の結果、アブレージブ層4の密着強さが大きすぎ、アブレージブ層4が脱落せず、そのため、むしろ相手材であるパッド側を削って表面粗さを大きくしたり、パッド材の摩耗粉をとり入れたりして、摩擦係数μが上がらないものと推察される。以上のことよりZrO2 粒子4cを分散したアブレージブ層4では、アブレージブ層4のせん断密着強度は0.5〜2.0kgf/mm2 が良いことがわかる。
【0027】
【表4】


【発明の効果】以上説明した様に本発明の摺動部材によれば、初期においては、アブレージブ作用をもつ硬質粒子が分散された溶射層が相手材と摺動するので、硬質粒子が相手材を削り、そのため摩擦係数が増して回復する。また本発明の摺動部材によれば、ある程度摺動したら、溶射層は特に溶射層の硬質粒子は脱離し、所要の摩擦特性をもつ下地摺動層と相手材とが摺動するので、本来の所要の摩擦係数を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】模式的に示した要部の断面図である。
【図2】ブレーキロータの正面図である。
【図3】ブレーキロータの断面図である。
【図4】摩擦係数と走行距離との関係を示すグラフである。
【図5】摩擦係数と走行距離との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
図中、1はロータ、2は摺動面、3は下地摺動層、4はアブレージブ層、4cはZrO2 粒子、4dは気孔を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】母材と、該母材表面に積層された所要の摩擦特性をもつ下地摺動層と、該下地摺動層に溶射処理で積層された溶射材と該溶射材に分散された硬質粒子とをもち且つせん断密着強度が0.3〜8kgf/cm2規定され該下地摺動層から脱離可能な溶射層とで構成されていることを特徴とする摺動部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】第2844970号
【登録日】平成10年(1998)10月30日
【発行日】平成11年(1999)1月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−174053
【出願日】平成3年(1991)7月15日
【公開番号】特開平5−25605
【公開日】平成5年(1993)2月2日
【審査請求日】平成8年(1996)8月20日
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【参考文献】
【文献】特開 平1−229126(JP,A)
【文献】特公 平3−3811(JP,B2)