説明

撚糸および撚糸の製造方法

【課題】機械的特性を有するとともに十分な表面積を有する撚糸およびその製造方法を提供する。
【解決手段】静電紡糸法によって得られたフィラメントを撚糸とし、この撚糸に対して延伸を施すことにより、脂肪族ポリエステルを主成分とする複数のフィラメントによって構成される撚糸であって、前記複数のフィラメントの平均繊維径は、0.1μm以上2μm以下であり、前記複数のフィラメントは、繊維径が5μm以上のフィラメントを実質的に含まず、かつ、繊維軸方向に対してフィラメントが形成する角度の平均値が10°以内である撚糸を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撚糸および撚糸の製造方法に関する。さらに詳しくは、繊維径の小さい複数のフィラメントによって構成され、また、フィラメントが繊維軸方向に配向していることにより、機械的特性を有するとともに十分な表面積を有する撚糸およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再生医療分野においては、細胞を培養する際に、基材として繊維構造体が用いられることがある。そして繊維構造体としては、例えば、手術用縫合糸等に用いられているポリグリコール酸を原料とした繊維からなる構造体が検討されている(非特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、非特許文献1に記載されているような通常の方法によって得られる繊維を用いた繊維構造体は、その繊維径が大きすぎることから、細胞が接着できる有効面積が小さいものとなっていた。そこで、培養するための表面積を大きくするため、より小さい繊維径の繊維構造体が望まれていた。
【0004】
ここで、繊維径の小さい繊維構造体を製造する方法としては、静電紡糸法が既に知られている(特許文献1〜2参照)。静電紡糸法とは、液体、例えば、繊維形成性物質を含有する溶液等を電場内に導入し、これにより当該液体を電極に向かって曳かせて、繊維構造体を形成する方法である。通常、繊維形成性物質は、溶液から曳き出される間に、例えば、冷却(紡糸液体が室温で固体である場合等)、化学的硬化(硬化用蒸気による処理等)、または、溶媒の蒸発等により固化し、繊維を形成する。得られた繊維は、適宜配置した電極上に捕集されて繊維構造体を形成し、必要であれば電極から剥離して用いられる。
【0005】
また、静電紡糸法によって得られた繊維構造体を、細胞を培養する基材に用いることも既に知られている(非特許文献2参照)。非特許文献2においては、静電紡糸法により形成されたポリ乳酸よりなる繊維構造体上で平滑筋細胞を培養して、血管の再生の検討がなされている。
【0006】
しかしながら、静電紡糸法によって繊維構造体を作製するにあたっては、繊維を捕集するための電極が必要となることから、得られる繊維構造体の多くは面状体となり、したがって、作製できる繊維構造体の形状には限りがあった。これに対して、生体内には様々の構造の組織が存在しており、特に、線状体としての細胞の存在率は大きい。したがって、静電紡糸法によって得られる繊維径の小さい繊維であって、さらに、面状体以外の形態を形成することのできる繊維に対する要求は大きいものとなっていた。
【0007】
この要求に対して、特許文献3においては、平均繊維径の小さいフィラメントから構成され、ある大きさ以上の繊維径のフィラメントを実質的に含まない撚糸が提案されている。特許文献3に記載された撚糸は、そのまま縫合糸として用いることもでき、また、編み込む等の加工により、面状体以外の形態の構造体を作成することができるようになった。
【0008】
【特許文献1】特開昭63−145465号公報
【特許文献2】特開2002−249966号公報
【特許文献3】特開2005−226210号公報
【非特許文献1】大野典也、相澤益男監訳代表、「再生医学」、株式会社エヌ・ティー・エス、2002年1月31日、第258頁
【非特許文献2】ジョエル ディー スティッチェルら(Joel D.Stitzel, Kristin J.Pawlowski, Gary E.Wnek, David G.Simpson, Gary L.Bowlin)著、「ジャーナル オブ バイオマテリアルズ アプリケーションズ(Journal of Biomaterials Applications)」、(米国)、セージ パブリケーションズ(SAGE Publications)、2001年、16、第22頁〜第33頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3においては、ある程度まで小さい繊維径のフィラメントで構成された撚糸を得ることはできるものの、当該撚糸を構成するフィラメントの繊維軸方向への配向はいまだ弱いものであり、このため、縫合糸等に利用するには、機械的特性の点からいまだ不十分であった。
【0010】
また、細胞培養に使用する繊維構造体においては、細胞が接着できる有効面積が大きいほうが好ましい。特許文献3における撚糸によれば、ある程度の表面積を有する構造体を作成できるものの、表面積向上の要望は尽きることなく、さらなる向上が求められていた。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、機械的特性を有するとともに十分な表面積を有する撚糸およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討を重ねた。その結果、静電紡糸法によって得られたフィラメントを撚糸とし、この撚糸に対して延伸を施すことにより、繊維径の小さい複数のフィラメントよって構成されることから十分な表面積を有し、さらに、当該フィラメントが繊維軸方向に配向していることから機械的特性が向上した撚糸が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は、脂肪族ポリエステルを主成分とする複数のフィラメントによって構成される撚糸であって、前記複数のフィラメントの平均繊維径は、0.1μm以上2μm以下であり、前記複数のフィラメントは、繊維径が5μm以上のフィラメントを実質的に含まず、かつ、繊維軸方向に対してフィラメントが形成する角度の平均値が10°以内の撚糸である。
【0014】
また別の本発明は、脂肪族ポリエステルと溶媒とを含む繊維形成用組成物を調製する繊維形成用組成物調製工程と、静電紡糸法にて前記繊維形成用組成物を噴出することにより繊維を得る紡糸工程と、前記繊維を累積させて繊維集合体を得る累積工程と、前記繊維集合体の一端から複数の繊維を引き出して繊維束を形成する引き出し工程と、前記繊維束に撚りを掛けて撚り繊維束とする撚り工程と、前記撚り繊維束を巻き取って撚糸を得る巻き取り工程と、前記撚糸を延伸して延伸撚糸を得る延伸工程と、を含む撚糸の製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の撚糸は、繊維径の小さい複数のフィラメントによって構成され、また、フィラメントが繊維軸方向に配向している。このため、本発明の撚糸から形成される繊維構造体は、その表面積が従来の構造体よりも大きく、更に機械的特性が十分なものとなる。その結果、得られた繊維構造体は、細胞培養用の基材として好適に用いることができる。
【0016】
また、本発明の撚糸は、そのまま縫合糸等として使用することもできるため、材料の選択によっては、生体適合性に優れた縫合糸等として非常に有用である。また、本発明の撚糸を用いて編み込む等の加工を施すことによって、様々な構造体を形成することができる。したがって、本発明の撚糸によれば、従来の制電紡糸法によっては得ることが困難であった、面状体以外の形状の構造体を容易に製造することができる。さらには、他の部材と組み合わせて用いることも可能であり、これにより、要求事項を満足させた構造体を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
<撚糸>
本発明の撚糸は、脂肪族ポリエステルを主成分とする複数のフィラメントによって構成される撚糸であって、前記複数のフィラメントの平均繊維径は、0.1μm以上2μm以下であり、前記複数のフィラメントは、繊維径が5μm以上のフィラメントを実質的に含まず、かつ、繊維軸方向に対してフィラメントが形成する角度の平均値が10°以内となっているものである。
ここで、本発明における「撚糸」とは、マルチフィラメントを挽き揃えて、撚りが加えられた略円柱形の繊維構造体を意味する。
【0018】
[撚糸の材料]
本発明の撚糸を構成する複数のフィラメントは、生体親和性や取扱い性に優れる点から、脂肪族ポリエステルを主成分とするものであることが必要である。ここで、「主成分とする」とは、各々のフィラメントを構成する材料全体に対して、脂肪族ポリエステルが50質量%より大きく100質量%の範囲となることを意味する。
このような脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、および、ポリエチレンサクシネート、ならびにこれらの共重合体等の脂肪族ポリエステルが挙げられる。これらの中では、生体適合性の点から、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、および、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、さらに生分解速度の点から、ポリ乳酸が特に好ましい。
なお、本発明の撚糸を構成するフィラメントの主成分となる脂肪族ポリエステルは、1種単独のみらず、2種以上をブレンドして用いることも可能である。
【0019】
[撚糸を構成するフィラメントの種類]
また、本発明の撚糸を構成するフィラメントは、1種のみならず、その要求に合わせて複数の異なる種類のフィラメントから構成させることもできる。ここで、「異なる種類のフィラメント」とは、フィラメントの形態が異なる場合およびフィラメントの組成が異なる場合の双方を意味する。
フィラメントの形態が異なる場合には、例えば、フィラメントの繊維径が異なる場合、フィラメントの表面構造が異なる場合、および、フィラメントの断面構造が異なる場合等が含まれる。
また、フィラメントの組成が異なる場合には、例えば、脂肪族ポリエステルの種類が異なる場合、あるいは、添加剤等の任意成分の構成が異なる場合等が含まれる。
【0020】
[複数のフィラメントの平均繊維径]
次に、撚糸を構成するフィラメントの平均繊維径について説明する。本発明の撚糸を構成する複数のフィラメントの平均繊維径は、0.1μm以上2μm以下である。平均繊維径が2μmを超える場合には、得られる撚糸の比表面積が小さくなりすぎ、結果として培養できる細胞の数が少なくなる。また、フィラメントの平均繊維径が0.1μm以上あれば、得られる撚糸の機械的特性が十分なものとなる。なお、撚糸を構成するフィラメントの平均繊維径の好ましい範囲は、0.2μm以上1.5μm以下であり、さらに好ましい範囲は、0.2μm以上1μm以下である。
【0021】
[繊維径5μm以上のフィラメント]
次いで、繊維径5μm以上のフィラメントを実質的に含まないことについて説明する。本発明において「実質的に含まない」とは、電子顕微鏡による観察において、撚糸の任意の部分を観察したときに、5μm以上の繊維径をもつフィラメントが観察されないことを意味する。
本発明の撚糸を構成する複数のフィラメントに、繊維径5μm以上のフィラメントが含まれる場合には、得られる撚糸の比表面積が小さくなり、培養できる細胞の数が少なくなるため好ましく、また、細胞培養に適した柔軟性が損なわれることからも好ましくない。
なお、細胞培養に適した柔軟性を得るためには、繊維径3μm以上のフィラメントを実質的に含まないことがより好ましい。
【0022】
[繊維軸方向への配向]
次いで、フィラメントが繊維軸方向へ配向していることについて説明する。本発明の撚糸を構成する複数のフィラメントは、繊維軸方向への配向性が高く、繊維軸方向に対してフィラメントが形成する角度の平均値が10°以内である。本発明の撚糸においては、撚糸を構成する複数のフィラメントが繊維軸方向へ配向しているため、機械的特性へ寄与するフィラメントの割合が増加することとなり、その結果、撚糸の機械的特性が向上する。本発明の撚糸において、繊維軸方向に対してフィラメントが形成する角度の平均値は、好ましくは5°以内であり、より好ましくは3°以内である。
また、繊維軸方向に対してフィラメントが形成する角度の標準偏差の値は、好ましくは10°以内であり、より好ましくは5°以内である。
【0023】
[撚糸の直径]
本発明の撚糸の直径としては、培養対象とする細胞の培養を行うことのできるものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは0.01mm以上1mm以下の範囲であり、より好ましくは0.05mm以上0.5mm以下の範囲である。
【0024】
[撚糸の弾性率]
本発明の撚糸の弾性率としては、1GPa以上10GPa以下の範囲であることが好ましい。1GPa未満である場合には、取扱い時に破断したり、寸法安定性が低い等の問題が生じることから好ましくない。一方で、10GPaを超える場合には、生体等の細胞組織との親和性が低下することから好ましくない。より好ましくは、3GPa以上7GPa以下の範囲である。
【0025】
[撚糸の破断点応力]
本発明の撚糸の破断点応力としては、0.5cN/dtex以上5cN/dtex以下の範囲であることが好ましい。0.5cN/dtex未満である場合には、取扱い時に破断したり、寸法安定性が低い等の問題が生じることから好ましくない。一方で、5cN/dtexを超える場合には、生体等の細胞組織との親和性が低下することから好ましくない。より好ましくは、1cN/dtex以上3cN/dtex以下の範囲である。
【0026】
<撚糸の製造方法>
本発明の撚糸を製造するための態様について説明する。
本発明の撚糸を製造する方法としては、前述の要件を同時に満足するような撚糸が得られる手法であればいずれも採用することができるが、脂肪族ポリエステルと溶媒とを含む繊維形成用組成物を調製する繊維形成用組成物調製工程と、静電紡糸法にて前記繊維形成用組成物を噴出することにより繊維を得る紡糸工程と、前記繊維を累積させて繊維集合体を得る累積工程と、前記繊維集合体の一端から複数の繊維を引き出して繊維束を形成する引き出し工程と、前記繊維束に撚りを掛けて撚糸とする撚り工程と、前記撚糸を延伸して延伸撚糸を得る延伸工程と、を含む撚糸の製造方法を、好ましい一態様として挙げることができる。
【0027】
なお、本発明においては、任意に巻き取り工程を含んでいてもよい。巻き取り工程の実施は、撚り工程の後に連続的に延伸工程を実施し、得られた延伸撚糸に対して巻き取りを実施しても、または、撚り工程の後に得られた撚糸に対して巻き取りを実施し、その後に延伸工程を実施しても、あるいは、その両方での実施であってもよい。
以下に、本発明の撚糸を得るための好ましい製造方法の一態様に用いられる繊維形成用組成物の構成成分、および、各製造工程につき説明する。
【0028】
[繊維形成用組成物の構成]
本発明の撚糸を得るための好ましい製造方法の一態様に用いられる繊維形成用組成物について説明する。好ましい態様として用いられる繊維形成用組成物は、脂肪族ポリエスエテルと溶媒とを必須成分として含む組成物である。繊維形成用組成物の構成について以下に説明する。
【0029】
〔脂肪族ポリエステル〕
好ましい態様として用いられる繊維形成用組成物における脂肪族ポリエスエテルは、上記の撚糸の材料となる脂肪族ポリエステルである。すなわち、用いられる脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、および、ポリエチレンサクシネート、ならびにこれらの共重合体等の脂肪族ポリエステルが挙げられる。これらの中では、生体適合性の点から、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、および、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、さらに生分解速度の点から、ポリ乳酸が特に好ましい。
なお、脂肪族ポリエステルは、1種単独のみらず、2種以上をブレンドして用いることも可能である。
【0030】
〔溶媒〕
好ましい態様として用いられる溶媒は、一種単独であってもよく、あるいは、複数の溶媒を組み合わせた混合溶媒であってもよい。本発明の撚糸を得るための好ましい製造方法の一態様に用いられる溶媒としては、上記の脂肪族ポリエステルを溶解可能なものであれば特に限定されるものではないが、静電紡糸法にて紡糸する段階において容易に蒸発すれば、容易に繊維を形成することができることから、揮発性を有する溶媒を用いることが好ましい。ここで、本発明における「揮発性」とは、沸点が165℃以下を意味する。
このような溶媒としては、例えば、アセトン、クロロホルム、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、メタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、1,4−ジオキサン、塩化メチレン、四塩化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ピリジン、トリクロロエタン、酢酸、蟻酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、ヘキサフルオロアセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、1,3−ジオキソラン、メチルエチルケトン、および、これら溶媒の混合溶媒等が挙げられる。
また、本発明に用いられる溶媒は、1種単独のみならず、2種以上を混ぜ合わせた混合溶媒であってもよい。
【0031】
本発明においては、取り扱い性に優れ、また、溶解性に優れる等の点から、ハロゲン化炭化水素および/またはアルコ―ルを含む溶媒を用いることが好ましい。なかでも、紡糸性が良好な点から、塩化メチレン、メタノール、エタノール、および、これらの混合溶媒からなる群から選ばれる1種を用いることが特に好ましい。
【0032】
〔その他成分〕
本発明の撚糸を得るための好ましい製造方法の態様においては、繊維形成用組成物から繊維を形成でき、本発明の要旨を超えない範囲であれば、上記の必須成分以外の成分を繊維形成用組成物の任意成分として含有させてもよい。
このような任意成分としては、例えば、脂肪族ポリエスエル以外の他の樹脂や添加剤等を挙げることができる。また、薬物を配合して撚糸に機能性を付与することも可能である。用いられる薬物としては、脂肪族ポリエスエルと相溶性の高い低分子化合物の薬剤のみならず、相溶性の低い化合物であっても、薬剤の顆粒等が分散した繊維形成用組成物を用いることにより、撚糸を構成するフィラメントに薬剤を分散させることができる。本発明の撚糸を構成するフィラメントが薬物を含む場合には、薬剤徐放性の機能を有する撚糸となる。
【0033】
[繊維形成用組成物調製工程]
繊維形成用組成物調製工程においては、脂肪族ポリエステルと溶媒とを含む繊維形成用組成物を調製する。
本発明の撚糸を得るための好ましい製造方法の態様においては、まず、脂肪族ポリエステルと溶媒とを混合することにより、繊維形成用組成物を得る。なお、得られる繊維形成用組成物は、均一な溶液または混合液となる。混合の方法は特に限定されるものではなく、攪拌等の周知の方法を採用することができる。
繊維形成用組成物における脂肪族ポリエステルの濃度は、1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。脂肪族ポリエステルの濃度が1質量%より小さい場合には、濃度が低すぎるため繊維を形成することが困難となる。一方で、濃度が30質量%より大きい場合には、得られる繊維の繊維径が大きくなるため好ましくない。より好ましい脂肪族ポリエステルの濃度は、繊維形成用組成物全体に対して2質量%以上20質量%以下の範囲である。
【0034】
なお、本発明において、繊維形成用組成物の溶液(または分散液)の安定性や紡糸の安定性を向上させる観点、あるいは、得られる撚糸に機能性を付与する観点から、繊維形成用組成物にその他の任意成分を添加する場合には、任意成分の添加時期は、脂肪族ポリエステルを溶媒に混合する前であっても、あるいは、脂肪族ポリエステルを混合した後であってもよい。任意成分としては、例えば、エマルジョン、有機物もしくは無機物の粉末、薬物等を挙げることができる。
【0035】
[紡糸工程]
紡糸工程においては、静電紡糸法にて繊維形成用組成物を噴出することにより繊維を得る。以下に、紡糸工程における紡糸方法および紡糸装置について説明する。
【0036】
〔紡糸方法〕
好ましい態様の紡糸工程においては、静電紡糸法によって繊維を作製する。ここで、「静電紡糸法」とは、繊維形成性の基質等を含む溶液または分散液等を、電極間で形成された静電場中に吐出し、溶液または分散液等を電極に向けて曳糸することにより、繊維状物質を形成する方法である。
繊維形成用組成物を静電場中に噴出する方法は、任意の方法を採用することができ、例えば、繊維形成用組成物をノズルに供給して静電場中の適切な位置に置き、当該ノズルから繊維形成用組成物を電界によって曳糸する。ここで、繊維形成用組成物を電極に向けて曳糸する間に、繊維形成用組成物から電荷を消失させることにより、ノズルと電極との間に繊維が形成される。
通常の室温であれば、繊維が捕集面に到達するまでの間に、繊維形成用組成物に含まれる溶媒は完全に蒸発するが、溶媒蒸発が不十分な場合には、必要に応じて紡糸雰囲気の温度を制御したり、減圧条件下において曳糸を行ってもよい。曳糸する際の温度は、繊維形成用組成物に含まれる溶媒の蒸発挙動や繊維形成用組成物(紡糸液)の粘度に依存するが、通常は0℃以上50℃以下の範囲とすることが好ましい。
【0037】
繊維形成用組成物から電荷を消失させる方法としては、繊維形成用組成物の電荷を消失させ繊維を形成することができれば特に制限されるものではないが、例えば、イオナイザーを用いて電荷を消失させる方法を好ましく採用することができる。「イオナイザー」とは、内蔵のイオン発生装置によりイオンを発生させ、当該イオンを帯電物に放出させることにより、帯電物から電荷を消失させうる装置である。紡糸工程においてイオナイザーを用いる場合には、繊維を形成することのできるものであれば特に制限されるものではないが、内蔵の放電針に高電圧を印加させることによりイオンを発生するイオン発生装置を好ましく採用することができる。
なお、紡糸工程において形成される繊維状物質は、繊維形成用組成物に含まれていた溶媒等が完全に留去した状態のみならず、繊維状物質に含まれたまま残留する状態も含む。また、得られた繊維に対して、さらに熱処理や化学処理を施してもよい。
【0038】
〔紡糸装置〕
次いで、静電紡糸法で用いる装置について説明する。
静電場を形成するための電極は、導電性を示しさえすれば、金属、無機物、または有機物等のいかなるものであってもよい。また、絶縁物上に導電性を示す金属、無機物、または有機物等の薄膜を設けたものであってもよい。
静電紡糸法で用いられる静電場は、一対または複数の電極間で形成されるものであり、静電場を形成するいずれの電極に高電圧を印加しても良い。これは、例えば、電圧値が異なる高電圧の電極2つ(例えば15kVと10kV)と、アースにつながった電極1つの合計3つの電極を用いる場合をも含み、または3つを越える数の電極を用いる場合も含む。
【0039】
以下、図1を用いて静電紡糸法についてさらに具体的に説明する。
繊維形成用組成物保持槽3は、筒状の注射器形状である。繊維形成用組成物保持層3の先端部には、注射針状の繊維形成用組成物噴出ノズル1を設置し、この繊維形成用組成物噴出ノズル1に、適宜の手段、例えば、高電圧発生器5にて電圧を印加し、繊維形成用組成物2を繊維形成用組成物噴出ノズル1の先端部まで導く。繊維形成用組成物噴出ノズル1の先端は、接地した電極4およびイオナイザー6から適切な距離をとって配置する。そして、繊維形成用組成物2を繊維形成用組成物噴出ノズル1の先端部から噴出し、繊維形成用組成物噴出ノズル1の先端部分とイオナイザー6との間に繊維を形成させる。
【0040】
繊維形成用組成物2を繊維形成用組成物噴出ノズル1から静電場中に供給する際には、数個のノズルを並列的に用いて、繊維の生産速度を上げることもできる。また、電極間(繊維形成用組成物噴出ノズル1と電極4)の距離は、帯電量、ノズル寸法、繊維形成用組成物の噴出量、繊維形成用組成物の濃度等に依存するが、10kV程度のときには5〜20cmの距離が適当である。また、印加される静電気電位は、一般に3〜100kV、好ましくは5〜50kV、さらに好ましくは5〜30kVの範囲である。所望の電位は、従来公知の任意の適切な方法により作成することができる。
【0041】
[累積工程]
累積工程においては、紡糸工程において形成された繊維を累積させて、繊維集合体を得る。具体的には、上記の紡糸工程で形成される繊維状物質を、捕集面を備える電極上あるいは捕集装置上に累積(積層)することによって繊維集合体を得る。
したがって、捕集面として平面を用いれば平面状の繊維集合体を得ることができるが、捕集面の形状を変えることによって、所望の形状の繊維集合体を作製することもできる。また、繊維集合体が捕集面の一箇所に集中して累積(積層)される等、均一性が低い場合には、捕集面を揺れ動かしたり、回転させたりすることも可能である。
また、繊維集合体は、上記同様に、繊維形成用組成物に含まれていた溶媒等が完全に留去して集合体となっている状態のみならず、溶媒等が繊維状物質に含まれたまま残留する状態も含まれる。
【0042】
[引き出し工程]
引き出し工程においては、累積工程において形成された繊維集合体の一端から複数の繊維を引き出して、繊維束を形成する。本発明の撚糸の製造方法においては、累積工程により得られた繊維集合体の一端を引き出すことで、繊維同士の絡まりにより、連続的に繊維束を形成することができる。
繊維集合体から複数の繊維を引き出す方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ワインダー等により引き上げる方法を採用することができる。
【0043】
[撚り工程]
撚り工程においては、引き出し工程において引き出された繊維束に撚りを掛けて、撚糸とする。繊維束に撚りを掛ける方法としては特に限定されるものではなく、公知の種々の方法を採用することができる。例えば、累積工程において繊維が累積された捕集面を、一定速度で回転させる方法を挙げることができる。
また、後述する延伸工程において繊維軸方向に配向させることのできる範囲であれば、撚り数についても特に制限されるものではなく、撚糸が用いられる用途に合わせて、適宜選択することができる。
【0044】
[延伸工程]
延伸工程においては、撚り工程で得られた撚糸を延伸することにより、延伸撚糸を得る。撚糸に対してさらに延伸を加えることにより、平均繊維径を小さくするとともに、撚糸を構成するフィラメントを曳き揃え、繊維軸方向に配向させることができる。
延伸の方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。本発明においては、既知の延伸装置を用いて、加熱しながら延伸することが好ましい。延伸温度は、用いる脂肪族ポリエステルの種類によって適宜選択することができるが、ポリ乳酸の場合には70℃以上110℃以下の範囲とすることが好ましい。
また、延伸倍率については、本発明の撚糸が得られれば任意の倍率を選択することができるが、取扱いに十分な機械的特性を有する撚糸を得るためには、3倍以上の延伸倍率とすることが好ましい。より好ましくは、5倍以上10倍以下の範囲である。
【0045】
[巻き取り工程]
巻き取り工程とは、得られた撚糸または延伸撚糸を巻き取る工程である。なお、本発明においては、撚り工程の後に連続的に延伸工程を実施し、得られた延伸撚糸に対して巻き取り工程を実施する場合のみならず、撚り工程の後に巻き取り工程を実施し、その後に延伸工程を実施する場合、あるいはその両方であってもよい。
巻き取りの方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができ、例えば、巻き取りローラー等を用いて、一定の速度で連続的に巻き取る方法が挙げられる。
【0046】
[撚糸の製造装置]
本発明の撚糸を製造するための装置としては、前述の要件を同時に満足するような撚糸が得られる製造装置であれば、いずれの装置も採用することができる。本発明の撚糸を得るための好ましい製造装置の一態様としては、繊維形成用組成物(紡糸液)をノズル先端まで供給する繊維形成用組成物供給装置と、ノズル先端から前記繊維形成用組成物を噴出させ繊維を製造する繊維製造装置と、前記繊維を捕捉して繊維集合体とする繊維捕捉装置と、前記繊維集合体から繊維束を引き出し、前記繊維束に撚りを与える撚り装置と、前記撚りを与えた繊維束を巻き取る巻き取り装置と、前記巻き取られた繊維束を延伸する延伸装置と、を備えた態様を挙げることができる。
【0047】
本発明の撚糸を製造するための装置としての好ましい一態様について、図1を用いて具体的に説明する。なお、静電防止法による繊維の製造装置(紡糸工程まで)については、上記の紡糸装置の部分で説明した通りである。ここでは、静電紡糸法による繊維の形成(紡糸工程)以降の装置について説明する。
【0048】
繊維捕捉装置7を、繊維形成用組成物噴出ノズル1の先端部分とイオナイザー6との間に設置し、当該繊維捕捉装置7の上に、形成された繊維を累積させて繊維集合体を形成する。次に、累積した繊維集合体の一端より巻取りローラー11を用いて複数の繊維を引き出して繊維束を形成し、巻き取りローラー11に対して繊維捕捉装置7を相対的に回転させることで繊維束に撚りを与えて撚り繊維束とし、この撚り繊維束を巻き取りローラー11で巻き取って撚糸とし、さらに得られた撚糸を延伸装置12によって延伸し、延伸撚糸を得る。
【0049】
ここで、繊維捕捉装置7としては、例えば、チューブと円状の支持体を用意し、チューブを円弧状にしならせて、円状の支持体の円周上にチューブ両端を接合することにより立体的形状としたものを用いることができる。なお、図1における繊維捕捉装置7は、3本のチューブを用いた例(図2参照)を記載している。しかしながら、繊維を捕捉する(繊維を絡めるあるいは引掛ける)機能を有するものであれば、繊維捕捉装置7の形状は特に限定されるものではなく、例えば、板を組み合わせたもの等を繊維補足装置7として用いることも可能である。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、これに何等限定を受けるものではない。
【0051】
<測定・評価方法>
実施例においては、以下の項目について、以下の方法によって測定・評価を実施した。
[撚糸の平均繊維径]
得られた撚糸から無作為に10箇所を選択した。選択した箇所について、走査型電子顕微鏡(日立製作所製、型式:S−2400)により撮影(倍率:200倍)し、得られた写真図において、撚糸断面が円の場合には直径を繊維径とし、楕円の場合には長径と短径の平均を繊維径として繊維径(n=10)を測定し、これら全て(n=10)の平均値を撚糸の平均繊維径とした。
【0052】
[フィラメントの平均繊維径および繊維径5μm以上の繊維の観察]
走査型電子顕微鏡(日立製作所製、型式:S−2400)により、得られた撚糸の表面を撮影(倍率:2000または8000倍)し、写真図を得た。得られた写真図から無作為に20箇所を選択し、フィラメントの径を測定した。繊維径の全ての測定結果(n=20)の平均値を求めてフィラメントの平均繊維径とするとともに、繊維径が5μm以上となる繊維が存在していないかの確認を行った。
【0053】
[フィラメントの配向度]
得られた撚糸の表面を、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、型式:S−2400)により、写真図の縦方向が繊維軸方向と水平になるように撮影(倍率:2000または8000倍)し、得られた写真図において観察可能な全てのフィラメントについて、繊維軸方向に対するフィラメントの角度を測定し、得られた角度の平均と標準偏差を算出した。
【0054】
[撚糸の弾性率、破断点応力]
得られた撚糸から無作為に10箇所を選択し、選択した箇所について、引張試験機(ORIENTEC製、型式:RTC−1225A)により引張試験を実施した。得られた弾性率の平均値(n=5)を撚糸の弾性率、破断点応力の平均値(n=5)を撚糸の破断点応力とした。
【0055】
<実施例1>
[繊維形成用組成物の調製]
ポリ乳酸(島津製作所社製、商品名:Lacty9031)1質量部、エタノール(和光純薬工業社製、グレード:特級)3質量部、塩化メチレン(和光純薬工業社製、グレード:特級)6質量部を、室温(25℃)で混合し、繊維形成用組成物を作製した。
【0056】
[紡糸工程・累積工程]
図1に示す装置を用いて繊維形成用組成物を噴出し、繊維集合体を得た。なお、装置における各種設定等は以下の通りとした。
繊維形成用組成物噴出ノズル1の内径:0.8mm
電圧:15kV
繊維形成用組成物噴出ノズル1から繊維捕捉装置7の頂点部までの高さ:5cm、水平距離:10cm
繊維捕捉装置7の中心から電極4までの距離:10cm
繊維捕捉装置7の直径:10cm、高さ:22cm
【0057】
[引き出し工程・撚り工程・巻き取り工程]
巻き取りローラー11を用いて、上記で得られた繊維集合体の一端から複数の繊維を引き出して繊維束を形成し、繊維補足装置7を回転させることにより繊維束に撚りを加えて撚り繊維束としつつ、巻き取りローラー11により巻き取った。なお、装置における各種設定等は以下の通りとした。
繊維捕捉装置7の頂点部から巻き取りローラー11までの距離:25cm
繊維補足装置7の回転速度:300rpm
巻き取りローラー11の巻き取り速度:毎分1.5m
【0058】
[延伸工程]
最後に、巻き取り工程にて巻き取られた撚り繊維束に対して、延伸装置12を用いて、以下の条件にて延伸処理を施した。
延伸温度:100℃
延伸倍率:8倍
【0059】
[測定・評価]
得られた撚糸の平均繊維径は0.1mm、繊度は79dtexであった。また、撚糸を構成するフィラメントの平均繊維径は440nmであり、繊維径が5μm以上となる繊維は観察されなかった。配向度を表す角度の平均値は0.8°、標準偏差の値は1.6°、撚糸の弾性率は4.8GPa、撚糸の破断点応力は1.7cN/dtexであった。
【0060】
<比較例1>
延伸工程を実施しない以外は、実施例1と同様にして撚り繊維束を得た。
[測定・評価]
得られた撚り繊維束の平均繊維径は0.7mm、繊度は598dtexであった。また、撚り繊維束を構成するフィラメントの平均繊維径は1740nmであり、繊維径が5μm以上となる繊維は観察されなかった。配向度を表す角度の平均値は16.3°、標準偏差の値は9.1°、撚り繊維束の弾性率は0.7GPa、撚り繊維束の破断点応力は0.2cN/dtexであった。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の撚糸を製造するための製造装置を模式的に示した図である。
【図2】図1の繊維捕捉装置7を上部から見た様子を模式的に示した図である。
【図3】実施例1の操作で得られた撚糸の表面を、縦方向が繊維軸方向と水平になるように走査型電子顕微鏡で撮影(400倍)して得られた写真図である。
【図4】実施例1の操作で得られた撚糸の表面を、縦方向が繊維軸方向と水平になるように走査型電子顕微鏡で撮影(8000倍)して得られた写真図である。
【図5】比較例1の操作で得られた撚糸の表面を、縦方向が繊維軸方向と水平になるように走査型電子顕微鏡で撮影(100倍)して得られた写真図である。
【図6】比較例1の操作で得られた撚糸の表面を、縦方向が繊維軸方向と水平になるように走査型電子顕微鏡で撮影(2000倍)して得られた写真図である。
【符号の説明】
【0062】
1 繊維形成用組成物噴出ノズル
2 繊維形成用組成物
3 繊維形成用組成物保持槽
4 電極
5 高電圧発生器
6 イオナイザー
7 繊維捕捉装置
8 モーター
9 回転軸
10 変速機
11 巻き取りローラー
12 延伸装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ポリエステルを主成分とする複数のフィラメントによって構成される撚糸であって、
前記複数のフィラメントの平均繊維径は、0.1μm以上2μm以下であり、
前記複数のフィラメントは、繊維径が5μm以上のフィラメントを実質的に含まず、かつ、繊維軸方向に対してフィラメントが形成する角度の平均値が10°以内である撚糸。
【請求項2】
弾性率が1GPa以上10GPa以下である請求項1記載の撚糸。
【請求項3】
前記脂肪族ポリエステルは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、および、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1または2記載の撚糸。
【請求項4】
脂肪族ポリエステルと溶媒とを含む繊維形成用組成物を調製する繊維形成用組成物調製工程と、
静電紡糸法にて前記繊維形成用組成物を噴出することにより繊維を得る紡糸工程と、
前記繊維を累積させて繊維集合体を得る累積工程と、
前記繊維集合体の一端から複数の繊維を引き出して繊維束を形成する引き出し工程と、
前記繊維束に撚りを掛けて撚糸とする撚り工程と、
前記撚糸を延伸して延伸撚糸を得る延伸工程と、を含む撚糸の製造方法。
【請求項5】
前記脂肪族ポリエステルは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、および、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項4記載の撚糸の製造方法。
【請求項6】
前記溶媒は、揮発性溶媒である請求項4または5記載の撚糸の製造方法。
【請求項7】
前記溶媒は、ハロゲン化炭化水素および/またはアルコールを含むものである請求項4から6いずれか記載の撚糸の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−138316(P2008−138316A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325431(P2006−325431)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】