説明

撥水剤組成物、及び撥水層付基材の製造方法

【課題】 本発明の課題は、撥水剤組成物、及び撥水層付基材の製造方法を提供するものである。
【解決手段】 本発明の撥水剤組成物は、12−ヒドロキシステアリン酸と、該12−ヒドロキシステアリン酸と混合状態において結晶化可能であって、炭素数が10以上であり分子量が1000以下の有機化合物と、が混合されていることを特徴とし、両者を適切な有機溶媒に均一に溶解、または分散した後、基材表面に塗布し溶媒を除去することにより簡単に基材表面に撥水膜を形成できる。該撥水剤組成物は、12−ヒドロキシステアリン酸をベースで構成されているため、該撥水剤組成物で被覆した表面をアルカリ溶液等で洗浄することにより容易に被覆膜をはがすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撥水剤組成物、及び撥水層付基材の製造方法に関し、詳しくは12−ヒドロキシステアリン酸と該12−ヒドロキシステアリン酸と混合状態において結晶化可能であって、炭素数が10以上であり分子量が1000以下の有機化合物とが混合されている撥水剤組成物、及び撥水層付基材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、基材表面の撥水性を高めるためにシリコーンやフッ素系化学物質などの撥水剤を塗布している。しかし、表面の化学的成分を改質するだけでは、水との接触角が140°以上である超撥水表面を得ることが難しい。このため、例えば疎水性微粒子を用いて表面に微細凹凸構造を形成する方法が提案されている(特許文献1、2)。最近では、より簡単な方法として低分子ゲル化剤が自己集合により微細凹凸構造を形成することを利用した撥水膜の作製が報告されている(非特許文献1)。さらに、低分子ゲル化剤と高分子材料とからなる耐摩擦性や基材との接着性が高い超撥水性材料が提案されている(特許文献3)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−172808号公報
【特許文献2】特開2005?188016号公報
【非特許文献1】Yamanaka et al.,Chemical Communication,2006,2248−2250.
【特許文献3】特開2009−051921号公報
【0004】
一方、段ボール原紙や白板紙等の紙材表面に撥水性を付与するためには、一般にパラフィンワックスを主体とした撥水剤が用いられている。最近では、ワックスに加え、樹脂、及びラテックスを混合し、撥水性、印刷特性、耐摩擦性の良い紙用撥水剤が提案されている(特許文献4)。
【0005】
【特許文献4】特開2007?217842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の特許文献1〜3や非特許文献1に見られるように、塗布により水と基材との接触角が140°以上の超撥水表面を作製するにあたり、通常シリコーン、含フッ素化合物、それらを含む微粒子や樹脂が用いられる。これらの撥水剤は一度基材表面に塗布すると撥水剤のみをはがすことは難しく、特に水溶性洗浄剤で除去することは極めて困難であり、製品をリサイクルする際などに支障をきたす。撥水処理を必要とされる基材の中でも、特に紙材はリサイクル性が重要視されている。特許文献2,4には紙材向けの撥水剤の記載があるが、これらを含め従来の撥水剤を被覆すると被覆後の紙材は水に対する親和性がなくなるため、リサイクル性が極めて悪くなるという欠点があった。加えて、高分子材料などで被覆されると紙の通気性を損なう上、鉛筆やペンで書き込みができなくなるという問題もあった。従って、これらの欠点を改善した撥水剤組成物及び撥水層付基材の製造方法の開発が望まれていた。
本発明は上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、撥水性に優れ、不用となった場合に除去が容易な撥水剤組成物、及び撥水層付基材並びに撥水加工紙を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、前記課題を達成するために検討した結果、低分子ゲル化剤として知られている12−ヒドロキシステアリン酸と該12−ヒドロキシステアリン酸と混合状態において結晶化可能であって炭素数が10以上であり分子量が1000以下の有機化合物とを混合することにより超撥水性能が発現することを見出し、本願発明を達成するに至った。該12−ヒドロキシステアリン酸と該有機化合物の混合物を基材に塗布すると表面にナノスケールからマイクロスケールの凹凸が形成されるために超撥水性能が発現される。なお、該12−ヒドロキシステアリン酸からのみ被膜形成を試みても、該有機化合物からのみ被膜形成を試みても均一な超撥水被膜を得ることは極めて困難である。これは、単独の化合物からのみでは超撥水に適したナノスケールからマイクロスケールの凹凸が形成されないためである。また、ベースとなる化合物が12−ヒドロキシステアリン酸である場合についてのみ超撥水剤となり、そこに結晶化可能な有機化合物とを一定の割合で混合する必要がある。さらに、前記有機化合物が炭素数10未満である場合には超撥水性能は発現されない。本発明の撥水剤を塗布した撥水表面は水や中性、酸性の水溶液に対しては安定であるが、同表面は12−ヒドロキシステアリン酸ベースで被覆されているためアルカリ水溶液で洗浄することにより撥水剤を容易に除去することができる。
すなわち、本発明は、12−ヒドロキシステアリン酸と該12−ヒドロキシステアリン酸と混合状態において結晶化可能であって炭素数が10以上であり分子量が1000以下の有機化合物とが混合されている撥水剤組成物、及び撥水層付基材の製造方法に関するものである。
【0008】
前記有機化合物は、炭素数10以上である、モノカルボン酸、ジカルボン酸、及びカルボン酸アミドであることが好ましい。炭素数10以上である有機化合物は疎水性が高く、これらの化合物を含有する前記本発明の撥水剤組成物を塗布した表面は水との接触角が140°より大きくなるからである。
【0009】
前記有機化合物は、ステアリン酸(融点70℃)、ベヘン酸(融点82℃)、パルチミン酸(融点63℃)、ドデカン二酸(融点129℃)、セバシン酸(融点134℃)、ステアリン酸アミド(融点109℃)、ラウリン酸アミド(融点99℃)であることが好ましい。こうであれば、前記本発明の撥水剤組成物を塗布した表面と水との接触角が140°より大きくなり、かつ、12−ヒドロキシステアリン酸の融点が78℃であるため耐熱性が60℃以上の撥水膜が形成できるからである。
【0010】
前記12−ヒドロキシステアリン酸と前記有機化合物との配合比は、(該12−ヒドロキシステアリン酸の重量)/(該12−ヒドロキシステアリン酸の重量+該有機化合物の重量)の値が0.2以上0.95以下であることが好ましい。こうであれば、前記紙用超撥水剤組成物を均一に塗布でき、かつ、該撥水剤組成物を塗布した表面と水との接触角が140°より大きくなるからである。
【0011】
また、本発明の撥水剤組成物を有機溶媒に溶解、または分散させて塗布液を調整する塗布液調整工程と、該塗布液を基材に塗布する塗布工程と、該基材に塗布された該塗布液に含まれている溶媒を乾燥させて撥水性膜を形成する膜形成工程とを備える加工方法により撥水層付基材を得ることができる。
【0012】
前記撥水剤組成物は、特に撥水加工紙作製に有効である。紙材をリサイクルする際に紙材をアルカリ性溶液に投入する工程があるが、この工程で紙材に被覆された12−ヒドロキシステアリン酸は容易にアルカリ金属塩に変化し、水に溶解、もしくは分散することができる。さらに前記有機化合物がモノカルボン酸、ジカルボン酸の場合には該撥水剤組成物すべてが同工程で同様にアルカリ性溶液に溶解、もしくは分散することができる。
【発明の効果】
【0013】
12−ヒドロキシステアリン酸と前記有機化合物とが混合されている、本発明の撥水剤組成物は、非常に簡単な方法で被覆でき、基材表面を水との接触角が140°より大きい超撥水表面にすることができる。該撥水剤組成物は12−ヒドロキシステアリン酸をベースにした有機低分子化合物のみで構成されているため、該撥水剤組成物で被覆した表面をアルカリ溶液で洗浄することにより容易に被覆膜をはがすことができる。このため、該撥水剤組成物を被覆することにより得られる撥水加工紙はリサイクルが容易であり、フッ素原子を含まないため環境への負荷も少ない。さらに、形成される撥水膜は分子量1000以下の低分子化合物のみで構成されているため、紙の通気性を損なうことがなく、鉛筆やペンで書き込みができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明において撥水剤組成物は、12−ヒドロキシステアリン酸と、該12−ヒドロキシステアリン酸と混合状態において結晶化可能であって、炭素数が10以上であり分子量が1000以下の有機化合物と、が混合されていることを特徴とする撥水剤組成物である。両者を適切な有機溶媒に均一に溶解、または分散した後、基材表面に塗布し溶媒を除去することにより超撥水表面を得る。
【0016】
前記有機化合物としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、コレステロール、およびこれらのカルボン酸類やアルコール類から誘導されるエステル類、ステアリルアミン、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、メチルトリステアリルアンモニウムクロリド、メチルトリステアリルアンモニウムブロミドなどの化合物が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0017】
前記有機化合物の中でも、ステアリン酸、ベヘン酸、パルチミン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、ステアリン酸アミド、ラウリン酸アミドは比較的手に入れやすく、それぞれの有機化合物の融点と12−ヒドロキシステアリン酸の融点から考えて融点が60℃以上の耐熱性を有する撥水膜を得られる。
【0018】
また、前述の有機溶媒としては、12−ヒドロキシステアリン酸と前記有機化合物とが均一に溶解、または分散すればよく、例えばアルコール類、ケトン類、エステル類、アルコールエステル類、ケトンエステル類、エーテル類、ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエーテル類、エステルエーテル類、ニトリル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ハロゲン化物等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0019】
12−ヒドロキシステアリン酸と前記有機化合物との配合比は、該12−ヒドロキシステアリン酸の重量/(該12−ヒドロキシステアリン酸の重量+該有機化合物の重量)の値が0.2以上0.95以下であることが好ましい。該配合比が0.2未満の場合や、該配合比が0.95以上の場合では、水との接触角が140°以上の撥水表面が得られないおそれや均一な撥水膜が形成できないおそれがある。
【0020】
12−ヒドロキシステアリン酸と前記有機化合物とを有機溶媒に溶解、または分散させて塗布液を調整する塗布液調整工程には特に限定がなく、例えば加熱して溶解、または分散させたり、攪拌機を用いて溶解、または分散させたりすることができる。
【0021】
基材に本発明の撥水剤組成物を塗布したり、吹き付けたりする塗布工程には特に限定がなく、例えばスピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、バーコーター法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の従来公知の塗布方法が使用できる。
【0022】
コーティング液に含まれている溶媒を乾燥させて撥水性膜を形成する膜形成工程には特に限定がなく、例えば加熱、送風、減圧等の従来公知の溶媒乾燥法により膜形成することができる。
【0023】
本発明の撥水剤組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、着色材、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、防カビ剤などが例示される。
【0024】
本発明の撥水剤組成物が使用できる被塗布物には特に制限がなく、各種材料の被覆のために使用することができ、例えば紙、金属(例えば、鉄、アルミニウム、これらを含む合金など)、木、ガラス、プラスチック、コンクリート、セラミックス、有機又は無機質塗膜を施した基材などが挙げられる。
【0025】
前記被塗布物の中でも本発明の撥水剤組成物は撥水剤を除去してリサイクル性が求められる紙材に対し特に有効であり、紙材として例えば新聞巻取紙、印刷・情報用紙、包装用紙、衛生用紙、段ボール紙、雑種紙などが挙げられる。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施例をあげて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
12−ヒドロキシステアリン酸と表1に示す12−ヒドロキシステアリン酸と混合状態において結晶化可能であって炭素数が10以上であり分子量が1000以下の有機化合物とを各種有機溶媒0.5mLに加熱溶解、又は分散させ、その溶液を各種基材(38mm×26mm)の上にキャストし、室温で放置した。該12−ヒドロキシステアリン酸と該有機化合物との配合比は、(該12−ヒドロキシステアリン酸の重量)/(該12−ヒドロキシステアリン酸の重量+該有機化合物の重量)の値が0.2以上0.95以下とした。キャストする溶液量は、上質紙0.2mL、ボール紙0.3mL、段ボール紙0.4mL、ガラス板0.5mL、ポリエチレン板0.5mLとした。キャストしてから3日後に塗布面の水の接触角を光学式接触角計(KSV Instruments社 CAM200)で測定し、表1の結果を得た。得られたすべての塗布表面は水との静的接触角が140°以上であり、滑落角は10°以下であった。表1、No.1の接触角測定時の撥水膜上の水滴の写真を図1に示す。図2に同撥水膜表面の電子顕微鏡写真を示す。
【0027】
【表1】

* 1:東京化成工業製(H0308)をアセトニトリルにより精製
* 2:目視で確認し、塗布が均一な場合に○、不均一な場合に×
* 3:接触角が140°以上の場合に○、140°未満で120°以上の場合に△、120°未満の場合に×、塗布が不均一で測定できない場合に−
* 4:王子製紙、No.4−10
* 5:東京化成工業製(S0163)
* 6:コクヨ、セイ−830
* 7:コクヨ、コート100
* 8:東京化成工業製(B1248)
* 9:東京化成工業製(D0013)
* 10:関東化学製(32016−30)
* 11:東京化成工業製(S0022)
* 12:関東化学製(37456−31)
* 13:東京化成工業製(L0077)
* 14:松浪硝子工業(S7213)
【0028】
(実施例2)
12−ヒドロキシステアリン酸と表2に示す12−ヒドロキシステアリン酸と混合状態において結晶化可能であって炭素数が10以上であり分子量が1000以下の有機化合物との配合比が、(該12−ヒドロキシステアリン酸の重量)/(該12−ヒドロキシステアリン酸の重量+該有機化合物の重量)の値が0.2未満である場合について、実施例1と同様の条件でサンプル調整し、表2に示す結果を得た。塗布した被覆表面の接触角は120°以上ではあるが140°以上ではなく、滑落角は10°以上であった。
【0029】
【表2】

* 1〜5は表1と同じ
【0030】
(比較例1)
12−ヒドロキシステアリン酸のみで被覆した場合、もしくは表3に示す12−ヒドロキシステアリン酸と混合状態において結晶化可能であって炭素数が10以上であり分子量が1000以下の有機化合物のみで被覆した場合について、実施例1と同様の条件でサンプル調整して膜形成を試み、表3に示す結果を得た。12−ヒドロキシステアリン酸のみで被覆した場合には、均一な表面が得られないか、均一な塗布ができる場合でも実施したすべての条件で接触角が120°未満であった。また、該有機化合物のみで被覆を試みた場合には、そのほとんどが目視で確認できるような大きな結晶が析出するため均一な表面が得られず、均一に塗布できてもその被覆表面の接触角は120°未満であり、滑落角は10°以上であった。表3、No.1の接触角測定時の被覆膜上の水滴の写真を図3に示す。図4に同被覆表面の電子顕微鏡写真を示す。
【0031】
【表3】

* 1〜14は表1と同じ
【0032】
(比較例2)
12−ヒドロキシステアリン酸と表4に示す炭素数が10未満であり分子量が1000以下の有機化合物で(該12−ヒドロキシステアリン酸の重量)/(該12−ヒドロキシステアリン酸の重量+該有機化合物の重量)の値が0.5である場合について、実施例1と同様の条件でサンプル調整して膜形成を試み、表4に示す結果を得た。均一に塗布できるが被覆表面の接触角は120°未満であり、滑落角は10°以上であった。表4、No.1の接触角測定時の被覆膜上の水滴の写真を図5に示す。図6に同被覆表面の電子顕微鏡写真を示す。
【0033】
【表4】

* 1〜4は表1と同じ
* 15:東京化成工業製(O0027)
* 16:和光純薬工業製(084−00182)
* 17:和光純薬工業製(013−00932)
* 18:和光純薬工業製(042−02926)
【0034】
以上の結果から、12−ヒドロキシステアリン酸と、該12−ヒドロキシステアリン酸と混合状態において結晶化可能であって、炭素数が10以上であり分子量が1000以下の有機化合物とが混合されていることを特徴とする撥水剤組成物は、基材表面を均一に被覆し、水との接触角が120°以上になるような撥水表面を形成できる。さらに、該12−ヒドロキシステアリン酸と該有機化合物との配合比が、(該12−ヒドロキシステアリン酸の重量)/(該12−ヒドロキシステアリン酸の重量+該有機化合物の重量)の値が0.2以上0.95以下である場合には水との接触角が140°以上であり滑落角は10°以下である超撥水表面を形成できる撥水剤組成物となる。これは、該撥水剤組成物を基材に塗布すると表面に超撥水性の発現に適したナノスケールからマイクロスケールの凹凸が形成されるためである。一方、12−ヒドロキシステアリン酸のみ、もしくは該有機化合物からのみを被覆しても水との接触角が120°以上になるような撥水表面を形成できない。また、12−ヒドロキシステアリン酸と炭素数10未満で分子量1000以下の有機化合物を混合した場合にも同様に水との接触角が120°以上になるような撥水表面は形成されない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例1(表1、No.1)接触角測定時の撥水膜上の水滴の写真
【図2】実施例1(表1、No.1)撥水膜表面の電子顕微鏡写真
【図3】比較例1(表3、No.1)接触角測定時の被覆膜上の水滴の写真
【図4】比較例1(表3、No.1)被覆表面の電子顕微鏡写真
【図5】比較例2(表4、No.1)接触角測定時の被覆膜上の水滴の写真
【図6】比較例2(表4、No.1)被覆表面の電子顕微鏡写真

【特許請求の範囲】
【請求項1】
12−ヒドロキシステアリン酸と、該12−ヒドロキシステアリン酸と混合状態において結晶化可能であって、炭素数が10以上であり分子量が1000以下の有機化合物と、が混合されていることを特徴とする撥水剤組成物。
【請求項2】
前記有機化合物は、モノカルボン酸、ジカルボン酸及びカルボン酸アミドの少なくとも1種である請求項1に記載の撥水剤組成物。
【請求項3】
前記有機化合物は、ステアリン酸、ベヘン酸、パルチミン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、ステアリン酸アミド及びラウリン酸アミドの少なくとも1種である請求項1又は2記載の撥水剤組成物。
【請求項4】
前記12−ヒドロキシステアリン酸と、前記有機化合物との配合比は、(該12−ヒドロキシステアリン酸の重量)/(該12−ヒドロキシステアリン酸の重量+該有機化合物の重量)の値が0.2以上0.95以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撥水剤組成物。
【請求項5】
12−ヒドロキシステアリン酸と、前記有機化合物と、を有機溶媒に溶解、または分散させて塗布液を調整する塗布液調整工程と、
該塗布液を基材に塗布する塗布工程と、
該基材に塗布された該塗布液に含まれている溶媒を乾燥させて撥水性膜を形成する膜形成工程と
を備える撥水層付基材の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の撥水剤組成物が付着していることを特徴とする撥水加工紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−7099(P2012−7099A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145122(P2010−145122)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(591270556)名古屋市 (77)
【Fターム(参考)】