説明

播種機

【課題】 複数の貫通孔への種子の供給を無駄なく効率よく行えるようにする。
【解決手段】 種子Sを所定の間隔で播種するための播種機1において、上方および下方に開口する開口部を有する枠体2と、枠体2の開口部を覆うように枠体2に積層支持されるとともに、種子Sが挿通する大きさを有しかつ各々所定の間隔で配置された第1、第2の貫通孔30、40をそれぞれ複数個有し、第1、第2の貫通孔30、40が上下に整列する整列位置と非整列位置とをとり得るように相互にスライド自在に設けられた第1、第2のプレート3、4と、枠体2に支持されかつ第1のプレート3の上をスライド自在に設けられるとともに、第1のプレート3の側に開口する下部開口部を有しかつ多数の種子Sを貯留し得る種子ホッパ部5とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下に整列し得る複数の貫通孔をそれぞれ有しかつ相互にスライド自在な2枚のプレートを有するスライド式の播種機に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の育苗ポットや、複数の育苗孔を有するプラグトレー、または播種地床に種子を一度に播種するための器具として、播種機が用いられている。従来の播種機は、例えば実開昭57−100814号公報の第4図および第5図に示すように、種子が落下し得る大きさの穴を複数個有する固定板と、固定板の上にスライド自在に設けられ、種子が嵌り込む大きさを有しかつ固定板の各穴と上下に整列し得る穴を複数個有するスライド板とから主として構成されている。
【0003】
播種を行う際には、スライド板の各穴と固定板の各穴が上下に整列していない状態で、スライド板の穴の個数よりも多めの種子をスライド板の上に入れ、この状態から播種機を左右に振り動かして種子に振動を与えることにより、スライド板の各穴に種子を嵌り込ませる。
【0004】
スライド板のすべての穴に種子が嵌り込むと、スライド板をスライドさせて、スライド板の各穴を固定板の各穴に整列させる。すると、スライド板の各穴に嵌り込んでいた種子が固定板の各穴を通って、下方に落下する。このようにして、播種作業を行える。
【0005】
また、実公昭35−16643号公報の第1図ないし第3図に示す播種機は、種子が入る大きさの多数の通孔を有する上板と、上板の通孔と上下に整列しかつこれらの通孔よりも大きな多数の通孔を有するスライド自在な下板(開閉板)と、上板の両側端に取り付けられ、播種すべき多数の種子を収容する種子タンクとから構成されている。
【0006】
播種を行う際には、種子タンクに多数の種子を収容し、上板および下板の各通孔を上下に整列させない状態で、一方の種子タンクが上にかつ他方の種子タンクが下になるように播種機を傾ける。すると、一方の種子タンクから流出した多数の種子が上板に沿って下方に流れ、このとき、上板の通孔に種子が嵌り込む。上板を通り過ぎた種子は、他方の種子タンクに収容される。上板のすべての通孔に種子が嵌り込んでない場合には、播種機を前記向きとは逆向きに傾ける。つまり、他方の種子タンクが上にかつ一方の種子タンクが下になるようにする。上板のすべての通孔に種子が嵌り込むまで、この操作を繰り返す。
【0007】
上板のすべての通孔に種子が嵌り込むと、播種機を水平に保持した状態で、下板をスライドさせ、下板の通孔を上板の通孔に整列させる。すると、上板の通孔に嵌り込んでいた種子が下板の通孔を通って、下方に落下する。このようにして、播種作業を行える。
【0008】
さらに、特開2009−72176号公報の図1および図2に示す播種機は、種子が落下し得る大きさの穴を複数個有する底板と、底板の上にスライド自在に設けられ、種子が嵌り込む大きさを有しかつ底板の各穴と上下に整列し得る穴を複数個有するスライド板とから主として構成されており、スライド板の各穴は、スライド板に形成された複数本の溝にそれぞれ設けられている。
【0009】
播種を行う際には、適量の種子をスライド板の上に投入し、この状態から播種機を適宜振動、揺動または回動させることにより、スライド板の各溝に種子を供給して、種子が各溝内を移動するようにする。これにより、各溝内の各穴に種子が嵌り込む。
【0010】
スライド板のすべての穴に種子が嵌り込むと、スライド板をスライドさせて、スライド板の各穴を底板の各穴に整列させる。すると、スライド板の各穴に嵌り込んでいた種子が底板の各穴を通って、下方に落下する。このようにして、播種作業を行える。
【0011】
また、特開2006−288285号公報の図1、図4および図5に示す播種機は、種子を下方に落下させるための切欠きが形成され、台座に沿って移動自在な目皿板と、目皿板の上方に設けられ、目皿板の切欠き内に種子を導入するための種子ホッパとを備えている。
【0012】
播種を行う際には、目皿板の切欠きが種子ホッパの下方に配置される位置まで目皿板を移動させる。すると、種子ホッパ内に収容されていた種子が目皿板の切欠き内に導入される。この状態から、目皿板を移動させることにより、切欠きが台座から離れ、その結果、切欠き内の種子が下方に落下する。このようにして、播種作業を行える。
(同公報の参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
実開昭57−100814号公報に示すものでは、スライド板の各穴に種子を供給する際に、播種機を左右に揺り動かすことにより、スライド板上の種子に振動を与えるようにしており、このため、スライド板のすべての穴に種子を嵌り込ませるには、播種機を左右に何度も振り動かす必要があり、非常に非効率的である。
【0014】
また、実公昭35−16643号公報に示すものでは、上板の多数の通孔に種子を供給する際に、播種機を傾けることにより、種子タンクから流出した種子を上板に沿って流すようにしており、このため、上板の面に沿った種子の流れが不均一になりやすく、上板のすべての通孔に種子を嵌り込ませるには、播種機を傾ける操作を複数回行う必要があり、非常に非効率的である。
【0015】
さらに、特開2009−72176号公報に示すものでは、スライド板の各穴に種子を供給する際には、スライド板に形成された各溝に略均等に種子を導入する必要があるが、スライド板の上にばら撒かれた種子を各溝に略均等に分配するのは容易ではない。また、各溝に導入された種子は、播種機を適宜振動、揺動または回動させることにより、スライド板の各溝内を移動してその移動中に各溝内の各穴に嵌め込まれるようになっているが、スライド板のすべての穴に種子を嵌り込ませるには、播種機を何度も振動、揺動または回動させる必要があり、非常に非効率的である。
【0016】
また、特開2006−288285号公報に示すものでは、目皿板の切欠きから種子が落下するのは、切欠きが台座から外れる位置まで目皿板が移動したときであり、種子は常時同じ位置に落下している。このため、当該播種機は、複数の種子を目皿板の移動方向に所定間隔で一度に播種するようには構成されていない。
【0017】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、種子を所定の間隔で播種するための播種機において、種子を挿通させる複数の貫通孔への種子の供給を無駄なく効率よく行えるようにすることにある。また、本発明は、種々の種子や様々な種子配列に容易に対応できる播種機を提供しようとしている。さらに、本発明は、種類の異なる種子の播種を一度に行える播種機を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1の発明に係る播種機は、種子を所定の間隔で播種するための播種機であって、上方および下方に開口する開口部を有する枠体と、枠体の開口部を覆うように枠体に積層支持されるとともに、種子が挿通する大きさを有しかつ各々所定の間隔で配置された第1、第2の貫通孔をそれぞれ複数個有し、第1、第2の貫通孔が上下に整列する整列位置と非整列位置とをとり得るように相互にスライド自在に設けられた第1、第2のプレートと、枠体に支持されかつ第1のプレートの上をスライド自在に設けられるとともに、第1のプレートの側に開口する下部開口部を有しかつ多数の種子を貯留し得る種子ホッパ部とを備えている。
【0019】
請求項1の発明において、播種を行う際には、まず、第1、第2のプレートを相互にスライドさせて、第1、第2の貫通孔が上下に整列しない非整列位置におく。次に、種子ホッパ部に種子を入れて、種子ホッパ部を第1のプレートの上でスライドさせる。すると、種子ホッパ部に貯留されていた種子が、種子ホッパ部の移動にともなって、種子ホッパ部の下部開口部から第1のプレートの上に徐々に流出する。流出した種子は、第1のプレートの第1の貫通孔に導入される。
【0020】
次に、第1、第2のプレートを相互にスライドさせて、各々複数の第1、第2の貫通孔が上下に整列する整列位置におく。すると、第1のプレートの第1の貫通孔に導入されていた種子が、第2のプレートの第2の貫通孔を通って下方に落下する。このようにして、種子が所定の間隔で播種される。
【0021】
この場合には、第1のプレートの第1の貫通孔への種子の導入に際して、播種機を左右に何度も振り動かしたり、播種機を何度も傾けたり、あるいは播種機を何度も振動、揺動または回動させたりすることなく、種子を貯留した種子ホッパ部を第1のプレート上で一度スライドさせるだけでよい。これにより、播種作業を無駄なく非常に効率よく行えるようになる。
【0022】
請求項2の発明では、請求項1において、第2のプレートが枠体に移動不能に支持され、第1のプレートが、第2のプレートの上に重ね合わされるとともに、枠体にスライド自在に支持されている。
【0023】
この場合、第1、第2の貫通孔を整列位置または非整列位置におく際には、第1のプレートを第2のプレートの上でスライドさせることにより行なう。
【0024】
請求項3の発明では、請求項2において、第1のプレートが、当該第1のプレートのスライド方向に沿って枠体に延設されたガイド部によってスライド方向に案内されている。
【0025】
この場合、第1のプレートがスライドする際には、第1のプレートは、枠体のガイド部によってスライド方向に案内される。
【0026】
請求項4の発明では、請求項3において、第1のプレートの相対する端部がスライド自在に係合する一対の溝が枠体に形成されており、これらの溝によりガイド部が構成されている。
【0027】
この場合には、ガイド部として、枠体と別個の部材を設ける必要がないので、構造を簡略化できる。
【0028】
請求項5の発明では、請求項1において、枠体の下部には、第2のプレートの下面を下方から支承する支承部材が設けられている。
【0029】
この場合には、支承部材により第2のプレートの下面が下方から支承されることで、第2のプレートが自重で下方に撓むのが防止されており、これにより、第2のプレートと第1のプレートとの間に、種子が入り込むような隙間が形成されるのを確実に防止できる。
【0030】
請求項6の発明では、請求項5において、支承部材が、第2のプレートの下面に沿って移動可能に設けられている。
【0031】
この場合には、第2のプレートに形成される第2の貫通孔の位置に応じて、第2の貫通孔と干渉しない位置に支承部材を移動できるので、孔径や孔の配列が異なる複数種類の第2のプレートに容易に対応できるようになり、その結果、大きさや形状の異なる種々の種子や様々な種子配列の播種に容易に対応できるようになる。
【0032】
請求項7の発明では、請求項1において、第1、第2のプレートが枠体に着脱自在に設けられている。
【0033】
この場合には、孔径や孔の配列が異なる複数種類の第1、第2のプレートが装着できるようになり、その結果、大きさや形状の異なる種々の種子や様々な種子配列の播種に容易に対応できるようになる。
【0034】
請求項8の発明では、請求項1において、種子ホッパ部が、上方に開口する上部開口部を有しかつ側板部で囲繞された枠状部材である。
【0035】
請求項9の発明では、請求項1において、種子ホッパ部の下部に、第1のプレートの上面に摺接するブラシ状部材が設けられている。
【0036】
この場合には、種子ホッパ部が第1のプレートの上をスライドする際には、種子ホッパ部の下部のブラシ状部材が第1のプレートの上面に摺接しつつ移動するので、種子ホッパ部の移動の際に、種子が種子ホッパ部の下面に挟み込まれるのを防止できる。また、種子ホッパ部の下部開口部から第1のプレートの上に流出して、第1の貫通孔に余分に導入された種子は、ブラシ状部材の作用により、種子ホッパ部の移動にともなって第2の貫通孔から掃き出されて、種子ホッパ部の内部に貯留されたままの状態におかれる。さらに、種子ホッパ部の下部開口部から第1のプレートの上に流出して、第1のプレートの第1の貫通孔には導入されずに第1の貫通孔の周囲に残された余分な種子は、ブラシ状部材の作用により、種子ホッパ部の移動にともなって種子ホッパ部の内部に貯留されたままの状態におかれる。
【0037】
このように、請求項9の発明によれば、ブラシ状部材の作用により、種子ホッパ部が移動した後に第1のプレートの上に余分な種子が残留するのを防止でき、これにより、播種作業を無駄なくさらに効率よく行えるようになる。
【0038】
請求項10の発明では、請求項1において、種子ホッパ部の内部に、当該種子ホッパ部の内部空間を仕切るための仕切部材が設けられている。
【0039】
この場合には、仕切部材によって種子ホッパ部の内部空間が複数の空間に仕切られることになるので、各空間にそれぞれ異なる種類の種子を入れておくことにより、種類の異なる種子の播種を一度に行えるようになる。
【0040】
請求項11の発明では、請求項10において、仕切部材が種子ホッパ部の長手方向に沿ってスライド自在に設けられている。
【0041】
この場合には、仕切部材を移動させることにより、仕切部材で仕切られる種子ホッパ部内部の複数の空間をそれぞれ任意の大きさに設定できる。これにより、種類の異なる種子の播種面積を適宜調整できる。
【0042】
請求項12の発明では、請求項10において、仕切部材の下部には、第1のプレートの上面に摺接するブラシ状部材が設けられている。
【0043】
この場合には、仕切部材が第1のプレートの上をスライドする際には、仕切部材の下部のブラシ状部材が第1のプレートの上面に摺接しつつ移動するので、仕切部材で仕切られた各空間に異なる種類の種子を入れた状態で仕切部材を移動した場合でも、仕切部材の移動の際に、各空間内の種子が互いに混ざり合うのを防止できる。
【0044】
請求項13の発明では、請求項1において、枠体の一端に、種子ホッパ部の内部に残留した種子を回収するための回収部が設けられている。
【0045】
この場合には、播種作業後に種子ホッパ部の内部に種子が残留していた場合でも、これらの残留種子を枠体の一端側の回収部で一度に回収できるので、作業を効率よく行える。
【発明の効果】
【0046】
以上のように、本発明に係る播種機によれば、多数の種子を貯留し得る種子ホッパ部を第1のプレートの上にスライド自在に設けるようにしたので、播種を行う際には、第1、第2の貫通孔が非整列位置におかれるように第1、第2のプレートを配置した状態から、種子ホッパ部に種子を入れて、種子ホッパ部を第1のプレートの上でスライドさせればよい。このとき、種子ホッパ部に貯留されていた種子は、種子ホッパ部の移動にともなって、種子ホッパ部の下部開口部から第1のプレートの上に徐々に流出して、第1のプレートの第1の貫通孔に導入される。その後、第1、第2のプレートを相互にスライドさせて、第1、第2の貫通孔を整列位置におけば、第1のプレートの第1の貫通孔に導入されていた種子が、第2のプレートの第2の貫通孔を通って下方に落下する。このようにして、種子が所定の間隔で播種される。
【0047】
この場合には、第1のプレートの第1の貫通孔への種子の導入に際して、播種機を左右に何度も揺り動かしたり、播種機を何度も傾けたり、あるいは播種機を何度も振動、揺動または回動させたりすることなく、種子を貯留した種子ホッパ部を第1のプレート上で一度スライドさせるだけでよい。これにより、播種作業を無駄なく非常に効率よく行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施例による播種機の全体斜視図である。
【図2】前記播種機(図1)の平面図である。
【図3】図2のIII-III線断面図である。
【図4】図2のIV-IV線断面図である。
【図5】図2のV-V線断面図である。
【図6】図2のVI-VI線断面図である。
【図7】前記播種機(図1)を構成する枠体の平面図である。
【図8】図7のVIII矢視図である。
【図9】図7のIX矢視図である。
【図10】前記播種機(図1)を構成する種子ホッパ部の側面図である。
【図11】図10のXI-XI線断面図である。
【図12】前記播種機(図1)に設けられる回収容器およびその取付部分の拡大図である。
【図13】前記播種機(図1)による播種作業を説明するための図である。
【図13A】種子ホッパ部をスライドさせた後において第1、第2のプレート(図13)の長手方向断面一部拡大図である。
【図14】前記播種機(図1)による播種作業を説明するための図である。
【図14A】第1、第2のプレート(図14)の長手方向断面一部拡大図である。
【図15】前記播種機(図1)による播種作業を説明するための図である。
【図16】前記播種機(図1)による播種作業を説明するための図である。
【図17】前記播種機(図1)による残留種子の回収作業を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図17は、本発明の一実施例による播種機を説明するための図であって、これら図のうち、図1ないし図12は、播種機の全体および各部の詳細を示し、図13ないし図17は、播種機による播種作業および残留種子の回収作業を時系列的に示している。
【0050】
図1および図2に示すように、播種機1は、矩形状の枠体2と、枠体2に積層支持された上下2枚の第1、第2のプレート3、4と、上側の第1のプレート3上に配置され、多数の種子を貯留し得る種子ホッパ部5とから主として構成されている。
【0051】
枠体2は、相対する2対の側板部20、21および22、23から構成されている。ここでは、側板部20、21が枠体2の長手方向に配設され、側板部22、23が枠体2の長手方向と直交する短手方向に配設されている。また、枠体2は、上方および下方に開口する開口部を有している。第1、第2のプレート3、4は、好ましくは透光性を有する樹脂製の部材(例えば透明アクリル板)から構成されており、枠体2の開口部の略全面を覆うように配置されている。ここでは、第1、第2のプレート3、4は、側板部22の近傍の開口領域を除く開口部全面を覆っている。
【0052】
枠体2の側板部23の内側面には、図3に示すように、重ね合わされた第1、第2のプレート3、4の短手方向の一端部が係脱自在に係合し得る係合溝23aが形成されている。枠体2の側板部20、21の各内側面には、図4に示すように、第1、第2のプレート3、4の長手方向の各端部がスライド自在に係合するガイド溝20a、21aが形成されている。枠体2の各側板部20、21の端部は、一部切り欠かれて、切欠き部2A(図1)を有しており、第1、第2のプレート3、4は、切欠き部2Aを越えて、側板部22の外側方まで移動し得るようになっている。これにより、第1、第2のプレート3、4は、枠体2の外部から側板部20、21の各ガイド溝20a、21aに着脱自在に装着されるようになっている。
【0053】
なお、第1、第2のプレート3、4が枠体2の側板部20、21の各ガイド溝20a、21aに常時スライド自在に支持された状態では、播種機1を切欠き部2Aの側に傾けたときに、第1、第2のプレート3、4がその自重で切欠き部2Aの側に移動することで、第1、第2のプレート3、4がガイド溝20a、21aから抜け落ちる恐れがある。そこで、第1、第2のプレート3、4を側板部20、21の各ガイド溝20a、21aに対して移動不能に係止し得る係止部材を設けるようにしてもよい。この係止部材としては、例えば、第1、第2のプレート3、4の長手方向の各端面にそれぞれ圧接し得る、または当該各端面に形成した各係合孔にそれぞれ係合し得る止め複数の止めネジ(図示せず)を用い、これらの止めネジを、側板部20、21の各外側面から各ガイド溝20a、21aに向かって螺合させるようにすればよい。
【0054】
この例では、第2のプレート4を枠体2に固定した状態で、第1のプレート3を第2のプレート4の上でスライドさせることにより播種作業を行うようにしているため、播種の際には、第2のプレート4は、上述した止めネジを締めることで枠体2に移動不能に支持され、また第1のプレート3は、止めネジを緩めることで枠体2の各ガイド溝20a、21aにスライド自在に支持される。また、第1のプレート3の短手方向の他端部には、取手(引き手)6が取り付けられている。なお、この取手6は、第1のプレート3の短手方向の一端部に押し手として設けるようにしてもよい。
【0055】
枠体2の各側板部20、21間には、第2のプレート4を下方から支承するための複数(ここでは3本)の支承部材25、26、27が所定の間隔で架設されている(図3、図6、図7参照)。これらの支承部材のうち、支承部材26、27は、これらの間隔を変更できるように、各側板部20、21の各内側面に沿って長手方向に移動可能に設けるようにしてもよい。この場合には、例えば、側板部20、21の各内側面に沿って長手方向に延設されたガイド溝をそれぞれ設け、支承部材26、27の端部をこれらのガイド溝にスライド自在に係合させればよい。
【0056】
第1のプレート3には、図1ないし図3、図5に示すように、第1の貫通孔30が複数個形成されている。第1の貫通孔30は、所定の間隔で配列されている。同様に、第2のプレート4には、図1ないし図3に示すように、第2の貫通孔40が複数個形成されている。第2の貫通孔40は、第1の貫通孔30の配列間隔と同様の間隔で配列されている。これら第1、第2の貫通孔30、40はいずれも、播種すべき種子が挿通し得る大きさを有しているが、好ましくは、上側に配置される第1の貫通孔30が相対的に小径であるのに対し、下側に配置される第2の貫通孔40が相対的に大径になっている。
【0057】
図1ないし図3に示す状態では、第1、第2の貫通孔30、40は、上下に整列していない非整列位置に配置されているが、播種時には、後述するように、第1のプレート3をスライドさせることで、第1、第2の貫通孔30、40が上下に整列した整列位置に配置される。
【0058】
種子ホッパ部5は、図1ないし図3、図10に示すように、播種すべき種子を貯留するための箱状部材50を有している。箱状部材50は、側板部50A、50B、50C、50D(図2)で囲繞された枠状の部材であって、上下に開口している。上側に位置する上部開口部は、作業者が種子を入れるための開口であり、当該上部開口部には、開閉自在な蓋を設けるようにしてもよい。下側に配置される下部開口部は、第1のプレート3の側に開口しており、第1のプレート3の第1の貫通孔30に種子を導入するための開口である。
【0059】
種子ホッパ部5の各側板部50A、50B、50C、50Dの下面には、図3、図4および図10に示すように、ブラシ状部材51が装着されている。ブラシ状部材51は、第1のプレート3の上面に当接している。このブラシ状部材51としては、例えば建材用のモヘアシールなどが適している。モヘアシールは、例えばナイロン樹脂等からなる多数の毛が密生してなるモヘア本体と、表面にモヘア本体の基部が固着されるとともに、裏面に粘着面を有するベースシートとから構成されている。
【0060】
種子ホッパ部5の短手方向の各側板部50C、50Dには、図2および図10に示すように、取付具52、53を介してスライド部54、55がそれぞれ設けられている。スライド部54、55は、側面視コ字状の部材であって、枠体2の各側板部20、21に上方から跨ぐように取り付けられており、それぞれ各側板部20、21にスライド自在に支持されている。
【0061】
スライド部54、55の下端には、内方に突出する一対の突出部54a、55aがそれぞれ形成されている。その一方、枠体2の各側板部20、21の内外側面には、図1、図3、図5および図6に示すように、長手方向に延びるガイド溝20b、20b’および21b、21b’がそれぞれ形成されている。スライド部54の各突出部54aは、ガイド溝20b、20b’にスライド自在に係合しており、スライド部55の各突出部55aは、ガイド溝21b、21b’にスライド自在に係合している(図4参照)。これにより、種子ホッパ部5は、第1のプレート3上をスライド自在に設けられており、また、種子ホッパ部5のスライド移動の際には、ブラシ状部材51の先端が第1のプレート3に接触してわずかに弾性変形しつつ第1のプレート3の上を摺接するようになっている。
【0062】
各スライド部54、55には、それぞれ止めネジ56、57が上方から螺合している。止めネジ56は、スライド部54を側板部20上の所望位置で固定するためのものであり、同様に、止めネジ57は、スライド部55を側板部21上の所望位置で固定するためのものである。
【0063】
枠体2の各側板部20、21の内外側面には、図7ないし図9に示すように、側板部23の近傍位置において、凹部20c、20c’および21c、21c’がそれぞれ形成されている。凹部20c、20c’は、側板部20の上面に開口しつつ下方に延びており、それぞれガイド溝20b、20b’に連通している。同様に、凹部21c、21c’は、側板部21の上面に開口しつつ下方に延びており、それぞれガイド溝21b、21b’に連通している。これらの凹部20c、20c’および21c、21c’は、種子ホッパ部5の各スライド部54、55を各側板部20、21に上方から嵌め込むためのものである。
【0064】
種子ホッパ部5には、図1ないし図4、および図10に示すように、当該種子ホッパ部5の箱状部材50の内部空間を仕切るための仕切部材58が設けられている。仕切部材58は、図11に示すように、種子ホッパ部5の長手方向の側板部50A、50B間に延在する仕切プレート58Aを有している。仕切プレート58Aは、側板部50A、50Bの各内側面との間に種子が通り抜けるような隙間を形成することなく、かつ当該仕切プレート58Aが側板部50A、50Bの各内側面に沿って長手方向(図11紙面垂直方向)に滑らかにスライド(つまり摺接)し得るような大きさを有している。仕切プレート58Aの下面には、種子ホッパ部5の各側板部50A、50B、50C、50Dの下面に設けられたブラシ状部材51と同様のブラシ状部材51が装着されている。ブラシ状部材51は、同様に、第1のプレート3の上面に当接している。
【0065】
仕切プレート58Aの上部には、図11に示すように、側面視コ字状の係止部58Bが係止している。係止部58Bには、上方から止めネジ58Cが螺合しており、止めネジ58Cの下端は、仕切プレート58A上部の内部に嵌着された嵌合部材59に回転自在に支持されている。係止部58の下端には、内方に突出する一対の突出部58bが形成されている。その一方、種子ホッパ部5の長手方向の側板部50A、50Bの各外側面には、長手方向に延びるガイド溝50aがそれぞれ形成されている。係止部58B下端の各突出部58bは、ガイド溝50aにスライド自在に係合している。
【0066】
枠体2の各側板部20、21の端部に形成された切欠き部2A(図1)には、図12に示すように、播種終了後に種子ホッパ部5の内部に残留した種子を回収するための回収容器7が着脱自在に設けられている。
【0067】
回収容器7は、図12に示すように、上方に開口しつつ支承部材25の配設方向(同図紙面垂直方向)に沿って延びる側面視U字状またはコ字状の容器本体70と、容器本体70に一体に連接された係止フック部71とから構成されている。係止フック部71は、支承部材25の端面に設けられた被係止フック部72に係脱自在に係合し得るようになっている。
【0068】
次に、上述のように構成された播種機1を用いた播種作業の仕方について説明する。
播種作業の際には、播種機1を水平な台の上に載置した状態で、第1、第2のプレート3、4の第1、第2の貫通孔30、40を上下に整列しない非整列位置におき(図1ないし図3、図13参照)、播種機1の長手方向(図2、図3、図13左右方向)の一端側(ここでは側板部23の側)に配置した種子ホッパ部5の中に、これから播種しようとする種子を入れる。このとき、必要に応じて、仕切部材58を適宜移動させておく。
【0069】
例えば、播種機1の短手方向(図13上下方向)の全領域を用いて一種類の種子を播種する際には、仕切部材58を種子ホッパ部5の短手方向の一端側、つまり側板部50Cまたは50Dに当接する位置まで移動させることにより、種子ホッパ部5の内部に単一の空間を形成して、当該空間内に種子を入れる。また、播種機1の短手方向の一部の領域を用いて一種類の種子を播種する際、あるいは、播種機1を用いて2種類の種子を播種する際には、播種すべき種子の播種領域に応じて、仕切部材58を種子ホッパ部5の短手方向の所望の位置まで移動させる。仕切部材58の移動後は、止めネジ58Cを締め込むことにより、係止部材58Bを介して仕切部材58を種子ホッパ部5の各側板部50A、50Bに固定する。そして、仕切部材58で仕切られた種子ホッパ部5の2つの内部空間にそれぞれ所望の種子を入れる。
【0070】
なお、仕切部材58は、仕切部材58で仕切られた種子ホッパ部5の内部空間に種子を入れた後でも移動することが可能である。この移動の際には、仕切プレート58Aの両側面が種子ホッパ部5の側板部50A、50Bの各内側面に摺接するとともに、仕切プレート58Aの下面のブラシ状部材51が第1のプレート3の上面を摺接するので、種子ホッパ部5の一方の内部空間に収容された種子が、他方の内部空間の側に侵入して、他方の内部空間に収容された種子に混入するのを防止できる。
【0071】
次に、種子ホッパ部5を播種機1の長手方向の他端側(ここでは側板部22の側)に向かってゆっくりと移動させる(図13一点鎖線および二点鎖線参照)。すると、この移動中に、種子ホッパ部5に貯留されていた種子Sが、第1のプレート3の第1の貫通孔30の上を通過する際に第1の貫通孔30に導入される(図13A参照)。このとき、種子ホッパ部5の下面のブラシ状部材51が第1のプレート3の上面に摺接しているので、丸い形状の種子だけでなく、扁平な形状の種子であっても、これを傷付けることなく、第1の貫通孔30にスムーズに導入できる。そして、種子ホッパ部5が播種機1の長手方向の他端側において第1のプレート3の端部まで移動したとき、止めネジ56、57を締め込むことにより、種子ホッパ部5を枠体2の側板部20、21に固定する(図13二点鎖線参照)。
【0072】
この状態から、取手6を用いて第1のプレート3を各側板部20、21の各ガイド溝20a、21aに沿って引き出し、第1のプレート3の第1の貫通孔30を第2のプレート4の第2の貫通孔40に対して上下に整列する整列位置におく(図14参照)。なお、このとき、第1のプレート3の移動距離は、第1、第2の貫通孔30、40の長手方向のピッチ間隔に等しい。また、第1のプレート3の移動後に第1のプレート3の端面に当接するストッパ部を枠体2の側板部20、21の各内側面に出没自在に設けるようにしてもよい。この場合には、作業者が、第1、第2の貫通孔30、40が上下に整列する位置まで第1のプレート3を目視で移動させるのに比べて、作業を機械的に行えるので、作業性が向上する。
【0073】
第1、第2のプレート3、4の第1、第2の貫通孔30、40が上下に整列すると、第1のプレート3の第1の貫通孔30に導入されていた種子Sが、図14Aに示すように、自重で第2のプレート4の第2の貫通孔40を通って下方に落下する。
このようにして、種子が所定の間隔で播種されることになる。
【0074】
この場合には、第1のプレート3の第1の貫通孔30への種子Sの導入に際して、播種機1を左右に何度も振り動かしたり、播種機1を何度も傾けたり、あるいは播種機1を何度も振動、揺動または回動させたりすることなく、種子Sを貯留した種子ホッパ部5を第1のプレート3上で一度スライドさせるだけでよい。これにより、播種作業を無駄なく非常に効率よく行えるようになる。
【0075】
また、この場合には、種子ホッパ部5が第1のプレート3の上をスライドする際には、種子ホッパ部5の下部のブラシ状部材51が第1のプレート3の上面に摺接しつつ移動するので、種子ホッパ部の移動の際に、種子が種子ホッパ部の下面に挟み込まれるのを防止できる。また、種子ホッパ部5の下部から第1のプレート3の上に流出して、第1の貫通孔30に余分に導入された種子Sは、ブラシ状部材51の作用により、種子ホッパ部5の移動にともなって第1の貫通孔30から掃き出されて、種子ホッパ部5の内部に貯留されたままの状態におかれる。さらに、種子ホッパ部5の下部から第1のプレート3の上に流出して、第1のプレート3の第1の貫通孔30には導入されずに第1の貫通孔30の周囲に残された余分な種子Sは、ブラシ状部材51の作用により、種子ホッパ部5の移動にともなって種子ホッパ部5の内部に貯留されたままの状態におかれる。
【0076】
このように、ブラシ状部材51の作用により、種子ホッパ部5が移動した後に第1のプレート3の上に余分な種子が残留するのを防止でき、これにより、播種作業を無駄なくさらに効率よく行えるようになる。
【0077】
次に、播種作業を繰り返し行う場合には、図15に示すように、種子ホッパ部5を第1のプレート3の端部の位置に固定した状態で、取手6を用いて第1のプレート3を元の位置まで押し込んで、第1のプレート3の第1の貫通孔30が第2のプレート4の第2の貫通孔40と整列しない非整列位置におく。
【0078】
この状態から、止めネジ56、57を緩め、種子ホッパ部5を播種機1の長手方向の一端側(つまり側板部23の側)に向かってゆっくりと移動させる。この移動の際にも、種子ホッパ部5に貯留されていた種子Sが、第1のプレート3の第1の貫通孔30の上を通過する際に、第1の貫通孔30に導入される(図13A参照)。種子ホッパ部5が播種機1の長手方向の一端側の位置まで移動したとき、止めネジ56、57を締め込むことにより、種子ホッパ部5を枠体2の側板部20、21に固定する。
【0079】
次に、取手6を用いて第1のプレート3を各側板部20、21の各ガイド溝20a、21aに沿って引き出し、第1のプレート3の第1の貫通孔30を第2のプレート4の第2の貫通孔40に対して上下に整列する整列位置におく(図16参照)。
【0080】
第1、第2のプレート3、4の第1、第2の貫通孔30、40が上下に整列すると、第1のプレート3の第1の貫通孔30に導入されていた種子Sが、自重で第2のプレート4の第2の貫通孔40を通って下方に落下する(図14A参照)。
このようにして、種子が所定の間隔で播種されることになる。
【0081】
この場合においても、第1のプレート3の第1の貫通孔30への種子Sの導入に際して、播種機1を何度も振動、揺動、傾動または回動させたりすることなく、種子Sを貯留した種子ホッパ部5を第1のプレート3上で一度スライドさせるだけでよいので、播種作業を無駄なく非常に効率よく行えるようになる。
【0082】
また、この場合においても、種子ホッパ部5が第1のプレート3の上をスライドする際には、種子ホッパ部5の下部のブラシ状部材51が第1のプレート3の上面に摺接しつつ移動するので、種子ホッパ部5の下部から第1のプレート3の上に流出して、第1の貫通孔30に余分に導入された種子Sや、第1の貫通孔30には導入されずに第1の貫通孔30の周囲に残された余分な種子Sは、ブラシ状部材51の作用により、種子ホッパ部5の移動にともなって、第1の貫通孔30から掃き出され、また種子ホッパ部5の内部に貯留されたままの状態におかれる。
【0083】
このように、ブラシ状部材51の作用により、種子ホッパ部5が移動した後に第1のプレート3の上に余分な種子が残留するのを防止でき、これにより、播種作業を無駄なくさらに効率77よく行えるようになる。
【0084】
播種作業の終了後は、枠体2の支承部材25に取り付けられた被係止フック部72に回収容器7の係止フック部71を係合させる(図12参照)。次に、種子ホッパ部5を回収容器7の上方位置まで移動させる。
【0085】
すると、種子ホッパ部5の内部に残留していた種子Sが下方に落下して、回収容器7の容器本体70内に回収される。これにより、播種作業後に種子ホッパ部の内部に種子が残留していた場合でも、これらの残留種子を枠体の一端側の回収部で一度に回収できるので、作業を効率よく行える。
【0086】
なお、仕切部材58によって種子ホッパ部5の内部空間が2つの空間に仕切られているとき、各空間にそれぞれ異なる種類の種子を入れておくことにより、種類の異なる種子の播種を一度に行えるようになる。また、仕切部材58を移動させることで、仕切部材58で仕切られる種子ホッパ部5内部の複数の空間をそれぞれ任意の大きさに設定でき、これにより、種類の異なる種子の播種面積を適宜調整できるようになる。
【0087】
また、第1、第2のプレート3、4が枠体2に着脱自在に設けられていることにより、孔径や孔の配列が異なる複数種類の第1、第2のプレート3、4を枠体2に装着できるようになり、その結果、大きさや形状の異なる種々の種子や様々な種子配列の播種に容易に対応できるようになる。
【0088】
さらに、第2のプレート4の下面が常時、支承部材25〜27により下方から支承されているので、第2のプレート4が自重で下方に撓むのを防止でき、これにより、第2のプレート4と第1のプレート3との間に、種子Sが入り込むような隙間が形成されるのを確実に防止できる。その結果、播種作業が中断することなく、連続して行えるようになる。
【0089】
また、支承部材25〜27が第2のプレート4の下面に沿って移動可能に設けられている場合には、枠体2に装着される第2のプレート4の第2の貫通孔40の配列に応じて、第2の貫通孔40と干渉しない位置に支承部材25〜27を移動できるので、孔径や孔の配列が異なる複数種類の第2のプレート4に容易に対応できるようになり、その結果、大きさや形状の異なる種々の種子や様々な種子配列の播種に容易に対応できるようになる。
【0090】
<他の実施例1>
前記実施例では、播種の際に上側の第1のプレート3を下側の第2のプレート4に対してスライドさせる例を示したが、本発明は、これとは逆に、下側の第2のプレート4を上側の第1のプレート3に対してスライドさせるようにした例にも同様に適用できる。すなわち、本発明は、上下に重ね合わされた第1、第2のプレートが相互にスライド自在に設けられた播種機に適用可能である。
【0091】
<他の実施例2>
前記実施例では、第1のプレート3をスライド自在に支持するガイド部として、側板部20、21の各内側面にそれぞれ形成したガイド溝20a、21aを用いることにより、装置全体の構造を簡略化した例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。ガイド部として、側板部20、21の各内側面に沿って長手方向に延設されたガイドレール(図示せず)を用いるようにしてもよい。この場合、第1のプレート3の長手方向の各端部は、当該ガイドレールにスライド自在に係合している。
【0092】
<他の実施例3>
前記実施例では、第1のプレート3の第1の貫通孔30および第2のプレート4の第2の貫通孔40が、播種機1の長手方向および短手方向に格子状に配列された例を示したが、これらの貫通孔30、40の配列は、播種される育苗ポットの間隔や、プラグトレーの複数の育苗孔の間隔、または播種地床に播種される種子の間隔等に応じて、適宜決定される。この場合、第1、第2のプレート3、4として、配列の異なる複数種類の組合せを用意しておき、必要に応じて第1、第2のプレート3、4を適宜交換するようにすればよい。また、各貫通孔30、40の孔径についても、播種される種子の大きさに応じて適宜決定される。
【0093】
<他の実施例4>
前記実施例では、種子ホッパ部5が、矩形状の枠体2の長手方向(図2左右方向)に沿ってスライド自在に設けられた例を示したが、種子ホッパ部は、矩形状の枠体2の長手方向と直交する短手方向(同図上下方向)にスライド自在に設けられるようにしてもよい。
【0094】
<他の実施例5>
前記実施例では、単一の仕切部材58が設けられた例を示したが、複数の仕切部材を設けるようにしてもよい。この場合には、種子ホッパ部5が、仕切部材で仕切られた3つ以上の内部空間を有することになるので、3種類以上の種子の播種が可能になる。
【0095】
<他の実施例6>
前記実施例では、種子ホッパ部5の短手方向の各側板部50C、50Dの下面にブラシ状部材51を装着しているため、種子ホッパ部5内の種子が枠体2の各側板部20、21の各ガイド溝20a、21a内に侵入するのが防止されているが、より万全を期すため、第1のプレート3の長手方向の両端縁部近傍位置に、長手方向に延びる一対の凸条部を設けるようにしてもよい。この場合には、第1のプレート3上の種子が各側板部20、21の各ガイド溝20a、21aまで移動するには、種子がこれらの凸条部を乗り越えて行かなくてはならないため、第1のプレート3上の種子が各ガイド溝20a、21aに侵入するのが確実に防止されている。また、同様の趣旨で、第1のプレート3上の種子が枠体2の側板部23の係合溝23aに侵入するのを防止するために、第1のプレート3の短手方向の端部のうち、側板部23側の端部の縁部近傍位置に、短手方向に延びる凸条部を設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上のように、本発明による播種機は、種子を所定の間隔で播種するためのスライド式の播種機に適している。
【符号の説明】
【0097】
1: 播種機

2: 枠体
20a、21a: ガイド溝
25、26、27: 支承部材

3: 第1のプレート
30: 第1の貫通孔

4: 第2のプレート
40: 第2の貫通孔

5: 種子ホッパ部
5A〜5D: 側板部
51: ブラシ状部材
58: 仕切部材


7: 回収容器

S: 種子
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】実開昭57−100814号公報(第4図および第5図参照)
【特許文献2】実公昭35−16643号公報(第1図〜第3図参照)
【特許文献3】特開2009−72176号公報(図1および図2参照)
【特許文献4】特開2006−288285号公報(図1、図4および図5参照)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種子を所定の間隔で播種するための播種機であって、
上方および下方に開口する開口部を有する枠体と、
前記枠体の前記開口部を覆うように前記枠体に積層支持されるとともに、種子が挿通する大きさを有しかつ各々所定の間隔で配置された第1、第2の貫通孔をそれぞれ複数個有し、前記第1、第2の貫通孔が上下に整列する整列位置と非整列位置とをとり得るように相互にスライド自在に設けられた第1、第2のプレートと、
前記枠体に支持されかつ前記第1のプレートの上をスライド自在に設けられるとともに、前記第1のプレートの側に開口する下部開口部を有しかつ多数の種子を貯留し得る種子ホッパ部と、
を備えた播種機。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2のプレートが前記枠体に移動不能に支持され、前記第1のプレートが、前記第2のプレートの上に重ね合わされるとともに、前記枠体にスライド自在に支持されている、
ことを特徴とする播種機。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1のプレートが、当該第1のプレートのスライド方向に沿って前記枠体に延設されたガイド部によって前記スライド方向に案内されている、
ことを特徴とする播種機。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1のプレートの相対する端部がスライド自在に係合する一対の溝が前記枠体に形成されており、前記溝により前記ガイド部が構成されている、
ことを特徴とする播種機。
【請求項5】
請求項1において、
前記枠体の下部には、前記第2のプレートの下面を下方から支承する支承部材が設けられている、
ことを特徴とする播種機。
【請求項6】
請求項5において、
前記支承部材が、前記第2のプレートの下面に沿って移動可能に設けられている、
ことを特徴とする播種機。
【請求項7】
請求項1において、
前記第1、第2のプレートが前記枠体に着脱自在に設けられている、
ことを特徴とする播種機。
【請求項8】
請求項1において、
前記種子ホッパ部が、上方に開口する上部開口部を有しかつ側板部で囲繞された枠状部材である、
ことを特徴とする播種機。
【請求項9】
請求項1において、
前記種子ホッパ部の下部には、前記第1のプレートの上面に摺接するブラシ状部材が設けられている、
ことを特徴とする播種機。
【請求項10】
請求項1において、
前記種子ホッパ部の内部には、当該種子ホッパ部の内部空間を仕切るための仕切部材が設けられている、
ことを特徴とする播種機。
【請求項11】
請求項10において、
前記仕切部材が前記種子ホッパ部の長手方向に沿ってスライド自在に設けられている、
ことを特徴とする播種機。
【請求項12】
請求項10において、
前記仕切部材の下部には、前記第1のプレートの上面に摺接するブラシ状部材が設けられている、
ことを特徴とする播種機。
【請求項13】
請求項1において、
前記枠体の一端には、前記種子ホッパ部の内部に残留した種子を回収するための回収部が設けられている、
ことを特徴とする播種機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図13A】
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【図14】
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【図14A】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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