説明

播種装置

【課題】 培地に種子を播く播種装置のハウジングの中空部内周面とローラ外周面との間に種子が入りローラの回転を阻害し、又、凹部の種子の量を変えてしまい点播された種子の量にムラがある。
【解決手段】 移送具(4)のハウジング(12)の上部開口部(20)の一部を弾性体(22)により画定させる。弾性体(22)はローラ(18)の外周面の一部に接触し凹部(19)が中空部内周面に対向するときローラ外周面と中空部内周面との間に種子は入らない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜等のような作物の種子を培地に一定の間隔で点播するための播種装置に関する。
【背景技術】
【0002】
点播タイプの播種装置は、一般に、基台上に回転自在に支持されたローラの表面に周方向と長手方向に複数個の凹部を定間隔に設け、これら凹部を種子用ホッパの開口と対向させる構成を有す。ホッパ内の種子は回転するローラの凹部に順次供給され、種子を充填した凹部が最下端に位置すると種子が自然落下し、育苗用トレイやポット或いは培地に種子を点播する。
【0003】
ローラを支持する基台はレールやラックに沿って一定方向を前進し、種子を横方向、縦方向に点播させる。
【0004】
【特許文献1】特開2002−369610号公報
【特許文献2】特開2001−169613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の播種装置は、ハウジング内の中空部にローラを回転自在に支持させているので、ローラの外周面はハウジングの中空部内周面に播種し、ハウジングの中空部はホッパの開口に対し開放されている。
このため、ローラの凹部がホッパの開口と対向すると、種子はホッパの開口、ハウジングへ開放部を介して凹部内に供給されることになる。種子を充填した凹部はハウジングの中空部内周面に向かい合った形で最下端位置へと移動していく。最下端位置には凹部と対向する開口部をハウジングが有し、種子はこの開口を介して自然落下する。
【0006】
凹部内に種子を充填したローラがハウジングの中空部の内周面に摺接する初期段階で、凹部よりはみ出た種子はハウジングの中空部によりホッパ内に戻される。
しかしながら、水菜のような野菜の種子は小さく、ローラ外周面とハウジングの中空部内周面との間に入り込み、ローラの回転を阻害する。
それ故に、本発明は前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するために、基本的にはハウジングの上方開口部に弾性体、好ましくは、スポンジプレートを取り付け、ローラの外周面の少なくとも一部が弾性体と摺接させる技術的手段を用いる。
弾性体とローラの一部との接触は、ローラの回転抵抗の増加を招くことなく、小さな種子がハウジングの中空部内周面とローラ外周面との隙間に入ることはない。このため、所定量の種子を凹部に充填し、培地に定間隔に供給できる。
【0008】
本発明によれば、中空部を有するハウジングと、ハウジングの中空部内に回転自在に支承されかつその外周面に複数個の種子を入れる凹部を有するローラと、ハウジングの上方開口部に連通しかつ凹部と対向する開口を有するホッパと、ハウジングの上方開口部に少なくとも位置しかつローラの外周面と摺接する弾性体を有する播種装置が提供される。
【0009】
好ましくは、ローラの両端にホイールを有し、該ホイールが培地に配した基台のラックと噛合い、ハウジングを基台に沿って移動させることでローラがハウジングに対して回転する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ローラとハウジング中空部との間に種子が入ることなく、又、凹部に適正量の種子を確実に充填できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好ましい実施の形態としての播種装置1は、培地2に沿って移動自在な基台3と、基台3に沿って移動可能な移送具4よりなる。
基台3は、図2に示す如く、方形のフレーム5と、側枠上のラック6と、フレーム5に張設された孔付きプレート7よりなる。左右枠8,9は培地2の側部10に裁置され、手動又はエアを用いて側部10に沿って移動可能とさせる。プレート7の孔11は、後述する種子を培地2に一定間隔で播くためのものである。
【0012】
図3を参照する。移送具4は、ハウジング12と、把手13と、ホイール14とを有し、把手13はシャフト15に枢支される。ホイール14はシャフト15に固定され、基台3のラック6に沿って移動しながら回転する。ハウジング12は、複数のパイプ16を有し、パイプ16の数はプレート6の横方向(行)の孔の数と同じである。本例は5本のパイプ16を用いているが、この数に特定されない。ハウジング12の上方部は種子を入れる容器17となっている。容器17はホッパとも称せられ、蓋(図1参照)が付けられる。
【0013】
図4と図5を参照する。ハウジング12の中空部にローラ18が回転自在に収容される。ローラ18は、シャフト15を介してホイール14に結合され、ホイール14の回転に同期してハウジング12内を回転する。ローラ18の外周面に凹部19が形成されている。凹部19は、好ましくは、周方向に4個、長手方向にパイプ16の数と同じ数設けられる。凹部19は、ハウジング12の上方開口部20と下方開口部21と対向可能となっている。
【0014】
図5に示すように、ハウジング12の円筒状の容器17は、中空部を形成する本体に嵌着される。上方開口部20は容器即ちホッパ17の下部開口と連通し、容器17内に収容した種子は上方開口部20を介して凹部19内に供給される。
上方開口部20の一側は大きく削り取られ、その部分に弾性体22を配し、上方開口部20を画定する。弾性体22は、好ましくは、スポンジからなり、その一部がローラ18の外周面に接する。弾性体22は、ローラ18の回転抵抗を増大させることはない。又、弾性体22とローラ外周面との程良い接触は、両者間及びハウジング12の中空部内周面とローラ外周面との間に種子を入れることを阻止できる。
【0015】
次に操作について述べる。図1に示すように、培地2の側部10に基台3の左右枠8,9を載せ、移送具4を基台3にセットする。即ち、ホイール14をラック6に噛合わせる。
移送具4の容器17間に種子を入れて、移送具4を基台3の長手方向へ移動させる。ホイール14がラック6により回転し、ローラ18も同回転する。図5に示すように、上方開口部20と対向する凹部19内に種子が入り、ローラ18の回転により弾性体22により余分な種子は除かれ、種子の入った凹部はハウジング12の中空部内周面により閉じられた形で最下端位置へと移動していく。凹部19が下方開口部21と対向すると、種子はパイプ16とプレート7の孔11を介して自然落下し、培地へ点播される。
【0016】
本例では、5本のパイプ16を用いているので、1行に5個所の種まきがなされ、移送具4の前進に従い順次その数を増やし12列の種まきをする。その後は、基台3を培地2の側部10に沿って所定量移動させ、同じように、移送具4を基台3に沿って移動させ培地2へ種子を点播させる。この動作を繰り返すことで培地2に種子を点播させる。種子はプレート7の孔11のパターンで点播させられる。
【0017】
図1乃至5に示す例は、ローラ18を回転させたが、図6乃至8に示すように往復式のロッド23を用いてもよい。ロッド23は孔24を有し、ハウジング27内の種子収容部25に種子26を充填させる。ロッド23の孔24に種子26が1個入る。
ロッド23を前進させると、ロッド23の孔24はスポンジ28と対向し、種子26をスポンジ28で保護しながら前進させる。ロッド23の孔24が空間29にくると、種子26は空間29内に自然落下し、種子26を1個培地へ播くことができる。
【0018】
本例において、ハウジング27をペン形とし、ロッド23をスプリングで一方向に付勢しかつその先端をノック部とさせ、空間29をノズル口と連通させる。種子26はハウジング27の適所から収容部26へ入れる。使用に際しては、ノック部をスプリングの付勢力に抗して押下げ(ボールペンの操作と同じ)、ロッド23を前進させることでノズルより一つの種子を培地へ供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一例の装置の正面図である。
【図2】基台の斜視図である。
【図3】移送具の斜視図である。
【図4】ハウジングの断面図である。
【図5】移送具の断面図である。
【図6】ロッドが静止位置をとるときの断面図である。
【図7】ロッドを前進させたときの断面図である。
【図8】ロッドが最前方位置をとるときの断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 播種装置
2 培地
3 基台
4 移送具
5 フレーム
6 ラック
7 孔付きプレート
11 孔
12 ハウジング
13 把手
14 ホイール
16 パイプ
17 容器(ホッパ)
18 ローラ
19 凹部
20,21 開口部
22 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有するハウジングと、ハウジングの中空部内に回転自在に支承されかつその外周面に複数個の種子を入れる凹部を有するローラと、ハウジングの上方開口部に連通しかつ凹部と対向する開口を有するホッパと、ハウジングの上方開口部に少なくとも位置しかつローラの外周面と摺接する弾性体を有する播種装置。
【請求項2】
ローラの両端にホイールを有し、該ホイールが培地に配した基台のラックと噛合い、ハウジングを基台に沿って移動させることでローラがハウジングに対して回転する請求項1記載の播種装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−158201(P2006−158201A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338331(P2004−338331)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(598074601)株式会社ダイショープレイン (1)
【Fターム(参考)】