説明

撮像対象装置および温度分布計測方法

【課題】空間における気体の温度分布を容易に把握することを課題とする。
【解決手段】気体の温度分布の計測対象位置にシート14を設置する設置ステップS1と、設置ステップS1において設置されたシート14を、少なくとも赤外線を検知可能な撮像装置によって撮像する撮像ステップS4と、を備え、設置ステップS1では、計測対象位置における主な気流の流れ方向に対してシート14の面が略平行となるようにシート14が設置される、温度分布計測方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度分布計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーバールーム内のラックの前面側や、二重床上の冷気送出口などに温度センサを設置して、サーバールーム内の温度を計測する方法が提案されている(特許文献1および2を参照)。
【0003】
また、サーバールーム内に赤外線を検知することにより温度認識が可能なカメラを設置して、サーバールーム内の温度を計測する方法が提案されており(特許文献3を参照)、温度を測定すべき領域に熱伝導度が低い物質で作られ、編み目部分に放射率の高い物質で作られた球が取りつけられている網を張り、この網の温度分布をサーモグラフィ装置を用いて測定する温度分布測定方法が提案されている(特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−85011号公報
【特許文献2】特開2010−108359号公報
【特許文献3】特開2009−282915号公報
【特許文献4】特開昭61−186825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、効率的に空間を空調する空調技術の開発が行われている。ここで、空間を効率的に空調するための対策を行うには、現状の温度分布状況を正確に把握する必要がある。
【0006】
例えば、空調対象の空間としては、多数の情報処理機器が設置された情報処理機器室(データセンター等)等があり、従来、情報処理機器室内のラックの前面側や、二重床上の冷気送出口などに温度センサを設置して、情報処理機器室内の温度を計測することで、温度分布を把握する方法が用いられている。しかし、このような方法は、温度センサを設置した点のみしか計測されないため、情報処理機器室内の正確な温度分布を把握するには不十分である。また、正確な温度分布状況を把握しようとすると、多数の温度センサを設置する必要があり、コストや作業時間が増大するという問題があった。
【0007】
また、情報処理機器室内の温度を計測する他の方法としては、情報処理機器室内にサーモカメラ等を設置して、情報処理機器室内の温度を計測する方法がある。しかし、この種のカメラは、物体の表面から放射される赤外線のエネルギー量により物体の温度を計測するものであり、物体の表面の温度は計測可能であるが、空間の温度を計測することは出来ない。このため、サーモカメラ等を用いた従来提案されている温度計測方法は、空間における気体の温度分布を把握するには不十分であった。
【0008】
本発明は、上記した問題に鑑み、空間における気体の温度分布を容易に把握することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、空間における気体の温度分布をシートに反映させ、このシートを、赤外線を検知可能な撮像装置によって撮像することで、空間における気体の温度分布を容易に把握
することを可能にした。
【0010】
詳細には、本発明は、気体の温度分布の計測対象位置にシートを設置する設置ステップと、前記設置ステップにおいて設置された前記シートを、少なくとも赤外線を検知可能な撮像装置によって撮像する撮像ステップと、を備え、前記設置ステップでは、前記計測対象位置における主な気流の流れ方向に対して前記シートの面が略平行となるように前記シートが設置される、温度分布計測方法である。
【0011】
シートには、設置位置における気体から、熱が移動する。このため、シートには、設置位置における気体の温度分布に応じた温度分布が生じることになる。本発明では、このようにして空間中の気体の温度分布をシートに反映させ、このシートにおける温度分布を少なくとも赤外線を検知可能な撮像装置(所謂サーモカメラ等)で撮像することで、間接的に気体の空間中における温度分布を計測することとした。また、本発明に係る温度分布計測方法によれば、計測対象位置における主な気流の流れ方向に対してシートの面が略平行となるようにシートが設置されることで、計測対象位置においてシートが気流の流れに与える影響(例えば気流の跳ね返り等)を抑え、計測対象位置における気体の温度分布を、シートが存在しない状態により近い状態で計測することが出来る。
【0012】
本発明によれば、空間中の気体の温度分布をシートに反映させ、このシートにおける温度分布を少なくとも赤外線を検知可能な撮像装置(所謂サーモカメラ等)で撮像することで、間接的に気体の空間中における温度分布を計測することが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る温度分布計測方法は、前記設置ステップにおいて設置された前記シートに、気体を接触させることで、設置位置における気体の温度分布を該シートに反映させるステップを更に備えてもよい。
【0014】
また、ここで用いるシートを、通気性を有するシートとすることで、計測対象位置にシートが設置された状態であっても、計測対象位置における気体の流れを殆ど阻害しないようにすることが出来る。このため、本発明によれば、計測対象位置における気体の状態を、シートが設置されていない状態と略同様の状態としたまま、設置位置における気体の温度分布を、シートに反映することが出来る。
【0015】
また、本発明に係る温度分布計測方法は、前記撮像ステップにおける撮像の後に、前記シートの設置位置を変更する変更ステップを更に備え、前記撮像ステップと前記変更ステップとを交互に繰り返すことで、複数の計測対象位置に係る前記温度分布を計測してもよい。
【0016】
即ち、撮像ステップと変更ステップとを交互に繰り返すことで、空間の温度分布を、連続的にあるいは断続的に一連のものとして計測することが出来る。
【0017】
また、本発明において、前記計測対象位置は、通路内の位置であり、前記変更ステップでは、前記通路の奥行方向に設置位置が変更されてもよい。
【0018】
また、本発明において、前記計測対象位置は、情報処理機器が搭載されたラックを有する情報処理機器室内の位置であり、前記設置ステップでは、前記ラックの前面または背面に対して前記シートの面が略直交するように、前記シートが設置されてもよい。
【0019】
本発明によれば、シートが、シートの面がラックの前面または背面に対して垂直になるように設置されることで、計測対象位置における主な気流の流れ方向に対してシートの面が略平行となり、シートが気流の流れに与える影響を抑えることが出来る。
【0020】
また、本発明は、温度分布を計測するための装置の発明としても把握することが出来る。即ち、本発明は、通気性を有するシートであって、該シートの設置位置における気体の温度分布が反映されるシートと、前記シートが前記温度分布の計測対象位置に設置された状態で、該シートを支持するシート保持部と、を備え、少なくとも赤外線を検知可能な撮像装置によって撮像される、撮像対象装置である。
【0021】
ここで、シートは、通気性を有するため、計測対象位置にシートが設置された状態であっても、計測対象位置における気体の流れは殆ど阻害されない。このため、本発明によれば、計測対象位置における気体の状態を、シートが設置されていない状態と略同様の状態としたまま、設置位置における気体の温度分布を、シートに反映することが出来る。
【0022】
また、本発明において、前記シートは、前記撮像装置による撮像位置から見て該シートの反対側にある物体からの赤外線を実質的に遮断可能であってもよい。
【0023】
このようにすることで、撮像装置がシートの向こう側から透過した赤外線を検知してしまい、計測結果に影響を与えることを防止することが出来る。このため、例えば、シートの厚みは、シートの向こう側から透過した赤外線を、温度分布計測上無視できるレベル以下に出来る程度の厚み以上、且つ圧力損失が無視出来る程度の大きさの厚み以下とすることが好ましい。また、シートとしてフィルタ等の目の粗い素材を用いる場合、その開口率は、サーモカメラで撮像した場合にシートの向こう側から透過した赤外線が温度分布計測上無視できるレベル以下に出来る程度の開口率以下、且つ圧力損失が無視出来る程度の開口率以上であることが好ましい。
【0024】
また、本発明において、前記シート保持部は、高さ方向に伸縮自在であり、前記シートを、該撮像対象装置が設置される部屋の床近傍から天井近傍まで拡げた状態で保持してもよい。
【0025】
また、本発明において、前記シート保持部は、幅方向に伸縮自在であり、前記シートを幅方向に拡げた状態で保持してもよい。
【0026】
本発明に係る撮像対象装置によれば、シート保持部が伸縮自在であるため、様々な天井高さや通路幅の部屋において使用することが出来、空間の隅々まで温度分布を計測することが出来る。また、前記シート保持部は、少なくとも床面に設けられた冷気送出口の幅よりも広く前記シートを拡げた状態で保持可能であってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、空間における気体の温度分布を容易に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態に係る温度分布計測を行うために用いられる、撮像対象装置を示す図である。
【図2】実施形態に係る温度分布計測を行うために用いられる、撮像対象装置を示す図である。
【図3】実施形態に係る撮像対象装置において、温度分布計測の対象範囲を変更する様子を示す図である。
【図4】実施形態において、リングを用いてシートがフレームに設置される様子を示す図である。
【図5】実施形態において、目玉クリップを用いてシートがフレームに設置される様子を示す図である。
【図6】実施形態に係る撮像対象装置が設置される情報処理機器室を示す平面図である。
【図7】実施形態に係る撮像対象装置が設置される情報処理機器室を示す側面図である。
【図8】実施形態における温度分布計測の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施形態において、情報処理機器室の通路に撮像対象装置が設置された様子を示す斜視図である。
【図10】実施形態において、情報処理機器室の通路に撮像対象装置が設置された様子を示す側面図である。
【図11】実施形態においてサーモカメラを用いて撮像された撮像対象装置および両サイドのラック列のイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係る温度分布計測方法および撮像対象装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0030】
<撮像対象装置の構成>
図1および図2は、本実施形態に係る温度分布計測を行うために用いられる、撮像対象装置10を示す図である。本実施形態において、撮像対象装置10は、ベースフレーム11、縦部材12、上部材13、シート14、キャスタ15、リング16および把持部17を備える。ベースフレーム11は、4本の棒状の部材が、コーナーの接続部材を用いて、全体として平面視矩形状となるように接続されることで構成される。
【0031】
このように構成されることで、ベースフレーム11は、後述する赤外線を検知することにより温度認識が可能なカメラ(以下、「サーモカメラ」と称する。他に、赤外線カメラ、サーモグラフィ装置等とも称される。)による撮像方向から見て前方の部材11f、後方の部材11b、および前後の部材11f、11bを繋ぐ2本の側部材11s、11sを有する矩形状となる。2本の縦部材12は、夫々、ベースフレーム11の前方部材11fの両端近傍に立設され、上部材13は、縦部材12の各上端に架け渡されている。ベースフレーム11、縦部材12、および上部材13がこのようにして設けられることで、ベースフレーム11の前方部材11fの上に、床面に対して略垂直に立設された、シート保持枠が形成される。本実施形態に係るシート保持枠は、本発明に係るシート保持部に相当する。
【0032】
図3は、本実施形態に係る撮像対象装置10において、温度分布計測の対象範囲を変更する様子を示す図である。本実施形態において、ベースフレーム11、縦部材12、および上部材13は、様々な温度分布計測の対象範囲(例えば、情報処理機器室の天井高さや通路幅)に対応出来るようにするため、何れも伸縮自在に構成される。即ち、従来の温度センサを用いた温度分布計測では対象範囲に応じて温度センサの設置数や設置密度を変更する必要があったところ、本実施形態では、撮像対象装置10を用い、シート保持枠を調整することで、温度分布計測の対象範囲を容易に変更することが可能である。なお、ベースフレーム11、縦部材12、上部材13は、夫々伸縮自在とするために、例えば、のぼり旗用のポールおよび横棒や、伸縮自在の物干し竿等を用いて構成されてもよい。
【0033】
本実施形態では、フレームを構成する各部材を、相対的な固定位置を変更可能な複数の部材を用いた構造(図1から3に示された例では、入れ子状に接続された複数のパイプ)とすることで、フレームを伸縮自在としているが、フレームを伸縮自在とするための具体的な構造には、その他の構造が採用されてもよい。例えば、フレームの少なくとも一部に蛇腹状の構造を採用する方法等を採用することが出来る。
【0034】
また、ベースフレーム11の4隅のうち、縦部材12が設けられていない側の2隅には、撮像対象装置10を移動させる際にユーザが把持可能な把持部17が接続されており、更に、ベースフレーム11の4隅の下部には、キャスタ15が接続されている。ユーザは、把持部17を把持して、キャスタ15を用いて撮像対象装置10を容易に移動させることが出来る。
【0035】
シート14は、ベースフレーム11の前方部材11f、2本の縦部材12、および上部材13によって形成されるシート保持枠に取り付けられる。本実施形態では、シート14は、シート保持枠を構成する前方部材11f、2本の縦部材12、および上部材13に、複数のリング16を使用して取り付けられる。このため、本実施形態に係るシート14には、リング16を通すための穴が複数設けられている。なお、リング16を通すための穴は、予め設けられてもよいし、設置時にリング16をシート14に突き刺すことで設けられてもよい。
【0036】
図4は、本実施形態において、リング16を用いてシート14がフレームに設置される様子を示す図である。リング16は、少なくとも一箇所が開閉することで、シート14に開けられた穴に通すことが可能であり、シート14に通された状態でフレームを構成する部材(例えば、前方部材11f、縦部材12、上部材13等)がリング16の内側を通るように設置される。なお、リング16には、例えば、書類綴じ用のリングを用いることが出来る。
【0037】
また、シート14の取り付け方法は、フレームとシート14が固定されれば任意の方法でよく、上記説明した方法に限定されない。シート14は、例えば、カーテンやブラインド等を窓枠に対して設置する方法を用いて、シート保持枠に対して設置されてもよい。より具体的には、フレームに設けられたレール内にレール内を移動可能な駒を設置し、この駒にシート14を保持させることで、シート14を、フレームを構成する各部材の長手方向に移動自在に設置することが出来る。
【0038】
なお、シート14は、クリップ18を用いてフレームに留められてもよい。クリップ18は、板バネやコイルバネ等の力で付勢されてシート14を保持する。クリップ18を用いてシート14を設置することで、シート14の交換等を容易にすることが出来る。
【0039】
また、クリップによってシート14をフレームに留める方法は、図2に示すようにシート14とフレームを構成する部材とを共にクリップ18で挟みこむ方法であってもよいし、その他の方法であってもよい。例えば、目玉クリップ18b等を、リングを用いてフレームに設置することで、目玉クリップ18bによってシート14がフレームに留められる位置の調整を可能としつつ、シート14の交換等を容易にすることが出来る。図5は、本実施形態において、目玉クリップ18bを用いてシート14がフレームに設置される様子を示す図である。
【0040】
次に、本実施形態に係る撮像対象装置10に用いられるシート14について説明する。本実施形態における温度分布計測では、実際に計測したい対象は、空間における気体の温度分布である。このため、シート14は、対象空間に物体(シート14)が存在しない状態に可能な限り近い条件とするために、圧力損失の小さいもの、即ち、空間における気体の移動に与える影響が小さいものであることが好ましい。これは、シートが空間における気体の移動に与える影響が大きい場合、気体がシートに衝突して跳ね返る等して、シートが設置されていない状態と設置された状態とで気流の向きが変わることにより、空間における気体の温度分布が変わってしまう可能性が生じ、正確な温度分布の計測が困難となるからである。
【0041】
また、シート14の表面は、赤外線の反射率が低い材質とすることが好ましい。これは、シートによる赤外線の反射率が高い場合、シート自体から放射される赤外線だけでなく、シート表面で反射した周囲の赤外線をサーモカメラが検知して、計測精度に影響を与え得るからである。赤外線の反射率が高いシートとしては、例えばビニールシート等、シートの表面が滑らかで光沢のあるものが挙げられる。赤外線反射率は、0.2以下(換言すれば、赤外線吸収率が0.8より大)である場合に好適に対象の表面温度を測定することが可能であり、0.1以下(換言すれば、赤外線吸収率が0.9より大)である場合には、より好適に対象の表面温度を測定することが可能である。
【0042】
また、シート14の色については、シート14が光を吸収して温度上昇しない色がよい。本実施形態では、少なくとも可視光がシート14に吸収されることを防止するため、シート14として、白色の空気フィルタを採用することとした。
【0043】
また、シート14の厚みは、サーモカメラで撮像した場合にシート14の向こう側から透過した赤外線が温度分布計測上無視できるレベル以下に出来る程度の厚み以上、且つ圧力損失が無視出来る程度の大きさの厚み以下であることが好ましい。これは、シート14が厚すぎる場合には圧力損失が大きくなり、また薄すぎる場合にはサーモカメラで撮像するとシート14を透過してシート14の向こう側から透過した赤外線が検知されてしまうからである。このため、シート14の赤外線の透過率は、好ましくは0.2以下であり、更に好ましくは0.1以下である。また、シート14としてフィルタ等の目の粗い素材を用いる場合、その開口率は、サーモカメラで撮像した場合にシート14の向こう側から透過した赤外線が温度分布計測上無視できるレベル以下に出来る程度の開口率以下、且つ圧力損失が無視出来る程度の開口率以上であることが好ましい。具体的には、開口率は、10%以上30%以下であることが好ましい。
【0044】
シート14としては、例えば、以下の仕様を有する、日本バイリーン社製の空気フィルタ「フィレドンエアフィルタ 一般再生用 PS/150」を用いることが出来る。
材質:ポリエステル/モダアクリル
厚み:8±2[mm]
標準風速:2.5[m/s]
初期圧力損失:30[Pa]
【0045】
以上、本実施形態に係る撮像対象装置10の具体的な構成について説明したが、本発明に係る撮像対象装置の具体的な構成は、上記説明した具体的な構成に限定されない。撮像対象装置の具体的な構成は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、発明の実施の態様に応じて好適な構成とすることが好ましい。例えば、本実施形態では、シート14が設置されるためのシート保持部を、矩形のシート保持枠としたが、シート保持部は、矩形ではない形状であってもよい。例えば、シート保持部は、上部材を1本の縦部材で支えるT字状の形状を有していてもよいし、上部材および縦部材を有さず、交差する斜め部材からなるX字状の形状を有していてもよい(図示は省略する)。
【0046】
<情報処理機器室の構成>
次に、本実施形態において、上記説明した撮像対象装置10を用いた温度分布計測の対象となる情報処理機器室1を説明する。ここで、情報処理機器とは、サーバ装置や通信機器等の、ラックに搭載され、稼動によって発熱する機器類である。但し、ラックに搭載される機器には、バックアップ機器としての無停電電源装置等、情報処理機器以外の機器が含まれてもよい。また、情報処理機器室1に設置されるラックとしては、情報処理機器を搭載可能なものであればどのような形式のラックが採用されてもよい。但し、本実施形態において説明した撮像対象装置10は、情報処理機器室1のみならず、他の様々な空間に係る温度分布計測に用いることが可能である。
【0047】
図6は、本実施形態に係る撮像対象装置10が設置される情報処理機器室(マシン室)1を示す平面図である。また、図7は、本実施形態に係る撮像対象装置10が設置される情報処理機器室1を示す側面図である。本実施形態に係る情報処理機器室1には、空調換気システムが備えられている。また、情報処理機器室1には複数のラック列9が設置されており、夫々のラック列9には、1または複数の情報処理機器91が搭載されたラック90が横に並べられている。なお、本実施形態では、1のラック列9に5つのラック90が並べられ、情報処理機器室1にはラック列9が4列並べられているが、1のラック列9に並べられるラック90の数、および情報処理機器室1に並べられるラック列9の数は、特に限定されない。
【0048】
本実施形態で用いられるラック90は、ラック90内に上下方向に設けられたレールに情報処理機器91等が固定されることで、情報処理機器91が上下方向に並べられて搭載され、ラック90の前面および背面から内部の情報処理機器91にアクセス可能な構造を有する。ラック90の前面および背面には、ラック90内部への冷気の流入およびラック90内部からの暖気の排気を可能とするための、例えばドアガラリ(ルーバ)等が設けられた開口を有する扉(図示は省略する)が設けられてもよい。情報処理機器搭載用のラック90としては上記説明したような構造のものが一般的に用いられているが、ラック90の具体的な構造は特に限定されない。
【0049】
複数のラック列9は略平行に並べられ、隣り合うラック列9は、夫々に設置されたラック90が互いに前面同士または背面同士で向き合うように配置される。ラック列9がこのように配置されることによって、本実施形態に係る情報処理機器室1では、ラック列9の間の通路が、冷気通路(コールドアイル)および暖気通路(ホットアイル)のうち何れか一方として用いられる。本実施形態では、後述する冷気送出口22が情報処理機器室1の床に列状に並べて、各ラック90の前面に1台ずつ設けられ、この列を挟んでラック90の前面同士が向き合うようにラック列9が配置される。また、後述する還気取込口23についても、天井に冷気送出口22の列と平行に並べて、各ラック90の背面に1台ずつ設けられ、この列を挟んでラック90の背面同士が向き合うようにラック列9が配置される。但し、冷気送出口22および還気取込口23は、必ずしも各ラック90に対応した数だけ設けられる必要はなく、その設置数や設置位置は、実施の形態に応じて適宜選択されることが好ましい。
【0050】
ラック列9の両側のうちラック90の前面が向いている側の空間は、後述する循環系空調システムおよび天吊型空調機30によって冷気が供給される冷気通路である。冷気通路に供給された冷気は、ラック90に搭載された情報処理機器91のファンの稼動によって、ラック90内に取り込まれる。ラック列9の両側のうちラック90の背面が向いている側の空間は、ラック90に搭載された情報処理機器91のファンによって暖気が排気される暖気通路である。暖気通路に排気された暖気は、後述する循環系空調システムの還気取込口23、および天吊型空調機30の吸気口32、の少なくとも何れかによって吸気される。このため、冷気通路および暖気通路において、気流は、主にラックの前面および背面に直交する方向に流れる(図6を参照)。
【0051】
情報処理機器室1には、循環系空調システムが設けられる。循環系空調システムは、暖気通路の天井に設けられた、暖気通路の空気(還気)を取り込むための還気取込口23と、情報処理機器室1の外部(通常は屋外)から外気を取り込む外気取込部(図示は省略する)と、還気取込口23より取り込まれた還気および外気取込部によって取り込まれた外気を温度調節することで冷気を生成し、後述する二重床内の床下チャンバ24へ冷気を送る温度調節装置21と、冷気通路の床面に設けられ、温度調節装置21によって生成された冷気を冷気通路に供給するための冷気送出口22と、を備える。なお、図6および図7
において、温度調節装置21は、情報処理機器室1内に設置されているが、温度調節装置21は、情報処理機器室1外に設置されてもよい。また、温度調節装置21は、直膨コイルを有する従来型のパッケージエアコンであってもよい。
【0052】
本実施形態に係る情報処理機器室1は、情報処理機器91への配線のための二重床構造を備えており、循環系空調システムは、この二重床内に形成された床下チャンバ24(図7を参照)をダクトとして利用して、床に備えられた冷気送出口22まで冷気を送り、冷気送出口22から冷気通路へ冷気を供給する。なお、床面に設けられた冷気送出口22には、その開口率を任意に変更することが可能な空気量調節機構が備えられる。これは、例えばシャッター等の構造を有する機構であり、情報処理機器室1の床面に複数設けられた冷気送出口22毎に、冷気の供給量を調整することが可能となっている。また、循環系空調システムは、天井裏のスペースに設けられ、還気取込口23を温度調節装置21に連通させる還気ダクト25(図7を参照)を利用して、天井部に備えられた還気取込口23から個別に取り込まれた暖気を、温度調節装置21へ送る。但し、還気ダクト25に代えて、躯体天井と情報処理機器室1の天井ボード全面との間の空間を天井チャンバとして利用してもよい。
【0053】
情報処理機器室1には、更に、天井に吊り下げ設置される天吊型空調機30が設けられる(図7を参照)。天吊型空調機30は、直膨型の冷却コイルを有し、図示しない室外機との間を冷媒配管で接続された空調機であり、吸気口32と、吸気口32より吸気した暖気を温度調節することで冷気を生成する本体部と、生成された冷気を送出する送風口31と、を有する。冷媒は、冷媒流量を調節するための電子膨張弁(図示は省略する)を通過して、冷却コイルに供給される。なお、冷媒配管は、情報処理機器室1の上部を通り、1台の室外機に対して複数の天吊型空調機30を接続することが可能である。室外機には、空冷型、水冷型の何れの室外機が採用されてもよい。
【0054】
また、天吊型空調機30は、冷気通路の温度を検出するための温度センサ(図示は省略する)によって検出された冷気通路の温度に応じて、稼動/停止、および運転能力を決定する。天吊型空調機30は、このように制御されることで、循環型空調システムによる空調を補助するように動作し、空調換気システム全体としての効率的な空調を実現する。なお、天吊型空調機30の設置台数または設置間隔は、情報処理機器室1における発熱負荷密度に応じて決定されることが好ましい。
【0055】
次に、本実施形態に係る空調換気システム全体における空気の流れを説明する。図6および図7に示された白地矢印は冷気の流れ、斜線矢印は暖気の流れを示す。情報処理機器91の稼動によって発生した顕熱は、ラック90内部の空気の温度を上げる。
【0056】
暖気通路に排気された暖気は、循環系空調システムの還気取込口23より吸気されて循環系空調システムの本体(温度調節装置21)に送られるか、天吊型空調機30の暖気通路側の側面に設けられた吸気口32より吸気されて天吊型空調機30の本体部に送られる。なお、ここで還気取込口23より取り込まれた暖気は、天井裏のダクト25を通って温度調節装置21に送られる。そして、吸気された暖気は、循環系空調システムの温度調節装置21または天吊型空調機30の本体部によって温度調節され、冷気となる。
【0057】
循環系空調システムの温度調節装置21によって生成された冷気は、床面に設置された冷気送出口22から冷気通路へ供給される。なお、ここで温度調節装置21によって生成された冷気は、二重床内の床下チャンバ24を通って冷気送出口22へ送られる。また、天吊型空調機30の本体部によって生成された冷気は、送風口31を介して冷気通路に供給される。
【0058】
ラック90内の情報処理機器91は、内部に搭載されたファンにより前面側の空間である冷気通路から冷却用空気を取り込み、背面側の空間である暖気通路に温熱空気を排気する。ラック90から排出された温熱空気は、ラック90背面側の暖気通路上部から天井を通って温度調節装置21へ吸い込まれ、再び冷却空気となって二重床から給気される。
【0059】
<温度分布計測方法>
次に、本実施形態に係る温度分布計測方法について説明する。従来、図6および図7を用いて示されるような、データセンター等の大規模な情報処理設備においては、設備内に多数設置される情報処理機器の発熱量や消費電力が増大の一途を辿っており、これに伴い情報処理機器を効率的に冷却する空調技術の開発が行われている。そして、情報処理機器室において、より効率的に情報処理機器を冷却するための対策を行うには、現状の温度分布状況を把握する必要がある。
【0060】
従来、現状の温度分布状況を把握する方法としては、情報処理機器室内のラックの前面側や、二重床上の冷気送出口などに温度センサを設置して、情報処理機器室内の温度を計測する方法や、情報処理機器室内にサーモカメラを設置して、情報処理機器室内の温度を計測する方法が提案されている。
【0061】
しかし、温度分布状況の把握に温度センサを用いる方法では、温度センサを設置した点のみしか計測されない。このため、温度センサを用いる方法では、情報処理機器室内の温度分布を詳細に把握するには不十分であった。また、詳細な温度分布状況を把握しようとすると、多数の温度センサを設置する必要が生じ、コストや作業時間の増大という問題があった。
【0062】
また、温度分布状況の把握にサーモカメラを用いる方法では、この種のカメラは、物体の表面から放射される赤外線のエネルギー量を検知することにより物体の表面温度を計測するものであり、空間における気体の温度を計測することができないため、情報処理機器室内の温度分布状況を把握するには不十分であった。
【0063】
このため、本実施形態では、温度分布計測の対象空間に、気流の圧力損失が小さく、光の反射が小さいシート14を装着した撮像対象装置10を設置して、サーモカメラを用いて撮像対象装置10の温度を計測することにより、空間の温度分布状況を計測することを可能とした。
【0064】
図8は、本実施形態における温度分布計測の流れを示すフローチャートである。なお、本フローチャートに示された処理の具体的な内容および順序等は、本発明を実施する上での一例である。具体的な処理内容および順序等は、実施の形態に応じて適宜選択されることが好ましい。例えば、後述するステップS1とステップS2とは、順序を入れ替えて実施されてもよい。
【0065】
ステップS1では、撮像対象装置10が設置される。初めに、ユーザは、撮像対象装置10を、情報処理機器室1の通路(冷気通路または暖気通路)における、温度分布の計測対象位置に設置する。本実施形態では、全ての通路を温度分布の計測対象とするため、ユーザは、任意の通路の任意の位置において、シート14の面がラック列9に対して垂直になるように、撮像対象装置10を設置する。先述の通り、冷気通路および暖気通路において、気流は、主にラックの前面および背面に直交する方向に流れる(図6を参照)。このため、撮像対象装置10が、シート14の面がラック列9に対して垂直になるように設置されることで、計測対象位置における主な気流の流れ方向に対してシート14の面が略平行となる。シート14をこのような向きに設けることで、シート14が気流の流れに与える影響を抑えることが出来る。
【0066】
なお、本実施形態に係る撮像対象装置10によれば、上記説明した通り、ベースフレーム11は平面視矩形の形状を有しており、シート保持枠は、ベースフレーム11の前方部材11fの上に、床面に対して略垂直に立設されている。このため、ベースフレーム11の側部材11sを通路の少なくとも一方の壁(ラック列9)に沿わせることで、シートの面は通路の奥行方向(長手方向)に対して垂直に保たれる。また、シート保持枠が前方部材11fの上に立設され、サーモカメラに対して前方部材11fが前に、把持部17が後に位置しているため、後述する撮像の際に、ベースフレーム11や把持部17がシート14や床、ラック列9を遮らない。
【0067】
図9は、本実施形態において、情報処理機器室1の通路に撮像対象装置10が設置された様子を示す斜視図である。また、図10は、本実施形態において、情報処理機器室1の通路に撮像対象装置10が設置された様子を示す側面図である。ここで、撮像対象装置10の高さは、床面から天井部に達する高さに調整され、撮像対象装置10の幅は、冷気送出口22の幅よりも大きくなるように調整される。撮像対象装置10の幅は、冷気通路の幅と略等しく(多少の隙間が生じてもよい)、即ち対向するラック列9の一方の面から他方の面まで達する幅まで調整されてもよい。本実施形態に係る撮像対象装置10によれば、フレームを構成する各部材が伸縮自在であるため、様々な天井高さや通路幅の情報処理機器室1において使用することが出来る。
【0068】
ステップS2では、サーモカメラが設置される。ユーザは、撮像対象装置10を撮像するための少なくとも赤外線を検知可能な撮像装置(サーモカメラ等)を設置する。サーモカメラは、通路中央の、シート14を正面から撮像可能な位置に設置される。また、サーモカメラは、シート14の全体および両サイドのラック列9が映るように、シート14に対して距離を置いて設置される。
【0069】
ステップS3では、空間の温度分布がシート14に反映される。ユーザは、必要であれば撮像対象装置10の設置から所定時間待機することで、撮像対象装置10の設置位置における気体の温度分布を、シート14に反映させる。シート14には、設置位置における気体から、熱が移動する。このため、シート14には、設置位置における気体の温度分布に応じた温度分布が生じることになる。
【0070】
ステップS4では、サーモカメラによって撮像対象装置10が撮像される。気体の空間における温度分布が撮像対象装置10に反映されると、ユーザは、サーモカメラを用いて撮像対象装置10を撮像する。即ち、本実施形態では、空間中の気体の温度分布をシート14に反映させ、このシート14における温度分布をサーモカメラで撮像することで、間接的に気体の空間中における温度分布を計測する。正確な温度分布を把握するためには、撮像対象装置10の設置から数10秒〜数分程度の待機時間をとり(ステップS3を参照)、温度分布を充分に反映させてから撮像することが好ましい。但し、撮像対象装置10の設置直後に撮像しても、シート14の設置位置における気体の温度分布を把握することは可能である。
【0071】
ステップS5およびステップS6では、全ての計測対象位置について温度分布の計測が完了したか否かが判断され、全ての計測対象位置について温度分布の計測が完了していない場合、撮像対象装置10およびサーモカメラの位置が移動される。全ての計測対象位置について温度分布の計測が完了していない場合、ユーザは、撮像対象装置10およびサーモカメラを、ラック90の配列方向(通路の奥行方向)に一定距離(例えば、予め決定されたラック数の幅)ずつ移動させながら、各計測対象位置において温度分布をシート14に反映させ、撮像していく(ステップS3からステップS6が繰り返される)。本実施形態に係る撮像対象装置10によれば、撮像対象装置10が移動用のキャスタ15を有して
いるため、容易に設置位置を移動させることが可能であり、温度分布の計測を容易に行うことが出来る。
【0072】
ユーザは、ステップS3からステップS6の作業を情報処理機器室1内の全ての冷気通路および暖気通路に亘って繰り返し行い、情報処理機器室1内の全ての通路の計測対象位置について、温度分布の計測を行う。なお、撮像対象装置10の移動距離は、計測したい温度分布の細かさに応じて設定されることが好ましい。即ち、撮像対象装置10を移動させる間隔を小さくして撮像することによって、より細かい温度分布を計測出来る。
【0073】
図11は、本実施形態においてサーモカメラを用いて撮像された撮像対象装置10および両サイドのラック列9のイメージを示す図である。図11に示すイメージは、上記説明した方法で、冷気通路の3箇所において撮像対象装置10を設置してサーモカメラにより撮像したものであり、このイメージからは、床面、ラック90表面および撮像対象装置10表面の温度分布が把握可能である。
【0074】
また、上記説明した実施形態では、シート14を、ラック90の前面または背面に対して直交するように設置することで、ラック90の前面および背面に直交する方向に流れる気流の流れ(図6を参照)を阻害しないこととしているが、シート14の設置方向は、設置位置における主な気流の流れに対して平行とすることが好ましく、上記説明した実施形態における設置方向に限定されない。例えば、冷気通路の一端側に冷気送出口が設けられ、冷気通路の一端から他端に向けて(即ち通路の奥行方向に)冷気を送出する構成が採用された情報処理機器室においては、主な気流の流れがラックの前面および背面に対して平行となる。このため、このような情報処理機器室において、シートは、ラックの前面および背面に対してシートの面が平行となるように設置されることが好ましい。また、このようなシートの設置方向を採用し、通路の幅が不足しているためにシート正面にサーモカメラを設置することが出来ない場合には、サーモカメラをラックの上方側または下方側に設置し、シートを斜めから撮像することとしてもよい。
【0075】
<効果>
本実施形態によれば、シート14を空気の主な流れに対して並行に設置し、空気の流れ場を極力乱さないようにし、また、シート14にも若干の空気流通性を持つものを採用することで、迅速に周囲温度と馴染んで、設置位置の気体の温度分布を熱画像として撮影することが可能となる。なお、仮に撮像対象装置10を設置せずにサーモカメラによる撮像を行った場合、床面やラック90表面の温度しか把握することが出来ない。しかし、本実施形態によれば、撮像対象装置10を設置したことにより設置位置における空間の温度分布を把握することが出来る。これにより、冷気送出口22からの冷気の流れや、暖気通路から冷気通路側への温熱空気の流入の有無等を、正確に把握することが出来る。即ち、本実施形態に係る撮像対象装置10および温度分布計測方法によれば、多数の温度センサを設置する手間や費用をかけずに、対象空間における温度分布を全体的に且つ正確に計測することが可能となる。
【符号の説明】
【0076】
1 情報処理機器室
9 ラック列
10 撮像対象装置
11 ベースフレーム
12 縦部材
13 上部材
14 シート
15 キャスタ
16 リング
17 把持部
18 クリップ
21 温度調節装置
22 冷気送出口
23 還気取込口
24 床下チャンバ
25 ダクト
30 天吊型空調機
31 送風口
32 吸気口
90 ラック
91 情報処理機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の温度分布の計測対象位置にシートを設置する設置ステップと、
前記設置ステップにおいて設置された前記シートを、少なくとも赤外線を検知可能な撮像装置によって撮像する撮像ステップと、を備え、
前記設置ステップでは、前記計測対象位置における主な気流の流れ方向に対して前記シートの面が略平行となるように前記シートが設置される、温度分布計測方法。
【請求項2】
前記設置ステップにおいて設置された前記シートに、気体を接触させることで、設置位置における気体の温度分布を該シートに反映させるステップを更に備える、
請求項1に記載の温度分布計測方法。
【請求項3】
前記撮像ステップにおける撮像の後に、前記シートの設置位置を変更する変更ステップを更に備え、
前記撮像ステップと前記変更ステップとを交互に繰り返すことで、複数の計測対象位置に係る前記温度分布を計測する、
請求項1または2に記載の温度分布計測方法。
【請求項4】
前記計測対象位置は、通路内の位置であり、
前記変更ステップでは、前記通路の奥行方向に設置位置が変更される、
請求項3に記載の温度分布計測方法。
【請求項5】
前記計測対象位置は、情報処理機器が搭載されたラックを有する情報処理機器室内の位置であり、
前記設置ステップでは、前記ラックの前面または背面に対して前記シートの面が略直交するように、前記シートが設置される、
請求項1から4の何れか一項に記載の温度分布計測方法。
【請求項6】
通気性を有するシートであって、該シートの設置位置における気体の温度分布が反映されるシートと、
前記シートが前記温度分布の計測対象位置に設置された状態で、該シートを支持するシート保持部と、
を備え、少なくとも赤外線を検知可能な撮像装置によって撮像される、撮像対象装置。
【請求項7】
前記シートは、前記撮像装置による撮像位置から見て該シートの反対側にある物体からの赤外線を実質的に遮断可能である、
請求項6に記載の撮像対象装置。
【請求項8】
前記シート保持部は、高さ方向に伸縮自在であり、前記シートを、該撮像対象装置が設置される部屋の床近傍から天井近傍まで拡げた状態で保持する、
請求項6または7に記載の撮像対象装置。
【請求項9】
前記シート保持部は、幅方向に伸縮自在であり、前記シートを幅方向に拡げた状態で保持する、
請求項6から8の何れか一項に記載の撮像対象装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−122846(P2012−122846A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273846(P2010−273846)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000169499)高砂熱学工業株式会社 (287)
【Fターム(参考)】