説明

撮像検査装置

【課題】本考案は、大寸法の被検査体の場合においても、その撮像領域の撮像検査を迅速、且つ、高精度に実行することが可能な撮像検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本考案の撮像検査装置は、平板状の被検査体10に臨ませて配置され、該被検査体10の検査領域10aからの光束の2倍の変倍を行うレンズ4と、前記レンズ4の後方において該レンズ4の径に略相当する寸法となるように傾斜配置されたCCDラインセンサ5と、前記レンズ4とCCDラインセンサ5との間に配置され、レンズ4からの光束を曲折して前記CCDラインセンサ5に入射するプリズム6とを有する撮像部2を、前記CCDラインセンサ5のライン方向に複数個数列設したものである。

【考案の詳細な説明】
【考案の属する技術分野】
本考案は、撮像検査装置に関し、詳しくは、液晶(LCD)板、プリント基板等の平板状の被検査体の精密検査に用いられる撮像検査装置に関するものである。
【従来の技術】
従来、液晶板、プリント基板等の被検査体の精密検査に用いられる撮像検査装置として、図5に示すものが知られている。
図5に示す撮像検査装置22は、液晶板のような平板状の被検査体20の上方に、複数台(5台、10台等)の撮像部23を列設して、各撮像部23により被検査体20の各撮像領域21を撮像し、各撮像領域21の画像を取得して検査を行うものである。
この撮像検査装置22の撮像部23は、レンズ24と、多数のCCD素子を直線状に列設したCCDラインセンサ25とを組み合わせて構成され、レンズ24により撮像領域21からの光束を2倍に変倍してCCDラインセンサ25に入射するように構成している。
CCDラインセンサ25は、例えば7μm/ピクセルの大きさのCCD素子を7500個列設したものであり、その全長は略55mm程度、また、前記被検査体20の撮像領域21は、3.5μmの分解能を得るため3.5μm×7500個=26.5(mm/台)に設定される。
この結果、この撮像検査装置22の場合、大寸法の被検査体20を一度に検査できるという利点は有するものの、各撮像部23を被検査体20の各撮像領域21の上方に配置した場合、図5に示すように、隣り合う撮像部23による撮像可能な領域(撮像領域21)の間に、撮像不能領域26ができてしまい、これにより、被検査体20の全領域を撮像することができなくなるという不都合が生じる。
図6は、従来の他例を示すものであり、図6に示す撮像検査装置32は、上述した撮像検査装置22の各撮像部23を互いに近付け、図5に示すような撮像不能領域26が生じないように構成したものである。
しかし、この構成では、隣り合う撮像部23による撮像領域21の一部がダブって撮像される干渉状態が生じて被検査体20に対する精密検査ができなくなるという問題がある。
図7は、従来の一台構成の撮像検査装置32の撮像動作の平面状を示す説明図であり、この場合には、撮像検査装置32の撮像部23による撮像領域21が既述したように26.5mmと小さいため、図7に点線で示すように、撮像部23をクランク状に往復走査しなければならず、大寸法の被検査体20を検査する場合、多くの撮像時間を要するという問題がある。
【考案が解決しようとする課題】
上述したように従来においては、撮像不能領域が生じたり、撮像領域の撮像にダブリが生じたり、多くの撮像時間を要したりという各種の不都合があり、迅速、且つ、高精度に被検査体の撮像検査を行うことが困難であった。
本考案は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大寸法の被検査体の場合においても、その撮像領域の撮像検査を迅速、且つ、高精度に実行することが可能な撮像検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の考案に係る撮像検査装置は、平板状の被検査体に臨ませて配置され、該被検査体の検査領域からの光束の変倍を行う変倍素子と、前記変倍素子の後方において前記変倍素子の径に略相当する寸法となるように傾斜配置されたライン型撮像素子と、前記変倍素子とライン型撮像素子との間に配置され、変倍素子からの光束を曲折して前記ライン型撮像素子に入射する光束曲折素子と、を有する撮像部を、前記ライン型撮像素子のライン方向に複数個数列設したことを特徴とするものである。
請求項1記載の考案によれば、ライン型撮像素子を変倍素子の径に略相当する寸法となるように傾斜配置するとともに、変倍素子とライン型撮像素子との間に光束曲折素子を配置して、変倍素子からの光束を光束曲折素子で曲折してライン型撮像素子に入射する構成の撮像部を、ライン型撮像素子のライン方向に複数個数列設したものであるから、隣り合う撮像部を互いに密接状態で列設でき、各撮像部により撮像する被検査体の検査領域間に隙間(撮像不能領域)が生じることなく、且つ、撮像する検査領域にダブリが生じることもなく、これにより、大寸法の被検査体の場合においても、その検査領域の撮像検査を迅速、且つ、高精度に実行することが可能となる。
請求項2記載の考案に係る撮像検査装置は、平板状の被検査体に臨ませて配置され、該被検査体の検査領域からの光束の2倍の変倍を行うレンズと、前記レンズの後方において該レンズの径に略相当する寸法となるように傾斜配置されたCCDラインセンサと、前記レンズとCCDラインセンサとの間に配置され、レンズからの光束を曲折して前記CCDラインセンサに入射するプリズムと、を有する撮像部を、前記CCDラインセンサのライン方向に複数個数列設したことを特徴とするものである。
請求項3記載の考案に係る撮像検査装置は、平板状の被検査体に臨ませて配置され、該被検査体の検査領域からの光束の2倍の変倍を行うレンズと、前記レンズの後方において該レンズの径に略相当する寸法となるように傾斜配置されたCCDラインセンサと、前記レンズとCCDラインセンサとの間に配置され、レンズからの光束を曲折して前記CCDラインセンサに入射するミラーと、を有する撮像部を、前記CCDラインセンサのライン方向に複数個数列設したことを特徴とするものである。
請求項2、3記載の考案によれば、CCDラインセンサをレンズの径に略相当する寸法となるように傾斜配置するとともに、レンズとCCDラインセンサとの間にミラー或いはプリズムを配置して、レンズからの光束をミラー或いはプリズムで曲折してCCDラインセンサに入射する構成の撮像部を、CCDラインセンサのライン方向に複数個数列設したものであるから、請求項1記載の考案と同様、隣り合う撮像部を互いに密接状態で列設でき、各撮像部が撮像する被検査体の検査領域間に隙間が生じることなく、且つ、撮像する検査領域にダブリが生じることもなく、これにより、大寸法の被検査体の場合においても、その検査領域の撮像検査を迅速、且つ、高精度に実行することが可能となる。
【考案の実施の形態】
以下に本考案の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本考案の実施の形態の撮像検査装置を示すものであり、この撮像検査装置1は、例えば液晶板のような平板状の被検査体10の上方に臨ませて列設配置したライン型撮像素子であるCCDラインセンサ5(図2参照)を用いた複数個(2個、10個、50個等)の撮像部2と、この複数個の撮像部2に並設された照明部8とを有している。
前記各撮像部2は、図2に示すように、被検査体10の検査領域10aからの光束の2倍の変倍を行う変倍素子であるレンズ4と、このレンズ4の後方(上方)において該レンズ4の直径に略相当する寸法となるように傾斜配置されたCCDラインセンサ5と、前記レンズ4とCCDラインセンサ5との間に配置されてレンズ4からの光束を曲折して前記CCDラインセンサ5に入射する光束曲折素子であるプリズム6と、これらレンズ4、CCDラインセンサ5及びプリズム6を固定保持するケーシング7とを有している。
前記CCDラインセンサ5は、例えば7μm/ピクセルの大きさのCCD素子を7500個列設したものであり、本実施の形態の場合、前記被検査体10の検査領域10aの寸法は、3.5μmの分解能を得るため、3.5μm×7500個=26.5(mm/台)に設定される。
また、前記レンズ4は、前記検査領域10aからの光束の2倍の変倍を行って前記プリズム6を介してCCDラインセンサ5に入射するようになっている。
次に、本実施の形態の撮像検査装置1の作用を説明する。
この撮像検査装置1によれば、CCDラインセンサ5をレンズ4の径に略相当する寸法となるように傾斜配置するとともに、レンズ4とCCDラインセンサ5との間にプリズム6を配置して、レンズ4からの光束をプリズム6で曲折してCCDラインセンサ5に入射する構成の撮像部2を、CCDラインセンサ5のライン方向に複数個数列設したものであるから、図2に示すように、隣り合う各撮像部2を互いに密接状態で列設でき、この結果、各撮像部2が撮像する被検査体10の検査領域10a間に前述した従来例のような隙間が生じることなく、且つ、撮像する検査領域10aにダブリが生じることもなく、これにより、大寸法 の被検査体10の場合においても、その各検査領域10aの撮像検査を一回の撮像走査により迅速、且つ、高精度に実行することが可能となる。
また、複数個の撮像部2に並設された照明部8の構成も、上述した撮像部2の構成により簡略化できる。
次に、本考案の実施の形態の撮像部の変形例を図3、図4を参照して説明する。
この変形例の撮像部2Aは、図3、図4に示すように、被検査体10の検査領域10aからの光束の2倍の変倍を行う変倍素子であるレンズ4と、このレンズ4の後方(上方)に配置されたCCDラインセンサ5aと、前記レンズ4とCCDラインセンサ5aとの間に傾斜配置され、レンズ4からの光束を曲折、即ち、反射して前記CCDラインセンサ5aに入射する光束曲折素子であるミラー9と、これらレンズ4、CCDラインセンサ5a及びミラー9を固定保持するケーシング7とを有している。
前記CCDラインセンサ5aは、7μm/ピクセルの大きさのCCD素子を用いて既述した実施の形態の場合と略同様に構成している。
また、前記レンズ4は、前記検査領域10aからの光束の2倍の変倍を行って前記ミラー9を介してCCDラインセンサ5aに入射するようになっている。
次に、本変形例の作用を説明する。
本変形例によれば、前記レンズ4と前記CCDラインセンサ5aとの間に、ミラー9を傾斜配置して、レンズ4からの光束をミラー9で反射してCCDラインセンサ5aに入射する構成の撮像部2Aを、CCDラインセンサ5aのライン方向に複数個数列設したものであるから、図3に示すように、隣り合う各撮像部2Aを互いに密接状態で列設でき、この結果、各撮像部2Aが撮像する被検査体10の検査領域10a間に従来例のような隙間が生じることなく、且つ、撮像する検査領域10aにダブリが生じることもなく、これにより、大寸法の被検査体10の場合においても、その各検査領域10aの撮像検査を一回の撮像走査により迅速、且つ、高精度に実行することが可能となる。また、複数個の撮像部2Aに並設される照明部8の構成も、上述した撮像部2Aの構成により簡略化できる。
【考案の効果】
以上詳述した本考案は以下の各効果を奏する。
請求項1記載の考案によれば、ライン型撮像素子を変倍素子の径に略相当する寸法となるように傾斜配置し、変倍素子、光束曲折素子を用いた構成の撮像部を、ライン型撮像素子のライン方向に複数個数列設したことによって、隣り合う撮像部を互いに密接状態で列設でき、各撮像部により撮像する被検査体の検査領域間に隙間(撮像不能領域)が生じることなく、且つ、撮像する検査領域にダブリが生じることもなく、これにより、大寸法の被検査体の場合においても、その検査領域の撮像検査を迅速、且つ、高精度に実行することが可能な撮像検査装置を提供することができる。
また、請求項2記載の考案によれば、レンズの径に略相当する寸法となるように傾斜配置シタCCDラインセンサと、レンズ及びプリスムとを用いた構成の撮像部を、CCDラインセンサのライン方向に複数個数列設したことによって、前記請求項1記載の考案と同様な効果を奏する撮像検査装置を提供することができる。
更に、請求項3記載の考案によれば、レンズの径に略相当する寸法となるように傾斜配置したCCDラインセンサと、レンズ及びミラーとを用いた構成の撮像部を、CCDラインセンサのライン方向に複数個数列設したことによって、前記請求項1記載の考案と同様な効果を奏する撮像検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施の形態の撮像検査装置の概略平面図である。
【図2】本考案の実施の形態の撮像検査装置における撮像部の概略断面図である。
【図3】本考案の実施の形態の変形例における一個の撮像部の概略側面図である。
【図4】図4のX−X線断面から見た変形例の撮像部を多数列設した状態を示す概略図である。
【図5】従来の撮像検査装置の概略正面図である。
【図6】従来の撮像検査装置の他例の概略正面図である。
【図7】従来の撮像検査装置の更に別の例の撮像動作を示す説明図である。
【符号の説明】
1 撮像検査装置
2 撮像部
2A 撮像部
3 CCDラインセンサ
4 レンズ
5 CCDラインセンサ
5a CCDラインセンサ
6 プリズム
7 ケーシング
8 照明部
9 ミラー
10 被検査体
10a 検査領域

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】平板状の被検査体に臨ませて配置され、該被検査体の検査領域からの光束の変倍を行う変倍素子と、前記変倍素子の後方において前記変倍素子の径に略相当する寸法となるように傾斜配置されたライン型撮像素子と、前記変倍素子とライン型撮像素子との間に配置され、変倍素子からの光束を曲折して前記ライン型撮像素子に入射する光束曲折素子と、を有する撮像部を、前記ライン型撮像素子のライン方向に複数個数列設したことを特徴とする撮像検査装置。
【請求項2】平板状の被検査体に臨ませて配置され、該被検査体の検査領域からの光束の2倍の変倍を行うレンズと、前記レンズの後方において該レンズの径に略相当する寸法となるように傾斜配置されたCCDラインセンサと、前記レンズとCCDラインセンサとの間に配置され、レンズからの光束を曲折して前記CCDラインセンサに入射するプリズムと、を有する撮像部を、前記CCDラインセンサのライン方向に複数個数列設したことを特徴とする撮像検査装置。
【請求項3】平板状の被検査体に臨ませて配置され、該被検査体の検査領域からの光束の2倍の変倍を行うレンズと、前記レンズの後方において該レンズの径に略相当する寸法となるように傾斜配置されたCCDラインセンサと、前記レンズとCCDラインセンサとの間に配置され、レンズからの光束を曲折して前記CCDラインセンサに入射するミラーと、を有する撮像部を、前記CCDラインセンサのライン方向に複数個数列設したことを特徴とする撮像検査装置。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【登録番号】実用新案登録第3089857号(U3089857)
【登録日】平成14年8月28日(2002.8.28)
【発行日】平成14年11月15日(2002.11.15)
【考案の名称】撮像検査装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2002−2676(U2002−2676)
【出願日】平成14年5月10日(2002.5.10)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)