説明

撮像装置、撮像方法、およびプログラム

【課題】検査シートの試薬の色を正確に出力する。
【解決手段】 検査対象物と接触することにより色が変化する試薬を有する検査シートを撮像する撮像装置であって、前記検査シートを撮像する撮像部と、入力データと出力データとの輝度レベルの対応関係を規定する入出力変換カーブであって、前記試薬の色の輝度が変化する範囲における入力データの変化量に対する出力データの変化量が、他の範囲における入力データの変化量に対する出力データの変化量より大きい入出力変換カーブを取得する入出力変換カーブ取得部と、前記入出力変換カーブ取得部が取得した入出力変換カーブを用いて、前記撮像部が撮像した前記検査シートの画像を入出力変換する入出力変換部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像方法、およびプログラムに関する。特に、本発明は、検査対象物と接触することによって色が変化する試薬を保持する検査シートを撮像する撮像装置、撮像方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、皮膚の色の変化を定量的に実施する接触アレルギー検査用シートが記載されている。また、特許文献2には、皮膚表面のメラニン顆粒の存在する深さと分布および色の濃さの分布等を決定できる表面状態解析システムが記載されている。
【特許文献1】特開2001−55346号公報
【特許文献2】特開平7−19839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1および特許文献2においては、肌から反射する光の波長、および輝度を利用して肌の状態やしみ、そばかすなどを特定しているが、検査シートが撮像された画像を解析して検査結果を判断する場合には、外光からの影響又は撮像装置の特性のばらつきによって、正確な判断ができない場合がある。
【0004】
そこで本発明は、上記課題を解決することができる撮像装置、撮像方法およびプログラムを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、検査対象物と接触することにより色が変化する試薬を有する検査シートを撮像する撮像装置であって、前記検査シートを撮像する撮像部と、入力データと出力データとの輝度レベルの対応関係を規定する入出力変換カーブであって、前記試薬の色の輝度が変化する範囲における入力データの変化量に対する出力データの変化量が、他の範囲における入力データの変化量に対する出力データの変化量より大きい入出力変換カーブを取得する入出力変換カーブ取得部と、前記入出力変換カーブ取得部が取得した入出力変換カーブを用いて、前記撮像部が撮像した前記検査シートの画像を入出力変換する入出力変換部とを備える。
【0006】
前記撮像部が撮像する前記試薬の明るさに基づいて、前記撮像部の露光を調整する露光制御部をさらに備えてもよい。
【0007】
また、本発明の第2の形態においては、検査対象物と接触することにより色が変化する試薬を有する検査シートを撮像する撮像方法であって、前記検査シートを撮像する撮像段階と、入力データと出力データとの輝度レベルの対応関係を規定する入出力変換カーブであって、前記試薬の色の輝度が変化する範囲における入力データの変化量に対する出力データの変化量が、他の範囲における入力データの変化量に対する出力データの変化量より大きい入出力変換カーブを取得する入出力変換カーブ取得段階と、前記入出力変換カーブ取得段階において取得した入出力変換カーブを用いて、前記撮像段階において撮像した前記検査シートの画像を入出力変換する入出力変換段階とを備える。
【0008】
また、本発明の第3の形態においては、検査対象物と接触することにより色が変化する試薬を有する検査シートを撮像する撮像装置用のプログラムであって、前記撮像装置を、前記検査シートを撮像する撮像部、入力データと出力データとの輝度レベルの対応関係を規定する入出力変換カーブであって、前記試薬の色の輝度が変化する範囲における入力データの変化量に対する出力データの変化量が、他の範囲における入力データの変化量に対する出力データの変化量より大きい入出力変換カーブを取得する入出力変換カーブ取得部、及び前記入出力変換カーブ取得部が取得した入出力変換カーブを用いて、前記撮像部が撮像した前記検査シートの画像を入出力変換する入出力変換部として機能させる。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、撮像した画像から正確な試薬の色を出力できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、検査シート10を撮像して被検体を検査する検査システムの一例を示す。検査システムは、検査シート10、撮像装置20、および解析装置30を備える。撮像装置20は、検査シート10を撮像する。そして、撮像装置20は、検査シート10の画像を、ネットワーク50を介して解析装置30に送信する。
【0013】
検査シート10は、試薬保持部15、および色見本18を備える。試薬保持部15は、検査対象物と接触することにより色変化する試薬を保持する。色見本18は、試薬が色変化する前の色を示す領域A、試薬が色変化する過程にある色を示す領域B、および試薬が色変化した後の色を示す領域Cを有する。さらに、色見本18は、試薬の色に対する試薬と接触した検査対象物の量の指標を有する。なお、検査対象物は、人間の皮膚から発生した水分、汗、皮脂の他、比色法で滴定して、試薬と接触した量がわかる物質であれば何であってもよい。また、色見本18は試薬が色変化する前の色を含む領域と、試薬が色変化した後の色を含む領域とを有していれば、色見本18が有する領域の数は限定されない。
【0014】
撮像装置20は、検査シート10を撮像する。そして、撮像装置20は、検査シート10を撮像した画像において、試薬保持部15および色見本18の領域を特定し、試薬の色の輝度が変化する範囲を算出する。そして、撮像装置20は、検査シート10を撮像した画像に対して、算出した試薬の色の輝度が変化する範囲に応じた輝度変換を実施する。具体的には、撮像装置20は、試薬の色の輝度が変化する範囲にある画素データの入力データの差が、試薬の色の輝度が変化する範囲にない画素データの入力データ差より大きくなるように、画像に含まれる複数の画素の画素データを変換して出力データを得る。
【0015】
撮像装置20は、変換された画素データから構成される画像データを、LANおよびインターネット等のネットワーク50を介して、解析装置30に送信する。なお、撮像装置20は、撮像装置20を電気通信的に接続可能なクレードルに保持され、クレードルを介して解析装置30に画像データを送信してもよい。
【0016】
解析装置30は、検査シート10の画像データを撮像装置20から受信する。そして、解析装置30は、画像データから、試薬に接触した検査対象物の量を解析する。具体的には、解析装置30は、画像データから、試薬保持部15が保持する試薬の色を特定する。そして、解析装置30は、取得した試薬の色と、解析装置30が有する、試薬の色に対応する検査対象物の量を示す色見本データとから検査対象物の量を解析する。
【0017】
本例の撮像装置20によれば、撮像装置20は、試薬の色の輝度が変化する範囲に基づいて、検査シート10を撮像した画像の輝度変換を実施することで、試薬の色を正確に撮像できる。ゆえに、試薬の色の変化が正確に撮像された画像データを得ることができ、画像データから検査対象物が試薬に接触した量を正確に判定できる。
【0018】
図2は、撮像装置20の機能構成の一例を示す。撮像装置20は、撮像部200、画像取得部210、部分領域特定部220、露光条件決定部230、露光制御部240、入出力変換カーブ取得部250、入出力変換部260、画像格納部270、および出力部280を備える。また、撮像部200は、レンズ部202、絞り部203、および受光部204を有する。
【0019】
受光部204は、検査シート10が反射した光を、レンズ部202を介して受光する。絞り部203は、レンズ部202および受光部204の間に備えられ、受光部204が受光する光の量を絞る機能を有する。受光部204は、複数の受光素子を有しており、異なる複数の色をそれぞれの受光素子が受光する。なお、レンズ部202は複数のレンズ系であってもよい。
【0020】
撮像部200は、露光を調整するために用いるプレ画像を撮像するプレ撮像、および被検体を検査するために用いる本画像を撮像する本撮像を実施する。画像取得部210は、受光部204が受光した光を画像として取得する。部分領域特定部220は、撮像部200が撮像したプレ画像から、試薬保持部15および色見本18の位置する領域を特定する。露光条件決定部230は、部分領域特定部220が特定した試薬保持部15および色見本18の位置する領域の画素データを取得する。そして、露光条件決定部230は、取得した画素データの輝度値から、検査シート10を撮像する露光条件を決定する。露光制御部240は、決定された露光条件に従って、絞り部203の絞りの大きさと、受光部204のシャッタースピードとを制御する。これにより、画像取得部210が本撮像を実施する場合に、本撮像によって取得された本画像に含まれる、試薬保持部15が保持する試薬の色、および色見本が含むそれぞれの色の輝度が調整される。
【0021】
撮像部200は、露光制御部240による露光制御が実施された後に、検査シート10の本撮像を実施する。画像取得部210は、撮像された本画像を取得する。そして、部分領域特定部220は、撮像部200が撮像した本画像から、試薬保持部15および色見本18の位置する領域を特定する。
【0022】
入出力変換カーブ取得部250は、部分領域特定部220が特定した、試薬保持部15の位置する領域および色見本18の位置する領域を取得する。そして、入出力変換カーブ取得部250は、試薬保持部15および色見本18の位置する領域の画素データを取得する。そして、入出力変換カーブ取得部250は、取得した画素データに基づいて、色の成分ごとに、輝度レベルが変化する範囲を算出する。そして、入出力変換カーブ取得部250は、色の成分ごとに算出した輝度の変化する範囲に基づいて、入力データに対して所定の変換を実施して出力データを得るための入出力変換カーブを取得する。例えば、入出力変換カーブは、ガンマカーブであり、一定範囲の入力データに対して傾きが大きくその他の範囲の入力データに対して傾きが小さい特性を示す線をいう。他の例においては、入出力変換カーブは、ルックアップテーブル(LUT)によって規定され、入力データの輝度のそれぞれに対して、出力データの輝度が割り当てられていてもよい。
【0023】
入出力変換部260は、取得された入出力変換カーブを用いて、画像取得部210が取得した本画像の画素データを入力データとして変換して出力データを生成する。画像格納部270は、出力データを画像データとして格納する。出力部280は、画像データを、解析装置30または表示装置(図示しない)へと出力する。
【0024】
図3は、部分領域特定部220の機能構成の一例を示す。部分領域特定部220は、色見本領域特定部222、色見本パターン記憶部224、および試薬領域特定部226を有する。
【0025】
色見本領域特定部222は、画像取得部210からプレ画像を取得して、画像に含まれる色見本18が位置する領域を特定する。色見本パターン記憶部224は、色見本18の色見本パターンを記憶している。色見本領域特定部222は、色見本パターン記憶部224が記憶している色見本パターンと、プレ画像に含まれる色見本とをマッチングして、プレ画像に含まれる色見本18の位置する領域を特定する。
【0026】
試薬領域特定部226は、プレ画像から、特定された色見本18の色と略同一な色の領域を、試薬の位置する領域と特定する。具体的には、試薬領域特定部226は、色見本領域特定部222によって特定された色見本18が含む領域A、領域B、および領域Cのそれぞれの領域ごとに、色の平均値を算出する。そして、試薬領域特定部226は、算出されたそれぞれの色の平均値と略同一な色の領域を、本画像から特定する。試薬領域特定部226は、算出されたそれぞれの色の平均値から予め定められた範囲の色を略同一の色と判断してもよい。
【0027】
試薬領域特定部226は、特定された領域のうち、予め定められた面積より広い領域を試薬の位置する領域と特定する。または、試薬領域特定部226は、特定された領域のうち、最も広い領域を試薬の位置する領域と特定する。試薬領域特定部226は、特定した試薬の位置する領域を露光条件決定部230へと送る。
【0028】
また、色見本領域特定部222は、本画像に対しても色見本18の位置する領域の特定を実施する。色見本領域特定部222は、画像取得部210から本画像を取得して、画像に含まれる色見本18が位置する領域を特定する。色見本領域特定部222は、色見本パターン記憶部224が記憶している色見本パターンと、本画像に含まれる色見本とをマッチングして、本画像に含まれる色見本18の位置する領域を特定する。色見本領域特定部222は、特定した色見本18が位置する領域を入出力変換カーブ取得部250へと送る。
【0029】
本実施形態の部分領域特定部220によれば、色見本の色を用いて試薬の領域を特定することによって、試薬が変化途中であっても、試薬の領域を正確に特定できる。したがって、試薬の領域の輝度に応じた露光調整ができ、さらに、試薬の正確な位置を入出力変換カーブ取得部250に提供できる。
【0030】
図4は、入出力変換カーブ取得部250の機能構成の一例を示す。入出力変換カーブ取得部250は、色見本領域取得部252、色データ取得部254、輝度変化範囲算出部256、入出力変換カーブ生成部258、および入出力変換カーブ記憶部259を有する。
【0031】
色見本領域取得部252は、本画像に含まれる色見本18の位置する領域を部分領域特定部220から取得する。色データ取得部254は、画像取得部210から本画像を取得する。そして、色データ取得部254は、本画像に含まれる色見本18の位置する領域の画素データから、色見本18が含む領域Aおよび領域Cの色の各成分の輝度をそれぞれ取得する。ここで、色の各成分とは、R成分、G成分、およびB成分をいう。また、色の各成分は、CMY等、他の色成分を利用してもよい。輝度変化範囲算出部256は、色の成分毎に、領域Aの輝度と領域Cの輝度との差分を、試薬の輝度の変化する範囲として算出する。
【0032】
入出力変換カーブ記憶部259は、入力データと出力データとの輝度レベルの対応関係を規定する基準入出力変換カーブを記憶している。基準入出力変換カーブとは、撮像装置20の撮像特性に合わせて予め設定されている、入力データの輝度に対して出力データの輝度が割り当てられたカーブをいう。入出力変換カーブ生成部258は、入出力変換カーブ記憶部259から基準入出力変換カーブを取得する。そして、入出力変換カーブ生成部258は、輝度変化範囲算出部256が算出した試薬の輝度の変化する範囲に基づいて、それぞれの色成分ごとに、取得した基準入出力変換カーブを変形して入力データに適した入出力変換カーブを生成する。
【0033】
具体的には、入出力変換カーブ生成部258は、輝度変化範囲算出部256が算出した輝度の変化する範囲に基づいて、入力データのうち、輝度の変化する範囲にある入力データの変化量を、輝度の変化する範囲にない入力データの変化量よりも大きくする入出力変換カーブを生成する。入出力変換カーブ生成部258は、生成した入出力変換カーブを、入出力変換部260に送る。
【0034】
入出力変換カーブ記憶部259は、複数の試薬撮影用入出力変換カーブを記憶していてもよい。複数の試薬撮影用入出力変換カーブは、それぞれ検査対象物に合わせて利用される試薬の変化する色ごとに予め用意されている。例として、試薬が塩化コバルトで水分を滴定する場合の試薬撮影用入出力変換カーブは、塩化コバルトが青から赤に変化するのに合わせた、B成分およびR成分について輝度の変化する範囲が大きい特性を示す線となる。入出力変換カーブ生成部258は、輝度変化範囲算出部256が算出した輝度の変化する範囲に基づいて、試薬に合わせた試薬撮影用入出力変化カーブを入出力変換カーブ記憶部259から選択する。入出力変換カーブ生成部258は、選択した試薬撮影用入出力変換カーブを入出力変換部260に送る。なお、入出力変換カーブ生成部258は、輝度変化範囲算出部256が算出した輝度の変化する範囲に基づいて、試薬撮影用入出力変換カーブを変化させた後に、入出力変換部260に送ってもよい。
【0035】
他の例においては、入出力変換カーブ取得部250は、入出力変換カーブ記憶部259を有さずともよい。この場合、入出力変換カーブ生成部258は、輝度変化範囲算出部256が算出した輝度の変化する範囲に基づいて、入出力変換カーブを一から生成する。
【0036】
また、他の例においては、入出力変換カーブ生成部258は、試薬の色の変化による輝度変化の大きくない色成分、即ち、試薬の色の変化に輝度が影響されない色成分について、出力データ値の輝度範囲を圧縮する入出力変換カーブを生成してもよい。具体的には、試薬が青から赤に変化する場合、入出力変換カーブ生成部258は、G成分の入力データ値の輝度範囲をより圧縮し、B成分およびR成分の輝度範囲の圧縮を小さくする入出力変換カーブをそれぞれ生成する。
【0037】
また、他の例においては、入出力変換カーブ取得部250は、画像取得部210が取得した本画像から、試薬保持部15が含む試薬の色変化を正確にする特性の入出力変換カーブを生成できる。さらに、入出力変換カーブ取得部250は、本画像に含まれる試薬の変化する色と関連が低い色成分の輝度範囲を圧縮して、試薬の色を正確にする入出力変換カーブを生成できる。
【0038】
図5(a)は、色見本18の領域Aにおける、RGB各成分の輝度レベルの一例を示す。また、図5(b)は、色見本18の領域CにおけるRGB各成分の輝度レベルの一例を示す。色見本18は、領域Aに示した色と、領域Cに示した色とを、それぞれ検査対象物と試薬との接触が多い場合と、検査対象物と試薬との接触が少ない場合として示している。検査対象物と試薬との接触が多い場合、RGB各成分のそれぞれの輝度はR、G、Bを示す。検査対象物と試薬との接触が少ない場合、RGB各成分のそれぞれの輝度はR、G、Bを示す。即ち、R成分の輝度の変化する範囲はRからR、G成分の輝度の変化する範囲はGからG、B成分の輝度の変化する範囲はBからBとなる。
【0039】
図6は、図5におけるR成分の輝度を変換する入出力変換カーブの一例を示す。R成分は、RからRに示す範囲の輝度を有する。入出力変換カーブは、入力データ値RからRの変化量を出力データ値において大きくすると共に、それ以外の入力データ値の変化量を出力データ値において小さくする特性を有する。即ち、入出力変換カーブは、RからRの範囲における変化量および傾きが、それ以外の範囲における変化量および傾きに対して大きい特性を有する。
【0040】
図7は、図5におけるG成分の輝度を変換する入出力変換カーブの一例を示す。G成分は、GからGに示す範囲の輝度を有する。入出力変換カーブは、入力データ値GからGの変化量を出力データ値において大きくすると共に、それ以外の入力データ値の変化量を出力データ値において小さくする特性を有する。即ち、入出力変換カーブは、GからGの範囲における変化量および傾きが、それ以外の範囲における変化量および傾きに対して大きい特性を有する。
【0041】
図8は、図5におけるB成分の輝度を変換する入出力変換カーブの一例を示す。B成分は、BからBに示す範囲の輝度を有する。入出力変換カーブは、入力データ値BからBの変化量を出力データ値において大きくすると共に、それ以外の入力データ値の変化量を出力データ値において小さくする特性を有する。即ち、入出力変換カーブは、BからBの範囲における変化量および傾きが、それ以外の範囲における変化量および傾きに対して大きい特性を有する。
【0042】
図9は、撮像装置20のハードウェア構成の一例を示す。撮像装置20は、ホスト・コントローラ1582により相互に接続されるCPU1505、RAM1520、グラフィック・コントローラ1575、及び表示装置1580を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ1584によりホスト・コントローラ1582に接続される通信インターフェイス1530、ハードディスクドライブ1540、及びCD−ROMドライブ1560を有する入出力部と、入出力コントローラ1584に接続されるROM1510、フレキシブルディスク・ドライブ1550、及び入出力チップ1570を有するレガシー入出力部とを備える。
【0043】
ホスト・コントローラ1582は、RAM1520と、高い転送レートでRAM1520をアクセスするCPU1505、及びグラフィック・コントローラ1575とを接続する。CPU1505は、ROM1510、及びRAM1520に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ1575は、CPU1505等がRAM1520内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置1580上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ1575は、CPU1505等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0044】
入出力コントローラ1584は、ホスト・コントローラ1582と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ1540、通信インターフェイス1530、CD−ROMドライブ1560を接続する。ハードディスクドライブ1540は、CPU1505が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェイス1530は、ネットワーク通信装置1598に接続してプログラムまたはデータを送受信する。CD−ROMドライブ1560は、CD−ROM1595からプログラムまたはデータを読み取り、RAM1520を介してハードディスクドライブ1540、及び通信インターフェイス1530に提供する。
【0045】
また、入出力コントローラ1584には、ROM1510と、フレキシブルディスク・ドライブ1550、及び入出力チップ1570の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM1510は、撮像装置20が起動時に実行するブート・プログラムや、撮像装置20のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ1550は、フレキシブルディスク1590からプログラムまたはデータを読み取り、RAM1520を介してハードディスクドライブ1540、及び通信インターフェイス1530に提供する。入出力チップ1570は、フレキシブルディスク・ドライブ1550や、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0046】
CPU1505が実行するプログラムは、フレキシブルディスク1590、CD−ROM1595、またはICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ1540にインストールされ、RAM1520に読み出されてCPU1505により実行される。
【0047】
CPU1505により実行されるプログラムは、撮像装置20を、図1から8に関連して説明した撮像部200、画像取得部210、部分領域特定部220、露光条件決定部230、露光制御部240、入出力変換カーブ取得部250、入出力変換部260、画像格納部270、および出力部280として機能させる。
【0048】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク1590、CD−ROM1595の他に、DVDやPD等の光学記録媒体、MD等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークやインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムを撮像装置20に提供してもよい。
【0049】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】検査シート10を撮像して被検体を検査する検査システムの一例を示す。
【図2】撮像装置20の機能構成の一例を示す。
【図3】部分領域特定部220の機能構成の一例を示す。
【図4】入出力変換カーブ取得部250の機能構成の一例を示す。
【図5】色見本18における、RGB各成分の輝度レベルの一例を示す。
【図6】R成分の輝度を変換する入出力変換カーブの一例を示す。
【図7】G成分の輝度を変換する入出力変換カーブの一例を示す。
【図8】B成分の輝度を変換する入出力変換カーブの一例を示す。
【図9】撮像装置20のハードウェア構成の一例を示す。
【符号の説明】
【0051】
10 検査シート
15 試薬保持部
18 色見本
20 撮像装置
30 解析装置
50 ネットワーク
200 撮像部
202 レンズ部
203 絞り部
204 受光部
210 画像取得部
220 部分領域特定部
222 色見本領域特定部
224 色見本パターン記憶部
226 試薬領域特定部
230 露光条件決定部
240 露光制御部
250 入出力変換カーブ取得部
252 色見本領域取得部
254 色データ取得部
256 輝度変化範囲算出部
258 入出力変換カーブ生成部
259 入出力変換カーブ記憶部
260 入出力変換部
270 画像格納部
280 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物と接触することにより色が変化する試薬を有する検査シートを撮像する撮像装置であって、
前記検査シートを撮像する撮像部と、
入力データと出力データとの輝度レベルの対応関係を規定する入出力変換カーブであって、前記試薬の色の輝度が変化する範囲における入力データの変化量に対する出力データの変化量が、他の範囲における入力データの変化量に対する出力データの変化量より大きい入出力変換カーブを取得する入出力変換カーブ取得部と、
前記入出力変換カーブ取得部が取得した入出力変換カーブを用いて、前記撮像部が撮像した前記検査シートの画像を入出力変換する入出力変換部と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記撮像部は、異なる複数の色をそれぞれ受光する複数の受光素子を有し、
前記入出力変換カーブ取得部は、前記複数の色のそれぞれについて、前記試薬の色の輝度が変化する範囲における傾きが、他の範囲における傾きより大きい入出力変換カーブをそれぞれ取得する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像部は、色が変換する前の前記試薬の色、及び色が変化した後の前記試薬の色を示す色見本をさらに撮像し、
前記入出力変換カーブ取得部は、前記撮像部が撮像した前記色見本の画像における、色が変換する前の前記試薬の色の輝度、及び色が変化した後の前記試薬の色の輝度から、前記試薬の色の輝度が変化する範囲を求める請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像部が撮像する前記試薬の明るさに基づいて、前記撮像部の露光を調整する露光制御部
をさらに備える請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像部が撮像した前記検査シートの画像における前記試薬の領域を特定する試薬領域特定部
をさらに備え、
前記露光制御部は、前記試薬領域特定部が特定した前記試薬の領域の画像の明るさに基づいて、前記撮像部の露光を調整する請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像部は、色が変換する前の前記試薬の色、又は色が変化した後の前記試薬の色を示す色見本をさらに撮像し、
前記試薬領域特定部は、前記撮像部が撮像した前記色見本が示す色と略同一の色の領域を、前記試薬の領域として特定する請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
検査対象物と接触することにより色が変化する試薬を有する検査シートを撮像する撮像方法であって、
前記検査シートを撮像する撮像段階と、
入力データと出力データとの輝度レベルの対応関係を規定する入出力変換カーブであって、前記試薬の色の輝度が変化する範囲における入力データの変化量に対する出力データの変化量が、他の範囲における入力データの変化量に対する出力データの変化量より大きい入出力変換カーブを取得する入出力変換カーブ取得段階と、
前記入出力変換カーブ取得段階において取得した入出力変換カーブを用いて、前記撮像段階において撮像した前記検査シートの画像を入出力変換する入出力変換段階と
を備える撮像方法。
【請求項8】
検査対象物と接触することにより色が変化する試薬を有する検査シートを撮像する撮像装置用のプログラムであって、前記撮像装置を、
前記検査シートを撮像する撮像部、
入力データと出力データとの輝度レベルの対応関係を規定する入出力変換カーブであって、前記試薬の色の輝度が変化する範囲における入力データの変化量に対する出力データの変化量が、他の範囲における入力データの変化量に対する出力データの変化量より大きい入出力変換カーブを取得する入出力変換カーブ取得部、及び
前記入出力変換カーブ取得部が取得した入出力変換カーブを用いて、前記撮像部が撮像した前記検査シートの画像を入出力変換する入出力変換部
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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