説明

撮像装置の製造方法及び撮像装置用位置調整治具

【課題】本発明は、移動操作部材の先端部に接着剤が付着し難い撮像装置の製造方法及び撮像装置用位置調整治具の提供を目的とする。
【解決手段】撮像装置用位置調整治具は、移動操作部材93を備え、移動操作部材93は、移動操作部材本体95と、その移動操作部材本体95の外周の全体を覆うように配設されたフッ素樹脂コーティングから構成されその移動操作部材本体95を構成した素材よりも接着剤に対する濡れ性を低減させた濡れ性低減部96とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話の撮像装置等に好適に用いられる小型の撮像装置、特にオートフォーカスやズームなどの機能を実現するために、駆動機構にSIDM(Smooth Impact Drive Mechanism(登録商標))から成るアクチュエータ(超音波リニアアクチュエータ)を使用する撮像装置の製造方法及びその製造方法に用いられる撮像装置用位置調整治具に関する。
【背景技術】
【0002】
前記携帯電話の撮像装置などに用いられる小型のレンズユニットでは、駆動機構として、前記アクチュエータを用いたものが実用化されている。このアクチュエータは、電気機械変換素子である圧電素子の伸縮を駆動軸に伝え、その駆動軸に所定の摩擦力で係合している移動レンズ群を、前記圧電素子の伸張時と縮小時との速度差を利用して移動させるものである。より詳しくは、このようなアクチュエータでは、例えば駆動軸をゆっくりと伸張させることによって、その駆動軸に摩擦係合している移動レンズ群も移動する一方、前記所定の摩擦力を超える程、駆動軸を瞬時に縮小させると、前記移動レンズ群が伸張位置に取り残される。このような駆動軸の伸長と収縮とを繰返し行うことで、アクチュエータは、前記移動レンズ群を前記駆動軸の軸方向に移動させることができる。
【0003】
このアクチュエータの、特に駆動軸のセンサー基板に対する傾きがあると、撮像された画像のフォーカス状態が画像両端で異なるという現象、いわゆる片ボケが生じてしまう。そのため、撮像装置に高画素化に対応した高性能が要求される場合には、駆動軸をフレームに保持する際に、フレームに対する駆動軸の軸方向の傾きの調整が必要となる。このようなフレームに対する駆動軸の軸方向の傾きの調整を行うものとして、例えば特許文献1に提案されたものがある。このものは、傾き調整機構を用いて、所定の基準線に対する駆動軸の傾きを調整できるようにしたものである。
【0004】
しかしながら、例えば前記移動レンズ群とは別に固定レンズ群がフレームに保持されている場合において、アクチュエータの駆動軸に係合した移動レンズ群の光軸が、アクチュエータのフレームへの保持に際して、前記固定レンズ群の光軸に一致せずに固定レンズ群の光軸に対して所定の距離だけ位置ずれをして平行になっている場合には、アクチュエータの駆動軸をフレームに対してその軸方向と垂直な方向に沿って移動させて両者を一致させるように調整する必要があるが、上記特許文献1に記載のものでは、フレームの所定の基準線に対するアクチュエータの駆動軸の傾き調整ができても、アクチュエータをその軸方向と垂直な方向に移動させることができず、フレームの所定の基準線に対するアクチュエータの、その基準線と垂直な方向の位置ずれの調整がし難いという問題点がある。
【0005】
そこで、本出願人は、フレームの所定の基準線に対するアクチュエータの軸方向の傾き及びその基準線と垂直な方向の位置を調整できる撮像装置の製造方法を得るにいたった。この製造方法は、アクチュエータの両端夫々が外周方向に移動し得るようにアクチュエータをフレーム内に配置し、アクチュエータの両端夫々を、移動操作部材によって両側から支持し、その支持した移動操作部材を移動操作してアクチュエータの両端夫々を外周方向に適宜移動させることにより、フレームの所定の基準線に対するアクチュエータの位置調整を行い、その後、アクチュエータの端部とフレームとの間に介在させた接着剤を硬化させてアクチュエータの端部をフレームに保持させた後、支持した移動操作部材の先端部をアクチュエータの端部から引き離す方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−25403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、支持した移動操作部材の先端部をアクチュエータの端部から引き離した際、移動操作部材の先端部に硬化した接着剤が多量に付着する場合がある。引き離した移動操作部材に接着剤が多量に付着すると、アクチュエータの端部とフレームとの接着強度が弱くなってしまうおそれがある。又、次のアクチュエータを支持する際に滑りを起こして支持し難くなってしまうとともに、移動操作部材の先端部に付着した接着剤がフレーム内に入り込んでごみとなるおそれもある。
【0008】
本発明は、移動操作部材の先端部に接着剤が付着し難い撮像装置の製造方法及び撮像装置用位置調整治具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、移動可能な移動操作部材を有する撮像装置用位置調整治具を用い、電気機械変換素子と連結し移動レンズ群が所定の摩擦力で係合される駆動軸を備えたアクチュエータをフレーム内に配置して前記アクチュエータの軸方向の一端と他端との少なくとも一方の端部をフレームに接着剤により保持させる撮像装置の製造方法であって、前記移動操作部材に設けられた移動操作部材本体の少なくとも先端部にその移動操作部材本体よりも前記接着剤に対する濡れ性を低減させるように形成した濡れ性低減部で、前記フレーム内に配置したアクチュエータの端部を支持し、その後、その支持した移動操作部材を移動操作して、前記濡れ性低減部で支持した前記アクチュエータの端部の位置調整を行い、次に、前記支持されたアクチュエータの端部とフレームとの間に充填した接着剤を硬化させ、その後、前記移動操作部材の濡れ性低減部をアクチュエータの端部から引き離すことを特徴とする撮像装置の製造方法を提供する。
【0010】
これによれば、アクチュエータの端部をフレームに接着剤で保持する際に、アクチュエータの端部を支持した移動操作部材の先端部が接着剤と接触した場合でも、移動操作部材は先端部に濡れ性低減部を備えているため、例えば濡れ性低減部を有しない移動操作部材本体だけで構成したものに比べて接着剤が接触する接触面積を少なくでき、移動操作部材の先端部に付着する接着剤を抑えることができる。
【0011】
これにより、アクチュエータの端部とフレームとの接着強度が弱くなるおそれの少ないものにでき、又、次のアクチュエータを支持する際に滑りを起こして支持し難くなってしまうおそれの少ないものにできるとともに、移動操作部材の先端部に付着した接着剤がフレーム内に入り込んでごみとなって機能を損なうおそれの少ないものにできる。
【0012】
他の一態様では、前記撮像装置の製造方法において、前記濡れ性低減部は、前記移動操作部材本体における少なくとも先端部に形成されたフッ素樹脂コーティングによって構成されているものにできる。
【0013】
これによれば、接着剤が接触する接触面積をより一層、確実に少なくでき、移動操作部材の先端部に付着する接着剤を、より一層確実に抑えることができる。
【0014】
他の一態様では、前記撮像装置の製造方法において、前記濡れ性低減部は、前記移動操作部材本体における少なくとも先端部に塗布された油によって構成されているものとできる。
【0015】
これによれば、移動操作部材でアクチュエータの端部で支持するその都度、或いは、一定回数おきに、移動操作部材本体における少なくとも先端部に油を塗布すれば濡れ性低減部を形成でき、容易に低コストで濡れ性低減部を形成できる。
【0016】
他の一態様では、前記撮像装置の製造方法において、前記駆動軸の先端側に、当該先端側の端面を覆う被覆部材が設けられ、前記移動操作部材は、前記被覆部材を介して前記駆動軸の先端を支持することができる。
【0017】
これによれば、移動操作部材によってアクチュエータを支持する際、移動操作部材を被覆部材に当接させて支持でき、移動操作部材を駆動軸の先端に直接当接させずに済み、駆動軸の先端にキズがつくようなことを防止できる。
【0018】
又、本発明は、上記課題を解決するため、電気機械変換素子と連結し移動レンズ群が所定の摩擦力で係合される駆動軸を備えたアクチュエータをフレーム内に配置して前記アクチュエータの軸方向の一端と他端との少なくとも一方の端部を接着剤により前記フレームに保持させる撮像装置の製造方法に用いられる撮像装置用位置調整治具であって、前記フレーム内に配置されたアクチュエータにおける前記接着剤により前記フレームに保持させる端部を先端部で支持して前記アクチュエータを前記フレームに対して移動操作する少なくとも1つの移動操作部材を備え、前記移動操作部材は、移動操作部材本体と、その移動操作部材本体を構成した素材よりも前記接着剤に対する濡れ性が低い素材によってその移動操作部材本体における少なくとも先端部を覆うようにして構成された濡れ性低減部とを備えていることを特徴とする撮像装置用位置調整治具を提供する。
【0019】
これによれば、アクチュエータの端部をフレームに接着剤で保持する際に、アクチュエータの端部を支持した移動操作部材の先端部が接着剤と接触した場合でも、移動操作部材は先端部に濡れ性低減部を備えているため、濡れ性低減部を有しない移動操作部材本体だけで構成しものに比べて接着剤が接触する接触面積を少なくでき、移動操作部材の先端部に付着する接着剤を抑えることができる。
【0020】
従って、アクチュエータの端部とフレームとの接着強度が弱くなるおそれの少ないものにでき、又、次のアクチュエータを支持する際に滑りを起こして支持し難くなってしまうおそれの少ないものにできるとともに、移動操作部材の先端部に付着した接着剤がフレーム内に入り込んでごみとなって機能を損なうおそれの少ないものにできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、移動操作部材の先端部に接着剤が付着し難い撮像装置の製造方法及び撮像装置用位置調整治具を提供し得たものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の製造方法に製造した一実施の形態の撮像装置の斜視図である。
【図2】図1の撮像装置の分解斜視図である。
【図3】図1の撮像装置の断面図である。
【図4】撮像装置の製造工程の説明図に係り、(a)は、後フレームに第3群ユニットを取り付けた状態の断面図、(b)は、後フレームの対向用孔にアクチュエータの錘を対向するように配設するとともに、アクチュエータの駆動軸に第1群ユニットを係合させた状態の断面図、(c)は、後フレームに、前フレームを係止した状態の断面図である。
【図5】移動操作部材を有する位置調整治具を用いてアクチュエータの駆動軸の位置を調整する際の断面図である。
【図6】図5の要部を拡大した断面図である。
【図7】移動操作部材の要部拡大断面図である。
【図8】(a)は、濡れ性低減部を備えた移動操作部材と対向用孔内の接着剤との付着状態の説明図、(b)は、濡れ性低減部を有しない移動操作部材と対向用孔内の接着剤との付着状態の説明図である。
【図9】他の実施形態の撮像装置の製造方法の断面説明図である。
【図10】更に他の実施形態の撮像装置の製造方法の断面説明図である。
【図11】更に他のもう一つの実施形態の撮像装置の製造方法の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置1の斜視図、図2は、図1の分解斜視図である。この撮像装置1は、図1、図2に示すように、移動レンズユニットである第2群ユニット2と、固定レンズユニットである第3群ユニット3a及び第1群ユニット3bと、第2群ユニット2を光軸方向に駆動するアクチュエータ(超音波リニアアクチュエータ)4と、それらの第1〜第3群ユニット2,3a,3bおよびアクチュエータ4を収容する筐体51,52,53と、センサー基板7とを備えている。この撮像装置1は、例えば携帯電話の端末装置に好適に搭載される。
【0024】
第2群ユニット2は、移動レンズ群を構成する光学素子21,22と、光学素子21,22間に配設された遮光板24aと、光学素子21,22を保持した第2群ユニット用ホルダー25とを備えている。
【0025】
光学素子21,22は、例えばプラスチックレンズから成り、光路を形成する径内側のレンズ部211と、前記レンズ部211を外周側から保持した保持部212とを備え、それらが一体成型されて成る。尚、この実施形態の保持部212の前後の両面は、夫々、レンズ部211の光軸に対して垂直な平面に形成されている。
【0026】
第2群ユニット用ホルダー25は、図3に示すように、内周側に、光学素子21,22の保持部212を保持し、第2群ユニット用ホルダー25の外周側は、後述のアクチュエータ4の駆動軸42に所定の摩擦力で摺動可能に係合されている。
【0027】
第3群ユニット3aは、図2に示すように固定レンズ群を構成した光学素子31aを備えている。この光学素子31aは、上記第2群ユニット2の光学素子21,22と同様に、例えばプラスチックレンズから成り、レンズ部311aと保持部312aとが一体成型されて成る。
【0028】
そして、この第3群ユニット3aは、図3に示すように保持部材である後述の後フレーム51に移動不能に保持されて、第2群ユニット2の後方側に配置されている。
【0029】
第1群ユニット3bは、図2に示すように固定レンズ群を構成した光学素子31b,31cと、光学素子31b,31cの間及び前方側のそれぞれに配設された遮光板24b,24cと、光学素子31b,31cを保持した第1群ユニット用ホルダー26とを備えている。
【0030】
これらの光学素子31b,31cは、上記第3群ユニット3aの光学素子31aと同様に、例えばプラスチックレンズから成り、レンズ部311bと保持部312bとが一体成型されて成る。
【0031】
第1群ユニット用ホルダー26は、図3に示すように内周側に、光学素子31b,31cの保持部312を保持し、外周側が、後述の前フレーム52に移動不能に保持されて第2群ユニット2の前方側に配置されている。
【0032】
尚、説明の都合上、図2、図3では、第2群ユニット2の光学素子21,22及び第1群ユニット3bの光学素子31b,31cを、夫々2つで表し、図4〜図6、図8〜図11では、1つで表している。又、図4〜図6、図8〜図11では、遮光板24a,24bを省略している。
【0033】
アクチュエータ4は、移動レンズ群21,22を備えた第2群ユニット2の駆動機構を構成するもので、例えば本件出願人が先に特開2001−268951号公報などで提案した小型化に好適なものであり、SIDM(Smooth Impact Drive Mechanism(登録商標))アクチュエータと称される。このアクチュエータ4は、図2、図3に示すように軸方向に伸縮する電気機械変換素子である圧電素子41の一端に駆動軸42が接続され、圧電素子41の他端に錘43が接続され、そして、圧電素子41の軸方向の振動によって駆動軸42が往復移動し、第2群ユニット2の保持部材24が駆動軸42に所定の摩擦力で係合していることによって、第2群ユニット2が光軸方向に移動される。
【0034】
より詳しくは、このアクチュエータ4では、圧電素子41に所定のデューティ比の矩形波を与えることによって圧電素子41の変位が三角波状となり、前記矩形波のデューティ比を変えることによって振幅の上昇時と下降時とで傾きの異なる三角波が発生する。アクチュエータ4の駆動メカニズムは、これを利用するものである。例えば、駆動軸42をゆっくりと振動させることで、その駆動軸42に摩擦係合している第2群ユニット2も前記振動に応じて移動し、前記所定の摩擦力を超える程の瞬時に、駆動軸42を振動させると、第2群ユニット2がそのまま取り残される。このような駆動軸42の軸方向の振動を繰返し行うことで、第2群ユニット2を駆動軸42の軸方向に移動させることが可能となる。
【0035】
錘43は、圧電素子41の伸縮による変位を駆動軸42側のみに発生させるためのものである。この実施形態では、錘43は、外径が圧電素子41の外周から全周に渡って外周方向に突出するように形成された円柱状のものから構成されている。
【0036】
尚、この錘43は、圧電素子41の他端が筐体5に取付けられるなどして、錘43の機能と同様の機能を発揮することができる場合には、錘43は、省略されてもよい。
【0037】
圧電素子41は、複数の圧電層が積層され、図2に示すように一対の側面に各圧電層の電極411,412が共通に引出されて構成されている。その側面の電極411,412は、個別のリード線44,45を介して外部接続端子46,47にそれぞれ接続されている。外部接続端子46,47の先端は、前記携帯電話の端末装置側のプリント基板に半田付けされ、或いは前記プリント基板に実装されたコネクタに嵌り込む。
【0038】
駆動軸42は、円柱状のものから構成されている。この駆動軸42には、図3に示すように、第2群ユニット2の第2群ユニット用ホルダー25が、図2に示すL字状のバネ部材6を介して、所定の摩擦力で摺動可能に係合されている。
【0039】
筐体5は、図2に示すようにフレーム51,52と、前カバー53とを備えて構成される。フレームは、樹脂成型品である後フレーム51と、その後フレーム51と係止された前フレーム52とを備えており、それらが相互に組合わされて箱体を形成し、その内部に第2群ユニット2、第3群ユニット3a、第1群ユニット3bおよびアクチュエータ4を少なくとも収容する。
【0040】
又、これらフレーム51,52は、それらで形成される箱体が、光軸方向である前後に2分割された形状を有する樹脂成型品から成り、かつ前記箱体の側壁は、貫通孔が無い形状に形成され、これによって箱体内が気密に形成される。
【0041】
後フレーム51は、大略的に、矩形状のものから構成されており、軸方向を前後方向に延ばされた保持筒514が設けられている。保持筒514の内周側は、嵌合孔511となって、第3群ユニット3aを保持する。
【0042】
又、この実施形態では、保持筒514の外周壁に、アクチュエータ4の錘43の外周が接触するのを防止するための錘接触防止用の第1凹部516が設けられている。
【0043】
又、保持筒514の外周側における第1凹部516の近傍には、対向用孔515が設けられている。この対向用孔515は、図4(c)に示すようにその内径R1が錘43の外径R3よりも小さく設定されている。この実施形態では、錘43の外径R3が1.5mm程度とされているのに対して、対向用孔515の内径R1は1.2mm程度とされている。
【0044】
そして、図3に示すように、対向用孔515の前方側には、アクチュエータ4の錘43が対向用孔515を塞ぐように対向して配設されて、その状態で、対向用孔515に接着剤8が充填され、これにより、アクチュエータ4の他端をなす錘43が後フレーム51に保持されるようになっている。
【0045】
この接着剤8としては、例えば紫外線硬化性のもの或いは熱硬化性のものが挙げられる。又、接着剤8は、弾性率が10メガパスカル(MPa)以下のものが好ましい。弾性率が10メガパスカル(MPa)を超えると、例えばフレーム51,52に外的負荷がかかった場合に接着剤がその外的負荷を吸収し難くなってその外的負荷がアクチュエータ4の駆動軸42にかかるおそれが高くなるからである。ただし、接着剤は、これら例示のものに限定されずに種々のものを使用できる。
【0046】
又、後フレーム51の外周には、図1に示すように上記外部接続端子46,47が取り付けられている。
【0047】
前フレーム52は、図2に示すように矩形の前側面522の全外周側から後方に延設された側壁521を備え、これらの側壁521によって、内部に第2群ユニット2及びアクチュエータ4を収容する収容部が区画形成されている。
【0048】
この側壁521には、後フレーム51に係止するための係止部としての弾性を有する係止片521bが設けられている。
【0049】
又、前側面522には、第1群ユニット3bが配置されて外部に臨む開口523が形成されている。又、開口523の外周側における前フレーム52の1つの隅角部には、アクチュエータ4の一端をなす駆動軸42の先端部が挿入される調整用孔526が設けられている。
【0050】
この調整用孔526は、図4(c)に示すように、その内径R2が駆動軸42の外径R4よりも大きく設定されており、調整用孔526に挿入された駆動軸42の先端部の外周と調整用孔526の内周壁との間に所定の間隙526aが形成されて駆動軸42の先端部が径方向(外周方向)に移動できるようになっている。
【0051】
この実施形態では、駆動軸42の外径R4が800μm程度であるのに対し、この調整用孔526の内径R2が900μm程度とされている。
【0052】
又、上記間隙526aには、接着剤8が充填され、後述するようにセンサー基板7に対する傾き調整を終えた後の駆動軸42を保持するようになっている。この接着剤8は、上記対向用孔515に充填されるものと同様のものを使用できる。
【0053】
図2に戻り、前カバー53は、電磁シールドおよび外観(意匠)上設けられる板金加工品であり、フレーム51,52が組付けられた後、前フレーム52側から被せられ、側壁531に設けられた係止爪531aがそれぞれ前フレーム52の側壁521に形成された係止凹部521aに嵌り込むことで前フレーム52に固定される。
【0054】
次に、センサー基板7について説明する。センサー基板7は、図2、図3に示すように矩形板状の基板本体71と、基板本体71の前面側に配設された撮像素子72とを備えている。撮像素子72は、CCDタイプやCMOSタイプのイメージセンサを備えて構成されている。
【0055】
基板本体71は、この実施形態では、合成樹脂製の板状体から構成されており、後フレーム51の後面51aに接着剤等の固定手段によって固定的に取り付けられている。この状態で、撮像素子72が第3群ユニット3aの後方側に配設されている。
【0056】
次に、以上のように構成された撮像装置1を、本発明の位置調整治具(撮像装置用位置調整治具)9を用いて製造する方法について説明する。まず、図4(a)に示すように後フレーム51に、例えば後フレーム51の後面51aを基準面にして第3群ユニット3aを取り付ける。これにより、第3群ユニット3aは、その光学素子21,22の光軸O3が後フレーム51の後面51aに対して垂直になって後フレーム51の前後方向に延ばされた状態に取り付けられる。そして、この実施形態では、この光軸O3がフレーム51,52の所定の基準線に設定され、この光軸O3に対してアクチュエータ4の位置調整を行う。
【0057】
次に、図4(b)に示すように、第3群ユニット3aを取り付けた後フレーム51の対向用孔515に、アクチュエータ4の錘43を前方側から塞ぐようにして対向させるとともに、アクチュエータ4の駆動軸42に、バネ部材6を介して第2群ユニット2を係合させる。
【0058】
次に、図4(c)に示すように、前フレーム52を、その調整用孔526にアクチュエータ4の駆動軸42の先端を挿入するようにして後フレーム51に係止させる。
【0059】
以上で、フレーム51,52に対するアクチュエータ4の駆動軸42の位置が未だ調整されていない状態の位置未調整撮像装置10が形成される。
【0060】
そして、この状態では、アクチュエータ4の駆動軸42の外周と調整用孔526の内周壁との間に所定の間隙526aが形成され、駆動軸42が径方向(外周方向)に移動可能状態になっているとともに、アクチュエータ4の錘43の外周と後フレーム51の保持筒514の外周壁及び前フレーム52内周壁との間に、隙間が形成されている。
【0061】
次に、位置調整治具9を用いてアクチュエータ4の駆動軸42の位置調整を行う。この位置調整治具9は、図5に示すように、大略的に、第1治具91と、その第1治具91に対向した第2治具92とを備えている。
【0062】
第1治具91は、第1治具本体91aと、アクチュエータ4の錘43を、図の下方側から支持しアクチュエータ4の後端を操作する移動操作部材としての第1移動操作部材93と、図示しない接着剤充填部とを備えている。第1治具本体91aは、後フレーム51の後面51aを受ける後面受け部91bを備えている。
【0063】
この後面受け部91bは、この位置調整治具9の軸O2の方向(図5のX−X方向)と垂直な面をなしている。
【0064】
第1移動操作部材93は、先端に、アクチュエータ4の錘43に当接する当接部90を備えている。この実施形態では、第1移動操作部材93は、図7に示すように、ステンレス等の金属製の棒状体から構成された移動操作部材本体95と、その移動操作部材本体95における先端部を覆うように配設された濡れ性低減部96とを備えている。
【0065】
濡れ性低減部96は、移動操作部材本体95を構成した素材(この実施形態ではステンレス)よりも上記接着剤8に対する濡れ性が低い素材から構成されている。すなわち、濡れ性低減部96は、接着剤をはじき、接着剤が付着し難いように構成されている。この実施形態では、濡れ性低減部96は、移動操作部材本体95の全体を覆うように形成されたテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂コーティング層から構成されている。
【0066】
そして、この第1移動操作部材93は、上記軸O2の方向(X−X方向)及びその軸O2の方向と垂直な方向(以下、軸垂直方向)、即ち、上記後面受け部91bと平行な方向に移動可能に、第1治具本体91aに保持されている。
【0067】
第2治具92は、第2治具本体92aと、アクチュエータ4の駆動軸42を、図の上方側から支持しアクチュエータ4の先端を操作する移動操作部材としての第2移動操作部材94と、図示しない接着剤充填部とを備えている。第2治具本体92aは、前フレーム52を押さえる押さえ部92bを備えている。
【0068】
第2移動操作部材94は、この実施形態では、上記第1移動操作部材93と同構成のものから構成されている。そして、この第2移動操作部材94は、第2治具本体92aに、上記軸O2の方向(X−X方向)及び軸垂直方向に移動可能に取り付けられている。
【0069】
そして、このように構成された位置調整治具9の第1治具91と第2治具92との間に、上記位置未調整撮像装置10を配し、第1治具91の第1治具本体91aの後面受け部91bと第2治具92の第2治具本体92aの押さえ部92bとによって、位置未調整撮像装置10のフレーム51,52を移動不能に保持させる。
【0070】
又、この状態で、この状態で、第3群ユニット3aの光学素子21,22の光軸O3と位置調整治具9の軸O2とが同じ方向になる。又、図示しない第1治具91の接着剤充填部が後フレーム51の対向用孔515の近傍に配されるとともに、図示しない第2治具92の接着剤充填部が前フレーム52の調整用孔526の近傍に配される。
【0071】
この状態から、第1移動操作部材93を軸方向のアクチュエータ4側に移動させて先端部を対向用孔515に入れるようにしてアクチュエータ4の錘43の後端面に当接させて支持させるとともに、第2移動操作部材94を軸方向のアクチュエータ4側に移動させて先端部を調整用孔526に入れるようにしてアクチュエータ4の駆動軸42の先端面に当接させて支持させる。
【0072】
その後、第1治具91の接着剤充填部から対向用孔515に充填剤8を充填するとともに、第2治具92の接着剤充填部から駆動軸42の外周と調整用孔526の内周壁との間に充填剤8を充填する(図3参照)。その際、充填剤8を対向用孔515の一箇所に充填すればよく、充填を容易なものにできる。
【0073】
次に、位置調整治具9の軸O2に対するアクチュエータ4の駆動軸42の軸方向(軸O1)の傾き及び軸垂直方向の位置ずれを調整する。
【0074】
軸方向の傾き調整は、第1移動操作部材93と第2移動操作部材94との何れか一方を他方に対して軸垂直方向に移動操作するようにして行う。
【0075】
例えば第2移動操作部材94を移動操作することなく第1移動操作部材93だけを軸垂直方向に移動操作する。これにより、アクチュエータ4の錘43が駆動軸43の先端を支点に後フレーム51に対して径方向に回動して揺動し、位置調整治具9の軸O2に対するアクチュエータ4の駆動軸42の軸方向の傾きを変えることができる。そして、第2群ユニット2の光学素子21の光軸が位置調整治具9の軸O2と同方向になるように上記傾き調整をする。
【0076】
詳しくは、例えば後フレーム51の後面51aに平行な面からの反射光の傾きがゼロになるようにオートコリメータをセットしておく。そして、第2群ユニット2の光学素子21における平面に形成した保持部212からの反射光を上記オートコリメータで受光させ、その反射光の傾きがなくなるように、第1移動操作部材93を移動操作してアクチュエータ4の錘43を揺動させる。このようにして、第2群ユニット2の光学素子21の光軸が位置調整治具9の軸O2と同方向になるように上記傾き調整を行う。
【0077】
又、その錘43の揺動に際し、後フレーム51の第1凹部516によって、錘43の外周が後フレーム51に接触し難くでき、十分に調整範囲をとることができる。
【0078】
次に、上記のように傾き調整を行った状態で、軸垂直方向の位置ずれの調整を行う。この軸垂直方向の位置ずれの調整は、第1移動操作部材93と第2移動操作部材94との両方を同時に軸垂直方向の同方向に移動操作するようにして行う。詳しくは、例えば、次のようにして行う。
【0079】
予め第2群ユニット2の光学素子21の物体側の面(前面)の中心に光学性能に影響を与えない程度の微小なマーク(例えば凹部又は凸部)を形成しておく。同様に、第3群ユニット3aの光学素子31aの物体側の面(前面)の中心に光学性能に影響を与えない程度の微小なマークを形成しておく。そして、物体側から観察して、それらのマークが互いに一致するように、第1移動操作部材93と第2移動操作部材94とを同方向に移動操作してアクチュエータ4の錘43及び駆動軸42を後フレーム51、前フレーム51夫々に対して径方向に移動させる。
【0080】
これにより、アクチュエータ4の駆動軸42を、上記位置調整治具9の軸O2に対するアクチュエータ4の駆動軸42の軸方向の傾きを変えることなく軸垂直方向に移動させることができ、第2群ユニット2の光学素子21の光軸と第3群ユニット3aの光学素子31aの光軸O3とを一致させることができる。
【0081】
そして、上記調整後、上記充填した充填剤8に紫外線を照射して硬化させる。これにより、アクチュエータ4の軸方向の他端側である錘43の後端を前フレーム52に保持できるとともに、一端側である駆動軸42の先端を前フレーム52に保持できる。
【0082】
その後、第1移動操作部材93及び第2移動操作部材94をアクチュエータ4から引き離して対向用孔515から抜く。その際、対向用孔515内に充填剤8が充填されているため、例えば図8(b)に示すように操作部材193がステンレス製の操作部材本体のみから構成され先端部の外周に濡れ性低減部が設けられていない場合には、その先端部に充填剤8が付着し易く、操作部材193に充填剤8が多く付着した状態で、操作部材193が対向用孔515から抜かれることになる。
【0083】
このように操作部材193に充填剤8が多く付着した状態で対向用孔515から抜かれると、アクチュエータ4の他端側である錘43と後フレーム51との接着強度が弱くなってしまうおそれがある。又、操作部材193で、次のアクチュエータ4の錘43を支持する際に滑りを起こして支持し難くなってしまうとともに、操作部材193の先端部に付着した接着剤8がフレーム51,52内に入り込んでごみとなって機能を損なうおそれもある。
【0084】
しかし、この実施形態では、第1移動操作部材93は、その先端部の外周に濡れ性低減部96を備えているため、上記図8(b)に示す濡れ性低減部を設けていない操作部材193に比べて、図8(a)に示すように充填剤8を付着し難くでき付着面積を少なくでき、第1移動操作部材93をアクチュエータ4から引き離す際に第1移動操作部材93に付着する充填剤8を少なくできる。
【0085】
従って、アクチュエータ4の他端側である錘43と後フレーム51との接着強度が弱くなるおそれの少ないものにでき、又、第1移動操作部材93で、次のアクチュエータ4の錘43を支持する際に滑りを起こすおそれの少ないものにできるとともに、第1移動操作部材93の先端部に付着した接着剤8がフレーム51,52内に入り込むおそれの少ないものにできる。
【0086】
次に、位置調整治具9から、未だ第1群ユニット3b、センサー基板7及び前カバー53が装着されていない未装着状態の撮像装置1を取り出し、第1群ユニット3bを前フレーム52に接着剤によって固定的に取り付ける。
【0087】
この第1群ユニット3bの前フレーム52への取り付けは、例えば予め第1群ユニット3bの光学素子31bの物体側の面(前面)の中心に表示したマークを、上述した第2群ユニット2の光学素子21に表示したマークに一致させるようにして行う。
【0088】
これにより、第1群ユニット3bの光学素子31b,31cの光軸を上記第2群ユニット2の光学素子21,22の光軸および第3群ユニット3aの光学素子31aの光軸O2に一致させることができる。
【0089】
尚、この実施形態では、第1群ユニット3bの前フレーム52への取り付けを、位置調整治具9から上記未装着状態の撮像装置1を取り外してから行っているが、例えば位置調整治具9に上記未装着状態の撮像装置1をセットした状態で行うこともでき、適宜変更し得る。
【0090】
又、後フレーム51の後面51aに接着剤によってセンサー基板7を取り付けるとともに、前カバー53を前フレーム52に被せるように装着する。これにより、図1及び図3に示す撮像装置1を得ることができる。
【0091】
以上のようにして撮像装置1を製造すれば、アクチュエータ4の駆動軸42の先端又は錘43の後端を揺動操作させることにより、例えばフレームの所定の基準線として設定した第3群ユニット3aの光学素子31aの光軸O3に対するアクチュエータ4の駆動軸42の軸O1の傾きを調整できる。又、アクチュエータ4の駆動軸42と錘43とを共に移動操作させることにより、第3群ユニット3aの光学素子31aの光軸O3に対する位置ずれを調整できる。従って、フレームの基準線に対するアクチュエータの軸方向の傾き及びその基準線と垂直な方向の位置ずれを調整できる。
【0092】
又、駆動軸42の外周と調整用孔526の内周壁との間に接着剤8を充填するため、フレーム51,52とアクチュエータ4に係合した移動レンズ群21,22とのガタつきを無くすことができ、両者のガタつきに伴う移動レンズ群21,22の移動や回転を抑制できる。これにより、光学性能の劣化を防止できる。又、駆動軸42の外周と調整用孔526の内周壁との間からの塵や埃等の侵入を防止できる。
【0093】
尚、上記実施形態では、第2移動操作部材94を駆動軸42に直接当接させるようにして第2移動操作部材94で駆動軸42を支持したが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば図9に示すように、駆動軸42の先端面を被覆部材142で被覆するようにしてよい。
【0094】
詳しくは、被覆部材142は、駆動軸42の先端を嵌合する嵌合凹部143aを有する円筒部143と、円筒部143の前端に設けられた鍔部144とを備えている。嵌合凹部143aは、駆動軸42の外径と略同径に形成され、嵌合した駆動軸42の外周と嵌合凹部143aの内周壁との間に実質的に隙間ができないように構成されている。
【0095】
円筒部143の外径は、前フレーム52の調整用孔526の内径よりも小さく設定され、調整用孔526に入った円筒部143の外周と調整用孔526の内周壁との間に所定間隔の隙間145ができ、円筒部143が径方向(外周方向)に移動できるようになっている。
【0096】
鍔部144は、その外径が前フレーム52の調整用孔526の内径よりも大きく設定されている。
【0097】
このように構成された被覆部材142は、第2移動操作部材94でアクチュエータ4を支持するに先立って、前フレーム52の調整用孔526から嵌合凹部143aに駆動軸42の先端を嵌合させて被覆する。そして、その状態で、第2移動操作部材94を被覆部材142に当接させることにより、被覆部材142を介してアクチュエータ4を支持する。
【0098】
この状態で、例えば第1移動操作部材93のみを軸垂直方向に移動させて駆動軸42の先端を支点に錘43を揺動させればアクチュエータ4の駆動軸42の軸方向の傾きを調整できる。又、第1移動操作部材93と第2移動操作部材94との両方を軸垂直方向の同方向に移動させればアクチュエータ4の駆動軸42を軸垂直方向に移動させて位置ずれを調整できる。
【0099】
そして、位置調整後、被覆部材142を前フレーム52に接着剤8により保持させる。従って、この場合は、アクチュエータ4の駆動軸42は、被覆部材142を介して前フレーム52に間接的に保持される。
【0100】
このように構成すれば、第2移動操作部材94によってアクチュエータ4の一端である駆動軸42を支持する際、第2移動操作部材94を被覆部材142に当接させて支持でき、第2移動操作部材94を駆動軸42の先端に直接当接させずに済み、駆動軸42の先端にキズがつくようなことを防止できる。尚、被覆部材142は、上記のように駆動軸42の先端側の先端面及び外周を覆う形態のものに限らず、駆動軸42の先端面における少なくとも第1移動操作部材93が当接する部分を覆うものであればよく、適宜変更できる。
【0101】
又、上記実施形態では、後フレーム51の内周壁におけるアクチュエータ4の錘43の外周に対応する部分にだけ錘接触防止用の第1凹部516を設けたものとしたが、この形態のものに限らず、例えば図10に示すように、前フレーム52の内周壁におけるアクチュエータ4の錘43の外周に対応する部分に、第2凹部525を、第1凹部516に代えて又は第1凹部516と共に、設けるようにしてもよく、適宜変更し得る。
【0102】
このような第2凹部525を設けたものとすることにより、前フレーム52の内周壁と錘43の外周との間隔を広げることができる。これにより、アクチュエータ4の位置調整を行う際に、アクチュエータ4の錘43を、前フレーム52の内周壁側に移動させても前フレーム52の内周壁に接触し難いものにでき、調整範囲をより一層、十分に確保できる。又、前フレーム52の内周壁の一部に第2凹部525を設けることによって前フレーム52の内周壁と錘43の外周とのスペースを広げるため、装置全体の小型化を図ることができる。
【0103】
又、上記実施形態では、アクチュエータ4の錘43を円柱状のものから構成したが、例えば図11に示すように錘243を、後端(他端)に行くに従い漸次径が小さくなる円錐台の形状を有するものから構成してもよい。
【0104】
このようにすれば、アクチュエータ4の駆動軸43の先端を支点に錘243を揺動してアクチュエータ4の駆動軸43の傾きを調整する際に、円柱状のものに比べて錘243の後端が前フレーム52の内周壁及び後フレーム51の壁に接触し難いものにできる。
【0105】
又、上記実施形態では、第1移動操作部材93及び第2移動操作部材94は、夫々、濡れ性低減部96を備えたものとされているが、この形態のものに限らず、第1移動操作部材93と第2移動操作部材94とのいずれか一方が濡れ性低減部96を備えたものとしてもよく、適宜変更できる。
【0106】
即ち、上記実施形態では、アクチュエータの駆動軸の傾き調整と位置調整(軸垂直方向の調整)における接着時の例で説明しているが、傾き調整、位置調整単独の場合の調整にも、本発明の操作部材93,94を当然に適用でき、適宜変更できる。
【0107】
又、上記実施形態では、濡れ性低減部96を、フッ素樹脂コーティング層から構成したが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば移動操作部材本体95の外周に塗布した油から構成してもよい。この油としては、例えばドライサーフ(商品名)等の潤滑剤を挙げることができる。ただし、油は、上記例示のものに限らず、種々のものを使用できる。又、第1移動操作部材93又は第2移動操作部材94に油による濡れ性低減部96を形成する場合、第1移動操作部材93又は第2移動操作部材94でアクチュエータ4を支持する際に、毎回又は一定回数おきに刷毛等で塗布するようにすればよい。これにより、アクチュエータ4を支持する際に濡れ性低減部96を形成することも可能になり、濡れ性低減部96の形成を容易なものにできる。
【0108】
又、上記実施形態では、接着剤を、アクチュエータ4を移動させる前に充填したが、この形態のものに限らず、例えばアクチュエータ4を移動させた後に充填してもよく、適宜変更できる。
【0109】
又、上記実施形態では、固定レンズ群を有する第2及び第3群ユニットを設けているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば固定レンズ群を設けないものとし、或いは、固定レンズ群を有する1又は3以上のユニットを設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 撮像装置
2 第1群ユニット
3a 第2群ユニット
3b 第3群ユニット
4 アクチュエータ
7 センサー基板
8 接着剤
9 位置調整治具(撮像装置用位置調整治具)
41 圧電素子(電気機械変換素子)
42 駆動軸
43 錘
51 後フレーム
52 前フレーム
90 当接部
93 第1移動操作部材(移動操作部材)
94 第2移動操作部材(移動操作部材)
95 移動操作部材本体
96 濡れ性低減部
515 対向用孔
526 調整用孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な移動操作部材を有する撮像装置用位置調整治具を用い、電気機械変換素子と連結し移動レンズ群が所定の摩擦力で係合される駆動軸を備えたアクチュエータをフレーム内に配置して前記アクチュエータの軸方向の一端と他端との少なくとも一方の端部をフレームに接着剤により保持させる撮像装置の製造方法であって、
前記移動操作部材に設けられた移動操作部材本体の少なくとも先端部にその移動操作部材本体よりも前記接着剤に対する濡れ性を低減させるように形成した濡れ性低減部で、前記フレーム内に配置したアクチュエータの端部を支持し、
その後、その支持した移動操作部材を移動操作して、前記濡れ性低減部で支持した前記アクチュエータの端部の位置調整を行い、
次に、前記支持されたアクチュエータの端部とフレームとの間に充填した接着剤を硬化させ、その後、前記移動操作部材の濡れ性低減部をアクチュエータの端部から引き離すことを特徴とする撮像装置の製造方法。
【請求項2】
前記濡れ性低減部は、前記移動操作部材本体における少なくとも先端部に形成されたフッ素樹脂コーティングによって構成されていることを特徴とする請求項1記載の撮像装置の製造方法。
【請求項3】
前記濡れ性低減部は、前記移動操作部材本体における少なくとも先端部に塗布された油によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の撮像装置の製造方法。
【請求項4】
前記駆動軸の先端側に、当該先端側の端面を覆う被覆部材が設けられ、
前記移動操作部材は、前記被覆部材を介して前記駆動軸の先端を支持することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の撮像装置の製造方法。
【請求項5】
電気機械変換素子と連結し移動レンズ群が所定の摩擦力で係合される駆動軸を備えたアクチュエータをフレーム内に配置して前記アクチュエータの軸方向の一端と他端との少なくとも一方の端部を接着剤により前記フレームに保持させる撮像装置の製造方法に用いられる撮像装置用位置調整治具であって、
前記フレーム内に配置されたアクチュエータにおける前記接着剤により前記フレームに保持させる端部を先端部で支持して前記アクチュエータを前記フレームに対して移動操作する少なくとも1つの移動操作部材を備え、
前記移動操作部材は、移動操作部材本体と、その移動操作部材本体を構成した素材よりも前記接着剤に対する濡れ性が低い素材によってその移動操作部材本体における少なくとも先端部を覆うようにして構成された濡れ性低減部とを備えていることを特徴とする撮像装置用位置調整治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−233970(P2012−233970A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101162(P2011−101162)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】