撮像装置及び撮像方法
【課題】 追尾装置を用いて眼球の動きに追随して撮像する場合において、検出、算出及び補正のプロセス実行時に生じるタイムラグを抑制する。
【解決手段】 前記被検眼の画像を取得する取得手段と、前記画像に基づいて前記被検眼の動きを計測する計測手段と、前記計測手段により計測された前記被検眼の動きの周期に基づいて、前記取得手段が前記被検眼の画像を取得するときの前記被検眼の動きを予測する予測手段と、前記予測手段により予測された前記被検眼の動きに基づいて、前記取得手段が前記画像を取得する際の取得位置を制御する制御手段と、を有する撮像装置を提供する。
【解決手段】 前記被検眼の画像を取得する取得手段と、前記画像に基づいて前記被検眼の動きを計測する計測手段と、前記計測手段により計測された前記被検眼の動きの周期に基づいて、前記取得手段が前記被検眼の画像を取得するときの前記被検眼の動きを予測する予測手段と、前記予測手段により予測された前記被検眼の動きに基づいて、前記取得手段が前記画像を取得する際の取得位置を制御する制御手段と、を有する撮像装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像方法に関するものである。特に、眼球の動きを予測した制御を行う事で、所望の眼底断層像を取得する撮像装置及び撮像方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、眼底断層像が取得できるOCT(Optical Coherence Tomography)装置が注目されている。他の装置では観察できない眼底の内部構造が非侵襲で診断できる事が注目要因の一つである。高速に撮像可能で実績のあるFD−OCT(Fourier Domain)が市場の中心である。OCT装置には眼底カメラやSLO(Scanning Laser Ophthalmoscopy)が同一装置内に装備され、眼底のどこのエリアをOCTスキャンするか表示する事で所望の位置付近のOCT画像を取得することができる。
【0003】
一方、早期診断、早期治療から微小の腫瘍や異常を検出する為に、眼球の動きを考慮したOCT画像の撮像タイミングと位置の制御を正確に行う必要がある。
【0004】
眼球の動きを考慮した発明が特許文献1に示されている。
撮像タイミングに関する発明が特許文献2に示されている。
【0005】
特許文献1に開示される発明では、OCT装置に眼底の移動を検出する為の装置を付加させている。その装置は眼底の視神経乳頭を追尾し、追尾量をリアルタイムでOCTスキャナに伝える事で、所望位置付近のOCT画像を取得している。
【0006】
また、特許文献2に開示される発明では、心臓の周期にX線装置の制御を同期させる事で、所望の画像を取得し、撮像回数を減らし、被爆量を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2004−512125号公報
【特許文献2】特開2009−72572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示す構成では、眼底撮像装置や眼底断層像撮像装置の他に、追尾専用の特殊な装置を付加させる事が必須となり、装置の大型化、更には、追尾用のスキャナ等高価な部品が必要となる。また、追尾を行うターゲット(上述記載の視神経乳頭)を設定する等、初期に行う操作が増え、撮像時間が増える、等の問題があった。更に、高性能な追尾装置を用いても、検出、算出そして、補正というプロセスの間に眼球は動く為、必ずライムラグが生じていた。
【0009】
また、特許文献2に示す構成では、撮像タイミングを計る事は出来るが、対象が心臓である為、眼底平面の独立した動きに合わせた制御には対応していない。
本発明の目的は、上述課題を解決し、眼球の動き情報から以後の動きを予測し、制御を決定する事で、眼球の動きに影響の少ない所望の位置の撮像が可能となる撮像装置を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る撮像装置は、前記被検眼の画像を取得する取得手段と、前記画像に基づいて前記被検眼の動きを計測する計測手段と、前記計測手段により計測された前記被検眼の動きの周期に基づいて、前記取得手段が前記被検眼の画像を取得するときの前記被検眼の動きを予測する予測手段と、前記予測手段により予測された前記被検眼の動きに基づいて、前記取得手段が前記画像を取得する際の取得位置を制御する制御手段とを有する。
【0011】
或いは本発明に係る撮像方法は、取得手段によって前記被検眼の画像を取得する取得工程と、前記画像に基づいて前記被検眼の動きを計測する計測工程と、前記計測工程において計測された前記被検眼の動きの周期に基づいて、前記取得手段が前記被検眼の画像を取得するときの前記被検眼の動きを予測する予測工程と、前記予測工程において予測された前記被検眼の動きに基づいて、前記取得手段が前記画像を取得する際の取得位置を制御する制御工程とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所望の位置の撮像確率を向上させる事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1における装置の光学系の概略図である。
【図2】本発明の実施例1における装置の機能概略図である。
【図3】本発明の実施例1における眼底の動きを計測した際のSLO画像の概略図である。
【図4】本発明の実施例1におけるテンプレートの座標をグラフ化した概略図である。
【図5】本発明の実施例1における制御フローの概略図である。
【図6】本発明の実施例2における制御フローの概略図である。
【図7】本発明の実施例1における眼底の動きを予測した際の概略図である。
【図8】本発明の実施例1におけるSLO画像とOCT画像の概略図である。
【図9】本発明の実施例2における予測制御を行うグラフの概略図である。
【図10】本発明の実施例3における制御フローの概略図である。
【図11】本発明の実施例3におけるテンプレートマッチングの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施例1]
以下、本発明の実施例1について説明する。
本実施例では、SLO撮像部によりSLO画像を取得し、SLO画像から眼底平面方向の動き量を計測し、計測データとしての計測された被検眼の動き量から以降の眼底の動きを予測し、OCT撮像部のガルバノスキャナに算出した結果を反映させる事で所望の位置のOCT画像を取得した例について、述べる。なお、SLO撮像部は本発明における撮像手段及び眼底像撮像手段の一態様として例示される。SLO画像から被検眼の眼底平面方向の動き量を計測する手段は、後述するCPU201において計測手段として機能する領域として例示される。また計測手段により計測された被検眼の動き量に基づいて実際に眼底画像の撮像を行うタイミングに被検眼が動いて到達するであろう位置を予測する手段は、CPU201において予測手段として機能する領域にとして例示される。また、OCT撮像部は本発明における眼底断層像撮像手段の一態様として例示され、前述した眼底像撮像手段と共に或いは何れか単体により本発明において被検眼の画像を取得する取得手段を構成する。CPU201により、OCT撮像部は予測手段によって予測された被検眼の動作後の位置である画像取得位置からOCT撮像を開始させ、SLO撮像部は動作後の位置を加味して更なる眼底像の撮像を行う。この取得位置からの画像撮像の操作は、予測手段により予測された被検眼の動きに基づいて取得手段が画像を取得する位置を制御する、CPU201において制御手段として機能する領域により例示される。
本発明の実施例では、眼軸方向をz、眼底平面水平方向をx、眼底平面垂直方向をyと記述する。
【0015】
(SLO撮像部構成)
眼底画像を取得するSLO撮像部の光学構成に関して、図1を用いて説明する。レーザ光源130は、半導体レーザやSLD光源(Super Luminescent Diode)が好適に用いることができる。用いる波長は、OCT撮像部(眼底断層像撮像手段)の低コヒーレント光源101の波長とダイクロイックビームスプリッタ109によって、使用波長同士が分離できる光源であれば制約はないが、眼底観察像の画質を考慮した場合、700nm〜1000nmの近赤外の波長域が好適に用いられる。本実施例においては、波長760nmの半導体レーザを用いる。レーザ光源130から出射されたレーザ(SLOビーム)はファイバ131を介して、ファイバコリメータ132から平行光となって出射され、穴空きミラー133、フォーカスステージ(図示せず)上に設置されたフォーカスレンズ134を介し、SLOスキャナ(Y:眼底平面において、鉛直方向)135に導かれる。そして、レンズ136、137を介し、SLOスキャナ(X:眼底平面において、水平方向)138を介し、ダイクロイックビームスプリッタ109で反射し、被検眼eに入射する。ダイクロイックビームスプリッタ109は、後述するOCTビームを透過し、SLOビームを反射するように構成しておく。SLO撮像部のスキャナはガルバノスキャナを用いている。被検眼eに入射したSLOビームは、被検眼eの眼底に照射される。このビームが、被検眼eの眼底で反射あるいは散乱され、同一光路をたどり、リングミラー133まで戻る。リングミラー133の位置は、被検眼eの瞳孔位置と共役になっており、眼底に照射されているビームが後方散乱した光のうち、瞳孔周辺部を通った光が、リングミラー133によって反射され、レンズ139によりAPD(アバランシェホトダイオード)140上に結像する。APD140の強度情報に基づき,PC214(図2参照)により眼底の平面画像(眼底画像、SLO画像)を生成する。
【0016】
(OCT撮像部構成)
OCT撮像部の光学構成に関して、図1を用いて説明する。光源として、低コヒーレント光源101を用いる。光源101はSLD光源や、ASE光源(Amplified Spontaneous Emission)が好適に用いることができる。低コヒーレント光としては、850nm近傍および1050nm近傍の波長が眼底撮影には好適に用いられる。本実施例では、中心波長840nm、波長半値幅45nmのSLD光源を用いる。低コヒーレント光源101から出射される低コヒーレント光がファイバを経由して、ファイバカプラ102に入り、サンプル光(OCTビーム)と参照光に分けられる。ここではファイバを用いた干渉計構成を記載しているが、空間光光学系でビームスプリッタを用いた構成としてもかまわない。
【0017】
サンプル光は、ファイバ103を介して、ファイバコリメータ104から平行光として出射される。平行光は、フォーカスステージ(図示せず)上の不図示のOCTフォーカスレンズ121を介し、OCTスキャナ(Y)105、リレーレンズ106、107を経由し、さらにOCTスキャナ(X)108を通り、ダイクロイックビームスプリッタ109を透過しスキャンレンズ110、ダイクロイックミラー111、そして、接眼レンズ112を通り被検眼eを照射する。ここで、OCT走査部(本発明における走査手段に対応する)のスキャナ(X)108および(Y)105は、ガルバノスキャナを用いている。被検眼eにおけるサンプル光は、網膜で反射し、同一光路を通りファイバカプラ102に戻る。一方、参照光は、ファイバカプラ102からファイバコリメータ113に導かれ、平行光となり出射される。出射された参照光は、分散補正ガラス114を通り、光路長可変ステージ115上の参照ミラー116により反射される。参照ミラー116により反射された参照光は、同一の光路をたどり、ファイバカプラ102に戻る。
【0018】
ファイバカプラ102で戻ってきたサンプル光および参照光が合波され、ファイバコリメータ117に導かれる。ここでは合波された光を干渉光と呼ぶ。ファイバコリメータ117、透過型グレーティング118、レンズ119、ラインセンサ120によって、分光器が構成されている。干渉光は、分光器によって、波長毎の強度情報となって計測される。ラインセンサ120によって計測された波長毎の強度情報は、PC214に転送され、被検眼eの断層画像(OCT画像)として生成される。
【0019】
(内部固視灯)
本実施例では、固視を安定させる為、被検眼eに注視させる内部固視灯を有している。当該構成は、本発明における固視手段に対応する。OCT撮像部、SLO撮像部同様、図1を用い説明する。内部固視灯150は複数の発光ダイオード(LD)がマトリックス状に配置されたものを用いる。発光ダイオードの点灯位置を、PC214の制御により撮像したい部位に合わせて変更する。発光ダイオードは500nmの波長で、内部固視灯150から出射されたビームは、レンズ151とダイクロイックミラー111を経由して被検眼eに照射され、これを注視させることにより所望の位置の断層画像を撮像することができる。ダイクロイックミラー111は、スキャンレンズ110と接眼レンズ112の間に位置し、固視灯(500nm程度)の光と、OCTビーム,SLOビーム(700nm以上)を波長分離する。
【0020】
(ユニット構成と制御)
図2に本実施例で用いられる機能体系を示す。その機能体系は、システム全体を制御するCPU201を含むPC214と、主要構成であるSLO撮像部、OCT撮像部を制御する各々の制御部202、203、固視灯制御部208、SLO画像及びOCT画像の信号を取得する各々の受光素子であるAPD204(140)、ラインセンサ205(120)と、システム状態を表示する表示部206、眼底画像や撮像条件等を記録する記録部207、により構成されている。
【0021】
眼底の撮像時には、固視灯制御部208により内部固視灯150の点灯位置を制御し、表示装置209(150)で表示する事で注視させ、CPU201より制御部202、203に各々の撮像条件が指令され、各々のスキャナ210(105と108)、213(135と138)を駆動し、眼底を各々の光が走査する。眼底が走査され、眼底からの光が各々のセンサである、APD204、ラインセンサ205に到達し、電気信号がCPU201に送られ、画像処理(SLO画像、OCT画像の生成)された後、表示部206で表示され、同時又はその後、情報を記録部207に保存する。
【0022】
(具体例)
上述の装置を用い、以下、具体例を示す。
本実施例では、被検者の被検眼のSLO画像を取得し、特徴点を抽出し、次画像で特徴点と一致する画像をパターンマッチング、すなわち特徴画像についてのテンプレートマッチングにより検出し、座標の変化から眼底の動きを計測する。このパターンマッチングはCPU201においてパターンマッチング手段として機能する領域により実行される。計測結果を用い、以後の眼底の動きを予測し、CPU201において制御手段として機能する領域によりOCT撮像部のガルバノスキャナを予測に基づいて制御する事で、所望の位置のOCT画像を得る。ここで、本実施例における動きの予想とは、次にOCT画像の撮像を開始するときの眼底の移動後の位置を予測することであり、装置のOCT画像の取得間隔、動き計測の時間等により予測時間が決まってくる。
【0023】
先ず、眼底の動きの計測方法に関して、図3を用い、説明する。なお、以降に述べる被検眼の動きの計測は、CPU201における計測手段として機能する領域により実行される。図3に示す様に、被検眼の眼底の画像を取得する取得手段としてのSLO撮像部を用い、被検眼の眼底画像300を取得し、眼底画像から特徴点T(以下、テンプレート画像)を抽出する。ここで、SLO撮像部は、被検眼の画像を取得する取得手段の一例に相当する。特徴点Tの情報(画像、座標と取得時間等)を記録部207に記録する。新たに取得したSLO画像301内でテンプレート画像でのパターンマッチングを実行するための特徴点Tを探索する。まお、このパターンマッチングを行う眼底画像の中の特徴点Tとなる領域はCPU201において領域設定手段として機能する領域によって設定される。特徴点と一致する画像M1(以下、マッチング画像)を検出した後、マッチング画像M1の位置情報を記録する。以上の処理を図3の通り、順次取得される各SLO画像302、303に適応させる。新たに取得したSLO画像302、303から各々テンプレート画像を探索し、マッチング画像M2、M3を検出し、M2、M3の情報を記録部207に記録する。同様の工程を繰り返し行い、データを得る。各マッチング画像の時間と位置情報である座標(x、y)を、プロットする(図4)。x軸方向の眼底の動きと時間の関係を図4(a)に、y軸方向の眼底の動きと時間の関係を図4(b)に示す。
【0024】
次に、取得した眼底の動きの結果から、次のOCT画像の撮像開始時の眼底の動きを予測する。図4(a)を用い、予測方法を説明する。本実施例の予測は、プロットデータから、注視位置が固視灯位置(407)に戻る周期、固視灯から離れる速度、方向、を算出し、決定している。グラフから、401、402の様に形状周期を算出する。これは、固視灯150の点灯位置を注視しているが、固視微動のドリフトにより注視位置から固視灯から離れていく運動を示している。この様な固視微動等は眼球の回転としても把握可能である。そして、ある一定以上の距離が離れると被検者は再度固視灯を注視する(401と402の間の急峻な眼底の動き)ことが示されている。固視灯150から離れる際はほぼ一定の速度で一定期間ドリフトを続ける。この周期と特性を利用し、406以降の眼底の動きを図7の701の破線の様に予測する。破線は、401と402の平均値から算出している。平均値を算出するデータの範囲は、406とほぼ同様のタイミングとほぼ同様の形状の404、405以降のグラフを用いている。404は固視が固視灯より遠ざかるタイミングで、405は固視が固視灯に戻り且つ遠ざかるタイミング、406も固視が固視灯に一定距離戻り且つ再度遠ざかろうとしているタイミング、このように、固視が戻る周期と遠ざかる周期が表れている形状を予測している。また、同様の予測をy軸方向にも適応させる。すなわち、CPU201は、計測手段により計測された被検眼の動きの周期に基づいて、取得手段が被検眼の画像を取得するときの被検眼の動きを予測する予測手段の一例として機能する。なお、上記実施例では2周期のデータを用いて眼の動きを予測しているが、これに限定されるものではなく3周期以上のデータを用いてもよいし、1周期のデータを用いることとしてもよい。
【0025】
以上の様に眼底の動きの予測をした後、OCT撮像部のガルバノスキャナの制御に反映する。更に、上述の予測の算出は、主に眼球運動(固視微動)のサッカードとドリフトに対応している。眼球運動には微小で高速に動く(5μm振幅、周期100Hz程度)トレモアがある。本実施例では、上述の制御に各スキャナを5μm、100Hzの振動を上述の予測に加え、ガルバノスキャナを制御し、OCT撮像する。
【0026】
上述の制御フローに関して、図5を用い説明する。制御を開始する(ステップ501)。CPU201は、SLO画像を取得し(ステップ502)、SLO画像からテンプレートを抽出し(ステップ503)、テンプレートの座標を記録部207に保存する(ステップ504)。CPC201は、次のSLO画像を取得(ステップ505)し、テンプレートマッチングを行い(ステップ506)、マッチング画像の座標を計測する。以上の工程は本発明における計測工程に対応する。次に、これら計測結果を記録部207に記録すると同時に、上述のようにプロットする(ステップ507)。ステップ505〜507の間に、検者の指示に基づきOCT走査位置を決定し(ステップ508)、その他のOCTの撮像条件を受け付け(ステップ509)、OCTの撮像時間を算出する(ステップ510)。準備が整った後、OCT撮像を開始する(ステップ511)。ステップ511の指令により、SLO画像の取得を停止し(ステップ512)、マッチング座標のプロット情報から今後の眼底の動き、つまり、OCTのスキャナ制御を決定し(ステップ513)する。以上は本発明における予測工程に対応する。スキャナ制御決定後、OCTスキャンを開始し(ステップ514)、OCT画像を取得する(ステップ515)、といった撮像工程が実行される。
【0027】
SLO画像から眼底の動きを検出し、眼底の動きからOCT撮像部のスキャナ制御を決定し、決定した制御でスキャナを駆動させOCT画像を取得した際の結果を図8に示す。801はSLO画像、802はOCT画像、803はOCTスキャン位置、804はテンプレート位置を示している。眼底の予測した動きに合わせて、OCT撮像部のガルバノスキャナを駆動させている為、眼底に対するOCTスキャン位置は変化せず、OCT画像も安定して同様の画像を取得している。
【0028】
以上のような制御を行う事で所望の眼底位置のOCT画像が取得できる。
すなわち、本発明では、被検眼の動きを計測するCPU201内の計測手段と、被検眼の眼底画像を撮像するOCT撮像部或いはSLO撮像部からなる撮像手段と、撮像手段が眼底画像を撮像する際の撮像位置を制御するCPU201内の制御手段と、CPU201内の計測手段により計測された動きに基づいて、撮像手段が被検眼を撮影するときの被検眼の動きを予測する予測手段と、を有し、制御手段は、予測された被検眼の動きに基づいて、被検眼における撮像位置が変化しない様に撮像手段を制御することとしている。なお、ここで述べた予測された動きは、撮像タイミングにおいて特徴点の存在する位置と予測の基準となった該特徴点の位置との差についてであり、撮像位置の変化は撮像中心或いは測定光のスキャン開始位置をこの差に基づいて位置的にシフトさせることに対応する。
【0029】
[実施例2]
本実施例では過去のデータを用い、予測制御を行う事で、所望位置のOCT画像を取得し、OCT撮像中もSLO画像で眼底の動きを一定の周期で確認した例について述べる。
本実施例で用いる装置(SLO撮像部とOCT撮像部)と制御部の構成は実施例1と同様であるので、説明は割愛する。
【0030】
(具体例)
本実施例においては、眼底の動きに関するデータが既に存在し(被検者に関する情報)、眼底の動きは過去のデータをPC214の記録部207から読み出す(図9:(a))。記録部207は本発明における記録手段に対応し、計測済みのデータを記録する。次に、実施例1と同様、SLO撮像部を用いて、眼底を撮像することにより複数枚の眼底画像を取得し、眼底の動きを計測する(図9:(b))。
【0031】
次に、読み出した眼底の動きと計測した動きの結果から、一致する箇所を見つけ、眼底の動きを予測する。図9を用い、予測方法を説明する。実測した図9(b)の901の形状を図9(a)のグラフ形状の中から探索し、一致度が一番高い箇所を検出する(図9(a)902)。一致度は、固視灯からの距離、形状を加味している。以上の操作は、CPU201において、固視手段である固視灯の点灯位置と被検眼の固視位置との差を求める手段として機能する領域により実行される。予測手段はこの差を用いて眼底の動きを予測する。一致度が一番高い箇所から以後の眼底の動きを参考に、OCT撮像部のガルバノスキャナの制御を決定する。例えば、901の様にV字形状の後は、一定の速度で固視が固視灯から遠ざかり、固視灯からある一定距離遠ざかると、固視灯位置に戻るという眼の特性を利用して、このような形状を参考にガルバノスキャナを制御する。すなわち、過去のデータのV字形状となっている部分を基準の形状として、この基準形状と一致度が高い部分を今回のデータから探し、発見した場合は、過去の眼の動きに従ってガルバノスキャナを制御する。
【0032】
本実施例では、実際に、OCT撮像中もSLO画像を取得し、眼底の動き量を計測し、OCTガルバノスキャナのスキャンに位置と動き量の差を算出し、リアルタイムでズレをモニタしている。以上の工程は、CPU201内の計測手段に含まれる、SLO撮像部或いはOCT撮像部からなる撮像手段により得られた撮像位置と予測手段によって予測された被検眼の動き後の該撮像位置との差を算出する算出手段によって実行される。
【0033】
本実施例のフローに関して、図6を用い説明する。CPU201は、入力された被検者情報を受け付け(ステップ601)、過去に取得したテンプレート画像と眼球の動きデータを記録部207より読み出す(ステップ602)。次に、SLO撮像部を用い、被検眼の眼底SLO画像を取得し(ステップ603)、テンプレート画像を用いテンプレートマッチングを行い(ステップ604)、マッチング座標を保存する(ステップ605)。マッチング座標を5点以上取得後(ステップ606)、座標から位置情報をグラフ化する(ステップ607)。過去の眼球の動きデータとステップ607のグラフから、眼球の動きが類似しているポイントを探す(ステップ608)。類似ポイントから眼球の動きを考慮したOCTスキャナの制御を決定する(ステップ609)。その後、SLO画像を取得し続け(ステップ610)、テンプレートマッチングを行い(ステップ611)、マッチング座標を記録する(ステップ612)。ステップ610〜612と同時に、OCTをステップ609の制御に従い、ガルバノスキャナを制御し撮像する(ステップ613)。ガルバノスキャナの位置は毎回検出する(ステップ614)。OCT撮像部のスキャナ位置とステップ612におけるマッチング座標と比較を行い、差異を算出する(ステップ615)。差異が例えば100μm以上の際は(ステップ616)、眼底の実際の動きとガルバノスキャナの制御に差があり、所望の位置とは異なる為、ステップ602に戻り、再設定する。差異が100μm以内の際は、OCT撮像部の撮像が終了しているかを確認し(ステップ617)、処理を終了する。
【0034】
本実施例では、過去のデータを用いる事で、眼底の動きの予測を簡易的に算出でき、所望位置のOCT画像が取得でき、リアルタイムで予測値と実測値を確認する事で測定の正確性を向上させている。
なお、上記の実施例ではOCT撮像部のスキャナ位置とステップ612におけるマッチング座標と比較して差異を算出しているが、これに限定されるものではない。例えば、この差異を算出しないこととしてもよい。すなわち、図6におけるステップ613−616を行わないこととしてもよい。
また、上記の実施例では過去の眼の動きのデータに基づいてガルバノスキャナを制御しているが、ガルバノスキャナを制御するための情報はこれに限定されるものではない。例えば、過去の眼の動きのデータは複数回計測された眼の動きの平均値であっても良いし、1回のみ計測された眼の動きのデータであってもよい。ここで、複数回計測された眼の動きの平均化することで信頼性の高いデータを得ることができ、被検眼の動きの予測を生後良く行うことが可能となる。なお、過去の眼の動きのデータは複数の被検者の眼の動きのデータを平均化したものであってもよい。例えば、眼の動きは年齢に応じて変化するため、20代、30代等の年齢層毎の被検者の眼の動きのデータを平均化したデータをそなえることとしてもよく、この場合、被検査者の年齢に応じて使用する眼の動きのデータ決定することとしてもよい。また、上記年齢層毎かつ性別毎の被検者の眼の動きのデータを平均化したデータをそなえることとしてもよい。このようなデータを用いれば初めて診察を受ける被検者であっても眼の動きを予測してガルバノスキャナを制御することが可能となる。
なお、複数回計測された眼の動きの平均値、1回のみ計測された眼の動きのデータ、年齢層毎の被検者の眼の動きの平均値、年齢層毎かつ性別毎の被検者の眼の動きの平均値のいずれのデータを用いるかを検査者に選択させることとしてもよい。例えば、図6におけるステップ602以前に、使用するデータを検者に選択させる画面を表示装置206に表示することとしてもよい。このようにすれば、検者は被検者に応じて柔軟に眼の動きの予測に用いるデータを選択でき、より正確な眼の動きの予測が可能となる。
【0035】
[実施例3]
本実施例では、実施例2で行ったリアルタイムで差異を算出する際の眼底の動きを計測する速度を向上させる事で、大きな差異を防止した例について述べる。SLO撮像部、OCT撮像部、制御機能と予測データの算出方法に関する説明は、実施例1、2と同様である為、割愛する。
【0036】
テンプレートマッチングの探索領域(以下ROIと記す)に眼底の動きの予測データを反映する事でROIを狭くし、計測速度を向上が達成させた例について、図10を用い制御工程を説明する。
【0037】
CPU201は、SLO画像を取得し(ステップ1002)、SLO画像からテンプレートを抽出する(ステップ1003)。抽出したテンプレート情報を記録部207に記録する(ステップ1004)。新たにSLO画像を取得し(ステップ1005)、眼底の動きを予測するデータとSLO画像のフレームレートをもとに、取得したSLO画像内を探索する領域を決定する(ステップ1006)。決定した領域を探索し(ステップ1007)、マッチング画像を検出する(ステップ1008)。マッチングした画像の情報を保存する(ステップ1009)。眼底撮像が終了したかどうかを確認して(ステップ1010)、終了する。以上の結果(各座標情報)をもとに、眼底の動きを計測する。ステップ1006が本実施例の特徴的な処理である。
【0038】
以上の工程を実際の取得画像(図11)を用い、説明する。
CPU201は、SLO画像1101を取得し(ステップ1002)、SLO画像からテンプレート1102を抽出する(ステップ1003)。新たにSLO画像1103を取得し(ステップ1005)、取得したSLO画像内を探索する領域1105を決定する(ステップ1006)。決定した領域1105内を探索し(ステップ1007)、マッチング画像1106を検出する(ステップ1008)。
【0039】
以上の様に、テンプレートマッチングにおいて、ROIの決定に眼底の動きを予測するデータを反映させる事で、ROIが狭くなり、マッチング時間が短縮、更にはミスマッチング防止、が可能となる。
【0040】
(他の実施例1)
本実施例1、2ではOCT撮像部のガルバノスキャナに予測制御を反映させたが、OCT装置ではなくSLO装置でも良い。また、眼底の動きをSLO撮像部で検出したが、LSLO(Line-SLO)他の方法でも同様の効果がある。他の方法は、高速で眼底の動き(眼球の動きでも良い)を検出する装置(プルキニエ、強膜反射、サーチコイル等の他の方法)である事が望ましい。
【0041】
眼底の動きを予測する方法は、簡易的に、プロットの各点から近似曲線を算出する、線形最小2乗法により算出する、等、他の計算方法でも良い。
【0042】
OCT画像の取得タイミングを固視灯に注視するタイミング(図4(a)の404、405等)に合わせる事で、誤差の少ない計測ができる。また、撮像タイミングはサッカード終了後が望ましい。サッカードは連続的な運動ではないので、サッカードの周期間で撮像する事で所望の位置でのOCT画像が取得できる。
【0043】
サッカード、ドリフト、そして、トレモアは検者に依存するので、各パラメータ特に、トレモアの制御(5μm、100Hz)は適正化する事が望ましい。
実施例1、2では、固視灯に内部固視灯を用いたが、外部固視灯でも良い。
【0044】
(他の実施例2)
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、上記実施例の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記実施例においては眼底の動きについて述べているが、これに限定されるものではなく、本発明を前眼に適用することもできる。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像方法に関するものである。特に、眼球の動きを予測した制御を行う事で、所望の眼底断層像を取得する撮像装置及び撮像方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、眼底断層像が取得できるOCT(Optical Coherence Tomography)装置が注目されている。他の装置では観察できない眼底の内部構造が非侵襲で診断できる事が注目要因の一つである。高速に撮像可能で実績のあるFD−OCT(Fourier Domain)が市場の中心である。OCT装置には眼底カメラやSLO(Scanning Laser Ophthalmoscopy)が同一装置内に装備され、眼底のどこのエリアをOCTスキャンするか表示する事で所望の位置付近のOCT画像を取得することができる。
【0003】
一方、早期診断、早期治療から微小の腫瘍や異常を検出する為に、眼球の動きを考慮したOCT画像の撮像タイミングと位置の制御を正確に行う必要がある。
【0004】
眼球の動きを考慮した発明が特許文献1に示されている。
撮像タイミングに関する発明が特許文献2に示されている。
【0005】
特許文献1に開示される発明では、OCT装置に眼底の移動を検出する為の装置を付加させている。その装置は眼底の視神経乳頭を追尾し、追尾量をリアルタイムでOCTスキャナに伝える事で、所望位置付近のOCT画像を取得している。
【0006】
また、特許文献2に開示される発明では、心臓の周期にX線装置の制御を同期させる事で、所望の画像を取得し、撮像回数を減らし、被爆量を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2004−512125号公報
【特許文献2】特開2009−72572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示す構成では、眼底撮像装置や眼底断層像撮像装置の他に、追尾専用の特殊な装置を付加させる事が必須となり、装置の大型化、更には、追尾用のスキャナ等高価な部品が必要となる。また、追尾を行うターゲット(上述記載の視神経乳頭)を設定する等、初期に行う操作が増え、撮像時間が増える、等の問題があった。更に、高性能な追尾装置を用いても、検出、算出そして、補正というプロセスの間に眼球は動く為、必ずライムラグが生じていた。
【0009】
また、特許文献2に示す構成では、撮像タイミングを計る事は出来るが、対象が心臓である為、眼底平面の独立した動きに合わせた制御には対応していない。
本発明の目的は、上述課題を解決し、眼球の動き情報から以後の動きを予測し、制御を決定する事で、眼球の動きに影響の少ない所望の位置の撮像が可能となる撮像装置を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る撮像装置は、前記被検眼の画像を取得する取得手段と、前記画像に基づいて前記被検眼の動きを計測する計測手段と、前記計測手段により計測された前記被検眼の動きの周期に基づいて、前記取得手段が前記被検眼の画像を取得するときの前記被検眼の動きを予測する予測手段と、前記予測手段により予測された前記被検眼の動きに基づいて、前記取得手段が前記画像を取得する際の取得位置を制御する制御手段とを有する。
【0011】
或いは本発明に係る撮像方法は、取得手段によって前記被検眼の画像を取得する取得工程と、前記画像に基づいて前記被検眼の動きを計測する計測工程と、前記計測工程において計測された前記被検眼の動きの周期に基づいて、前記取得手段が前記被検眼の画像を取得するときの前記被検眼の動きを予測する予測工程と、前記予測工程において予測された前記被検眼の動きに基づいて、前記取得手段が前記画像を取得する際の取得位置を制御する制御工程とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所望の位置の撮像確率を向上させる事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1における装置の光学系の概略図である。
【図2】本発明の実施例1における装置の機能概略図である。
【図3】本発明の実施例1における眼底の動きを計測した際のSLO画像の概略図である。
【図4】本発明の実施例1におけるテンプレートの座標をグラフ化した概略図である。
【図5】本発明の実施例1における制御フローの概略図である。
【図6】本発明の実施例2における制御フローの概略図である。
【図7】本発明の実施例1における眼底の動きを予測した際の概略図である。
【図8】本発明の実施例1におけるSLO画像とOCT画像の概略図である。
【図9】本発明の実施例2における予測制御を行うグラフの概略図である。
【図10】本発明の実施例3における制御フローの概略図である。
【図11】本発明の実施例3におけるテンプレートマッチングの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施例1]
以下、本発明の実施例1について説明する。
本実施例では、SLO撮像部によりSLO画像を取得し、SLO画像から眼底平面方向の動き量を計測し、計測データとしての計測された被検眼の動き量から以降の眼底の動きを予測し、OCT撮像部のガルバノスキャナに算出した結果を反映させる事で所望の位置のOCT画像を取得した例について、述べる。なお、SLO撮像部は本発明における撮像手段及び眼底像撮像手段の一態様として例示される。SLO画像から被検眼の眼底平面方向の動き量を計測する手段は、後述するCPU201において計測手段として機能する領域として例示される。また計測手段により計測された被検眼の動き量に基づいて実際に眼底画像の撮像を行うタイミングに被検眼が動いて到達するであろう位置を予測する手段は、CPU201において予測手段として機能する領域にとして例示される。また、OCT撮像部は本発明における眼底断層像撮像手段の一態様として例示され、前述した眼底像撮像手段と共に或いは何れか単体により本発明において被検眼の画像を取得する取得手段を構成する。CPU201により、OCT撮像部は予測手段によって予測された被検眼の動作後の位置である画像取得位置からOCT撮像を開始させ、SLO撮像部は動作後の位置を加味して更なる眼底像の撮像を行う。この取得位置からの画像撮像の操作は、予測手段により予測された被検眼の動きに基づいて取得手段が画像を取得する位置を制御する、CPU201において制御手段として機能する領域により例示される。
本発明の実施例では、眼軸方向をz、眼底平面水平方向をx、眼底平面垂直方向をyと記述する。
【0015】
(SLO撮像部構成)
眼底画像を取得するSLO撮像部の光学構成に関して、図1を用いて説明する。レーザ光源130は、半導体レーザやSLD光源(Super Luminescent Diode)が好適に用いることができる。用いる波長は、OCT撮像部(眼底断層像撮像手段)の低コヒーレント光源101の波長とダイクロイックビームスプリッタ109によって、使用波長同士が分離できる光源であれば制約はないが、眼底観察像の画質を考慮した場合、700nm〜1000nmの近赤外の波長域が好適に用いられる。本実施例においては、波長760nmの半導体レーザを用いる。レーザ光源130から出射されたレーザ(SLOビーム)はファイバ131を介して、ファイバコリメータ132から平行光となって出射され、穴空きミラー133、フォーカスステージ(図示せず)上に設置されたフォーカスレンズ134を介し、SLOスキャナ(Y:眼底平面において、鉛直方向)135に導かれる。そして、レンズ136、137を介し、SLOスキャナ(X:眼底平面において、水平方向)138を介し、ダイクロイックビームスプリッタ109で反射し、被検眼eに入射する。ダイクロイックビームスプリッタ109は、後述するOCTビームを透過し、SLOビームを反射するように構成しておく。SLO撮像部のスキャナはガルバノスキャナを用いている。被検眼eに入射したSLOビームは、被検眼eの眼底に照射される。このビームが、被検眼eの眼底で反射あるいは散乱され、同一光路をたどり、リングミラー133まで戻る。リングミラー133の位置は、被検眼eの瞳孔位置と共役になっており、眼底に照射されているビームが後方散乱した光のうち、瞳孔周辺部を通った光が、リングミラー133によって反射され、レンズ139によりAPD(アバランシェホトダイオード)140上に結像する。APD140の強度情報に基づき,PC214(図2参照)により眼底の平面画像(眼底画像、SLO画像)を生成する。
【0016】
(OCT撮像部構成)
OCT撮像部の光学構成に関して、図1を用いて説明する。光源として、低コヒーレント光源101を用いる。光源101はSLD光源や、ASE光源(Amplified Spontaneous Emission)が好適に用いることができる。低コヒーレント光としては、850nm近傍および1050nm近傍の波長が眼底撮影には好適に用いられる。本実施例では、中心波長840nm、波長半値幅45nmのSLD光源を用いる。低コヒーレント光源101から出射される低コヒーレント光がファイバを経由して、ファイバカプラ102に入り、サンプル光(OCTビーム)と参照光に分けられる。ここではファイバを用いた干渉計構成を記載しているが、空間光光学系でビームスプリッタを用いた構成としてもかまわない。
【0017】
サンプル光は、ファイバ103を介して、ファイバコリメータ104から平行光として出射される。平行光は、フォーカスステージ(図示せず)上の不図示のOCTフォーカスレンズ121を介し、OCTスキャナ(Y)105、リレーレンズ106、107を経由し、さらにOCTスキャナ(X)108を通り、ダイクロイックビームスプリッタ109を透過しスキャンレンズ110、ダイクロイックミラー111、そして、接眼レンズ112を通り被検眼eを照射する。ここで、OCT走査部(本発明における走査手段に対応する)のスキャナ(X)108および(Y)105は、ガルバノスキャナを用いている。被検眼eにおけるサンプル光は、網膜で反射し、同一光路を通りファイバカプラ102に戻る。一方、参照光は、ファイバカプラ102からファイバコリメータ113に導かれ、平行光となり出射される。出射された参照光は、分散補正ガラス114を通り、光路長可変ステージ115上の参照ミラー116により反射される。参照ミラー116により反射された参照光は、同一の光路をたどり、ファイバカプラ102に戻る。
【0018】
ファイバカプラ102で戻ってきたサンプル光および参照光が合波され、ファイバコリメータ117に導かれる。ここでは合波された光を干渉光と呼ぶ。ファイバコリメータ117、透過型グレーティング118、レンズ119、ラインセンサ120によって、分光器が構成されている。干渉光は、分光器によって、波長毎の強度情報となって計測される。ラインセンサ120によって計測された波長毎の強度情報は、PC214に転送され、被検眼eの断層画像(OCT画像)として生成される。
【0019】
(内部固視灯)
本実施例では、固視を安定させる為、被検眼eに注視させる内部固視灯を有している。当該構成は、本発明における固視手段に対応する。OCT撮像部、SLO撮像部同様、図1を用い説明する。内部固視灯150は複数の発光ダイオード(LD)がマトリックス状に配置されたものを用いる。発光ダイオードの点灯位置を、PC214の制御により撮像したい部位に合わせて変更する。発光ダイオードは500nmの波長で、内部固視灯150から出射されたビームは、レンズ151とダイクロイックミラー111を経由して被検眼eに照射され、これを注視させることにより所望の位置の断層画像を撮像することができる。ダイクロイックミラー111は、スキャンレンズ110と接眼レンズ112の間に位置し、固視灯(500nm程度)の光と、OCTビーム,SLOビーム(700nm以上)を波長分離する。
【0020】
(ユニット構成と制御)
図2に本実施例で用いられる機能体系を示す。その機能体系は、システム全体を制御するCPU201を含むPC214と、主要構成であるSLO撮像部、OCT撮像部を制御する各々の制御部202、203、固視灯制御部208、SLO画像及びOCT画像の信号を取得する各々の受光素子であるAPD204(140)、ラインセンサ205(120)と、システム状態を表示する表示部206、眼底画像や撮像条件等を記録する記録部207、により構成されている。
【0021】
眼底の撮像時には、固視灯制御部208により内部固視灯150の点灯位置を制御し、表示装置209(150)で表示する事で注視させ、CPU201より制御部202、203に各々の撮像条件が指令され、各々のスキャナ210(105と108)、213(135と138)を駆動し、眼底を各々の光が走査する。眼底が走査され、眼底からの光が各々のセンサである、APD204、ラインセンサ205に到達し、電気信号がCPU201に送られ、画像処理(SLO画像、OCT画像の生成)された後、表示部206で表示され、同時又はその後、情報を記録部207に保存する。
【0022】
(具体例)
上述の装置を用い、以下、具体例を示す。
本実施例では、被検者の被検眼のSLO画像を取得し、特徴点を抽出し、次画像で特徴点と一致する画像をパターンマッチング、すなわち特徴画像についてのテンプレートマッチングにより検出し、座標の変化から眼底の動きを計測する。このパターンマッチングはCPU201においてパターンマッチング手段として機能する領域により実行される。計測結果を用い、以後の眼底の動きを予測し、CPU201において制御手段として機能する領域によりOCT撮像部のガルバノスキャナを予測に基づいて制御する事で、所望の位置のOCT画像を得る。ここで、本実施例における動きの予想とは、次にOCT画像の撮像を開始するときの眼底の移動後の位置を予測することであり、装置のOCT画像の取得間隔、動き計測の時間等により予測時間が決まってくる。
【0023】
先ず、眼底の動きの計測方法に関して、図3を用い、説明する。なお、以降に述べる被検眼の動きの計測は、CPU201における計測手段として機能する領域により実行される。図3に示す様に、被検眼の眼底の画像を取得する取得手段としてのSLO撮像部を用い、被検眼の眼底画像300を取得し、眼底画像から特徴点T(以下、テンプレート画像)を抽出する。ここで、SLO撮像部は、被検眼の画像を取得する取得手段の一例に相当する。特徴点Tの情報(画像、座標と取得時間等)を記録部207に記録する。新たに取得したSLO画像301内でテンプレート画像でのパターンマッチングを実行するための特徴点Tを探索する。まお、このパターンマッチングを行う眼底画像の中の特徴点Tとなる領域はCPU201において領域設定手段として機能する領域によって設定される。特徴点と一致する画像M1(以下、マッチング画像)を検出した後、マッチング画像M1の位置情報を記録する。以上の処理を図3の通り、順次取得される各SLO画像302、303に適応させる。新たに取得したSLO画像302、303から各々テンプレート画像を探索し、マッチング画像M2、M3を検出し、M2、M3の情報を記録部207に記録する。同様の工程を繰り返し行い、データを得る。各マッチング画像の時間と位置情報である座標(x、y)を、プロットする(図4)。x軸方向の眼底の動きと時間の関係を図4(a)に、y軸方向の眼底の動きと時間の関係を図4(b)に示す。
【0024】
次に、取得した眼底の動きの結果から、次のOCT画像の撮像開始時の眼底の動きを予測する。図4(a)を用い、予測方法を説明する。本実施例の予測は、プロットデータから、注視位置が固視灯位置(407)に戻る周期、固視灯から離れる速度、方向、を算出し、決定している。グラフから、401、402の様に形状周期を算出する。これは、固視灯150の点灯位置を注視しているが、固視微動のドリフトにより注視位置から固視灯から離れていく運動を示している。この様な固視微動等は眼球の回転としても把握可能である。そして、ある一定以上の距離が離れると被検者は再度固視灯を注視する(401と402の間の急峻な眼底の動き)ことが示されている。固視灯150から離れる際はほぼ一定の速度で一定期間ドリフトを続ける。この周期と特性を利用し、406以降の眼底の動きを図7の701の破線の様に予測する。破線は、401と402の平均値から算出している。平均値を算出するデータの範囲は、406とほぼ同様のタイミングとほぼ同様の形状の404、405以降のグラフを用いている。404は固視が固視灯より遠ざかるタイミングで、405は固視が固視灯に戻り且つ遠ざかるタイミング、406も固視が固視灯に一定距離戻り且つ再度遠ざかろうとしているタイミング、このように、固視が戻る周期と遠ざかる周期が表れている形状を予測している。また、同様の予測をy軸方向にも適応させる。すなわち、CPU201は、計測手段により計測された被検眼の動きの周期に基づいて、取得手段が被検眼の画像を取得するときの被検眼の動きを予測する予測手段の一例として機能する。なお、上記実施例では2周期のデータを用いて眼の動きを予測しているが、これに限定されるものではなく3周期以上のデータを用いてもよいし、1周期のデータを用いることとしてもよい。
【0025】
以上の様に眼底の動きの予測をした後、OCT撮像部のガルバノスキャナの制御に反映する。更に、上述の予測の算出は、主に眼球運動(固視微動)のサッカードとドリフトに対応している。眼球運動には微小で高速に動く(5μm振幅、周期100Hz程度)トレモアがある。本実施例では、上述の制御に各スキャナを5μm、100Hzの振動を上述の予測に加え、ガルバノスキャナを制御し、OCT撮像する。
【0026】
上述の制御フローに関して、図5を用い説明する。制御を開始する(ステップ501)。CPU201は、SLO画像を取得し(ステップ502)、SLO画像からテンプレートを抽出し(ステップ503)、テンプレートの座標を記録部207に保存する(ステップ504)。CPC201は、次のSLO画像を取得(ステップ505)し、テンプレートマッチングを行い(ステップ506)、マッチング画像の座標を計測する。以上の工程は本発明における計測工程に対応する。次に、これら計測結果を記録部207に記録すると同時に、上述のようにプロットする(ステップ507)。ステップ505〜507の間に、検者の指示に基づきOCT走査位置を決定し(ステップ508)、その他のOCTの撮像条件を受け付け(ステップ509)、OCTの撮像時間を算出する(ステップ510)。準備が整った後、OCT撮像を開始する(ステップ511)。ステップ511の指令により、SLO画像の取得を停止し(ステップ512)、マッチング座標のプロット情報から今後の眼底の動き、つまり、OCTのスキャナ制御を決定し(ステップ513)する。以上は本発明における予測工程に対応する。スキャナ制御決定後、OCTスキャンを開始し(ステップ514)、OCT画像を取得する(ステップ515)、といった撮像工程が実行される。
【0027】
SLO画像から眼底の動きを検出し、眼底の動きからOCT撮像部のスキャナ制御を決定し、決定した制御でスキャナを駆動させOCT画像を取得した際の結果を図8に示す。801はSLO画像、802はOCT画像、803はOCTスキャン位置、804はテンプレート位置を示している。眼底の予測した動きに合わせて、OCT撮像部のガルバノスキャナを駆動させている為、眼底に対するOCTスキャン位置は変化せず、OCT画像も安定して同様の画像を取得している。
【0028】
以上のような制御を行う事で所望の眼底位置のOCT画像が取得できる。
すなわち、本発明では、被検眼の動きを計測するCPU201内の計測手段と、被検眼の眼底画像を撮像するOCT撮像部或いはSLO撮像部からなる撮像手段と、撮像手段が眼底画像を撮像する際の撮像位置を制御するCPU201内の制御手段と、CPU201内の計測手段により計測された動きに基づいて、撮像手段が被検眼を撮影するときの被検眼の動きを予測する予測手段と、を有し、制御手段は、予測された被検眼の動きに基づいて、被検眼における撮像位置が変化しない様に撮像手段を制御することとしている。なお、ここで述べた予測された動きは、撮像タイミングにおいて特徴点の存在する位置と予測の基準となった該特徴点の位置との差についてであり、撮像位置の変化は撮像中心或いは測定光のスキャン開始位置をこの差に基づいて位置的にシフトさせることに対応する。
【0029】
[実施例2]
本実施例では過去のデータを用い、予測制御を行う事で、所望位置のOCT画像を取得し、OCT撮像中もSLO画像で眼底の動きを一定の周期で確認した例について述べる。
本実施例で用いる装置(SLO撮像部とOCT撮像部)と制御部の構成は実施例1と同様であるので、説明は割愛する。
【0030】
(具体例)
本実施例においては、眼底の動きに関するデータが既に存在し(被検者に関する情報)、眼底の動きは過去のデータをPC214の記録部207から読み出す(図9:(a))。記録部207は本発明における記録手段に対応し、計測済みのデータを記録する。次に、実施例1と同様、SLO撮像部を用いて、眼底を撮像することにより複数枚の眼底画像を取得し、眼底の動きを計測する(図9:(b))。
【0031】
次に、読み出した眼底の動きと計測した動きの結果から、一致する箇所を見つけ、眼底の動きを予測する。図9を用い、予測方法を説明する。実測した図9(b)の901の形状を図9(a)のグラフ形状の中から探索し、一致度が一番高い箇所を検出する(図9(a)902)。一致度は、固視灯からの距離、形状を加味している。以上の操作は、CPU201において、固視手段である固視灯の点灯位置と被検眼の固視位置との差を求める手段として機能する領域により実行される。予測手段はこの差を用いて眼底の動きを予測する。一致度が一番高い箇所から以後の眼底の動きを参考に、OCT撮像部のガルバノスキャナの制御を決定する。例えば、901の様にV字形状の後は、一定の速度で固視が固視灯から遠ざかり、固視灯からある一定距離遠ざかると、固視灯位置に戻るという眼の特性を利用して、このような形状を参考にガルバノスキャナを制御する。すなわち、過去のデータのV字形状となっている部分を基準の形状として、この基準形状と一致度が高い部分を今回のデータから探し、発見した場合は、過去の眼の動きに従ってガルバノスキャナを制御する。
【0032】
本実施例では、実際に、OCT撮像中もSLO画像を取得し、眼底の動き量を計測し、OCTガルバノスキャナのスキャンに位置と動き量の差を算出し、リアルタイムでズレをモニタしている。以上の工程は、CPU201内の計測手段に含まれる、SLO撮像部或いはOCT撮像部からなる撮像手段により得られた撮像位置と予測手段によって予測された被検眼の動き後の該撮像位置との差を算出する算出手段によって実行される。
【0033】
本実施例のフローに関して、図6を用い説明する。CPU201は、入力された被検者情報を受け付け(ステップ601)、過去に取得したテンプレート画像と眼球の動きデータを記録部207より読み出す(ステップ602)。次に、SLO撮像部を用い、被検眼の眼底SLO画像を取得し(ステップ603)、テンプレート画像を用いテンプレートマッチングを行い(ステップ604)、マッチング座標を保存する(ステップ605)。マッチング座標を5点以上取得後(ステップ606)、座標から位置情報をグラフ化する(ステップ607)。過去の眼球の動きデータとステップ607のグラフから、眼球の動きが類似しているポイントを探す(ステップ608)。類似ポイントから眼球の動きを考慮したOCTスキャナの制御を決定する(ステップ609)。その後、SLO画像を取得し続け(ステップ610)、テンプレートマッチングを行い(ステップ611)、マッチング座標を記録する(ステップ612)。ステップ610〜612と同時に、OCTをステップ609の制御に従い、ガルバノスキャナを制御し撮像する(ステップ613)。ガルバノスキャナの位置は毎回検出する(ステップ614)。OCT撮像部のスキャナ位置とステップ612におけるマッチング座標と比較を行い、差異を算出する(ステップ615)。差異が例えば100μm以上の際は(ステップ616)、眼底の実際の動きとガルバノスキャナの制御に差があり、所望の位置とは異なる為、ステップ602に戻り、再設定する。差異が100μm以内の際は、OCT撮像部の撮像が終了しているかを確認し(ステップ617)、処理を終了する。
【0034】
本実施例では、過去のデータを用いる事で、眼底の動きの予測を簡易的に算出でき、所望位置のOCT画像が取得でき、リアルタイムで予測値と実測値を確認する事で測定の正確性を向上させている。
なお、上記の実施例ではOCT撮像部のスキャナ位置とステップ612におけるマッチング座標と比較して差異を算出しているが、これに限定されるものではない。例えば、この差異を算出しないこととしてもよい。すなわち、図6におけるステップ613−616を行わないこととしてもよい。
また、上記の実施例では過去の眼の動きのデータに基づいてガルバノスキャナを制御しているが、ガルバノスキャナを制御するための情報はこれに限定されるものではない。例えば、過去の眼の動きのデータは複数回計測された眼の動きの平均値であっても良いし、1回のみ計測された眼の動きのデータであってもよい。ここで、複数回計測された眼の動きの平均化することで信頼性の高いデータを得ることができ、被検眼の動きの予測を生後良く行うことが可能となる。なお、過去の眼の動きのデータは複数の被検者の眼の動きのデータを平均化したものであってもよい。例えば、眼の動きは年齢に応じて変化するため、20代、30代等の年齢層毎の被検者の眼の動きのデータを平均化したデータをそなえることとしてもよく、この場合、被検査者の年齢に応じて使用する眼の動きのデータ決定することとしてもよい。また、上記年齢層毎かつ性別毎の被検者の眼の動きのデータを平均化したデータをそなえることとしてもよい。このようなデータを用いれば初めて診察を受ける被検者であっても眼の動きを予測してガルバノスキャナを制御することが可能となる。
なお、複数回計測された眼の動きの平均値、1回のみ計測された眼の動きのデータ、年齢層毎の被検者の眼の動きの平均値、年齢層毎かつ性別毎の被検者の眼の動きの平均値のいずれのデータを用いるかを検査者に選択させることとしてもよい。例えば、図6におけるステップ602以前に、使用するデータを検者に選択させる画面を表示装置206に表示することとしてもよい。このようにすれば、検者は被検者に応じて柔軟に眼の動きの予測に用いるデータを選択でき、より正確な眼の動きの予測が可能となる。
【0035】
[実施例3]
本実施例では、実施例2で行ったリアルタイムで差異を算出する際の眼底の動きを計測する速度を向上させる事で、大きな差異を防止した例について述べる。SLO撮像部、OCT撮像部、制御機能と予測データの算出方法に関する説明は、実施例1、2と同様である為、割愛する。
【0036】
テンプレートマッチングの探索領域(以下ROIと記す)に眼底の動きの予測データを反映する事でROIを狭くし、計測速度を向上が達成させた例について、図10を用い制御工程を説明する。
【0037】
CPU201は、SLO画像を取得し(ステップ1002)、SLO画像からテンプレートを抽出する(ステップ1003)。抽出したテンプレート情報を記録部207に記録する(ステップ1004)。新たにSLO画像を取得し(ステップ1005)、眼底の動きを予測するデータとSLO画像のフレームレートをもとに、取得したSLO画像内を探索する領域を決定する(ステップ1006)。決定した領域を探索し(ステップ1007)、マッチング画像を検出する(ステップ1008)。マッチングした画像の情報を保存する(ステップ1009)。眼底撮像が終了したかどうかを確認して(ステップ1010)、終了する。以上の結果(各座標情報)をもとに、眼底の動きを計測する。ステップ1006が本実施例の特徴的な処理である。
【0038】
以上の工程を実際の取得画像(図11)を用い、説明する。
CPU201は、SLO画像1101を取得し(ステップ1002)、SLO画像からテンプレート1102を抽出する(ステップ1003)。新たにSLO画像1103を取得し(ステップ1005)、取得したSLO画像内を探索する領域1105を決定する(ステップ1006)。決定した領域1105内を探索し(ステップ1007)、マッチング画像1106を検出する(ステップ1008)。
【0039】
以上の様に、テンプレートマッチングにおいて、ROIの決定に眼底の動きを予測するデータを反映させる事で、ROIが狭くなり、マッチング時間が短縮、更にはミスマッチング防止、が可能となる。
【0040】
(他の実施例1)
本実施例1、2ではOCT撮像部のガルバノスキャナに予測制御を反映させたが、OCT装置ではなくSLO装置でも良い。また、眼底の動きをSLO撮像部で検出したが、LSLO(Line-SLO)他の方法でも同様の効果がある。他の方法は、高速で眼底の動き(眼球の動きでも良い)を検出する装置(プルキニエ、強膜反射、サーチコイル等の他の方法)である事が望ましい。
【0041】
眼底の動きを予測する方法は、簡易的に、プロットの各点から近似曲線を算出する、線形最小2乗法により算出する、等、他の計算方法でも良い。
【0042】
OCT画像の取得タイミングを固視灯に注視するタイミング(図4(a)の404、405等)に合わせる事で、誤差の少ない計測ができる。また、撮像タイミングはサッカード終了後が望ましい。サッカードは連続的な運動ではないので、サッカードの周期間で撮像する事で所望の位置でのOCT画像が取得できる。
【0043】
サッカード、ドリフト、そして、トレモアは検者に依存するので、各パラメータ特に、トレモアの制御(5μm、100Hz)は適正化する事が望ましい。
実施例1、2では、固視灯に内部固視灯を用いたが、外部固視灯でも良い。
【0044】
(他の実施例2)
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、上記実施例の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記実施例においては眼底の動きについて述べているが、これに限定されるものではなく、本発明を前眼に適用することもできる。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記被検眼の画像を取得する取得手段と、
前記画像に基づいて前記被検眼の動きを計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された前記被検眼の動きの周期に基づいて、前記取得手段が前記被検眼の画像を取得するときの前記被検眼の動きを予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された前記被検眼の動きに基づいて、前記取得手段が前記画像を取得する際の取得位置を制御する制御手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記取得手段が、前記被検眼の断層画像を撮像する眼底断層像撮像手段又は前記被検眼の平面画像を撮像する眼底像撮像手段である事を特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記計測手段が、前記被検眼の眼底画像を撮像する眼底像撮像手段を有し、前記眼底断層像撮像手段により撮像された複数の眼底画像から前記被検眼の動きを計測する事を特徴と
する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記被検眼の動きの計測済みのデータを記録する記録手段を更に有し、
前記予測手段が、前記記録手段に記録された計測済みのデータを用いて前記被検眼の動きを予測する事を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記計測手段が、前記複数の眼底画像に対してパターンマッチングを実行することにより前記被検眼の動きを計測する事を特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記計測手段が、前記パターンマッチングを行う眼底画像の領域を設定する領域設定手段を更に有する事を特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記計測手段が、眼球の回転を計測する事を特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
固視を安定させる固視手段を更に有する事を特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記計測手段は、前記取得手段の取得位置と予測した位置の差を算出する算出手段を更に有する事を特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記固視手段の点灯位置と、前記被検眼の固視位置との差を求める手段を更に有し、
前記予測手段は、当該差を用いて予測することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記計測手段が前記被検眼の動きの周期を求め、前記予測手段が前記周期に基づいて前記被検眼の動きを予測することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
取得手段によって前記被検眼の画像を取得する取得工程と、
前記画像に基づいて前記被検眼の動きを計測する計測工程と、
前記計測工程において計測された前記被検眼の動きの周期に基づいて、前記取得手段が前記被検眼の画像を取得するときの前記被検眼の動きを予測する予測工程と、
前記予測工程において予測された前記被検眼の動きに基づいて、前記取得手段が前記画像を取得する際の取得位置を制御する制御工程と、を有することを特徴とする撮像方法。
【請求項1】
前記被検眼の画像を取得する取得手段と、
前記画像に基づいて前記被検眼の動きを計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された前記被検眼の動きの周期に基づいて、前記取得手段が前記被検眼の画像を取得するときの前記被検眼の動きを予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された前記被検眼の動きに基づいて、前記取得手段が前記画像を取得する際の取得位置を制御する制御手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記取得手段が、前記被検眼の断層画像を撮像する眼底断層像撮像手段又は前記被検眼の平面画像を撮像する眼底像撮像手段である事を特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記計測手段が、前記被検眼の眼底画像を撮像する眼底像撮像手段を有し、前記眼底断層像撮像手段により撮像された複数の眼底画像から前記被検眼の動きを計測する事を特徴と
する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記被検眼の動きの計測済みのデータを記録する記録手段を更に有し、
前記予測手段が、前記記録手段に記録された計測済みのデータを用いて前記被検眼の動きを予測する事を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記計測手段が、前記複数の眼底画像に対してパターンマッチングを実行することにより前記被検眼の動きを計測する事を特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記計測手段が、前記パターンマッチングを行う眼底画像の領域を設定する領域設定手段を更に有する事を特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記計測手段が、眼球の回転を計測する事を特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
固視を安定させる固視手段を更に有する事を特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記計測手段は、前記取得手段の取得位置と予測した位置の差を算出する算出手段を更に有する事を特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記固視手段の点灯位置と、前記被検眼の固視位置との差を求める手段を更に有し、
前記予測手段は、当該差を用いて予測することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記計測手段が前記被検眼の動きの周期を求め、前記予測手段が前記周期に基づいて前記被検眼の動きを予測することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
取得手段によって前記被検眼の画像を取得する取得工程と、
前記画像に基づいて前記被検眼の動きを計測する計測工程と、
前記計測工程において計測された前記被検眼の動きの周期に基づいて、前記取得手段が前記被検眼の画像を取得するときの前記被検眼の動きを予測する予測工程と、
前記予測工程において予測された前記被検眼の動きに基づいて、前記取得手段が前記画像を取得する際の取得位置を制御する制御工程と、を有することを特徴とする撮像方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−196439(P2012−196439A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−53462(P2012−53462)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
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