説明

撮像装置

【課題】被写体上の横切りなどの突発的な被写体環境変化が発生するシーンを撮影した場合や、短い周期で明るさや色などの条件が変化する被写体を撮影した場合などのその短期間の変化が映像として再現されるうえで、被写体全体にわたって照明環境の変化があった場合には照明状態を十分に補正して適切な再現が可能な映像再生が出来る撮像装置を提供すること目的とする。
【解決手段】 撮像系の映像の補正制御を行う撮像制御手段と、補正制御量が補正目標に達していない時間の長さを計数して時間情報を生成する計時手段と、時間情報を映像に関連付けて記録する情報記録手段と、再生時に時間情報を参照して映像の補正を行う再生時補正手段とを備え、再生時補正手段は時間情報に応じて補正を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、更には撮像装置のメタデータ記録と、再生時のメタデータを使用して映像の補正を行う行う方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子カメラなどの撮像装置に於いて、その露出を最適値に自動設定する自動露出制御装置が設けられているが、被写体上の横切りなどの突発的な被写体環境変化に影響されないように、あえて応答速度を遅くして制御する場合が多い。被写体上の横切りなどの突発的な変化に対しては追従する必要がなく、これは補正をする対象ではない。一方で、被写体全体にわたって照明環境の変化がおこり、一時的に、或いは長期にわたり目標から外れる場合には、補正を行う必要があり、時定数を持って制御が行われる。上述のような被写体の状況変化に対応する為には、自動露出制御装置の応答速度を遅くすることが有効であり、突発的な変化に対しては応答が追いつかない為に追従せず、被写体全体にわたって照明環境の変化がおこった場合などは初期応答は遅れるが、最終的には目標レベルに制御される。
【0003】
また一方で、映像を記録する際に付加情報として露出制御情報を記録し、再生時に露出制御情報をもとにして出力の露出レベルを制御するものが考案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、撮影時に付加した露出レベル制御指示信号に応じて再生時に映像信号の露出レベルを制御して出力するので、撮像装置より出力された映像信号に対し常に適正な露出補正を施すことが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平06−083430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例の撮像装置では以下のような課題がある。
【0006】
まず、映像記録時の自動露出制御装置に関して、突発的な被写体環境変化があった場合には追従しない構成となっているが、被写体全体にわたって照明環境の変化があった場合でも、初期の応答は遅れる為、実際に撮像される画像は十分に補正しきれない期間が発生してしまうことになる。
【0007】
また、上記特許文献1による従来例では、撮影時に補正しきれていない期間が生じても再生時に補正することが可能となるので問題が無いように解釈されがちであるが、本来は補正しないほうが望ましい被写体上の横切りなどの突発的な被写体環境変化になども全て補正する方向に働いてしまうため、逆に安定性が損なわれる場合があった。
【0008】
本発明に係る発明の目的は、被写体上の横切りなどの突発的な被写体環境変化が発生するシーンを撮影した場合や、短い周期で明るさや色などの条件が変化する被写体を撮影した場合などのその短期間の変化が映像として再現されるうえで、被写体全体にわたって照明環境の変化があった場合には照明状態を十分に補正して適切な再現が可能な映像再生が出来る撮像装置および映像再生装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本出願に係る第1の発明は、撮像系の映像の補正制御を行う撮像制御手段と、補正制御量が補正目標に達していない時間の長さを計数して時間情報を生成する計時手段と、時間情報を映像に関連付けて記録する情報記録手段と、再生時に時間情報を参照して映像の補正を行う再生時補正手段とを備え、再生時補正手段は時間情報に応じて補正を行うことを特徴としている。
【0010】
また、本出願に係る第6の発明は、撮像系の映像の補正制御を行う撮像制御手段と、補正制御量が補正目標に達していない時間の長さを計数して時間情報を生成する計時手段と、時間情報を映像に関連付けて記録する情報記録手段とを備え、情報記録手段は撮影時に計時手段によって得られた時間情報を記録することを特徴としている。
【0011】
また、本出願に係る第7の発明は、撮像系の映像に対して撮像制御手段の補正制御量が補正目標に達していない時間の長さを映像に関連付けて記録された記録媒体を再生する映像再生装置で、再生時に記録情報を参照して映像の補正を行う再生時補正手段とを備え、再生時補正手段は記録情報として記録されている時間情報に応じて補正を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、再生時補正手段は時間情報に応じて映像の補正を行うので、被写体上の横切りなどの突発的な被写体環境変化が発生するシーンを撮影した場合や、短い周期で明るさや色などの条件が変化する被写体を撮影した場合などのその短期間の変化が映像として再現されるうえで、被写体全体にわたって照明環境の変化があった場合には照明状態を十分に補正して適切な再現が可能な映像再生が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例のブロック図
【図2】被写体の明るさの変化を示すグラフ
【図3】絞り制御を示すグラフ
【図4】映像信号の輝度信号レベルを示す図
【図5】フラグ情報を生成する課程を説明するグラフ
【図6】再生系における輝度レベル補正処理の動作を説明するグラフ
【図7】本発明の第2の実施例のブロック図
【図8】本発明の第1の実施例のタイムコード情報生成を説明するグラフ
【図9】本発明の第3の実施例のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
図1−aは本発明の実施形態であるビデオカメラの撮像系のブロック図である。100はレンズ、101は露光量調節を行う光学絞り、102はイメージセンサ、103はホワイトバランス処理やガンマ処理、カラーバランス処理などを行う信号処理装置、104は撮像した映像信号を記録する記録装置、105は撮像信号から信号処理途中の輝度信号をもとに露出情報を取得するレベル検出装置、106はレベル検出装置105で検出した輝度レベルをもとに、絞りなどの露出パラメータを制御するレベル制御装置、107はレベル検出装置105で検出した輝度レベルが目標値に達していない期間をカウントする時間カウント装置、108は時間カウント装置107でカウントした時間情報をもとに記録データを生成するメタデータ生成装置、109は信号処理装置103で処理された映像信号にメタデータ生成装置108で生成された記録データを重畳する信号重畳装置である。
【0015】
レンズ100に入射した光は光学絞り101で適正露光に調整されイメージセンサ102で光電変換される。イメージセンサ102で光電変換された映像信号は信号処理装置103へ入力される。信号処理装置103では輝度信号や色信号に対してガンマ処理、輪郭強調処理、ノイズリダクション処理、ホワイトバランス処理、カラーバランス処理、各種記録フォーマットにのっとったエンコード処理などが施された後、記録装置104で動画として記録される。
【0016】
次に、撮像装置の露出制御に関する部分について説明をする。一般的に撮像装置の露出制御は、撮像した映像の輝度レベルをもとに露出の評価を行い、入射光量から蓄積時間、さらには撮像信号のアンプゲインなどの制御をフィードバック制御し、映像信号レベルを最適に保つように制御する構成である。本実施例では簡潔に説明する為に一般的な撮像装置の露出制御のうち、入射光量を制御する光学絞りの調節に関して説明する。レベル検出装置105は信号処理装置103中の映像信号から複数の領域ごとに積分された輝度レベル信号を測光値として取得する。映像信号をもとにした露出の評価は、例えば撮像領域の中央部分に重みを置いた中央部重点平均測光や、複数の領域中の明るい部分だけを用いるピーク測光、全体的に平均して測光する平均測光など様々な評価方法があり、撮影モードなどに応じて算出方法を切替えて使い分ける手法が一般的になっている。
【0017】
レベル制御装置106では、レベル検出装置105で検出された輝度信号レベルを露出制御の目標値と比較し、輝度信号レベルが目標値よりも低い場合は露光量を増やす方向へ露出制御方向を決定する。逆に輝度信号レベルが目標値よりも高い場合は露光量を減らす方向へ露出制御方向を決定し、判定した露出制御方向に従って、光学絞りを駆動制御する。図1のとおり、光学絞りの制御はフィードバックループで構成されており、入射光量が変化しても所定の時定数を持って光学絞りが変更され、適切な露光量を得ることが出来る構成である。
【0018】
レベル検出装置105では、検出された輝度信号レベルと露出制御の目標値とを比較するが、この際に輝度信号レベルと露出制御の目標値との差分が算出される。この差分が閾値を超えると露出が適正ではないと判断され露出制御がなされるが、時間カウント装置107では露出が適正ではない期間を計数する。メタデータ生成装置108では時間カウント装置107で計数された時間に応じて記録する情報を生成する。本実施例では、まず記録情報として所定の時間を超えたか否かを示すフラグデータを用いる例を以下で説明する。信号重畳装置109はメタデータ生成装置108で生成された記録情報であるフラグデータを映像信号に重畳する処理を行い、記録情報を重畳された映像信号は記録装置104で動画として記録される。
【0019】
図2から図4までの図は、被写体の明るさの変化から、対応する絞り制御、さらには絞り制御されて撮像された映像信号レベルまでを時間経過での変化の観点で示すグラフである。まずは図2に関して説明する。図2は被写体の明るさの変化を示すグラフで、縦軸は被写体の明るさである。図中201は光った物体が通り過ぎたりするような一瞬明るくなる状態の被写体を示し、202は逆に暗い物体が通り過ぎたりするような一瞬暗くなる状態の被写体を示す。203は曇りから日が射すような、被写体の照明状態が変わった場合を示し、本来であれば露光量を適正にする必要がある被写体変化を示す。
【0020】
図3は絞り制御を示すグラフで、縦軸は絞りの状態である。図中の点線は図2の被写体の明るさを示しており、絞りの状態と時間的に対比するために記載しており、図中の実線が絞りの状態を示す。図中301は絞りを絞って露光量を少なくする動作を示す部分、302は絞りを開いて露光量を多くする動作を示す部分、303から306は被写体の光量変化があって露光量を制御する場合に制御を開始するまでの時定数を示す時間Tで、全て同じ長さを示している。303は図2の被写体の明るさの変化201の明るくなった期間が時間Tを超えないことを示し、304は図2の被写体の明るさの変化202の暗くなった期間が時間Tを超えないことを示す。また、305は図2の被写体の明るさの変化203の明るくなった期間が時間Tを超えることを示し、306は図2の被写体の明るさの変化203の暗くなった期間が時間Tを超えることを示す。
【0021】
図が示すように、絞り制御は光った物体が通り過ぎたりするような一瞬明るくなる状態による被写体の光量の変化には追従しないように時定数をもって制御されるため、被写体の明るさの変化201では露出の補正を開始する前に明るさが戻ってしまい、露出の補正は行われない。これは被写体の明るさの変化202でも同様である。ところが、被写体の明るさの変化203では明るくなった期間が時間Tを超えるため、露出を補正する動作が開始され、301のとおり絞りを絞る動作を開始する。このあと適正な露出状態になったところで絞りを絞る制御は停止するが、再び暗くなって、306の時間Tを過ぎると露出を補正する動作が開始され、302のとおり絞りを開く動作を開始する。
【0022】
図4は図2の被写体の明るさの変化に対して図3の絞り制御を行った状態に於いて生成される映像信号の輝度信号レベルを示す図である。縦軸には輝度信号レベルを表し、露出制御は輝度信号レベルが制御目標と等しくなるように制御を行う。図中401は被写体の明るさの変化201に対して露出の補正が行われない為に被写体の変化がそのまま映像信号として現れる部分を示す。402も401と同様に、被写体の明るさの変化202に対して露出の補正が行われない為に被写体の変化がそのまま映像信号として現れる部分を示す。403は被写体の明るさの変化203により絞り制御301および302が行われた際に、明るさの変化に追従できない量だけ制御目標に達する時間がかかり、その補正残りがそのまま映像信号として現れる部分を示す。
【0023】
図4のように、被写体の明るさの変化に対して絞り制御を行うと401のように光った物体が通り過ぎたりするような一瞬明るくなる状態による被写体の光量の変化はそのまま映像として表現されるし、402のように暗い物体が通り過ぎたりするような一瞬暗くなる状態の被写体の光量の変化もそのまま映像として表現される。ただし、403のように曇りから日が射すような被写体の照明状態が変わった場合に、明るさの変化に追従できない量だけ制御目標に達する時間がかかり、その補正残りが生じる場合にも映像信号として現れてしまう。本実施例ではこの403のように本来は補正すべきであるが制御の処理上補正残りが生じるような条件でも、再生時に補正できるところが特徴となる。
【0024】
図5は図4の映像信号の輝度信号レベルに対して補正残りが生じる時間を計数してフラグ情報を生成する課程を説明するグラフである。図中の縦軸は映像信号の輝度レベルおよびフラグ情報を表し、501は映像信号の制御目標レベル、502は制御上の目標範囲の上限レベル、503は制御上の目標範囲の下限レベル、504は図4の403に相当する補正残り、505は図4の401に相当する被写体の光量の変化による輝度の高い部分、506は輝度の高い部分505の期間、507は補正残り504の期間、508は逆に暗くなる方向の補正残りの期間、510は映像信号に重畳するフラグ信号のうちFalseレベルの期間、511は映像信号に重畳するフラグ信号のうち507の補正残り期間を表すTrueレベルの期間、512は映像信号に重畳するフラグ信号のうち508の補正残り期間を表すTrueレベルの期間である。
【0025】
図5の制御目標レベル501を中心とした上限レベル502と下限レベル503の範囲は、この範囲内に輝度信号レベルがあればモニター装置での視感上変化を感じにくい範囲に設定する。通常映像信号の5〜10%程度であれば違和感は少ない。この上限レベル502および下限レベル503を超える信号が撮像された場合、再生時の補正候補として時間を計数する。506では光った物体が通り過ぎたりするような一瞬明るくなる状態なので極めて短時間であり、この時間であれば再生時の補正は行わないため、フラグ510はFalse状態を保つ。それに対して、507では曇りから日が射すような被写体の照明状態が変わった場合なので再生時の補正を行う対象となる。507では上述の506よりも十分に長い時間補正残りが発生する。この時間であれば再生時の補正を行う対象となり、フラグ511をTrueの状態とする。なお、フラグをTrueの状態とするのは507の時間計数を開始した時点に立ち返ってフラグ情報を付加することで、507の補正残りが発生した時点からの補正が可能となる。このようにして、本発明の撮像系では再生時に補正を行いたい期間だけフラグをTrueとして映像信号と共に記録するものである。
【0026】
図1−bは本発明の実施形態であるビデオカメラの再生系のブロック図である。121は映像信号が記録された記録媒体から映像信号を再生処理する再生装置、122は再生された映像信号の信号レベルを変化させるアンプ、123は再生された映像信号をモニター装置などに出力する出力端子、124は映像信号に重畳記録された記録データを分離して生成するメタデータ再生装置、125は再生された映像信号の輝度信号レベルを検出する再生信号レベル検出装置、126はメタデータ再生装置124で再生された記録情報を基にして再生映像信号の補正を行うか否かを判定する補正判定装置、127は再生信号レベル検出装置125で検出された映像信号の輝度信号レベルを基にアンプ122のゲインを算出する再生信号レベル制御装置である。
【0027】
再生装置121では映像信号が記録された記録媒体から映像信号を再生する。再生装置121で再生された映像信号はアンプ122で所定のレベルに増幅された後出力端子123から出力される。一方で、本実施例の撮像系で説明したように、記録された映像信号には再生時補正用のフラグ情報が吹かされている。これを映像信号から分離して、補正情報を生成するのがメタデータ再生装置124である。補正判定装置126はメタデータ再生装置124で生成された補正情報をもとにレベル補正を行うか否かを判定する。再生信号レベル検出装置125では再生された映像信号の輝度レベルを検出し、再生信号レベル制御装置127に供給される。再生信号レベル制御装置127は補正判定装置126で補正を行うと判定された場合に再生信号レベル検出装置125で検出した輝度信号レベルを制御目標値に近づくように補正ゲイン量を決定する。再生信号レベル制御装置127で決定された補正ゲイン量はアンプ122に供給され、決定したゲイン量に基づいて利得制御される。
【0028】
図6は再生系における輝度レベル補正処理の動作を説明するグラフである。図中601は目標レベル、602は目標上限レベル、603は目標下限レベル、604は図4の401に相当する被写体の光量の変化による輝度の高い部分に相当する期間、605は図4の403に相当する暗くなる方向の補正残りの期間、606は逆に暗くなる方向の補正残りの期間、610はは映像信号に重畳されたフラグ信号のうちFalseレベルの期間、502は映像信号に重畳されたフラグ信号のうち507の補正残り期間を表すTrueレベルの期間、503は映像信号に重畳されたフラグ信号のうち508の補正残り期間を表すTrueレベルの期間である。
【0029】
604の輝度変化は、補正残り量としては大きく目標範囲から外れているものの、フラグ情報610から補正すべき期間では無いことが判る。従ってそのまま補正せずに再生される。一方で、605の期間及び606の期間はフラグ情報611およびフラグ情報612から補正すべき期間であることが判り、目標レベルになるように補正した結果が図5のグラフに対する図6のグラフの輝度信号レベルである。本実施例ではこの様にして補正された再生信号が出力端子123からモニタ装置などに出力される。
【0030】
以上が本発明の実施形態であるビデオカメラに関する説明である。本実施例によれば、被写体上の横切りなどの突発的な被写体環境変化が発生するシーンを撮影した場合や、短い周期で明るさや色などの条件が変化する被写体を撮影した場合などのその短期間の変化が映像として再現されるうえで、被写体全体にわたって照明環境の変化があった場合には照明状態を十分に補正して適切な再現が可能な映像再生が可能になった。
【0031】
本実施例では記録情報としてフラグデータを用いることで説明したが、記録情報としては時間データそのものでも良いし、補正開始点および終了点を指示することでも容易に実現可能である。また、本実施例では光学絞りで露出制御を行う構成で説明したが、NDフィルタなどの減光装置やイメージセンサの蓄積時間、また、撮像信号の利得制御などでも同様の効果を得ることが出来る。さらには、記録再生可能な撮像装置として説明したが、撮像部分、記録部分、再生部分が分離されている構成でも構わない。
【0032】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0033】
<第2の実施形態>
図7−aは本発明の第2の実施形態であるビデオカメラの撮像系のブロック図である。700はレンズ、701は露光量調節を行う光学絞り、702はイメージセンサ、703はホワイトバランス処理やガンマ処理、カラーバランス処理などを行う信号処理装置、704は撮像した映像信号を記録する記録装置、705は撮像信号から信号処理途中の輝度信号をもとに露出情報を取得するレベル検出装置、706はレベル検出装置705で検出した輝度レベルをもとに、絞りなどの露出パラメータを制御するレベル制御装置、707はレベル検出装置705で検出した輝度レベルが目標値に達していない期間をカウントする時間カウント装置、708は時間カウント装置707でカウントした時間情報をもとに記録データを生成するメタデータ生成装置、709は信号処理装置703で処理された映像信号にメタデータ生成装置708で生成された記録データを重畳する信号重畳装置、710は撮影記録の経過時間を生成する時計装置、711は時計装置710で生成された記録時間をタイムコード情報として生成するタイムコード生成装置である。
【0034】
本実施例の構成のうち、700から708までは本発明の第1の実施例と同様の構成となり、その部分の主な処理の流れは本発明の第1の実施例を参照していただきたい。以下、本実施例の構成のうち、本発明の第1の実施例と異なる部分に関して説明する。レベル検出装置705では、検出された輝度信号レベルと露出制御の目標値とを比較するが、この際に輝度信号レベルと露出制御の目標値との差分が算出される。この差分が閾値を超えると露出が適正ではないと判断され露出制御がなされるが、時間カウント装置707では露出が適正ではない期間を計数する。
【0035】
時計装置710は撮像信号を記録している間の時間を計時し、タイムコード生成装置711は時計装置710の時間情報を基に記録開始からのタイムコードを生成する。メタデータ生成装置708では時間カウント装置707で計数された時間に応じて記録する情報を生成する。本実施例では、記録情報として所定の時間を超えた際のタイムコードを情報として用いる例を以下で説明する。信号重畳装置709はメタデータ生成装置708で生成された記録情報であるメタデータを映像信号に重畳する処理を行い、記録情報を重畳された映像信号は記録装置704で動画として記録される。
【0036】
被写体の明るさの変化から、対応する絞り制御、さらには絞り制御されて撮像された映像信号レベルまでを時間経過での変化に関しては、本発明の第1の実施例と同様であり、記録される映像信号は図4の通りとなる。図8は図4の映像信号に対してメタデータ生成装置708でどのようなタイムコード情報が生成されるのかを説明するグラフである。図中801から803は図5の501から503と同様の輝度レベル目標値である。再生時に補正を行いたいポイントは本発明の第1の実施例で説明したものと同様であり、810は補正開始を示し、811は補正終了、812は補正開始、813は補正終了をそれぞれ示す。それに対応して、それぞれのタイムコードは図の上に示す通りとなり、撮影していくに従って以下の情報が得られてゆく。
【0037】
(1) 00:01:22 補正開始
(2) 00:01:26 補正終了
(3) 00:02:12 補正開始
(4) 00:02:16 補正終了
この情報が映像信号を記録する記録媒体に追記されてゆくことで、再生時にタイムコードのどの時点で補正を行えば良いかの情報を得ることが出来る。
【0038】
図7−bは本発明の実施形態であるビデオカメラの再生系のブロック図である。721は映像信号が記録された記録媒体から映像信号を再生処理する再生装置、722は再生された映像信号の信号レベルを変化させるアンプ、723は再生された映像信号をモニター装置などに出力する出力端子、724は映像信号に重畳記録された記録データを分離して生成するメタデータ再生装置、728は映像信号に重畳記録されたタイムコードを分離して生成するタイムコード再生装置、725は再生された映像信号の輝度信号レベルを検出する再生信号レベル検出装置、726はメタデータ再生装置724で再生された記録情報とタイムコード再生装置728で再生されたタイムコード情報を基にして再生映像信号の補正を行うか否かを判定する補正判定装置、727は再生信号レベル検出装置725で検出された映像信号の輝度信号レベルを基にアンプ722のゲインを算出する再生信号レベル制御装置である。
【0039】
図7−bの721から727までの構成は本発明の第1の実施例と同様で、本実施例に特有の構成はタイムコード再生装置728の部分である。本実施例のメタデータはタイムコードを基にした時間情報と補正の開始/終了情報である。メタデータ再生装置724で分離されたメタデータは補正判定装置726においてタイムコード再生装置728で分離された時間情報に照らし合わされ、再生時のどの時点で補正を行えば良いかが判定される。補正判定装置726の判定結果で再生信号レベル制御が行われる部分に関しては、本発明の第1の実施例と同様である。
【0040】
本実施例によれば、記録されるメタデータは映像信号と同一の時間に記録されていなくても構わない。別の部分に記録されていた場合は、映像信号の再生前、或いは再生中にメタデータを読み出し、メタデータの情報が映像信号のタイムコードと一致した時点で補正を行う構成にすることが可能となる。
【0041】
以上が本発明の実施形態であるビデオカメラに関する説明である。本実施例によれば、被写体上の横切りなどの突発的な被写体環境変化が発生するシーンを撮影した場合や、短い周期で明るさや色などの条件が変化する被写体を撮影した場合などのその短期間の変化が映像として再現されるうえで、被写体全体にわたって照明環境の変化があった場合には照明状態を十分に補正して適切な再現が可能な映像再生が可能になった。
【0042】
本実施例では記録情報としてタイムコードを用いることで説明したが、記録情報としてはフラグデータなどの単純なものでも良いし、補正するか否かのスレッシュは再生装置に持たせても実現可能である。また、本実施例では光学絞りで露出制御を行う構成で説明したが、NDフィルタなどの減光装置やイメージセンサの蓄積時間、また、撮像信号の利得制御などでも同様の効果を得ることが出来る。さらには、記録再生可能な撮像装置として説明したが、撮像部分、記録部分、再生部分が分離されている構成でも構わない。
【0043】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0044】
<第3の実施形態>
図9−aは本発明の第3の実施形態であるビデオカメラの撮像系のブロック図である。900はレンズ、901はイメージセンサ、902はホワイトバランスアンプ、903はガンマ処理、カラーバランス処理などを行う信号処理装置、904は撮像した映像信号を記録する記録装置、905は撮像信号から信号処理途中の色信号をもとに色温度情報を取得する色温度検出装置、906は色温度検出装置905で検出した色温度情報が目標値に達していない期間をカウントする時間カウント装置、907は時間カウント装置906でカウントした時間情報をもとに記録データを生成するメタデータ生成装置、908は信号処理装置903で処理された映像信号にメタデータ生成装置907で生成された記録データを重畳する信号重畳装置である。
【0045】
レンズ900に入射した光はイメージセンサ901で光電変換される。イメージセンサ901で光電変換された映像信号はホワイトバランスアンプ902で色温度が調整された後信号処理装置903へ入力される。信号処理装置903では輝度信号や色信号に対してガンマ処理、輪郭強調処理、ノイズリダクション処理、カラーバランス処理、各種記録フォーマットにのっとったエンコード処理などが施された後、記録装置904で動画として記録される。
【0046】
次に、撮像装置のホワイトバランス制御に関する部分について説明をする。一般的に撮像装置のホワイトバランス制御は、撮像した映像の色信号をもとに色温度の評価を行い、ホワイトバランスアンプの利得をフィードバックあるいはフィードフォワード制御し、映像信号のホワイトバランスを最適に保つように制御する構成である。本実施例では簡潔に説明する為に一般的な撮像装置のホワイトバランス制御のうち、フィードバック制御に関して説明する。色温度検出装置905は信号処理装置903中の映像信号から複数の領域ごとに積分された色信号を評価値として取得する。映像信号をもとにした色温度の評価は、例えば撮像領域の無彩色部分を抽出して評価する技術や、画像全体の平均色信号を用いて評価する技術など様々な評価方法があり、撮影モードなどに応じて算出方法を切替えて使い分ける手法が一般的になっている。
【0047】
ホワイトバランス制御装置106では、色温度検出装置905で検出された色温度を色温度制御の目標値と比較し、色温度が目標値よりも低い場合は色温度を高くする方向へ色温度制御方向を決定する。逆に色温度が目標値よりも高い場合は色温度を低くする方向へ色温度制御方向を決定し、判定した色温度制御方向に従って、ホワイトバランスアンプゲインを制御する。図9のとおり、ホワイトバランスの制御はフィードバックループで構成されており、入射光が変化しても所定の時定数を持ってホワイトバランスゲインが変更され、適切なホワイトバランスを得ることが出来る構成である。
【0048】
色温度検出装置905では、検出された色温度とホワイトバランス制御の目標値とを比較するが、この際に色温度とホワイトバランス制御の目標値との差分が算出される。この差分が閾値を超えるとホワイトバランスが適正ではないと判断されホワイトバランス制御がなされるが、時間カウント装置906ではホワイトバランスが適正ではない期間を計数する。メタデータ生成装置907では時間カウント装置906で計数された時間に応じて記録する情報を生成する。
【0049】
本実施例では、記録情報として所定の時間を超えた際のタイムコードを情報として用いる例を以下で説明する。信号重畳装置709はメタデータ生成装置708で生成された記録情報であるメタデータを映像信号に重畳する処理を行い、記録情報を重畳された映像信号は記録装置704で動画として記録される。
【0050】
映像信号から色温度を判別する装置では、被写体の色を照明の色温度として誤検出する場合がある。撮影中に色温度の変化と誤検出するような被写体が横切った場合、即座にホワイトバランス補正が追従すると不安定な色の映像となってしまう。従って、本発明の第1の実施例における絞り制御の考え方と同様に、フィードバックゲインを低くしたり、制御開始に時定数を持たせたりする手法が一般的である。従って、このような被写体環境の変化を時系列で説明すると、本発明の第1の実施例の絞り制御の説明と同様のものとなる。
【0051】
色温度の変化から、対応するホワイトバランス制御、さらにはホワイトバランス制御されて撮像された映像信号の色信号までの時間経過での変化に関しては、本発明の第1の実施例の絞り制御と極めて類似しており、記録される映像信号は図4の通りとなる。また、メタデータ生成装置907で生成されるメタデータとしても、本発明の第2の実施例を参照することで説明できる。ここでは図8を参照してそれぞれのタイムコードは、撮影していくに従って以下の情報が得られてゆく。
【0052】
(1) 00:01:22 補正開始
(2) 00:01:26 補正終了
(3) 00:02:12 補正開始
(4) 00:02:16 補正終了
この情報が映像信号を記録する記録媒体に追記されてゆくことで、再生時にタイムコードのどの時点で補正を行えば良いかの情報を得ることが出来る。
【0053】
図9−bは本発明の実施形態であるビデオカメラの再生系のブロック図である。921は映像信号が記録された記録媒体から映像信号を再生処理する再生装置、922は再生された映像信号のホワイトバランスを変化させるホワイトバランスアンプ、923は再生された映像信号をモニター装置などに出力する出力端子、924は映像信号に重畳記録された記録データを分離して生成するメタデータ再生装置、928は映像信号に重畳記録されたタイムコードを分離して生成するタイムコード再生装置、925は再生された映像信号の色温度を検出する再生信号色温度検出装置、926はメタデータ再生装置924で再生された記録情報とタイムコード再生装置928で再生されたタイムコード情報を基にして再生映像信号の補正を行うか否かを判定する補正判定装置、927は再生信号色温度検出装置925で検出された映像信号の色温度を基にホワイトバランスアンプ922のゲインを算出する再生信号ホワイトバランス制御装置である。
【0054】
図9−bの構成は本発明の第2の実施例と極めて近く、本実施例に特有の構成は露出制御ではなくホワイトバランス制御に関するという部分である。本実施例のメタデータはタイムコードを基にした時間情報と補正の開始/終了情報である。メタデータ再生装置924で分離されたメタデータは補正判定装置926においてタイムコード再生装置728で分離された時間情報に照らし合わされ、再生時のどの時点で補正を行えば良いかが判定される。補正判定装置726の判定結果で再生信号ホワイトバランス制御が行われる部分に関しては、本発明の第2の実施例と同様である。
【0055】
本実施例によれば、記録されるメタデータは映像信号と同一の時間に記録されていなくても構わない。別の部分に記録されていた場合は、映像信号の再生前、或いは再生中にメタデータを読み出し、メタデータの情報が映像信号のタイムコードと一致した時点で補正を行う構成にすることが可能となる。
【0056】
以上が本発明の実施形態であるビデオカメラに関する説明である。本実施例によれば、被写体上の横切りなどの突発的な被写体環境変化が発生するシーンを撮影した場合や、短い周期で明るさや色などの条件が変化する被写体を撮影した場合などのその短期間の変化が映像として再現されるうえで、被写体全体にわたって照明環境の変化があった場合には照明状態を十分に補正して適切な再現が可能な映像再生が可能になった。
【0057】
本実施例では記録情報としてタイムコードを用いることで説明したが、記録情報としてはフラグデータなどの簡単なものでも良いし、補正するか否かのスレッシュは再生装置に持たせても実現可能である。また、本実施例ではホワイトバランス制御を行う構成で説明したが、ガンマ処理、輪郭強調、蛍光灯フリッカ補正などの信号処理制御でも同様の効果を得ることが出来る。さらには、記録再生可能な撮像装置として説明したが、撮像部分、記録部分、再生部分が分離されている構成でも構わない。
【0058】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
100‥‥レンズ
101‥‥光学絞り
102‥‥撮像素子
103‥‥信号処理装置
104‥‥記録装置
105‥‥レベル検出装置
106‥‥レベル制御装置
107‥‥時間カウント装置
108‥‥メタデータ生成装置
109‥‥信号重畳装置
121‥‥再生装置
122‥‥アンプ
123‥‥出力端子
124‥‥メタデータ再生装置
125‥‥再生信号レベル検出装置
126‥‥補正判定装置
127‥‥再生信号レベル制御装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像系の映像の補正制御を行う撮像制御手段と、
補正制御量が補正目標に達していない時間の長さを計数して時間情報を生成する計時手段と、
時間情報を映像に関連付けて記録する情報記録手段と、
再生時に時間情報を参照して映像の補正を行う再生時補正手段とを備え、
再生時補正手段は時間情報に応じて補正を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
時間情報は所定時間以上かどうかを示すフラグであり、
再生時補正手段はフラグの状態に従って補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
時間情報は時間の長さを示す変数であり、
再生時補正手段は時間情報が所定時間以上かどうかで補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
時間情報は補正制御量が補正目標に達しなくなって所定時間以上経った場合の開始点の絶対時間であり、
再生時補正手段は時間情報を基に得られる開始点から補正を開始することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
時間情報は時間の長さを示す変数として補正目標に達しなくなた場合の開始点に書き込まれ、
再生時補正手段は開始点を再生する時点で時間情報が所定時間以上かどうかで補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮像系の映像の補正制御を行う撮像制御手段と、
補正制御量が補正目標に達していない時間の長さを計数して時間情報を生成する計時手段と、
時間情報を映像に関連付けて記録する情報記録手段とを備え、
情報記録手段は撮影時に計時手段によって得られた時間情報を記録することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
撮像系の映像に対して撮像制御手段の補正制御量が補正目標に達していない時間の長さを映像に関連付けて記録された記録媒体を再生する映像再生装置で、
再生時に記録情報を参照して映像の補正を行う再生時補正手段とを備え、
再生時補正手段は記録情報として記録されている時間情報に応じて補正を行うことを特徴とする映像再生装置。
【請求項8】
撮像制御手段は光学絞り、露光時間、利得制御の露出制御であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像制御手段はホワイトバランス制御、ガンマ処理、輪郭強調、蛍光灯フリッカ補正の信号処理制御であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−156885(P2012−156885A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15601(P2011−15601)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】