説明

撮像装置

【課題】設計自由度の低下を招くことなく、また、三脚取付部材の放熱面積を増やすことなく、十分な放熱効果を得ることができるようにして、撮像装置の小型化を図ることができる仕組みを提供する。
【解決手段】撮像装置は、装置本体の内部に設けられ、発熱源124で発生した熱が伝達されるメインシャーシ115と、装置本体の外部に露出して設けられ、メインシャーシ115から熱が伝達される三脚取付部材113と、三脚取付部材113に隣接して設けられ、伝熱部材121を有して装置本体に対して開閉可能に支持される蓋ユニット129と、を備える。蓋ユニット129は、閉じ状態で、伝熱部材121が三脚取付部材113に接触して、三脚取付部材113から伝熱部材121に熱が伝達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置では、装置本体の内部で発熱する電子部品を外部に露出する金属製の三脚取付部に直接接触させることで、三脚取付部を通じて電子部品で発生した熱を外気に放熱する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−125191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、装置本体内部の電子部品に対して三脚取付部を直接接触させるように配置するため、三脚取付部の配置や形状が制限されて設計の自由度が低下する。
【0005】
また、上記特許文献1では、装置本体の放熱を比較的サイズの小さい三脚取付部のみで行うため、放熱効率に限界があり、十分な放熱効果を得るために、三脚取付部の放熱面積を増やすと、撮像装置の大型化を招くことになる。
【0006】
そこで、本発明は、設計自由度の低下を招くことなく、また、三脚取付部材の放熱面積を増やすことなく、十分な放熱効果を得ることができるようにして、撮像装置の小型化を図ることができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、装置本体の内部に設けられ、発熱源で発生した熱が伝達されるシャーシ部材と、前記装置本体の外部に露出して設けられ、前記シャーシ部材から熱が伝達される三脚取付部材と、前記三脚取付部材に隣接して設けられ、伝熱部材を有して前記装置本体に対して開閉可能に支持される蓋ユニットと、を備え、前記蓋ユニットは、閉じ状態で、前記伝熱部材が前記三脚取付部材に接触して、前記三脚取付部材から前記伝熱部材に熱が伝達されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、設計自由度の低下を招くことなく、また、三脚取付部材の放熱面積を増やすことなく、十分な放熱効果を得ることができるので、撮像装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明の撮像装置の実施形態の一例であるデジタルカメラを正面側から見た図、(b)は(a)の背面図、(c)は(a)の上面図、(d)は(a)の底面図である。
【図2】(a)はカメラ本体に対して電池蓋ユニットが閉じている状態を示す斜視図、(b)は電池蓋ユニットを矢印A方向にスライド移動させた状態を示す斜視図、(c)は電池蓋ユニットが開方向へ回動した状態を示す斜視図である。
【図3】カメラ本体の要部構造を示す分解斜視図である。
【図4】(a)は電池蓋ユニットの組立体を電池ボックス側から見た平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図5】メインシャーシ、電池蓋ユニット、及び三脚取付部材の関係を示す斜視図である。
【図6】(a)は電池蓋ユニットが三脚取付部材から離れる方向にスライド移動した状態を示す断面図、(b)は電池蓋ユニットが三脚取付部材側にスライド移動した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0011】
図1(a)は本発明の撮像装置の実施形態の一例であるデジタルカメラを正面側から見た図、図1(b)は図1(a)の背面図、図1(c)は図1(a)の上面図、図1(d)は図1(a)の底面図である。
【0012】
本実施形態のデジタルカメラは、図1に示すように、正面カバー102a及び背面カバー102bによりカメラ本体101の外装が形成され、カメラ本体101の正面側には、レンズ鏡筒100、ストロボユニット104及びAF補助光窓105が設けられている。
【0013】
カメラ本体101の正面側から見て左側の側面部には、端子カバー103及びストラップ取付部108が設けられ、カメラ本体101の背面部には、LCD等の表示装置106及び操作ボタン群107が設けられている。ここで、カメラ本体101は、本発明の装置本体の一例に相当する。
【0014】
また、カメラ本体101の上面部には、レリーズボタン109、ズームレバー110、電源ボタン111、及びモード切替レバー112が設けられ、カメラ本体101の底面部には、三脚取付部材113、及び電池蓋ユニット129が設けられている。電池蓋ユニット129は、カメラ本体101に対して開閉可能に支持されている。
【0015】
次に、図2を参照して、電池蓋ユニット129の開閉動作について説明する。図2(a)は、カメラ本体101に対して電池蓋ユニット129が閉じている状態を示す斜視図である。図2(a)の状態では、電池蓋ユニット129は、カメラ本体101に対して係止爪114a,114bが係止されて閉じ状態が維持されている。
【0016】
この状態で、図2(b)に示すように、電池蓋ユニット129を矢印A方向にスライド移動させると、係止爪114a,114bの係止が解除され、開きバネ122(図3)の付勢力により電池蓋ユニット129は、開く方向へ回動して図2(c)の状態になる。これにより、電池ボックス116(図3)の電池収納部が開放され、電池等の出し入れが可能となる。
【0017】
図3は、カメラ本体101の要部構造を示す分解斜視図である。図3において、CCDセンサ124は、CCDプレート125に保持され、CCDプレート125は、レンズ鏡筒100(図1)に固定される。
【0018】
CCD放熱板126は、レンズ鏡筒100とメインシャーシ115との間で光軸方向に挟まれた状態で固定され、また、CCD放熱板126とCCDプレート125とは、熱伝導シート128を介して熱伝導可能に接続される。熱伝導シート128は、圧縮変形が可能で熱伝導率の高い材質で形成される。
【0019】
CCDフレキ127には、CCDセンサ124が実装される。CCDセンサ124から出力された画像信号は、CCDフレキ127を介して不図示の制御基板へと伝送される。メインシャーシ115は、板金等の金属材料で形成され、カメラ本体101の枠体を構成する。ここで、メインシャーシ115は、本発明のシャーシ部材の一例に相当する。
【0020】
電池ボックス116は、樹脂材料で形成され、メインシャーシ115に対してビス等により固定される。三脚取付部材113は、三脚台を固定するためのネジ穴を有し、メインシャーシ115に対してビス117等により固定される。三脚取付部材113は、本実施形態では、亜鉛ダイキャスト等の熱伝導率の高い金属材料により形成されている。
【0021】
電池蓋ユニット129は、三脚取付部材113に隣接して設けられ、電池蓋114、放熱板118、クリックプレート119、回転軸120、インナープレート121、開きバネ122、及びDCジャックカバー123を備える。ここで、インナープレート121は、金属材料で形成され、本発明の伝熱部材の一例に相当する。
【0022】
電池蓋114は、電池蓋114に固定される金属製の放熱板118とともに、カメラ本体101の底面部の外装の一部を形成し、放熱板118には、インナープレート121がビス等により固定される。すなわち、放熱板118とインナープレート121は熱的に接続される。クリックプレート119は、カメラ本体101に対して回転軸120を介して回動動作が可能に支持される。ここで、クリックプレート119は、金属材料で形成され、本発明の回動部材の一例に相当する。
【0023】
開きバネ122は、電池蓋ユニット129を開き方向へと付勢するバネであり、コイル部分に回転軸120が挿通されて、一端がクリックプレート119に、他端が三脚取付部材113の側面にそれぞれ押圧接触して保持される。
【0024】
DCジャックカバー123は、ゴム材料等の弾性部材から形成され、放熱板118に対して着脱可能とされて、装着時に外部直流電源を使用する際にDCジャックを挿入する孔を塞ぐ。
【0025】
図4(a)は電池蓋ユニット129の組立体を電池ボックス116側から見た平面図、図4(b)は図4(a)のA−A線断面図である。
【0026】
図4に示すように、電池蓋114の先端部には、カメラ本体101に対して係脱可能に係止される係止爪114a,114bが形成されている。これにより、電池蓋114が図3aの状態において電池ボックス116に対して係止される。
【0027】
放熱板118には、2つのボス部118a,118bが形成され、ボス部118a,118bが電池蓋114の位置決め穴に嵌合することで、電池蓋114に対して放熱板118が位置決めされる。
【0028】
また、放熱板118とクリックプレート119との間に電池蓋114を挟んだ状態でボス部118a,118bにインナープレート121がビス等で固定される。このとき、クリックプレート119に対して、電池蓋114、放熱板118、及びインナープレート121は、一体でスライド移動が可能に保持されている。
【0029】
このときのスライド移動量は、電池蓋114の係止爪114a,114bのカメラ本体101に対する係止量よりも大きく設定される。クリックプレート119は、カメラ本体101に対して回転軸120を介して回動可能に支持されているため、電池蓋ユニット129は、スライド移動後に開方向へ回動動作が可能となる。
【0030】
ここで、発熱源の1つであるCCDセンサ124で発生した熱の伝熱経路について説明する。CCDセンサ124で発生した熱は、CCDプレート125へ伝達された後、熱伝導シート128を介してCCD放熱板126へ伝達される。
【0031】
CCD放熱板126に伝達された熱は、メインシャーシ115へ伝達される。メインシャーシ115は、カメラ本体101の内部の広い領域に配置されているため、メインシャーシ115へ伝達された熱は、メインシャーシ115で広範囲に分散される。
【0032】
また、メインシャーシ115へ伝達された熱は、メインシャーシ115に取り付けられた三脚取付部材113にも伝達される。
【0033】
図5は、メインシャーシ115、電池蓋ユニット129、及び三脚取付部材113の関係を示す斜視図である。
【0034】
図5において、電池蓋ユニット129は、閉じ状態であり、インナープレート121のL字状の曲げ形状部121aは、三脚取付部材113に貼り付けられた熱伝導シート113aを介して三脚取付部材113に接触する。
【0035】
熱伝導シート113aは、熱伝導率が高く、圧縮変形可能な材料で形成されている。このため、熱伝導シート113aは、インナープレート121の曲げ形状部121aに密着してメインシャーシ115から三脚取付部材113に伝達された熱をインナープレート121に効率よく伝達することが可能である。
【0036】
図6(a)は、電池蓋ユニット129が三脚取付部材113から離れる方向にスライド移動した状態を示す断面図である。
【0037】
図6(a)では、電池蓋ユニット129は、カメラ本体101に対する係止爪114a,114bの係止が解除される位置までスライド移動しており、クリックプレート119のクリックバネ形状部119aが電池蓋114のクリック溝部114cに係合している。
【0038】
このとき、インナープレート121の曲げ形状部121aは、三脚取付部材113に対してスライド移動量分だけ離れており、従って、三脚取付部材113からインナープレート121への伝熱は行われない。
【0039】
図6(b)は、電池蓋ユニット129が三脚取付部材113側にスライド移動した状態を示す断面図である。
【0040】
電池蓋ユニット129を三脚取付部材113側にスライド移動させる際には、クリックバネ形状部119aは、クリック溝部114cを乗り越えてクリック溝部114dに係合する。これにより、電池蓋ユニット129にクリック感が付与される。
【0041】
このとき、インナープレート121の曲げ形状部121aは、熱伝導シート113aを介して三脚取付部材113に接触する。そのため、メインシャーシ115から三脚取付部材113に伝達された熱は、熱伝導シート113aを介してインナープレート121へ伝達される。
【0042】
インナープレート121は、ビス等によって放熱板118に接触した状態で固定されるため、インナープレート121に伝達された熱は、電池蓋ユニット129の外部に露出する放熱板118へ伝達されて、外気に放熱される。
【0043】
このように、メインシャーシ115から三脚取付部材113に伝達された熱は、電池蓋ユニット129の閉じ状態で、熱伝導シート113a及びインナープレート121を介して放熱板118へと伝達されて外気に放熱される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、CCDセンサ124で発生した熱は、CCDプレート125、熱伝導シート128、CCD放熱板126、及びメインシャーシ115を介して三脚取付部材113に伝達される。このため、三脚取付部材113の配置や形状の制限を緩和することができ、設計の自由度が向上する。
【0045】
また、本実施形態では、三脚取付部材113に伝達された熱は、熱伝導シート113a及びインナープレート121を介して放熱板118へと伝達されて外気に放熱される。このため、三脚取付部材113の放熱面積を増やすことなく、十分な放熱効果を得ることができ、デジタルカメラの小型化を図ることができる。
【0046】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
113 三脚取付部材
113a 熱伝導シート
114 電池蓋
115 メインシャーシ
118 放熱板
124 CCDセンサ
125 CCDプレート
126 CCD放熱板
128 熱伝導シート
129 電池蓋ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の内部に設けられ、発熱源で発生した熱が伝達されるシャーシ部材と、
前記装置本体の外部に露出して設けられ、前記シャーシ部材から熱が伝達される三脚取付部材と、
前記三脚取付部材に隣接して設けられ、伝熱部材を有して前記装置本体に対して開閉可能に支持される蓋ユニットと、を備え、
前記蓋ユニットは、閉じ状態で、前記伝熱部材が前記三脚取付部材に接触して、前記三脚取付部材から前記伝熱部材に熱が伝達されることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記蓋ユニットは、回動可能に支持される回動部材を有し、前記伝熱部材は前記回動部材に対してスライド移動が可能に保持され、
前記蓋ユニットが前記閉じ状態となるときに、前記蓋ユニットは前記装置本体に対して係止され、前記伝熱部材は前記三脚取付部材に接触する状態となり、
前記蓋ユニットを、前記閉じ状態からスライド移動させると、前記蓋ユニットは前記装置本体に対する係止が解除されるとともに、前記伝熱部材は前記三脚取付部材の接触しない状態となり、前記蓋ユニットは開く方向に回動動作することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記蓋ユニットは、前記伝熱部材から熱が伝達される放熱板を有し、
前記放熱板は、前記蓋ユニットの外部に露出するように配置され、前記伝熱部材から伝達された熱を外気に放熱することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記伝熱部材は、前記蓋ユニットの閉じ状態で、前記三脚取付部材に熱伝導シートを介して接触することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−24973(P2013−24973A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157892(P2011−157892)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】