説明

撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料

【課題】 より忠実な色再現と色の弁別性を高めた色再現性の改良された高品質な透過型ポジ画像を得ることが出来る優れた撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料の提供。
【解決手段】 支持体上の一方の側に、それぞれ少なくとも1層の青感光性層、緑感光性層、赤感光性層および非感光性層からなる写真構成層を有する撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料において、該緑感光性層濃度(G層濃度)が0.3〜1.0の範囲の低濃度域ガンマ値が1.15〜1.30であり、また、G層濃度1.5〜2.7の範囲の高濃度域ガンマ値が2.20〜2.50であり、かつ、G層濃度の低濃度域ガンマに対するG層濃度の高濃度域ガンマの比率が1.75〜2.20であり、かつ、各々の濃度域での緑感光性層に対して、青感光性層のガンマの比率が0.97〜1.05であり、また、赤感光性層のガンマの比率が0.95〜1.02であり、かつ、ISO100以上である事を特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料(以下、単に反転カラー感光材料、感光材料又はカラーリバーサルフィルムともいう)に関し、さらに詳しくはユーザーが最も重要視する色再現性と画像描写力が改良された撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、人口構成からみた中高年齢化が急速に進むなかで、従来から使用することが難しいと言われているカラーリバーサルフィルムを使いこなす、アドバンストアマチュア層が生涯趣味として、良い写真を撮る為に、写真教室、写真クラブ、撮影会等に参加する等急激に増加しており、高品位な銀塩写真が求められている。
【0003】アドバンストアマチュアはプロ写真家と同様に、自分の写真を撮ると言う欲求から、出来上がってくる画像の品質に対しての要望は厳しく、高い品質を要求している。
【0004】また、ユーザーの嗜好にも個々人の主張が強く、全てのユーザーが満足する様な商品の開発と共に、ある性能に特徴を持たせた商品の提供に関しても要望が強いのが実状である。カラーリバーサルフィルムのユーザーは、自然や風景、花等のいわゆるネイチャーフォトと称される撮影対象が過半数を占めている。それらのネイチャーフォトのポジ画像を分析してみると、晴天下での撮影シーンもみられるが、早朝や夕暮れ、森や渓谷での日陰や曇り日といった低輝度比の悪条件での撮影シーンも数多くみられ、一見すると露光不足気味の濃度が若干高めな仕上がりとなっている。その様な悪条件下での撮影において、ユーザーが期待する性能としては、仕上がりポジ画像が、よりメリハリのある画像であることが最も重要視されている。
【0005】仕上がり画像の調子再現性を改良する技術手段の提案が幾つかなされている。特開昭61−50135号、特開昭63−128337号、特開平3−158847号等に、調子再現を左右する階調を規定する特性曲線の傾き、いわゆるガンマや各濃度点における規定値としてのポイントガンマに関する技術として提案されてはいるが、いずれもが、プリント感光材料や出力用感光材料に関するものであり、その他の技術開示特許に関しても、肌色の滑らかな再現性を改良するものであり、画像のメリハリをつける意図からは反することとなり、ユーザーの欲する、低輝度比条件でのメリハリのある画像を提供できる技術の提案が待たれている所である。
【0006】また、晴天での撮影は勿論のこと、前記の様な悪条件下での撮影においても、少しでも綺麗な色を再現することもまた、重視されている。ユーザーからの色再現性の改良に関する要望は、カラーネガフィルムも同様に、従来から変わることなく求められており、幾多の技術手段の提案がなされている。
【0007】反転カラー感光材料の色再現性改良手段としては重層効果を利用することが一般的には知られている。赤感光性層と緑感光性層との間に、コロイド銀含有層を設けて重層効果を得ることが、リサーチディスクロージャー、No.13116(1975年3月)に記載されている。
【0008】また、化合物による重層効果の改良手段も提案されている、例えば、特公昭46−12677号には、4−チアゾリン−2−チオンによる効果が記載されており、特開昭62−11854号には、5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール系化合物による反転カラー写真感光材料の重層効果の改良手段が記載されている。米国特許第4,684,604号には、DIR−ヒドラゾンによる重層効果の改良手段も提案されている。
【0009】また、米国特許第4,082,553号には、反転カラー写真感光材料において、その内の1層に潜像形成性のハロ沃化銀粒子を含有させ、他の1層に潜像形成性ハロゲン化銀粒子と、表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子とを含有させることにより、重層効果を得る方法が記載されている。この様な方法で重層効果を強めることにより、反転カラー写真感光材料の色再現性を向上させることが可能である。
【0010】色再現性の改良は主に、彩度の向上に重点をおいており、前記の技術手段の場合においても同様ではあるが、過度の重層効果による原色の彩度の向上は、撮影時の条件の違いや露光条件の変化に対して、彩度変化や濃度変化が大きくなり過ぎて、色の安定な描写や微妙な濃淡描写が難しくなるという欠点を生じる。
【0011】また、早朝や夕暮れの低い色温度下での撮影では、朝焼けや夕焼けはより赤くなることが求められ、逆に日陰や曇の様な高い色温度下での撮影では、全体の色調が青くなり過ぎないことが好ましいとされている。
【0012】前記の色再現性の改良のための手段である重層効果を採用した場合には、撮影時の色温度による色調の変化はより助長される。色温度が低い光は赤黄色の色調となるが、重層効果でさらにその傾向が助長され、低い色温度下での撮影ではより赤くなり、好ましい結果を得られるが、逆に、色温度が低い光は青みの強い色調となり、重層効果でさらにその傾向が助長され、高い色温度下での撮影に関しては好ましくない結果となる。そのため、彩度に優れた色再現性を持ちながら、なおかつ、高い色温度での色調変動を抑える技術手段の提案が望まれていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目的は、より忠実な色再現と色の弁別性を高めた色再現性の改良された高品質な透過型ポジ画像を得ることが出来る優れた撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0015】1.支持体上の一方の側に、それぞれ少なくとも1層の青感光性層、緑感光性層、赤感光性層および非感光性層からなる写真構成層を有する撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料において、該緑感光性層濃度(G層濃度)が0.3〜1.0の範囲の低濃度域ガンマ値が1.15〜1.30であり、また、G層濃度1.5〜2.7の範囲の高濃度域ガンマ値が2.20〜2.50であり、かつ、G層濃度の低濃度域ガンマに対するG層濃度の高濃度域ガンマの比率が1.75〜2.20であり、かつ、各々の濃度域での緑感光性層に対して、青感光性層のガンマの比率が0.97〜1.05であり、また、赤感光性層のガンマの比率が0.95〜1.02であり、かつ、ISO100以上である事を特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
【0016】2.撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料において、青感光性層、緑感光性層、赤感光性層の少なくとも1層が同一感色性の3層以上からなり、又、色再現性を強調する技術手段を併用する事により、撮影した後に反転発色現像にて得られたマクベスカラーチェッカーの濃度値が下記条件Aを満たす事を特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
【0017】条件A:デーライト光源での標準撮影条件にて撮影、現像処理して得られたマクベスカラーチェッカーの再現画像において 18%反射率グレーパッチ(N5)G濃度=1.15〜1.30 青色パッチ:B濃度/N5のB濃度=0.90〜1.10 G濃度/B濃度=1.75〜2.15 R濃度/B濃度=2.00〜2.40 緑色パッチ:G濃度/N5のG濃度=0.85〜1.05 B濃度/G濃度=1.55〜2.00 R濃度/G濃度=1.45〜1.90 赤色パッチ:R濃度/N5のR濃度=0.50〜0.70 B濃度/R濃度=2.80〜4.50 G濃度/R濃度=2.80〜4.203.撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料において、特性曲線の緑感光性層濃度(G層濃度)が0.3〜2.7までの範囲における青感光性層濃度(B層濃度)と赤感光性層濃度(R層濃度)が下記条件Bを満たし、かつ、撮影、反転発色現像にて得られたニュートラルグレーのL***色度値が下記条件Cを満たす事を特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
【0018】条件B:デーライト相当色温度露光の楔形ウェッジ画像の同一露光点B層濃度−G層濃度=−0.12〜+0.02R層濃度−G層濃度=−0.03〜+0.07条件C:マクベスカラーチェッカー再現画像のグレーパッチ部の色度値a*値=−2.50〜+0.50b*値=−7.00〜0.004.撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料において、色フィルターによる分解露光を行い、反転発色現像にて得られた特性曲線のガンマ値が下記条件Dを満たす事を特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
【0019】条件D:青分解露光でのB層感度、緑分解露光でのG層感度及び赤分解露光でのR層感度と白光露光での各々の感度において、濃度2.0での感度差よりも濃度1.0での感度差がΔLogE=±0〜+0.06であり、濃度1.0での感度差よりも濃度0.4での感度差がΔLogE±0〜+0.06である。
【0020】5.撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料において、青感光性層の分光感度が下記条件Eを満たし、かつ、色再現性を改良する為の下記条件Fを満たす色強調手段を併用する事を特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
【0021】条件E:λmax=430nm〜460nmSλ410/Sλmax=0.40〜0.60Sλ480/Sλmax=0.20〜0.50Sλはその波長の分光感度を示す。
【0022】条件F:白光露光と青分解露光時のB層感度差が、B層濃度1.0〜2.0までの濃度域ではΔLogE=0.30〜0.40であり、かつ、B層感度差に対するG層感度差の比率及びR層感度差の比率が2.30〜2.70である。
【0023】6.補色濃度を高くし、補色濃度に対する主体色濃度の比率を維持することにより、彩度を維持しながら深みやコクのある色を有することを特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
【0024】7.色分解調と白色露光諧調を近づけることによって、色温度や輝度比変動に対して安定な色再現性を有することを特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
【0025】8.低濃度域ガンマ値に対する高濃度域のガンマ値の比率を高くし、かつ全体に硬調にし、それによってラチチュードが低下する欠点を3つの感色性層のガンマ値を近づけることによって、メリハリのある画像を得ることを特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
【0026】以下、本発明を更に詳細にのべる。
【0027】本発明におけるガンマは、一定の光量域に対する濃度増加巾の傾きであり、当業者が一般的に用いている階調測定方法で求められる。
【0028】本発明におけるガンマ設定の濃度域に関しては、一般的な被写体を標準条件で撮影して、得られた画像濃度を解析すると、最も低濃度な部分としては、平均0.3以上であり、それ未満の濃度域では階調を持たせるよりも、濃度バランスを整えることが重要である。
【0029】また、本発明においては最も高濃度な部分としては3.0を越すものもあるが、目視で確認が出きる濃度域としては、およそ2.7程度が限度であり、階調性を厳密に制御するよりも、最大濃度までは、黒のしまりも考慮して、濃度バランスを整えておくことが必要である。
【0030】本発明においては、G層濃度0.3〜1.0の濃度域でのガンマ値が1.15〜1.30であるが、より好ましくは、1.15〜1.25である。
【0031】また、本発明においてはG層濃度1.5〜2.7の濃度域でのガンマ値が2.20〜2.50であるが、好ましくは、2.20〜2.40である。
【0032】また、本発明においては低濃度域ガンマ値に対する、高濃度域ガンマ値の比率が、1.75〜2.20であり、好ましくは、1.85〜2.05である。
【0033】さらに、各濃度域でのG層ガンマに対するB層ガンマ値の比率が0.97〜1.05である。
【0034】また、本発明においてはR層ガンマ値の比率は、0.95〜1.02である。
【0035】通常、ガンマを硬くすれば、ラチチュードが狭くなる欠点を伴うが、濃度域でのガンマバランス及び3つの感光性層のガンマバランスを適度に設定する事で、メリハリをつけられる事となる。
【0036】本発明における色再現の濃度による定義としては、補色濃度と主体色濃度で色再現性を表すことができる。例えば、補色濃度が低い場合及び/又は主体色濃度が場合が、色の彩度が高いこととなる。主体色が同一の場合には、補色濃度が低い方が彩度が高く、補色濃度が同一の場合には、主体色濃度が高い方が彩度が高いこととなる。本発明における色再現性改良の観点から、補色濃度を高くしても、補色濃度に対する主体色濃度の比率を維持することにより、彩度を維持しながら、かつ、深みやコクのある色も同時に達成できることが可能である。
【0037】本発明における色再現性に関しては、マクベスカラーチェッカーを用いているが、JIS色表を用いた場合も同じことが言える。マクベスカラーチェッカーの6段グレーパッチは、反射率の違いで、白から黒迄を表しているが、N5パッチ部が反射率18%相当であり、基準のグレー板となっている。標準撮影条件でのN5部分の濃度値は、感光材料の実効感度に左右される。実効感度が早ければ、N5濃度は低く、感度が遅ければ、濃度が高くなる。
【0038】本発明においてはN5パッチの緑感光性層の濃度は、1.15〜1.30である。青色パッチ部の補色の濃度であるB濃度はN5グレー部のB濃度との比率で、0.90〜1.10であり、好ましくは、0.95〜1.05である。
【0039】また、本発明においては主体色濃度としては、B濃度に対するG濃度比率は、1.75〜2.15であるが、好ましくは1.80〜2.10であり、R濃度比率は、2.00〜2.40であり、好ましくは、2.10〜2.30である。
【0040】緑色パッチ部のG濃度はN5のG濃度との比率で、0.85〜1.05であり、好ましくは、0.85〜0.95である。
【0041】G濃度に対するB濃度比率は、1.55〜2.00であり、好ましくは、1.60〜1.90である。
【0042】R濃度比率は、1.45〜1.90であり、好ましくは、1.55〜1.80である。
【0043】赤色パッチ部のR濃度のN5のR濃度との比率は、0.50〜0.70であるが、好ましくは、0.50〜0.65である。
【0044】R濃度に対するB濃度比率は、2.80〜4.50であり、好ましくは、3.00〜4.00である。
【0045】G濃度比率は、2.80〜4.20であり、好ましくは、3.00〜3.70である。
【0046】本発明における特性曲線を得る方法は、当業者が通常、センシトメトリー特性曲線を得る方法として知られている。本発明においては、特性曲線におけるG層濃度0.3〜2.7迄の範囲における、B層濃度は−0.12〜+0.02であり、好ましくは、−0.09〜−0.02である。R濃度は−0.03〜+0.07であり、好ましくは、−0.01〜+0.04である。
【0047】条件B:デーライト相当色温度露光の楔形ウェッジ画像の同一露光点B層濃度−G層濃度=−0.12〜+0.02R層濃度−G層濃度=−0.03〜+0.07条件C:マクベスカラーチェッカー再現画像のグレーパッチ部の色度値a*値=−2.50〜+0.50b*値=−7.00〜0.00本発明における色度点を表す、L***値は、当業者が、通常、色再現性を評価する時に、一般的に用いている尺度であり、L*値が明度を、a**値の交点が彩度と色相を表している。本発明においては、特に特性曲線でのグレーバランスを規定することから、a**値として、G濃度0.3〜2.7迄の濃度域におけるa*値が−2.50〜+0.50であり、好ましくは、−2.00〜±0である。b*値は−7.00〜0.00であり、好ましくは、−5.00〜、−1.50である。
【0048】本発明における色分解露光は、反転カラー感光材料の色分解用のフィルターを用いることで行うことができる。本発明では、イーストマンコダック社製のラッテンCCフィルターの90B、90G、90Rフィルターを、通常のセンシトメトリー露光と同様に、各々、使用することで、色分解した特性曲線が得られる。青分解露光では、B層の特性曲線が他のG層、R層の特性曲線よりも感度が最も出ていることで、補色濃度が低くなることとなる。一般的に色分解露光の特性曲線の階調は、白光露光時の階調と中間濃度部以外は硬調、もしくは、軟調化する。この傾向は、重層効果の与え方により変化させることも可能であり、色再現性を強調するために、補色の特性曲線の低濃度域が硬調化する様に重層効果を与えると、濁りが減少した高彩度の色再現となり、主体色の高濃度域が硬調化する様に重層効果を与えると濁りはそのままで、高彩度の色再現となる。また、全体に重層効果を強めると、全濃度域に亘って、彩度が向上することとなる。
【0049】本発明における青分解露光時のB層特性曲線、緑分解露光時のG層特性曲線、赤分解露光時のR層特性曲線において、白光露光時での特性曲線との感度差が、各色の濃度2.0での感度差よりも、濃度1.0での感度差がΔLogE=±0〜+0.06であり、好ましくは、±0〜+0.04である。また、各色の濃度1.0での感度差よりも、濃度0.4での感度差がΔLogE=±0〜+0.06であり、好ましくは、±0〜+0.05である。より好ましくは、濃度2.0での感度差よりも濃度0.4での感度差が、B層ではΔLogE=±0〜0.12、G層では±0〜0.09、R層では±0〜0.06である。
【0050】本発明における赤感光性層、緑感光性層及び青感光性層の分光感度分布とは、ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料に、400nm〜700nmまで数nm間隔でスペクトル光で露光を与え、各波長で一定濃度を与える露光量の逆数を各波長での感度とし、その感度を波長の関数としたものである。その波長毎の感度分布において、最も感度が高い波長をλmaxとして規定する。なお、本発明での一定濃度とは、透過濃度として1.0の濃度点を指す。
【0051】本発明における青感光性層の分光感度分布のλmaxは、430nm〜460nmであり、分光感度分布の短波側の感度としては、λmax部に対する410nm部の感度比率は、0.40〜0.60であり、好ましくは、0.45〜0.55である。
【0052】また、長波側の感度としては、λmax部に対する480nm部の感度比率は、0.20〜0.50であり、好ましくは、0.30〜0.40である。
【0053】本発明における青分解露光時と白光露光時のB層の感度差が、B層濃度1.0〜2.0までの濃度域では、ΔLogE=0.30〜0.40であり、好ましくは、0.30〜0.36である。
【0054】また、B層感度差に対するG層感度差及びR層感度差の比率が、2.30〜2.70であり、好ましくは、2.30〜2.50である。
【0055】本発明の特性を備えた感光材料を得るには、特に新規の材料を適用する必要はなく、ハロゲン化銀乳剤をその目的に合わせて用いることにより、達成できる。
【0056】すなわち、本発明の粒状度バランス、鮮鋭度バランス、色分解感度バランス、色分解階調バランスを備えた反転感光材料を得るには、各感光性層に用いるハロゲン化銀粒子の粒径、形状、内部構造、塗布量、沃化銀含有率、粒径の変動係数、転位線の状態、他のハロゲン化銀粒子との組合せ添加などによって、さらにそれを赤感光性層、緑感光性層、青感光性層、同一感色性で感度の異なる層にバランス良く適用することで達成できる。またこれらについては、後述する本発明の実施例から実証される。
【0057】本発明に有効な分光感度分布については、公知の技術によって実施できる。例えば、特開平3−264955号、同3−194546号、同3−255438号、同3−290658号、同3−264954号等に記載の技術によって実施できる。
【0058】本発明における赤感光性層、緑感光性層及び青感光性層の分光感度分布を与える増感色素は当該業者が巾広く用いている、シアニン色素やメロシアニン色素を少なくとも1種以上用いることで達成出来る。2種以上の増感色素を用いる場合には、それらの混合比率を変化させることで、所望の分光感度分布を設定出来、又、λmaxを変化させることが可能である。
【0059】本発明のハロゲン化銀感光材料に含有されるハロゲン化銀粒子はハロゲン化銀乳剤粒子内部のハロゲン化銀組成に特に制限はないが、沃臭化銀粒子の場合には、コア/シェル構造を有することが好ましい。コア相の沃化銀含有率は10mol%以上であることが好ましく、20mol%以上が更に好ましい。また、最外部のシェル層の沃化銀含有率は10mol%以下であることが好ましく、5mol%以下が更に好ましい。この様なハロゲン化銀粒子の組成を分析する方法としては、例えば特開平4−142531号に記載の方法を参考にできる。
【0060】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は粒子間の沃化銀含有率がより均一になっていることが好ましい。
【0061】写真業界で一般的に用いられるXMA法によって個々のハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有率を測定したとき、測定値の相対標準偏差が20%以下であることが好ましい。更に好ましくは、15%以下、最も好ましくは5%〜12%である。
【0062】ここに相対標準偏差とは、例えば少なくとも100個のハロゲン化銀乳剤の沃化銀含有率を測定した際の沃化銀含有率の標準偏差をそのときの平均沃化銀含有率で除した値×100である。
【0063】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、単分散性のハロゲン化銀乳剤であることが好ましい。
【0064】本発明において、単分散性のハロゲン化銀乳剤とは、平均粒径dを中心に±20%の粒径範囲内に含まれるハロゲン化銀重量が全ハロゲン化銀重量の70%以上であるものが好ましく、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上100%以下である。
【0065】ここに平均粒径dは、粒径diを有する粒子の頻度niとdi3との積ni×di3が最大になるときの粒径diと定義する(有効数字3桁、最小数字は4捨5入とする)。
【0066】ここでいう粒径とは、粒子の投影像を同面積の円像に換算したときの直径である。粒径は、例えば前記粒子を電子顕微鏡で1万倍〜5万倍に拡大して投影し、そのプリント上の粒子直径又は投影時の面積を測定することによって得ることができる(測定粒子個数は無差別に100個以上あることとする)。
【0067】本発明の特に好ましい高度の単分散乳剤は、 (粒径標準偏差/平均粒径)×100=分布の広さ(%)
によって定義した分布の広さが20%以下のものであることが好ましく、更に好ましくは5%〜15%のものである。
【0068】ここに粒径測定方法は前記の測定方法に従うものとし、平均粒径は算術平均とする。
【0069】平均粒径=Σdini/Σni本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤の平均粒径は0.1〜10.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.2〜5.0μm、最も好ましくは0.3〜3.0μmである。
【0070】本発明に好ましく用いられるハロゲン化銀が平均アスペクト比2以上の平板状ハロゲン化銀粒子を含有することが好ましく、該平均アスペクト比は3〜20がより好ましい。
【0071】本発明でいう平均アスペクト比は乳剤粒子の平均直径と平均厚みの比として求められるものであり、その具体的な定義及び測定法は、特開昭63−106746号、同63−316847号、特開平2−193138号において開示されたものと同様である。
【0072】又、上記ハロゲン化銀はAgBrIであることが好ましい。
【0073】本発明によるハロゲン化銀乳剤はハロゲン化銀粒子を生成、成長させる液相中のpAgとpH、温度と撹拌等を所定のパターンに制御すること、塩化ナトリウム、臭化カリウム、沃化カリウムなどのハロゲン化物、硝酸銀の添加を制御する、ダブルジェット法による乳剤製造装置により製造される。又、本発明においては実質的に非感光性のハロゲン化銀粒子(好ましくは平均径が0.01〜0.2μmの微粒子乳剤)を、保護層、中間層等に用いることによって本発明の効果をより奏する。特に感光材料の総塗布銀量に対する非感光性ハロゲン化銀の割合が、9%〜15%であることが好ましい。
【0074】実質的に非感光性とは感光性乳剤層に存在する最低感度の粒子の1/50以下の感度を言う。
【0075】本発明において広い露光ラチチュードを得るために同一構成層内に粒径、或いはハロゲン化物組成の異なるハロゲン化銀乳剤を任意の割合で混合使用することができる。
【0076】混合使用される粒径の異なるハロゲン化銀粒子としては、平均粒径が0.2〜2.0μmの最大平均粒径を有するハロゲン化銀粒子と平均粒径が0.05〜1.0μmの最小平均粒径を有するハロゲン化銀粒子の組み合わせが好ましく、更に中間の平均粒径を有するハロゲン化銀粒子を1種以上組み合わせてもよい。又、最大平均粒径のハロゲン化銀粒子の平均粒径が、最小平均粒径のハロゲン化銀粒子の平均粒径の1.5〜40倍であることが好ましい。
【0077】本発明のハロゲン化銀粒子は転位線を有することが好ましい。
【0078】転位は、例えばJ.F.Hamilton著:Photo.Sci.Eng.11(1967),57頁やT.Shiozawa著:J.Soc.Phot.Sci.Japan 35(1972),213頁に記載の方法、即ち低温での透過型電子顕微鏡を用いた方法により観察することができる。即ち、乳剤から粒子に転位が発生する程の圧力を掛けないように注意して取り出したハロゲン化銀粒子を、電子顕微鏡用のメッシュに載せ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。この時、粒子の厚みが厚いほど電子線が透過し難くなるので、高圧型(0.25μmの厚さに対して200kV)の電子顕微鏡を用いた方が、より鮮明に観察することができる。
【0079】立方体粒子の場合には、粒子厚の関係で電子線の透過観察が困難な場合が多いが、その場合にはハロゲン化銀粒子を転位が発生する程の圧力を掛けないよう細心の注意を払いつつ薄片に切り出し、その薄片を観察することにより転位線の有無を確認することができる。又、粉末X線回折線の半値幅を利用した解析方法により転位線の存在を推定することもできる。
【0080】ハロゲン化銀粒子の転位線導入の開始位置は、転位線を導入する迄に粒子成長に消費した銀量の割合で20〜90%の位置であることが好ましく、25〜70%であることが更に好ましい。
【0081】本発明のハロゲン化銀粒子の1粒子当たりの転位線の本数は10本以上が好ましく、30本以上が更に好ましい。
【0082】転位線の導入方法については特に限定はないが、転位線導入開始位置において、ホスト粒子に対し高沃化銀含有層を形成し、更にその外側に該層に対し相対的に沃化銀含有率の低いハロゲン化銀層を形成していく、いわゆる急峻なハロゲン組成差に起因するハロゲン化銀格子定数のギャップを利用して転位を導入する方法が好ましい。転位線導入開始位置での高沃化銀層を形成する方法としては、沃化カリウム水溶液等の沃素イオン水溶液と水溶性銀塩溶液をダブルジェットで添加する方法、沃化銀微粒子を添加する方法、沃素イオン水溶液のみを添加する方法、沃化物イオン放出剤を用いる方法等があるが、沃化銀微粒子を添加する方法、沃化物イオン放出剤を用いる方法が好ましい。
【0083】転位線を導入した場合、転位線導入開始位置以降の領域の平均沃化銀含有率は6モル%以下であることが好ましく、4.5モル%以下が更に好ましい。
【0084】本発明の(100)面占有率の変動係数を有するハロゲン化銀粒子は、好ましくは以下の方法によって達成されるが、必ずしもこれに限定されない。
【0085】立方体粒子を調製するためのpAgは6.8〜7.8が好ましい。6.8未満だと等量点に近くなり粒子成長中の制御が難しくなり、面占有率の安定性を損ない易い。又、カブリも高くなり実用上好ましくない。一方、7.8を超えると(100)面比率が下がることもあるが、(111)面と(100)面の比率が粒子間で変動し易くなる。又、これに加えて、ハロゲン化銀成長を施す混合溶液への沃度の供給方法が重要であり、沃化銀微粒子を用いる方法、及び沃化物イオン放出剤を用いる方法が、(100)面占有率の変動係数を小さくする上で有効である。これは、混合容器中の沃素イオンの分布を均一にすることにより得られる効果であると考えられる。特に、転位線を含有するハロゲン化銀粒子を調製する上では重要な点である。
【0086】又、ハロゲン化銀粒子は、(100)面占有率の粒子間分布の変動係数を小さくする上で、沃素イオンは沃化銀微粒子を用いるか、沃化物イオン放出剤を用いて混合溶液中に供給されるのがよい。
【0087】本発明の感光材料には、個体微粒子分散物として、緑光を吸収するマゼンタフィルター染料を添加することが好ましい。マゼンタ染料としては、以下の様な化合物がある。
【0088】
【化1】


【0089】
【化2】


【0090】
【化3】


【0091】
【化4】


【0092】
【化5】


【0093】
【化6】


【0094】
【化7】


【0095】本発明の感光材料には、個体微粒子分散物として、青光を吸収するイエローフィルター染料を添加しても良い。具体的には下記一般式(2)、(3)、(4)で表されるイエローフィルター染料である。
【0096】
【化8】


【0097】一般式(2)において、Aは酸性核、L1、L2、L3はメチン基、Zは窒素原子とともにヘテロ環を形成する原子群、R1、R2はアルキル基を表す。nは0又は1を表す。
【0098】
【化9】


【0099】
【化10】


【0100】
【化11】


【0101】
【化12】


【0102】
【化13】


【0103】
【化14】


【0104】
【化15】


【0105】
【化16】


【0106】一般式(3)において、R1、R2は芳香族基を表し、R1、R2は同一であっても異なっていてもよい。
【0107】一般式(3)において、Z1は5または6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
【0108】L1、L2、L3はメチン基を表し、mは0、1または2を表す。
【0109】更に一般式(3)で表される化合物は分子内にカルボキシル基、フェノール性水酸基、−SO2NH−、−SO2NHCO−、−CONHCO−で表される結合を少なくとも一つ有する。
【0110】一般式(4)において、R3、R4はシクロアルキル基、芳香族基、および複素環基を表し、R3、R4は同一であっても異なっていてもよい。
【0111】一般式(4)において、Z2は5または6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
【0112】一般式(4)において、L4、L5、L6はメチン基を表し、nは0、1または2を表す。
【0113】更に一般式(4)で表される化合物は分子内にカルボキシル基、フェノール性水酸基、−SO2NH−、−SO2NHCO−、−CONHCO−で表される結合を少なくとも一つ有する。
【0114】本発明におけるフィルター染料を添加する方法について説明する。
【0115】固体微粒子状分散物を製造する方法としては、特開昭52−92716号、同55−155350号、同55−155351号、同63−197943号、特開平3−182743号、世界特許WO88/04,794号等に記載された方法を用いることができる。具体的には、界面活性剤を使用して例えばボールミル、振動ミル、遊星ミル、サンドミル、ローラーミル、ジェットミル、ディスクインペラーミル等の微分散機を用いて調製することができる。
【0116】また、染料を弱アルカリ性水溶液に溶解した後、pHを下げて弱酸性とすることによって微粒子状固体を析出させる方法や染料の弱アルカリ性溶解液と酸性水溶液を、pHを調整しながら同時に混合して微粒子状固体を作製する方法によって染料の分散物を得ることができる。染料は単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合には、それぞれ単独に分散した後混合してもよく、また、同時に分散することもできる。
【0117】固体微粒子状に分散された染料は、平均粒子径が1μm以下となるように分散することが好ましく、更に好ましくは0.01μm〜0.3μmであり、特に好ましくは0.10μm〜0.25μmである。また、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となる固体微粒子状分散物である。ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
【0118】
(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100染料の固体微粒子状分散物を製造する際に界面活性剤を使用してもよく、界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれでも使用できるが、好ましくは、例えばアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル類、スルホ琥珀酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、N−アシル−N−アルキルタウリン類などのアニオン性界面活性剤及び例えばサポニン、アルキレンオキサイド誘導体、糖のアルキルエステル類などのノニオン界面活性剤である。
【0119】界面活性剤の添加位置は、分散前、分散中或いは分散後の任意の位置でよいが、好ましくは染料の分散開始前に添加するのがよい。また、必要によっては分散終了後に更に染料分散液に添加してもよい。これらアニオン性活性剤及び/又はノニオン性活性剤は、それぞれ単独で使用してもよく、またそれぞれ2種以上を組合わせてもよく、更に両者の活性剤を組合わせて用いてもよい。アニオン性活性剤及び/又はノニオン性活性剤の使用量は、活性剤の種類或いは上記染料の分散液条件などによって一様ではないが、通常、該染料1g当たり0.1〜2000mgでよく、好ましくは0.5〜1000mgでよく、更に好ましくは1〜500mgでよい。染料の分散液での濃度としては、0.01〜10重量%となるように使用され、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0120】染料の分散物は、分散開始前又は分散終了後に、写真構成層のバインダーとして用いられる親水性コロイドを添加することができる。親水性コロイドとしては、ゼラチンを用いるのが有利であるが、その他にも例えばフェニルカルバミル化ゼラチン、アシル化ゼラチン、フタル化ゼラチン等のゼラチン誘導体、ゼラチンと重合可能なエチレン基を持つモノマーとのグラフトポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステルなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、部分酸化されたポリビニルアセテート、ポリアクリルアミド、ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリメタクリル酸などの合成親水性ポリマー、寒天、アラビアゴム、アルギン酸、アルブミン、カゼインなどを用いることができる。これらは、2種以上組合わせて使用してもよい。
【0121】染料の分散物は、感光材料を構成する層のうち感光性乳剤層にも、乳剤層上層、乳剤層下層、保護層、支持体下塗層、バッキング層などの非感光性親水性コロイド層にも用いることができる。該染料の好ましい使用量は、染料の種類、感光材料の特性などにより一様ではないが、感光材料中に目的に応じて光学濃度が0.05〜3.0になるように使用されることが好ましく、感光材料1m2当たり通常1mg〜1000mgであり、更に好ましくは3mg〜500mgであり、特に好ましくは5mg〜100mgである。
【0122】本発明の感光材料に、マゼンタフィルター染料とイエローフィルター染料を添加する場合の添加方法としては、支持体上の少なくとも1層に含有されれば良いが、マゼンタフィルター染料は緑感光性層と支持体の間の非感光性層に含有されるのが好ましく、更に赤感光性層よりも支持体からみて離れた側の非感光性層に含有されるのが好ましく、イエローフィルター染料は青感光性層と支持体の間の非感光性層に含有されるのが好ましく、更に緑感光性層よりも支持体からみて離れた側の非感光性層に含有されるのが好ましい。
【0123】本発明における写真構成層において、赤感光性層、緑感光性層及び青感光性層が、同一感色層の高感度層、低感度層の2層構成や高感度層、中感度層及び低感度層の3層構成を有する構成が好ましいが、より好ましくはすべての感光性層が3層構成である事がより好ましい。同一感光性層が高感度層と低感度層の2層で構成される場合の低感度層の濃度持ち分は0.70〜2.00が好ましく、濃度1.00〜1.60がより好ましい。又、高感度層、中感度層、低感度層の3層で構成される場合の低感度層の濃度持ち分は0.70〜1.50が好ましく、0.80〜1.30がより好ましい。さらに、低感度層と中感度層の濃度持ち分の合計は1.00〜2.00が好ましく、1.20〜1.60がより好ましい。
【0124】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、以下のRDを利用して製造することができる。
【0125】
〔項目〕 〔RD308119のページ〕
ヨード組織 993 I−A項 製造方法 993 I−A項及び994 E項 晶癖(正常晶) 993 I−A項及び994 E項 晶癖(双晶) 993 I−A項及び994 E項 エピタキシャル 993 I−A項及び994 E項 ハロゲン組成(一様) 993 I−B項 ハロゲン組成(一様でない) 993 I−B項 ハロゲンコンバージョン 994 I−C項 ハロゲン置換 994 I−C項 金属含有 994 I−D項 単分散 995 I−F項 溶媒添加 995 I−F項 潜像形成位置(表面) 995 I−G項 潜像形成位置(内部) 995 I−G項 適用感材(ネガ) 995 I−H項 適用感材(ポジ) 995 I−H項 乳剤を混合して用いる 995 I−J項 脱塩 995 II−A項本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、物理熟成、化学熟成及び分光増感を行ったものを使用することができる。このような工程で使用される添加剤は、リサーチ・ディスクロージャーNo.17643、No.18716及びNo.308119(それぞれ、以下RD17643、RD18716及びRD308119と略す)に記載されている。
【0126】下記に記載箇所を示す。
【0127】
〔項目〕〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕〔RD18716〕
化学増感剤 996 III−A項 23 648分光増感剤 996 IV−A−A,B,C, D,H,I,J項 23〜24 648〜9強色増感剤 996 IV−A−E,J項 23〜24 648〜9かぶり防止剤998 IV 24〜25 649安定剤 998 IV 24〜25 649本発明に感光材料に使用できる公知の写真用添加剤も上記リサーチ・ディスクロージャーに記載されている。下記に関連のある記載箇所を示す。
【0128】
〔項目〕〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕〔RD18716〕
色濁り防止剤 1002 VII−I項 25 650色素画像安定剤 1001 VII−J項 25増白剤 998 V 24紫外線吸収剤 1003 VIII−C、 25〜26 XIIIC項光吸収剤 1003 VIII 25〜26光散乱剤 1003 VIIIフィルター染料 1003 VIIIバインダ 1003 IX 26 651スタチック防止剤1006 XIII 27 650硬膜剤 1004 X 26 651可塑剤 1006 XII 27 650潤滑剤 1006 XII 27 650活性剤・塗布助剤1005 XI 26〜27 650マット剤 1007 XVI現像剤(感材中に含有)1011 XXB項本発明には種々のカプラーを使用することができ、その具体例は、上記リサーチ・ディスクロージャーに記載されている。下記に関連ある記載箇所を示す。
【0129】
〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕
イエロ−カプラー 1001 VII−D項 VIIC〜G項 マゼンタカプラー 1001 VII−D項 VIIC〜G項 シアンカプラー 1001 VII−D項 VIIC〜G項 カラードカプラー 1002 VII−G項 VIIG項 DIRカプラー 1001 VII−F項 VIIF項 BARカプラー 1002 VII−F項 その他の有用残基 放出カプラー 1001 VII−F項 アルカリ可溶カプラー1001 VII−E項本発明に使用する添加剤は、RD308119XIVに記載されている分散法などにより、添加することができる。
【0130】本発明においては、前述のRD17643 28頁、RD18716 647〜8頁及びRD308119のXIXに記載されている支持体を使用することができる。
【0131】本発明の感光材料には、前述のRD308119 VII−K項に記載されているフィルタ層や中間層等の補助層を設けることができる。
【0132】本発明の感光材料は、前述のRD308119 VII−K項に記載されている順層、逆層、ユニット構成等の様々な層構成をとることができる。
【0133】本発明の感光材料は前述のRD17643 28〜29頁、RD18716647頁及びRD308119のXIXに記載された通常の方法によって、現像処理することができる。
【0134】本発明に用いられる乳剤には特開平8−171157号に記載されている一般式〔I〕、〔II〕または〔III〕の化合物を含有することが好ましい。
【0135】本発明の感光材料には、例えば、写真感光材料の種類・製造番号、メーカー名、乳剤No.等の写真感光材料に関する各種の情報、例えば、撮影日・時、絞り、露出時間、照明の条件、使用フィルター、天候、撮影枠の大きさ、撮影機の機種、アナモルフィックレンズの使用等のカメラ撮影時の各種の情報、例えば、プリント枚数、フィルターの選択、顧客の色の好み、トリミング枠の大きさ等のプリント時に必要な各種の情報、プリント時に得られた同様の各種の情報、その他顧客情報等を入力するために、磁気記録層を設けてもよい。
【0136】本発明においては、磁気記録層は支持体に対して写真構成層とは反対側に塗設されることが好ましく、支持体側から順に、下引き層、帯電防止層(導電層)、磁気記録層、滑り層が構成されることが好ましい。
【0137】磁気記録層に用いられる磁性体微粉末としては、金属磁性体粉末、酸化鉄磁性体粉末、Coドープ酸化鉄磁性体粉末、二酸化クロム磁性体粉末、バリウムフェライト磁性体粉末などが使用できる。これらの磁性体粉末の製法は既知であり、公知の方法に従って製造することができる。
【0138】磁気記録層の光学濃度は、写真画像への影響を考えると小さいことが好ましく、1.5以下、より好ましくは0.2以下、特に好ましくは0.1以下である。光学濃度の測定法は、コニカ(製)サクラ濃度計PDA−65を用い、ブルー光を透過するフィルターを用いて、436nmの波長の光を塗膜に垂直に入射させ、該塗膜による光の吸収を算出する方法による。
【0139】磁気記録層の感光材料1m2当たりの磁化量は3×10-2emu以上であることが好ましい。該磁化量は、東英工業製試料振動型磁束計(VSM−3)を用いて、一定体積の塗膜の塗布方向に外部磁界1000Oeで一度飽和させた後外部磁界を減少させて0にした時の磁束密度(残留磁束密度)を計測して、これを写真感光材料1m2当たりに含まれる透明磁性層の体積に換算して求めることができる。透明磁性層の単位面積当たりの磁化量が3×10-2emuより小さいと磁気記録の入出力に支障をきたす。
【0140】磁気記録層の厚みは、0.01〜20μmが好ましく、より好ましくは0.05〜15μm、更に好ましくは0.1〜10μmである。
【0141】磁気記録層を構成するバインダーとしては、ビニル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が好ましく用いられる。又、水系エマルジョン樹脂を用いて、有機溶剤を用いることなく水系塗布によってバインダーを形成することも好ましい。更にこれらのバインダーは、硬化剤による硬化、熱硬化、電子線硬化等によって物理的特性を調製することが必要である。特に、ポリイソシアネート型硬化剤の添加による硬化が好ましい。
【0142】感光材料の支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースジアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリオレフィンフィルム等を挙げることができる。特に、特開平1−244446号、同1−291248号、同1−298350号、同2−89045号、同2−93641号、同2−181749号、同2−214852号、同2−291135号等に示されるような含水率の高いポリエステルを用いると支持体を薄膜化しても現像処理後の巻癖回復性に優れる。
【0143】本発明において、好ましく用いられる支持体はPET及びPENである。これらを用いる場合、厚みは50〜100μmが好ましく、特に60〜90μmであることが好ましい。
【0144】本発明の感光材料は、ZnO、V25、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3等の金属酸化物粒子を含有する導電層を有するのが好ましく、該金属酸化物粒子は、酸素欠陥を含むもの及び用いられる金属酸化物に対してドナーを形成する異種原子を少量含むもの等が一般的に言って導電性が高いので好ましく、特に後者はハロゲン化銀乳剤にカブリを与えないので好ましい。
【0145】前記導電層や下引き層のバインダーとしては、磁気記録層と同様のものが利用できる。
【0146】また磁気記録層の上に滑り層として、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、ポリオルガノシロキサン、流動パラフィン、ワックス類等を塗設することが好ましい。
【0147】本発明の感光材料を、ロール状撮影用カラー感光材料とする場合、カメラやパトローネの小型化が達成されるだけでなく、資源の節約が可能となり、現像済みのネガフィルムの保存スペースが僅かで済むことから、フィルム巾は通常20〜35mm、好ましくは20〜30mmである。撮影画面面積は通常300〜700mm2、好ましくは400〜600mm2の範囲にあれば、最終的な写真プリントの画質を損なうことなくスモールフォーマット化が可能であり、従来以上にパトローネの小型化、カメラの小型化が達成できる。又、撮影画面の縦横比(アスペクト比)は限定されず、従来の126サイズの1:1、ハーフサイズの1:1.4、135(標準)サイズの1:1.5、ハイビジョンタイプの1:1.8、パノラマタイプの1:3など各種のものに利用できる。
【0148】本発明の感光材料をロール状の形態で使用する場合には、カートリッジに収納した形態を採るのが好ましい。カートリッジとして最も一般的なものは現在の135フォーマットのパトローネである。その他、実開昭58−67329号、同58−195236号、特開昭58−181035号、同58−182634号、米国特許4,221,479号、特開平1−231045号、同2−170156号、同2−199451号、同2−124564号、同2−201441号、同2−205843号、同2−210346号、同2−211443号、同2−214853号、同2−264248号、同3−37645号、同3−37646号、米国特許第4,846,418号、同4,848,693号、同4,832,275号等で提案されたカートリッジも使用できる。又、特開平5−210201号の「小型の写真用ロールフィルムパトローネとフィルムカメラ」に適用することができる。
【0149】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。
【0150】〔実施例1〕下引加工したセルローストリアセテートフィルム支持体上に、下記組成の各層を支持体側より順次塗布して、多層カラー写真感光材料の比較試料101を作製した。
【0151】各成分の塗布量はg/m2で示す。ただし、ハロゲン化銀については、銀に換算した塗布量で示す。
【0152】
第1層(ハレーション防止層)
黒色コロイド銀 0.24 紫外線吸収剤 U−1 0.14 紫外線吸収剤 U−2 0.07 高沸点溶媒 O−1 0.31 高沸点溶媒 O−2 0.10 ポリ−N−ビニルピロリドン 0.15 ゼラチン 2.20第2層(中間層−1)
ゼラチン 0.55第3層(低感度赤感光性ハロゲン化銀乳剤層)
赤色増感色素(S−1,S−2,S−3)により分光増感されたAgBrI (AgI 4.0モル%,平均粒径 0.22μm) 0.30 カプラー C−1 0.15 高沸点溶媒 O−2 0.225 ゼラチン 0.70第4層(中感度赤感光性ハロゲン化銀乳剤層)
赤色増感色素(S−1,S−2,S−3)により分光増感されたAgBrI (AgI 3.2モル%,平均粒径 0.38μm) 0.25 カプラー C−1 0.15 高沸点溶媒 O−2 0.225 ゼラチン 0.70第5層(高感度赤感光性ハロゲン化銀乳剤層)
赤色増感色素(S−1,S−2,S−3)により分光増感された AgBrI(AgI 2.5モル%,平均粒径 0.60μm)
0.76 カプラー C−1 0.80 高沸点溶媒 O−2 1.20 ゼラチン 2.25第6層(中間層−2)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン 0.10 高沸点溶媒 O−3 0.20 ゼラチン 1.28第7層(低感度緑感光性ハロゲン化銀乳剤層)
緑色増感色素(S−4,S−5,S−6)により分光増感されたAgBrI (AgI 3.5モル%,平均粒径 0.22μm) 0.30 カプラー M−1 0.11 カプラー M−2 0.03 高沸点溶媒 O−3 0.125 ゼラチン 0.75第8層(中感度緑感光性ハロゲン化銀乳剤層)
緑色増感色素(S−4,S−5,S−6)により分光増感されたAgBrI (AgI 3.0モル%,平均粒径 0.38μm) 0.25 カプラー M−1 0.11 カプラー M−2 0.03 高沸点溶媒 O−3 0.125 ゼラチン 0.75第9層(高感度緑感光性ハロゲン化銀乳剤層)
緑色増感色素(S−4,S−5,S−6)により分光増感された AgBrI(AgI 2.5モル%,平均粒径 0.60μm)
0.80 カプラー M−1 0.75 カプラー M−2 0.16 高沸点溶媒 O−3 0.80 ゼラチン 2.40第10層(中間層−3)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン 0.10 高沸点溶媒 O−3 0.20 ゼラチン 1.00第11層(イエローフィルター層)
黄色コロイド銀 0.15 2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン 0.10 高沸点溶媒 O−1 0.20 ゼラチン 1.00第12層(低感度青感光性ハロゲン化銀乳剤層)
青色増感色素(S−7,S−8)により分光増感されたAgBrI (AgI 2.5モル%,平均粒径 0.30μm) 0.30 カプラー Y−1 0.45 高沸点溶媒 O−3 0.20 ゼラチン 0.70第13層(中感度青感光性ハロゲン化銀乳剤層)
青色増感色素(S−7,S−8)により分光増感されたAgBrI (AgI 2.5モル%,平均粒径 0.45μm) 0.30 カプラー Y−1 0.45 高沸点溶媒 O−3 0.20 ゼラチン 0.70第14層(高感度青感光性ハロゲン化銀乳剤層)
青色増感色素(S−7,S−8)により分光増感されたAgBrI (AgI 2.5モル%,平均粒径 0.90μm) 0.75 カプラー Y−1 2.30 高沸点溶媒 O−3 1.00 ゼラチン 2.25第15層(第1保護層)
紫外線吸収剤 U−1 0.30 紫外線吸収剤 U−2 0.40 2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン 0.10 高沸点溶媒 O−1 0.20 高沸点溶媒 O−2 0.20 ゼラチン 1.30第16層(第2保護層)
平均粒径0.08μm、沃化銀1モル%を含む沃臭化銀 からなる非感光性微粒子ハロゲン化銀乳剤 0.30 ポリメチルメタクリレート粒子(直径 3.0μm) 0.03 界面活性剤 SA−1 0.04 ゼラチン 1.00なお、各層には上記組成物の他にゼラチン硬化剤H−1、H−2、防腐剤DI−I、ST−1、AF−1、AF−2を添加した。
【0153】各感光性層に用いたハロゲン化銀乳剤は特開昭59−178447号の実施例1の方法を参考に調製した。何れも分布の広さ20%以下の単分散乳剤であった。
【0154】各乳剤は脱塩、水洗した後、チオ硫酸ナトリウム、塩化金酸及びチオシアン酸アンモニウムの存在下にて最適な化学熟成を施し、増感色素、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールを加えた。
【0155】上記試料に用いた組成物の構造式は次の通りである。
【0156】
【化17】


【0157】
【化18】


【0158】
【化19】


【0159】
【化20】


【0160】
【化21】


【0161】
【化22】


【0162】
【化23】


【0163】次に、第3層、第4層、第5層、第7層、第8層、第9層、第12層、第13層、第14層のAgBrI粒子の粒径、銀量、カプラー量、及び、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール添加量を変更することにより、ガンマ値を表1に示すように変更した以外は試料101と同様にして試料102〜110を作製した。なお、試料101の感度はISO−125であり、試料101を100として、その相対感度で示した。
【0164】
【表1】


【0165】試料101〜110を135サイズに裁断、通常の製品と同じパトローネ形態に加工した後、キャノン株式会社製造一眼レフカメラEOS−1Nに装填して、早朝の風景写真を三脚を使わずに、カメラを手持ち撮影を行った。撮影条件としては、ISO−125設定で、晴天時の条件は1/250秒、f11であったが、早朝の条件は、1/30秒、開放であった。撮影は適正露出とともに、絞りを1/3ずつ前後に1絞りまで変化させた。撮影した試料は、ノーリツ(株)製E−6080ハンガー自現機で現像処理を行った。得られたポジ画像の内、適性露出のポジを目視観察とマウントに詰めて、スライドプロジェクターにて拡大投影を行い、被験者10名にて、官能評価を実施してその結果を表2に示した。同時に、露出変化したポジも目視観察して、ラチチュードの判定も行った。
【0166】《現像処理工程》
処理工程 処理時間 処理温度第1現像 6分 38℃水 洗 3分 38℃反 転 3分 38℃発色現像 6分 38℃調 整 3分 38℃漂 白 6分 38℃定 着 3分 38℃水 洗 6分 38℃安 定 3分 常 温乾 燥上記処理工程に用いた処理液組成は以下の通りである。
【0167】
第1現像液 テトラポリ燐酸ナトリウム 2g 亜硫酸ナトリウム 20g ハイドロキノン・モノスルホネート 30g 炭酸ナトリウム(一水塩) 30g 1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン 2g 臭化カリウム 2.5g チオシアン酸カリウム 1.2g 沃化カリウム(0.1%溶液) 2cc 水を加えて1000ccに仕上げた。(pH 9.60)
反転液 ニトリロトリメチレンホスホン酸・六ナトリウム塩 3g 塩化第一錫(二水塩) 1g p−アミノフノェール 0.1g 水酸化ナトリウム 8g 氷酢酸 15cc 水を加えて1000ccに仕上げた。(pH 5.75)
発色現像液 テトラポリ燐酸ナトリウム 3g 亜硫酸ナトリウム 7g 第三燐酸ナトリウム(二水塩) 36g 臭化カリウム 1g 沃化カリウム(0.1%溶液) 90cc 水酸化ナトリウム 3g シトラジン酸 1.5g N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチル −4−アミノアニリン・硫酸塩 11g 2,2−エチレンジチオジエタノール 1g 水を加えて1000ccに仕上げた。(pH 11.70)
コンディショナー 亜硫酸ナトリウム 12g エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(二水塩) 8g チオグリセリン 0.4cc 氷酢酸 3cc 水を加えて1000ccに仕上げた。(pH 6.15)
漂白液 エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(二水塩) 2g エチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウム(二水塩) 120g 臭化アンモニウム 100g 水を加えて1000ccに仕上げた。(pH 5.56)
定着液 チオ硫酸アンモニウム 80g 亜硫酸ナトリウム 5g 重亜硫酸ナトリウム 5g 水を加えて1000ccに仕上げた。(pH 6.60)
安定液 ホルマリン(37重量%) 5cc コニダックス(コニカ株式会社製) 5cc 水を加えて1000ccに仕上げた。(pH 7.00)
結果を以下の表に示す。
【0168】
【表2】


【0169】なお、官能評価は以下の尺度とした。
【0170】
◎:メリハリ極めて良好○:メリハリ良好△:メリハリがやや強い、または、やや弱い×:やや硬すぎる、または、やや軟らかすぎる××:硬すぎて飛んでいる、または、軟らかすぎてフラットである。
【0171】表2から明らかなように、本発明の試料104、106〜108は、早朝という悪条件下での撮影において、画像描写のメリハリが付き、好ましい評価となっているのが判る。
【0172】また、試料104、108は、高濃度域と低濃度域のガンマ値が好ましいバランスであることから、総合的な描写力が向上している。一方、試料103、109は3層のガンマバランスが崩れていることにより、逆に、ガンマ値以上に描写力は劣化する結果になっている。
【0173】また、試料105は、ガンマ値としては、好ましい数値であるが、低感度であることから、手持ち撮影での手振れ発生を抑えるために露出不足の画像となったことにより、描写力としては劣る結果となっている。ISO125設定のままで撮影し、現像処理で増感処理することで画像の救済は可能であるが、低濃度部のガンマ値が硬調化するために、描写力としては同様な好ましくない評価結果となった。
【0174】また、±1絞りの露出変化をしたポジを確認した所では、ガンマが硬調化しているにもかかわらず、階調バランスが整っていることから、特に、ラチチュードが狭まっていないことも確認された。
【0175】〔実施例−2〕次に、色再現性を制御することを目的として、第3層、第4層、第5層、第7層、第8層、第9層、第12層、第13層、第14層のAgBrI粒子の沃度含有量を変更することにより、表3に示すようなマクベスカラーチェッカーの再現ポジ画像濃度になる様に、写真感光性層間の重層効果を変化させてた以外は試料101と同様にして試料111〜120を作製した。
【0176】
【表3】


【0177】表3の濃度は、X−rite303濃度計ステータスAフィルター濃度である。
【0178】試料101、111〜120を135サイズに裁断、通常の製品と同じパトローネ形態に加工した後、キャノン株式会社製造一眼レフカメラEOS−1Nに装填して、マクベスカラーチェッカーを撮影した。撮影は適正露出とともに、絞りを1/3ずつ前後に1絞りまで変化させた。撮影した試料は、実施例−1と同様の現像処理を行った。得られたポジ画像を村上色彩研究所製の色彩計で色度点を測定して、彩度と色相の評価を行った。その結果を色度図にプロットして、色再現域の広さを試料101を100として、相対値で表4に示した。また、同時に、適性露出のポジを目視観察、及び、マウントに詰めて、スライドプロジェクターにて拡大投影を行った。被験者10名にて、官能評価を実施してその結果を表4に示した。
【0179】
【表4】


【0180】なお、官能評価は以下の尺度とした。
【0181】
◎:クリアーで、かつ、深みのある好ましい色である○:ある程度、満足出来る色である△:許容出来る色である×:若干派手すぎる、または、若干色が濁っている××:派手すぎる、または、色が濁っている。
【0182】表4に示すように、本発明の試料112、114、116〜118は、彩度の高い色再現域とともに、色のクリアーさを維持しながら、同時に、色に深みやコクを併せ持つことが出来ることが確認された。
【0183】〔実施例−3〕次に、第3層、第4層、第5層、第7層、第8層、第9層、第12層、第13層、第14層のAgBrI粒子の粒径、銀量、カプラー量及び1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール添加量を変更することにより、青感光性層、緑感光性層及び赤感光性層の特性曲線の濃度バランスになるように、及び、マクベスカラーチェッカーのグレーパッチの撮影後の再現画像のL***値を表5に示すように変更した以外は試料101と同様にして試料121〜130を作製した。マクベスカラーチェッカーのグレーパッチのWhiteからBlackまでの6段部分を被験者10名にスライドプロジェクターで鑑賞してもらい、好ましいニュートラルグレーに関する官能評価を行った。また、同様のマクベスカラーチェッカー撮影試料を2組作製し、1組は、第1現像液に含まれるKI量を半量にして処理し、もう1組は、逆に、KI量を2倍量として処理を行い、グレーの安定性に関して、同様に官能評価を行ない、その評価結果も表6に示した。
【0184】
【表5】


【0185】
【表6】


【0186】官能評価の尺度は、好ましいグレーとしては、◎:非常に好ましいグレーである○:好ましいグレーである△:許容出来るグレーである×:あまり好ましくないグレーである××:非常に好ましくないグレーである。
【0187】グレー安定性は、◎:非常に安定である○:安定である△:許容内の動きである×:若干不安定に見える××:不安定に見える。
【0188】表6に示すように、本発明の試料121、123、125、127、129は、よりニュートラルグレーに近いグレーであり、好ましいグレーとなることがわかる。また、現像処理におけるグレーバランスの崩れが少なくなり、外乱にたいする安定性も向上することが明白である。
【0189】〔実施例−4〕次に、各感光性層間の現像性を変化させることを目的に第3層、第4層、第5層、第7層、第8層、第9層、第12層、第13層、第14層のAgBrI粒子の沃度含有量を変更することにより、表7に示す様な色分解露光での階調特性を得るように、写真感光性層間の重層効果を変化させた以外は試料101と同様にして試料131〜139を作製した。
【0190】
【表7】


【0191】試料101、131〜139を135サイズに裁断、通常の製品と同じパトローネ形態に加工した後、キャノン株式会社製造一眼レフカメラEOS−1Nに装填して、マクベスカラーチェッカーと赤いバラと木の葉と青空を撮影した。撮影は適正露出とともに、絞りを1/3ずつ前後に1絞りまで変化させた。撮影した試料は、実施例−1と同様の現像処理を行い、マクベスカラーチェッカーポジ画像は村上色彩研究所製の色度計にて色度点L***値を測定して、色度図にプロットし、±1絞りずつの露出変化の色差の変化巾を算出し、そのバラツキ巾から色の安定性を評価した。試料101を100として、相対値として表8に示した。また、マクベスカラーチェッカーと3種類の風景写真は、適性露出のポジは色の鮮やかさと、±1/3絞りのポジは、色の安定性として、被験者10名により、目視観察にて、官能評価を実施して、その結果を表8に示した。
【0192】
【表8】


【0193】表8から明かなように、本発明の試料131〜133、135、138は、露出変化での色の安定性が高いことがわかる。また、単に適性露出での色の鮮やかさを強調しすぎたりすると、色の安定性が損なわれることになるが、本発明の試料では、色の鮮やかさとともに、色の安定性にも優れていることから、本発明の試料が比較の試料に対して優れていることが分かる。
【0194】尚、官能評価の尺度は実施例−3と同様である。
【0195】〔実施例−5〕次に、第3層、第4層、第5層、第7層、第8層、第9層、第12層、第13層、第14層のAgBrIの分光増感及び第12層の紫外線吸収剤の付量を変更することにより、青感光性層の分光感度分布を表9に示すように変更し、併せて、第3層、第4層、第6層、第7層、第10層、第11層のAgBrI粒子の沃度含有量を変更することにより、表9に示す様な色分解露光での階調特性を得るように、写真感光性層間の重層効果を変化させた以外は試料101と同様にして試料140〜148を作製した。
【0196】
【表9】


【0197】試料101、140〜148を135サイズに裁断、通常の製品と同じパトローネ形態に加工した後、キャノン株式会社製造一眼レフカメラEOS−1Nに装填して、晴天の日中時と、晴天の日陰で、マクベスカラーチェッカーと青空と木の葉を撮影した。撮影は適性露出のみとした。撮影した試料は、実施例−1と同様の現像処理を行い、マクベスカラーチェッカーポジはN5グレー部を村上色彩研究所製の色度計を用いて、色度点L***値を測定した。各試料の2種類のポジの色差として、色度点a**の交点の合計を算出して、試料101を100として、その相対値を表10に示した。また、日陰の木の葉のポジは、晴天時の木の葉のポジとの比較で、青空は晴天時のみを、被験者10名による官能評価を実施した結果も、表10に示した。
【0198】
【表10】


【0199】なお、官能評価の尺度としては、晴天時に対して日陰の木の葉は、◎:晴天時と殆ど変わらない○:若干、青くなるが気にならない△:青くなるが、許容出来る×:青みが強く、気になる××:青くなりすぎて、木の葉に見えない。
【0200】晴天時の青空は、◎:極めて鮮やかな青空○:鮮やかな青空△:特徴の無い青空×:若干濁りのある青空××:濁りのある汚い青空。
【0201】表10から明らかな様に、本発明の試料141、143〜146は、他の色再現性を維持しながら、撮影時の色温度に対して、特に、高い色温度下での撮影時の、カラーバランス、及び、色再現性のくずれが少ないことが分かる。
【0202】
【発明の効果】本発明による撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料は、より忠実な色再現と色の弁別性を高めた色再現性の改良された高品質な透過型ポジ画像を得ることが出来、優れた効果を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体上の一方の側に、それぞれ少なくとも1層の青感光性層、緑感光性層、赤感光性層および非感光性層からなる写真構成層を有する撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料において、該緑感光性層濃度(G層濃度)が0.3〜1.0の範囲の低濃度域ガンマ値が1.15〜1.30であり、また、G層濃度1.5〜2.7の範囲の高濃度域ガンマ値が2.20〜2.50であり、かつ、G層濃度の低濃度域ガンマに対するG層濃度の高濃度域ガンマの比率が1.75〜2.20であり、かつ、各々の濃度域での緑感光性層に対して、青感光性層のガンマの比率が0.97〜1.05であり、また、赤感光性層のガンマの比率が0.95〜1.02であり、かつ、ISO100以上である事を特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
【請求項2】 撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料において、青感光性層、緑感光性層、赤感光性層の少なくとも1層が同一感色性の3層以上からなり、又、色再現性を強調する技術手段を併用する事により、撮影した後に反転発色現像にて得られたマクベスカラーチェッカーの濃度値が下記条件Aを満たす事を特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
条件A:デーライト光源での標準撮影条件にて撮影、現像処理して得られたマクベスカラーチェッカーの再現画像において 18%反射率グレーパッチ(N5)G濃度=1.15〜1.30 青色パッチ:B濃度/N5のB濃度=0.90〜1.10 G濃度/B濃度=1.75〜2.15 R濃度/B濃度=2.00〜2.40 緑色パッチ:G濃度/N5のG濃度=0.85〜1.05 B濃度/G濃度=1.55〜2.00 R濃度/G濃度=1.45〜1.90 赤色パッチ:R濃度/N5のR濃度=0.50〜0.70 B濃度/R濃度=2.80〜4.50 G濃度/R濃度=2.80〜4.20
【請求項3】 撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料において、特性曲線の緑感光性層濃度(G層濃度)が0.3〜2.7までの範囲における青感光性層濃度(B層濃度)と赤感光性層濃度(R層濃度)が下記条件Bを満たし、かつ、撮影、反転発色現像にて得られたニュートラルグレーのL***色度値が下記条件Cを満たす事を特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
条件B:デーライト相当色温度露光の楔形ウェッジ画像の同一露光点B層濃度−G層濃度=−0.12〜+0.02R層濃度−G層濃度=−0.03〜+0.07条件C:マクベスカラーチェッカー再現画像のグレーパッチ部の色度値a*値=−2.50〜+0.50b*値=−7.00〜0.00
【請求項4】 撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料において、色フィルターによる分解露光を行い、反転発色現像にて得られた特性曲線のガンマ値が下記条件Dを満たす事を特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
条件D:青分解露光でのB層感度、緑分解露光でのG層感度及び赤分解露光でのR層感度と白光露光での各々の感度において、濃度2.0での感度差よりも濃度1.0での感度差がΔLogE=±0〜+0.06であり、濃度1.0での感度差よりも濃度0.4での感度差がΔLogE±0〜+0.06である。
【請求項5】 撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料において、青感光性層の分光感度が下記条件Eを満たし、かつ、色再現性を改良する為の下記条件Fを満たす色強調手段を併用する事を特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
条件E:λmax=430nm〜460nmSλ410/Sλmax=0.40〜0.60Sλ480/Sλmax=0.20〜0.50Sλはその波長における分光感度を示す。
条件F:白光露光と青分解露光時のB層感度差が、B層濃度1.0〜2.0までの濃度域ではΔLogE=0.30〜0.40であり、かつ、B層感度差に対するG層感度差の比率及びR層感度差の比率が2.30〜2.70である。
【請求項6】 補色濃度を高くし、補色濃度に対する主体色濃度の比率を維持することにより、彩度を維持しながら深みやコクのある色を有することを特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
【請求項7】 色分解調と白色露光諧調を近づけることによって、色温度や輝度比変動に対して安定な色再現性を有することを特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。
【請求項8】 低濃度域ガンマ値に対する高濃度域のガンマ値の比率を高くし、かつ全体に硬調にし、それによってラチチュードが低下する欠点を3つの感色性層のガンマ値を近づけることによって、メリハリのある画像を得ることを特徴とする撮影用ハロゲン化銀反転カラー写真感光材料。

【公開番号】特開2001−33918(P2001−33918A)
【公開日】平成13年2月9日(2001.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−209135
【出願日】平成11年7月23日(1999.7.23)
【出願人】(000001270)コニカ株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】