説明

撮影画像記録装置および撮影画像記録制御方法

【課題】瞬きした際の人物画像やブレの生じた不鮮明な画像等の不良な撮影記録を回避することのできる撮影画像記録装置を提供する。
【解決手段】所定のマークが顔画像の両目に合致したならば、両目合わせスイッチの操作をやめる。この後、シャッタスイッチを操作すると、ステップS8の処理が実行され、今回画像RAMに取り込まれた撮影画像(現在画像)と既に画像RAMに順次例えば1秒間に5枚ずつ取り込まれている撮影画像(過去画像1、2・・・n)とを所定もマークの領域において比較する。しかる後に、現在画像、過去画像が設定時間(瞬きを行うに要する時間)以上、変化しない画像を瞬きを行っていない被写体画像として登録RAMに記録して表示する(ステップS9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体画像を撮影して記録する撮影画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮影画像記録装置としては、本件出願人に係る特許第2610380号公報に開示されたものが知られている。この撮影画像記録装置は、ユーザの腕に装着して使用される腕時計タイプであって、撮影時に操作されるシャッタスイッチ、外部の被写体を撮影するCCD等の固体撮像素子、画像を記憶するメモリ等を有している。そして、ユーザがシャッタスイッチを操作すると、固体撮像素子から被写体の画像が取り込まれて、メモリに書き込まれるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2610380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこのような腕時計タイプの撮像画像記録装置にあっては、一般的なカメラと異なり極めて小型であり、しかも、一方の腕に装着されて撮影されるものであって撮影時の使用形態も一般的なカメラとは異なり特殊である。このため操作に困難性が生じ、シャッタチャンスと思われる時点で適正にシャッタスイッチを操作することが困難となってしまう。その結果、瞬きをした際の人物画像を撮影記録してしまったり、シャッタスイッチの操作時に所謂手ブレが生じて、ブレの生じた不鮮明な画像を撮影記録してしまう場合が生ずるおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、瞬きした際の人物画像やブレの生じた不鮮明な画像等の不良な撮影記録を回避することのできる撮影画像記録装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は次の手段を備えている。なお、各構成要素に括弧してつけた数字等は対応する実施形態の図面参照符号である。
【0007】
すなわち、請求項1記載の本発明にあっては、被写体を撮影する画像撮影手段(カメラ部15)と、この画像撮影手段により撮影された被写体の画像を記録可能な撮影画像記録手段(RAM26)と、前記画像撮影手段により撮影される被写体の画像が目を瞑った状態にある画像か否かを検出する検出手段(CPU23)と、この検出手段により、前記被写体の画像が目を瞑っていない状態にある画像と検出された場合に、当該目を瞑っていない状態にある画像を被写体画像として前記撮影画像記録手段に記録させる画像記録制御手段(CPU23)とを備える。したがって、被写体となる人物や動物等が瞬きをして、目を瞑った状態の画像が撮影されたことが検出された場合には、当該目を瞑った状態の画像は被写体画像としては記録されない。しかし、瞬きをせず目を瞑った状態ではない画像が撮影されたことが検出された場合には、当該画像は被写体画像として記録され、よって瞬きをしていない画像のみが撮影画像記録手段に記録される。
【0008】
また、請求項2記載の本発明にあっては、前記検出手段は、前記画像撮影手段により順次撮影される被写体画像における目の周囲の部分画像を比較することにより、前記被写体画像が目を瞑った状態にある画像か否かを検出するように構成されている。したがって、画像同士を比較する周知の画像処理技術を用いて容易に検出手段を達成することができるとともに、部分画像のみの比較であることから処理も容易となる。
【0009】
また、請求項3記載の発明にあっては、腕に装着可能なリスト装置本体と、このリスト装置本体に設けられ撮影するカメラ部とを備えた撮影画像記録装置において、前記リスト装置本体の少なくとも2つの箇所に、中指用の位置決め部と、親指又は人差し指のいずれか一方の指用の位置決め部を設けるとともに、親指又は人差し指のいずれか他方の指で操作される撮影開始用のシャッタスイッチ部を設けてある。つまり、この撮影画像記録装置はリスト装置本体により一方の腕に装着するとともに、他方の腕の指でシャッタスイッチ部を操作することにより撮影を行う。このとき、他方の腕の指は、その中指を中指用の位置決め部にて位置決めし、親指又は人差し指のいずれか一方の指を一方の指用の位置決め部に位置決めし、親指又は人差し指のいずれか他方の指でシャッタスイッチ部を操作する。したがって、このシャッタスイッチ部の操作時には下記(1)及び(2)の状態となる。
(1)中指と親指、又は中指と人差し指の2本の指が予め位置決めされており、この位置決めされた状態で、親指と人差し指とで挟むようにして、シャッタスイッチ部が操作される。
(2)しかも、シャッタスイッチ部が操作される際には、中指を含む2本の指が位置決め部に接触し、かつ、親指と人差し指のいずれか一方がシャッタスイッチ部に接触した三点支持の状態となる。
【0010】
したがって、この(1)及び(2)の状態でシャッタスイッチ部が操作されることにより、撮影画像記録装置が安定した状態で被写体画像の撮影がなされ、記録される被写体画像にブレが生ずることがない。
【0011】
また、請求項4記載の発明にあっては、前記カメラ部を、前記リスト装置本体に対し上下方向に回動可能に設けてある。したがって、撮影画像記録装置が装着された腕を無理な角度に曲げずとも、カメラ部の角度を変化させれば、その正面に被写体を捕らえることができる。
【0012】
また、請求項5記載の発明にあっては、前記リスト装置本体は回転自在な回転ベゼルを備え、この回転ベゼルの回転に伴って前記カメラ部を上下方向に回動する駆動機構を設けてある。したがって、回転ベゼルを回転させる操作により容易にカメラ部の角度を微調整することができる。
【0013】
また、請求項6記載の発明にあっては、被写体を撮影する画像撮影手段(カメラ部15)と、前記画像撮影手段により撮影された被写体画像のうち、目の周辺領域における現在撮影された画像と過去に撮影された画像とを比較し、この比較結果に基づいて、目を瞑っていない状態にある画像を検出しこの検出された画像を被写体画像として前記撮影画像記録手段(登録RAM262)に記録させる画像記録制御手段(CPU23)と、を備える。
【0014】
請求項6記載の発明によれば、瞬きをしていない画像のみを被写体の被写体画像として記録することができる。
【0015】
また、請求項7記載の発明にあっては、腕に装着されるリスト装置本体(腕時計1)に設けられたカメラ部(15)にて被写体を撮影しこの撮影された被写体に対応した被写体画像を記録する撮影画像記録装置において、前記リスト装置本体は、撮影者の中指が係止されて当該中指を位置決めるための第1の位置決め部(14)と、親指又は人差し指のいずれか一方の指が係止されて当該親指又は人差し指を位置決めるための第2の位置決め部(8または11)とを備えており、これら第1および第2の各位置決め部以外の他の部位に、前記第2の位置決め部にて位置決めされている親指又は人差し指のいずれか他方の指で操作される撮影開始用のシャッタスイッチ部(12)を備えていることを特徴とする。
【0016】
この請求項7記載の発明によれば、腕に装着されるリスト装置本体(腕時計1)に設けられたカメラ部(15)にて被写体を撮影する際に、この撮影された被写体に対応した被写体画像を記録する撮影画像記録装置において、前記リスト装置本体に備えられた第1の位置決め部(14)を撮影者の中指で係止して位置決めし、かつ、第2の位置決め部(8または11)を、親指又は人差し指のいずれか一方の指にて係止して位置決めした状態のもとで、これら第1および第2の各位置決め部以外の他の部位に設けられている撮影開始用のシャッタスイッチ部(12)を、前記第2の位置決め部にて位置決めされている親指又は人差し指のいずれか他方の指で操作することができ、安定した撮影を確実に行うことができる。
【0017】
また、請求項8記載の発明にあっては、前記リスト装置本体は、撮影者の腕に装着されるバンド(3、4)を備えた腕時計本体(2)であり、前記第1の位置決め部は、撮影者の腕に装着された前記バンドのうち、撮影者側に位置するバンド部裏面に形成されており、前記第2の位置決め部は、前記腕時計本体の7時または8時の位置に形成されており、前記撮影開始用のシャッタスイッチ部は、前記腕時計本体の1時または2時の位置に形成されている。
【0018】
この請求項7記載の発明によれば、前述した(1)及び(2)の状態が形成されて、撮影画像記録装置が安定した状態で被写体画像の撮影がなされる。
【0019】
また、請求項9記載の発明にあっては、腕に装着されるリスト装置本体(腕時計1)に設けられたカメラ部(15)にて被写体を撮影しこの撮影された被写体に対応した被写体画像を記録する撮影画像記録装置において、前記リスト装置本体に対し前記カメラ部を上下方向に回動可能に設けたことを特徴とする。
【0020】
この請求項9記載の発明によれば、腕に装着されるリスト装置本体に設けられたカメラ部にて被写体を撮影する際、リスト装置本体に対しカメラ部を上下方向に回動して被写体の的確な位置に向いたカメラ部にて対応した被写体画像を記録することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明は、撮影される被写体画像が目を瞑った状態にある画像か否かを検出し、目を瞑った状態ではない画像が撮影されたことが検出された場合に、当該目を瞑った状態ではない画像を被写体画像として記録するようにしたことから、瞬きをした状態の不良な画像の記録を回避して、良好な被写体画像のみを記録することができる。
【0022】
また、順次撮影される被写体画像における目の周囲の部分画像を比較することにより、撮影された画像が目を瞑った状態にある画像か否かを検出するようにしたことから、周知の画像処理技術を用いて容易に検出を行うことができるとともに、検出処理も容易に行うことができる。
【0023】
また、リスト装置本体の少なくとも2つの箇所に、中指用の位置決め部と、親指又は人差し指のいずれか一方の指用の位置決め部を設けるとともに、親指又は人差し指のいずれか他方の指で操作される撮影開始用のシャッタスイッチ部を設けるようにしたことから、シャッタスイッチ部を安定した状態で操作することができる。これにより、ブレが生じた不良な被写体画像の記録を回避して、良好な被写体画像を安定した状態で記録することができる。
【0024】
また、カメラ部をリスト装置本体に対し上下方向に回動可能に設けるようにしたことから、撮影に際して腕を無理な角度に曲げずとも、カメラ部の角度を変化させることにより、その正面に被写体を捕らえること可能となる。
【0025】
また、回転ベゼルの回転に伴ってカメラ部を上下方向に回動させるようにしたことから、容易にカメラ部の角度の調整及び微調整を行うことができる。
【0026】
また、別な発明によれば、撮影された被写体画像のうち、目の周辺領域における現在撮影された画像と過去に撮影された画像とを比較し、この比較結果に基づいて、目を瞑っていない状態にある画像を検出しこの検出された画像を被写体画像として撮影画像記録手段に記録させるようにしているので、瞬きをしていない画像のみを被写体の被写体画像として記録することができる。
【0027】
また、別なによれば、腕に装着されるリスト装置本体に設けられたカメラ部にて被写体を撮影する際に、リスト装置本体に備えられた第1の位置決め部を撮影者の中指で係止して位置決めし、かつ、第2の位置決め部を、親指又は人差し指のいずれか一方の指にて係止して位置決めした状態のもとで、これら第1および第2の各位置決め部以外の他の部位に設けられている撮影開始用のシャッタスイッチ部を、前記第2の位置決め部にて位置決めされている親指又は人差し指のいずれか他方の指で操作することができ、安定した撮影を確実に行うことができる。
【0028】
また、別な発明によれば、腕に装着されるリスト装置本体に設けられたカメラ部にて被写体を撮影する際、リスト装置本体に対しカメラ部を上下方向に回動して被写体の的確な位置に向いたカメラ部にて対応した被写体画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施の形態の使用状態を示す図である。
【図2】同実施の形態の右側面図である。
【図3】同実施の形態の一部破断右側面図である。
【図4】回動ピンによるカメラ部の回動状態を示す説明図である。
【図5】同実施の形態の全体ブロック図である。
【図6】CPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】表示例を示す図である。
【図8】両目の開閉状態と撮影画像の取り込みとの関係を示す説明図である。
【図9】手動操作によるカメラ部の回動状態を示す説明図である。
【図10】本発明の他の実施の形態の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図に従って説明する。図1及び図2に示すように、本発明の一実施の形態を適用した腕時計1は、時計本体を構成している時計ケース2とこの時計ケース2の側面であって相対向する上下端部に係着された一対のバンド3、4とで構成されている。時計ケース2の裏面には裏蓋5が装着されており、側面であって相対向する左右端部には、各々左第1凸部5と右第1凸部6が形成されている。左第1凸部5の近傍であって一方のバンド4寄りには、左第2凸部7が形成されている。そして、これら左第1及び第2凸部5、7間に、親指F1の腹部分を挿入可能な親指位置決め凹部8が形成されており、この親指位置決め凹部8には押圧されてオンとなる両目合わせスイッチ9が配置されている。また、右第1凸部6の近傍であって他方のバンド3寄りには、右第2凸部10が形成されている。そして、これら右第1及び第2凸部6、10間に人差し指F3の先端側部を挿入可能な人差し指位置決め凹部11が形成されており、この人差し指位置決め凹部11には押圧されてオンとなるシャッタスイッチ12が配置されている。
【0031】
本実施の形態では、親指位置決め凹部8は、時計の7時または8時の位置に、また、人差し指位置決め凹部11は、時計の1時または2時の位置に形成されているが、これら凹部8、11を、これ以外の他の位置に形成するようにしても良い。
【0032】
さらに、一方のバンド4の係着基部であって表面側には、後述するように時刻表示モード、撮影表示モードの切り替えスイッチを兼用するOKスイッチ13が配置されており、裏面側には中指位置決め凹部14が形成されている。この中指位置決め凹部14は、中指F2の先端形状に略合致する形状の凹部からなる。
【0033】
また、他方のバンド3の係着基部にはカメラ部15が配設されている。このカメラ部15は、電子カメラであって、前面に配置された撮影レンズと内部に配置されこの撮影レンズからの被写体画像が結像される固体撮像素子等とで構成されている。図3に示すように、カメラ部15は断面略矩形であって、その中心部に挿通された回動軸部16により、時計ケース2に回動自在に支持されている。したがって、カメラ部15は回動軸部16を中心に上下方向(図2及び図4矢印D参照)に回動自在であり、図4に示すように、その背面15aには斜状のガイド溝部17が形成されている。
【0034】
他方、時計ケース2の表面中央部には、平面視において円形の隆起部18が形成されており、隆起部18の上面には液晶からなる表示部19が配設されている。また、隆起部18の周部には、リング状の回転ベゼル20が回転自在に嵌合されている。この回転ベゼル20の外周面には、回転操作時における滑り止め用の凹凸部21が全周に亙って形成されているとともに、側方に突出する回動ピン22が一体的に形成されいる。回動ピン22は、図3及び図4に示すように、前記ガイド溝部17に遊挿されており、したがって、回転ベゼル20を左右方向に回転させると、回動ピン22のガイド溝部17に対する上下位置が相対的に変化し、これによりカメラ部15が回動軸部16を中心に時計ケース2に対して上下方向(矢印D方向)に回動するように構成されている。
【0035】
無論、図示した構造に限らず、ラック・ピニオン構造により、回転ベゼル20とカメラ部15とに連動関係を持たせて、カメラ部15を時計ケース2に対して上下方向に回動する構成としてもよく、また、図9に示すように、両者に連動関係を持たせることなく、手動操作によりカメラ部15を回動軸部16を中心に時計ケース2に対して上下方向に回動させる構成としてもよい。
【0036】
図5は、時計ケース2内に配置されている腕時計1の回路構成を示すものである。図に示すように、CPU23には、前記両目合わせスイッチ9、シャッタスイッチ12、OKスイッチ13、カメラ部15が接続されているとともに、表示駆動回路24、ROM25、RAM26、及び時計部27が接続されている。CPU23は、ROM25に格納されているプログラムに従って処理を実行することにより、各部を制御するものである。表示駆動回路24は、前記表示部19を駆動することにより、時計部27により計時される時刻やカメラ部15により撮影される被写体画像を表示させるものである。
【0037】
ROM25には、前記プログラムを格納するエリアとともに、後述するメッセージを格納しているメッセージ格納エリア251、及び丸の中にアルファベット「A」が付されたマルエーマーク25aと、丸の中にアルファベット「B」が付されたマルビーマーク25bの画像データを記憶しているマーク格納エリア252とが設けられている。RAM26は、CPU23のワークエリアとして使用されるとともに、カメラ部15により撮影した画像を順次1枚ずつ別な記録エリアに格納する画像RAM261と、この画像RAM261に格納された人物や動物の画像のうち、目を瞑らない際の撮影画像のみを被写体画像として格納する登録RAM262とが設けられている。
【0038】
以上の構成にかかる本実施の形態において、この腕時計1は図1に示したように、バンド3、4によりユーザの左腕LAに装着して使用される。この使用状態において、CPU23はプログラムに基づき、図6に示すフローチャートに従って目瞑り撮影防止処理を実行する。すなわち、OKスイッチ13で兼用されている撮影モード・スイッチがオンとなったか否かを判断し(ステップS1)、撮影モード・スイッチがオン操作されず時刻モードが設定されているならば、時計部27から現在時刻データを取得して表示駆動回路24を駆動し、表示部19に現在時刻を表示させる(ステップS2)。したがって、撮影モードが設定されずに時刻モードが設定されている状態においては、表示部19には現在時刻が表示されており、通常の腕時計として機能する。
【0039】
そして、ユーザが右手のいずれかの指でOKスイッチ13を押圧して、撮影モードを設定すると、撮影対象物(人間、動物)の撮影画像を設定時間毎(例えば1秒間に5枚)に取り込んで、画像RAM261に格納するとともに、表示部19に表示させる(ステップS3)。すなわち、ユーザは予めカメラ部15を例えば被写体となる人物に向けた状態とし、かつ、回転ベゼル20を回転操作することにより、カメラ部15の延長線上に当該人物が位置するように、上下回動角を調整しておく。この状態で、OKスイッチ13を操作すると、前述のようにステップS3の処理が実行されて、カメラ部15で撮影された画像が画像RAM261に記憶されるとともに表示部19に表示される。
【0040】
次に、両目にマルエーマーク25aとマルビーマーク25bを合わせる催促表示処理を実行する(ステップS4)。このステップS4の処理は、図7(A)に例示した画面を表示部19に表示させる処理である。すなわち、表示部19の上部には、前記メッセージ格納エリア251からメッセージデータを読み出して、催促内容を示すメッセージMを表示するとともに、その下部に撮影した人物の顔画像Pを表示させる。さらに、この顔画像Pにおける右目RIと左目LIの外側に、各々マルエーマーク25aとマルビーマーク25bとを表示させる。
【0041】
次に、両目RI、LIにマルエーマーク25aとマルビーマーク25bを合わせるための両目合わせスイッチ9がオンとなったか否かを判断する(ステップS5)。このとき、図1に示すように、ユーザは右手の中指F2を中指位置決め凹部14に挿入し、親指F1を親指位置決め凹部8に合致させ、かつ、人差し指F3を人差し指位置決め凹部11に合致させた状態にしておく。この状態で、親指F1の腹で押圧することにより、両目合わせスイッチ9を操作する。すると、ステップS6の処理が実行されて、両目合わせスイッチ9の操作に応じてマルエーマーク25aとマルビーマーク25bとが左右方向に移動する。
【0042】
そして、図7(B)に示すように、マルエーマーク25aとマルビーマーク25bとが顔画像Pの両目RI、LIに合致したならば、両目合わせスイッチ9の操作をやめる。これにより、ステップS5の判断がNOとなって、ステップS7に進みシャッタスイッチ12が操作されるまで待機する。または両目合わせスイッチ9の操作をやめたから予め定まられた時間が経過するまで待機する。したがって、図1に示した状態で、次に人差し指F3によりシャッタスイッチ12を操作すると、ステップS8の処理が実行され、この操作の際に画像RAM261に取り込み記録された撮影画像(現在画像)と、順次例えば1秒間に5枚ずつ画像RAM261に順次別な記録エリアに取り込み記録撮影画像(過去画像1、2・・・n)とをマルエーマーク25aとマルビーマーク25bの領域において比較する。
【0043】
つまり、図8に「例1」として示したように、画像RAM261には撮影モードスイッチが操作されてから順次取り込まれた「過去1、2・・・n」の過去画像と、今取り込まれた「現在」画像とが記憶される。そこで、ステップS8では、今取り込まれた「現在」画像と、既に取り込まれた「過去1、2・・・n」の画像とを、両目RI、LIに対応するマルエーマーク25aとマルビーマーク25bの領域において比較する。
【0044】
しかる後に、現在画像、過去画像が設定時間(瞬きを行うに要する時間)以上、変化しない画像を検索して、表示する(ステップS9)。つまり、図8に示した「例1」の場合、「過去N」から「過去10」までは、被写体の人物が瞬きを行うことなく、マルエーマーク25aとマルビーマーク25bの領域において、設定時間以上変化しない画像の不変化区間である。また、「過去10」から「過去1」までは、被写体の人物が瞬きを行い、マルエーマーク25aとマルビーマーク25bの領域において画像が変化した、画像の変化区間である。さらに、「過去1」から「現在」までは、被写体の人物が瞬きを行うことなく、マルエーマーク25aとマルビーマーク25bの領域において変化しない画像の不変化区間ではあるが、現時点では設定時間以上変化しない画像であるか否かは不明である。したがって、「例1」の場合、ステップS9の条件を満たすのは、「過去n」から「過去10」までの画像であり、これら画像が検索されて表示部19に表示されることとなる。
【0045】
また、図8に示した「例2」の場合、「過去n」から「過去5」までは、被写体の人物が瞬きを行うことなく、マルエーマーク25aとマルビーマーク25bの領域において、設定時間以上変化しない画像の不変化区間である。また、「過去5」から「現在」までは、被写体の人物が瞬きを行い、マルエーマーク25aとマルビーマーク25bの領域において画像が変化した、画像の変化区間である。したがって、「例2」の場合、ステップS9の条件を満たすのは、「過去n」から「過去5」までの画像であり、これら画像が検索されて表示部19に表示されることとなる。
【0046】
また、これら画像の表示はOKスイッチ13が操作されるまで継続し(ステップS10)、OKスイッチ13が操作されたならば、不変化区間の画像を登録RAM262に格納する(ステップS11)。これにより、登録RAM262には、被写体の人物画像であって目を瞑らない際の撮影画像のみが被写体画像として記録されることとなる。
【0047】
なお、この実施の態様では、OKスイッチ13の操作を条件に、目を瞑らない際の撮影画像のみを被写体画像として登録RAM262に記録しているが、OKスイッチ13の操作がなくとも、予め定まられた時間が経過したことを条件に、目を瞑らない際の撮影画像のみを被写体画像として自動的に登録RAM262に記録するようにしても良い。
【0048】
しかも、前記シャッタスイッチ12を操作する際には、右手は下記(1)及び(2)の状態となる。
(1)親指F1と中指F2との、2本の指が予め位置決め凹部8、14に位置決めされており、この位置決めされた状態で、親指F1と人差し指F3とで挟むようにして、人差し指F3にてシャッタスイッチ12が操作される。
(2)しかも、シャッタスイッチ12が操作される際には、親指F1、中指F2、人差し指F3が、各々位置決め凹部8、11、14に接触した三点支持の状態となる。
【0049】
したがって、この(1)及び(2)の状態でシャッタスイッチ12が操作されることにより、安定した状態で被写体画像の撮影がなされ、画像RAM261及び登録RAM262にブレのない撮影画像を記録することができる。
【0050】
なお、本実施の形態においては、シャッタスイッチ12を人差し指位置決め凹部11に設け、かつ、両目合わせスイッチ9を親指位置決め凹部9に設けるようにしたが、図10に示すように、シャッタスイッチ12を親指位置決め凹部8に設け、この親指位置決め凹部8に設けられたシャッタスイッチ12を親指F1にて操作するようにし、かつ、両目合わせスイッチ9を人差し指位置決め凹部11に設け、この両目合わせスイッチ9を人差し指F3で操作するようにしてもよい。
【0051】
また、この実施の形態においては、図6のフローチャートに示した処理を撮影機能を有するリスト装置本体としての腕時計の時計ケース内で実行するものとしたが、時計機能を備えていない通常のデジタルカメラ部をリスト装置本体に設け、このリスト装置本体内部においても同様の処理を行うことにより、同様の作用効果を奏することができる。
【0052】
また、本実施の形態とは異なり、図8に示すように、両目の右目25a、左目25bが同時に瞬きを行うことに着目し、マルエーマーク25aとマルビーマーク25bの領域にある画像が同時に変化したことを検出したことも前述した図8に示すフローチャートに加味して、更に、目を瞑ったか否かを高精度に検出するようにしても良い。
【符号の説明】
【0053】
1 腕時計
2 時計ケース
5 左第1凸部
6 右第1凸部
7 左第2凸部
8 親指位置決め凹部
9 両目合わせスイッチ
10 右第2凸部
11 人差し指位置決め凹部
12 シャッタスイッチ
13 OKスイッチ
14 中指位置決め凹部
15 カメラ部
20 回転ベゼル
23 CPU
261 画像RAM
262 登録RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影する画像撮影手段と、この画像撮影手段により撮影された被写体の被写体画像を記録可能な撮影画像記録手段と、前記画像撮影手段により撮影される被写体画像が目を瞑った状態にある画像であるか否かを検出する検出手段と、この検出手段により、前記被写体画像が目を瞑っていない状態にある画像と検出された場合に、当該目を瞑っていない状態にある画像を被写体画像として前記撮影画像記録手段に記録させる画像記録制御手段と、を備えることを特徴とする撮影画像記録装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記画像撮影手段により順次撮影される被写体画像における目の周囲の部分画像を比較することにより、前記被写体画像が目を瞑った状態にある画像であるか否かを検出することを特徴とする請求項1記載の撮影画像記録装置。
【請求項3】
腕に装着可能なリスト装置本体と、このリスト装置本体に設けられ被写体を撮影するカメラ部とを備えた撮影画像記録装置において、前記リスト装置本体の少なくとも2つの箇所に、中指用の位置決め部と、親指又は人差し指のいずれか一方の指用の位置決め部を設けるとともに、親指又は人差し指のいずれか他方の指で操作される撮影開始用のシャッタスイッチ部を設けたことを特徴とする撮影画像記録装置。
【請求項4】
前記カメラ部を、前記リスト装置本体に対し上下方向に回動可能に設けたことを特徴とする請求項3記載の撮影画像記録装置。
【請求項5】
前記リスト装置本体は回転自在な回転ベゼルを備え、この回転ベゼルの回転に伴って前記カメラ部を上下方向に回動する駆動機構を設けたことを特徴とする請求項4記載の撮影画像記録装置。
【請求項6】
被写体を撮影する画像撮影手段と、画像を記録可能な撮影画像記録手段と、前記画像撮影手段により撮影された被写体画像のうち、目の周辺領域における現在撮影された画像と過去に撮影された画像とを比較し、この比較結果に基づいて、目を瞑っていない状態にある画像を検出しこの検出された画像を被写体画像として前記撮影画像記録手段に記録させる画像記録制御手段と、を備えることを特徴とする撮影画像記録装置。
【請求項7】
腕に装着されるリスト装置本体に設けられたカメラ部にて被写体を撮影しこの撮影された被写体に対応した被写体画像を記録する撮影画像記録装置において、前記リスト装置本体は、撮影者の中指が係止されて当該中指を位置決めるための第1の位置決め部と、親指又は人差し指のいずれか一方の指が係止されて当該親指又は人差し指を位置決めるための第2の位置決め部とを備えており、これら第1および第2の各位置決め部以外の他の部位に、前記第2の位置決め部にて位置決めされている親指又は人差し指のいずれか他方の指で操作される撮影開始用のシャッタスイッチ部を備えていることを特徴とする撮影画像記録装置。
【請求項8】
前記リスト装置本体は、撮影者の腕に装着されるバンドを備えた腕時計本体であり、前記第1の位置決め部は、撮影者の腕に装着された前記バンドのうち、撮影者側に位置するバンド部裏面に形成されており、前記第2の位置決め部は、前記腕時計本体の7時または8時の位置に形成されており、前記撮影開始用のシャッタスイッチ部は、前記腕時計本体の1時または2時の位置に形成されていることを特徴とする請求項7記載の撮影画像記録装置。
【請求項9】
腕に装着されるリスト装置本体に設けられたカメラ部にて被写体を撮影しこの撮影された被写体に対応した被写体画像を記録する撮影画像記録装置において、前記リスト装置本体に対し前記カメラ部を上下方向に回動可能に設けたことを特徴とする撮影画像記録装置。
【請求項10】
前記リスト装置本体は、回転自在な回転ベゼルと、この回転ベゼルの回転に伴って前記カメラ部を上下方向に回動する駆動機構とを設けたことを特徴とする請求項9記載の撮影画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−109696(P2011−109696A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6560(P2011−6560)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【分割の表示】特願2008−323118(P2008−323118)の分割
【原出願日】平成11年9月29日(1999.9.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】