説明

操作機構、操作機構を備える電子機器

【課題】操作時において不用な当たり音を軽減させる操作機構を提供する。
【解決手段】筐体に固定された固定部材22と、固定部材22上に設けられ、使用者の指により固定部材に対して回動方向への操作が可能で指を離せば操作前の位置に自己復帰する自己復帰操作レバー21と、自己復帰操作レバー21が操作前の位置に自己復帰する際に操作前の位置近傍に位置するときに自己復帰操作レバーに対する摩擦力が増大するように、自己復帰操作レバーに対して押圧される制動手段23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームリングなどの操作機構またはこの操作機構を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の操作機構としては、特許文献1などに記載するような操作機構が存在する。この操作機構は、主にデジタルスチルカメラやビデオカメラ等の電子機器に備えられるものであり、ズーム操作を可能にしたものである。
【0003】
この従来の操作機構700は、図10に示すように、ねじりばね124に設けられた腕部1242および1243が、使用者により回動操作される操作部の裏面に設けられた規制突起1216と、撮像装置の筐体側に固定された取付部の裏面に設けられた規制部1225とを挟み込むようにして互いに向かい合って引っ掛けられている。ねじりばね124は、開放状態で腕部1242、1243が開くように形成されているため、腕部1242、1243は規制突起1216と規制部1225の両側に常時荷重をかけている。これによって操作部が自動的に自己復帰することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−175593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の操作機構では、使用者が操作部をズーム操作後に指を勢いよく離すと、前記自動復帰のためのねじりばね124が規制部1225に勢いよく当接し、当たり音を発生させる可能性があるという課題があった。近年のデジタルカメラは、静止画だけでなく動画の撮影をも可能としたものが主流となっており、動画撮影中のズーム操作等で不要な音を発生させると、このような不要な音も記録されてしまう。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決するために、操作時において不要な当たり音を軽減させる操作機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の操作機構は上記課題を解決するために、筐体に固定された固定部材と、固定部材上に設けられ、使用者の指により固定部材に対して回動方向への操作が可能で指を離せば操作前の位置に自己復帰する自己復帰操作レバーと、自己復帰操作レバーが操作前の位置に自己復帰する際に操作前の位置近傍に位置するときに自己復帰操作レバーに対する摩擦力が増大するように、自己復帰操作レバーに対して押圧される制動手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作時において不用な当たり音を軽減させる操作機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態にかかる操作機構を備える撮像装置の斜視図
【図2】本実施の形態にかかる操作機構を備える撮像装置の構成図
【図3】本実施の形態にかかる操作機構の構成を説明するための分解斜視図
【図4】本実施の形態にかかる操作機構の構成を説明するための分解斜視図
【図5】本実施の形態にかかる操作機構の上面図
【図6】図5のAA線による断面図
【図7A】本実施の形態にかかる操作機構の下面図
【図7B】本実施の形態にかかる操作機構の操作時の下面図
【図8】本実施の形態にかかる操作部の下面斜視図
【図9】本実施の形態にかかる取付部の下面図
【図10】従来の操作機構を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.実施の形態1)
次に、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なっている場合がある。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0011】
なお、以下の実施形態では、操作機構を備える電子機器として撮像装置を例に挙げて説明する。以下の説明では、通常姿勢(以下、横撮り姿勢ともいう)の撮像装置を基準として、被写体に向かう方向を「前方」、被写体の反対に向かう方向を「後方」、鉛直上方を「上方」、鉛直下方を「下方」、被写体に正対した状態における右向きを「右方」、被写体に正対した状態における左向きを「左方」、と表現する。
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態における操作機構2を備える撮像装置1の斜視図である。図2は、本実施の形態における操作機構2を備える撮像装置1の構成図である。図3、図4は、本実施の形態における操作機構2の分解斜視図である。図5は、本実施の形態における操作機構2の上面図である。図6は、図5のAA線による断面図である。図7Aおよび図7Bは、本実施の形態における操作機構2の下面図である。図8は、本実施の形態における操作部の下面斜視図である。図9は、本実施の形態における取付部の下面図である。
【0014】
(1−1.撮像装置1の構成)
本実施の形態の操作機構2は、デジタルスチルカメラなどの撮像装置1に備えられて構成される。この操作機構2は、撮像装置1の上面部に設けられ、回動可能に構成される。また、使用者からの回動操作を受けた後に、操作部21の自己復帰位置219に向けて付勢力により戻るように構成される。そしてこの操作機構2は、使用者からの回動操作を受け付けた場合、当該回動操作に応じて、撮像装置1のズーム倍率を変更するようにしたものである。操作機構2への回動操作に応じてズーム倍率を変更する方法は、従来技術を用いることができる。例えば、操作機構2からのコントローラ8に対する操作信号に基づいて、コントローラ8がズームレンズ駆動部11を制御し、このズームレンズ駆動部11によってレンズ系3のズームレンズを駆動する方法、または、コントローラ8に対する操作信号に基づいて、コントローラ8が画像処理回路6を制御し、画像処理回路6において電子ズームを可能にする方法がある。
【0015】
また撮像装置1には、操作機構2以外に、ズームレンズを含むレンズ系3と、CCDイメージセンサー等の撮像素子4と、ADコンバータ5と、デジタル化された画像データに対し画像処理を施す画像処理回路6と、バッファメモリ7と、制御手段としてのコントローラ8と、液晶モニタ9と、フラッシュメモリ10と、コントローラ8の制御に基づいてズームレンズを駆動させるズームレンズ駆動部11と、メモリーカード13が着脱可能なカードスロット12と、を備えている。これらの構成要素は、従来技術と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0016】
(1−2.操作機構2の構成)
次に、この操作機構2の構成を図面を参照して説明する。この操作機構2は、操作部21と、取付部22と、抜止部23と、付勢部24と、操作部21の内側に設けられる押下部25と、押下部25と取付部22の間に挟まれる弾性部26と、取付部22と抜止部23の間に挟まれる弾性部28と、押下部25や操作部21に接触されてコントローラ8に操作信号を出力するスイッチ部27と、を備えて構成される(図3、図4)。以下、本実施の形態における操作機構の具体的構成について説明する。
【0017】
まず、操作部21は、ABS等のプラスチックにクロムメッキ処理することによって構成される。そして、この操作部21は、略リング状に構成された基体211と、軸部212a、b、cと、係合爪213a、b、cと、基体211外周に設けられた指掛け214と、取付部22の外側スリーブ222の内側に挿入される内側スリーブ215と、付勢部24を規制する規制突起216と、ズームスイッチ272の操作方向検出部273を可動させる接触突起217と、押下部25を取り付ける押下設置部218と、を具備して構成される(図8)。基体211は、上下方向と垂直な面内(水平面内)に略リング形状が配置される。
【0018】
指掛け214は、基体211の上面の前方に設けられるものであり、使用者の指(例えば、人指し指)が引っ掛けられ、使用者が容易に回動操作できるようにしたものである。
【0019】
内側スリーブ215は、基体211の下面に設けられ、基体211の外周よりも小さい同一円周上に設けられた複数接点を備えて構成される。これによって、内側スリーブ215は、取付部22の外側スリーブ222の内側に挿入されて、上下方向を回転軸として基体211の略リング形状の円周方向に沿って、操作部21のスムーズな回動をできるようにしたものである。なお、以下の説明において操作部21の円周方向(または回動方向)とは、基体211の略リング形状の円周方向を指し、操作部21の半径方向とは、基体211の略リング形状の半径方向(ラジアル方向)を指し、操作部21の回転軸とは操作部21(基体211の略リング形状)が回動する中心軸(すなわち上下方向)を指すものとする。
【0020】
軸部212a、b、cは、基体211(内側スリーブ215)の下面を3等分する各位置から下方に突き出るように構成される。特に軸部212cは、基体211の下面の後方に設けられる。そして、軸部212a、b、cは、取付部22の貫通孔221a、b、cに挿通された状態で、貫通孔221a、b、cのガイド部2212a、b、cに沿って円周方向に可動するようにしたものである(図7A)。これによって、操作部21の一部回動を可能にしている。
【0021】
係合爪213a、b、cは、軸部212a、b、cの先端に設けられ、軸部212a、b、cよりも幅広に構成される。本実施の形態では、半径方向外側に突出するように係合爪213a、b、cを設け、軸部212a、b、cよりも幅広になるように構成している。
【0022】
規制突起216は、軸部212cからさらに下方に突出して設けられ、略T字形状に構成される。そして規制突起216の足における左側側面216aと右側側面216bに、付勢部24の腕部242、243が引っ掛けられることによって、規制突起216が、付勢部24の腕部242、243を規制できるようにしている。なお、この付勢部24の腕部242、243が規制突起216に引っ掛けられた場合において、付勢部24の腕部242、243が同様に取付部22の規制部225に引っ掛けられると、操作部21が自己復帰可能になる。この詳細については、後述する。
【0023】
接触突起217は、軸部212bからさらに下方に突出して設けられ、二つの突出部材を備える。そして、この二つの突出部材の間に、ズームスイッチ272の操作方向検出部273が挟まれ、操作部21の回動に基づいて、ズームスイッチ272の操作方向検出部273が2方向に可動される。
【0024】
押下設置部218は、操作部21の内側周面に設けられるもので、操作部21を切り欠いて構成される。これによって、押下部25の取り付けを可能にしている。
【0025】
次に、取付部22は、ポリカーボネート、ABS等のプラスチックによって構成され、撮像装置1の上面に設けられる。この取付部22は、貫通孔221a、b、cと、外側スリーブ222と、押下部25の押圧突起252が挿通される挿入孔223と、付勢部24の輪部241が係合される係合部224と、付勢部24の腕部242、243を規制する規制部225と、操作部21の指掛け214に対応する位置に抜止部23の開口部233を配置させる開口配置部226と、抜止部23の表裏の取り付け方向を指示させる取付支持部227と、抜止部23の開口端部232の外側への開口を係止する係止部228と、を具備して構成される(図9)。
【0026】
貫通孔221a、b、cは、操作部21の軸部212a、b、cの数に対応して設けられ、取付部22の外周側に略リング形状を描くように配置されている。そして貫通孔221a、b、cは、少なくとも切り欠き部2211a、b、cを有するように構成されている。すなわち、本実施の形態では、貫通孔221a、b、cは、切り欠き部2211a、b、cと、ガイド部2212a、b、cを有する。なお、本実施の形態では貫通孔221a、b、cは、いずれもガイド部を有しているが、これらのうちひとつについてガイド部を設けないようにしてもよい。
【0027】
この切り欠き部2211a、b、cは、操作部21の係合爪213a、b、cよりも幅広に構成され、軸部212a、b、cをたわませずに貫通孔に挿入できるようにしたものである。ここで本実施の形態の切り欠き部2211a、b、cは、軸部212a、b、cをたわませずに貫通孔221a、b、cに挿入させるため、軸部212a、b、cの内側位置よりも中心側付近から、係合爪213a、b、cの先端よりも外側付近まで、孔を構成するようにしている。
【0028】
また、ガイド部2212a、b、cは、操作部21の係合爪213a、b、cよりも幅狭で、操作部21の軸部212a、b、cよりも幅広に構成され、軸部212a、b、cをガイド部2212a、b、cに沿って可動できるようにしたものである。すなわち、貫通孔221a、b、cに操作部21の係合爪213a、b、cおよび軸部212a、b、cが挿入された後、ガイド部2212a、b、c内において軸部212a、b、cを可動させた場合、操作部21は取付部22から外れずに一部回動が可能である。
【0029】
外側スリーブ222は、取付部22の上面に設けられ、操作部21の内側スリーブ215と相俟って、操作部21のスムーズな回動をできるようにしたものである。
【0030】
挿入孔223は、取付部22の中心付近に設けられ、円形状の孔を構成する。これによって、押下部25の押下突起252を挿通できるようにしている。
【0031】
係合部224は、取付部22の下面で、かつ、挿入孔223の周辺に突き出るように設けられ、付勢部24の輪部241を係合するように構成している。
【0032】
規制部225は、取付部22の下面で、かつ、挿入孔223と貫通孔221a、b、cの間における撮像装置1の裏面側に設けられ、略T字形状に構成される。これによって、付勢部24の腕部242、243が規制部225の足における左側側面225a、右側側面225bに引っ掛けられ、付勢部24の腕部242、243が同様に操作部21の規制突起216に引っ掛けられると、操作部21が自己復帰可能になる。
【0033】
開口配置部226は、取付部22の下面で、かつ、撮像装置1の前面側に設けられ、抜止部23の開口部233が撮像装置1の前面側に配置されるよう突出して突起を設けたものである。すなわち、自己復帰後の操作部21の指掛け214が来る位置と、抜止部23の開口部233が配置される位置とを円周方向において同様の位置に存在させるようにしたものである。
【0034】
抜止部23のL字形状236は、抜止部23の下面側である視認面235より外周側に設けられ、抜止部23の表裏の取付方向を指示させるようにしたもの、かつ弾性部28を圧縮させるようにしたものである。弾性部28の圧縮については、後述する。
【0035】
なお、このように抜止部23の取り付け方向を指示させる理由は、操作部21のスムーズな回動を可能にするためである。抜止部23は、材料がプラスチックであるため、抜止部23にはバリが発生する。すなわち、抜止部23を成型する金型によっては、抜止部23の表面または裏面の一方にバリが発生する。このため、操作部21の係合爪213a、b、cが、抜止部23のバリが発生した面に係合されると、操作部21のスムーズな回動の妨げになってしまう。したがって、この抜止部の取り付け方向を指示させることによって、操作部の係合爪が、抜止部のバリが発生した面に係合されるのを防止し、操作部のスムーズな回動を可能にしている。
【0036】
係止部228は、取付部22の下面で、かつ、開口配置部226の周辺に設けられ、抜止取付位置229よりも下方向に隆起させて構成している。これによって、この係止部228が抜止部23の開口端部232を係止することができる。そして、抜止部23の外側への開口を防止し、抜止部23が取付部22と操作部21から外れることを防止している。
【0037】
さらに、抜止部23は、ポリアセタールなどのプラスチックによって構成され、Cリング状に形成される。そして、抜止部23の設置面234を取付部22の抜止取付位置229(切り欠き部2211a、b、cの一部を含む)に設置させ、抜止部23の視認面235を操作部21の係合爪213a、b、cに引っ掛けることによって、係合させる。すなわち、抜止部23は、操作部21が取付部22に取り付けられた状態で、少なくとも切り欠き部2211a、b、cが設けられた箇所において、取付部22と係合爪213a、b、cの間に設けられるものであり、操作部21と取付部22との間のスペーサの役割をするものである。これによって、操作部21が取付部22に取り付けられ、抜止部23が操作部21と取付部22に取り付けられると、抜止部23が、切り欠き部2211a、b、cにおいて係合爪213a、b、cを挿入可能にしていた部分を覆うことができる。したがって、係合爪213a、b、cは、取付部から外れる時に通過する部分を失い、操作部21が取付部22から外れることを防止できる。なお上記に加えて、Cリング状の開口部233において外周側へ突起させた開口端部232と、を有する。
【0038】
なお抜止部23はポリアセタールで構成されることが好ましい。これはポリアセタールが引張り、曲げの強さが大きく、強靭で優れた弾性をもっており、また、摩擦計数が少なく、耐摩耗性に優れているからである。すなわち、本実施の形態では、操作部21を取付部22に取り付けた後、抜止部23を係合爪213a、b、cに係合させる必要がある。この際、抜止部23は、開口端部232が外側に引っ張られることによって、係合爪213a、b、cに引っ掛けられる。また、操作部21の係合爪213a、b、cに抜止部23を引っ掛けた後、操作部21を回動操作すると、抜止部23の下面(視認面)と操作部21の係合爪213a、b、cが摺動される。したがって、抜止部23は、引っ張り等に耐えうる弾性と、耐摩耗性が必要であるため、ポリアセタールで構成されることが好ましい。なお、抜止部がポリアセタールで構成されることに限定されないことはいうまでもない。
【0039】
付勢部24は、金属によって構成されるものであり、ねじりバネの形状をしている。この付勢部24は、取付部22の係合部224に取付可能な輪部241と、取付部22の規制部225および操作部21の規制突起216に引っ掛けられる腕部(左腕部242・右腕部243)と、を具備する。輪部241は、取付部22の係合部224に引っ掛けられて係合するようにしたものである。腕部242、243は、以下のように規制部225と規制突起216に引っ掛ける。まず、左腕部242は、規制部225の右側側面225bと規制突起216の右側側面216bに引っ掛ける。次に、右腕部243は、規制部225の左側側面225aと規制突起216の左側側面216aに引っ掛ける。これによって、操作部21が自己復帰可能になる。
【0040】
押下部25は、ABS等のプラスチックにクロムメッキ処理することによって構成される。この押下部25は、略円柱状に形成され、外周上に取付突起251と、押下突起252とを具備する。これによって、操作部21の下から押下部25を挿入し、取付突起251を操作部21の押下設置部218に嵌合させて、押下部25を操作部21に取り付けさせ、上下可動するようにしている。
【0041】
弾性部26は、金属によって構成されるものであり、圧縮バネの形状をしている。この弾性部26は、押下突起252に装着されて、押下部25と取付部22との間に設けられる。これによって、押下部25が操作部21の設置位置へ戻るようにしている。なお、図3、図4において弾性部26は模式的に円柱形状に描かれている。
【0042】
スイッチ部27は、シャッタスイッチ271と、ズームスイッチ272とを備えて構成される。スイッチ部27は、使用者からのスイッチ部27に対する操作を、操作信号としてコントローラ8へ出力するものである。これによって、操作信号を受け取ったコントローラ8は、各種制御を行うようにしている。
【0043】
シャッタスイッチ271は、押下部25の押下突起252が接触されるものであり、下方向への押下を検知する2段階スイッチである。すなわち、シャッタスイッチ271は、使用者からの半押しと全押しを検知できるようにしたものである。
【0044】
ズームスイッチ272は、操作方向検出部273によって、2方向への操作を検出するものである。操作方向検出部273は、操作部21の接触突起217に挟まれて、操作部21の回動方向を検知するようにしたものである。これによって、ズームスイッチ272は、自己復帰位置219を挟んだ望遠(T)と広角(W)へのズーム操作を検出できるようにしている。
【0045】
弾性部28は、ウレタンなどのクッションによって構成されるものであり、直方体の形状をしている。この弾性部28は、取付支持部227の下面に設置され、取付部22と抜止部23との間に挟まれた状態に設けられる。弾性部28は取付部22と抜止部23との間よりも厚いものを用い、圧縮状態で取り付けるようにしている。圧縮状態で取り付けることにより、弾性部28は常時圧縮荷重の反力を発生させている。弾性部28の圧縮荷重の反力は、抜止部23のL字形状236に対し下向きに荷重を掛ける。さらに、L字形状236の下向きの荷重は係合爪213cと規制突起216を介し、操作部21に下向きの荷重を加える。弾性部28とL字形状236と係合爪213cは、操作部21の自己復帰状態において、上下方向で同一位相(円周方向において同じ位置)になるように配置する。これにより、弾性部28の圧縮荷重の反力は、L字形状236と係合爪213cを介し、自己復帰状態において最大の荷重を操作部21に伝えることが可能となる(図6)。
【0046】
(1−3.操作機構2の組み立て)
次に、本実施の形態の操作機構2の組み立て方法を説明する。
【0047】
まず、操作部21に押下部25を取り付ける。この際、押下部25の取付突起251が操作部21の押下設置部218に嵌合するように取り付ける。また、押下部25の押下突起252に弾性部26を装着する。
【0048】
次に、組み立てられた操作部21と押下部25と弾性部26を、取付部22に取り付ける。この際、操作部21の係合爪213a、b、cを取付部22の貫通孔221a、b、cの切り欠き部2211a、b、cに挿入させる。この場合、操作部21の指掛け214が、撮像装置1の前面側にくるように設置する。すなわち、操作部21の規制突起216と、取付部22の規制部225の位置が近傍に配置されるように取り付けを行なう。なお、必要ならば、操作部21の軸部221a、b、cを切り欠き部2211a、b、cからガイド部2212a、b、cに移動させる。このようにすれば、操作部21が取付部22から抜け出ることを防止できるので、抜止部23の取り付けが容易となる。
【0049】
そして、組み立てられた操作部21と取付部22等に、抜止部23と弾性部28を取り付ける。まず、弾性部28を取付支持部227に置き、抜止部23で弾性部28を圧縮するように取り付けを行う。この抜止部23の取り付けは、抜止部23の開口部233と、開口設置部226が一致する方向に来るように取り付けを行なう。この際、抜止部23の開口端部232を外側に広げて、操作部21の係合爪213a、b、cに抜止部23の視認面235を引っ掛けるようにするとよい。また、抜止部23が操作部21と取付部22に取り付けられた後は、抜止部23の開口端部232と取付部22の係止部228との関係によって、抜止部23が取付部22から外れにくくしている。
【0050】
さらに、組み立てられた取付部22と操作部21と抜止部23等に、付勢部24を取り付ける。まず、付勢部24の輪部241を、取付部22の係合部224に引っ掛ける。そして、付勢部24の腕部242、243を、取付部22の規制部225および操作部21の規制突起216に取り付ける。具体的には、左腕部242を、規制部225の右側側面225bと規制突起216の右側側面216bに引っ掛ける。一方、右腕部243を、規制部225の左側側面225aと規制突起216の左側側面216aに引っ掛ける。
【0051】
そして最後に、スイッチ部27を、シャッタスイッチ271が、押下部25の押下突起252に接触するように、また、ズームスイッチ272の操作方向検出部273が、操作部21の接触突起217に挟まれるように、設置する。
【0052】
これによって、本実施の形態における操作機構2の組み立てが完了する。
【0053】
(1−4.操作機構2の動作)
ここで使用者が撮像装置1の操作機構2を使用した場合の撮像装置1の動作を説明する。操作機構2の操作部21は、自己復帰位置219を挟んで望遠(T)と広角(W)へのズーム操作を可能にするものである(図5)。すなわち、この操作部21を使用者がT方向に指で回動すると、ズームレンズを望遠側にズーミングする。また、この操作部21を使用者がW方向に指で回動すると、ズームレンズを広角側にズーミングする。そして、操作部21を使用者がT又はW方向に指で回動した後、指を離すと、操作部21が自己復帰位置219に向けて付勢され、元の位置に戻る。
【0054】
従来の操作機構では、自己復帰位置に戻る際に、付勢部24の腕部242、243が取付部22の規制部225a、225bに衝突する衝突音が発生していた。この衝突音が動画撮影中に不要な音として記録されてしまう。本実施の形態においては、弾性部28は、抜止部23と操作部21に圧縮荷重の反力を下向きに負荷している。この下向きの圧縮荷重の反力が抜止部23と操作部21との回動時の摩擦力を増加させる役目をしている。操作部21が付勢部24の付勢により回動して自己復帰位置に戻ろうとするとき、抜止部23の視認面235と操作部21の係合爪213cとの回動方向の摩擦力は、付勢部24の回動方向の荷重に対し反力となる。回動方向への反力は、回動方向の荷重軽減となり、付勢部24と取付部22との衝突をやわらげることを可能とする。すなわち、操作部21が自己復帰位置に近づくほど、抜止部23と操作部21との摩擦力が増加し、自己復帰位置に戻る回動速度が低下するため、付勢部24と取付部22との衝突時の速度が従来の操作機構よりも低下する。そして衝突をやわらげることは、衝突音を軽減させることとなる。
【0055】
L字形状236と係合爪213cが自己復帰状態において回動方向の同一位相に配置されていることにより、弾性部28はL次形状236上の設置面237付近に最大圧縮荷重を加える。操作部21をTまたはW方向に指で回動した状態(図7B)では、係合爪213cは設置面237から位相がずれた状態になり、その際は圧縮荷重が軽減される。すなわち圧縮荷重による摩擦力は自己復帰位置付近で最大であり、衝突手前でのみ回動動作が軽減されるものである。この衝突手前のみ回動動作が軽減されることにより、操作部21のTまたはW方向の指での回動は従来技術同様の操作感触を可能とし、なおかつ不要な音を軽減することを可能としている。
【0056】
また、操作機構2の押下部21は、半押しおよび全押しを検知するものである。すなわち、押下部21は、使用者が人指し指で押下部21をある一定値以下の力で押下すると、半押しを検知する。また、使用者が押下部21をある一定値以上の力で押下すると、全押しを検知する。この半押しと全押しを検知した押下部は、コントローラ8へ操作信号を出力し、コントローラ8は半押しと全押しに応じて様々な制御を行う。
【0057】
(2.他の実施形態)
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施できる。
【0058】
例えば、上記実施の形態では、抜止部をCリング状で形成したが、これに限られず、貫通孔の切り欠き部の少なくとも一部を覆うことができるものであればよい。
【0059】
また、操作部および取付部、抜止部は、プラスチック材料で構成するようにしたが、これに限られず、金属なども利用できる。弾性部もクッション材料で構成するようにしたが、金属スプリングも利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、撮像装置などの電子機器に備えられる操作機構に適用可能である。より具体的には、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラにおけるズームリング等に適用できる。
【符号の説明】
【0061】
2 操作機構
21 操作部
22 取付部
23 抜止部
24 付勢部
25 押下部
28 弾性部
211 基体
212a、b、c 軸部
213a、b、c 係合爪
214 指掛け
219 自己復帰位置
221a、b、c 貫通孔
226 開口配置部
227 取付支持部
228 係止部
229 抜止取付位置
2211a、b、c 切り欠き部
2212a、b、c ガイド部
231 突起部
232 開口端部
233 開口部
234 設置面
235 視認面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に固定された固定部材と、
前記固定部材上に設けられ、使用者の指により前記固定部材に対して回動方向への操作が可能で指を離せば操作前の位置に自己復帰する自己復帰操作レバーと、
前記自己復帰操作レバーが前記操作前の位置に自己復帰する際に前記操作前の位置近傍に位置するときに前記自己復帰操作レバーに対する摩擦力が増大するように、前記自己復帰操作レバーに対して押圧される制動手段と、
を備えた操作機構。
【請求項2】
前記制動手段は、前記自己復帰操作レバーが回動する中心軸と平行な方向に、前記自己復帰操作レバーに対して押圧される、請求項1記載の操作機構。
【請求項3】
筐体に固定された固定部材と、
前記固定部材上に設けられ、使用者の指により前記固定部材に対して直線方向への操作が可能で指を離せば操作前の位置に自己復帰する自己復帰操作レバーと、
前記自己復帰操作レバーが前記操作前の位置に自己復帰する際に前記操作前の位置近傍に位置するときに前記自己復帰操作レバーに対する摩擦力が増大するように、前記自己復帰操作レバーに対して押圧される制動手段と、
を備えた操作機構。
【請求項4】
前記制動手段は、前記自己復帰操作レバーが操作される方向と垂直な方向に、前記自己復帰操作レバーに対して押圧される、請求項1記載の操作機構。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の操作機構を備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図7A】
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【図7B】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−163884(P2012−163884A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25743(P2011−25743)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】