説明

操作装置

【課題】使用者が操作することで容易に、しかも簡易な機械的構成でクリック数を変更することができる操作装置を提供する。
【解決手段】操作摘みの回転操作に応じて回転する回転軸部13を夫々囲繞してクリック筒41、運動伝達筒2及びクリック筒42がこの順に上から配されており、運動伝達筒2は回転軸部13と一体的に回転する。使用者が切替操作手段を操作することによって運動伝達筒2がクリック筒41と連結した場合、操作摘みの操作に応じた回転が運動伝達筒2からクリック筒41に伝達されて、クリック筒41のクリック溝31,31,…とボールプランジャ511のボール部51とが係脱し、この結果、クリック溝31,31,…の個数に応じたクリックが発生する。運動伝達筒2がクリック筒42と連結した場合は、クリック筒42のクリック溝32,32,…とボール部52との係脱によりクリック溝32,32,…の個数に応じたクリックが発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式又はスライド式の操作摘みが操作された場合にクリックを発生させる操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車載用の空気調和機は、この空気調和機の操作装置に設けられている回転式の操作摘みが操作された操作量に応じて、送風量の多寡、送風温度の高低等の制御量を多段階に切り替えるようにしてある。
このような操作装置は、操作摘みが回転操作された場合にクリックを発生させることによって、使用者に聴覚的又は触覚的なクリック感を覚えさせる。この結果、操作装置は、使用者が操作摘みの操作量を判断することを容易にし、また、操作摘みの所望される位置での停止を容易にしている(特許文献1参照)。
ここで、本明細書におけるクリックとは、語義通りのカチッという音、又はこのような音を発生させるような機械的衝撃、振動等である。
【0003】
しかしながら、制御量をP段階(ただしPは自然数)に切り替えるための操作摘みとQ段階(ただしQは自然数、Q≠P)に切り替えるための操作摘みとを兼用する場合、操作摘みの操作量と、発生するクリックの個数(以下、クリック数という)との関係が一定では、使用者が操作摘みの操作量と切替段階との関係を判断し難く、使用が不便である。
このような問題を解決するために、操作摘みの回転操作に対してモータで負荷を与えることによってクリックを発生させる操作装置、操作摘みの回転操作に応じて、クリックの代わりとなる電子音を発生させる操作装置等が考えられる。これらの操作装置では、切り替え可能な段階に応じたクリック数を発生させることが可能である。
【0004】
ところで、特許文献1に開示されている操作装置は、P本のクリック溝が形成されている部分とQ本のクリック溝が形成されている部分とを同心円状に形成したクリック板、このクリック溝に対して係脱する1個の被係合部、及び、この被係合部のクリック板に対する投影位置とクリック板の中心位置の距離とを変化させるスライダを備える。
【0005】
このような操作装置では、スライダをスライドさせることによって、P本のクリック溝が形成されている部分及びQ本のクリック溝が形成されている部分の何れか一方に対向する位置に被係合部が配置されるため、操作摘みの回転操作に応じて、操作摘みの操作量と切替段階との関係に対応した個数のクリックが生ずる。
【特許文献1】特開昭50−2155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている操作装置は、操作装置の組立段階でスライダをスライドさせた後、スライダを固定する構成である。このため、組立作業者が、操作摘みの用途に応じてクリック数を変更することは容易であるが、操作装置の組立後は、使用者がスライダを操作することによってクリック数を変更することができないか、又は困難である。
一方、操作摘みの回転操作に対してモータで負荷を与える操作装置、操作摘みの回転操作に応じて電子音を発生させる操作装置等は、クリックを発生させるためにモータ又は電子音発生部の複雑な制御を行なう必要があり、高コストである。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、運動伝達部材と連結して運動するクリック部材に形成されている係合部と被係合部とが係脱してクリックが発生し、運動伝達部材と連結しておらず略静止しているクリック部材に関してはクリックが発生せず、運動伝達部材と各クリック部材との連結及び連結解除を同時的に切り替える構成とすることにより、容易にクリック数を変更することができる簡易な構成の操作装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、第1クリック部材に対する運動伝達部材の連結及び連結解除と第2クリック部材に対する運動伝達部材の連結解除及び連結とを同時的に切替自在にするための切替操作手段を備えることにより、使用者が操作することで容易にクリック数を変更することができる簡易な構成の操作装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、回転軸部の一端側に配された第1クリック部材に対する回転軸部の中央部に配された運動伝達部材の連結及び連結解除と回転軸部の他端側に配された第2クリック部材に対する運動伝達部材の連結解除及び連結とを、回転軸部の軸長方向に運動伝達部材が往復移動することで同時的に切替自在にする構成とすることにより、簡易な機械的構成で容易にクリック数を変更することができる操作装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、切替操作摘みの回転を回転軸部の軸長方向の往復移動に変換して運動伝達部材に伝達する伝達機構が、突設部、固定筒、回転筒、固定側案内溝及び回転側案内溝を用いて構成されていることにより、簡易な機械的構成で容易にクリック数を変更することができる操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明に係る操作装置は、回転式又はスライド式の操作摘みが操作された場合にクリックを発生させる操作装置において、クリックを発生させるべく、異なる個数の係合部が夫々形成してある複数のクリック部材と、各クリック部材の係合部形成面に対向配置され、対向するクリック部材に対して相対運動することによって、該クリック部材に形成されている係合部に係脱する被係合部と、前記複数のクリック部材の何れか一つに連結して、前記操作摘みの操作に応じた運動を、連結対象であるクリック部材に伝達する運動伝達部材とを備え、前記クリック部材は、前記運動伝達部材に連結されている場合以外は略静止するようにしてあり、前記運動伝達部材の各クリック部材に対する連結及び連結解除を同時的に切替自在にしてあることを特徴とする。
【0012】
第2発明に係る操作装置は、M個(Mは自然数)の凹状又は凸状の第1係合部が形成してある第1クリック部材と、N個(Nは自然数、N≠M)の凹状又は凸状の第2係合部が形成してある第2クリック部材と、前記第1クリック部材及び第2クリック部材に各対向配置され、前記第1係合部及び第2係合部に各係脱自在に設けてある第1被係合部及び第2被係合部と、前記運動伝達部材の前記第1クリック部材に対する連結及び連結解除、並びに前記運動伝達部材の前記第2クリック部材に対する連結解除及び連結を同時的に切替自在にするための切替操作手段とを備え、前記第1クリック部材(又は第2クリック部材)が前記運動伝達部材に連結されている場合に、前記操作摘みの操作に応じて、前記第1クリック部材と前記第1被係合部と(又は前記第2クリック部材と前記第2被係合部と)が、前記操作摘みの操作方向に夫々相対移動するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
第3発明に係る操作装置は、前記操作摘みは回転式であり、前記運動伝達部材は、前記操作摘みの回転操作に応じて回転する回転軸部の中央部に同軸に外嵌されている筒状であって、前記回転軸部と一体的に回転し、また、該回転軸部の軸長方向に往復移動可能にしてあり、前記第1クリック部材及び第2クリック部材夫々は、前記回転軸部の一端側及び他端側に同軸に遊びを有して外嵌されている筒状であり、また、前記軸長方向の前記運動伝達部材の側の端部が、該端部に対向する前記運動伝達部材の前記軸長方向の端部に連結可能にしてあり、前記第1係合部及び第2係合部夫々は、筒状の前記第1クリック部材及び第2クリック部材の外周面に形成されており、前記第1被係合部及び第2被係合部夫々は、前記第1クリック部材及び第2クリック部材の外周面に対向配置されており、前記切替操作手段は、前記操作摘みと同軸に配されている回転式の切替操作摘みと、該切替操作摘みの回転を前記軸長方向の往復移動に変換して前記運動伝達部材に伝達する伝達機構とを有することを特徴とする。
【0014】
第4発明に係る操作装置は、前記伝達機構は、前記運動伝達部材に対して前記軸長方向の移動を伝達し、且つ、前記運動伝達部材の周方向に沿って該運動伝達部材に対して相対回転するよう前記運動伝達部材の外周面に突設されている突設部と、前記回転軸部に同軸に配されて、前記第1クリック部材及び第2クリック部材、並びに前記運動伝達部材を囲繞する固定筒と、前記切替操作摘みの回転に応じて回転し、前記回転軸部に同軸に配されて、前記固定筒を囲繞する回転筒と、前記固定筒の周面を貫通して形成されており、前記突設部が挿入されて、該突設部の前記軸長方向の移動を案内しつつ前記周方向の回転を規制する固定側案内溝と、前記回転筒の少なくとも内周面に、前記軸長方向に傾斜して形成されており、前記突設部が挿入されて、該突設部の前記軸長方向の移動及び前記周方向の相対回転夫々を案内する回転側案内溝とを有することを特徴とする。
【0015】
第1発明にあっては、クリック部材の個数に対応する個数の被係合部を備える。
各クリック部材には、他のクリック部材とは異なる個数の係合部(例えばクリック溝)が形成されている。被係合部は、クリック部材の係合部形成面に対向配置されており、対向するクリック部材に対して相対運動することによって、このクリック部材に形成されている係合部に係脱する。
【0016】
操作摘みは回転式又はスライド式であり、運動伝達部材は、複数のクリック部材の何れか一つに連結して、使用者による操作摘みの操作に応じた運動を、連結対象であるクリック部材に伝達する。このため、運動伝達部材に連結されているクリック部材は、操作摘みの操作に応じて運動し、この運動の結果、運動伝達部材に連結されているクリック部材とこのクリック部材に対向する被係合部とが相対運動する。この相対運動に伴って、クリック部材に形成されている係合部と被係合部とが係脱し、この係脱の結果、係合部の個数に応じたクリックが発生する。
つまり操作摘みは、クリックを発生させるための操作手段として機能する。
【0017】
一方、運動伝達部材に連結されていないクリック部材は略静止するため、操作摘みが操作されても、運動伝達部材に連結されていないクリック部材とこのクリック部材に対向する係合部とが相対運動しない。即ち、この相対運動に伴う係合部と被係合部との係脱も発生せず、延いては、クリックも発生しない。
運動伝達部材は、何れか一つのクリック部材に対して連結し、複数のクリック部材に亘って連結することはない。このため、異なるクリック数のクリックが同時に発生することはない。
【0018】
また、運動伝達部材の各クリック部材に対する連結及び連結解除が同時的に切替自在である。このため、容易にクリック数が変更される。
ここで、運動伝達部材の各クリック部材に対する連結及び連結解除は自動で行なう構成でも手動で行なう構成でもよいが、クリックの発生は係合部と被係合部との係脱によるため、クリックを発生させるために複雑な制御を行なわなくてよい。つまり、操作装置の構成が簡易である。
【0019】
第2発明にあっては、M個の凹状又は凸状の第1係合部が形成してある第1クリック部材と、第1クリック部材の係合部形成面に対向配置され、対向する第1クリック部材に対して相対運動することによって、第1クリック部材に形成されている第1係合部に係脱する第1被係合部とを備える。
同様に、第2係合部が形成してある第2クリック部材と第2被係合部とを備え第2係合部の形成個数は、M個とは異なるN個である。
【0020】
使用者が切替操作手段を操作することによって、運動伝達部材が第1クリック部材と連結し、同時的に第2クリック部材とは連結しなくなった場合、操作摘みの操作に応じた運動が、運動伝達部材に連結されている第1クリック部材に伝達されて、第1クリック部材と第1被係合部とが操作摘みの操作方向に相対運動する。この相対運動に伴って、第1クリック部材の第1係合部と第1被係合部とが係脱し、この係脱の結果、第1係合部の個数(即ちM個)に応じたクリックが発生する。ただし、略静止している第2クリック部材と第2被係合部とは相対運動しないため、第2クリック部材の第2係合部の個数(即ちN個)に応じたクリックは発生しない。
【0021】
同様に、使用者が切替操作手段を操作することによって、運動伝達部材が第2クリック部材と連結し、同時的に第1クリック部材とは連結しなくなった場合、操作摘みの操作に応じた運動が、運動伝達部材に連結されている第2クリック部材に伝達されて、第2クリック部材と第2被係合部とが操作摘みの操作方向に相対運動する。この相対運動に伴って、第2クリック部材の第2係合部と第2被係合部とが係脱し、この係脱の結果、第2係合部の個数に応じたクリックが発生する。ただし、略静止している第1クリック部材と第1被係合部とは相対運動しないため、第1クリック部材の第1係合部の個数に応じたクリックは発生しない。
【0022】
第3発明にあっては、回転式の操作摘みの回転操作に応じて回転する回転軸部を備え、この回転軸部の中央部に同軸に、筒状の運動伝達部材が外嵌されている。ただし、運動伝達部材は回転軸部と一体的に回転し、また、回転軸部の軸長方向に往復移動可能である。
【0023】
また、回転軸部の一端側に同軸に、筒状の第1クリック部材が遊びを有して外嵌されている。第1クリック部材の軸長方向の運動伝達部材の側の端部は、この端部に対向する運動伝達部材の軸長方向の端部に連結可能である。同様に、回転軸部の他端側に同軸に、筒状の第2クリック部材が遊びを有して外嵌されている。第2クリック部材の軸長方向の運動伝達部材の側の端部は、この端部に対向する運動伝達部材の軸長方向の端部に連結可能である。
切替操作手段は、操作摘みと同軸に配されている回転式の切替操作摘みと伝達機構とを有し、伝達機構は、切替操作摘みの回転を回転軸部の軸長方向の往復移動に変換して運動伝達部材に伝達する。
【0024】
使用者が切替操作摘みを回転操作した場合、切替操作摘みの回転が伝達機構によって回転軸部の軸長方向の往復移動に変換されて運動伝達部材に伝達され、回転軸部の軸長方向に往復移動可能な運動伝達部材が軸長方向に沿って回転軸部の一端側又は他端側へ移動する。
運動伝達部材が回転軸部の一端側へ移動した場合、第1クリック部材の運動伝達部材側の端部と運動伝達部材の第1クリック部材側の端部とが連結し、第2クリック部材と運動伝達部材とは連結しない。この場合、第1クリック部材の外周面に形成されている第1係合部と、第1クリック部材の外周面に対向配置されている第1被係合部とが、操作摘みの回転操作によって係脱し、第1係合部の個数に応じたクリックを生ずる。
【0025】
同様に、運動伝達部材が回転軸部の他端側へ移動した場合、第2クリック部材の運動伝達部材側の端部と運動伝達部材の第2クリック部材側の端部とが連結し、第1クリック部材と運動伝達部材とは連結しない。この場合、第2クリック部材の外周面に形成されている第2係合部と、第2クリック部材の外周面に対向配置されている第2被係合部とが、操作摘みの回転操作によって係脱し、第2係合部の個数に応じたクリックを生ずる。
つまり切替操作摘みは、クリック数を変更するための操作手段として機能する。
【0026】
第4発明にあっては、伝達機構が、突設部と、固定筒と、回転筒と、固定筒の周面を貫通して形成されている固定側案内溝と、回転筒の少なくとも内周面に形成されている回転側案内溝とを有する。
突設部は、運動伝達部材の外周面に突設されており、運動伝達部材に対して回転軸部の軸長方向の移動を伝達し、且つ、運動伝達部材の周方向に沿って、運動伝達部材に対して相対回転する。
固定筒は、回転軸部に同軸に配されて、第1クリック部材及び第2クリック部材並びに運動伝達部材を囲繞し、回転筒は、回転軸部に同軸に配されて、固定筒を囲繞する。また、回転筒は、切替操作摘みの回転に応じて回転する。
【0027】
固定側案内溝は、突設部が挿入されて、突設部の回転軸部の軸長方向の移動を案内しつつ突設部の回転軸部の周方向の回転を規制する。一方、回転側案内溝は、回転軸部の軸長方向に傾斜して形成されており、固定側案内溝を貫通している突設部が挿入されて、突設部の回転軸部の軸長方向の移動及び回転軸部の周方向の相対回転夫々を案内する。
切替操作摘みの回転に応じて回転筒が回転すると、回転側案内溝及び固定側案内溝夫々に沿って突設部が回転軸部の軸長方向に移動し、突設部の軸長方向への移動に伴って、この移動が伝達された運動伝達部材が回転軸部の軸長方向に移動する。
【0028】
また、切替操作摘みの回転に応じて回転筒が回転すると、突設部は固定側案内溝に規制されて回転軸部の周方向には移動せず、回転筒と突設部とは相対回転する。つまり、突設部が回転軸部の周方向に停止した状態で回転筒が回転し、回転筒の回転に伴って、突設部が固定側案内溝に案内される。
更にまた、操作摘みの回転操作に応じて回転する運動伝達部材と突設部とは回転軸部の周方向に沿って相対回転する。つまり、突設部が回転軸部の周方向に停止した状態で運動伝達部材が回転する。
【0029】
このように、突設部が、回転軸部の周方向の回転を規制されているため、操作摘みの回転操作に応じた運動伝達部材の回転が、突設部を介して回転筒に伝達して回転筒が不要に回転することが抑制され、この結果、回転する回転筒の回転側案内溝に案内された突設部が回転軸部の軸長方向に不要に移動することが抑制されている。
【発明の効果】
【0030】
第1発明の操作装置による場合、係合部と被係合部との係脱によってクリックを発生させることができ、また、一の被係合部と一のクリック部材の係合部とが係脱しているときは他の被係合部と他のクリック部材の係合部とが係脱しないように、運動伝達部材の各クリック部材に対する連結及び連結解除を手動又は自動で同時的に切り替えることができる。
従って、モータ及びモータの制御部等、又は電子音発生部及び電子音発生部の制御部等を用いてクリックを発生させる装置を備える必要がないため、簡易な構成で、容易にクリック数を変更することができる。
【0031】
第2発明の操作装置による場合、運動伝達部材の第1クリック部材に対する連結及び連結解除と運動伝達部材の第2クリック部材に対する連結解除及び連結を手動で同時的に切り替えることができる。
従って、モータ及びモータの制御部等を用いて運動伝達部材の各クリック部材に対する連結及び連結解除を自動で行なうための装置を備える必要がないため、更に簡易な構成で、使用者が容易にクリック数を変更することができる。
【0032】
第3発明の操作装置による場合、使用者が切替操作摘みを操作することによって、簡易な機械的構成で、運動伝達部材の第1クリック部材に対する連結及び連結解除と運動伝達部材の第2クリック部材に対する連結解除及び連結とを手動で同時的に切り替えることができる。つまり、容易にクリック数を変更することができる。
また、クリック数を変更するための切替操作摘みは、クリックを発生させるための操作摘みと同軸に配されているため、使用者は、操作摘みに対応する切替操作摘みを容易に判断することができる。
【0033】
第4発明の操作装置による場合、使用者が切替操作摘みを操作することによって、簡易な機械的構成で、運動伝達部材を回転軸部の軸長方向に手動で往復移動させることができる。つまり、容易にクリック数を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0035】
図1は、本発明の実施の形態に係る操作装置の構成を示す斜視図である。
また、図2は、図1に示す構成から操作摘みとしての上段ダイヤルを除いた状態を示す分解斜視図であり、図3は、図2に示す構成から切替操作摘みとしての下段ダイヤルを除いた状態を示す分解斜視図である。更に図4は、図3に示す構成から回転筒を除いた状態を示す分解斜視図であり、図5は、図4に示す構成から固定筒を除いた状態を示す分解斜視図であり、図6は、図5に示す構成からクリック部材としての各クリック筒を除いた状態を示す分解斜視図である。
【0036】
更にまた、図7は、この操作装置が備える固定側案内溝及び回転側案内溝夫々が突設部を案内することによる突設部の位置変化を説明する模式的な正面図であり、図8は、この操作装置が備える2個のクリック筒夫々と運動連結部材との連結/連結解除の切替えを説明する模式的な正面図である。
図中1は操作装置であり、操作装置1は、図示しない車載の空気調和機を使用者が操作するための操作装置であって、空気調和機の図示しないCPUを実装してあるプリント基板91の一面に実装されている。以下では、この一面に垂直な方向を上下方向といい、プリント基板91から離隔する方向を上方向、プリント基板91に接近する方向を下方向という。
【0037】
図1に示すように、操作装置1は、回転式の操作摘みである上段ダイヤル11と、回転式の切替操作摘みである下段ダイヤル12とを備える2段式のダイヤルスイッチである。
操作装置1においては、使用者が上段ダイヤル11を回転操作させた場合にクリックが発生し、下段ダイヤル12を回転操作させた場合にクリック数が切り替えられる。以下では、クリックを発生させるための構成とクリック数を切り替えるための構成とについて主に説明する。
【0038】
上段ダイヤル11は時計回り及び反時計回り夫々に360°回転自在な円筒状であり、上段ダイヤル11の軸長方向は上下方向に沿う。
一方、下段ダイヤル12は、180°以下の所定の回転角の範囲内で時計回り及び反時計回り夫々に回転自在な円筒状であって、外径が上段ダイヤル11の外径よりも大きく、また、下段ダイヤル12は上段ダイヤル11に対し同軸に配されている。ただし、下段ダイヤル12の平面視は、円筒の周方向の一部が径方向に突出したような略卵形である。
【0039】
図1及び図6に示すように、操作装置1は、軸長方向が上下方向に沿うようプリント基板91に立設されている円筒状の回転軸部13を備える。以下では、回転軸部13の軸長方向を単に軸長方向といい、回転軸部13の周方向を単に周方向という。
回転軸部13は、下端部がプリント基板91に周方向に回動自在に支持されており、上端部には、上段ダイヤル11が同軸に連結されて、上段ダイヤル11の回転操作に応じて回転するよう構成されている。
【0040】
回転軸部13の下端周面には、プリント基板91に略平行に配された平歯車を用いてなる中継歯車921と噛合する歯部13aが周設されており、上段ダイヤル11の回転量に等しい回転軸部13の回転量が中継歯車921を介して間接的にロータリーエンコーダ92に伝達されるよう構成されている。ロータリーエンコーダ92は、中継歯車921の回転量を検出することによって回転軸部13の回転量、延いては上段ダイヤル11の回転量を検出し、検出結果をCPUに与える。
【0041】
図5、図6及び図8に示すように、操作装置1は、回転軸部13の上端側、中央部、及び下端側に同軸に外嵌されている円筒状の第1クリック部材であるクリック筒41、円筒状の運動伝達部材である運動伝達筒2、及び円筒状の第2クリック部材であるクリック筒42を備える。つまり、クリック筒41、運動伝達筒2及びクリック筒42は、この順に上から配されている。
【0042】
運動伝達筒2は、回転軸部13と一体的に回転するよう、回転軸部13に対して周方向に固定されている。ただし、運動伝達筒2は、回転軸部13の軸長方向に往復移動可能にしてある。このために、例えば運動伝達筒2の内面に、軸長方向に長い案内溝が形成されており、回転軸部13の中央部に、この案内溝に挿入されて軸長方向に案内され、且つ、周方向の移動を規制される突出部が形成されている。
【0043】
クリック筒41は周方向に回転可能であるが、クリック筒41と回転軸部13との間には遊びが設けられており、後述するようにクリック筒41と運動伝達筒2とが連結されていなければ、回転軸部13が回転しても、クリック筒41が回転軸部13と一体的に回転することはなく、略静止している。
また、クリック筒41は、重力によって所定の位置から下へ落ちて運動伝達筒2に不要に接触、連結等しないようにしてある。このために、例えばクリック筒41の上端部にフランジを設け、このフランジの下面を、後述する固定筒62の内面に設けられている第1の支持突起で支持してある。ただし、この支持突起による支持は、クリック筒41の周方向の回転を阻害しない。
【0044】
同様に、クリック筒42は周方向に回転可能であるが、クリック筒42と運動伝達筒2とが連結されていなければ、回転軸部13が回転しても、クリック筒42が回転軸部13と一体的に回転することはなく、略静止している。
また、クリック筒42は、中継歯車921と回転軸部13の歯部13aとの噛合を阻害しないよう、プリント基板91上面から適長離隔して配設されている。このために、例えばクリック筒42の下端面を、固定筒62の内面に設けられている第2の支持突起で支持してある。ただし、この支持突起による支持は、クリック筒42の周方向の回転を阻害しない。
【0045】
クリック筒41の外周面には、M個(具体的には18個)の凸状の第1係合部であるクリック溝31,31,…が、各クリック溝31が軸長方向に沿うよう、周方向に略等間隔に並設されている。
同様に、クリック筒42の外周面には、N個(具体的には36個)の凸状の第2係合部であるクリック溝32,32,…が、各クリック溝32が軸長方向に沿うよう、周方向に略等間隔に並設されている。
【0046】
また、クリック筒41の外周面に略垂直に、棒状のボールプランジャ511が配設されている。ボールプランジャ511は、有底筒状の本体51aとボール部51とを備え、ボール部51は、本体51aの開口側端部に、本体51aから半ば露出した状態で配設されている。ボールプランジャ511は、ボール部51が外力を受けて本体51a内部側へ押し込まれた場合、本体51aに内蔵されている図示しないバネに付勢されて元の位置へ戻るよう構成されている。
このようなボール部51は、クリック筒41の係合部形成面である外周面に対抗配置されており、クリック筒41とボール部51とが周方向に相対回転することによって、クリック溝31,31,…に係脱する第1被係合部として機能する。
【0047】
同様に、クリック筒42の外周面に略垂直にボールプランジャ521が配設されており、ボールプランジャ521のボール部52は、クリック筒42の係合部形成面である外周面に対抗配置されており、クリック筒42とボール部52とが周方向に相対回転することによって、クリック溝32,32,…に係脱する第2被係合部として機能する。
ボールプランジャ511,521は、互いに上下方向に離隔配置されて、ボールプランジャ511の本体51a及びボールプランジャ521の本体52a夫々の有底側端部が、固定筒62の内面に取着されている。
【0048】
運動伝達筒2の上端面には4個の凸部21,21,…が周方向に等間隔に形成されており、クリック筒41の下端面には凸部21,21,…と嵌合する多数のの凹部41a,41a,…が周方向に等間隔に形成されており、運動伝達筒2が上方向(図8(a)中白抜矢符方向)へ移動して運動伝達筒2の凸部21,21,…がクリック筒41の凹部41a,41a,…に嵌合することによって、運動伝達筒2とクリック筒41とが連結される。ここで、運動伝達筒2とクリック筒41とが連結されている間は、運動伝達筒2とクリック筒42とは連結、接触等をしない。なお、凸部21,21,…と凹部41a,41a,…との嵌合に限定されず、例えば磁石と鉄片との吸着によって連結する構成でもよい。
【0049】
運動伝達筒2に連結されているクリック筒41は、回転軸部13と一体的に回転する。何故ならば、上段ダイヤル11の回転操作に応じて回転軸部13が回転し、この回転軸部13と一体的に、クリック筒41に連結している運動伝達筒2が回転するからである。
【0050】
同様に、運動伝達筒2の下端面には4個の凸部22,22,…が周方向に等間隔に形成されており、クリック筒42の上端面には凸部22,22,…と嵌合する多数の凹部42a,42a,…が周方向に等間隔に形成されており、運動伝達筒2が下方向(図8(b)中白抜矢符方向)へ移動して運動伝達筒2の凸部22,22,…がクリック筒42の凹部42a,42a,…に嵌合することによって、運動伝達筒2とクリック筒42とが連結される。ここで、運動伝達筒2とクリック筒42とが連結されている間は、運動伝達筒2とクリック筒41とは連結、接触等をしない。
【0051】
運動伝達筒2に連結されているクリック筒42は、回転軸部13と一体的に回転する。何故ならば、上段ダイヤル11の回転操作に応じて回転軸部13が回転し、この回転軸部13と一体的に、クリック筒42に連結している運動伝達筒2が回転するからである。
図8においては、簡単のため、凹部41a,41a,…及び凹部42a,42a,…の個数は凸部21,21,…及び凸部22,22,…の個数と同数に省略されている。
【0052】
このように、運動伝達筒2は、クリック筒41,42の何れか一方に連結して、上段ダイヤル11の回転操作に応じた回転を、連結対象であるクリック筒41(又はクリック筒42)に伝達する。
図8(a)に示すように、クリック筒41が運動伝達筒2に連結されている場合、使用者による上段ダイヤル11の回転操作に応じて、クリック筒41とボール部51とが、上段ダイヤル11の操作方向である周方向に相対回転する。更に詳細には、ボール部51が静止した状態で、クリック筒41が回転する。この結果、ボール部51がクリック溝32,32,…に係脱して、上段ダイヤル11の1回転あたり18回のクリックが発生し、使用者が、発生したクリックに応じたクリック感(カチカチという音、又は指先に伝わる振動の感触等)を覚える。
【0053】
また、図8(b)に示すように、クリック筒42が運動伝達筒2に連結されている場合、使用者による上段ダイヤル11の回転操作に応じて、クリック筒42とボール部52とが、上段ダイヤル11の操作方向である周方向に相対回転する。この結果、ボール部52がクリック溝32,32,…に係脱して、上段ダイヤル11の1回転あたり36回のクリックが発生し、使用者が、発生したクリックに応じたクリック感を覚える。
【0054】
運動伝達筒2のクリック筒41に対する連結及び連結解除と、運動伝達筒2のクリック筒42に対する連結解除及び連結とを同時的に切替自在にするために、操作装置1は図2に示すように切替操作部14を備え、切替操作部14は、下段ダイヤル12と、下段ダイヤル12の回転を軸長方向の往復移動に変換して運動伝達筒2に伝達する伝達機構6とを備える。更に伝達機構6は、各後述する突設部61、固定筒62、回転筒63、固定側案内溝64及び回転側案内溝65を備える。
【0055】
図5、図6及び図8に示すように、突設部61は、運動伝達筒2の外周面に突設されている。運動伝達筒2には案内溝23が周設されており、突設部61は、直方体状の突設土台611と突出円筒612とを備える。突設土台611は、一面を運動伝達筒2側に向け、長手方向を軸長方向に沿わせた状態で運動伝達筒2に取り付けられており、案内溝23に案内されて周方向に移動可能に設けられている。一方、突出円筒612は、突設土台611の運動伝達筒2側の面の逆側の面から突出している。
【0056】
突設部61は、周方向に沿って運動伝達筒2に対して相対回転する。具体的には、後述するように突設部61が周方向の移動を規制されて静止し、運動伝達筒2が周方向に回転する。
一方、突設部61は、運動伝達筒2に対して軸長方向の移動を伝達する。具体的には、後述するように突設部61が上方向(又は下方向)に移動することによって、突設部61の移動に伴い、運動伝達筒2が上方向(又は下方向)に移動する。
【0057】
図4に示すように、固定筒62は、回転軸部13に同軸に配されて、クリック筒41,42及び運動伝達筒2を囲繞する。固定筒62がクリック筒41,42及び運動伝達筒2夫々の周方向の回転を阻害しないよう、これらの筒部材と固定筒62との間には適宜の空隙が設けられている。また、固定筒62が中継歯車921と回転軸部13の歯部13aとの噛合を阻害しないよう、固定筒62の下端面とプリント基板91との間にはスペーサ922が介在しており、このスペーサ922を介して間接的に、固定筒62の下端部がプリント基板91に固定されている。
【0058】
図4及び図7に示すように、固定筒62の周面には、この周面を貫通して、固定側案内溝64が形成されている。固定側案内溝64は、突設部61の突設土台611の横幅と略等しい横幅を有し、突設土台611の縦長さよりも長い縦長の矩形状である。
固定側案内溝64には突設部61の突設土台611が挿入されており、突設土台611が固定側案内溝64によって上方向(図7(a)中白抜矢符方向)及び下方向(図7(b)中白抜矢符方向)夫々の移動を案内され、また、周方向の回転を規制される。
突設部61の突出円筒612は、固定側案内溝64の外面側に露出している。
【0059】
図1〜図3に示すように、回転筒63は、回転軸部13に同軸に配されて、固定筒62を囲繞する。固定筒62が回転筒63の周方向の回転を阻害しないよう、回転筒63と固定筒62との間には適宜の空隙が設けられている。また、回転筒63が中継歯車921と回転軸部13の歯部13aとの噛合を阻害しないよう、回転筒63の下端面とプリント基板91との間にはスペーサ922が介在しており、回転筒63は、下端部がスペーサ922に周方向に回動自在に支持されている。
【0060】
回転筒63の上端部には、下段ダイヤル12が同軸に連結されて、下段ダイヤル12の回転操作に応じて回転するよう構成されている。
回転筒63の下端周面には、プリント基板91に略平行に配された平歯車を用いてなる中継歯車931と噛合する歯部63aが周設されており、下段ダイヤル12の回転量に等しい回転筒63の回転量が中継歯車931を介して間接的にロータリーエンコーダ93に伝達されるよう構成されている。ロータリーエンコーダ93は、中継歯車931の回転量を検出することによって回転筒63の回転量、延いては下段ダイヤル12の回転量を検出し、検出結果をCPUに与える。
【0061】
ロータリーエンコーダ93が下段ダイヤル12の第1所定回転量を検出した場合、CPUは、空気調和機を制御して、送風量を変更する。この場合、上段ダイヤル11の回転操作に応じて回転するロータリーエンコーダ92は、18段階の分解能を与えられ、送風量の多寡を切り替えるスイッチとして機能する。
また、ロータリーエンコーダ93が下段ダイヤル12の第2所定回転量を検出した場合、CPUは、空気調和機を制御して、運転席側の送風温度を変更する。この場合、ロータリーエンコーダ92は、36段階の分解能を与えられ、運転席側の送風温度の高低を切り替えるスイッチとして機能する。
【0062】
更にまた、ロータリーエンコーダ93が下段ダイヤル12の第3所定回転量を検出した場合、CPUは、空気調和機を制御して、助手席側の送風温度を変更する。この場合、ロータリーエンコーダ92は、36段階の分解能を与えられ、助手席側の送風温度の高低を切り替えるスイッチとして機能する。
なお、CPUは、例えばカーナビの表示部に、操作装置1による現在の設定状態を示す情報(例えば「運転席側の送風温度」「18℃」等の文字)を表示させてもよい。
【0063】
図1〜図3及び図7に示すように、回転筒63の周面には、この周面を貫通して、回転側案内溝65が形成されている。回転側案内溝65は、突設部61の突出円筒612の直径と略等しい幅を有し、長手方向が、下段ダイヤル12の第1所定回転量に対応する位置から下段ダイヤル12の第3所定回転量に対応する位置まで長く設けられている。
更に詳細には、回転側案内溝65は、図7に示すように、下段ダイヤル12の第1所定回転量に対応する位置から下段ダイヤル12の第2所定回転量に対応する位置まで、軸長方向に傾斜して形成されている螺旋状の斜め溝65aと、第2所定回転量に対応する位置から第3所定回転量に対応する位置まで、プリント基板91に略平行な一直線状に形成されている横溝65bとを有する。
【0064】
回転側案内溝65には突設部61の突出円筒612が挿入されており、斜め溝65aに挿入されている突出円筒612は、軸長方向の移動及び周方向の相対回転夫々を案内される。つまり、周方向に静止している突出円筒612に対して回転筒63が周方向に回転することによって、突出円筒612は斜め溝65aに案内されて上方向(図7(a)中白抜矢符方向)又は下方向(図7(b)中白抜矢符方向)に移動する。
また、横溝65bに挿入されている突出円筒612は、周方向の相対回転を案内される。つまり、周方向に静止している突出円筒612に対して回転筒63が周方向に回転しても、突出円筒612は軸長方向の移動を規制されて略静止している。
【0065】
下段ダイヤル12の回転操作に応じて、図7(a)に示すように、突設部61が回転側案内溝65の最上端(更に詳細には斜め溝65aの最上端)へ移動することによって、図8(a)に示すように、運動伝達筒2が上方向へ移動して、運動伝達筒2とクリック筒41とが連結し、運動伝達筒2とクリック筒42との連結が解除される。
【0066】
下段ダイヤル12が図7(b)中矢符方向(以下、右方向という)に回転操作された場合、回転筒63の右方向の回転に伴い、突設部61が回転側案内溝65の最下端(更に詳細には斜め溝65aの最下端、且つ横溝65bの右端部)へ移動する。即ち、突設部61が相対的に左下方向へ移動する。
このため、図8(b)に示すように、運動伝達筒2が下方向へ移動して、運動伝達筒2とクリック筒42とが連結し、運動伝達筒2とクリック筒41との連結が解除される。
【0067】
下段ダイヤル12が図7(c)中矢符方向に更に回転操作された場合、突設部61が横溝65bの左端部へ移動する。即ち、突設部61が相対的に左方向へ移動する。このため、運動伝達筒2とクリック筒42とは図8(b)に示すように連結したままである。
【0068】
以上のように、使用者によって回転操作された下段ダイヤル12の回転が軸長方向の往復移動に変換されて運動伝達筒2に伝達し、この結果、運動伝達筒2のクリック筒41,42に対する連結及び連結解除が同時的に切り替えられることによって、上段ダイヤル11の1回転あたりのクリック数は、18個及び36個の何れか一方に容易に切り替えられる。
【0069】
このような操作装置1は、空気調和機の設定モードの切り替えを下段ダイヤル12に割り当て、設定すべき変量の大小の切替を上段ダイヤル11に割り当てて、下段ダイヤル12が回転操作されることにより、上段ダイヤル11に係るクリック数が変更される。操作装置1は簡易な機械的構成を有するため、低コストで製造が可能である。
【0070】
なお、本発明の操作装置の操作摘みは、上段ダイヤル11のような回転式に限定されず、スライド式であってもよい。
また、運動伝達筒2がクリック筒41,42両方に連結していない状態で上段ダイヤル11を回転操作する構成を含めてもよい。この場合、18個、36個、0個(即ちクリックなし)の3段階にクリック数が変更される。
【0071】
更に、クリック溝31,32の代わりに凸条部を形成する構成でもよく、凸状に形成された係合部に対応して被係合部が凹状に形成してある構成でもよい。
更にまた、このような操作装置は車載の空気調和機に対して設けられる構成に限定されず、例えば車載のラジオ、一般的な空気調和機等に対して設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態に係る操作装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す構成から操作摘みとしての上段ダイヤルを除いた状態を示す分解斜視図である。
【図3】図2に示す構成から切替操作摘みとしての下段ダイヤルを除いた状態を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示す構成から回転筒を除いた状態を示す分解斜視図である。
【図5】図4に示す構成から固定筒を除いた状態を示す分解斜視図である。
【図6】図5に示す構成からクリック部材としての各クリック筒を除いた状態を示す分解斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る操作装置が備える固定側案内溝及び回転側案内溝夫々が突設部を案内することによる突設部の位置変化を説明する模式的な正面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る操作装置が備える2個のクリック筒夫々と運動連結部材との連結/連結解除の切替えを説明する模式的な正面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 操作装置
11 上段ダイヤル(操作摘み)
12 下段ダイヤル(切替操作摘み)
13 回転軸部
14 切替操作部(切替操作手段)
2 運動伝達筒(運動伝達部材)
31 クリック溝(係合部,第1係合部)
32 クリック溝(係合部,第2係合部)
41 クリック筒(クリック部材,第1クリック部材)
42 クリック筒(クリック部材,第2クリック部材)
51 ボール部(被係合部,第1被係合部)
52 ボール部(被係合部,第2被係合部)
6 伝達機構
61 突設部
62 固定筒
63 回転筒
64 固定側案内溝
65 回転側案内溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式又はスライド式の操作摘みが操作された場合にクリックを発生させる操作装置において、
クリックを発生させるべく、異なる個数の係合部が夫々形成してある複数のクリック部材と、
各クリック部材の係合部形成面に対向配置され、対向するクリック部材に対して相対運動することによって、該クリック部材に形成されている係合部に係脱する被係合部と、
前記複数のクリック部材の何れか一つに連結して、前記操作摘みの操作に応じた運動を、連結対象であるクリック部材に伝達する運動伝達部材と
を備え、
前記クリック部材は、前記運動伝達部材に連結されている場合以外は略静止するようにしてあり、
前記運動伝達部材の各クリック部材に対する連結及び連結解除を同時的に切替自在にしてあることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
M個(Mは自然数)の凹状又は凸状の第1係合部が形成してある第1クリック部材と、
N個(Nは自然数、N≠M)の凹状又は凸状の第2係合部が形成してある第2クリック部材と、
前記第1クリック部材及び第2クリック部材に各対向配置され、前記第1係合部及び第2係合部に各係脱自在に設けてある第1被係合部及び第2被係合部と、
前記運動伝達部材の前記第1クリック部材に対する連結及び連結解除、並びに前記運動伝達部材の前記第2クリック部材に対する連結解除及び連結を同時的に切替自在にするための切替操作手段と
を備え、
前記第1クリック部材(又は第2クリック部材)が前記運動伝達部材に連結されている場合に、前記操作摘みの操作に応じて、前記第1クリック部材と前記第1被係合部と(又は前記第2クリック部材と前記第2被係合部と)が、前記操作摘みの操作方向に夫々相対移動するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記操作摘みは回転式であり、
前記運動伝達部材は、前記操作摘みの回転操作に応じて回転する回転軸部の中央部に同軸に外嵌されている筒状であって、前記回転軸部と一体的に回転し、また、該回転軸部の軸長方向に往復移動可能にしてあり、
前記第1クリック部材及び第2クリック部材夫々は、前記回転軸部の一端側及び他端側に同軸に遊びを有して外嵌されている筒状であり、また、前記軸長方向の前記運動伝達部材の側の端部が、該端部に対向する前記運動伝達部材の前記軸長方向の端部に連結可能にしてあり、
前記第1係合部及び第2係合部夫々は、筒状の前記第1クリック部材及び第2クリック部材の外周面に形成されており、
前記第1被係合部及び第2被係合部夫々は、前記第1クリック部材及び第2クリック部材の外周面に対向配置されており、
前記切替操作手段は、
前記操作摘みと同軸に配されている回転式の切替操作摘みと、
該切替操作摘みの回転を前記軸長方向の往復移動に変換して前記運動伝達部材に伝達する伝達機構と
を有することを特徴とする請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記伝達機構は、
前記運動伝達部材に対して前記軸長方向の移動を伝達し、且つ、前記運動伝達部材の周方向に沿って該運動伝達部材に対して相対回転するよう前記運動伝達部材の外周面に突設されている突設部と、
前記回転軸部に同軸に配されて、前記第1クリック部材及び第2クリック部材、並びに前記運動伝達部材を囲繞する固定筒と、
前記切替操作摘みの回転に応じて回転し、前記回転軸部に同軸に配されて、前記固定筒を囲繞する回転筒と、
前記固定筒の周面を貫通して形成されており、前記突設部が挿入されて、該突設部の前記軸長方向の移動を案内しつつ前記周方向の回転を規制する固定側案内溝と、
前記回転筒の少なくとも内周面に、前記軸長方向に傾斜して形成されており、前記突設部が挿入されて、該突設部の前記軸長方向の移動及び前記周方向の相対回転夫々を案内する回転側案内溝と
を有することを特徴とする請求項3に記載の操作装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−262834(P2008−262834A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105235(P2007−105235)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】