説明

操作装置

【課題】スイッチ操作領域の平面化を比較的低コストで適切に図り、操作領域の汚れ問題などに好適に対処することが可能な操作装置を提供する。
【解決手段】制御回路2Aを内部に収容する筐体1と、この筐体1の壁部11の表面側に設けられたスイッチ操作部SW0〜SW3と、を備えている、操作装置Aであって、制御回路2Aに接続されて壁部11の裏面に接触または接近するように筐体1内に設けられ、かつ前記スイッチ操作部SW0〜SW3を静電スイッチ操作部とする静電容量センサ4と、壁部11の裏面側に凹状部12を設けることにより形成され、かつ筐体1内に設けられた光源7から発せられる光を透過させることによって静電スイッチ操作部SW0〜SW3の位置を認識させる表示が可能な透光用の薄肉部12と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置やその他の装置のリモコンなどとして用いるのに好適な操作装置、さらに詳しくは、スイッチ操作部が設けられる領域をシンプルなデザイン仕様とするのに適する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の給湯装置用の操作装置は、たとえば特許文献1〜3に記載されているように、制御回路を内部に収容した筐体の前面部に、複数のスイッチ操作部が設けられた構成とされているのが一般的である。また、スイッチ操作部は、多くの場合、押圧式のスイッチ釦として構成されているのが実情である。ところが、このような押圧式のスイッチ釦を操作装置の筐体表面に設けたのでは、その領域が凹凸状となってしまい、汚れ易くなる。また、仮に、操作部領域が汚れたときには、この領域が凹凸状であるが故に、その拭き掃除なども容易に行なうことが困難となる。とくに、給湯装置用の操作装置は、台所などの壁面に設置されて、水仕事の合間にスイッチ操作がなされる場合が多いために、より汚れ易い。したがって、汚れ難く、かつ汚れを生じた際にはその汚れを落とし易くすることが要望される。
【0003】
前記要望に応えるための一手段としては、操作手段として、表面部分が平面状のタッチパネルを用いることが考えられる。しかしながら、タッチパネルは、表示機能と操作入力機能とを兼備する比較的高価な機器であり、このようなタッチパネル一式を筐体の表面部に装着したのでは、タッチパネルのコストに加え、このタッチパネルを筐体に体裁良く装着するための特殊な構造を構築するためのコストも必要となり、操作装置全体が非常に高価となる難点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−99433号公報
【特許文献2】特開平05−103383号公報
【特許文献3】特開平10−112890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、スイッチ操作領域の平面化を比較的低コストで適切に図り、操作領域の汚れ問題などに好適に対処することが可能な操作装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明により提供される操作装置は、制御回路を内部に収容する筐体と、この筐体の壁部の表面側に設けられたスイッチ操作部と、を備えている、操作装置であって、前記制御回路に接続されて前記壁部の裏面に接触または接近するように前記筐体内に設けられ、かつ前記スイッチ操作部として静電スイッチ操作部を形成する静電容量センサと、前記壁部の裏面側に凹状部を設けることにより形成され、かつ前記筐体内に設けられた光源から発せられる光を透過させることによって前記静電スイッチ操作部の位置を認識させる表示が可能な透光用の薄肉部と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、筐体の壁部の表面側に物理的なスイッチ釦を有しない静電スイッチ操作部が形成されているが、その位置は、透光用の薄肉部が光を透過させる表示によって適切に認識することができる。したがって、ユーザは、スイッチ操作を適正に行なうことが可能である。本発明では、静電スイッチ操作部が静電容量センサを筐体内に設けることにより構成され、かつ前記透光用の薄肉部は、前記筐体の壁部の裏面側に凹状部を設けることにより形成されており、これら全体を仮にタッチパネル構造であると見做すと、筐体の壁部がタッチパネルの主要な構成部材として有効に利用されていることとなる。したがって、タッチパネル一式を筐体に組み込む場合と比較すると、その製造コストは格段に廉価にすることができる。本発明によれば、筐体の表面側のスイッチ操作部の形成領域を凹凸の無い、または殆ど無い平面状に形成することが可能である。したがって、スイッチ操作領域が凹凸状に形成されていた従来のものと比較すると、その表面構造はシンプルであって見栄えがよく、スイッチ操作部の形成領域が汚れ難くなる効果や、汚れが落ち易くなる効果も得られる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記透光用の薄肉部は、前記静電スイッチ操作部の位置に加え、前記静電スイッチ操作部の種類または機能を識別するための文字、記号、または模様をさらに表示可能に形成されている。
【0010】
このような構成によれば、静電スイッチ操作部の種類または機能を識別するための文字などを筐体の壁部表面に印刷するといった必要を無くし、または少なくし、筐体の表面部をすっきりしたデザインに仕上げるのに、より好ましいものとなる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記壁部の裏面のうち、前記凹状部の周囲には、この凹状部よりも深さが浅い追加の凹状部が形成されて、前記薄肉部の周囲は、前記薄肉部と非薄肉部との中間の厚みを有する中間肉厚部とされている。
【0012】
このような構成によれば、中間肉厚部の存在により、筐体の壁部の厚みが、非薄肉部と薄肉部との間で急変することが回避される。前記構成とは異なり、非薄肉部と薄肉部との間で厚みが急変する場合には、筐体を樹脂成形する際に、筐体の表面側にヒケを生じ易くなるが、前記構成によれば、そのようなことを防止することができる。したがって、筐体の表面を綺麗な平面状に仕上げるのにより好適である。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記静電容量センサは、絶縁シートに電極部およびこの電極部に繋がったリード線部がパターン形成された構成を有しており、前記絶縁シートには、1または複数のスリットが形成されていることにより、このスリットを介して前記電極部の形成領域と非形成領域とは区画され、かつこれら電極部の形成領域と非形成領域とは、スリットが設けられていない橋渡し部を介して互いに繋がっており、前記電極部の非形成領域は、前記非薄肉部の裏面に接触または接近した配置とされている一方、前記電極部の形成領域は、前記追加の凹状部内に配置されて前記中間肉厚部に接触または接近しており、前記中間肉厚部と前記非薄肉部との段差部分には、前記橋渡し部が配置されている。
【0014】
このような構成によれば、静電容量センサの電極部が追加の凹状部内に配置されることなく非薄肉部に対面して設けられる場合と比較すると、電極部を筐体壁部の表面により接近させることができる。したがって、静電スイッチ感度を高めることができる。一方、静電容量センサの電極部の形成領域を追加の凹状部内に配置させた構成においては、本来ならば、電極部の形成領域と非形成領域との間に生じる段差に起因して静電容量センサの絶縁シートに大きな皺あるいは歪みが発生し易くなるが、前記構成によれば、スリットおよび橋渡し部の存在によって、そのような不具合も適切に回避することができる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記静電容量センサは、透光性を有する絶縁シートに、電極部およびこの電極部に繋がったリード線部がパターン形成された構成を有しており、前記静電容量センサのうち、少なくとも前記電極部は、前記光源から前記透光用の薄肉部に向けて進行する光を遮らないように、前記薄肉部とはオーバラップしない配置とされている。
【0016】
このような構成によれば、静電容量センサの存在に起因して光源から薄肉部に到達する光の量が大きく減少する不具合を生じないようにすることができる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記透光用の薄肉部としては、正面視形状が円形リング状、矩形リング状、もしくはこれ以外のリング状、または一部切欠きリング状とされた薄肉部が設けられ、前記電極部は、正面視において前記リング状の薄肉部の周囲を囲む配置に設けられており、正面視において前記薄肉部の内側に位置してリード線部を介して繋がったアイランド電極部を有している。
【0018】
このような構成によれば、光源から薄肉部に向かう光が静電容量センサの電極部によって遮られることを回避しつつ、静電容量センサの電極部の総面積を大きくし、静電スイッチ感度を高めることができる。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る操作装置の一例を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示す操作装置の分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III要部断面図である。
【図4】図1に示す操作装置において用いられている静電容量センサの一例を示す平面図である。
【図5】図4に示す静電容量センサと図1の操作装置に設けられる透光用の薄肉部との位置関係を示す要部拡大図である。
【図6】本発明の他の例を示す要部断面図である。
【図7】(a)は、図6に示す構造に用いられる静電容量センサの例を示す平面図であり、(b)は、その側面図である。
【図8】(a)は、本発明の他の例を示す要部断面図であり、(b)は、(a)に示す構造に用いられる静電容量センサの例を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1〜図5は、本発明が適用された操作装置の一例を示している。本実施形態の操作装置Aは、たとえば風呂自動湯張り機能を備えた給湯装置(図示略)の遠隔操作用であり、台所などの壁面に取り付けられて、前記給湯装置のメインコントローラと配線接続された状態で使用される。
【0023】
図1および図2によく表われるように、この操作装置Aは、筐体1、この筐体1の前壁部11の表面側に形成された複数の静電スイッチ操作部SW0〜SW3、これらとは異なった押圧釦方式が採用された操作スイッチ8、透光用の複数の薄肉部12(12A〜12E)、筐体1内に位置する制御回路2Aを構築する制御基板2、データ表示用の表示部3、および静電容量センサ4を具備している。
【0024】
筐体1は、扁平な略直方体状であり、前壁部11を有する筐体本体部10を有している。この筐体本体部10は、合成樹脂製である。本実施形態では、筐体本体部10の背面側に背板部19が取り付けられているが、筐体1は、そのような背板部19を具備することなく、台所などの壁面に取り付けられる構造とすることもできる。
【0025】
制御基板2は、所定の制御回路2Aを構築する種々の電気・電子部品を搭載しており、筐体1内に収容されてボルト(図示略)などを用いて固定されている。データ表示用の表示部3は、給湯温度や時刻などのデータを適宜切り替え表示するためものであり、たとえば蛍光表示管、液晶パネル、あるいは有機ELパネルなどを用いて構成されている。この表示部3は、制御基板2に搭載されて、筐体1の前壁部11に設けられている窓部18に臨むように配置され、かつ透光性のカバー体17によってその表面が覆われている。
【0026】
静電容量センサ4は、静電スイッチ操作部SW0〜SW3を形成するためのものであり、図3に示すように、筐体1の前壁部11の裏面側に接触または接近して配置されて固定されている。好ましくは、この固定手段としては、たとえば静電容量センサ4を前壁部11の裏面へ接着させる手段が採用される。図4によく表われているように、静電容量センサ4は、透光性および可撓性を有する合成樹脂製の絶縁シート40に、複数の電極部E0〜E4、およびこれらに繋がった複数のリード線部41が銅などを用いてパターン形成された構成を有している。各リード線部41の端部41aは、制御基板2の端子部29(図2を参照)と接続され、静電容量センサ4への通電はこの端子部29を介して行なわれる。制御回路2Aは、電極部E0〜E3のそれぞれの近傍における静電容量の変化に基づいてスイッチ操作がなされたか否かを判断可能であり、前壁部11の前面側のうち、電極部E0〜E3の正面領域が、無接点方式の静電スイッチ操作部SW0〜SW3である。電極部E4は、誤動作防止用であり、この電極部E4の正面領域は静電スイッチ操作部には相当しない。電極部E1〜E3の構成は、透光用の薄肉部12(12A〜12E)の構成と密接に関連するため、その詳細については後述する。
【0027】
図3に示すように、複数の透光用の薄肉部12は、前壁部11の裏面側に凹部15aを形成することにより設けられている。制御基板2上には、たとえばLEDを用いて構成された複数の光源7が各薄肉部12に対応した配置に設けられており、各薄肉部12に向けて光を進行させることが可能である。薄肉部12は、光源7から進行してきた光を前壁部11の正面(同図の上方)に透過させることが可能であり、このことにより薄肉部12は前壁部11の他の部分とは異なり、明るく光って見える。図1に示すように、薄肉部12A〜12Cは、たとえば正面視円形リング状である。これに対し、薄肉部12D,12Eは、たとえば「+」および「−」の記号を表わす形状である。
【0028】
図3において、前壁部11の裏面のうち、凹部15aの周囲には、この凹部15aよりも深さが浅い追加の凹部15bが形成されており、この追加の凹部15bが形成されている部分は、薄肉部12と非薄肉部14(凹部15a,15bが形成されていない一般断面部分)との中間の肉厚を有する中間肉厚部13となっている。これらの部分の厚みの具体例を挙げると、薄肉部12の厚みt1は0.5mm、中間肉厚部13の厚みt2は1.0〜1.5mm、非薄肉部14の厚みt3は、1.5〜2.0mmであり、t1<t2<t3の関係にある。中間肉厚部13は、前壁部11の厚みが急変することを緩和し、筐体1を樹脂成形する際に前壁部11の表面部にヒケが発生することを防止するのに役立つ。本実施形態における追加の凹部15bは、各所の深さが略一定の凹部として形成されているが、これとは異なり、非薄肉部14から薄肉部12側に進むにしたがって深さが徐々に深くなるような形状とすることもできる。
【0029】
図1および図2において、静電スイッチ操作部SW0は、運転スイッチに相当し、給湯装置の運転開始を許容するオン状態と、給湯装置の運転開始を許容しないオフ状態とを切り換えるためのものである。静電スイッチ操作部SW1は、メニュースイッチに相当し、設定変更可能なメニュー項目を表示部3に表示させるのに主に利用される。静電スイッチ操作部SW2,SW3は、増減変更スイッチに相当する。静電スイッチ操作部SW2は、表示部3に表示されたデータを増加させる場合に操作され、静電スイッチ操作部SW3は、前記データを減少させる場合に操作される。
【0030】
本実施形態では、静電スイッチ操作部SW1〜SW3に対応する位置には、透光用の薄肉部12が設けられている。ただし、静電スイッチ操作部SW0に対応する位置には、透光用の薄肉部は設けられておらず、たとえば「運転」の文字が印刷により表示されている。その理由は、運転スイッチの位置を透光用の薄肉部を利用して点灯表示しようとすれば、運転スイッチのオン・オフを問うことなく常にその点灯表示を行なう必要性が高く、または少なくとも運転スイッチがオンの期間中は常に運転スイッチを点灯表示しておく必要性が高いため、省エネを図る観点からすると、余り好ましくないからである。また、静電スイッチ操作部SW1に対応する位置には、たとえば「MENU」の文字が印刷表示されている。これは、薄肉部12Aの点灯表示時間を短縮し、省エネを図る観点に基づく。静電スイッチ操作部SW2,SW3の位置には、データの増加や減少を示唆する「+」や「−」の記号を表示する薄肉部12D,12Eが設けられているため、スイッチの種類や機能を示す印刷表示は施されていない。
【0031】
静電容量センサ4は、透光用の薄肉部12A〜12Eとの関係において、図5に示すような構成とされている。すなわち、静電容量センサ4の電極部E1〜E3は、正面視において薄肉部12の周囲に位置するリング状であり、正面視において薄肉部12とオーバラップしないように設けられる。また、電極部E1〜E3の内側には、細幅なリード線部42を介して繋がったアイランド電極部E1’〜E3’が設けられているが、これらのアイランド電極部E1’〜E3’は、円形リング状の薄肉部12A〜12Cとはオーバラップしないように正面視においてそれら薄肉部12A〜12Cよりも内側に位置し、また薄肉部12D,12Eとのオーバラップも回避する形状に形成されている。
【0032】
図1および図2において、操作スイッチ8は、たとえば風呂の自動湯張り動作を実行させるためのものであり、既述したように、押圧釦方式とされている。もちろん、この操作スイッチ8についても、他のスイッチと同様な静電スイッチとして形成することが可能である。
【0033】
次に、前記した操作装置Aの作用について説明する。
【0034】
まず、筐体1の前壁部11の表面側には、静電スイッチ操作部SW0〜SW3が形成されており、これらの形成領域は、凹凸の無い、または少ない平面状とすることが可能である。したがって、多くの凹凸状の操作スイッチが密集して設けられている場合とは異なり、この操作装置Aでは、外観がシンプルで洒落た印象を与える体裁の良いデザインに仕上げることができる他、前壁部11の表面が汚れ難くなる。また、仮に汚れを生じたとしても、清掃により汚れを落とし易くなる。既述したように、前壁部11の透光用の薄肉部12の周囲には、中間肉厚部13が形成されており、筐体1の樹脂成形時において前壁部11の表面にヒケを生じ難くすることができるために、前壁部11の表面については、光沢を有し、かつ汚れがより付着し難い平滑面に仕上げることが可能である。
【0035】
静電スイッチ操作部SW2,SW3については、その位置や機能を示す文字表示が設けられていないものの、その位置や機能については透光用の薄肉部12B〜12Eを光らせることによってユーザに認識させることができる。静電スイッチ操作部SW1は、「MENU」の文字表示によってその位置を認識することができるが、薄肉部12Aを光らせることによって、その位置をユーザにより明確に認識させることができる。また、後述するように、薄肉部12を特定のタイミングで光らせることによって、ユーザに特定の情報を与えることも可能となる。
【0036】
この操作装置Aにおいては、静電スイッチ操作部SW0〜SW3が静電容量センサ4を筐体1内に設けることにより構成され、かつ透光用の薄肉部12A〜12Eは、筐体1の前壁部11に凹状部15a設けることにより形成されており、筐体1自体がタッチパネルの主要構成部材と同様な役割を果たすものとなっている。したがって、その構成は合理的であり、たとえば無接点スイッチや表示手段などを一式揃えたタッチパネルを筐体1に組み込む場合と比較すると、その製造コストを大幅に低減することが可能である。
【0037】
静電容量センサ4の電極部E1〜E3は、正面視において薄肉部12とはオーバラップしないように設けられており、光源7から薄肉部12に向けて進行する光を遮らないように設けられている。したがって、薄肉部12を光らせた際の輝度に不足を生じないようにすることができる。また、静電容量センサ4の電極部E1〜E3は、薄肉部12の周囲を囲んだ配置形状とされていることに加え、円形リング状の薄肉部12A〜12Cの内側に位置するアイランド電極部E1’〜E3’をも有しているために、それらの総面積を大きくし、静電スイッチとしての感度を高めることもできる。
【0038】
この操作装置Aにおいては、静電スイッチ操作部SW0が操作されて運転オンとなった場合に、薄肉部12A〜12Eを常時光らせるようにしてもよいが、これに代えて、たとえば次のように制御することもできる。
【0039】
すなわち、運転オフ時には、薄肉部12A〜12Eの全てを消灯状態としておき、その後に運転オンとされた場合であっても、それだけでは依然として前記消灯状態を維持させておく。次いで、メニュースイッチとしての静電スイッチ操作部SW1が操作されると、その時点で初めて薄肉部12B〜12Eを点灯させ、増減変更スイッチとしての静電スイッチ操作部SW2,SW3の位置および機能を表示し、選択されたメニューの内容のデータの増減変更を可能とする。このような動作制御によれば、運転がオンとされて静電スイッチ操作部SW1が操作される迄の期間は、薄肉部12A〜12Eの全てが消灯状態を維持するために、省エネを図ることができる。薄肉部12Aについては、静電スイッチ操作部SW2,SW3が操作された時点で初めて点灯させ、かつその後にデータの変更設定モードを終了すべく静電スイッチ操作部SW1が再操作されると、その時点で消灯させる。このような動作制御によれば、データの設定変更モード時にのみ薄肉部12Aが点灯することとなって、やはり省エネを図ることができる。また、薄肉部12Aが点灯している状態は、データの変更設定モードが未だ適切に終了していないことをユーザに示唆することとなるため、ユーザに適正なスイッチ操作を促す効果も得られる。
【0040】
図6〜図8は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0041】
図6に示す構成においては、静電容量センサ4Aの一部が追加の凹部15bに進入し、中間肉厚部13の裏面に接触している。静電容量センサ4Aは、たとえば図7に示すように、絶縁シート40に複数のスリット44が設けられた構成を有している。これらのスリット44は、電極部E1〜E3の周囲を囲むようにして断続的に設けられている。静電容量センサ4は、複数のスリット44を介して、電極部E1〜E3の形成領域Sa(スリット44によって囲まれた領域)と電極部E1〜E3の非形成領域Sb(スリット44よりも外側の領域)とに区画され、これらの領域Sa,Sbは、スリット44どうしの間に位置する複数の橋渡し部45を介して互いに繋がっている。このような構成によれは、図7(b)に示すように、橋渡し部45を曲げて、電極部E1〜E3の形成領域Saと非形成領域Sbとに段差を生じさせることができる。図6に示す構成においては、橋渡し部45が、中間肉厚部13と非薄肉部14との段差部分に対応する箇所に配置されて曲げられ、電極部E1〜E3の形成領域Saが中間肉厚部13の裏面に接触しているとともに、電極部E1〜E3の非形成領域Sbが非薄肉部14の裏面に接触している。
【0042】
本実施形態によれば、図3に示した実施形態と比較すると、電極部E1〜E3が筐体1の前壁部11の表面側により接近することとなる。したがって、前壁部11の表面側に形成される静電スイッチ操作部SW1〜SW3の感度を高めるのに好適となる。また、中間肉厚部13と非薄肉部14との段差は、橋渡し部45およびスリット44によって吸収されるために、静電容量センサ4に大きな皺なども生じないようにすることができる。なお、図7においては、電極部E0,E4の周囲にスリット44が設けられていないが、その理由は、電極部E0,E4に対応する透光用の薄肉部や中間肉厚部は設けられていないからである。
【0043】
図8(a)に示した構成においては、たとえば薄肉部12C,12Eの周囲に中間肉厚部13が設けられているが、この中間肉厚部13は、図6に示した中間肉厚部13とは異なり、他の薄肉部12A,12B,12Dの形成箇所とは分離し、薄肉部12C,12Eの周囲のみに部分的に設けられている。これに対し、図8(b)に示すように、静電容量センサ4Bは、電極部E3の略全周を囲むようにして複数のスリット44が断続して設けられ、かつこれら複数のスリット44の間に橋渡し部45が形成された構成とされている。本実施形態においても、同図(a)において、橋渡し部45を中間肉厚部13と非薄肉部14との段差部分に対応させた配置として、静電容量センサ4Bに大きな皺などを生じさせることなく、電極部E3の形成領域を追加の凹状部15b内に進入させて中間肉厚部13の裏面に接触させることが可能である。本実施形態から理解されるように、複数のスリット44は、複数の電極部を一括して囲み込むように設ける場合に代えて、1つの電極部のみを囲み込むように設けることもできる。これは、透光用の薄肉部とその周囲に形成される中間肉厚部との関係についても同様である。
【0044】
本発明は上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る操作装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0045】
透光用の薄肉部は、円形リング状や「+」,「−」の記号の形状のものに限定されない。たとえば、矩形リング状などの他のリング形状や、一部切欠きリング状に形成してもよく、また前記した記号とは異なる記号や模様(たとえば△,▽など)に形成することもできる。薄肉部は、非薄肉部との相対的な関係において薄肉化が図られ、かつ光源からの光を筐体の外部に透過させることが可能であればよく、その具体的な厚み寸法は問わない。薄肉部の周囲には、中間肉厚部を設けることが好ましいものの、この中間肉厚部を設けない構成とすることもできることは勿論である。
【0046】
透光用の薄肉部や静電スイッチ操作部が設けられる筐体の壁部は、必ずしも筐体の前壁部でなくてもよく、これ以外の壁部とすることも可能である。静電容量センサとしては、可撓性や透光性を有する樹脂製シートに銅などの金属製のパターンを形成したものが安価、かつ軽量コンパクトであって、取り扱い性にも優れるが、これとは異なる構成のものを用いることもできる。
【0047】
静電スイッチ操作部は、運転スイッチ、メニュースイッチ、増減変更スイッチとして構成されていなくてもよく、これら以外のスイッチとして構成することもできる。また、上述した実施形態の操作装置Aにおいて、非静電方式の操作スイッチ8が設けられていることからも理解されるように、本発明では、操作スイッチの全てが静電スイッチとして構成されていなくてもよい。複数の操作スイッチのうち、一部の操作スイッチのみが静電スイッチとして構成されている場合であっても、その周辺領域については筐体表面の平面化を図り、汚れを生じ難くするといった効果が得られるからである。
【0048】
本発明に係る操作装置は、給湯装置用以外として、種々の装置・機器類(たとえば、コージェネレーションシステム、ヒートポンプ、空調機、軟水器などの水処理装置など)の遠隔操作用、または遠隔操作用以外の操作装置として構成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御回路を内部に収容する筐体と、
この筐体の壁部の表面側に設けられたスイッチ操作部と、
を備えている、操作装置であって、
前記制御回路に接続されて前記壁部の裏面に接触または接近するように前記筐体内に設けられ、かつ前記スイッチ操作部として静電スイッチ操作部を形成する静電容量センサと、
前記壁部の裏面側に凹状部を設けることにより形成され、かつ前記筐体内に設けられた光源から発せられる光を透過させることによって前記静電スイッチ操作部の位置を認識させる表示が可能な透光用の薄肉部と、
を備えていることを特徴とする、操作装置。
【請求項2】
前記透光用の薄肉部は、前記静電スイッチ操作部の位置に加え、前記静電スイッチ操作部の種類または機能を識別するための文字、記号、または模様をさらに表示可能に形成されている、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記壁部の裏面のうち、前記凹状部の周囲には、この凹状部よりも深さが浅い追加の凹状部が形成されて、前記薄肉部の周囲は、前記薄肉部と非薄肉部との中間の厚みを有する中間肉厚部とされている、請求項1または2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記静電容量センサは、絶縁シートに電極部およびこの電極部に繋がったリード線部がパターン形成された構成を有しており、
前記絶縁シートには、1または複数のスリットが形成されていることにより、このスリットを介して前記電極部の形成領域と非形成領域とは区画され、かつこれら電極部の形成領域と非形成領域とは、スリットが設けられていない橋渡し部を介して互いに繋がっており、
前記電極部の非形成領域は、前記非薄肉部の裏面に接触または接近した配置とされている一方、前記電極部の形成領域は、前記追加の凹状部内に配置されて前記中間肉厚部に接触または接近しており、前記中間肉厚部と前記非薄肉部との段差部分には、前記橋渡し部が配置されている、請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記静電容量センサは、透光性を有する絶縁シートに、電極部およびこの電極部に繋がったリード線部がパターン形成された構成を有しており、
前記静電容量センサのうち、少なくとも前記電極部は、前記光源から前記透光用の薄肉部に向けて進行する光を遮らないように、前記薄肉部とはオーバラップしない配置とされている、請求項1ないし4のいずれかに記載の操作装置。
【請求項6】
前記透光用の薄肉部としては、正面視形状が円形リング状、矩形リング状、もしくはこれ以外のリング状、または一部切欠きリング状とされた薄肉部が設けられ、
前記電極部は、正面視において前記リング状の薄肉部の周囲を囲む配置に設けられており、かつ正面視において前記薄肉部の内側に位置してリード線部を介して繋がったアイランド電極部を有している、請求項4または5に記載の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−113893(P2011−113893A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270884(P2009−270884)
【出願日】平成21年11月28日(2009.11.28)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【出願人】(503116659)ノーリツエレクトロニクステクノロジー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】