説明

操縦式クラフトの制御システムのための応答モード

単一のパイロットコマンドインターフェース(例、操縦桿)を、クラフトを操縦するための複数の応答モードとして働かせることができる周波数多重コマンドシグナリングが、大抵のパイロットの自然なインターフェース操作に従う。高安定増加モードは、コマンドシグナリングのより低い周波数成分を受け取り、低安定増加モードは、より高い周波数成分を受け取る。これにより、パイロットが応答モードを切り替える要件が回避される。実施する制御システムは、それぞれの応答モードを並列で符号化するフィードバック制御ループを実行することによって、またコマンドシグナリングを各応答モードに多重化し、コマンドシグナリングの各コピーを、それぞれのフィードバック制御ループに従ってそれぞれフィルタし、次いで各フィードバック制御ループの出力を組み合わせ、作動要求を計算することによって作り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、一般に、操縦式クラフト(craft)を方向転換するためにアクチュエータに対するフィードバック及びコマンドシグナリングを使用するクラフトの制御システムに関し、詳細には、高安定増加応答モード(highly augmented response mode)及び最小安定増加応答モード(minimally augmented response mode)の利点を、それぞれの欠点を回避しながら組み入れる応答モードに関する。
【発明の背景】
【0002】
飛行制御則設計の技術は、操縦性と安定性とのトレードオフで表される。理論上では、航空機の最適な応答性は、あらゆる状況でパイロットが各操縦翼面及びスロットルを最大作動範囲に操作することができるようにすることによってもたらされ得る。しかし、実際には、これは、一部には制御要素、環境、並びに航空機の瞬間的な向き・運動の相互関係を考えて諸動作の危険な組合せのために、また、複数のエフェクタを同時に制御し航空機の安定性を得る際に必要とされる非常に高いワークロードのために、一般に望ましいものではない。パイロットが安全且つ生産的に航空機を操作しつつ、非常に高いワークロードを必要とすることなしに広範な条件において安定性を保つというバランスをとることは、一般に困難である。このトレードオフを打ち破るための1つの知られている技法は、相異なる複数の応答モードを定義し、該応答モードが動作条件のそれぞれの範囲内でパイロットに適切なワークロードと適切な操縦性とを概ね提供するものである。
【0003】
回転翼機の場合、ある動作条件では高いレベルの安定増加が望ましく(さらに設計基準によって指定され)、他の条件では低いレベルの安定増加が望ましい。たとえば、視認性の悪い環境では、一般に高いレベルの安定性を有するモードが選択され、一方、視覚的刺激(visual cueing)が良好な条件では、飛行するために一般に低いレベルの安定増加が指定される。これらのモードは、正反対の目的を有する。すなわち、コマンドの変化に応答して、安定性増加応答モードは、応答がより遅いが、環境との相互作用による妨害の作用を最小限に抑え、それに対して、高機動性モードは、応答性がより高いが、環境による影響をより大きく受ける。最小安定増加応答モードは、パイロットがより攻撃的に、より正確に航空機を扱うことを可能にし、一方、高安定増加モードは、航空機を安定させるために制御を連続的に釣り合わせるのにそれほど努力を必要としないので、より高い安定性に伴う安全をもたらし、パイロットのワークロードを低減する。通常、刺激の不十分な環境では、視覚的な基準がないため、パイロットは、一般に航空機を攻撃的に操縦しようとしない。また、高安定増加モードは、たとえば写真撮影、離陸、又は物を操作するとき望ましいものとなり得る。
【0004】
回転翼機制御システムの応答モードは、応答型(response type)として知られ、回転翼機が所与のパイロット入力に対してどのように応答するか決定する。現代の回転翼機について、増加(安定性)のレベルを高めるうえでの左右軸応答型及び前後軸応答型は、
胴体(ロール及びピッチ)の角速度がパイロットインセプタ(操縦桿)の変位に比例するレート減衰(RD/Rate Damped)、
胴体(ロール及びピッチ)の角度が操縦桿の変位に比例する姿勢コマンド/姿勢保持(ACAH)、及び
航空機速度(対気速度又は対地速度)が操縦桿の変位に比例する並進速度コマンド(TRC)である。
【0005】
フライバイワイヤ回転翼機を含めて、現代の回転翼機におけるモード移行は、一般に、パイロットによって手動で選択されるか、対気速度の関数に応答して、及び(場合によっては)操縦桿に応じて条件付きで移行するように用意されている。たとえば、CH−47Fでは、パイロットがTRC制御モードを作動状態にしていることを条件に、10ノット未満の速度で、制御システム応答型が自動的にACAHからTRCに変化する。しかし、パイロットが、TRC制御モードを作動状態にしないことによって、ACAH応答型で飛行し、前進飛行からホバリングに入ることが可能である。パイロットがTRCを作動状態にしないことを選んだ場合には、パイロットは、ホバリングを達成したとき、砂漠のような/粉塵の多い条件又は緩い/軽い雪の条件(それぞれ、「ブローアウト」又は「ホワイトアウト」として知られる状態)で、或いは霧中又は低照度条件で、一般に発生し得るロータ吹き下ろしにより、視覚的条件が悪化するという危険を冒す。そのような場合には、パイロットは、ブローアウト又はホワイトアウト状態に遭遇したときTRC応答型を作動状態且つ使用状態にするために追加の措置をとらなければならないことになり、これは、非常に重大な時に、パイロットの注意を、航空機を飛行させることではなく制御システムを管理することに集中させる。逆に、パイロットが刺激の十分な環境でTRCを使用することを選んだ場合、操舵応答でACAH又はレートコマンド(Rate Command)に直ちに切り替えることが当然望ましいものとすることができる状況に遭遇する可能性がある。たとえば、敵のエリア内での着陸任務中に、武器を持った敵兵が発見された場合には、パイロットは、TRCの安定性よりもACAH又はレートコマンドのより攻撃的な性能特性を好む可能性があり、この場合にも、パイロットの努力を、航空機を飛行させることではなく制御システムを管理することに集中させる個別のモード切替えを必要とする。
【0006】
オペレータがこれらのモード間を手動で切り替えることができるようにすることは有用となり得ることがしばしばであり、モードに関する判断は、パイロットにとってしばしば問題になるものではないかもしれないが、これらのモード間の移行が困難である、又は不適切な瞬間にパイロットの注意を必要とする状況がある。これらの刺激の条件は、一般に、対地速度、高度、操縦桿位置、又は他の航空機若しくはセンサの指示と一様に対応せず、したがってそのような条件に応答して自動的にトリガすることは不都合であり、又は役に立たず、さらには危険でさえあり得る。複数の移行に対するトリガの階層は複雑であり、パイロットによる制御システムの管理をより多く必要とする。用意された移行は、指定された条件に応答してトリガされ、一般に、指定された条件が満たされた後で移行することが望まれる、移行を用意する時点でなされた予測程度の有用性があるにすぎない。予期しない移行に向けて用意することは非常に困難であり、そのような移行は、一般にそれらが最も必要とされるときである。
【0007】
米国特許第7433765号は、パイロットの制御入力及び航空機の測定された状態に反応し、航空機が釣り合いのとれた非加速状態にあるとき、パイロットによる明示的なモード選択なしにスムーズに使用状態になり、パイロットが航空機にピッチ又はヨー運動を指令したとき、スムーズに非使用状態になる、目立たない対気速度保持機能を提供するフライバイワイヤ(FBW)静的前後安定性システムを開示しているものと思われる。このシステムは、単一のモードを使用状態にする、又は非使用状態にすることに限定される。使用状態又は非使用状態にすることは、パイロットの制御入力及び航空機の測定された状態に応答するものである。すなわち、航空機の姿勢及び運動がモードを決定する。
【0008】
米国特許第4645141号は、パイロットが操縦桿を移動することによってヘリコプタを手動制御することを可能にし、操縦桿を自然に解放したときホバリング位置保持又はホバリング速度保持に自動的に戻る自動飛行制御システムを開示している。米国特許第4645141号のシステムは、自動制御が、操縦桿を「自然に解放」したときだけ使用状態になる、操縦桿の感知された挙動に基づいて飛行を制御するという非常に限られた機能を有し、ホバリング位置又はホバリング速度制御に限定されているように思われる。
【0009】
複数の応答モードを使用し、コマンド信号を制御出力に変え、フィードバックに基づいたクラフトの方向転換を可能にする制御手段を作動させる他の航空機、船舶、及び航空宇宙機は、様々な条件における様々な応答モードについて、論理的説明が等しく対立しがちである。そのようなクラフトは、小型飛行船及び飛行船、固定翼航空機、潜水艦、船(ドック入れシステム)、無人航空機、無人水中航走体、上陸用舟艇、他の軌道船とドッキングするための軌道船などを含むことができる。
【0010】
非関連分野では、McIndoe等の国際公開第01121981号パンフレットは、陸上自動車両のトロイダル駆動型変速機など、連続可変変速機を動作させるための装置及び方法を教示している。この連続可変変速機は、車両の動作条件に応じてトルク制御方式又は比制御方式で選択的に動作され、それによりトルク制御方式及び比制御方式の両方の有利な側面から利益を受けつつ、両方式の不利な側面を回避する。具体的には、トルク制御方式から比制御方式への移行(及びその逆)は、トルク制御方式及び比制御方式での動作に起因するはずの制御圧力を同時に計算し、さらに現在の動作条件に基づいて、そのように計算された制御圧力のそれぞれに加重値を割り当てることによって行うことができる。そのような加重値の和が、2つの制御方式間でスムーズな移行を容易にする複合制御信号をもたらす。
【0011】
この機器は、クラフトではない自動車両内の変速を制御する単一の空気圧装置を制御するものであり、変化を弱めるために負帰還が使用されるが、これはセンサからの情報を使用するフィードバック制御ループではなく、言うまでもなく車両の向き及び/又は運動に関するセンサではない。これらの制御方式は、制御則を含まないので、応答モードではない。
【0012】
本分野では、パイロットが安定増加の度合いが異なるモード間でシームレスに移行することができる、回転翼機の応答型間で移行するための新しい方法が求められている。そのような移行は、パイロットに対する最小限の訓練を必要とするだけの直観的な形で実現されることが好ましい。
【発明の概要】
【0013】
出願人は、単一の操縦桿又は他のパイロットコマンドインターフェースが、複数のモードの個々のコントローラとして、すべて同時に、効果的に働くことを可能にする技法を工夫した。したがって、高安定増加モードの安定性を特徴とし、しかし最小安定増加モードの操縦性をも保持する単一の応答モードが可能である。これは、概してコマンドシグナリングのより高い周波数成分をより低い安定増加モード処理に提供し、シグナリングのより低い周波数成分をより高い安定増加モード処理に提示するように、パイロットコマンドインターフェースからのコマンドシグナリングを分割することによって行われる。より高い正確さ及び応答性を求めるパイロットは、通常、より急激なコマンドシグナリングを生成し、安定させようとするパイロットは、よりスムーズなコマンドシグナリングを生成する傾向があるので、この自然の傾向を使用し、対応するシグナリングをそれぞれのモードに与えることができる。コマンドシグナリングの周波数分割により、同じパイロットコマンドインターフェースが、多重化された入力を同時に送ることができることが効果的であり、コマンドは、自然な形で生成される。
【0014】
同時処理される応答モードが3つ以上ある場合、それらのモードは、安定増加の度合いに対して実質的に順序付けられる。たとえば、一般に、クラフトの操縦翼面、スラスタ(など)を作動することにより、通常、局所的な空気/水/空間に対してクラフトが加速する。この加速は、通常、加速の度合いに対して直線的ではなく、他の作動、クラフトの状態、又は環境から独立したものでもない。加速だけでクラフトの速度を安定させる際に必要とされるワークロードは、一般に、特に動的な環境において著しいパイロットのワークロードを伴い、したがって最初の安定増加モードは、クラフトの速度を調節することに対してクラフトを安定させるように設計されてもよい。同様に、パイロットが指令する速度だけでは、(局所的な空気/水/空間に対して、又は地上に対して)位置を制御することが困難となる可能性があり、したがって、ホバリングする、又はドッキングのような空間的に制約のある動作を実行するように設計されたクラフト(たとえば、回転翼機、飛行船、軌道船)は、位置コマンドをさらに組み込むことができる。
【0015】
回転翼機では、水平にクラフトを方向転換することは、一般に、回転翼円板、したがって回転翼機の胴体をピッチ及びロールで(すなわち、横軸及び前後軸に沿って)傾斜させ、メインロータの推力ベクトルをシフトすることを必要とし、回転翼機が傾斜の方向で加速することになる。1方向だけで動作する主スラスタを有するクラフトすべてと同様に、クラフトの向きにより、クラフトを(実質的に)加速することができる方向が決まり、方向の変化は、姿勢制御によって最もよく実現することができる、いくつかの方向制御要素による共同動作を必要とし得る方向制御を必要とする。
【0016】
たとえば、各応答モードは、専用ハードウェアとして符号化されたそれぞれの制御フィードバックループに関連付けられてもよく、様々なフィルタを、制御フィードバックループに送られるコマンドシグナリングのコピーに適用し、コマンドシグナリングの周波数成分をそれぞれのハードウェアに選択的に送達することができる。或いは、これらの2つ(以上)の応答モードは、単一のハードウェアデバイス上で実行される別個のソフトウェアプロセス又はスレッドであってもよい。他の実施形態では、単一のプログラムが事実上、向き・運動フィードバックの単一のコピーを受け取り、それぞれのフィードバック制御ループによって処理し結果を集計することに実質的に等価な結果を計算することができる。
【0017】
各フィードバック制御ループの出力は、集合的に、所与の瞬間における作動要求(actuation demand)を決定することができる。たとえば、フィードバック制御ループの出力を和し、アクチュエータ要求(actuator demand)を形成することができる。この和を重み付けすることができる。それぞれのフィードバック制御ループの重みは、最近の動作条件に応じて変わる可能性がある。一般に、重み付けは、応答モードの使用を偏向させ、アクチュエータ要求を占有するように応答モードのうちの1つだけに従って出力が生成されることを促進することも、アクチュエータ要求の共用を促進するように出力を標準化することも、この点に関して中性とすることもできる。重み関数が応答モードの使用を偏向させるという点では、主としてあるモードから主として別のモードに移行するときコマンドシグナリングがどのように処理されるか、移行がスムーズでない可能性があり、したがって、偏向効果は、実質的に等しいとき最小限に抑えられ得る。
【0018】
一部の実施形態では、コマンドシグナリングが分割され、その結果、それぞれの応答モードの1つに従って処理するために、電子回路の範囲内で、コマンドシグナリングの周波数スペクトルのすべてがフィードバック制御ループの1つだけに送られるようになる。 他の実施形態では、ある動作範囲内の周波数スペクトルのすべてがフィードバック制御ループの少なくとも1つに送られれば十分であるが、同じ周波数成分が2つ以上の応答モードに従って処理されてもさしつかえない。最後に、他の実施形態では、パイロットが自分の入力の一部が作用を受けていないことを認識するような知覚可能なギャップがなければ十分である。
【0019】
本発明によれば、クラフト用の制御システムが提供され、この制御システムは、安定増加が異なる少なくとも2つの応答モードを有し、各応答モードがパイロットコマンドインターフェースからのコマンドシグナリングとクラフトからの向き及び運動フィードバックとを受け取り、応答モードがそれぞれ、クラフトを方向転換するためのアクチュエータ要求を決定するために集合的に使用される情報を生成する。この制御システムは、コマンドシグナリングのより低い周波数が、より高い周波数成分に比べてより多くより高い安定増加応答モードに従って処理され、コマンドシグナリングのより高い周波数成分が、より低い周波数成分に比べてより多くより低い安定増加応答モードに与えられることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、パイロットコマンドインターフェースからのコマンドシグナリングとクラフトからの向き・運動フィードバックとに応答してクラフトを方向転換するためのアクチュエータ要求を生成するための方法が提供される。この方法は、安定増加が異なる少なくとも2つの応答モードを用意するステップと、コマンドシグナリングを少なくとも2つの部分に分割するステップと、応答モードがアクチュエータ要求を決定するための情報を集合的に生成するように、分割された部分をそれぞれの応答モードに与えるステップとを含む。この方法は、コマンドシグナリングのより低い周波数が、より高い周波数成分に比べてより多くより高い安定増加応答モードによって処理され、コマンドシグナリングのより高い周波数成分が、より低い周波数成分に比べてより多くより低い安定増加応答モードに与えられることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、第1・第2のフィードバック制御ループに通信可能に結合された航空機のコマンドインターフェースからのコマンドシグナリングを含み、第1・第2のフィードバック制御ループが、コマンドシグナリング、航空機状態データ、及び航空機の飛行制御則に応答して飛行制御出力を導出するためにそれぞれの第1の応答型及び第2の応答型を符号化し、コマンドインターフェースと第1・第2のフィードバック制御ループとの間の接続部が、より高い周波数のコマンドシグナリングを、より低い周波数のコマンドシグナリングに比べてより多く、安定増加の度合いがより低い第1のフィードバック制御ループに供給し、より低い周波数のコマンドシグナリングを、より高い周波数のコマンドシグナリングに比べてより多く、安定増加の度合いがより高い第2のフィードバック制御ループに供給する、航空機制御システムが提供される。
【0022】
したがって、攻撃的且つ正確な操縦に適した、しかし優れた安定性をも有し、高い安定性モードで使用することができる単一の応答モードに従って、クラフトを制御することができる。ゆっくりとして落ち着いたパイロット入力は、高安定増加応答モードに従って処理され、非常に安定した出力をもたらし、一方、速い高頻度のパイロット入力は、より攻撃的な応答特性を生成する。これは、突然の変化が望まれるときパイロットが自然にパイロットコマンドインターフェースをどのように操作する傾向があるかに比べて、視覚的刺激が少ない状態に直面したとき、又はより一般的には、より高い安定性が望まれるとき、パイロットがパイロットコマンドインターフェースをどのように操作するかを変化させるパイロットの自然の傾向を利用する。
【0023】
本発明の他の特徴について、以下の詳細な説明の過程で述べ、また明らかになるであろう。
【0024】
次に、本発明をより明確に理解することができるように、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して、例として詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態による、クラフトのための制御システムによって実施される連続プロセスを概略的に示す流れ図である。
【図2】本発明の一実施形態による、制御システムの概略図である。
【図3】本発明を実証するために使用される回転翼機制御システムのための周波数多重マルチモードフィードバック制御ループのシミュレーション図である。
【図4a】本発明の一実施形態による、TRCモードフィードバック制御ループ、及び周波数多重マルチモードフィードバック制御ループについてロール軸周波数応答を示す飛行テスト実験データの周波数応答グラフである。
【図4b】本発明の一実施形態による、TRCモードフィードバック制御ループ、及び周波数多重マルチモードフィードバック制御ループについてロール軸周波数応答を示す飛行テスト実験データの周波数応答グラフである。
【図5a】TRCモードフィードバック制御ループ、及び周波数多重マルチモードフィードバック制御ループについてステップ関数応答を示す飛行テスト実験データのグラフである。
【図5b】TRCモードフィードバック制御ループ、及び周波数多重マルチモードフィードバック制御ループについてステップ関数応答を示す飛行テスト実験データのグラフである。
【好ましい実施形態の説明】
【0026】
図1は、本発明の一実施形態によるプロセスを示す流れ図を概略的に示したものである。クラフト制御システムの3つの主な要素、すなわち、パイロットコマンドインターフェースからのコマンドシグナリング10、クラフトの運動及び向きフィードバック12、並びにそれぞれの応答モードをコマンドシグナリングのそれぞれの部分に適用し、それぞれのモードに従って処理されたそれぞれの部分からの出力からアクチュエータ要求を決定するプロセスループ14がある。各応答モードは、(少なくとも理論上では)クラフトの運動及び向きフィードバック12と、コマンドシグナリング10と、運動及び向きフィードバックを考えてクラフトがどのようにコマンドシグナリングを実施するかを示す作動効果則(actuation effect law)16と、に応答して作動要求を決定するためのそれぞれのプロセスであり、これをアクチュエータ要求18として1つ又は複数のアクチュエータに送る。その実施は、一般に、コマンドシグナリング10とクラフトの運動及び向きフィードバック12との計算された1つ若しくは複数の差又は「誤差」値を最小限に抑えようとする反復プロセスである。クラフトの運動及び向きフィードバック12は、一般に、複数のセンサからのセンサデータ19からもたらされる。センサデータ19は、作動効果則に従ってアクチュエータ要求18に応答してアクチュエータが作動することによって影響を受けることが予想されるが、結果としての所与の環境変数を決定するものではない。
【0027】
本発明によれば、それぞれの応答モードに送られるコマンドシグナリングの部分は、コマンドシグナリングの(より低い方)に比べてより多くのより高い周波数成分を、より安定増加の少ない(一般により安定性の高い、応答性の低い)応答モードに、またコマンドシグナリングの(より高い方)に比べてより多くのより低い周波数成分を、より安定増加の多い(一般により応答性の高い、安定性の低い)応答モードに送ることを必要とする。応答モードが3つ以上ある場合、それらの応答モードは、少なくとも予想される動作条件の広い範囲にわたって、安定増加に対して直線的に順序付けられることが好ましい。
【0028】
コマンドシグナリングが分割され、その結果、それぞれの応答モードに従って処理するために、電子回路の範囲内で、コマンドシグナリングの周波数スペクトルのすべてがフィードバック制御ループの1つだけに送られるようになる。他の実施形態では、ある動作範囲内の周波数成分のすべてがフィードバック制御ループの少なくとも1つに送られれば十分となり得るが、同じ(重なり合う)周波数成分が2つ以上の応答モードに従って処理されてもよい。それほど要求の多くない制御システムでは、パイロットが自分の入力の一部が作用を受けていないことを認識するような知覚可能なギャップがなければ十分である。さらに他の実施形態では、モード間の離散的な移行を可能にする、周波数領域内で活動状態のモードを分割するヌル周波数領域を有することが望ましい可能性がある。ギャップのある応答が使用される場合、パイロットインターフェースでパイロットにフィードバックを提供し、どのモードが活動状態であるか示し、また現在の作動が無視されているかどうか示すことが好ましい可能性がある。フィードバックは光又は音と共に提供されてもよいが、安定増加に応じて漸増する抵抗力又は「硬さ」をもたらすことができる触覚フィードバック〔たとえば、最少安定増加(least augmented)モードでは硬さが最も大きく、最多安定増加(most augmented)モードでは硬さが最も少なく、又はその逆〕を提供することが好ましい可能性がある。出願人は、それぞれのモードに従って処理されたコマンドシグナリングの周波数部分の和出力が、パイロットにとって特に効率的であり直観的であるモード間のスムーズな交わりをもたらすことを見出した。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態による、周波数多重マルチモード応答型を提供する航空機の制御システムの概略図である。3つの並列フィードバック制御ループ20a、b、cが設けられており、これらのループは、それぞれのフィルタ24a、b、cを介して操縦桿22からコマンドシグナリングを受け取り、また慣性航法装置(INS)など、航空機状態データ(Aircraft State Data)25を受け取り、1つ(以上)のアクチュエータ26に送られる最終的なアクチュエータ要求を生成するように組み合わされるアクチュエータ要求を導出する。概略的に示されているように、フィルタ24a、b、cは、それぞれハイパスフィルタ(HPF)、バンドパスフィルタ(BPF)、及びローパスフィルタ(LPF)である。これらのフィルタは、固定された伝送特性を有しても、同調可能なものであってもよい。これらのフィルタは、同調可能なものである場合、周波数限界などコマンドシグナリングの通過する周波数成分のパラメータ、及びロールオフパラメータを変更するように、(航空機状態データ25によって公開される)航空機状態情報に応答して好適な電子回路(ブレークポイント調整プロセッサ28など)によって制御されてもよい。任意選択のブレークポイント調整プロセッサ28は、いくつかの飛行条件により飛行制御システムを管理し、たとえばLPF24cについてブレークポイントを一定に低下させている間に航空機の対地速度が30ノットを超えたときBPF24bの帯域通過周波数ウィンドウを広げることを可能にする。
【0030】
航空機状態データ25はセンサデータを受け取り、対気速度読取り値、向き(機首方位、ピッチ、ヨー、ロール)、グローバルポジショニング、高度読取り値、これらのパラメータの変化率などを計算し、公開する。アクチュエータフィードバック、加速度計読取り値、安定性の測度、及び他のパラメータが、フィードバック制御ループ20の1つ又は複数に関するフィードバックとして含まれてもよい。
【0031】
フィードバック制御ループは、それぞれ図の実施形態における最多安定増加モード、中間安定増加(mid augmented)モード、最少安定増加モードを符号化する。これらのモードは、それぞれのアクチュエータ要求出力を計算するプロセスにおいて飛行制御則を埋め込む。これらのモードは、向きに基づくもの、対気速度に基づくもの、対地速度若しくは位置に基づくもの、標高に基づくもの、加速度に基づくもの、又は飛行経路角に基づくものなど飛行経路に基づくものとすることができる。
【0032】
フィードバック制御ループは、図のように別個のプロセッサとして実施することができるが、図2に別々のブロックとして示されている異なる計算機能及び処理機能は、異なるように集め、異なる電子回路構成によって実施することができ、また様々な数のプロセッサを含むことができることを、当業者なら理解するであろう。これらの機能のすべてを単一の集積回路内で実施することによって、一般にコスト、計算効率、及び重量の節約が可能である。一方、フェールセーフ及びシステムの丈夫さにより、別個のフィードバック制御ループによってもたらされる冗長性の必要が暗示される可能性がある。各フィードバック制御ループに対して別個のプロセッサを使用することの1つの利点は、周波数多重マルチモード応答型、並びに個々のモード又はこれらのモードのうちの2つだけの組合せを形成することが比較的容易であることである。
【0033】
各フィードバック制御ループの出力を用いて任意の所与の瞬間に作動要求信号を決定することは、それぞれの出力を和することを必要とするにすぎない。この和は重み付けされてもよく、この重み付けは、統計的に用意されても、変更可能でもよい。一部の実施形態では、重み付けは、航空機状態情報に応答して連続的に更新されてもよい。それぞれのフィードバック制御ループの重みは、最近の動作条件に応じてさらに変化してもよい。一般に、アクチュエータ出力は、1.たとえば1つの応答モードがある時点で優位を占めることを助長するように応答モードの1つだけに従って出力が生成されることを促進するために、応答モードから歪曲されてもよく、2.アクチュエータ要求の共用を促進し、応答モードアクチュエータ要求信号の等化を増すこともでき、又は、3.この点に関して中性とすることもでき、等化することも、優位を促進することもできる。たとえば、1つのフィードバック制御ループの予想結果に関して、他のもの(航空機状態データ25によって公開された情報から、又はフィードバック制御ループ20から計算されたもの)の誤差と比べて高い誤差又は誤差の不規則性が持続することは、その1つのフィードバック制御ループが現在優位を占めていないことを示す可能性があり、この比較値を、フィードバック制御ループ内でコンバイナ26を制御するために使用し、それぞれのフィードバック制御ループ20からのアクチュエータ要求信号を選択的に重み付けすることができる。重み関数が単一の応答モードの優位を促進するという点では、優位の応答モード間でハンドオフがスムーズでなくなる可能性がある。必要な場合、これをスムーズにするために様々なアルゴリズム及び機構があり、これらは航空機の飛行則によって決まる。
【0034】
航空機が回転翼機である場合、最多安定増加モードのフィードバック制御ループ20cは、並進速度コマンドループとすることができ、中間安定増加モードのフィードバック制御ループ20bは、姿勢コマンド姿勢保持制御ループとすることができ、又は最少安定増加モードのフィードバック制御ループ20aは、レート減衰ループとすることができる。
【0035】
前述の例は1軸における制御システムを示すが、操縦桿は一般に2つ以上の軸を使用すること、及びコマンドシグナリングは、当然ながらこれらの軸間で分割されることを理解されたい。同じ制御モードを両(又はすべての)軸に設けることは必要でない。
【実施例1】
【0036】
図3は、後で実験飛行テストのためにコントローラを符号化するための起点を形成した、ヘリコプタの左右軸運動のシミュレーションで使用された周波数多重マルチモード応答型の一実施形態のMatlab Simulink図の線図である。パイロット制御入力(DLATNET)は、並進速度コマンドローパスフィルタ(TRC LPF)、姿勢コマンド姿勢保持バンドパスフィルタ(TRC HPF及びAC LPF)、及びレートコマンドハイパスフィルタ(AC HPF)からなるフィルタネットワークを通過させることによって、周波数内容の点で分離される。各経路は、それぞれフィルタされた信号を受け取り、これらの信号は、個々に増幅され、各経路に相対的な重みを与える。すなわち、GS_Vは速度コマンドに対するゲインであり、GS_phiは姿勢コマンドに対するゲインであり、GS_prcはレートコマンドに対するゲインである。この構造の残りの部分は、本質的に以下の特徴を有する標準的なフィードバック制御システムである。速度コマンドは、誤差信号を求めるために左右速度との差をとられ、次いで誤差信号が増幅され(GV)、リミッタにかけられる(att lim1)。望むなら、整関数を信号に加えることができる(v err int)(現在は接続されていない)。これにより姿勢コマンドが得られ、この姿勢コマンドは、周波数分割された姿勢コマンド(GS_phi)と和され、次いで測定された姿勢(PHI)との差をとられる。得られる誤差信号が増幅され(Gphi)、次いで、レートコマンド経路の結果(GS_prc)と和される。これは、それ自体ゲイン(Gp)されている航空機レートとの差をとられる(P_MIX)。この最終的に得られる信号が航空機アクチュエータに送られ、左右軸における航空機の制御を行う。上記のものと同様の制御システムが前後軸においても適用された。
【0037】
一般に、周波数多重マルチモード応答型は、個々のモード応答に比べて、特に並進速度コマンド応答型に比べてハンドリングを改善することが判明している。具体的には、Bell412HPでの実験飛行が実施された。
【0038】
図4a、b及び図5a、bは、本発明のテスト中に収集された飛行データをグラフで表す。データは、NRC Bell412フライバイワイヤ調査ヘリコプタに据え付けられた計器を使用して収集された。比較のために、また本発明の利点を実証するために、標準的な並進速度コマンドシステムからのデータも提示されている。図4aは、標準的な並進速度制御(TRC/Translation Rate Control)飛行制御システムの周波数応答プロット(ボード線図)を示す。このプロットは、パイロットの左右操縦桿入力(S_XIN)に起因する航空機のロール姿勢(Phi_Hny)を示す。
【0039】
このプロットを調べるための最も重要な特徴は、位相角が交差するところ−135°の周波数によって決定される位相帯域幅である。これは、約3rad/秒で発生する。図4bは、同じ応答プロットを示すが、本発明の一実施形態のためのものである。この場合には、位相帯域幅が約5rad/秒でかなり高くなる。航空設計基準ADS−33E−PRFは、位相帯域幅が高い方が、航空機のハンドリング品質が改善され、パイロットがより正確にヘリコプタを操縦することができることを示している。
【0040】
図5aは、標準的なTRC飛行制御システムに関する約12秒期間の左右ステップ入力(S_XIN)に対するヘリコプタ応答を示す。航空機は、入力の方向でロールする(Phi_Hny)ことによって応答し、その後に、入力が取り除かれたとき反対方向でのロールが続く。航空機速度(V_GND)が、その入力に応答して上昇し、次いで、入力が解放されたときほぼゼロに移動し、ホバリング状態に戻ることを示す。パイロット制御入力が(約140秒後)一定である間、航空機は、パイロットからのさらなるコマンドなしにホバリング状態のままである。図5bは、本発明の一実施形態について同様の応答を示し、主な違いは、パイロット入力なしでホバリングに戻ること、及びその維持である。航空設計基準ADS−33E−PRFは、不十分な視覚的条件での飛行の場合、プロットに示されているような応答のTRC型が、良好なハンドリング品質及びより低いパイロットワークロードのために必要とされることを示している。
【0041】
特に、図4a、b及び図5a、bは、本発明が高い帯域幅の応答をもたらすことができ、ヘリコプタの正確な操縦及び制御を可能にし、一方、不十分な視覚的条件での飛行に対して改善されたハンドリング品質を可能にするほど十分な安定性をももたらすことを示している。
参照:そのそれぞれの全体の内容を本参照により組み込む。
【0042】
この構造に固有の他の利点は、当業者に明らかである。本明細書には、実施形態が例示的に述べられており、特許請求されている本発明の範囲を限定するものではない。前述の実施形態の変型形態は当業者に明らかであり、以下の特許請求の範囲によって包含されることが本発明者によって意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定増加がより高い第1の応答モードと安定増加がより低い第2の応答モードとを符号化する制御システムであって、
両応答モードが、前記クラフトのパイロットコマンドインターフェースからのコマンドシグナリングと前記クラフトからの向き・運動フィードバックとを使用し、クラフトを方向転換するために集合的に使用される情報を生成するように構成されており、
前記コマンドシグナリングのより低い周波数成分が、より高い周波数成分に比べてより多く前記第1の応答モードに従って処理され、前記コマンドシグナリングの前記より高い周波数成分が、より低い周波数成分に比べてより多く前記第2の応答モードに従って処理される、制御システム。
【請求項2】
前記向き・運動フィードバックに応じて前記コマンドシグナリングをより高い周波数成分とより低い周波数成分に分割する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記クラフトが航空機であり、前記向き・運動フィードバックが航空機状態データであり、前記応答モードが、アクチュエータ要求を計算するための複数の別個のプロセスとして実施される、請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記コマンドシグナリングの前記成分を前記別個のプロセスに送る、請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記別個のプロセスのそれぞれのための対応するプロセッサをさらに備える、請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
複数のフィルタのそれぞれに結合された、前記コマンドシグナリングをマルチキャストするためのハブをさらに備え、各フィルタが、前記フィルタが通信可能に結合されているそれぞれのプロセスに送られない前記コマンドシグナリングの周波数成分を除去するように構成されている、請求項4に記載の制御システム。
【請求項7】
前記フィルタが、制御可能な伝送特性を有し、前記航空機状態データに応答して前記フィルタ特性を変更するためのプロセスをさらに備える、請求項4に記載の制御システム。
【請求項8】
前記別個のプロセスのそれぞれからのアクチュエータ要求を組み合わせ、前記航空機を方向転換するための組み合わされた制御出力を生成するための、組み合わせプロセスをさらに含む、請求項3に記載の制御システム。
【請求項9】
前記組み合わせプロセスが、前記別個のプロセスのそれぞれからの前記アクチュエータ要求の重み付けされた和を生成するように構成され、前記重み付けが、前記クラフトの最近の動作条件に応じて適用される、請求項8に記載の制御システム。
【請求項10】
パイロットコマンドインターフェースからのコマンドシグナリングとクラフトからの向き・運動フィードバックとに応答して前記クラフトを方向転換するためのアクチュエータ要求を生成するための方法であって、
安定増加が異なる少なくとも2つの応答モードを用意するステップと、
前記コマンドシグナリングを少なくとも2つの部分に分割するステップと、
前記コマンドシグナリングのより低い周波数成分が、より高い周波数成分に比べてより多くより高い安定増加応答モードによって処理され、前記コマンドシグナリングのより高い周波数成分が、より低い周波数成分に比べてより多くより低い安定増加応答モードに与えられるように、前記分割された部分をそれぞれの応答モードに与えるステップであり、前記応答モードが、前記アクチュエータ要求を決定するための情報を集合的に生成する、ステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記コマンドシグナリングを前記少なくとも2つの部分に分割するステップが、前記向き・運動フィードバックに応じて制御される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記クラフトが航空機であり、前記向き・運動フィードバックが航空機状態データであり、前記コマンドシグナリングを分割するステップが、前記コマンドシグナリングを複数のフィルタのそれぞれにマルチキャストするサブステップを含み、前記分割された部分を与えるステップが、前記コマンドシグナリングの複数のフィルタされた部分のそれぞれを独立に処理するために、前記フィルタされた部分を複数のフィードバック制御ループのそれぞれに転送するサブステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の別個のプロセスのそれぞれの制御出力を組み合わせ、前記航空機を方向転換するための組み合わされた制御出力を生成するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
航空機制御システムであって、
第1・第2のフィードバック制御ループに通信可能に結合された前記航空機のコマンドインターフェースからのコマンドシグナリングを備え、第1・第2のフィードバック制御ループが、前記コマンドシグナリング、航空機状態データ、及び前記航空機の飛行制御則に応答して飛行制御出力を導出するためにそれぞれの第1の応答型及び第2の応答型を符号化し、前記第1の応答型は、前記第2の応答型に比べてより低い安定増加を有し
前記コマンドインターフェースと前記第1・第2のフィードバック制御ループとの間の接続部が、より高い周波数のコマンドシグナリングを、より低い周波数のコマンドシグナリングに比べてより多く前記第1のフィードバック制御ループに供給し、より低い周波数のコマンドシグナリングを、より高い周波数のコマンドシグナリングに比べてより多く前記第2のフィードバック制御ループに供給する、航空機制御システム。
【請求項15】
前記航空機が回転翼機であり、前記フィードバック制御ループの1つによって符号化される前記応答型が、レート減衰、姿勢コマンド/姿勢保持、並進速度コマンド、及び位置保持のうちの1つである、請求項14に記載の航空機制御システム。
【請求項16】
前記航空機が固定翼航空機であり、前記フィードバック制御ループの1つによって符号化される前記応答型が、前記航空機の胴体の向き、若しくはその変化率、若しくはその加速度、対気速度若しくはその変化率、地上上空の位置、対地速度若しくは対地速度の変化率、標高、その変化率、若しくはその加速度、又は飛行経路角若しくはその変化率の制御に基づく、請求項14に記載の航空機制御システム。
【請求項17】
前記接続部が、前記コマンドシグナリングの制御可能な周波数帯域幅を前記フィードバック制御ループのそれぞれに転送することを可能にし、航空機制御システムが、前記制御ループのそれぞれに転送された前記周波数帯域幅を前記航空機状態データに応じて調整するためのフィードバックコントローラをさらに備える、請求項14に記載の航空機制御システム。
【請求項18】
前記接続部が、前記コマンドシグナリングを、複数の同調可能なフィルタのそれぞれを介して前記フィードバック制御ループにマルチキャストするためのハブを備える、請求項17に記載の航空機制御システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2013−514215(P2013−514215A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543418(P2012−543418)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001866
【国際公開番号】WO2011/072362
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(595006223)ナショナル リサーチ カウンシル オブ カナダ (25)