説明

擬似太陽光照射装置

【課題】被照射面において、照度の局所的なばらつきが少ない擬似太陽光を出射できる擬似太陽光照射装置を提供する。
【解決手段】擬似太陽照射装置の導光部材を、一方向に配列した8個の導光板WG1’〜WG8’で構成する。各導光板WG1’〜WG8’の照射面に対向する面に複数のドット状の突起701,702からなる光拡散部を形成する。導光板WG1’〜WG8’の導光方向に垂直な上記一方向の端に位置する導光板WG1’, WG8’のドット状の突起701のドット径を、上記一方向の端以外の中央に位置する導光板WG2’〜WG’のドット状の突起702のドット径よりも大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擬似太陽光を照射する擬似太陽光照射装置に関する。本発明は、例えば、太陽電池パネルのI−V特性を評価するためのソーラーシミュレータとして使用できる擬似太陽光照射装置に関する。また、本発明は、例えば、各種太陽エネルギー利用機器の測定試験(化粧品、塗料、接着剤、各種材料の退色および耐光試験)に用いたり、加速劣化試験に用いたり、農作物用へ光を照射するのに用いると好適な擬似太陽光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池パネルの大型化が進み、太陽光に近い人工光(擬似太陽光)を照射できる装置の需要が高まっている。特に、太陽電池技術の急速な発展と普及に伴い、太陽電池の検査、測定、および実験に利用可能な、高精度の擬似太陽光を大面積に照射できる装置が特に求められている。
【0003】
擬似太陽光に求められる主要な要素は、そのスペクトルが基準太陽光(日本工業規格により制定)と近いということと、基準太陽光と同程度の照度、また被照射面において、均一な照度が必要ということである。
【0004】
2層積層型(タンデム構造)や3層積層型(トリプル構造)の太陽電池パネルでは、分光感度の異なる太陽電池が内部で直列接続された構造をしている。これらの太陽電池パネルの発電特性を評価する場合、それぞれの層において発電を誘起する波長帯が異なることから、太陽光と類似したスペクトルを有する光によって、太陽電池パネルの出力特性を評価する必要がある。また、太陽電池パネル上で照度の低い領域が生じた場合などは、該領域に相当する太陽電池パネルの内部抵抗が高くなる。このため、他の領域の太陽電池パネルでは十分な発電能力が確保されているにもかかわらず、実効的な出力は大幅に低下することになる。従って、太陽電池パネルの出力特性を高精度で評価するためには、そのスペクトルが基準太陽光に近く、被照射面において均一な照度を有する光を用いる必要がある。
【0005】
こうした工夫を行った技術が、特許文献1(特開2009−145254号公報)や、特許文献2(特許第3500352号)に開示されている。
【0006】
ここで、特許文献1の擬似太陽光照射装置(ソーラーシミュレータ)は、光源から出射された光がスペクトル調整用のフィルタを透過することによって、基準太陽光と類似したスペクトルを生成するようになっており、直接被照射面に到達する光と、反射板によって被照射面に到達する光とを利用するようになっている。
【0007】
また、特許文献2の擬似太陽光照射装置は、2つの光源と、それぞれのスペクトルを制御する光学フィルタとによって、基準太陽光と類似したスペクトルを生成するようになっている。
【0008】
しかし、特許文献1の擬似太陽光照射装置では、被照射面で照度の均一化を図るためには、反射部材を調整する必要が有り、メンテナンス作業に時間を要し、被照射面で照度の均一化を簡易に行うことができないという問題がある。
【0009】
図10は、その擬似太陽光照射装置の照射光学系の概略図である。この図において、22(23)はキセノンランプ等、6は擬似太陽光照射ボックスであり、スペクトル調整用のフィルタが設けられている。また、30は、被照射面と反対側に放射された光を被照射面側に反射するための反射板であり、独立して反射角が調整できる。従って、被照射面の照度を均一にするためには、図10に示す全ての反射板30の角度を調整する必要があり、被照射面で照度の均一化が困難であると共に、均一化の精度が低いという問題がある。また、ランプ交換等のメンテナンス作業時に時間を要するという問題もある。
【0010】
また、特許文献2の擬似太陽光照射装置では、スペクトル調整用のフィルタに入射する角度が広範囲に渡るため、フィルタの入射角度依存性によって擬似太陽光のスペクトルが基準太陽光から乖離するという問題がある。
【0011】
また、従来、面光源装置としては、特開平8−334765号公報(特許文献3)に記載されているものがある。
【0012】
しかしながら、この面光源装置でも、面の縁部から出射される光の光量が、面の中央部から出射される光の光量よりも低く、均一な光を出射できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−145254号公報
【特許文献2】特許第3500352号
【特許文献3】特開平8−334765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明の課題は、被照射面において、照度の局所的なばらつきが少ない擬似太陽光を出射できる擬似太陽光照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、この発明の擬似太陽光照射装置は、
太陽光の発光スペクトルを有する光を被照射面に照射する擬似太陽光照射装置において、
光を入射する入射面と、該入射面からの光を導光させ、上記被照射面に対して光を照射する照射面とを備えた導光部材と、
上記導光部材の中央部と前記導光部材の導光方向に対して直交するいずれか一つの端部とから照射される上記被照射面における照度が均一になるように補正する補正手段とを備えてなることを特徴としている。
【0016】
本発明によれば、補正手段により、導光部材の中央部と前記導光部材の導光方向に対して直交するいずれか一つの端部とから照射される上記被照射面における照度の差を小さくすることができる。したがって、被照射面において、照度の局所的なばらつきが少ない擬似太陽光を出射できる。
【0017】
また、一実施形態では、
上記補正手段は、上記導光部材の入射面から入射した光を散乱させ、上記照射面から光を取り出す光拡散部であり、
上記光拡散部は、上記導光部材の中央部と上記導光部材の端部とで、照度が均一になるように異なる面積比率にて形成してなる。
【0018】
上記実施形態によれば、被照射面での照度の均一化を簡単安価に行うことができる。
【0019】
また、一実施形態では、
上記導光部材は、複数の導光体からなり、
上記各導光体の光拡散部は、複数の光拡散処理部を有し、上記光拡散処理部の形状、面積及び最短隣接距離の少なくとも一つを異ならせることにより、上記中央部に配置した導光体よりも上記端部に配置した導光体の方が、上記面積比率を高くすべく形成してなる。
【0020】
上記光拡散処理部は、例えば、突起や、溝状の凹部からなる。
【0021】
上記実施形態によれば、光拡散部を、簡単安価に製造できて、出射位置で光度のばらつきがない均一な光を簡単安価に生成できる。
【0022】
また、一実施形態では、
上記導光部材は、複数の導光体からなり、
上記端部に配置した導光体は、上記中央部に配置した導光体よりも厚さが薄いこと、又は上記中央部に配置した導光体の幅よりも小さいことのうちの少なくとも一方を満たし、上記中央部に配置した導光体よりも上記端部に配置した導光体の方が、上記面積比率を高くしてなる。
【0023】
上記実施形態によれば、端部の導光体内での光の全反射の回数を、中央部の導光体内での光の全反射の回数よりも多くすることができて、端部の導光体内の光が、光拡散部に衝突する確率を、中央部の導光体内の光が、光拡散部に衝突する確率よりも高くすることができる。また、各導光体において、光源からの光が、導光体に結合する割合を高くすることができる。
【0024】
また、一実施形態では、
上記入射面に光を入射する光源からの光を、太陽光の発光スペクトルを有する光に調整するスペクトル調整フィルタを備えてなる。
【0025】
上記実施形態によれば、容易に擬似太陽光を生成できる。
【0026】
また、一実施形態では、
上記スペクトル調整フィルタに入射する光の入射角を一定範囲内に抑えるべく、上記光源からの光の指向性を制御するテーパー部材を備えてなる。
【0027】
上記実施形態によれば、上記スペクトル調整フィルタに入射する光の入射角を一定範囲内に抑えることができて、所望のフィルタ特性を得ることができる。
【0028】
また、一実施形態では、
上記導光部材の照射面から照射された光が入射可能な位置に配置されると共に、上記導光部材の照射面から照射された光を拡散する光拡散部材を備える。
【0029】
上記実施形態によれば、被照射面での局所的な光量のばらつきを更に抑制できて、照射面により均一な光を照射することができる。
【0030】
また、一実施形態では、
上記導光部材から漏れた光を、上記導光部材の内部を経由させて照射面に到達させる反射部材を備える。
【0031】
上記実施形態によれば、上記導光部材の照射面以外の部分から漏れた光も活用できて、出射される光の光量を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の擬似太陽光照射装置によれば、従来よりも、補正手段により、導光部材の中央部と前記導光部材の導光方向に対して直交するいずれか一つの端部とから照射される上記被照射面における照度の差を小さくすることができて、被照射面において、照度の局所的なばらつきが少ない擬似太陽光を出射できる。
【0033】
また、一実施形態の擬似太陽光照射装置によれば、例えばアレイ状に配置した複数の導光体を有すると共に、各導光体は、光拡散部を有し、上記アレイ状の複数の導光体のうち、両端の導光体は、光拡散部に衝突する光量が多いか、あるいは、導光体内部を伝搬する光が光拡散部に衝突する確率が高くなる。したがって、端の導光板からの出射光量が多くなる。そのため、被照射面における照度ムラを低減することができる。
【0034】
導光体を隣接させてアレイ状に配置した場合、被照射面においては、対象としている導光体から放射される光と、それに隣接する導光体から放射される光が積算される。したがって、中央付近の導光体と、端の導光体とを比較すると、中央の導光体よりも端の導光体の方が、隣接する導光体の数が少ないことから、端の導光体からの光量を高める事によって、照射領域において、端の照度が相対的に低下するのを抑えることができて、照度ムラの少ない擬似太陽光の照射が可能になるのである。
【0035】
また、導光体の側面から導光体内部に光が入射し、光拡散部によって光が被照射面に伝搬するため、装置全体の側面に光源を設けることができる。したがって、光源へのアクセスが容易であり、ランプ交換等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0036】
また、一実施形態の擬似太陽光照射装置によれば、光拡散部の大きさに勾配が与えられているか、または、光拡散部の配置間隔に粗密が存在しているから、導光体から出射される光の照度を均一化することができる。
【0037】
導光体側面から入射した光は、導光体内部を伝搬すると同時に、光拡散部によって外部に光が取り出される。したがって、伝搬距離が長くなるにつれ、伝搬する光量が徐々に低下するから、導光体に形成されている光拡散部が全て均一な場合、導光体の中央付近から出射される光量が低下し、導光体の伝搬方向に照度のムラが生じる。したがって、導光体中央付近の光拡散部を大きくする、あるいは、密度を高めることによって、導光体から出射される光の照度を均一化することができる。
【0038】
また、伝搬方向と垂直な方向に光拡散部の大きさに勾配を与える、あるいは、光拡散部の疎密を与えることによって、導光板をアレイ状に配置した場合の、伝搬方向と垂直な方向の照度の均一化が可能である。
【0039】
また、一実施形態の擬似太陽光照射装置によれば、導光体から光が取り出される面側に、出射された光を拡散させるための光学部材が設けられているから、被照射面での照度をより均一化することができる。
【0040】
また、一実施形態の擬似太陽光照射装置によれば、導光部材から漏れた光を、導光部材の内部を経由させて照射面に到達させる反射部材を備えるから、導光部材の照射面以外の部分から漏れた光も活用できて、出射される光の光量を大きくすることができ、光の利用効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態の擬似太陽光照射装置の斜視図である。
【図2】上記擬似太陽光照射装置の導光板の概略構成図である
【図3】第1実施形態およびその変形例の光拡散部のパターンを示す図である。
【図4】図1に示す被照射面の中心を原点としたαβ平面におけるα方向およびβ方向の照度分布の解析結果である。
【図5】5(a)は、照射範囲の端の照度低下を防ぐための光拡散部の一例を示す図であり、5(b)は、被照射面のαβ平面において、α=0mmにおけるβ軸方向の照度分布を示す図である。
【図6】第1実施形態の変形例の光拡散部を示す図であり、照射範囲の端の照度低下を防ぐ光拡散部を示す図である。
【図7】第2実施形態の擬似太陽光照射装置の一部を示す図であり、リフレクタと、スペクトル調整用フィルタと、それらの間に挿入された光学部材を示す模式図である。
【図8】第2実施形態の擬似太陽光照射装置を示す図である。
【図9】第3実施形態およびその変形例の擬似太陽光照射装置の一部を構成する光学系の斜視図である。
【図10】従来の擬似太陽光照射装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0043】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の擬似太陽光照射装置の斜視図である。
【0044】
この擬似太陽光照射装置は、光源101を有し、光源101からの光を、平板状の導光体としての導光板WG1〜WG8にカップリングさせて広域にわたり擬似太陽光を照射するようになっている。この擬似太陽光照射装置は、幅225mmの8枚の導光板WG1〜WG8を有している。8枚の導光板WG1〜WG8は、導光部材を構成している。8枚の導光板WG1〜WG8は、各導光板WG1〜WG8の導光方向が、全て略一致するように配置され、その導光方向に垂直な一方向に互いに間隔をおいて配置されている。各導光板WG1〜WG8は、光が入射する入射面と、その入射面から入射した光源101からの光を導光する導光部と、その導光部が導光した光源101からの光を出射する照射面とを有している。ここで、上記導光部は、入射面から入射した光が照射面に到達するまでの部分をさす。
【0045】
上記光源101は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。上記光源101としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、UVランプ、メタルハライドランプ等を使用することができる。また、上記光源101としては、擬似太陽光の発光スペクトルに調整した発光ダイオード(LED)やEL等を用いることもできる。
【0046】
上記光源101から放射された光は、リフレクタ102によって導光板WGの方に方向づけられるようになっている。尚、第1実施形態では、上記リフレクタ102として、楕円形状の面を有するものを採用したが、これに限定するわけではなく、リフレクタとして、円形状の面や、放物面形状の面や、非球面形状の面を有するものを採用しても良い。
【0047】
上記光源101と、導光板WG1〜WG8との間には、スペクトル調整用フィルタ103が挿入されており、光源101から放射される光の特定波長帯の透過率を減衰させるようになっている。上記スペクトル調整用フィルタ103によって、任意のスペクトルを有する光を照射することが可能になり、特に、スペクトル調整用フィルタ103として、エアマスフィルタを利用することによって、太陽光スペクトルとの近似性が高い擬似太陽光を生成することが可能になる。
【0048】
尚、上記スペクトル調整用フィルタ103としては、光源101からの光における特定波長帯の光の透過率を減衰させることで、スペクトル分布を与えることができるものであれば如何なるものが採用されても良い。例えば、エアマスフィルタ、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタなど、各種の光学フィルタ等を目的に応じて適宜選択して用いることができる。また、上記スペクトル調整用フィルタ103は、1種類の単独のフィルタで構成してもよいし、2種以上の異なるスペクトル調整用フィルタを組み合わせて構成しても良い。
【0049】
また、第1実施形態においては、単一の光源からの光を、導光板WG1〜WG8に導入したが、この発明では、太陽光スペクトルに近い光を生成するために、複数の光源からの光を、導光板に導くようにしても良い。
【0050】
上記導光板WG1〜WG8に入射した光は、導光板WG1〜WG8の内部を伝搬し、後述する光拡散部によって、導光板WG1〜WG8の夫々において、光が入射した面とは異なる面から、光が外部に取り出されるようになっている。それぞれの導光板WG1〜WG8から取り出された光SL(導光板からの出射光)は、被照射面104に向けて放射されるようになっている。
【0051】
このように、この擬似太陽光照射装置は、光源101から出射された光にスペクトル分布を与え、導光板WG1〜WG8にカップリングさせ、導光板WG1〜WG8からの光を外部に取り出して被照射面104に照射する。尚、第1実施形態では、目標とする被照射面104の領域の面積は、1000mm(x軸方向)×1600mm(y軸方向)としている。しかし、被照射面の領域がこれに限らないのは、勿論である。
【0052】
上記各導光板WG1〜WG8は、角柱状の形状を有し、導光板WG1〜WG8の下側(被照射面104側とは反対側)には反射部材が設けられている。これは、導光板WG1〜WG8の下面から出てきた光を上面に反射させ、光の利用効率を高めるためである。
【0053】
尚、この擬似太陽光照射装置には、光源からの熱による影響を抑えるために、構成部材や光学部品などを冷却するための冷却装置を具備しても良い。また、迷光対策や照度ムラの微調整のために、擬似太陽光照射装置の内部に複数の遮光手段を設けても良い。
【0054】
図2は、上記導光板WG1の概略構成図である。尚、上記導光板WG2〜WG8は、WG1と同様の構成を有する。導光板WG2〜WG8の説明は、導光板WG1の説明をもって省略する。
【0055】
上記導光板WG1は、導光板WGの導光方向と平行な面の少なくとも一つに光拡散部202を有している。
【0056】
上記光源101(図1参照)から放射された光のうちの一部は、スペクトル調整用フィルタ103によって擬似太陽光200になり、導光板WG1に結合する。結合した光は、全反射を繰り返しながら導光板WG1内を伝搬する。上記導光板WG1の照射面207と対向する対向面208には、光拡散部202が形成されている。
【0057】
上記光拡散部202は、明樹脂中に直径1μm〜数μm程度の拡散微粒子を混入してなっている。この光拡散部202は、印刷によって導光板WG1にパターニングする等して形成することができる。
【0058】
上記導光板WG1の一の面に形成された光拡散部202に入射した光は、全反射条件が乱されて拡散(散乱)される。拡散(散乱)された光は、全反射条件を満たさないため、導光板WG1から外側に放射される。また、拡散(散乱)されて導光板WG1の下側(−z軸方向)に漏れた光は、導光板WG1の下側に設けられた反射板201(反射部材)によって被照射面104(図1参照)に向けて反射される。上記反射板201としては、アルミなどの金属膜、高反射率ポリカーボネイト、または、白色散乱板など、反射率の大きな材料を用いることができる。
【0059】
また、照度ムラを低減するために、導光板WG1〜WG8から被照射面104に向かう光路中に光拡散部材203が設けられている。
【0060】
尚、第1実施形態における導光板WG1〜WG8は、角柱状のものを用いたが、導光体の形状は、角柱の形状に限定されるものではなく、導光板WG1〜WG8の導光方向(図2のx軸方向)に垂直な方向の断面の形状は、四角形以外の多角形形状でも良いし、丸型でも良い。また、導光板の導光方向の長さも、その用途に合わせて変更することができる。
【0061】
再度図2を参照して、上記光拡散部202は、上述のように、透明樹脂中に拡散微粒子を混ぜ合わせたもので、印刷によって導光板WG1にパターニングされている。
【0062】
図2に示す導光板WG1では、導光板WG1の内部を伝搬して、光拡散部202に到達した光は、光拡散部202で拡散される。そして、拡散により全反射条件が乱されて、導光板WG1の外部に光が取り出されて、被照射面104に至る。従って、被照射面104の照度ムラができるかどうかは、光拡散部202の占める面積や位置に左右される。
【0063】
第1実施形態における擬似太陽光照射装置においては、光拡散部202は、導光板WG1上に設定した座標、すなわち、長手方向(x軸方向)および短手方向(y軸方向)に基づいて、そのパターンの形状や配置を決定している。
【0064】
図3(a)は、第1実施形態の光拡散部202のパターンを示す図である。
【0065】
図3(a)に示すように、第1実施形態では、光拡散部202として、球の一部からなる複数のドット状の突起からなるパターン209を用いている。ドット状の突起は、光拡散処理部を構成している。尚、この実施形態においては、光拡散部202のパターン209は、ドット状の突起の間隔を一定にする一方、ドット状の突起の径(ドット状の突起の大きさ(平面図におけるドット状の突起の外接円の直径))を変えて調整している。尚、ドット状の突起は、この実施形態のように、平面図において円形状であっても良いことは勿論であるが、平面図において、楕円状等、平面図において、円形状以外の形状であっても良い。上記導光板WG1〜WG8の内部を伝搬する光は、全反射を繰り返しながら伝搬するが、図2に示したように、光拡散部に衝突した成分は導光板WG1の外部に光が取り出される。
【0066】
図3(a)は、第1実施形態の導光板WG1〜WG8の光拡散部202の詳細を示す図である。尚、図3(a)では、導光板WG1のみを示し、他の導光板WG2〜WG8の説明は、導光板WG1の説明をもって省略する。
【0067】
図3(a)に示すように、上記被照射面104(図1参照)で、伝搬方向(図3中のx軸方向)の照度を一定にするために、各導光板WG1〜WG8の入射側付近の光拡散部202の密度を疎、導光板WG1〜WG8の中央付近の光拡散部を密に配置している。中央付近の光拡散部を入射端側より密になるように配置することによって、導光板WG1〜WG8から出射される光量を均一にすることができる。
【0068】
上記光拡散部202の配置はこれに限定するわけではなく、球の一部からなるドット状の突起の径を一定にし、ドット状の突起の間隔を変えて制御しても良い。また、ドット位置と、ドット径の両方を変えても構わない。このように光拡散部202に疎密を与えることで、導光板の伝搬方向(x軸)だけでなく、伝搬方向と垂直な方向(y軸)の照度の制御を行うこともできる。
【0069】
他の光拡散部としては、図3(b)や、図3(c)に示すものがある。
【0070】
詳しくは、光拡散部は、図3(b)に、参照番号302で示すように、導光板WGにおいて、伝搬方向に互いに間隔をおいて配置されると共に、伝搬方向xと垂直な方向であるy方向に延在する同じ幅を有する複数の線からなるパターン309であっても良い。上記各線は、光拡散処理部を構成している。
【0071】
また、光拡散部は、図3(c)に、参照番号402で示すように、導光板WGにおいて伝搬方向に互いに間隔をおいて配置されると共に、伝搬方向と垂直な方向であるy方向に延在する複数の線からなるパターンであって、少なくとも二つの線の幅が異なるパターン409であっても良い。換言すると、線状のパターンにおいて、各線の線幅を段階的に変化させたパターン409でも構わない。上記各線は、光拡散処理部を構成している。尚、この発明では、光拡散処理部は、溝状の凹部で構成しても良い。
【0072】
また、線幅を不連続(点線状や波線状)にするなど導光板の幅方向に対して線状パターンの各線の形状を異ならせることにより、伝搬方向と垂直な方向(y軸)の照度の均一化を行うようにしても良い。
【0073】
尚、第1実施例においては、図3(a)に示すように、平面図において円状の球の一部からなる複数のドット状の突起のパターン209を採用すると共に、各ドット状の突起の径を、x軸方向およびy軸方向で共に約0.6mmから約1.1mmの間で変化させ、ドット状の突起ごとの間隔は、2.5mmで、x方向において導光板WG1〜WG8の端から3mmの間隔を開けてパターンを形成した。
【0074】
図4(a)および図4(b)は、図1に示す被照射面104の中心を原点としたαβ平面における照度分布の解析結果である。
【0075】
詳しくは、図4(a)は、被照射面104において、β=0におけるα軸方向(導光板の伝搬方向)の照度分布である。また、図4(b)は被照射面104において、α=0におけるβ軸方向(導光板の伝搬方向と垂直な方向)の照度分布である。
【0076】
また、図4(b)に点線で示しているグラフは、導光板1枚から出射された照度分布である。
【0077】
ここで被照射面104の照度ムラΔEを、次の式(1)のように定義した場合、α軸方向の照度ムラは約2.0%、β軸方向の照度ムラは約3.9%であった。

ここで、ΔE:照度ムラ(%)
Emax:放射照度の最大値(W/m
Emin:放射照度の最小値(W/m
である。
【0078】
β軸方向の照度ムラは、導光板WG1〜WG8がアレイ状に配置されていることから、1枚あたりの導光板WG1〜WG8のβ軸方向の光拡散部のドット状の突起の間隔、大きさや、左右に隣接する導光板同士の間隔を変化させることで、被照射面104の中央付近の照度分布を調整することが可能になる。
【0079】
しかしながら、疑似太陽光照射装置の端に設置されている導光板WG1とWG8は、片側のみ導光板が隣接している状態である。したがって、隣接する導光板から放射される光を積算すると、被照射面の端部の照度は、被照射面の中央付近の照度と比較して低くなる。詳しくは、光拡散部を、全ての導光板で同一にすると、図4(b)に示すように、目標とする照射領域の端、即ち、±800mmの領域では、他の領域に比べ照度が低下する。
【0080】
ここで、目標とする照射範囲の端の照度低下を防ぐためには、端の導光板WG1、WG8(尚、この明細書で、単に端の導光板といった場合、それは、一の導光板の導光方向に垂直な方向の端に位置する導光板のことをいう)から取り出される光量が、中央の導光板WG2〜WG7(尚、この明細書で、単に中央の導光板といった場合、それは、一の導光板の導光方向に垂直な方向の端に位置する導光板以外の導光板のことをいう)よりも高くなれば良い。第1実施形態の変形例においては、図5(a)に示すように、端の導光板WG1’、WG8’の光拡散部を、他の導光板WG2’〜WG7’の光拡散部と変えている。
【0081】
上記導光板WG1’、WG8’のドット状の突起701の径を、WG2’〜WG7’のドット状の突起702の径よりも拡大して、導光板WG1’、WG8’において、対応する領域に含まれるドット状の突起701が占める次に定義する被覆率(面積比率)を、導光板WG2’〜WG7’の被覆率よりも高くするようにしている。ここで、面積比率は、光拡散部の表面積[cm]/上記導光部材の表面積[cm]で定義されるものである。
【0082】
また、上記各導光板の被覆率を、上記各導光板の上記光拡散部の表面積[cm]/上記各導光板の上記光拡散部が形成されている側面の面積の総和[cm]と定義した場合、この実施形態では、端の導光板の被覆率は、中央の導光板の被覆率よりも高くなっている。
【0083】
まとめると、擬似太陽照射装置の導光部材を、一方向に配列した複数の導光板WG1’〜WG8’で構成し、各導光板WG1’〜WG8’の照射面に対向する面に複数のドット状の突起からなる光拡散部を形成している。また、導光板WG1’〜WG8’の導光方向に垂直な上記一方向の端に位置する導光板WG1’,WG8’のドット状の突起のドット径を、上記一方向の端以外の中央に位置する導光板WG2’〜WG7’のドット径よりも大きくしている。各導光板WG1’〜WG8’の光拡散部の和は、補正手段を構成している。
【0084】
ここで、第1実施形態の変形例においては、対応する領域として、光が各導光板WG1’〜WG8’に入射する入射端から20mm×20mmごとの領域を定義した。即ち、各導光板WG1’、WG8’の20mm×20mmごとに含まれるドット面積が、WG2〜WG7の20mm×20mmごとのドット面積よりも大きくなっている。
【0085】
WG1’、WG8’に含まれるドットの径がWG2’〜WG7’よりも大きいことから、導光板WG1’、WG8’内を伝搬する光が光拡散部のドット状の突起701に衝突する確率が、導光板WG2’〜WG7’内を伝搬する光が光拡散部のドット状の突起702に衝突する確率よりも高くなる。したがって、光が導光板WG1’、WG8’の光拡散部によって拡散される確率が高くなるから、端の導光板WG1’、WG8’から出射される光量が増加し、目的とする照射領域において、端の照度が相対的に低下するのを抑えることができ、照度ムラの少ない擬似太陽光の照射が可能になる。
【0086】
このように端の導光板WG1’,WG8’の対応する領域の光拡散部の占める面積を、中央(端以外)の導光板WG2’〜WG7’の対応する領域の光拡散部の占める面積よりも大きくすることによって、目標とする照射範囲の端の領域において、光の取り出し効率を高くすることができる。
【0087】
図5(b)は、上記変形例の被照射面の照度である。変形例の被照射面の照度は、図5(b)に示すように、図4(b)との比較において±800mm付近の照度低下が改善されている。
【0088】
尚、第1実施形態では、図5(a)に示したように、ドットの径を拡大させて、被照射面104での照射の均一化を実現するようにしたが、図6(a)に示すように、端の導光板のドット状の突起601の間隔を中央の導光板のドット状の突起602の間隔よりも詰めて配置しても構わない。ドット状の突起601が密に配置されている、即ち、対応する領域において、端の導光板の光拡散部が占める面積が中央の導光板の光拡散部が占める面積よりも高くなるから、光拡散部によって光が拡散される確率が高くなり、端の導光板からの出射される光量が増加するからである。
【0089】
また、図6(b)に示したように、端の導光板のドットの状の突起801の数を、中央の導光板のドットの状の突起802の数よりも増大させて、導光板内を伝搬する光が、光拡散部に当たる確率を高くしても良い。
【0090】
また、平面図において、導光板の表面積の平面部に対するドット状の突起の占める面積を被覆率と定義し、端の導光板と、それ以外の中央の導光板とで、被覆率を異ならせても良い。即ち、中心から装置外側に向かう半分の領域のドット状の突起の径を拡大したり、光拡散部が形成される面を増やしたりしても構わない。
【0091】
また、端の導光板を基準として、中央の導光板の光拡散部を変えても良い。具体的には、中央の導光板の光拡散部のドット径を小さくする。或いはドット状の突起の間隔を広げる等である。
【0092】
このような構成の複数の導光板を用いることで、1枚の導光板が照射する範囲内において、相対的に照度が低下することを防ぎ、複数枚の導光板をアレイ状に配置させた場合においても、目的とする照射範囲内で照度ムラが小さい擬似太陽光照射装置が実現できる。さらに、所定の照度を満たす被照射面積を拡大することができる。
【0093】
尚、第1実施形態においては対応する領域の定義として、光が導光板に入射する入射端から20mm×20mmのごとの領域と定義したが、これに限定するわけではなく、導光板の大きさや、光拡散部の作製可能な最小サイズなどによって適宜変化させても構わない。
【0094】
(第2実施形態)
図7(a)は、第2実施形態の擬似太陽光照射装置におけるスペクトル調整用フィルタ103およびその入射角制御部の機能の本質を説明するための概念図である。
【0095】
尚、図7(a)は、説明を簡略化するために、WG9で示す導光板の一列のみを抽出しており、導光板WG9に対して片側の光学系のみを示している。また、第2実施形態においては、第1実施形態と同一の部位、部分、部材については、第1実施形態と同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0096】
上記スペクトル調整用フィルタ103は、多層膜が用いられることが多い。一般的に、多層膜には入射角依存性があるため、入射角が大きくなると、本来目的としている性能から乖離した特性が現れることがある。そのため、所望のスペクトルを得るためには、スペクトル調整用フィルタ103に対する入射角を制御する必要がある。
【0097】
第1実施形態の擬似太陽光照射装置では、リフレクタ102によって、スペクトル調整用フィルタ103に対する+z〜−z方向(導光板の厚み方向)の入射角は制御できているが、+y〜−y方向(導光板の幅方向)の入射角を制御することはできない。この点を改良すべく、第2実施形態においては、+y〜−y方向(導光板の幅方向)の入射角を制御する制御部も組み合わせた擬似太陽光照射装置について説明する。
【0098】
図7(a)に示すように、光源101から出射された光は、リフレクタ102によって導光板WG9に対する厚み方向の指向性分布が一定角度範囲内に制御される。リフレクタ102によって反射された光は、光伝搬部材の一例としてのテーパー部材901に導かれる。
【0099】
テーパー部材901は、図7(b)に示すように、テーパー部材901の入射面902よりも、テーパー部材901の出射面903の面積が大きい形状であり、導光板WGに対する幅方向の側面904は傾斜している。また、テーパー部材901は、透明部材であり、具体的には、BK7や石英、アクリルなどの透過性の高い材質からなっている。尚、第2実施形態では、テーパー部材901は角柱の形状であるが、これに限定するわけではなく、入射側や出射側の開口が円形であっても良い。
【0100】
上記リフレクタ102によって反射された光は、入射面902からテーパー部材901の内部に入射する。テーパー部材901に入射した光は、全反射を繰り返しながら内部を伝搬するが、図7(b)に示すように、側面904が傾斜しているため、全反射を繰り返すことによってテーパー部材901の出射面903から放射される光の放射角が入射角よりも小さくなる。
【0101】
第2実施形態によれば、上記リフレクタ102によって、導光板WG9に対する厚み方向の指向性分布を一定範囲内に抑えることができる。また、図7(a)および(b)に示すように、入射面902よりも出射面903の面積が広くなっているようなテーパー形状の部材901を挿入することによって、導光板WG9の幅方向の指向性分布も一定範囲内に抑えることができる。従って、スペクトル調整用フィルタ103に対する入射角を一定範囲内に抑えることができ、所望のフィルタ特性を得ることができる。
【0102】
図8は、第2実施形態の擬似太陽光照射装置を示す図である。
【0103】
第2実施形態の擬似太陽光照射装置は、図7(a),(b)で示したテーパー部材901を有し、また、より太陽光のスペクトルに近づけるために、スペクトルの異なる2種類の光源101aと101bとを有している。上記光源101aおよび光源101bの例としては、例えば、光源101aに、ハロゲンランプを用いることができ、光源101bに、キセノンランプを用いることができる。
【0104】
光源101aと101bのそれぞれの光源から発光した光は、リフレクタ102a、102bによって、それぞれのリフレクタ102a、102bに対応するテーパー部材901a、901bに導かれる。
【0105】
上記リフレクタ102a、102bによって、導光板WG9の厚み方向の放射角が制御された光は、それぞれの光路に対応するテーパー部材901a及び901bに導かれる。テーパー部材901a及び901bによって、導光板WGの幅方向の放射角が制御される。尚、テーパー部材901a及び901bは光源101a及び101bの形状や大きさなどによって、その寸法を変更していても良い。
【0106】
尚、一つの導光板WG9に対して一つのテーパー部材を対応させる必要はない。また、一つのテーパー部材を、一のリフレクタに設置しても良く、複数のテーパー部材を、一のリフレクタに設置しても良い。
【0107】
再度図8を参照して、上記テーパー部材901a、901bから出射された光は、それぞれの光源101aと101bの発光スペクトルに対応するスペクトル調整用フィルタ103a及び103bに入射する。その後、フィルタ1001によって、二つの光路が合成され、擬似太陽光200が導光板WGに向けて照射される。ここで、上記フィルタ1001は、波長選択機能があるフィルタである。このフィルタ1001は、例えば、波長650nm〜700nmを境にして、長波長帯の光を透過させる一方、短波長帯の光を反射させるような特性を有している。尚、詳述しないが、図8において、参照番号908は、遮光部材を示している。
【0108】
尚、上記導光板WG9と、テーパー部材901aおよび901bの厚みが異なる場合には、結合効率を高めるために、フィルタ1001と、導光板WG9との間に、厚み方向に傾斜のついた光学部材を挿入しても良い。
【0109】
第2実施形態でも、上記導光板に導かれた擬似太陽光は、第1実施形態と同様に、導光板内を伝搬し、導光板に形成された光拡散部によって被照射面に向けて照射されるようになっている。
【0110】
(第3実施形態)
図9(a)は、本発明の第3実施形態の擬似太陽光照射装置の一部を構成する光学系の斜視図である。
【0111】
第3実施形態では、第1実施形態と同一の部位、部分、部材には、同一の参照番号を付して、その部位等の説明を省略する。
【0112】
第1実施形態においては、端の導光板WG1,WG8と、それ以外の導光板WG2〜WG8とで、対応する領域の光拡散部202の配置間隔や、ドットの状の突起の形状を変化させることによって、光拡散部202の被覆率に差を与えた。第3実施形態においては、導光板WGの形状に差を与えることで、端の導光板WGと、中央の導光板WGとで、光拡散部の光取り出し性能に差を与える。
【0113】
第3実施形態では、図9(a)に示すように、端の導光板WGの厚みのみを薄くしている。厚みを薄くすることで、それ以外の中央の導光板(図示せず)と比べて表面積が小さくなり、光拡散部によって取り出される光の光量を大きくすることができる。
【0114】
図9(a)に示すように、第3実施形態の擬似太陽光照射装置は、導光板WGの方に行くにしたがって、厚みが徐々に薄くなる光結合用のテーパー部材1101を有している。このようにして、導光板WGの厚みを薄くすることによる、導光板WGへの結合効率の低下を抑制している。テーパー部材901およびテーパー部材1101は、光伝搬部材を構成している。
【0115】
第3実施形態によれば、図9(a)に示すように、導光板WGの厚みが薄くなっていることから、導光板WG内での全反射回数が増え、結果として、光拡散部に対する衝突確率が高くなり、導光板WGから放射される光の光量を多くすることができる。
【0116】
図9(b)は、第3実施形態の変形例の擬似太陽光照射装置の一部を構成する光学系の斜視図である。
【0117】
第3実施形態の変形例の擬似太陽光照射装置では、図9(b)に示すように、端の導光板WGの幅を狭くしている。幅を狭くすることで、他の導光板と比べて表面積が小さくなり、光拡散部によって取り出される光の光量を大きくすることができる。導光板WGの幅を狭くすることによる導光板WGへの結合効率を低下させないため、図9(b)では幅が徐々に狭くなる光結合用のテーパー部材1102を設けている。テーパー部材901およびテーパー部材1102は、光伝搬部材を構成している。図9(a)で示す場合と同様に、図9(b)で示す場合も、導光板WGの幅が狭くなっていることから、導光板WG内での全反射回数が増え、結果として、光拡散部に対する衝突確率が高くなり、導光板WGから放射される光の光量を多くすることができる。
【0118】
尚、上記第1実施形態の擬似太陽光照射装置は、導光板WG1〜WG8の導光方向の両側の外方に光源101を有していたが、この発明は、導光板の導光方向の一方側の外方のみに光源を有していても良い。
【0119】
また、上記第1実施形態の擬似太陽光照射装置は、導光板WG1〜WG8の導光方向の外方に光源101を有する所謂エッジ型の装置であったが、この発明の装置は、光源、導光部材及びフィルタを備えた光学系が複数配置されている所謂直下型の装置であっても良い。
【0120】
また、上記第1実施形態では、光源101から出射される光の光量は、複数の導光板WG1〜WG8の導光方向に垂直な方向で、略均一な構成であった。しかしながら、光源から出射される光の光量を、複数の導光板の導光方向に垂直な方向で変動させて、上記導光方向に垂直な方向の端部側から出射される光の光量を、上記導光方向に垂直な方向の中央部から出射される光の光量よりも多くしても良い。尚、この構成は、縁部からの光量を増加させても実現でき、また、中央部の光量を減少させても実現でき、また、縁部及び中央部の光量を調整しても実現できる。
【0121】
また、上記第1実施形態では、導光部材を、8個の導光板WG1〜WG8で構成したが、この発明では、導光部材を、1個のみの導光板で構成しても良く、また、2〜7個の導光板で構成しても良く、また、9個以上の導光板で構成しても良い。
【0122】
また、上記第1実施形態では、光拡散部202が、略直方体状の各導光板WG1〜WG8の被照射面207に対向する対向面208に形成されたが、この発明では、光拡散部は、略直方体状の導光板の導光方向に平行な四つの側面のうちの少なくとも一面に形成されることができる。また、光拡散部を、略直方体状の導光板の導光方向に平行な四つの側面のうちの複数の側面に形成した場合、それら複数の面で、光拡散部の被覆率(側面において光拡散部を構成する面積[cm]/各側面の面積[cm]で定義)を異ならせても良い。
【0123】
また、上記実施形態は、補正手段が、光拡散部や、導光板の表面積を有していたが、この発明の補正手段は、導光板の導光方向に垂直な方向の端部からの光の出射する光量が、導光体の導光方向に垂直な方向の中央部からの光の出射する光量よりも大きい光源により構成していても構わない。
【0124】
また、この発明の補正手段は、次に記載の光源および複数の導光板の配置構成を含んでいても良い。すなわち、一の導光板の導光方向に垂直な方向の端に位置する導光板と、光源との距離を第1距離とする一方、導光板の導光方向に垂直な方向の中央に位置する導光板(端以外の導光板)と、光源との距離を、上記第1距離よりも長い第2距離として、上記端に位置する導光板への光の入射効率を、上記中央に位置する導光板への光の入射効率よりも大きくした、光源および複数の導光板の配置構成を有していても良い。
【0125】
また、この発明の補正手段は、次に記載の光源および一のみの導光部材の置構成を含んでいても良い。すなわち、一の導光板の導光方向に垂直な方向の端部と、光源との距離を第1距離とする一方、上記一の導光板の導光方向に垂直な方向の中央部と、光源との距離を、上記第1距離よりも長い第2距離として、導光板の端部の光の入射効率を、導光板の上記中央部の光の入射効率よりも大きくした、光源および一の導光板の配置構成を有していても良い。
【0126】
また、この発明の補正手段は、上記光拡散部に替えて一以上のフィルタにより構成しても良い。すなわち、補正手段が一以上のフィルタを備え、その一以上のフィルタによって、一以上の導光板の導光方向に垂直な方向の端に入射する光の光量を、導光方向に垂直な方向の中央に入射する光の光量よりも多くしても良い。また、補正手段が一以上のフィルタを備え、その一以上のフィルタによって、一以上の導光板の導光方向に垂直な方向の中央に入射する光の光量を、導光方向に垂直な方向の端に入射する光の光量よりも小さくしても良い。
【0127】
また、この発明の補正手段は、上記光拡散部に替えて次に示す構成を有するリフレクタにより構成しても良い。すなわち、一以上の導光板の導光方向に垂直な方向において、リフレクタの開口において端部に位置する部分と、リフレクタの開口において中央部に位置する部分とが、単位距離あたりの開口面積が異なったり、開口の方向が異なっていたりして、リフレクタによって導かれる光が、一以上の導光板において導光方向に垂直な方向の中央よりも端に位置する導光板の方に、より多く入射するようになっていても良い。また、一以上の導光板の導光方向に垂直な方向において、リフレクタの開口において端部に位置する部分と、リフレクタの開口において中央部に位置する部分とが、単位距離あたりの開口面積が異なったり、開口の方向が異なっていたりして、リフレクタによって導かれる光が、一以上の導光板において導光方向に垂直な方向の端よりも中央に位置する導光板の方に、より少なく入射するようになっていても良い。
【0128】
また、この発明の補正手段は、上記光拡散部に替えて導光板の導光方向に垂直な方向である導光板の側方に設けられた光源により構成しても良い。このような光源を設けることにより、導光部材において導光方向に垂直な方向の端部からの出射光の光量を、導光部材において導光方向に垂直な方向の中央部からの出射光の光量よりも大きくすることができるからである。また、複数の導光板を有する構成においては、導光方向に垂直な方向の端に位置する導光板の側面から光を入射されても良く、その端の導光板が直方体の形状である場合には4側面のうちの1以上の側面から光を入射させても良い。
【0129】
また、この発明では、補正手段は、端の導光板の複数の突起の平均の径が、中央の導光板の複数の突起の平均の径よりも大きいという構成を含んでいても良く、また、この発明では、補正手段は、端の導光板の隣接する突起の平均の距離が、中央の導光板の隣接する突起の平均の距離よりも小さいという構成を含んでいても良い。また、この発明では、補正手段は、端の導光板の隣接する突起の最短距離が、中央の導光板の隣接する突起の最短距離よりも小さいという構成を含んでいても良い。また、この発明では、補正手段は、各導光体において、導光方向に互いに間隔をおいて位置すると共に、導光方向に垂直な方向に延在する一面に形成された複数の溝状の凹部であって、端の導光体の凹部の最短距離が、中央の導光体の凹部の最短距離よりも短い構成であっても良く、また、補正手段は、各導光体において、導光方向に互いに間隔をおいて位置すると共に、導光方向に垂直な方向に延在する一面に形成された複数の溝状の凹部であって、端の導光体の凹部の平均距離が、中央の導光体の凹部の平均距離よりも短い構成であっても良い。
【0130】
また、この発明では、補正手段は、各導光板の上記光拡散部は、上記各導光板の光を導光する方向に互いに間隔をおいて位置すると共に、上記光を導光する方向に垂直な方向に延在する複数の帯状部であり、端の導光板の上記複数の帯状部の幅の総和が、中央の導光板の上記複数の突起の帯状部の幅の総和よりも大きいという構成を含んでいても良い。
【0131】
また、この発明では、スペクトル調整フィルタを使ってスペクトルを調整し、かつ、スペクトル調整フィルタを透過する光の透過率を調整して導光部材の端部(縁部)から出射される光の光量を適宜調整しても良い。
【0132】
また、この発明では、例えば、複数の光源で光生成部を構成して、光生成部から出射される光量を、一方向に対して非均一にしたり、上記ドット状の突起や、溝状の凹部の形成を、導光部材において局所的に非均一に形成して、導光部材の中央部から照射される光の被照射面における照度と、導光部材の端部から照射される光の被照射面における照度とを調整しても良い。そして、導光部材の中央部から照射される光の被照射面における照度を小さくする一方、導光部材の端部から照射される光の被照射面における照度を大きくしても良い。また、導光部材の中央部から照射される光の被照射面における照度を調整しない一方、導光部材の端部から照射される光の被照射面における照度を大きくしても良い。また、導光部材の中央部から照射される光の被照射面における照度を小さくする一方、導光部材の端部から照射される光の被照射面における照度を調整しなくても良い。また、導光部材の中央部から照射される光の被照射面における照度を大きくする一方、導光部材の端部から照射される光の被照射面における照度を、導光部材の中央部から照射される光の被照射面における照度よりも大きい非常に大きなものにしても良い。
【符号の説明】
【0133】
101 光源
102 リフレクタ
103 スペクトル調整用フィルタ
104 被照射面
WG1、WG8 端の導光板
WG2〜WG7 中央の導光板
SL 導光板からの出射光
200 擬似太陽光
201 反射板
202 光拡散部(補正手段)
203 光拡散部材
901 テーパー部材
1001 フィルタ
1101 光結合用のテーパー部材
1102 光結合用のテーパー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光の発光スペクトルを有する光を被照射面に照射する擬似太陽光照射装置において、
光を入射する入射面と、該入射面からの光を導光させ、上記被照射面に対して光を照射する照射面とを備えた導光部材と、
上記導光部材の中央部と前記導光部材の導光方向に対して直交するいずれか一つの端部とから照射される上記被照射面における照度が均一になるように補正する補正手段とを備えてなることを特徴とする擬似太陽光照射装置。
【請求項2】
上記補正手段は、上記導光部材の入射面から入射した光を散乱させ、上記照射面から光を取り出す光拡散部であり、
上記光拡散部は、上記導光部材の中央部と上記導光部材の端部とで、照度が均一になるように異なる面積比率にて形成してなることを特徴とする請求項1に記載の擬似太陽光照射装置。
【請求項3】
上記導光部材は、複数の導光体からなり、
上記各導光体の光拡散部は、複数の光拡散処理部を有し、上記光拡散処理部の形状、面積及び最短隣接距離の少なくとも一つを異ならせることにより、上記中央部に配置した導光体よりも上記端部に配置した導光体の方が、上記面積比率を高くすべく形成してなることを特徴とする請求項2に記載の擬似太陽光照射装置。
【請求項4】
上記導光部材は、複数の導光体からなり、
上記端部に配置した導光体は、上記中央部に配置した導光体よりも厚さが薄いこと、又は上記中央部に配置した導光体の幅よりも小さいことのうちの少なくとも一方を満たし、上記中央部に配置した導光体よりも上記端部に配置した導光体の方が、上記面積比率を高くしてなることを特徴とする請求項2または3に記載の擬似太陽光照射装置。
【請求項5】
上記入射面に光を入射する光源からの光を、太陽光の発光スペクトルを有する光に調整するスペクトル調整フィルタを備えてなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の擬似太陽光照射装置。
【請求項6】
上記スペクトル調整フィルタに入射する光の入射角を一定範囲内に抑えるべく、上記光源からの光の指向性を制御するテーパー部材を備えてなることを特徴とする請求項5に記載の擬似太陽光照射装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の擬似太陽光照射装置において、
上記導光部材の照射面から照射された光が入射可能な位置に配置されると共に、上記導光部材の照射面から照射された光を拡散する光拡散部材を備えることを特徴とする擬似太陽光照射装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の擬似太陽光照射装置において、
上記導光部材から漏れた光を、上記導光部材の内部を経由させて照射面に到達させる反射部材を備えることを特徴とする擬似太陽光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−73167(P2012−73167A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219232(P2010−219232)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】