説明

擬毛材および擬毛材を用いた増毛方法

【課題】 自毛への結着箇所がわかりづらく、また、脱落時における被着者への心理的ショックを抑えることができ、さらには、櫛通りの良いボリューム感のある増毛が可能な擬毛材を提供する。
【解決手段】 被着者の自毛に結着される天然毛髪または人工毛髪である幹毛13と、幹毛13に接着固着された増毛用毛髪21とから擬毛材11を構成する。自毛に結着させる輪部12を幹毛13に形成する。幹毛13の輪部12近傍に、増毛用毛髪21の先端近傍を幹毛13に沿って揃えて接着剤によって接着固定する。増毛用毛髪21の接着箇所と輪部12との間隔L1を約5mmとする。幹毛13の本数を2本以下とする。輪部12に自毛を挿通して幹毛13の両端13a、13bを引っ張り、輪部12を縮径(収束)させて自毛に結び付けることにより、擬毛材11を被着者の自毛に結着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増毛のために頭部の自毛に結束固着される擬毛材に関し、及びこの擬毛材を使用した増毛方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に頭部に装着するかつらは、その装着により外見が一変することから敬遠される傾向にあり、また、かつらを装着するまでもないが、部分的に頭髪の薄くなった箇所の見かけをよくするために対処したいとの要望がある。
このため、近年では、頭部に装着するかつらに代わるものとして、人工毛髪あるいは天然毛髪からなる擬毛材を自毛に直接取り付ける増毛技術が開発されている。
【0003】
この増毛技術としては、3本を一組とした擬毛材を、モノフィラメント糸のループに仮結びし、ループに1本から複数本の自毛を通した状態にて擬毛材の結び目をスライドさせて自毛に絡ませて結ぶことにより、自毛の根元に擬毛材を結着するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、幹毛に複数本の増毛用毛髪を結びつけた擬毛材を、棒状部の先端部にループを備えた増毛器具の棒状部に仮結びし、ループに1本から複数本の自毛を挿通した状態にて擬毛材の結び目をループ側にスライドさせて自毛に絡ませて結び、結着するものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−92809号公報第1頁
【特許文献2】特開2002−194612号公報第1頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、擬毛材を自毛へ直接結着するこの種の増毛技術では、十分な増毛感を得るために、前述した特許文献1のように3本一組とした擬毛材を1本から複数本の自毛に結ぶ必要があるが、この増毛技術では、自毛の結着部分に3本の擬毛材のそれぞれの結び目が集まるので、その結び目全体が大きくなり、頭髪に櫛を通した際に、結び目への櫛の引っかかりが生じてしまう。この場合、一度に自毛へ結着する擬毛材の本数を減らすことにより、結び目を小さくして櫛の引っかかりをなくすことができるが、結着する本数を減らすと、ボリューム感のある増毛を行うことができなかった。
【0006】
これに対して、特許文献2の増毛技術では、自毛へ直接結着する幹毛にそれぞれの増毛用毛髪を結着することにより自毛への結着部分と幹毛への増毛用毛髪の結着部分とが別々にされた擬毛材を用いるので、自毛への結着部分における結び目を小さくしつつボリューム感のある増毛を行うことができる。
しかしながら、この擬毛材では、幹毛に複数本の増毛用毛髪を結束しているので、これらの結着部分の結び目が球状に盛り上がるように見えてしまい、自毛への結着箇所が外部から視認され易かった。また、幹毛が頭部から脱落した場合に増毛用毛髪が幹毛に結束されたまま脱落するため、結束した増毛用毛髪と幹毛との結び玉が残っており、見た目が不自然であるため被着者に心理的なショックを与える恐れがあった。また、洗髪時などにおいて、擬毛材を結着した自毛が頭部から脱落した際に、毛髪の束が抜け落ちるように見えてしまい、被着者に心理的ショックを与えてしまう恐れがあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、自毛への結着箇所がわかりづらく、また、脱落時における被着者への心理的ショックを抑えることができ、さらには、櫛通りの良いボリューム感のある増毛が可能な擬毛材を提供することを目的としている。
本発明の課題は、特に、幹毛に増毛用毛髪を接着した箇所が、白色化しない擬毛材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の擬毛材は、頭部の自毛に取り付けられて増毛感を持たせる擬毛材であって、頭部の自毛に結着される天然毛髪または人工毛髪からなる幹毛と、該幹毛に接着固定された増毛用毛髪とを備えたことを特徴とする。
また、前記課題は、前記増毛用毛髪は、前記幹毛に沿って揃えた状態で先端部分が接着固定されている構成、前記擬毛材は、前記幹毛と前記増毛用毛髪を上下関係に配置して接着固定されている構成によって達成できる。
【0009】
本発明の課題は、頭髪の自毛の根元近傍に人工毛髪または天然毛髪で作られた幹毛を結着するに当たり、この幹毛に複数本の所定の長さの人工毛髪である増毛用毛髪の先端を接着剤によって取り付けられ、この増毛用毛髪を備えた幹毛の先端輪部に自毛を挿通した後、この幹毛の輪部を結束して自毛に擬毛材を取り付け、この擬毛材の後端が幹毛に沿って揃えられる増毛方法によって達成できる。
【0010】
そして、本発明によれば、頭部の自毛に結着される幹毛に増毛用毛髪を接着固定したことにより、従来の増毛用毛髪を幹毛へ結び付けるものと異なり、固着箇所に結び目が生じることがなく、これにより、頭髪内における自毛への擬毛材の結着箇所を目立たなくすることができ、櫛通りの良いボリューム感のある自然な増毛を施すことができる。特に、接着箇所の白色化は使用する接着剤を選択することで白色化を防止することができる。接着剤としてはシアノアクリレートを主成分とする接着剤を使用するとよい。
また、自毛が脱落したとしても、抜け毛が増毛用毛髪による結び玉のような不自然な痕が残らないので、自然な抜け毛のように見せることができ、擬毛材の被着者への心理的なショックも抑えることができる。
【0011】
また、前記増毛用毛髪は、その端近傍が前記幹毛に沿って揃えて接着固定されていることが好ましい。更に、前記擬毛材は、前記幹毛と前記増毛用毛髪を上下関係に配置して接着固定されていることが好ましい。
このように、増毛用毛髪の端近傍を幹毛に沿って揃えて接着固定することにより、増毛用毛髪が幹毛から枝分かれしたような自然な外観とすることができる。幹毛の自毛に対する結束位置よりやや上方に増毛用毛髪を幹毛に密着させて、幹毛と増毛用毛髪とを上下関係に配置して接着する。
【0012】
また、本発明は、前記幹毛の本数が2本以下であることが好ましい。
このように、幹毛の本数を2本以下とすると、自毛への結着箇所に生じる結び目を極力小さくすることができる。これにより、頭部の自毛自体が脱落したとしても、自然な抜け毛のように見せて、被着者への心理的なショックを少なくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の擬毛材によれば、頭部の自毛に結着される幹毛に増毛用毛髪を接着固定したことにより、従来の増毛用毛髪を幹毛へ結び付けるものと異なり、固着箇所に結び目が生じることがなく、これにより、頭髪内における自毛への擬毛材の結着箇所を目立たなくすることができ、櫛通りの良いボリューム感のある自然な増毛を施すことができる。また、接着した増毛用毛髪が幹毛から脱落した際に、結び玉のような不自然な痕が残らず、自然な抜け毛のように見せることができ、被着者に対する心理的なショックを抑えることができる。
【0014】
本発明の擬毛材は、幹毛に増毛用毛髪を接着固定するために接着剤を使用するから自毛に幹毛を結着する部分以外に結び玉が生じないので、幹毛に増毛用毛髪を結着した痕跡が目立たない。特に、接着剤の量を少なくできるので長期間の使用でも接着剤の白色化の恐れがないから目立たない。

【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る擬毛材の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、擬毛材が仮結びされた増毛器具の側面図、図2は、増毛器具に仮結びされる擬毛材の斜視図である。本発明の擬毛材の自毛への結着の仕方を説明するそれぞれ斜視図である。図3は、本発明の擬毛材の自毛への結着の仕方を説明するそれぞれ斜視図である。図4は、本発明の擬毛材の自毛への結着の仕方を説明するそれぞれ斜視図である。図5は本発明の擬毛材の自毛への結着の仕方を説明するそれぞれ斜視図である。図6は本発明の擬毛材の自毛への結着の仕方を説明するそれぞれ斜視図である。図7は本発明の擬毛材の自毛への結着の仕方を説明するそれぞれ斜視図である。図8は本発明の擬毛材の自毛への結着の仕方を説明するそれぞれ斜視図である。図9(a)〜(f)は本発明の疑毛材の増毛方法の増毛用毛髪を幹毛に接着した実施の形態を示す模式図である。図10(a)〜図13(b)は本発明の擬毛材を製作する工程を示す説明図である。
【0016】
増毛器具1の棒状部2には、その先端部に糸状線3が設けられている。この糸状線3は、ループ状に湾曲されて両端部が棒状部2の先端部に固着されている。なお、この糸状線3としては、例えば、ポリミドからなるナイロンなどの柔軟性を有する合成樹脂を線状にしたものを用いるのが好ましい。また、増毛器具1を構成する棒状部2としては、特に、中空の管状に形成されたストロー形態であることが好ましく、このようなストロー形態であると、糸状線3の両端部を、棒状部2の中空部分に挿入して内壁面に容易に固着することができ、また、仮結びした擬毛材11の結び目を容易に軸方向へずらすことができる。
【0017】
図2に示すように、増毛器具1の棒状部2に仮結びされる擬毛材11は、幹毛13と、この幹毛13に接着された増毛用毛髪21とを有している。幹毛13は、人工毛髪あるいは天然毛髪からなるもので、その折り返し部分に前述した輪部12が形成され、この輪部12に、増毛器具1の棒状部2が挿通されている。
幹毛13には、人工毛髪あるいは天然毛髪からなる増毛用毛髪21が固着されている。この増毛用毛髪21は、幹毛13と同材質である。使用する人工毛髪の太さは自毛と近似したものがよく、その太さは0.08mmである。その先端側を輪部12に向けた状態にて、その先端近傍が幹毛13に沿って揃えて接着固定されている。これにより、この増毛用毛髪21は、幹毛13から自然と枝分かれしたように接着されている。
【0018】
この幹毛13への増毛用毛髪21の接着箇所である接着部22は、輪部12との間隔L1が約5mmとされている。そして、このように約5mmの間隔L1だけ接着部22を輪部12から離すことにより、接着剤の輪部12への付着を防止し、自毛への結着に支障を来すことがなくされる。また、この増毛用毛髪21は、接着部22における幹毛13への接着長さ寸法L2が、幹毛13への確実な接着に十分な約10mm程度の長さ寸法とされている。
使用する接着剤としては、接着後に白色化しない接着剤を使用する。例えば、シアノアクリレート系を主成分とするものである。また接着する場合は、増毛用毛髪21を引っ張り、幹毛13と増毛用毛髪21とを密着させて接着するのが好ましい。
【0019】
幹毛13に増毛用毛髪21を接着する形態としては種々の形態が考えられる。例えば、図9は図1の棒状部2から幹毛13を取り外した模式図で、図9(a)は幹毛13の1側に増毛用毛髪21を接着したものである。図9(b)は相対する2本の幹毛13にそれぞれ増毛用毛髪21を接着したものである。図9(c)は一方の幹毛13に増毛用毛髪21を2ヵ所に接着した形態である。図9(d)は一方の幹毛13に複数本の増毛用毛髪21を一ヶ所に接着した実施形態である。図9(e)及び図9(f)は相対する幹毛13にそれぞれ複数本の増毛用毛髪21を接着した実施形態である。
【0020】
そして、上記擬毛材11では、幹毛13の輪部12に自毛を挿通させた状態にて、幹毛13の輪部12を介した両端13a、13bを引っ張ることにより、輪部12が縮径(収束)され、自毛に結着される。
なお、上記擬毛材11の幹毛13は1本に限らないが、3本以上とすると、自毛へ結着した際に、自毛と幹毛との結び目が大きくなり目立ってしまう。そして、このように結び目が目立つと、結び目が外観上視認されやすくなり、しかも、自毛とともに脱落した際に、抜け毛による擬毛材11の脱落を認識させてしまい、被着者への心理的なショックを与えてしまう。このため、擬毛材11の幹毛13としては、1〜2本とするのが良い。
【0021】
また、幹毛13へ接着固定する増毛用毛髪21の本数は、1本に限らず、複数本であっても良く、また、幹毛13及び増毛用毛髪21の太さは、自毛と近似した太さ約0.08mm程度とするのが良い。なお、擬毛材11を装着する本数は、被着者の頭髪の状態によって判断する。
【0022】
次に、増毛器具1に仮結びした擬毛材11を自毛へ取り付ける場合について説明する。
なお、ここでは、1本の幹毛13に1本の増毛用毛髪21を接着固定した擬毛材11を増毛器具1によって自毛へ結着する場合を例にとって説明する。
図3から図8は、擬毛材11の自毛への結着の仕方を説明するそれぞれ斜視図である。
図3に示すように、まず、増毛器具1の棒状部2の先端に設けられた糸状線3のループ内に、被着者の自毛Hを束ねて挿入させ(図3では1本の自毛に挿入した場合を示す)、この状態にて棒状部2に仮結びしてある擬毛材11の輪部12を指で挟み、糸状線3側へ向かって棒状部2の外周面に対して摺動させ、糸状線3のループ側へ移動させる。なお、糸状部3のループ内へ挿入させる自毛Hの本数としては、8本以上であると擬毛材11の結束部分が大きくなり過ぎるので、7本以下が望ましく、1〜4本程度が適当である。
【0023】
この状態において、図4に示すように、増毛器具1を後端側へ引っ張ることにより、糸状線3のループ内に挿通させた自毛Hを擬毛材11の輪部12内に引き込む。
さらに、増毛器具1を後方側へ移動させることにより、図5に示すように、自毛Hの先端を擬毛材11の輪部12から引き出し、図6に示すように、自毛Hから増毛器具1を外す。
【0024】
次いで、擬毛材11の輪部12を自毛Hの根元の位置まで押し下げ、その後、幹毛13の両端13a、13bを把持して互いに反対方向へ引っ張る。このようにすると、図7に示すように、輪部12が縮径(収束)し、この輪部12が結び目23となって自毛Hに緊結し、これにより、擬毛材11が自毛Hへ結着される。
このようにして、所定数の擬毛材11をそれぞれ自毛Hに結着したら、ハサミなどの散髪器具によって、図8に示すように、擬毛材11の幹毛13及び増毛用毛髪21と自毛Hとを切り揃えて頭皮Tからの長さを統一させてもよい。
【0025】
以上、説明したように、上記実施形態に係る擬毛材によれば、被着者の自毛Hに結着される幹毛13に増毛用毛髪21を接着固定したことにより、増毛用毛髪を幹毛へ結び付けるものと異なり、固着箇所に結び目が生じることがなく、これにより、頭髪内における自毛Hへの擬毛材11の結着箇所を目立たなくすることができ、櫛通りの良いボリューム感のある自然な増毛を施すことができる。また、増毛用毛髪21が脱落したとしても、脱落した増毛用毛髪21に結び玉のような不自然な痕が残らないので、自然な抜け毛のように見せることができ、被着者への心理的なショックを抑えることができる。
【0026】
また、増毛用毛髪21の後端近傍を幹毛13に沿って揃えて接着固定したので、増毛用毛髪21が幹毛13から枝分かれしたような自然な外観とすることができる。
また、幹毛13の本数を2本以下とすることにより、自毛Hへの結着箇所に生じる結び目を極力小さくすることができる。これにより、擬毛材11自体が脱落したとしても、自然な抜け毛のように見せて、被着者への心理的なショックを少なくすることができる。
【0027】
本発明に使用する増毛器具1の作製工程について図10に基づいて説明する。
図10(a)において、一本の幹毛13を折り返して輪部12を形成し、この幹毛13の輪部12に棒状部2を通して複数本の幹毛13を所定間隔で配置したもので、一方の幹毛13bの端部に目印14を付けておく。目印14をつけた幹毛13bは自毛に擬毛材を結着する位置を調整する側であり、他方の幹毛13aには増毛用毛髪21を接着する側である。図10(b)は増毛器具1の作製器具24上に幹毛13を具えた棒状部2を中央に固定し、幹毛13を広げた状態で固定した図である。作製器具24は、幹毛13bを押さえる押さえ棒20、棒状部2を固定するための受け皿として管状の棒を半分にきって開いた棒状部固定部15、増毛用毛髪21を幹毛13に接着する際に接着剤の塗布する範囲となる縦方向に約1cmの幅を持つ台紙17、幹毛13aを固定するスポンジ状の幹毛固定部18とから構成されている。
【0028】
テープ16a,16bは棒状部固定部15に棒状部2を固定するために、その両端に貼付してある。なお、仮結び目19は棒状部2に幹毛13を挿通して幹毛13の両端を引っ張って形成したものである。図11(a)は、図10(b)に示した作製器具24をC方向から見た図であり、幹毛固定部18に幹毛13aを固定するための切り目27がつけてある。この切り目27に幹毛13aを挿入して挟みこみ固定してある。図11(b)は押さえ棒20をD方向から見た図であり、幹毛13bの目印14にかからないように押さえ棒20を置く。作製器具24に幹毛13bを押さえ棒20の平坦部分で強固に押さえる。この押さえ棒20は幹毛13bが容易に動かない程度の重量である。図12は幹毛13aを固定した後に増毛用毛髪21を幹毛固定部18に挟んで固定した拡大図である。はさんで固定した増毛用毛髪21は台紙17の長手方向と直交して幹毛13aと重なるように長さ位置が調整される。
【0029】
テープ16で固定された棒状部2の上にかぶせたシート状の薄板25は増毛用毛髪21を幹毛13aに接着する際に輪部12に接着剤が付着するのを防ぐためのものである。テープ26は作製器具24に前記シート状の薄板25を固定するために両端に貼付してある。図13(a)は、図12をD方向から見た図で、幹毛13aの上から増毛用毛髪21を重ねて幹毛固定部18に挟んで固定している。
図13(b)は、図12をC方向から見た図で、幹毛13aの上から増毛用毛髪21を重ねて幹毛固定部18の切り目27に挿入した状態を示している。
【0030】
以上のような作製器具24を使用して本発明増毛器具1の製作方法を説明する。
一端部に目印14をつけた幹毛13を図2に示す結び方で棒状部2に結びつける。複数の幹毛13を所定間隔で結びつける。次に、この棒状部2を作製器具24の棒状部固定部15の上に置き、テープ16a,16bで棒状部2の両端を固定する(図10(b)参照)。この時仮結び目19が上側になるように棒状部2を固定する。幹毛13aを幹毛固定部18の切り目27に挿入して挟み込んで固定する。幹毛13aは図10(b)のように直線状に固定される。この場合、幹毛13がたるまないように引っ張って緊張させて固定する。次に,目印14が付いた幹毛13bを作製器具24の上に配列して押さえ棒20によって固定する。
【0031】
幹毛13に増毛用毛髪21を接着する工程を説明する。
幹毛固定部18の切り目27に増毛用毛髪21を先に挿入した幹毛13aの上に重なるように挿入して固定する。あらかじめ、増毛用毛髪21を切り目2に挿入しておき、あとから幹毛13aを挿入してもよい。両者を上下関係に配置することにより密着性が高くなり、接着するための必要な接着剤の量が少なくてすみ、接着剤の量が少ないことにより接着剤の白色化を防ぐことができる。
増毛用毛髪21を幹毛13に接着する際に幹毛の輪部12に接着剤が付着するのを防止するためにシート状の薄板25を棒状部2の上に被せて被覆する。この薄板25の両端をテープ26,26で固定する。
幹毛13aの所定位置に増毛用毛髪21を接着するために台紙17の長手方向に直交する範囲に増毛用毛髪21と幹毛13aとが重なっている部分に接着剤を塗布面積が少ない鋭利な塗布棒を用いて塗布する。このような鋭利な塗布棒を使用することにより接着剤の量が少なくてすみ、接着剤の白色化を防止することができる。
【0032】
本発明の擬毛材は、幹毛13に増毛用毛髪21を接着剤で接着してあるが、接着する際に切り目27に幹毛13を挿入挟み込んで増毛用毛髪21を挿入して両者の密着性を高くして接着するから少量の接着剤で強固に接着することができる。
【0033】
テープ16a,16bは棒状部固定15に棒状部2を固定するために、その両端に貼付してある。なお、仮結び目19は棒状部2に幹毛13を挿通して幹毛13の両端を引っ張って形成したものである。図10(c)は、図10(b)に示した作製器具20をC方向から見た図である。

【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の擬毛材が仮結びされた増毛器具の側面図である。
【図2】本発明の増毛方法に使用する増毛器具に仮結びされる擬毛材の斜視図である。
【図3】本発明の擬毛材の自毛への結着の仕方を説明するそれぞれ斜視図である。
【図4】本発明の擬毛材の自毛への結着の仕方を説明するそれぞれ斜視図である。
【図5】本発明の擬毛材の自毛への結着の仕方を説明するそれぞれ斜視図である。
【図6】本発明の擬毛材の自毛への結着の仕方を説明するそれぞれ斜視図である。
【図7】本発明の擬毛材の自毛への結着の仕方を説明するそれぞれ斜視図である。
【図8】本発明の擬毛材の自毛への結着の仕方を説明するそれぞれ斜視図である。
【図9】本発明の擬毛材を構成する幹毛と増毛用毛髪の接着形態を示す模式図である。
【図10】本発明の擬毛材を製作する工程を示す説明図である。 (a)擬毛材の増毛用毛髪を接着する前の状態を示す図。 (b)幹毛を取付けた棒状部を作製器具に設置した状態を示す図。
【図11】本発明の擬毛材を製作する工程を示す説明図である。(a)は、図10(b)のC方向から見た側面図。 (b)は、図10(b)のD方向から見た押さえ棒で幹毛を作製器具に押さえた状態を示す図。
【図12】本発明の作製器具を用いて幹毛に増毛用毛髪を重ねて幹毛固定部に固定した状態を示す平面図である。
【図13】本発明の擬毛材を製作する工程を示す説明図である。(a)図12のD方向から見た側面図。(b)図12のC方向から見た側面図。
【符号の説明】
【0035】
1 増毛器具
2 棒状部
3 糸状線
11 擬毛材
12 輪部
13 幹毛
14 目印
15 棒状部固定部
16 テープ
18 幹毛固定部
21 増毛用毛髪
22 接着部
23 結び目
H 自毛

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部の自毛に取り付けられて増毛感を持たせる擬毛材であって、
頭部の自毛に結着される天然毛髪または人工毛髪からなる幹毛と、該幹毛に接着固定された増毛用毛髪とを備えたことを特徴とする擬毛材。
【請求項2】
前記増毛用毛髪は、前記幹毛に沿って揃えた状態で先端部分が接着固定されていることを特徴とする請求項1に記載の擬毛材
【請求項3】
前記擬毛材は、前記幹毛と前記増毛用毛髪を上下関係に配置して接着固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の擬毛材。
【請求項4】
頭髪の自毛の根元近傍に人工毛髪または天然毛髪で作られた幹毛を結着するに当たり、この幹毛に複数本の所定の長さの人工毛髪である増毛用毛髪の先端を接着剤によって取り付けられ、この増毛用毛髪を備えた幹毛の先端輪部に自毛を挿通した後、この幹毛の輪部を結束して自毛に擬毛材を取り付け、この擬毛材の後端が幹毛に沿って揃えられることを特徴とする増毛方法。
【請求項5】
前記幹毛は、その本数が2本以下である擬毛材を使用することを特徴とする請求項4に記載の増毛方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−322111(P2006−322111A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147465(P2005−147465)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000126676)株式会社アデランス (49)