説明

攪拌装置

【課題】 セラミック粒の如き粒状物を容器内で、該容器に付与する振動のみにより回転させることのできる攪拌装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも底部2aが円弧状に形成された被攪拌物投入容器2と、該被攪拌物投入容器2の円弧方向に離反した2個所A及びBを支持した支持台3と、該支持台3に振動を付与する振動発生機4と、前記支持台3の振動を吸収する接地脚5とからなることを特徴とし、振動発生機4により生じた振動を支持台3を介して容器2に効率よく、しかも、セラミック粒などの被攪拌物に一定方向の推進力を付与するように与え、これを動力源としてセラミック粒などの被攪拌物に必要な回転運動を生じさせ得るように構成した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック粒の如き粒状物を容器内で回転運動させることのできる攪拌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、生ごみ処理において、微生物を混合したセラミック粒を容器内で回転運動させ、これに生ごみを投入して微生物と良く攪拌接触して生ごみを醗酵消滅させる方法が採られている。
【0003】従来、上記微生物を混合したセラミック粒を容器内で回転させる手段として、該容器内底部に水平方向に回転する翼片を設置していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の如く容器内底部に翼片を設けた場合、セラミック粒と直接接触することから大きな音が発生したばかりでなく、翼片に近い部分と遠い部分とで攪拌性が大きく異なり、全体を万偏なく攪拌させることができないという問題があった。
【0005】本発明は、上記の課題を解消するためのもので、セラミック粒の如き粒状物を容器内で、該容器に付与する振動のみにより回転させることのできる攪拌装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、少なくとも底部が円弧状に形成された被攪拌物投入容器と、該被攪拌物投入容器の円弧方向に離反した2個所を支持した支持台と、該支持台に振動を付与する振動発生機と、前記支持台の振動を吸収する接地脚とからなることを特徴とし、振動発生機により生じた振動を支持台を介して容器に効率よく、しかも、被攪拌物に一定方向の推進力を付与するように与え、これを動力源として被攪拌物に必要な回転運動を生じさせ得るように構成した。
【0007】また、請求項2に記載の発明は、前記被攪拌物投入容器が、内面に円弧方向に沿うリブを複数条設けてなるものであることを特徴とし、被攪拌物の推進方向を画定して攪拌効率を高め得るように構成した。
【0008】さらに、請求項3に記載の発明は、前記振動発生機が、変転錘を備えたものであることを特徴とし、振動自身に一定方向を指向する運動力が生じるように構成した。
【0009】
【発明の実施の態様】次に、本発明の実施の態様を図面に基いて説明する。図1は振動により被攪拌物が回転運動を起こしている状態を略示的に示した本願攪拌装置の側面断面図、図2は本願攪拌装置の正面断面図である。
【0010】本願攪拌装置1は、被攪拌物投入容器2と、該被攪拌物投入容器2の支持台3と、該支持台3に振動を付与する振動発生機4と、前記支持台3の振動を吸収する接地脚5とを備えてなる。6は基盤である。
【0011】前記被攪拌物投入容器2は、図1の如く、少なくとも底部2aが円弧状に形成され、上面開口部には蓋体2bが設けられている。前記底部2aを円弧状にしたのは後記する振動により容器内に投入されたセラミック粒7に円弧方向のスムーズな推進力を付与するために有効だからである。この意味で、被攪拌物投入容器2は全体が円筒形のもでもよい。
【0012】前記セラミック粒7に対する推進力は、容器2の内面とセラミック粒7との接触面積を小さくすれば更に良好になることから、本実施態様では容器2の内面に円弧方向に沿うリブ2cを複数条設けている。
【0013】前記リブ2cは針金のような線状物を容器2の内面に熔接等により固着しても良いし、容器2の内面に突条として形成してもよい。また、リブ2cはこれを螺旋状に配置すると、セラミック粒7に円弧方向の回転運動と軸方向の移動力とが同時に付与され、攪拌性をより高め得る点で有効である。
【0014】さらに、被攪拌物投入容器2の内面とセラミック粒7との接触面積を小さくして良好な推進力を得る趣旨からは容器2の内面にエンボス加工を施してもよいことは勿論である。
【0015】前記支持台3は、図示の例では側面凵状とし、その上縁3a、3bで前記被攪拌物投入容器2の円弧方向に離反した2個所A、Bを支持している。この支持台3の形状及び支持点A、Bは特に限定されない。
【0016】前記振動発生機4は前記支持台3の底部3c上に設置されている。この振動発生機4は電磁石の反発を利用したものでも良いが、図示の例では内蔵モータ4aの推軸4bに偏心錘4cを固着してなるものを利用している。勿論、これ以外の機械的構造のものがあれば、それを採用しても良い。
【0017】前記振動発生機4は一般市販のもので充分満足できるが、手元コントローラー(図示せず)により出力、振動数、振幅が可変可能になっているものが好ましいものである。
【0018】前記接地脚5は前記支持台3の底部3cの下面の四隅角部に固着したつる巻きバネ材により構成され、基盤6に固定されている。即ち、振動発生機4により発生した振動のエネルギーの大部分が支持台3を介して被攪拌物投入容器2及び該容器内のセラミック粒7に付与され、基盤6には伝達されないように構成されている。
【0019】前記振動発生機4は本願攪拌装置1の用途により一定時間毎に駆動・停止するようなタイマー(図示せず)を備える。そして、例えば、60分毎に5分間づつ駆動するような制御も可能なようになっている。
【0020】また、本願攪拌装置1を生ごみ処理に使用する場合を考慮し、被攪拌物投入容器2の適所に熱板(図示せず)を設置し、セラミック粒に混合した微生物が活発に活動できる室内温度を確保できるようにすることもある。
【0021】上記実施態様において、まず、被攪拌物投入容器2内に予め微生物を混合したセラミック粒7をキャリアとして投入する。この投入量は容器の容積のほぼ半分程度がよい。
【0022】次いで、振動発生機4に通電し、内蔵モータ4aを駆動させると推軸4bに固着した偏心錘4cが回る。これにより振動が発生し、該振動は前記支持台3の上縁3a及び3bを介して被攪拌物投入容器2のA、B点に伝達されるが、その伝達はA点が先でB点が遅れるような僅かな時間差が生じることから、被攪拌物投入容器2内に投入されている前記セラミック粒7には前記偏心錘4cの回る方向4c′と同じ方向(矢印a方向=反時計方向)の推進力が生じることとなる。
【0023】前記セラミック粒7に対する矢印a方向の推進力は、被攪拌物投入容器2の円弧状の内底面に接している部分が最も大きく、これに重なる部分も引きずられて移動し、移動方向前方の円弧面及び垂直壁を矢印bの如く上昇する。そして上昇点cに至って矢印dの如く傾斜面を描いて自然流下し、反対壁側に至って再び矢印a方向の推進力を得ることとなる。
【0024】上記の如く、振動発生機4により発生した振動が継続する限り、前記セラミック粒7は被攪拌物投入容器2内において上記半月状閉ループ運動を繰り返す。このときの回転速度は振動発生機4の手元コントローラー(図示せず)により調整される出力、振動数、振幅によって決定されることとなる。
【0025】しかして、今、被攪拌物投入容器2のセラミック粒7上に生ごみ(図示せず)を投入すれば、生ごみはセラミック粒7と共に上記半月状閉ループ運動を行い、確実かつ効率よく、しかも万偏なく攪拌され、微生物との充分な接触により経時的に醗酵し消滅するに至るようになる。
【0026】なお、上記実施態様では本願攪拌装置1を、生ごみ処理の攪拌装置に応用した場合を例にとって説明したが、アサリなどの二枚貝類の砂取り機、或いは洗米機などとしても利用できることは勿論である。
【0027】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明は、少なくとも底部が円弧状に形成された被攪拌物投入容器と、該被攪拌物投入容器の円弧方向に離反した2個所を支持した支持台と、該支持台に振動を付与する振動発生機と、前記支持台の振動を吸収する接地脚とからなることを特徴とし、振動発生機により生じた振動を支持台を介して容器に効率よく、しかも、被攪拌物に一定方向の推進力を付与するように与え、これを動力源として被攪拌物に必要な回転運動を生じさせ得るという優れた効果を奏する。
【0028】また、請求項2に記載の発明は、前記被攪拌物投入容器が、内面に円弧方向に沿うリブを複数条設けてなるものであることを特徴としているから、被攪拌物の推進方向を画定して攪拌効率を高め得るという優れた効果を奏する。
【0029】さらに、請求項3に記載の発明は、前記振動発生機が、偏心錘を備えたものであることを特徴としているから、振動自身に一定方向を指向する運動力が生じるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】振動により被攪拌物が回転運動を起こしている状態を略示的に示した本願攪拌装置の側面断面図である。
【図2】本願攪拌装置の正面断面図である。
【符号の説明】
1 本願攪拌装置
2 被攪拌物投入容器
2a 底部
2b 蓋体
3 支持台
3a、3b 支持台の上縁
3c 支持台の底部
4 振動発生機
4a 内蔵モータ
4b 推軸
4c 偏心錘
4c′ 偏心錘の回転方向
5 接地脚
6 基盤
7 セラミック粒
A、B 支持台による被攪拌物投入容器の支持点
a、b、d セラミック粒の流れ方向
c セラミック粒の上昇点

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも底部が円弧状に形成された被攪拌物投入容器と、該被攪拌物投入容器の円弧方向に離反した2個所を支持した支持台と、該支持台に振動を付与する振動発生機と、前記支持台の振動を吸収する接地脚とからなることを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】 前記被攪拌物投入容器が、内面に円弧方向に沿うリブを複数条設けてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】 前記振動発生機が、偏心錘を備えたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の攪拌装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2000−42392(P2000−42392A)
【公開日】平成12年2月15日(2000.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−225401
【出願日】平成10年7月24日(1998.7.24)
【出願人】(598107378)有限会社黒田製作所 (1)
【Fターム(参考)】