説明

攪拌装置

【課題】簡易な構造により正確に且つ簡便に攪拌翼の回転数を測定することが可能な構造を備える攪拌装置を提供する。
【解決手段】この攪拌装置は、回転軸20の回転を測定する回転計9が、第1平歯車1、第2平歯車2、回転軸3および可撓軸8を介して回転軸20に連結されている。これにより、攪拌槽内の攪拌物の反応等に基づく攪拌抵抗の大小に関係なく、随時回転軸20の回転を正確に測定することが可能となる。その結果、攪拌槽内の化学反応速度を適切に管理しながら、最適な条件下で、攪拌物の攪拌・混合を実現させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液状物質、スラリー状物質等の、攪拌による混合や反応を目的とする攪拌装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
攪拌装置として、下記特許文献1に開示されるものが挙げられる。この攪拌装置を図2に示す。この攪拌装置は、円筒の攪拌槽10を有している。攪拌槽10の内部には、小型の傾斜攪拌翼60が複数取り付けられたアーム40が配設されている。アーム40の上端部には、軸継手30を介して回転軸20が連結されている。アーム40の下端部には、大型の垂直攪拌翼70が取り付けられている。また、攪拌槽10の内壁面には、バッフルプレート80が取り付けられている。
【0003】
上記構成からなる攪拌装置においては、回転軸20が駆動装置(図示省略)を用いて回転させられることにより、傾斜攪拌翼60、垂直攪拌翼70、および、バッフルプレート80の相互作用により、攪拌槽10内に旋回流が生じ、攪拌槽10内において上昇流および下降流が形成されることで、攪拌槽10内において、攪拌混合物の攪拌・混合が行なわれる。
【0004】
ここで、傾斜攪拌翼60および垂直攪拌翼70の回転数は、化学反応速度などに大きな影響を与えることから、攪拌翼の回転数を正確、迅速に求めることは重要である。下記特許文献1おいては、回転翼の駆動装置にトルク計を設置して、攪拌混合物の攪拌・混合中のトルクを計測し、間接的に攪拌翼の回転数を求める方法が開示されている。また、他の方法としては、携行型の非接触回転数計を用いて、回転軸20の回転数を測定する方法が挙げられる。
【0005】
しかし、駆動装置のトルクから間接的に攪拌翼の回転数を求める方法においては、予め、トルクと攪拌翼の回転数との相関を測定しておく必要があり、その準備作業が煩雑であるという問題が懸念される。また、携行型の非接触回転数計を用いる場合には、回転軸20等の回転機器に非接触回転数計を近づける作業が必要となるため、常時回転数を計測しなければならないような攪拌作業には不向きである。
【特許文献1】特開平06−198154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする課題は攪拌装置において、攪拌翼の回転数を容易に且つ簡便に求めることができない点にある。したがって、この発明の目的は、簡易な構造により正確に且つ簡便に攪拌翼の回転数を測定することが可能な構造を備える攪拌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に基づいた攪拌装置においては、攪拌槽内に攪拌翼を備えた攪拌装置であって、上記攪拌翼が固定され、上記攪拌翼を軸心周りに沿って回転させるための第1回転軸と、上記第1回転軸と同軸に設けられ、上記回転軸の外周面に設けられる第1平歯車と、上記第1平歯車に噛み合う第2平歯車と、上記第2平歯車と同軸に設けられる第2回転軸と、上記第2回転軸に連結され、上記第1平歯車および上期第2平歯車により伝達される上記第1回転軸の回転数を観測するための回転計とを備える。
【発明の効果】
【0008】
この発明に基づいた攪拌装置によれば、回転軸の回転を測定する回転計が、回転軸に連結されている。これにより、攪拌槽内の攪拌物の反応等に基づく攪拌抵抗の大小に関係なく、随時回転軸の回転を正確に測定することが可能となる。その結果、攪拌槽内の化学反応速度を適切に管理しながら、最適な条件下で、攪拌物の攪拌・混合を実現させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明に基づいた実施の形態における攪拌装置について図1を参照しながら説明する。なお、本実施の形態における攪拌装置は、攪拌槽10内に攪拌翼60,70を備えた第1回転軸としての回転軸20の回転を測定する回転計9を備えていることを特徴とし、攪拌装置そのものの構成は、背景技術に示す構造と同じである。したがって、ここでは、背景技術において説明した部分と同一または相当部分については、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さず、回転計に関する構成のみを詳細に説明する。
【0010】
第1回転軸である回転軸20には、この回転軸20と同軸に設けられ、回転軸20の外周面にボルト等の固定部材を用いて第1平歯車1が取り付けられている。また、その回転軸が回転軸20と並行となるように、第1平歯車1に噛み合う第2平歯車2が配置されている。この第2平歯車2には、この第2平歯車2と同軸に設けられる第2回転軸としての回転軸3が設けられ、軸受箱5に収容された軸受4,4により回転可能に軸支持されている。なお、第1平歯車1と第2平歯車2との間のギヤ比(歯車比)は、後述する回転計9の仕様により決定される。
【0011】
回転軸3の他端には、接続金具6を介してエルボ継手7が連結され、このエルボ継手7の他端には、可撓軸(フレキシブル・シャフト)8が連結されている。この可撓軸8はチューブ8a内に回転を伝達するためのコア回転軸8bが挿入されている。可撓軸8の他端には、回転計9が連結されている。ここで、この回転計9には、攪拌層10での化学反応に対する引火を未然に回避する観点から(防爆型)、機械式の回転計が用いられることが好ましい。また、可撓軸8を用いることで、攪拌層10の近傍でなくても、攪拌層10から離れた場所においても、回転軸20の回転数を観測することができる。
【0012】
以上、この実施の形態における攪拌装置によれば、回転軸20の回転を測定する回転計9が、第1平歯車1、第2平歯車2、回転軸3および可撓軸8を介して回転軸20に連結されている。これにより、攪拌槽10内の攪拌物の反応等に基づく攪拌抵抗の大小に関係なく、随時回転軸20の回転を正確に測定することが可能となる。その結果、攪拌槽10内の化学反応速度を適切に管理しながら、最適な条件下で、攪拌物の攪拌・混合を実現させることが可能となる。
【0013】
以上、本発明に基づく実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明に基づいた実施の形態における攪拌装置の特徴的部分を示す図である。
【図2】背景技術における攪拌装置の内部構造を示す図である。
【符号の説明】
【0015】
1 第1平歯車、2 第2平歯車、3 回転軸、4 軸受、5 軸受箱、6 接続金具、7 エルボ継手、8 可撓軸(フレキシブル・シャフト)、8a チューブ、8b コア回転軸、9 回転計、10 攪拌槽、20 回転軸、30 軸継手、40 アーム、60 傾斜攪拌翼、70 垂直攪拌翼、80 バッフルプレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
攪拌槽内に攪拌翼を備えた攪拌装置であって、
前記攪拌翼が固定され、前記攪拌翼を軸心周りに沿って回転させるための第1回転軸と、
前記第1回転軸と同軸に設けられ、前記回転軸の外周面に設けられる第1平歯車と、
前記第1平歯車に噛み合う第2平歯車と、
前記第2平歯車と同軸に設けられる第2回転軸と、
前記第2回転軸に連結され、前記第1平歯車および前期第2平歯車により伝達される前記第1回転軸の回転数を観測するための回転計と、
を備える、攪拌装置。
【請求項2】
前記第2回転軸と前記回転計とは、たわみ軸により前記第2回転軸の回転が前記回転計に伝達される、請求項1記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記回転計は、機械式回転計である、請求項1または2記載の攪拌装置。

【図1】
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【図2】
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