説明

支持装置

【課題】スチール棚に設置されたディスプレイ装置の地震による転倒および落下を防止し、かつ分離手段を必要とせず簡単に取り外すことを可能にした支持装置を提供する。
【解決手段】被支持体であるディスプレイ装置1とこれを支持する支持体であるスチール棚4との間に設けられる支持装置2において、ディスプレイ装置1を支持する支持部材と、磁着体収容部5と、磁着体収容部5に収容されると共にスチール棚4とディスプレイ装置1とを磁着固定する磁着体6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
被支持体とこれを支持する支持体との間に設けられる支持装置に関し、特に、ラックマウント用のスチール棚に設置したディスプレイ装置の転倒防止を図るための支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラックマウント用ディスプレイ装置では、一般にディスプレイとキーボード及びマウスがスチール棚上に設置されている。ディスプレイ装置は機器重心が比較的高いため、地震発生時に転倒または落下する危険性がある。このような問題を解決する為、例えば図3に示すような専用止め金具で支持装置を挟み込み専用止め金具のボルトでスチール棚と固定する方法を採用していた。また、ディスプレイの転倒防止を図る他の構成として、ディスプレイ支持装置に粘着性ゴムを支持体との間に介在させ固定する方法が知られている。(特開2000−340959号公報参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−340959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した図3の固定方法ではコストが高くなる。さらに、容易に取り外しが出来ない為、ラック内の搭載位置の変更などが煩雑になる問題がある。一方、指示装置に粘着性ゴムを使用する構成では、ディスプレイ装置の移動時は、分離手段として溝にドライバー等の治具を差し入れ、梃子の原理を利用して被支持体と支持部材とを分離する必要がある。この為、支持体の一点に負荷がかかり、支持体の表面を損傷または変形させる可能性がある。そこで、本発明は、スチール棚に設置されたディスプレイ装置等について地震発生時の転倒および落下を防止し、かつ分離手段を必要とせず簡単に取り外すことを可能にした支持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る支持装置は、被支持体とこれを支持する支持体との間に設けられ、支持体に載置されて被支持体を支持する支持部材と、支持部材の底面に形成した磁着体収容部と、磁着体収容部に収容され、支持体と支持部材と被支持体とを磁着固定する磁着体と、支持体と支持部材を引き離すための分離手段とを必要としないことを特徴としている。
【0006】
この支持装置を使用時、被支持体の荷重は支持部材を介して支持体により支持される。このとき、磁着体収容部に収容されている磁着体が支持体と被支持体をその磁着力によって固定している為、被支持体に対して地震等により外力が生じても固定状態が維持され、転倒を防止できる。
【0007】
また、被支持体を持ち上げることで、支持体と支持部材とを引き離すことにより、被支持体を簡単に移動させることができ、被支持体の設置位置を容易に変更可能とする。さらに、磁着体の高さを磁着体収容部と同じにすることで、支持体と被支持体と密着させ確実に磁着固定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る支持装置によれば、磁着体収容部に収容されている磁着体の磁着力によって、支持体と被支持体とが磁着されて固定されている為、被支持体に地震等により外力が生じても固定された状態が維持され、転倒を防止することができる。また、支持体に加工等を施す必要がない簡易な構造なのでコストを抑えることが出来る上に、簡単に支持体と支持部材とを引き離し、被支持体の設置位置などの変更を容易に行なえる。さらに、磁着体の高さを磁着体収容部と同じにすることで、支持体と被支持体と密着させ確実に磁着固定することを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1〜図2に本発明の支持装置2の一実施形態を示す。この支持装置2は、図1に示すように被支持体としてのディスプレイ装置1と、これを支持する支持体としてのスチール棚4との間に設けられる。
【0010】
この支持装置2は、スチール棚4に載置されてディスプレイ装置1を支持する支持部材2aと、この支持部材2aに形成される磁着体収容部5と、この磁着体収容部5に収容されると共にスチール棚4と支持部材2aとディスプレイ装置1とを磁着固定する磁着体6とを備えている。このため、ディスプレイ装置1の荷重は、支持部材2aを介してスチール棚4により支持される。このとき、磁着体収容部5に収容されている磁着体6がスチール棚4と支持部材2aを磁着固定している為、ディスプレイ装置1に地震等により外力が生じても固定状態が維持されて転倒を防止できる。しかも、スチール棚4の加工を要しない簡易な構造なので、コストの増加を抑えることができる。
【0011】
支持部材2aは、被支持体であるディスプレイ装置1大きさや重量を考慮して、図1及び図2に示すように薄形円形の構造としてある。また、磁着体収容部5は、例えば円筒形状のポケット状で、支持部材2aの複数箇所に形成されている。本実施形態では、磁着体収容部5は支持部材2aの周方向に沿って45度ごとに計8個設けられている。8カ所の磁着体収容部5のうちで磁着体6を設ける箇所数は、支持するディスプレイ装置1の大きさや重量、および磁着体6の磁着強さ等に応じて適宜設定する。また、本実施形態では、8カ所の磁着体収容部5の全てに磁着体6を収容させてある。さらに、磁着体収容部5の形状および大きさや形成箇所や数量についても、支持するディスプレイ装置1の大きさや重量、および磁着体6の磁着強さ等に応じて適宜設定する。
【0012】
磁着体6の高さを磁着体収容部5と同じにしてあるので磁着体6がスチール棚4と密着してディスプレイ装置1の固定を強固にすることができる。
【0013】
なお、ここに説明した実施形態は本発明の一例であり、本発明はこれに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施できることは勿論である。例えば、上述した実施形態では支持部材2aを薄形円形の構造としてあるが、これには限られず被支持体の形状に応じて適宜設定することができる。
【0014】
また、上述した各実施形態では被支持体としてディスプレイ装置1を、支持体としてスチール棚4をそれぞれ示してあるが、これには限られず被支持体とこれを支持するスチール製の支持体であればよく、例えば被支持体としてコンピュータ本体とし、支持体としてスチール製のOAデスク等を用いるようにしてもよい。この場合も、コンピュータ本体について地震発生時の転倒および落下を防止しながらも、簡便に設置位置を移動させることができる。
【0015】
なお、上記実施の形態は以下のように捉えることが可能である。
(1)被支持体とこれを支持する支持体との間に設けられる支持装置において、支持体に載置され被支持体を支持する支持部材と、支持部材の底面に形成した磁着体収容部と、磁着体収容部に収容され支持体と被支持体とを磁着固定する磁着体を備え、磁着体の高さを磁着体収容部と同じにすることで、磁着体が支持部材を密着させ支持体と支持部材を磁着固定する支持装置。
(2)(1)に加え、磁着体を磁石で形成した支持装置。
(3)(1)に加え、被支持体はディスプレイ装置である支持装置。
(4)(1)に加え、支持体はラックマウント用のスチール棚である支持装置。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の支持装置を示す縦断面正面図である。
【図2】支持装置の底面図である。
【図3】従来のディスプレイ固定装置を示す縦断面正面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 ディスプレイ装置(被支持体)
2 支持装置
2a 支持部材
3 ラック
4 スチール棚(支持体)
5 磁着体収容部
6 磁着体
7 専用止め金具
8 専用止め金具用ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被支持体とこれを支持する支持体との間に設けられる支持装置において、支持体に載置され被支持体を支持する支持部材と、支持部材の底面に形成した磁着体収容部と、磁着体収容部に収容され支持体と被支持体とを磁着固定する磁着体を備え、支持体と被支持体を引き離すための分離手段を必要としないことを特徴とする支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−215890(P2007−215890A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41816(P2006−41816)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)