説明

支持装置

【課題】簡易な構成で内部から外部へのエアリークを低減することにより、金属コンタミネーション等が作業空間内に飛散することを防止できる支持装置を提供する。
【解決手段】支持装置1は、ヒータープレート2とシャフト3とこれらを接合させた状態で機械的に固定する固定部材22とを備える。ヒータープレート2は、ウエハ4を載置する面と、発熱抵抗体6とを有する。シャフト3は、ウエハ4を載置する面と対向する面において、ヒータープレート2と接合する。ヒータープレート2の接合面とシャフト3の接合面との間隙からのエアリークが0.05sccm以下となるように、ヒータープレート2の接合面とシャフト3の接合面とが表面処理されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体を支持する支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ等の被処理体を支持する支持装置として、ヒーターと高周波電極とが埋設されたヒータープレートとこれを支持するシャフトとを備え、このヒータープレートとシャフトとが、例えば、熱拡散接合で溶着する等で一体化されている支持装置が知られている。
【0003】
しかしながら、前記支持装置は、ヒータープレートとシャフトとが一体化されているため、いずれか一方が破損したにしか過ぎない場合であっても、ヒータープレートとシャフトとの両方を交換する必要がある。このため、長期的な視野からするとランニングコストが高くなるという不都合がある。
【0004】
そこで、ヒータープレートとシャフトとを別個独立に構成し、両者がネジで固定されるように構成されている支持装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−153706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、支持装置において、前記ヒーターや高周波電極は、シャフトの中を通してリード線と接続されている。
【0007】
そのため、前記ネジで固定した支持装置は、製造プロセスで用いられるフッ素ガス等のプロセスガスが、ヒータープレートとシャフトとの間隙を介してシャフト内部に侵入することによって、リード線が腐食されるという問題点がある。
【0008】
本発明は、かかる不都合を解消して、簡易な構成でリークを低減することができる支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明の支持装置は、ウエハを載置する面と、発熱抵抗体とを有するヒータープレートと、前記ヒータープレートのウエハを載置する面と対向する面において、前記ヒータープレートと接合するシャフトと、前記ヒータープレートと前記シャフトとを機械的に固定する固定部材とを備える支持装置であって、前記ヒータープレートの接合面と前記シャフトの接合面との間隙からのリークが0.05sccm以下となるように、前記ヒータープレートの接合面と前記シャフトの接合面とが表面処理されていることを特徴とする。
【0010】
一般的に、前記支持装置が用いられる半導体製造プロセスでは、作業空間内(チャンバー)にフッ素ガス等のプロセスガスが充満される。これに対し、本発明の支持装置は、シャフト外部へのリークが0.05sccm以下となるように、ヒータープレートの接合面とシャフトの接合面とを表面処理(例えば、研磨)する。
【0011】
この結果、本発明の支持装置では、ヒータープレートの接合面とシャフトの接合面とを表面処理するという簡易な構成によって、リークを低減することができる。
【0012】
なお、1sccmは、1.69×10−3Pam/sである。
【0013】
本発明の支持装置は、前記ヒータープレートの接合面と前記シャフトの接合面は、それぞれ平面度2μm以下かつ表面粗さRa0.2μm以下であることが好ましい。
【0014】
この構成を備える支持装置では、前記ヒータープレートの接合面と前記シャフトの接合面は、それぞれ平面度2μm以下かつ表面粗さRa0.2μm以下となるように表面処理される。
【0015】
このいずれかの接合面の平面度が2μm以上、または、表面粗さRa0.2μm以上の場合には、接合した前記ヒータープレートと前記シャフトとの間に、リークを低減する観点から無視できないほどの間隙ができてしまう。また、前記ヒータープレートと前記シャフトとを固定する固定部材の噛み合わせが悪くなる可能性があり、固定部材の破損等の不具合が発生する可能性がある。
【0016】
したがって、この構成を備える支持装置では、固定部材による前記ヒータープレートと前記シャフトとの固定を容易に行うことができ、また、前記ヒータープレートの接合面と前記シャフトの接合面とを密着させることにより、リークを低減することができる。
【0017】
本発明の支持装置において、前記シャフトは、該シャフトの接合面に形成された溝部と、該シャフトの側壁部の内部を通って前記溝部と連通するガス供給路を有し、前記支持装置は、該ガス供給路を介して該溝部に対して、シャフト外部の圧力以上のパージガスを供給するパージガス供給手段を備えることが好ましい。
【0018】
本発明のシャフトは、その接合面に形成された溝部とその側壁部の内部を通って前記溝部と連通するガス供給路を有している。溝部は、接合面において、シャフトの内周と外周の間に、この周に沿って環状に形成される。
【0019】
前記ガス供給路は、例えば、シャフトの軸方向に沿ってその側壁部に少なくとも1箇所以上形成されている。また、前記ガス供給路は、溝部に連通している供給出口と、パージガスを供給する供給口を有し、供給口においてパージガス供給手段と接続されている。
【0020】
本発明の支持装置においては、パージガス供給手段から該ガス供給路を介して、該溝部とヒータープレートの接合面とで形成される空間に、パージガス(例えば、Nガス等)をシャフト外部の圧力以上かつシャフト内部の圧力以上の所定の圧力で供給することができる。
【0021】
また、シャフト端面の溝部に供給されたパージガスは、シャフト外部へ流れるとともにシャフト内部へも供給されるためヒータープレートの接合面とシャフトの接合面との間隙を介してシャフト外部から内部に侵入しようとするプロセスガスを、外部に向かって押し返すことができる。パージガスは狭い間隙を通るためパージガス流量は小さく抑えられプロセスへの影響を最小限に抑えることができる。
【0022】
この結果、この構成を備える支持装置では、シャフトの接合面に溝部を設けパージガスを充満させるという簡易な構成で、シャフトの外部から内部へのプロセスガスの侵入を防止できると共に、ヒータープレートの接合面とシャフトの接合面とを表面処理するという簡易な構成によって、外部へのリークを低減することができる。
【0023】
また上記パージガス供給路を真空引きすることもできる。真空引きすることによってシャフト外部から侵入したプロセスガスを排気でき、シャフト内部の端子類を保護することができる。
【0024】
本発明の支持装置において、前記ヒータープレートの接合面と前記シャフトの接合面との間には、金属箔が挟み込まれていることが好ましい。
【0025】
この構成を備える支持装置では、前記ヒータープレートの接合面と前記シャフトの接合面の間に金属箔が挟み込まれる。この金属箔は、固定部材の固定力により、それぞれの接合面の表面のわずかな凹凸に沿って弾性変形及び塑性変形する。
【0026】
したがって、この構成を備える支持装置では、金属箔を挟み込んで変形させることにより、前記の間隙をより小さくすることができる。この結果、この構成を備える支持装置では、金属箔を挟み込むという簡易な構成によって、リークを低減することができる。
上記記載した本発明の構成によれば、ヒータープレート2とシャフト3からのリークを低減させることができると同時にヒータープレート2とシャフト3間の物理的な接触による伝熱によりヒータープレートの温度分布を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態における支持装置を示す断面図。
【図2】(a)は、本実施形態のシャフトを示す平面図、(b)は、本実施形態のシャフトを示す断面図。
【図3】本実施形態のヒータープレートとシャフトとの接合部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に示すように、本実施形態の支持装置1は、ヒータープレート2とシャフト3とを備えており、ウエハ4をヒータープレート2上に保持する。支持装置1は、プロセスチャンバー(図示せず)の中に入れられ、ウエハ4を保持した状態でフッ素ガス等の各プロセスに応じたプロセスガス雰囲気に置かれる。プロセスガスは、供給経路(図示せず)を通してチャンバー内部に所定の圧力で供給される。
【0029】
ヒータープレート2は、AlN、SiC、MgAl、Al等を原料としたセラミックによって略円盤状に形成される。なお、ヒータープレート2の形状は、三角板状、四角板状等であってもよい。原料の中でAlNは、セラミックのなかでは熱伝導性が高いため均熱性に優れている点で好ましく、さらに、Yを添加することより均熱性を向上させることができる。
【0030】
ヒータープレート2には、ヒーター6が、ヒータープレート2のシャフト3との接合する面(以下、単に接合面という)に近い位置に埋設されている。また、電極7が、それと対向するウエハ4を保持する面に近い位置に埋設されている。
【0031】
ヒーター6は、発熱抵抗体であり、例えばメッシュ状のヒーター6が配置されており、電流を流すことによってジュール熱を発生する。ヒーター6の両端部には、略有底筒状のヒーター端子8が、ヒータープレート2の接合面のほぼ中央部において、例えば、ロウ付けによりそれぞれ接続固定されている。そして、ヒーター端子8の筒状の穴には、棒状のNiロッド電極9がロウ付けによりそれぞれ接続固定されている。一対のNiロッド電極9は、それぞれヒーター電源(図示せず)に接続されており、これを作動させることにより、ヒーター6を発熱させることができる。なお、Niロッド電極9は、端子間の放電を防止するため、その周囲を円筒状の絶縁スリーブ(Alスリーブ)で覆われている。
【0032】
ヒーター6は、耐熱性に優れ、熱膨張係数の小さい金属、または、熱膨張係数がヒータープレート2を形成するセラミックの熱膨張係数に近い金属(例えば、Mo、W等)を原料として製造されることが好ましい。また、端子8は、コバール、Mo、Niを原料として製造されることが好ましい。
【0033】
電極7は、プラズマ処理をウエハ4に施すときに使用するRF電極である。電極7は、ヒーター6用のヒーター端子8と同様に、RF端子10を介してNiロッド電極11に接続固定されている。なお、Niロッド電極11も、端子間の放電を防止するため、その周囲を円筒状の絶縁スリーブ(Alスリーブ)で覆われている。
【0034】
なお、ヒータープレート2は、他にESC電極を内蔵していてもよい。
【0035】
シャフト3は、AlN、SiC、MgAl、Al等を原料としたセラミックによって略円筒状に形成される。
【0036】
特に、AlNは、セラミックとしては熱伝導性が高いため均熱性に優れている点で好ましい。すなわち、図1に示すように、円盤状のヒータープレート2の中心に給電端子を設けると中心部に熱を持ちやすく、温度分布も中心部が高く周辺に行くほど低くなる場合がある。これに対し、シャフト3の原料をAlNとすることで、中心部に溜まった熱をシャフト3が逃がすことができるので、温度分布を平均化しやすい。
【0037】
シャフト3は、接合面の反対側に、パージガス供給手段(図示せず)と、パージガスの供給通路及びNiロッド電極9、11を通す蓋20が備えられている。蓋20の端面には図示しないプロセスチャンバとシャフトを固定するためのフランジが取り付けられる。パージガスの種類としては、プロセスに影響を与えないものであればAr、He等であってもよい。
【0038】
図2に示すように、シャフト3は、ヒータープレート2との接合面において、前記端子8と前記端子10とを囲う略矩形断面の貫通路12と、略円形断面の貫通孔13、14、15と、シャフト3の内周と外周の間の略環状の溝部16と、ネジ孔17とを有する。
【0039】
図3に示すように、貫通孔13、14は、シャフト3の側壁部の内部に軸方向に沿って設けられている。また、貫通孔(ガス供給路)15は、貫通孔14から分岐、また、接合面側のシャフト3の端面から貫通孔を斜行させるなどして製作し、接合面側の先端で溝部16と連通している。なお、貫通孔14は、真空引きのための通路として用いることができ、ガス供給路としても用いることができる。具体的には、前記パージガス供給手段によって、N等のパージガスをチャンバー内部に充填されるプロセスガスの圧力以上、または、チャンバー内部に充填されるプロセスガスの圧力、かつ、シャフト3の前記空間内部の圧力以上で充填する。
【0040】
この結果、パージガス供給手段によって、溝部16とヒータープレート2の接合面とでできる空間内部には、シャフト3の内部または外部の圧力以上で、パージガスが供給される。
【0041】
図3に示すように、シャフト3は、ヒータープレート2との接合面において、ネジ孔17を有するフランジ18を備える。ヒータープレート2とシャフト3とは、ネジ孔17を介してネジ(固定部材)22によって締結される。固定部材としては、ネジ以外にも、クランプ等、機械的にヒータープレート2とシャフト3とを固定しうる機構であってもよい。
【0042】
ネジ22は、金属またはセラミックによって製造される。金属ネジの場合は耐熱性、膨張係数を考慮し、インコネル、Ni、Ti、Moが使用される。また、製造プロセスに対するプラズマの影響を軽減させるために、ネジ22は、フランジ18をシャフト3の内部に設け、シャフト3の内部で締結されることが必要である。ネジを締結する際のトルクは、M5ネジ使用時で6Nm程度が望ましく、10Nm以上ではネジ部の破損の可能性がある。
【0043】
また、この締結がなされる、ヒータープレート2の接合面とシャフト3の接合面とは、表面粗さRa0.2μm以下かつ平面度2μmになるまでラップ等の表面研磨加工を行うことが好ましい。
【0044】
さらに、ヒータープレート2の接合面とシャフト3の接合面との間には、金属箔23が挟み込まれている。金属箔23は、耐熱性のあるAu、Pt、Al等を原料として製造されることが好ましい。
また、金属箔23の厚さは、1μm未満では製造し難く、10μm以上では変形させるのに多大な締結力が必要となりネジ部の破損等の可能性があるので、1μm以上10μm未満が好ましい。
【0045】
なお、リークを制御する方法としては、O−リング、ロウ材、接着剤等を用いてもよい。300℃以上の高温でのプロセスでは、主にメタル製のO―リングやC−リングなどのシール部材やそれに銀メッキや金メッキの表面処理がなされているものが好ましい。
【0046】
以上の構成を備える支持装置1では、ヒータープレート2の接合面とシャフト3の接合面とは、表面粗さRa0.2μm以下かつ平面度2μmになるまで表面研磨加工されているので、密着度が増している。特に、ヒータープレート2の接合面とシャフト3の接合面との間には、金属箔23が挟み込まれており、この金属箔23は、ネジ22の締結トルクにより、それぞれの接合面の表面のわずかな凹凸に沿って弾性変形及び塑性変形するので、ヒータープレート2とシャフト3との密着度は極めて高いものとなっている。
【0047】
この結果、支持装置1では、表面研磨及び金属箔23を挟むという簡易な構成で、ヒータープレート2の接合面とシャフト3の接合面との間隙からのリークを低減することができる。
【実施例1】
【0048】
本実施例では、以下のように支持装置1を製造した。
【0049】
まず、AlN粉末97質量%、Y粉末3質量%からなる粉末混合物を形成し、それを型に充填して9.8MPaの圧力で一軸加圧処理により第一層を形成した。次に、前記第一層の上に、W製の発熱体を載置した。
【0050】
続いて、先に形成した粉末混合物を発熱体の上に充填し、第二層を形成した。そして、10MPaの圧力で焼成温度1840℃、焼成温度2時間でホットプレス法を用いて焼結体を得た。得られた焼結体を加工し、Φ300mm×t23mmのヒータープレート2を製造した。また、ヒータープレート2にシャフト接合面にボルト固定用のM5のネジ穴(外径が5mmで、山の角度60°の三角ねじ用穴)を形成した。
【0051】
次に原料となるAlN粉末にIPAおよび有機バインダーと可塑剤を添加し、混合、スプレードライヤー乾燥をすることで、AlN顆粒を得た。この顆粒をCIP成形し、焼成温度1900℃、焼成時間6時間で常圧焼成を用いて焼結体を得た。得られた焼結体を加工し、内径50mm×外径60mm×高さ200mmのシャフト3を製造した。
【0052】
そして、ヒータープレート2とシャフト3とを、M5のTi製ネジ22と座金を用い、締結トルク6Nmで締結した。
【0053】
また、端子8、10は、コバール製とし先端にNiロッド9、11を継ぎ足し、これらを金ロウ付けした。
【0054】
本実施例では、ヒータープレート2の接合面は、ラップ加工により、平面度は1.0μmで、表面粗さRaは0.08μmとした。一方、シャフト3の接合面は、ラップ加工により、平面度は0.14μmで、表面粗さRaは0.06μmとした。
【0055】
この平面度は、ISO10360(JISB7440)に則った3次元測定機で、ISO1101(JISB0621)に則った方法で測定した。また、この表面粗さは、ISO1879,1880,3274(JISB0651)に則った触針式表面粗さ測定機で、ISO4287(JISB0601)に則った方法で測定した。
【0056】
本実施例では、接合面に金属箔は挟んでおらず、また、ガスパージは行っていない。以上の条件で支持装置1を製作した。
【0057】
本実施例では、以下の測定を行った。まず、ヒーター6の設定温度を500℃とし、温度測定はサーモグラフィーを用いて測定を行った。ΔTは、500℃とヒータープレート2の中で一番温度が低い箇所との差を表わしている。
【0058】
また温度測定後のヒータープレート2裏面の端子の腐食具合および酸化具合を判定した。
【0059】
次に、本実施例では、支持装置1と真空チャンバーをフランジおよびバルブを介して接続し、その真空チャンバーに接続された排気ポンプを作動させバルブ開閉時の真空チャンバーの到達真空度の差ΔPおよび排気ポンプの排気速度Cからリーク(Q=CΔP)を算出した。結果を表1に示す。
【実施例2】
【0060】
実施例2では、ガスパージを行った以外は実施例1と全く同一にして、支持装置1を製造した。
【0061】
次に、実施例2で得られた支持装置1について、実施例1と全く同一にしてリークを測定した。結果を表1に示す。
【実施例3】
【0062】
実施例3では、厚さ2.5μmのAu金属箔を接合面に挟み込んだ以外は実施例1と全く同一にして、支持装置1を製造した。
【0063】
次に、実施例3で得られた支持装置1について、実施例1と全く同一にしてリークを測定した。結果を表1に示す。
【実施例4】
【0064】
実施例4では、厚さ5.0μmのAl金属箔を接合面に挟み込み以外は実施例2と全く同一にして、支持装置1を製造した。
【0065】
次に、実施例4で得られた支持装置1について、実施例1と全く同一にしてリークを測定した。結果を表1に示す。
【実施例5】
【0066】
実施例5では、シャフト3を、純度99.5%以上のAlを原料として製造した。また、Al製シャフト3は、平面度を0.20μm、表面粗さRaを0.07μmとした。また、ガスパージのみを行った。それ以外の条件は、実施例1の支持装置1と全く同一である。
【0067】
次に、実施例5で得られた支持装置1について、実施例1と全く同一にしてリークを測定した。結果を表1に示す。
【0068】
〔比較例1〕
比較例1では、ヒータープレート2の平面度を3.0μmとした以外は、実施例1と全く同一にして、支持装置1を製造した。
【0069】
次に、比較例1で得られた支持装置1について、実施例1と全く同一にしてリークを測定した。結果を表1に示す。
【0070】
〔比較例2〕
比較例2では、ヒータープレート2の表面粗さを0.30μmとした以外は、実施例2と全く同一にして、支持装置1を製造した。
【0071】
次に、比較例2で得られた支持装置1について、実施例1と全く同一にしてリークを測定した。結果を表1に示す。
【0072】
〔比較例3〕
比較例3では、シャフト3の表面粗さを0.25μmとした以外は、実施例1と全く同一にして、支持装置1を製造した。
【0073】
次に、比較例3で得られた支持装置1について、実施例1と全く同一にしてリークを測定した。結果を表1に示す。
【0074】
〔比較例4〕
比較例4では、厚さ2.5μmのAu金属箔を接合面に挟み込み以外は、比較例1と全く同一にして、支持装置1を製造した。
【0075】
次に、比較例4で得られた支持装置1について、実施例1と全く同一にしてリークを測定した。結果を表1に示す。
【0076】
[比較例5]
比較例5では、厚さ5.0μmのAl金属箔を接合面に挟み込み以外は、比較例2と全く同一にして、支持装置1を製造した。
【0077】
次に、比較例5で得られた支持装置1について、実施例1と全く同一にしてリークを測定した。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】

表1から、実施例1〜5の支持装置1によれば、比較例1〜5の場合より、リークが少ないことは明らかである。したがって、ヒータープレート2及びシャフト32の平面度を2μm以下かつ表面粗さをRa0.2μm以下とすることにより、リークを0.05sccm(8.45×10−5Pa・m/s)以下に低減できることが明らかである。
【0079】
比較例2の支持装置によれば、比較例1の場合より、リーク量が少ないことは明らかである。したがって、リークには平面度、表面粗さのいずれも重要であるが、特に、表面粗さが粗くなるとリークが増加することが明らかである。
【0080】
実施例3および4の支持装置1によれば実施例1および2の場合より、また、比較例4の支持装置によれば比較例1の場合より、リークが少ないことは明らかである。したがって、接合面に所定の厚みの金属箔を挟み込むことにより、リークをさらに低減できることが明らかである。
【0081】
実施例5の支持装置によれば、実施例2の場合より、ΔTが高いことが明らかである。したがって、Al製シャフト3よりも、AlN製シャフト3の方が均熱効果を有することは明らかである。
【0082】
また実施例2、4、5および比較例2、4、5によればガスパージを使用すればシャフト内部の端子類の腐食および酸化は防げることが確認された。
【符号の説明】
【0083】
1…支持装置、 2…ヒータープレート、3…シャフト、4…ウエハ、6…ヒーター、15…貫通孔、16…溝部、22…ネジ、23…金属箔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを載置する面と、発熱抵抗体とを有するヒータープレートと、
前記ヒータープレートのウエハを載置する面と対向する面において、前記ヒータープレートと接合するシャフトと、
前記ヒータープレートと前記シャフトとを機械的に固定する固定部材とを備える支持装置であって、
前記ヒータープレートの接合面と前記シャフトの接合面との間隙からのエアリークが0.05sccm以下となるように、前記ヒータープレートの接合面と前記シャフトの接合面とが表面処理されていることを特徴とする支持装置。
【請求項2】
前記ヒータープレートの接合面と前記シャフトの接合面とは、それぞれ平面度2μm以下かつ表面粗さRa0.2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
前記シャフトは、該シャフトの接合面に形成された溝部と、該シャフトの側壁部の内部を通って前記溝部と連通するガス供給路を有し、
前記支持装置は、該ガス供給路を介して、該溝部に対し、シャフト外部の圧力以上のパージガスを供給するパージガス供給手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の支持装置。
【請求項4】
前記ヒータープレートの接合面と前記シャフトの接合面との間には、金属箔が挟み込まれていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の支持装置。









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−49428(P2011−49428A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197921(P2009−197921)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(391005824)株式会社日本セラテック (200)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)