説明

改善されたカソード設計

触媒層と、燃料電池のチャンバーにおける開口に装着された裏面層とを備えた燃料電池のためのカソードであって、1)上記触媒層は、微生物燃料電池の場合において大気中の酸素と流体連通するように上記開口に対向する面上の裏面層に設けられ、2)上記触媒層は、微生物電解電池の場合において水と流体連通するように上記開口に対向する面上の裏面層に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の使用及び製造に関し、特に、微生物燃料電池と微生物電解電池に特定のアプリケーションを有すものに関する。具体的には、本発明は、そのような燃料電池のためのカソード配置及び構成に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物燃料電池(MFC)は、最近、任意の中間ステップなしに、生化学的エネルギーから排水への直接変換のための代替保証する方法として考えられている。
【0003】
MFCは基本的には、細菌がアノードを含むチャンバー内の酸素なしに成長し、アノードを覆うバイオフィルムを形成する嫌気性プロセスです。電気を発生するには、アノードチャンバー内の細菌は有機物質(流入物/燃料)を分解させ、電子をアノードに転送する。これらの電子は、電流を生成する外部回路を通過する。有機物質の分解は、電子が酸素のような電子受容体によって消費されないように嫌気性環境で発生する。これらの電子の移動は細菌性呼吸酵素を介して行われる。電荷バランスを維持するためにアノードで作成された陽子は、溶液を介してカソードに移動し、ここで、これらは、酸素及びアノードで生成された電子と結合して水を形成する。従って、カソードは好気的条件の下で維持する必要がある。
【0004】
MFCは以下の2つのタイプであることが可能である。
1)2つのチャンバーを有するMFC、ここで、アノードチャンバーは嫌気性を有し、カソードチャンバーは好気性を有する(図1A)、もしくは、
2)1つのチャンバーを有するMFC、ここで、両電極は、空気にさらされるカソードの一面とともに嫌気チャンバー内に設けられる(図1B)。陽子の移動を容易化する目的を有する陽子交換膜(PEM)は通常、カソードからアノードを分離する。呼吸酵素と酸素との間の電位差は発電をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
微生物電解電池は(MEC)は、簡単に言えば、カソードで水素ガスを発生するように設計された、変形された微生物燃料電池(MFC)である。MFCと同様に、MECは、アノードとカソードを含む1つ又は2つのチャンバーで構成されている。アノード上の細菌は有機基板の酸化を触媒する働きをし、電子と陽子を発生する。代謝反応からの電子はカソードに向かって外部回路を通って移動する。陽子は水溶液中でカソードに転送される。カソードでは、電子と陽子は水素ガスを形成するために再結合する。成功裡に水素ガスを発生するためには、有機化合物の加水分解からの水素の直接生産は熱力学的に不可能であるので、外部電圧は、熱力学的障壁を克服するために適用される。MECによって発生される水素ガスは、他の生物学的水素製造プロセスと比較して高純度の高価なガス精製技術の使用を否定する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の態様において、本発明は、微生物燃料電池用カソードにおいて、上記微生物燃料電池の燃料チャンバーにおける開口に設けられた裏面層を備え、触媒層は、大気中の酸素と流体連通されるように上記開口に対向する面上の上記裏面層に設けられたカソードである。
【0007】
一実施形態では、上記カソードは以下のような導電性材料の一部を含んでもよく、以下には限定されない:カーボン紙、導電性プラスチックポリマー、鋼、黒鉛(グラファイト)の顆粒、黒鉛(グラファイト)のファイバー、網状ガラス質カーボン、又は導電性塗料で被覆された非導電性材料であり、これらは触媒層に適用される。
【0008】
第二の態様において、本発明は電気を発生する方法を提供し、上記方法は以下のステップを含む:カソードを有する微生物燃料電池(MFC)を提供し、ここで、カソードは触媒層と、上記微生物燃料電池の燃料チャンバーにおける開口に設けられた裏面層とを含み;上記触媒層は、大気中の酸素と流体連通するように上記開口に対向する面上の裏面層に設けられ;上記方法は、上記MFCのアノードに燃料を供給することと;上記アノードを介して、上記アノード及びカソードに結合する外部回路に通過する電子を発生することと;その結果として得られた陽子を上記カソードに伝達することとを含む。
【0009】
第三の態様において、本発明は微生物電解電池のためのカソードを提供し、上記カソードは、触媒層と、上記微生物電解電池の燃料チャンバーにおける開口に設けられた裏面層とを備え;ここで、上記触媒層は、最小混入(汚染)物質であるガス又は水と流体連通するように上記開口に対向する面上の裏面層に設けられる。
【0010】
一実施形態では、MFCによって発生される電流は、微生物燃料電池に含まれている微生物の活性又は活動の関数であってもよい。このことは、上記燃料において利用可能な有機物質の量、及び/又は、上記燃料中の有毒性物質の存在量を測度としてもよい。この目的のために、微生物燃料電池は、燃料中の有機/毒性物質燃料の濃度を監視するバイオセンサとして使用してもよい。
【0011】
本発明の一態様に係るMFCは、1つのチャンバーを有する空気カソードのMFCのためのカソードの1つの新規なタイプを提供し、ここで、上記触媒層は裏面層の最上部上の空気にさらされるカソードの側面に形成される。このとき、触媒層は1つ又はそれ以上のガス拡散層により保護することができる。空気に対面する触媒層を提供することにより、当該配置は大気中の酸素とより近接しかつより良い接触によりより効率的になり、これにより、より良い性能を導くであろう。さらに、上記触媒層をバイオマス/流入物/燃料から分離することにより、触媒層は汚染されない状態を保持し、これによりまた、性能を向上させ、MFCの機能的な寿命を増大させる。
【0012】
本発明のさらなる態様に係るMECは、2つのチャンバーを有するMFCのためのカソードを提供し、ここで、上記触媒層は最小混入(汚染)物質であるガス(すなわち、酸素の絶対に存在しない。)又は水にさらされたカソードの側面に形成される。最小混入(汚染)物質を有するガス(すなわち、酸素の絶対に存在しない。)又は水に対向する触媒層を提供することにより、バイオマス/流入物/燃料から触媒を分離することを実現し、触媒は汚染されてないことが保持され、これにより、MECの性能を向上させ、MECの機能的な寿命を増大させる。
【0013】
本発明は以下の装置を提供し、カーボン布及び/又は裏面層は、微生物燃料電池のアノードチャンバー内の燃料/バイオマスによって、上記触媒を汚染から分離する。
【0014】
裏面層は、触媒層のための支持(サポート)を提供し、触媒への陽子の拡散をさせることができる。このような裏面層は、例えばチャンバーからの排水などのバイオマスの流れを防止するようにMFCのアノードチャンバーの開口を封じてもよい。裏面層はまた、触媒層のための機械的支持を提供することができる。これは、カーボンブラックと混合してもよい、ナフィオン(登録商標)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)にて形成してもよい。
【0015】
本発明の実施形態による効果は、MECの場合にはより大きな電気の発生と、MFCの場合にはより大きな水素の発生を含んでもよい。
【0016】
上記流入物/燃料は以下のものを含んでもよい:
(i)溶液中の任意の生体分解性の有機物質;
(ii)バイオ燃料(バイオマスから得られた基質として定義される);
(iii)汚水又は排水(例えば生活排水などの低い強度、例えば工業廃水などの強い強度);
(iv)液体廃棄物となる、(例えば排水又は汚水)などの水と混合された有機固体廃棄物;および
(v)上記(ii)乃至(iv)の項目の前処理された形式。
【0017】
本発明はまた、
1)MFCの場合には発電のために、
2)MECの場合には水素発生のために、
流入物として溶液中に溶解された任意の有機物質を使用してもよい。
【0018】
MFCのために、このように発生された電気の量は、上記溶液中に存在する、毒性物質の存在及び/又は濃度、並びに、有機物質の濃度を監視するために使用してもよい。
【0019】
MFCに関する本発明の可能なアプリケーションは以下を含んでもよい。
(i)汚水処理プラント;
(ii)(意図的に又は意図的ではなく生成された)有機物質を含む任意の溶液からの発電のための電力プラント;
(iii)排水又は廃棄物が生成され処理することが必要とされる任意の場所;
(iv)溶液中における有機物質の濃度を監視するためのバイオセンサとして、燃料電池により発生された電流は有機物質の濃度に比例する;及び
(v)溶液中における毒性物質の存在及び濃度を監視するためのバイオセンサとして、毒性物質による微生物の活性及び/又は阻害に依存する。
【0020】
MFCの場合において、ガス拡散層(GDL)は、大気中の0と水との反応経路を提供することができる。このGDLは、カーボンブラックと混合されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成してもよい。蒸着法は、研磨法、空気研磨法、スパッタリングを含んでもよい。純粋なPTFEにてなる追加のGDLは最初のGDL上に追加されてもよい。
【0021】
触媒層は反応が行われる場所である。触媒の性質は、コバルト、プラチナ及びそれらの合金を含むことができる。蒸着法は、研磨法、空気研磨法、スパッタリングを含んでもよいが、これには限定されない。
【0022】
本発明の可能な配置及び装置を示す図面に参照して本発明を説明することは好都合になるであろう。本発明の他の配置及び装置が可能であり、その結果、添付図面の特別性は、本発明の前述の一般性を優先するとして理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】従来技術に係る、2つのチャンバーを有する微生物燃料電池の概略図である。
【図1B】従来技術に係る、チャンバー内のバイオマスに対向する触媒を有する1つのチャンバーを有する微生物燃料電池の概略図である。
【図2A】本発明の一形態に係る微生物燃料電池の概略図である。
【図2B】本発明の一実施形態に係る、微生物電解電池の概略図である。
【図3】従来技術に比較して、本発明の微生物燃料電池の性能をグラフで表現したものである。
【図4】従来技術と比較して、本発明の微生物燃料電池の性能をグラフで表現したものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1A及び1Bは従来技術に係る異なった微生物燃料電池(MFC)を示す。
【0025】
図1Aを参照すれば、アノードチャンバー10及びカソードチャンバー20を有するMFCを有する2つのチャンバー5が図示されている。アノードチャンバー10は、放出された電子がチャンバー20に供給される酸素によって消費されることを防止するための嫌気性であることを特徴とする。チャンバー内においては、チャンバー10内に例えば排水又は汚水などのバイオマスの供給がなされる。このとき、排水中の有機材料はアノード15上にバイオフィルム40を形成し、流入物/燃料45の分解によるアノード15は電子を生成する。アノード15は外部回路35に接続され、その結果としての電流が外部回路35を介してカソードチャンバー20内のカソード25に流れる。従って、アノードチャンバー10に供給された燃料45は酸化50され、陽子交換膜(PEM)30を介して陽子55の流れを生成し、これによって、陽子はカソードチャンバー20内の酸素57と結合して水58を生成する。
【0026】
図1BはMFC60の代替装置を図示しており、これによって、1つのチャンバー70はアノードチャンバー70であるように存在し、これはまた嫌気性を有して酸素がチャンバーに入力することを防止する。図1Aのカソードチャンバーは、触媒層は、MFCに形成されかつチャンバー70内のバイオマスに対向する触媒層を有する外部カソード65によって置き換えることができる。陽子75は、カソード65のサイトにおいて大気中の酸素と結合して水85を生成する。また、PEM90は、アノードチャンバー70からカソード65を分離するために提供される。
【0027】
本発明は、上記1つのチャンバーを有するMFCの代替装置を提供する。本発明の一実施形態では、図2Aに示すように、カソード110は、1つのチャンバーを有するMFC100の排水/空気インターフェイス141に位置するカーボン布115のシートを含む。以下の例では、カソード作業面の面積は64cmに匹敵する。この場合において、カーボン布は、流入物/燃料から触媒層を分離する分離層として機能する。従って、触媒層が開口から離れる方向で方向付けられる。明確化のために、これは、図1Bに示されるように、流入物/燃料又は水、対向する触媒と比較して、空気に対向する触媒と呼ばれる。
【0028】
さらに別の態様において、本発明は、2つのチャンバーを有する微生物電解電池を提供する。このような微生物電解電池の一実施形態は図2Bに提供され、図2Bは、アノードチャンバー1100及びカソードチャンバー1200を有する、2つのチャンバーのMEC1000を示す。アノードチャンバー1100嫌気性であることを特徴とする。チャンバー1100内に、例えば排水などのバイオマスの供給がなされる。排水中の有機物質は、アノード1400上にバイオフィルム1300を形成し、流入物/燃料1500の分解によるアノード1400は電子を発生する。アノードは1400外部回路1600に接続され、その結果、発生する電流は、外部回路1600を介してカソード1700に流れる。外部電圧1900は、有機化合物の加水分解からの水素の直接生産は熱力学的に不可能であるので、熱力学的障壁を克服するために印加される。従って、アノードチャンバー1100に供給される燃料1500は酸化2000され、カソード1700に向かって陽子2100の流れが生成され、カソードチャンバー1200において水素2200が発生する。カソードチャンバー1200における媒質は、汚染されない触媒を維持するように、例えば酸素が完全にない水素又は窒素などのガス、もしくは、最小限の汚染物質を有する水であってもよい。
【0029】
図2Bに示すように、MECのアプリケーションのための本発明の一実施形態において、カソード1700は図2Aの構造と同様の構造を有する。この場合において、カーボン布は、流入物/燃料から触媒層を分離する分離層として機能する。従って、触媒層は、カソードチャンバー1200における不活性ガス、又は最小限汚染物質の水と対向する開口又はアノードチャンバー1100から離れる方向で方向付けされる。
【0030】
図2A及び図2Bに図示されたカソードと同様のカソード110又は1700の製造方向は、以下の連続的なステップを含む。
【0031】
水において30重量%のPTFE検査液中のカーボン布115を浸漬することによってテフロン(登録商標)化する。カーボン布115は100°Cのオーブンで乾燥されて、15〜20重量%の範囲内のターゲット物115を達成するようにテフロン(登録商標)コンテンツ115を決定するために圧迫した。テフロン(登録商標)化されたカーボン布115はオーブンに転送され、4.5°C/分で350°Cに加熱され、これにより、PTFE中に存在する分散剤を徐々に取り除きかつ30分で350°CでPTFEの粒子を溶かすことができる。
【0032】
次に、ナフィオンとカーボン(VXC72−R)とナフィオン粒子にてなる裏面層(BL)120のアプリケーションが提供される。カーボンブラックとナフィオンとの重量比は2:1である。カーボンブラックは、蒸留水及びエタノール(1:1 v/v)と混合される。ナフィオン溶液(5%)はカーボンブラックインクに追加され、均一に分散するために攪拌した。混合物が30分間超音波処理される。拡散インクはエアブラシを使用してカーボン布115の一方の側に印加される。ガス拡散電極は30分間130°Cでオーブンで焼かれる。拡散インクの典型的な負荷は約3.6mg/cm程度である。
【0033】
触媒層125のアプリケーションは、デントン・バキューム・リカバリー(登録商標)18の蒸着システムを使用してスパッタリング蒸着により0.1mg・cmの負荷で適用されたコバルトを含む。
【0034】
MFCの場合においては、GDL130のアプリケーションは触媒層125の最上部上のPTFEにてなる。複数の電極のためのGDL130はカーボンブラック(VXC72−R)とPTFE粒子とを含む。カーボンブラックとPTFEの重量比は3:2である。カーボンブラックは、蒸留水及びエタノール(1:2の体積比)の混合物において超音波処理がなされ、PTFEは蒸留水で攪拌される。PTFE溶液はカーボンブラックインクに添加され、その混合物は30分間超音波処理がなされる。拡散インクはエアブラシを使用して電極のカーボンの一方の側面に付加されます。拡散インクの典型的な負荷は3.6mg/cm程度である。ガス拡散電極を100°Cのオーブンで乾燥させる。ガス拡散電極は、テフロン(登録商標)化カーボン電極の熱処理と同じ条件の下で350°Cで焼結される。このとき、カーボン布のシートは、テスト用の1つのチャンバーを有するMFCに含まれて準備される。
【0035】
テストに使用されかつ図2に図示されたMFC100は120×120×30mmの寸法を有し、MFC100の作業体積は85mLであった。これは、排水のための蛇行経路を提供するチャネルとともに含まれる。フローチャネルはアノードのシートとカソードのシートとの間に挟設され、アノードとカソードとの間の距離は2cmに設定された。アノードとカソードの表面積は類似し、それぞれが64cmに匹敵していた。アノードは、非湿式防水化プレーンカーボン布にてなり、嫌気性条件を確保するためにアクリルの部分に対して適用された。
【0036】
イノキュレーションは生活排水において自然に存在する細菌を用いて行われた。このイノキュレーション手順はバッチモードで実行され、MFCは電圧が50mV未満に低下したときに新鮮な生活排水と補充される。イノキュレーションのステップは、電圧発生のプロファイルには、少なくとも3つの連続したバッチの同様のパターンを示したときに達成と考えられた。このとき、MFCの100の操作をして基板として酢酸ナトリウムを使用して、連続モードに切り替えられた。酢酸ナトリウムを連続的にMFCの底部に0.3mL・min−1の流量で蠕動ポンプを使用してポンプ流入され、アップフローモードでアノードとカソードとの間に直接にチャネルを介して流れるようにされた。負荷速度は16Kgのアセテートm−3−1であり、4.7時間に匹敵する滞留時間であった。
【0037】
触媒層が排水に対向していることを除いて同様の方法で内蔵されたカソード145の新しいタイプ及び従来技術のカソード150を有して得られたパフォーマンスの比較は図3に図示されている。電池電位は本発明において40mVだけより高い平均値を有する(すなわち、約15%の増加量)。
【0038】
これらの改善された結果は、抵抗ボックスを使用して異なる外部抵抗で得られ、かつ、カソード115の新しいタイプ及び従来のカソード150に対する図4に図示された分極曲線により確認された。カーボン布のテフロン(登録商標)化のレベルは変更することができる。
【0039】
カーボン布115は他の任意のタイプの導電性材料で置き換えることができるが、カーボン紙、導電性プラスチックポリマー、鋼、黒鉛顆粒、黒鉛ファイバー、網状ガラス質カーボン、導電性塗料で被覆された任意の非導電性材料に限定されない。
【0040】
BLとGDLの性質は他の材料(例えば、PTFE、ナフィオンほか)に変更してもよい。
【0041】
追加の複数のGDLは、カソードの疎水性を高めかつ漏出を防ぐため、触媒層の最上部上に追加することができる。このような複数のGDLは純粋なPTFE製だけではなく、典型的に行うことができる。
【0042】
カソード上の触媒の性質及び負荷は(例えば、白金、コバルト、合金ほか)を変更することができる。
【0043】
本発明のさらなる実施形態では、カソード110は、カーボン布115に直接適用される触媒層125を有するようにBLの120とGDLの130を省略することができる。本発明の重要な特徴は、触媒層は、アノードチャンバー内で排水によって汚染されていないこと、すなわち、BL120の分離を確保できることである。PEMの省略は、より高い電力出力を可能にする。これは、MFCの低減された内部抵抗及びより高いカソード電位のためである。PEMの省略は、製造ステップの省略を介して他の利点が追加され、材料とコストを節約できる。
【0044】
図2に示す実施形態は白金触媒をコバルト合金と置き換えるときのさらなる利点を有し、このことは、MFC100の複雑な製造をより軽減して結合され、より複雑であって高価な製造に比較してほとんど犠牲なしで又は犠牲なしで製造コストを十分に節約することができる。また、排水に対向する触媒層を有する場合に比較して空気に対向するカソードの利点は、図3及び図4に図示されたパフォーマンスにより示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物燃料電池のためのカソードにおいて、
触媒層と、
上記微生物燃料電池の燃料チャンバーにおける開口に設けられた裏面層とを備え、
上記触媒層は、大気中の酸素と流体連通するように上記開口に対向する面上の上記裏面層に設けられたカソード。
【請求項2】
上記裏面層は、陽子を上記チャンバーから上記触媒層に伝達するように設けられ、上記チャンバー内において燃料による上記触媒層の汚染を防止する請求項1記載のカソード。
請求項1記載のカソード。
【請求項3】
上記開口に対して反対の方向で、ある一面上の上記触媒層に設けられた外部ガス拡散層をさらに含む請求項1記載のカソード。
【請求項4】
上記裏面層はナフィオン(登録商標)の粒子を含む請求項1記載のカソード。
【請求項5】
上記裏面層及びガス拡散層又は複数の層はPTFEを含む請求項1記載のカソード。
【請求項6】
上記触媒層はコバルト、白金又は合金を含む請求項1記載のカソード。
【請求項7】
請求項1記載のカソードを有する微生物燃料電池。
【請求項8】
請求項1記載のカソードを有する微生物電解電池。
【請求項9】
微生物電解電池のためのカソードにおいて、
触媒層と、
上記微生物電解電池の燃料チャンバーにおける開口に設けられた裏面層とを備え、
上記触媒層は、最小混入物質であるガス又は水と流体連通するように上記開口に対向する面上の上記裏面層に設けられたカソード。
【請求項10】
上記裏面層は、陽子を上記チャンバーから上記触媒層に伝達するように設けられ、上記チャンバー内において燃料による上記触媒層の汚染を防止する請求項9記載のカソード。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−527817(P2011−527817A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517387(P2011−517387)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【国際出願番号】PCT/SG2009/000242
【国際公開番号】WO2010/005397
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(507335687)ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール (28)
【Fターム(参考)】