説明

改善された分散性を有する臭化物高含有{111}平板状粒子乳剤

本発明は、写真分野において有用な平板状ハロゲン化銀乳剤及び特に平板状ハロゲン化銀乳剤を調製する方法に関する。本発明の方法は、{100}結晶面と比較して{111}結晶面への優先吸着性をもつ化合物の存在下で行う平板状粒子の形成方法に関する。この優先吸着性に関するパラメーターは修正クベルカ−ムンク法から導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真分野において有用な{111}平板状ハロゲン化銀乳剤、特に{111}平板状ハロゲン化銀乳剤を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平行双面をもつ{111}平板状ハロゲン化銀粒子(以後、「{111}平板状粒子」と称する)は、次のような写真特性をもつ。
【0003】
1)これらの粒子は、大きな表面積対体積比(以後、「比表面積」と称する)をもつ故に、大量の増感色素がその表面に吸着され得る。その結果これらの粒子は、その固有感度と比較して高い色増感感度をもつ。
2){111}平板状粒子を含む乳剤を塗布し乾燥すると、粒子の面は支持体の表面と平行に配列し、それによって塗布層が薄くなるのでシャープネスが良い。
3)感度が同じである場合は、塗布する銀量は非{111}平板状粒子乳剤を用いる場合より少なくてもよく、したがって感度/粒状性比が高い。
4)これらの粒子は、自然放射線に対する耐性が高い。
【0004】
これら多くの利点を持っているので、{111}平板状粒子は、これまで商業的に生産されている多くの写真材料において用いられてきた。これらの写真製品においては、高いアスペクト比が、平板状粒子の利点を十分に発揮するためには重要な特徴の1つである。しかし、高いアスペクト比をもつ平板状粒子は、投影面積直径の分布が広い。これが、既存の平板状粒子技術の重要な欠点である。したがって、{111}平板状粒子には次のような点で不都合がある。
【0005】
1)これらの粒子には、特性曲線において硬い階調(すなわち、いわゆるハイガンマ)を達成することが期待できない。
2){111}平板状粒子のポピュレーションが大きな粒子と小さな粒子からなるときは、大きな粒子の化学増感のための最適条件が小さな粒子の化学増感のための最適条件とは異なるので、最適の化学増感が実現できない。
3)単分散大粒子で形成された上層と単分散小粒子で形成された下層をもつ多層構造は、光をより有効に利用するので、大粒子と小粒子を共に含む乳剤塗布層をもつ単層構造よりも高い感度をもつ。多分散{111}平板状粒子の場合は、異なる粒子サイズを別々の層に配分するというこの利点を活用できない。
【0006】
一般に、{111}平板状粒子は、連続する3つの工程、すなわち、核形成工程、熟成工程、粒子成長工程において形成される。核形成工程では、平板「核」及び非平板「核」の多分散混合物が調製される。次の熟成工程は、平板粒子の総量を減らさずにすべての非平板粒子を溶解するように設計され、最後の粒子成長は、平板粒子のサイズを最終的に所望のサイズまで増大させる機能をもつ。
【0007】
{111}平板状粒子の単分散性を高めるためにいくつかの試みがなされてきた。1つの方法は、たとえば国際公開90/1462号、特開昭53−41414、特開昭50−61134、欧州特許第1,014,175号又は米国特許第6,214,532号に記載されているように、核形成ステップのために熟成や成長のステップとは別に特別の容器を用いることである。しかし、追加のタンク及び添加システムを用いることは、経済的観点から又はプロセス制御の観から断然望ましくない上に、工程変動の追加の原因を導入することになる。
【0008】
単分散性を改善するためのもう1つの試みは、たとえば米国特許第5,147,771号〜773号、米国特許第5,629,142号又は米国特許第5,693,459号に記載されているように、核形成中にゼラチン以外のポリマーを導入することによる。ポリマーを用いることの欠点は、{111}平板状粒子の平均アスペクト比が劇的に低下して、{111}平板状粒子を用いる利点が少なくなってしまうことである。
【0009】
{111}平板状粒子の平均アスペクト比を増大させると、粒子サイズの分布がより広くなると結論できる。現在の技術においては、{111}平板状粒子であり、かつ高いアスペクト比と狭い粒子サイズ分布を兼ね備えた乳剤を調製する技術が必要である。
【0010】
数件の刊行物が加水分解したゼラチンに言及している。欧州特許第0,610,796号は、立方体の塩化銀結晶に関して、低分子量のゼラチンの使用を記載している。Mollは、'Photographic Gelatin', Academic Press Inc, 1972, 207-217において、立方体塩化銀結晶の成長に関する酵素加水分解したゼラチンの効果に言及している。また、De Brabandereらは、'Photographic Gelatin II', Academic Press Inc, 1976, 335-346 において、ゼラチンの酵素処理によって得られた小さなペプタイザーの立方体結晶に対する使用を記載している。その結果、粒子サイズの分布は悪くなると結論されている。
【0011】
立方体結晶が、{111}平板状粒子の結晶とは全く異なる成長機構を有すること、及び立方体結晶ポピュレーションの単分散性に及ぼす加水分解したゼラチンの効果についての実験データは、その{111}平板状結晶粒子の形成工程におけるその使用には当てはまらないことに留意すべきである。立方体結晶は{100}面でとり囲まれており、一方{111}平板状粒子の大きな上面及び底面は{111}面からなっている。
【特許文献1】国際公開90/1462号
【特許文献2】特開昭53−41414
【特許文献3】特開昭50−61134
【特許文献4】欧州特許第1,014,175号
【特許文献5】米国特許第6,214,532号
【特許文献6】米国特許第5,147,771号
【特許文献7】米国特許第5,147,772号
【特許文献8】米国特許第5,147,773号
【特許文献9】米国特許第5,629,142号
【特許文献10】米国特許第5,693,459号
【特許文献11】欧州特許第0,610,796号
【非特許文献1】Moll, 'Photographic Gelatin', Academic Press Inc, 1972, 207-217
【非特許文献2】De Brabandere et al, 'Photographic Gelatin II', Academic Press Inc, 1976, 335-346
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一目的は、優れた粒子サイズ分布を有する{111}平板状ハロゲン化銀乳剤を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、優れた粒子サイズ分布を有する{111}平板状ハロゲン化銀乳剤を、追加の工程ステップを導入することなく提供することである。
【0014】
本発明のもう1つの目的は、高いアスペクト比を有し優れた感度及び粒状性をもつ薄い{111}平板状結晶を有するハロゲン化銀乳剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
意外にも、平板状粒子形成工程において加えられたポリマーの{111}面への優先的吸着が粒子サイズの分布に影響を与えることが見出された。より正確には、{100}面よりも{111}面に優先的に吸着するポリマーを加える工程によって本発明の目的が達成できることが見出されたのである。加えて、どのポリマー構造が、pH=9で測定して、そのような{100}面よりも{111}面への優先的吸着を示すかが見出された。
【0016】
より正確には、本発明の目的は、銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液を合わせて、pH=9で測定して{111}結晶面への優先吸着性が−3以下の水溶性ポリマー化合物の存在下で{111}平板状ハロゲン化銀粒子を形成する、{111}平板状ハロゲン化銀乳剤製造方法によって達成することができた。この優先吸着性の値は{111}結晶面への吸着に対する値を{100}結晶面への吸着に対する値から差し引いたものであり、これらの値は、T. Tani J. Imag. Sc 29 (1985)vol29,165 に記載の修正クベルカ−ムンク(Kubelka−Munk)法により、前記水溶性ポリマー化合物の存在下で求めたものである。この平板状粒子形成工程は、核形成ステップ及び熟成ステップを含む。最も正確には、水溶性ポリマー化合物は、核形成ステップ中に加える。一実施形態においては、核形成ステップ中のpHは、好ましくは6以上である。好ましくは核形成ステップのpHを、熟成ステップ中も維持する。
【0017】
本発明はさらに、前記の方法で製造され、改善された単分散性をもつ{111}平板状ハロゲン化銀乳剤に関する。単分散性は、分布半値幅(単位ナノメートル)と平均アスペクト比との比であるRDAによって表される。
【0018】
さらにもう1つの態様では、本発明は、本発明による方法を用いて得られ、ハロゲン化銀粒子の全投影粒子面積の少なくとも60%が、臭化銀含有量が少なくとも50%の{111}平板状ハロゲン化銀である、{111}平板状ハロゲン化銀粒子乳剤に関する。
【0019】
本発明はまた、本発明による{111}平板状ハロゲン化銀乳剤を含む少なくとも一つの層を支持体上に含む写真材料に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、{111}平板状臭化物高含有のハロゲン化銀乳剤であって、そのハロゲン化銀粒子の全投影粒子面積の少なくとも60%は、平均アスペクト比6〜40、厚さ0.2ミクロン未満で、改善された単分散性を有する{111}平板状ハロゲン化銀粒子である乳剤を対象とする。好ましくはこうした乳剤は、RDAで表した単分散性が18未満であり、より好ましくは16未満である。
【0021】
「平板状粒子」という用語は、それ以外のどの粒子面よりも明らかに大きい2つの平行な粒子面をもつ粒子を指す。平板状粒子乳剤とは、平板状粒子が全投影粒子面積の50%より多くを占める乳剤である。
【0022】
アスペクト比とは、個々の平板状粒子の表面積が最大の領域の直径をその粒子の厚さで割って得られる値である。ここで用いる「直径」という用語は、その粒子の投影面積と等しい面積をもつ円の直径を意味し、顕微鏡又は電子顕微鏡観察によって求められる。したがって、アスペクト比が8以上ということは、この円の直径がその粒子の厚さの8倍以上の大きさであることを意味する。
【0023】
平均のアスペクト比が高い場合は、多分散性も大きくなりハロゲン化銀乳剤の階調は柔らかくなる。加えて、圧力マークを生じることになる。一方、平均アスペクト比が低すぎる場合には、感度に関して優れている平板状粒子乳剤の特性が減ずることになる。
【0024】
アスペクト比測定法の一例は、レプリカ法であり、各粒子の等価円直径(ECD)及び厚さを透過型電子顕微鏡で撮影した粒子の写真から読み取る。この方法では、厚さは、レプリカの影の長さから計算する。
【0025】
粒子サイズの変動係数は、すべてのハロゲン化銀粒子の投影面積の等価円直径の標準偏差をハロゲン化銀粒子の平均直径で割ることによって得られる値として表わすことができる。しかし、このように表わした場合には、粒子の厚さを無視しているため、アスペクト比と粒子サイズの変動との関係が示されない。したがって、単分散性は、分布半値幅(ナノメートル単位)と平均アスペクト比との比であるRDAでより良く表わされる。
【0026】
高いアスペクト比をもつ平板状粒子は、さまざまな方法で形成することができる。たとえば、米国特許第5,496,694号及び第5,498,516号に記載されている形成法が、本発明に適用できる。さらに、極めて高いアスペクト比をもつ平板状粒子は、米国特許第5,494,789号及び第5,503,970号に開示されている粒子形成法を用いて形成することができる。これらの方法を用いた場合、高アスペクト比を有する平板状粒子は高い多分散性が欠点となる。
【0027】
本発明の方法においては、ハロゲン化銀粒子の{111}面への優先吸着性をもつポリマーの添加によって単分散性が高まる。通常、ハロゲン化銀乳剤の調製工程ではゼラチンが用いられる。本発明の方法においては、核形成ステップを、pH=9で測定して{111}面への優先吸着性をもつ水溶性ポリマー化合物の存在下で行うことが好ましく、ポリマーは天然ゼラチン、合成ゼラチン、修飾ゼラチン及び組み換えゼラチンから選択する。
【0028】
平均アスペクト比の高い単分散性の平板状粒子を形成する際には、短時間で小さな平行双晶核を形成することが重要である。そのような核を形成するには、核形成を少量のゼラチンの存在下で低温、短時間で行うことが望ましい。
【0029】
本発明の方法においては、特別の低分子量ゼラチン様ポリマーが好ましい。1つの実施形態において本発明は、分子量が50キロダルトン未満、最も好ましくは3〜25キロダルトンのゼラチン様ポリマーの存在下でおける核形成を含む。
【0030】
本発明の方法においては、核形成ステップにおいて、すでにポリマー化合物が存在している分散媒体中に銀塩及びハロゲン塩を加えるのではなく、水溶性ポリマー化合物を銀塩及びハロゲン塩と同時に加えることが好ましい。具体的には、このことはポリマー化合物を核形成に用いるハロゲン塩水溶液と混合することによって行うことができる。この溶液を大きな容器の内部にある核形成チャンバー中で銀塩水溶液と混合する。本発明の方法において特別なゼラチンを使用する場合は、好ましくは核形成ペプタイザーの最大で80%までは先に規定した{111}優先吸着性のある特別なゼラチンであり、核形成ペプタイザーの残り少なくとも20%は通常のゼラチンからなる。
【0031】
ポリマー化合物がポリペプチドである場合は、それは好ましくはカルボキシ末端のアミノ酸としてアルギニン、リジン、ヒドロキシリジン及びヒスチジンから選択されたアミノ酸を含む。この場合は、核形成ステップ及び好ましくは熟成ステップも、好ましくはpH6以上、より好ましくは7より高いpH、最も好ましくはpH約8〜11で行う。11より高いpHも適用できるが、ポリペプチドの加水分解が起こる可能性があるのであまり好ましくない。
【0032】
ポリペプチドのC末端ではなくN末端側にある単一のヒスチジン、アルギニン又はリジンは所望の効果をそれほどは持っていない。C末端カルボキシル基の存在が、平板状粒子の{111}面へのポリペプチドの優先吸着にとって重要と思われる。しかし、本発明のポリペプチドは、遊離のアミノ基を含む(ヒスチジン、アルギニン又はリジンのように)C末端アミノ酸を有する構造には限られない。ポリペプチドのC末端側又はN末端側はまた、2種のアミノ酸を互いの近くに含んでいてもよく、一方のアミノ酸(A)はアミン基を含む残基を有し、もう一方のアミノ酸(B)はカルボキシル基を含む残基を有する。これらのアミノ酸は、好ましくはアミノ酸5個より多く、より好ましくはアミノ酸4個より多く、さらに好ましくはアミノ酸2個より多く、最も好ましくは1個より多く離れていてはならない。ポリペプチドの両末端側はまた、2個以上のアミノ酸「A」及び/又は「B」を含むことができる。
このような構造には、たとえば次のようなものがある。
His−Asp−ゼラチン、His−Gly−Asp−ゼラチン(C又はN末端側)、
Arg−Gly−Glu−Pro−His−Asp−ゼラチン、
Lys−Asp−ゼラチン−Glu−Arg、
His−Asp−ゼラチン−Glu−pro−Arg
【0033】
核形成ステップは、アミノ酸「A」がアルギニン又はリジンであるポリペプチドの存在下で、好ましくはpH7以上、より好ましくはpH8以上、さらに好ましくはpH約8〜11で行う。
【0034】
好都合には、この化合物を核形成ステップにおいて銀1モル当たり約0.01〜0.2モル、好ましくは銀1モル当たり0.05〜0.1モルの量で存在させる。
【0035】
本発明の方法に使用するのに好ましい低分子量ゼラチン様ポリマーは、天然ゼラチン、又は酸化ゼラチン、フタル化ゼラチン、トリメリット化ゼラチン、ピロメリット化ゼラチンのような修飾天然ゼラチンを、ポリペプチド鎖中のリジン又はアルギニンに隣接するアミノ酸を切るトリプシンのような特定の酵素で消化することによって調製できる。他の特定酵素としては、アクロシン、トリプターゼ、リジル、エンドペプチダーゼ、ベノビンAB、トリプシン、及びペプチジル−リジンメタロエンドペプチダーゼを含む群から選択すればよい。
【0036】
低分子量ゼラチン様ポリマーはまた、欧州特許第1,014,176号、米国特許第5,773,249号及び米国特許第5,496,712号に記載されているように、合成的方法によって又は組換え技術を用いても調製できる。
【0037】
{111}面への優先吸着性は吸着パラメーターで表すことができ、このパラメーターは実施例1において詳しく説明する方法によって計算される。このパラメーターで表した本発明のゼラチン様化合物の優先吸着性は、好ましくは−3未満、より好ましくは−4未満、最も好ましくは−6未満である。
【0038】
ゼラチンをトリプシンで十分に加水分解すると分子量が6.4キロダルトンでカルボキシ末端アルギニン又はリジンを有し{111}平板状粒子の{111}面への優先吸着性をもつポリペプチドが得られる。
【0039】
さらに、ヒスチジン、リジン、ヒドロキシリジン又はアルギニンを含む追加のアミノ酸或いはポリアミノ酸をポリペプチドに化学的に架橋結合させることができることも想定されている。The Practice of Peptide synthesis, M. Bodansky, A. Bodansky, Springer-Verlag, Berlin 1984 及びSolid Phase Peptide synthesis, J. M. Steward, J. D. Young, San Francisco, W. H. Freeman and Company, 1989に方法が記載されている。
【0040】
このようにしてゼラチン様ポリペプチド中に存在するアミノ酸のアミンに結合された追加のアミノ酸は、それ自身がさらに(ポリ)アミノ酸の架橋結合に利用できる2つの第一級アミンをもつことができる。このような追加の架橋結合サイトをもたらす構造は、スペーサーと呼ばれ、この場合ではゼラチン様ポリマーの第一級アミンに結合できる官能基をもちかつ自身も少なくとも2個の遊離の第一級アミンを有する。こうしたスペーサーのもう1つの例はデンドライトである。
【0041】
遊離のカルボキシル基の存在が、単分散{111}平板状ハロゲン化銀結晶の形成に有利であることが見出された。アミノ末端位にアルギニン又はリジンを有するゼラチンは、アミノ末端領域に遊離のカルボキシル基が導入されるような方式で化学修飾できることがある。
【0042】
核形成後、非双晶、単独双晶、及び非平行多重双晶の核は、熟成工程ステップ中に物理熟成によって溶解し、平行多重双晶の核だけは溶解しない。この熟成工程の後、補充のゼラチンを加え、次に可溶性銀塩及び可溶性ハロゲン化物を加えることによって粒子を成長させる。補充ゼラチンとしては、普通のゼラチン或いはアミノ基をたとえばフタル酸、トリメリット酸又はピロメリット酸で修飾したゼラチンが使用できる。
【0043】
粒子の成長に影響を与えるもう1つの好都合な方法は、銀及びハロゲン化物の供給を、あらかじめ別に調製したハロゲン化銀の微小粒子又は同時に別の容器で調製したハロゲン化銀の微小粒子を加えることによって行うことである。
【0044】
粒子成長ステップにおいては、反応溶液の温度、pH,バインダー含有量及びpBr、並びに銀イオン及びハロゲンイオンの供給速度を調節して最適化することも重要である。
【0045】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤を形成するためには、臭化銀、塩臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀及び塩ヨウ臭化銀のどれでも使用できる。しかし、ヨウ臭化銀又は塩ヨウ臭化銀の使用が好ましい。乳剤粒子がヨウ化物又は塩化物を含む面をもつ場合は、これらの面は粒子内部に均一に分布していてもよく、或いは不均一に分布していてもよい。チオシアン酸銀、硫化銀、セレン化銀、炭酸銀、リン酸銀、有機酸銀塩などの他の銀塩が別の粒子として存在してもよく、或いはハロゲン化銀粒子の成分として存在してもよい。
【0046】
乳剤中の臭素化物含有量は、全ハロゲン化物量の少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%である。
【0047】
本発明の乳剤中の適当なヨウ化物含有量は、全ハロゲン化物量の1〜20モル%、好ましくは2〜15モル%、より好ましくは3〜10モル%である。ヨウ化物含有量が1モル%より低いと、粒子が色素吸着を強化し固有感度を増大させる効果を得ることが難しくなるので望ましくない。ヨウ化物含有量が20モル%より高いと、一般に現像速度を低下させるのでやはり望ましくない。
【0048】
{111}平板状ハロゲン化銀結晶は、米国特許第6,337,177号に記載されているように、エピタキシャルに成長したゲスト結晶を有するホスト結晶でよい。本発明のハロゲン化銀平板状粒子は、それぞれの内部に少なくとも1種の写真的に有用な金属イオン又は錯体(以後、「金属(錯体)イオン」と称する)を有することが望ましい。
【0049】
「写真的に有用な金属(錯体)イオン」という用語は、感光性ハロゲン化銀乳剤の写真特性を改善する目的でハロゲン化銀粒子に加えるドーパントを意味する。ドーパントとして加えられる金属(錯体)イオンは、ハロゲン化銀結晶中において電子又は正孔の一時的又は永久的なトラップとして機能し、感度及びコントラストの向上、相反則特性の改善及び圧力による損傷に対する耐性の改善などの有益な効果を生み出す。本発明の乳剤にドーピングするために使われる金属イオンの適当な例は、鉄、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、クロム、及びバナジウムなどの第一族〜第三族遷移金属、及びガリウム、インジウム、タリウム、鉛などの両性金属である。乳剤粒子をドーピングするときは、これらの金属イオンは錯塩又は単一塩の形で用いる。錯イオンの場合は、ハロゲンイオン及びシアニドイオンを配位子としてもつ6配位のハロゲノ錯体及びシアノ錯体を用いるのが有利である。これらの錯体に加えて、ニトロシル(NO)、チオニトロシル(NS)、カルボニル(CO)、イソシアナート(NCO)、チオシアナート(SCN)、セレノシアナート(SeCN)、テルロシアナート(TeCN)、2原子窒素(N2)、アジド(N3)、ビピリジル、シクロペンタジエニル、1,2−ジチオレニル及びイミダゾリルなどの有機配位子も用いることができる。
ドーパントとしての錯体に使用できるその他の配位子の例には、2座配位子(たとえばビピリジル)、3座配位子(たとえばジエチレントリアミン)、4座配位子(たとえばトリエチレントリアミン)6座配位子(たとえばエチレンジアミン四酢酸)などの多座配位子が含まれる。配位数は、好ましくは6であるが、4でもよい。さらに、米国特許第5,457,021号、第5,360,712号及び第5,462,849号に開示されている有機配位子も有利に使用できる。加えて、米国特許第5,024,931号に開示されているように、金属イオンをオリゴマーとして組み込むことも望ましい。
【0050】
金属(錯体)イオンをハロゲン化銀粒子に組み込まれる際に重要なことは、金属(錯体)イオンがハロゲン化銀粒子の格子に組み込まれるサイズであることである。さらに、ハロゲン化銀をドーピングするためには、金属(錯体)イオンと銀イオン又はハロゲンイオンからの生成物が、ハロゲン化銀と共沈することが不可欠である。共沈のためには、金属(錯体)イオンと銀イオン又はハロゲンイオンから構成される生成物のpKsp(溶解度積の逆数の常用対数)が、ハロゲン化銀のpKsp(塩化銀9.8、臭化銀12.3、ヨウ化銀16.1)と同じレベルにあることが必要である。したがって、金属(錯体)イオンと銀イオン又はハロゲンイオンから構成される化合物のpKspは8〜20であることが望ましい。
【0051】
ハロゲン化銀粒子をドーピングする上述の金属(錯体)イオンの量は、一般にハロゲン化銀1モル当たり10−9〜10−2モルである。詳しく述べると、増感ステップにおいて一時的で浅い電子トラップを提供する金属錯体ではハロゲン化銀1モル当たり10−6〜10−2モルの範囲で使用し、一方増感ステップにおいて深い電子トラップを提供する金属錯体ではハロゲン化銀1モル当たり10−9〜10−5モルの範囲で使用することが望ましい。
【0052】
乳剤中の金属(錯体)イオンの含有量は、原子吸光分析、分極ゼーマン分光分析又はICP分析によって確認できる。金属錯体イオン中の配位子は赤外吸光(特にFT−IR)によって確認できる。
【0053】
ドーパントとしての金属(錯体)イオンが組み込まれるのは、ハロゲン化銀粒子の表面中又は内部中心部、或いは米国特許第5,132,203号及び第4,997,751号が開示しているように金属イオンが露出しない程度の深さしかない非常に浅い表面殻(いわゆる表面下)である。言い換えれば、ドーパントの位置は所期の目的に応じて選択される。2種以上の金属イオンをドーパントとして使用できることもでき、それらは同じ殻にあってもよく別々の殻にあってもよい。これらの化合物の添加は、あらかじめ金属塩溶液を粒子形成に用いるハロゲン水溶液又は銀塩水溶液に加えることによって行えばよく、或いは金属塩溶液を直接粒子形成系に加えることによって行ってもよい。さらに、金属イオンをドープしたハロゲン化銀乳剤微粒子を加えてもよい。金属塩を水、メタノール又はアセトンなどの適当な溶媒に溶解する際には、ハロゲン化水素(たとえばHCl、HBr)チオシアン酸又はその塩、或いはハロゲン化アルカリ(たとえばKCl、NaCl、KBr、NaBr)の水溶液を添加することによって溶液を安定化させることが望ましい。同じ観点から、所期の目的に応じて酸又はアルカリを添加することもまた有益である。
【0054】
乳剤粒子をシアノ錯体の金属イオンでドーピングすると、ゼラチンとシアノ錯体の反応によってシアンが形成して金増感が抑制されることがある。そのような場合には、特開平6−308653号が開示しているように、シアノ錯体を、ゼラチンとシアノ錯体の反応を抑制する機能をもつ化合物と組み合わせて使用することが望ましい。より詳しくは、乳剤粒子をシアノ錯体の金属イオンでドーピングする工程又はその後の工程を、ゼラチンと配位結合を形成することのできる、亜鉛イオンなどの金属イオンの存在下で実行することが望ましい。
【0055】
前述の本発明のハロゲン化銀乳剤及びそれらと共に使用できるその他のハロゲン化銀乳剤の調製方法を以下に例示する。
【0056】
本発明において使用するハロゲン化銀粒子は、基本的には知られている方法、すなわちたとえばP. Glafkides, Chimie et Physique Photographique, Paul Montel (1967), G. F. Dufin, Photographic Emulsion Chemistry, The Focal Press (1966), V.L. Zelikman, et al., Making and Coating Photographic Emulsion, The Focal Press (1964) に記載されている方法にしたがって調製できる。より具体的には、乳剤は、さまざまなpH領域、たとえば酸性、中性又はアンモニア性の工程で調製できる。反応物質溶液を供給する方法に関しては、シングルジェット法、ダブルジェット法及びこれらの組み合わせのどれでも利用できる。さらに、反応中のpAg値が所期の値に維持されるように反応物質溶液の添加をコントロールする、いわゆるコントロールダブルジェット法が有利に利用できる。またさらに、反応中のpH値を一定に保つ方法を利用してもよい。粒子形成の際には、反応系の温度、pH又はpAg値を変えることによってハロゲン化銀の溶解性を制御する方法が実行可能であるが、チオエーテル、チオ尿素、又はチオシアネートなどのハロゲン化銀の溶媒を加えることもできる。これらの事例は、たとえば特公昭47−11386号(ここで用いる「JP−B」という用語は、審査済みの日本特許公告公報を意味する)及び特開昭53−144319号に記載されている。
【0057】
本発明において使用するハロゲン化銀粒子の調製は、一般に硝酸銀などの水溶性銀塩の溶液及びハロゲン化アルカリなどの水溶性ハロゲン化物の溶液をゼラチンなどの水溶性バインダーの水溶液中へ、諸条件を制御しながら供給することによって実施する。核形成段階においては、バインダーは、{111}面への優先吸着性を有するポリマーである。ハロゲン化銀粒子の形成後は、過剰の水溶性塩類の除去を実行することが望ましい。過剰の水溶性塩類はヌードル洗浄方法を用いて除去することができるが、この方法はハロゲン化銀粒子を含むゼラチン溶液をゲル化すること、細長片状に切断すること、及び冷水で水溶性塩類を洗い出すことを含む。或いは凝集法を用いて過剰の水溶性塩類を除去することもでき、この方法では、多価アニオンを含む無機塩(たとえば硫酸ナトリウム)、アニオン界面活性剤、アニオン性ポリマー(たとえばポリスチレンスルホン酸ナトリウム)又はゼラチン誘導体(たとえば脂肪族アシル化ゼラチン、芳香族アシル化ゼラチン、芳香族カルバモイル化ゼラチン)などの凝集剤を加えてゼラチンの凝集を起こさせ、それによって過剰の塩類を除去する。これらの方法のうち、凝集法が過剰の塩を急速に除去できるので好ましい。
【0058】
一般的に、本発明において使用するハロゲン化銀乳剤は、知られている増感法を単独で又は種々の組み合わせで用いて化学増感することが望ましい。化学増感は,調製したハロゲン化銀粒子に高感度、露光条件安定性及び貯蔵安定性を付与する一助となる。有利に使用できる化学増感法は、硫黄、セレン又はテルルの化合物を使用するカルコゲン増感法である。本発明で使える増感剤の例には、ハロゲン化銀乳剤に加えたときに先に挙げたカルコゲン元素を放出して銀カルコゲニドを形成できる化合物が含まれる。こうした増感剤は、感度の向上及びカブリの抑制という点から、組み合わせて使うことが望ましい。加えて、金、白金、イリジウム又は同様のものを用いる貴金属増感を利用することも望ましい。特に、塩化金酸を単独又はチオシアネートイオンなどの金に配位結合できるイオンと組み合わせて用いる金増感は、増感効果が高いので望ましい。さらに、金増感とカルコゲン増感を組み合わせて用いることによって高感度が得られる。
【0059】
もう1つの有利に使用できる増感法は、いわゆる還元増感法であり、この方法は粒子形成の間に中程度の還元力をもつ化合物を使うことによって還元された銀核を導入するもので、それによって感度が上昇する。さらに、化学増感の際に芳香族アルキニルアミン化合物を添加する還元増感法を使うと好都合である。
【0060】
化学増感を実行する際には、ハロゲン化銀粒子に吸着し得るさまざまな化合物を添加することによって系の反応性を調節することも望ましい。反応性を調節するには、カルコゲン増感及び金増感の前に、含窒素複素環化合物、メルカプト化合物、又はシアニン色素やメロシアニン色素などの増感色素を添加する方法を利用することが特に望ましい。化学増感に関する適当な反応条件は、所期の目的によって異なる。具体的には、温度は30°〜95℃、好ましくは40°〜75℃;pHは、5.0〜11.0、好ましくは5.5〜8.5、pAgは、6.0〜10.5、好ましくは6.5〜9.8である。化学増感の技術は、たとえば特開平3−110555号、特開平5−241267号、特開昭62−253159号、特開平5−45833号及び特開昭62−40446号に記載されている。化学増感ステップにおいては、粒子面にエピタキシャル突起部を形成させることが望ましい。
【0061】
本発明で使用する感光性ハロゲン化銀乳剤は、所望の波長領域における感度を得るためにいわゆる分光増感を施すことが望ましい。特に、実物に忠実な色を再現することが目的のカラー写真材料には、青、緑、赤それぞれの光に感光性をもつ感光層が組み込まれる。これらの色に対する感光性は、ハロゲン化銀をいわゆる分光増感色素を用いて分光的に増感することによって付与する。そうした分光増感色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、錯体シアニン色素、錯体メロシアニン色素、ホロポーラー色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素及びヘミオキソノール色素が含まれる。これらの色素の例が米国特許第4,617,257号、特開昭59−180550号、特開昭64−13546、特開平5−45828号、特開平5−45834号その他に開示されている。それらの増感色素は、単独又は2種以上の組み合わせで使用する。色素の組合せを利用する目的は、分光感度の波長分布を調節すること又は超増感効果を得ることである。色素の超増感組合せは、個々の色素によって達成される感度の和よりも著しく大きい感度を達成することができる。さらにまた、それ自体ではハロゲン化銀乳剤を分光増感しないか又は可視領域の光を吸収しないある種の色素との組み合わせで超増感効果を示すことのできる化合物を利用することも望ましい。そうした超増感化合物にはジアミノスチルベン化合物が含まれる。その例は、米国特許第3,615,641号、特開昭63−23145号その他に開示されている。それらの分光増感色素及び超増感化合物をハロゲン化銀乳剤に添加するのは、乳剤作成のどの段階でもよい。具体的には、それらを化学増感された乳剤に添加するのは、その乳剤を用いて塗布溶液を調製するときでもよく、或いはそれらを添加するのは化学増感の最後、途中又は前でもよく、或いは添加は粒子形成の完了から脱塩の前までの間、粒子形成の間又は粒子形成の前でもよい。これらの添加方法は単独で利用してもよく、又は2つ以上の方法の組み合わせを利用してもよい。高感度を達成するためには、化学増感より前のステップでの添加が効果的である。分光増感色素及び超増感化合物はそれぞれ、乳剤粒子の形とサイズ及びそれらによって付与しようとする特性に応じて広い範囲から選択した量で添加することができる。しかし、一般には添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり10−8〜10−1モルの範囲、好ましくは10−5〜10−2の範囲である。それらの化合物は、メタノール又はフッ素化アルコールなどの有機溶媒に溶解させ、或いは界面活性剤及びゼラチンと共に水に分散させてからハロゲン化銀乳剤に添加する。
【0062】
本発明において使用されるハロゲン化銀乳剤は、カブリ(fogging)防止すなわち貯蔵中のハイトニング(heightening)安定性を目的として幅広い種類の安定剤を含むことができる。安定剤の適当な例には、アザインデン、トリアゾール、テトラゾール、プリンなどの含窒素複素環化合物、並びにメルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール、メルカプトイミダゾール、メルカプトチアジアゾールなどのメルカプト化合物が含まれる。これらの化合物の詳細は、T. H. James, The Theory of the Photographic Process, 396-399, Macmillan (1977) 及びその中で引用されている参考文献に記載されている。それらのカブリ防止剤のうちで、少なくとも4個の炭素原子を含むアルキル基及び2個以上の芳香族基を置換基としてもつメルカプトアゾールが本発明で用いるのに好ましい。そのようなカブリ防止剤は、ハロゲン化銀乳剤中に乳剤作成のどの段階で添加してもよい。具体的には、それらは化学増感の完了から塗布溶液作成開始までの時間に添加してもよく、化学増感の最後、途中又は前でもよく、或いは粒子形成の完了から脱塩の前までの間、粒子形成の間又は粒子形成の前でもよい。これらの添加方法は単独で利用してもよく、又は2つ以上の方法の組み合わせを利用してもよい。それらのカブリ防止剤は、乳剤粒子のハロゲン化物組成に応じて広い範囲から選択した量で添加することができる。しかし、一般には添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり10−6〜10−1モルの範囲、好ましくは10−5〜10−2モルの範囲である。
【0063】
本発明において使用できる前述の写真添加剤は、米国特許第6,337,177号15〜16列に記載されている。
【0064】
平板状結晶は、米国特許第6,337,177号に記載されているような、エピタキシャルに成長したゲスト結晶を有するホスト結晶でよい。
【0065】
本発明の{111}平板状粒子は、粒子ごとに少なくとも2つの双面を持ち、かつ三角形又は六辺形であってその角は角張っていることもあり丸いこともある。粒子が六辺形の場合は、互いに向かい合う側面の各組は互いに平行な外面をもつ。
【0066】
本発明の{111}平板状粒子中の双面距離は、所期の目的に応じて定めればよい。たとえば、米国特許第5,219,720号で開示されているように、それが最大0.012μになるように制御することができ、或いは特開平5−249585号で開示されているように、(111)主面間の距離と双面間隔との比が、少なくとも0.015μとなるように制御できる。
【0067】
本発明の{111}平板状ハロゲン化銀粒子を含むハロゲン化銀乳剤において、{111}平板状粒子は、投影面積に基づいて乳剤中の全粒子の100〜80%、好ましくは100〜90%、特に好ましくは100〜95%を占める。{111}平板状粒子の全面積が全粒子の全投影面積の80%より少ない場合は、{111}平板状粒子の利点(速度/粒度比及びシャープネスの改善)を十分に活用することができない。
【0068】
{111}平板状ハロゲン化銀粒子を含む本発明の乳剤において、近接した側面の比(最長側面/最短側面)が1.5〜1の範囲である六辺形{111}平板状粒子が、投影面積に基づいて乳剤中の全粒子の100〜50%、好ましくは100〜70%、特に好ましくは100〜80%を占めていることが望ましい。近接した側面の比が1.2〜1の範囲である六辺形{111}平板状粒子が、投影面積に基づいて乳剤中の全粒子の100〜50%、好ましくは100〜70%、特に好ましくは100〜80%を占めていることがより望ましい。六辺形粒子以外の{111}平板状粒子との混合は、粒子の均一性を欠くので望ましくない。
【0069】
{111}平板状結晶の平均粒子厚さは、0.05〜0.2μ、好ましくは0.05〜0.15μであることが望ましい。ここで用いる平均粒子厚さという用語は、乳剤中の全{111}平板状粒子の厚さの値の算術平均を指す。平均粒子厚さが0.05μより薄い乳剤粒子を調製することは困難である。平均粒子厚さが0.2μより厚い乳剤粒子は望ましくない。
【0070】
本発明の{111}平板状粒子の適当な平均投影面積直径は、0.8〜4μ、好ましくは1〜3.5μ、特に好ましくは1.2〜3μである。ここで用いる「平均投影面積直径」という用語は、乳剤中の全{111}平板状粒子の投影面積直径値の算術平均を指す。0.8μより小さい平均投影面積直径は、本発明の効果を達成することが困難であり望ましくない。また、4μより大きい平均投影面積直径も、圧力による損傷に対する耐性を悪化させるので望ましくない。
【0071】
各ハロゲン化銀粒子の投影面積直径/厚さ比は、アスペクト比と呼ばれる。より詳しくは、アスペクト比は、各ハロゲン化銀粒子の投影面積と同じ面積をもつ円の直径を粒子の厚さで割って得た値である。平均アスペクト比を測定する方法のひとつの例として、レプリカ法が知られており、ハロゲン化銀粒子の透過電子顕微鏡写真を撮り、それによって各粒子の投影面積と同じ面積をもつ円の直径(投影面積直径)及び各粒子の厚さを求める。この方法では、厚さはレプリカの影の長さから計算する。
【0072】
{111}平板状ハロゲン化銀粒子を含む本発明の乳剤においては、4〜50の平均アスペクト比をもつ{111}平板状粒子が、投影面積に基づいて乳剤中の全ハロゲン化銀粒子の100〜80%を占めることが望ましい。本発明において使用することがより望ましい乳剤においては、6〜50のアスペクト比をもつ{111}平板状粒子が投影面積に基づいて乳剤中の全ハロゲン化銀粒子の100〜80%を占める。特に本発明にとって有利であるのは、8〜50のアスペクト比をもつ{111}平板状粒子が投影面積に基づいて乳剤中の全ハロゲン化銀粒子の100〜80%を占めることである。
【0073】
さらにまた、本発明の乳剤中の全{111}平板状ハロゲン化銀粒子として適当な平均アスペクト比は4〜40、好ましくは6〜40、より好ましくは12〜35である。平均アスペクト比という用語は、乳剤中の全{111}平板状粒子のアスペクト比の値の算術平均を指す。平均粒子厚さ、平均アスペクト比及び単分散度は、所期の目的に応じて前記のそれぞれの範囲から選択できるが、本発明にとっては、薄い厚さと高いアスペクト比をもつ単分散{111}平板状粒子を使うことが有利である。
【実施例1】
【0074】
[実施例1A]
{111}優先吸着性の測定
ポリマー化合物が優先的に吸着する表面は、立方体及び八面体結晶面へのポリマー化合物の吸着を、たとえばT. Tani, J. Imag. Sc, 1985, vol 29,165に記載されているクベルカ−ムンク法を用いて定量的に測定することによって決定する。
【0075】
実験条件
1.{111}面におけるポリマー化合物の吸着
使用する乳剤は、平均粒子サイズが0.70μの立方体臭化銀乳剤及び平均粒子サイズが0.55μの八面体臭化銀乳剤である。両方の臭化銀乳剤中に存在するゼラチンは、ゼラチンと粒子面との相互作用を弱めるために酸化したゼラチンである。25.0gの乳剤を、温度40℃で攪拌されている容器に加えた。ポリマー化合物の4%溶液150.0mlを、pH9に保ちながら加えた。次に、1分間隔で15回、それぞれ6.4マイクロモルの3,3’−ビス(4−スルホブチル)−9−メチルーチアカルボシアニドを含む色素溶液1.00mlを添加し、各添加の後で反射型分光計を用いて400〜700nmの反射率スペクトルを記録した。
【0076】
立方体乳剤を用いた実験では、593nmにあるD帯の反射率を測定した。15の反射率スペクトルの593nmにおける反射率の値を合計してサンプルに対するR593及び参照に対するR593refを得た。ポリマー化合物の{100}面への吸着、「A(100)」は、次式によって計算した数値で表される。
(100)=((R593/R593ref−1*100
{100}面への吸着性の値が小さい場合は、試験したポリマー溶液は色素の{100}面への吸着を妨げないが、値が大きい場合は、試験したポリマーは色素の吸着を妨げることができた。
【0077】
2.ポリマー化合物の{111}面における吸着
これらの測定においては、8面体乳剤を使用し、620nmにあるJ帯での表面色素の反射率を測定した。15の反射率スペクトルの620nmにおける反射率の値を合計してサンプルに対するR620及び参照に対するR620refを得た。{111}面への吸着性「A(111)」は、次式によって計算した。
(111)=((R620/R620ref−1*40
【0078】
3.優先吸着性の数値
優先吸着性「S」は
S=A{100}−A{111}
として計算した。
【0079】
pH=9で測定した種々のゼラチンの優先吸着性を表1に列挙した。
【0080】
【表1】


[実施例1B]
【0081】
単分散性パラメーターRDAの測定
単分散性は、分布半値幅(ナノメートル単位)と平均アスペクト比との比であるRDAとして表わす。分布幅は、円盤型光透過式遠心沈降法により、CPS Instruments Inc.のDC 20.000型を使用して求める。1gの結晶乳剤を水55g及びエタノール5gに溶解する。この混合物に1(重量)%の界面活性剤溶液5ml及び0.05(重量)%のプロナーゼ溶液を加える。この混合物を45℃で10分間保温する。注入容量は0.05mlである。グラディエントのために0〜8%の蔗糖溶液20ml及び純粋なデカン1mlを使用する。測定中に円盤に加える速度は、3000rpmである。参照サイズとして1.19μのPVCラテックス球を使用した。
【0082】
アスペクト比は、個々の{111}平板状粒子の表面積が最大となる領域の直径をその粒子の厚さで割って得た値である。ここで用いる「直径」という語は、等価円直径(ECD)であり、粒子の投影面積に等しい面積をもつ円の直径を意味し、顕微鏡又は電子顕微鏡による観察を通じて求められる。したがって、8以上のアスペクト比は、その円の直径が粒子の厚さの8倍位以上であることを意味する。単分散性は、RDAで表され、分布半値幅(ナノメートル単位)と平均アスペクト比の比である。
【実施例2】
【0083】
比較例
{111}平板状臭化銀粒子乳剤を下記のように調製した。
攪拌された反応容器に、水1200ml、ゼラチン1.2g及び臭化カリウム1.0gの溶液を入れた。溶液のpHは、NaOHで9.5に調節し、溶液の温度は40℃に保った。この溶液に硝酸銀の0.47M溶液及び200kD(キロダルトン)の石灰処理骨ゼラチン1.2%を含む0.82M臭化カリウム溶液を同一の添加速度50ml/minで加えた。添加は50秒後に同時に停止した。温度を70℃に上げた。40分間の熟成後、酸化していない石灰処理骨ゼラチンを加えてゼラチン濃度を22.5重量%に上げた。このゼラチンと共に酸を加えてpHを5.0に低下させた。次に、全量で1.5モルの硝酸銀を2回の成長段階に分けて加えた。2回の成長段階の間に加えた臭化カリウムの量は、pBrが2.10〜2.30のものであった。すべての添加の添加速度は、成長段階の間に核の再形成が起こらないようなものであった。塩及びゼラチンの過剰分を取り除くために粒子を洗浄した。洗浄後に、乳剤にゼラチン65gを加え、乳剤を6℃で貯蔵した。得られた乳剤は、平均厚さが0.141μ、平均ECDが1.56μの{111}平板状粒子を含んでいた。半値幅は243nmであり、その結果変動係数(RDA)は22.1となった。
【実施例3】
【0084】
比較例
{111}平板状臭化銀粒子乳剤を実施例2と同様に、ただし臭化カリウム溶液中の200kDの石灰処理骨ゼラチンを、アルカリ加水分解によって調製しペプチド結合がランダムに開裂した30kDの石灰処理骨ゼラチンで置き換えて調製した。得られた乳剤は、平均厚さが0.134μ、平均ECDが1.68μの{111}平板状粒子粒子を含んでいた。半値幅は235nmであり、その結果変動係数(RDA)は18.8となった。より低い分子量から予想されるように変動係数はいくらか改善された。
【実施例4】
【0085】
比較例
{111}平板状臭化銀粒子乳剤を実施例2と同様に、ただし臭化カリウム溶液中の200kDの石灰処理骨ゼラチンを、30kDの酸化された石灰処理骨ゼラチンで置き換えて調製したが、前記酸化の結果ゼラチン1g当たりのメチオニン含有量は5マイクロモル未満になっていた。得られた乳剤は、平均厚さが0.118μ、平均ECDが1.75μの{111}平板状粒子を含んでいた。半値幅は275nmであり、その結果変動係数(RDA)は18.5となり、変動はさらにいくらか改善された。
【実施例5】
【0086】
本発明
{111}平板状臭化銀粒子乳剤を実施例2と同様に、ただし臭化カリウム溶液中の200kDの石灰処理骨ゼラチンを、6.4kDの石灰処理骨ゼラチンで置き換えて調製した。この6.4kDゼラチンは、石灰処理骨ゼラチンをトリプシンで酵素加水分解することによって得た。トリプシンは、Arg−X及びLys−X結合を選択的に開裂させ、C末端アミノ酸がリジン又はアルギニンであるゼラチンを生じる。得られた乳剤は、平均厚さが0.123μ、平均ECDが1.81μの{111}平板状粒子を含んでいた。半値幅は212nmであり、その結果変動係数(RDA)は14.4となり、変動の顕著な改善が見られた。
【実施例6】
【0087】
本発明
{111}平板状臭化銀粒子乳剤を実施例2と同様に、ただし臭化カリウム溶液中に、トリプシンで加水分解して得た6.4kDの本発明の石灰処理骨ゼラチンを1.2重量%の濃度で調製して加えた。これに加えて、攪拌された反応容器に最初の硝酸銀及び臭化カリウムを加える前に本発明の6.4kDのゼラチンを1.2g加えた。得られた乳剤は、平均厚さが0.120μ、平均ECDが1.78μの{111}平板状粒子を含んでいた。半値幅は228nmであり、その結果変動係数(RDA)は15.4となり、依然として変動の顕著な改善は見られたが、本発明のゼラチンをすべて臭化カリウムと共に加えるよりは少なかった。
【実施例7】
【0088】
本発明
{111}平板状臭化銀粒子乳剤を実施例2と同様に、ただし臭化カリウム溶液中の200kDの石灰処理骨ゼラチンを、6.4kDの酸化された石灰処理骨ゼラチンで置き換えて調製した。この6.4kDゼラチンは、石灰処理骨ゼラチンをトリプシンで酵素加水分解することによって得た。トリプシンは、Arg−X及びLys−X結合を選択的に開裂させ、C末端アミノ酸がリジン又はアルギニンであるゼラチンを生じる。酸化の結果ゼラチン1g当たりのメチオニン含有量は4マイクロモル未満になった。得られた乳剤は、平均厚さが0.128μ、平均ECDが1.68μの{111}平板状粒子を含んでいた。半値幅は220nmであり、その結果変動係数(RDA)は16.8となり、変動の顕著な改善が見られた。酸化されたゼラチンに適用した場合には本発明のゼラチンの変動に及ぼす有益な効果はより少ないことは注目すべきである。それでも、酸化された本発明のゼラチンでさえも明らかに変動を改善する。
【実施例8】
【0089】
比較例
{111}平板状臭化銀粒子乳剤を実施例2と同様に、ただし臭化カリウム溶液中の200kDの石灰処理骨ゼラチンを、6.6kDの石灰処理骨ゼラチンで置き換えて調製した。この6.6kDゼラチンは、石灰処理骨ゼラチンをプロナーゼで酵素加水分解することによって得た。プロナーゼは、Ala−X、Gly−X、Leu−X、Ill−X、Pro−X又はVal−Xペプチド結合を非選択的に開裂させ、開裂のわずか数%だけしかN末端アミノ酸としてのリジン、アルギニン又はヒスチジンをもたらさないゼラチンが得られる。得られた乳剤は、平均厚さが0.136μ、平均ECDが1.71μの{111}平板状粒子を含んでいた。半値幅は232nmであり、その結果変動係数(RDA)は18.5となり、酵素加水分解はランダムであってはならず、トリプシンが行うような特定の部位を開裂する加水分解が必要であることが確認された。
【実施例9】
【0090】
本発明
ゼラチンの調製
30kDの石灰処理骨ゼラチン(実施例3)に対してヒスチジン基をゼラチンのカルボキシル基にカップリングした。酸処理骨ゼラチン(30kD)及び64ミリモルのL−ヒスチジンメチルエステルを精製水400mlに溶解した。この溶液にジシクロヘキシルカルボジイミド27ミリモルのTHF溶液を一滴ずつ加えた。2時間の反応後、混合物を冷却してろ過した。その後、反応混合物のpHを上げてL−ヒスチジンのエステル保護基を除去し、さらにゼラチン溶液を透析によって精製した。The Practise of Peptide synthesis, M. Bodansky, A. Bodansky, Springer-Verlag, Berlin 1984 及びSolid Phase Peptide synthesis, p143も参照されたい。
【0091】
{111}平板状臭化銀粒子乳剤を実施例2と同様に、ただし臭化カリウム溶液中の200kDの石灰処理骨ゼラチンを、L−ヒスチジンをカップリングした30kDの酸処理骨ゼラチンで置き換えて調製した。得られた乳剤は、平均厚さが0.133μ、平均ECDが1.67μの{111}平板状粒子を含んでおり、変動係数(ピーク幅/AR(アスペクト比))は16.7で、さらにいくらか変動の改善が見られた。
【0092】
表2に、前記の実験結果の概要を示す。半値幅と平均アスペクト比の比を計算すれば本発明の有益な効果がはっきり分かる。
【0093】
これを行うのは、RDAがアスペクト比に依存するからである。アスペクト比が高いほど単分散性が悪い。実験2〜9で生成した{111}平板状粒子の容積測定で求めた粒子サイズは810〜825nmであった。
【0094】
【表2】


【0095】
前記の概要から、(111)結晶面への優先吸着性をもつポリマーの添加が、薄い{111}平板状ハロゲン化銀粒子乳剤の所望のアスペクト比を保ちながら単分散性を顕著に改善することがはっきり分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
{111}結晶面への優先吸着性が−3以下の水溶性ポリマー化合物の存在下で、銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液を合わせて{111}平板状ハロゲン化銀粒子を形成する、{111}平板状ハロゲン化銀乳剤の製造方法であって、前記優先吸着性が、T. Tani J. Imag. Sc 29 (1985)vol 29,165 に記載の修正クベルカ−ムンク(Kubelka−Munk)法により前記水溶性ポリマー化合物の存在下でpH=9で測定して求めた{111}結晶面への吸着に対する値を{100}結晶面への吸着に対する値から差し引いて求められる方法。
【請求項2】
前記水溶性ポリマー化合物が、核形成ステップにおいて存在する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記核形成ステップが、6未満のpHにおいて行われる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記核形成が、6以上のpHにおいて行われる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記核形成ステップが、前記{111}結晶面への優先吸着性が−6以下の化合物の存在下で行われる請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記核形成ステップが、1種のペプチドである化合物の存在下で行われる請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記核形成ステップが、天然ゼラチン、合成ゼラチン、修飾ゼラチン及び組替えゼラチンから選択された化合物の存在下で行われる請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ゼラチンが、50キロダルトン未満の平均分子量をもつ請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ゼラチンが、5〜25キロダルトンの分子量をもつ請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記水溶性ポリマー化合物が、核形成ステップにおいて銀塩及びハロゲン塩と同時に加えられる請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記核形成ステップが、カルボキシ末端アミノ酸としてアルギニン、リジン、ヒドロキシリジン及びヒスチジンから選択した1種のアミノ酸を含むポリペプチドである化合物の存在下で行われる請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記核形成ステップが、ポリペプチドの少なくとも一方の末端側がアミンを含む残基をもつ1個のアミノ酸「A」及びカルボキシルを含む残基をもつ1個のアミノ酸「B」を含み、前記アミノ酸「A」と「B」は互いに最大でアミノ酸4個分、好ましくは最大でアミノ酸2個分、最も好ましくは最大でアミノ酸1個分離れているポリペプチドである化合物の存在下で行われる請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記核形成ステップが、アミノ酸「A」がアルギニン又はリジンであるポリペプチドの存在下でpH7以上、好ましくはpH8以上、より好ましくはpH約8〜11で行われる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記核形成ステップが、カルボキシ末端のアミノ酸としてアルギニン又はリジンをもつポリペプチドの存在下でpH7以上、好ましくはpH8以上、より好ましくはpH約8〜11で行われる請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記核形成ステップにおいて、前記水溶性ポリマー化合物が銀1モル当たり約0.01〜0.2モル、好ましくは銀1モル当たり0.05〜0.1モルの量で存在する請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載の方法で得られ、前記ハロゲン化銀粒子の全投影面積の少なくとも60%が少なくとも50%の臭化銀含有量を有する{111}平板状ハロゲン化銀粒子である{111}平板状ハロゲン化銀乳剤。
【請求項17】
{111}平板状ハロゲン化銀粒子が6〜40の平均アスペクト比及び0.2μより小さく0.05μより大きい厚さをもつ請求項16に記載の{111}平板状ハロゲン化銀乳剤。
【請求項18】
RDAで表した単分散性が18より小さく、好ましくは16より小さい請求項16又は17に記載の{111}平板状ハロゲン化銀乳剤。
【請求項19】
請求項16から18のいずれかに記載の{111}平板状ハロゲン化銀乳剤を含む少なくとも1層を支持体上に含む写真材料。


【公表番号】特表2006−511847(P2006−511847A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502627(P2005−502627)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/NL2003/000914
【国際公開番号】WO2004/057420
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(505232782)フジ フォト フィルム ビー.ブイ. (50)
【Fターム(参考)】