説明

改善された分離

【課題】全血又は体液から少なくとも1の成分を選択的に結合し、分離するための新しい方法であって、炎症性過程と関連した問題を解消できる方法を提供する。
【解決手段】全血又は体液から、少なくとも1の成分を選択的に結合し且つ除去するための方法であって、それによって血液又は体液が硬質一体型分離マトリックスをそこから排除されることなく、通過させられる。該マトリックスは、5ミクロン〜500ミクロンの範囲の孔サイズ並びに0.5cm〜10mの範囲の活性表面を有する、多孔質構造を有し、該表面はそのような成分を結合可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全血又は体液からの成分の除去における改善に関する。より特別には、本発明は、血液又は体液が硬質一体型分離マトリックスを、そこから排除されることなく通過させられる、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
敗血症のような炎症性の過程は、ヒトにおける罹病率及び死亡率の主要な原因である。毎年、アメリカだけで、400000〜500000の敗血症の症状発生によって、100000〜175000人が死亡すると推定される。ドイツにおいては、集中治療室に置かれた患者の19%に達する敗血症の割合が注目された。敗血症はまた、非外傷性の病気の患者の間で集中治療室での死亡原因の第一位となった。過去10年間の重い感染症の治療における主な進歩にもかかわらず、発病率及び敗血症による死亡率は、上昇を続けている。
【0003】
感染する生物の型により特徴付けられた、敗血症の3の主要な型がある。グラム陰性敗血症が最も一般的である。これらの感染症の大部分は、エシェリシア・コリ(Esherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)及びシュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)によって引き起こされる。スタフィロコッカス(staphylococci)及びストレプトコッカス(streptococci)のようなグラム陽性病原体は、2番目に主要な敗血症の原因である。第3の主要な群は、カビを含む。カビ感染は、敗血症の原因の中でも比較的小さなパーセンテージを構成するが、それらは高い死亡率をもたらす。
【0004】
敗血症における確立したメカニズムは、脂肪酸基、リン酸基、及び炭化水素鎖から成るグラム陰性細菌の毒性成分、すなわちリポ多糖細胞壁構造(LPS、エンドドキシン)、に関連している。
【0005】
局所的に産生されるサイトカインの放出のような、エンドドキシンに対する宿主応答のいくつかは、同定されている。しかしながら、大規模な刺激の場合には、末梢血へ溢れ出て、器官不全の誘導のような潜在的な有害効果が生じる。
【0006】
敗血症ショックの主要なメディエーターは、主要壊死因子(TNF−α)、インターロイキン1(IL−1)及びインターロイキン17(IL−17)であって、それらは単球及びマクロファージによって放出される。それらは相乗的に作用して、循環虚脱及び多臓器不全に導く生理学的変化のカスケードを引き起こす。実際、高濃度のTNF−αは敗血症の症状及び結果を擬態することができる。
【0007】
通常は、エンドトキシンは、小腸の内腔内に保持される。たとえば、心肺バイパスの間には、内臓虚血又は組織酸素代謝失調の存在は、粘膜障壁及び腸内腔から門脈循環へのエンドドキシンの転位(すなわち、小腸から循環系へのエンドドキシンの輸送)の破壊を起こす。
【0008】
多様な型の抗生物質は、感染の予防及び治療のために広く使用される。しかしながら、多様な細菌種の間で、抗生物質耐性が多くの一般的に使用される抗生物質に対して生じた。これは、生物が耐性を発生させるための一定の選択圧下にある、病院における常在菌叢について特に真実である。さらに、病院においては、潜在的な感染患者の高い密度及びスタッフからスタッフへ、そしてスタッフから患者への接触が抗生物質耐性生物の蔓延を容易にする。使用される抗生物質は、最も経済的、最も安全かつ最も投与が容易であり、一定の感染を抑制するのに充分広いスペクトルを有さないかもしれない。アレルギー、他の薬物との相互作用を引き起こし、そして(肝臓、腎臓などの)主要器官に直接の損傷を与えることによって、抗生物質は程度の異なる毒性を有することができる。多くの抗生物質はまた、正常の腸管内菌叢を変化させ、それは、下痢及び栄養吸収不良をおこすことができる。
【0009】
ポリミキシンBのような一定の抗生物質は、エンドトキシンの作用を中和することが知られている。この抗生物質は、エンドトキシンのリピドA部分に結合し、その活性を中和する。ポリミキシンは、その毒性によって日常的に使用されることはない。それは、腎臓の定常的な監督及びモニタリング下にある患者にのみ与えられる。
【0010】
さらに、細菌成分に対する能動免疫に固有のいくつかの制限を克服するために、エンドトキシンに結合する抗体を産生するための多様な技術が使用された。多数の抗体が細菌によるヒトの免疫化によって調製された。より一致する治療的抗体調製物を開発するために、非常に多数のLPS反応性のモノクローナル抗体が開発された。不運なことに、臨床的研究は有益な結果とならなかった。しかしながら、これらの試験が敗血症の症状発症後のヒトにおいて実施されたことは、注目すべきである。敗血症後に投与された抗−エンドトキシン抗体治療では、僅かの利益しかもたらさない、と広く考えられている。それはなぜなら、抗体はエンドトキシンによって開始された炎症性カスケードを逆行させることができないからである。
【0011】
特開平06−022633(特許文献1)においては、抗脂質抗体のための吸収剤が示され、それは、水不溶性の多孔質材料上に固定化された陰イオン性官能基を有する化合物を含む。上記多孔質材料は、アガロース、セルロース、デキストラン、ポリアクリルアミド、ガラス、シリカゲル、またはスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーで作製された硬質ポリマーであることができ、そして上記多孔質材料は分離装置内のばらばらの粒子の層として充填される。
【0012】
血液から成分を除去しようとする試みにおいて、異なる吸着剤材料が調製された。固相支持媒体上に固定化されたリガンドを含む、エンドトキシン除去吸着剤が、国際公開WO01/23413(特許文献2)中に示される。好ましい支持媒体は、ビーズの形態である。分離装置中に充填された場合、固相支持媒体はビーズの間の血液細胞通過を可能とするのに充分に多孔質である。
【0013】
国際公開WO00/62836(特許文献3)において、吸着材料は、血液からβ−2マクログロブリンを除去するのに適した大きさと構造を有する。この文献の吸着剤材料は、タンパク質及び血小板の吸着を防ぐように改変されたビーズ及び孔の表面を有する、マクロ多孔質合成ポリマーであることができる。しかしながら、上記ポリマーの各球形ビーズは、例えば、ビーズを充填したカラムにおいて得られる、約500gの負荷で機械的に破壊された。そのような負荷は、カラム上への顕著な圧力低下を引き起こす。
【0014】
圧力低下を軽減するために、吸収剤が欧州特許第464872号(特許文献4)において調製され、それは、10〜10ダルトンの排除限界分子量を有する、水不溶性の多孔質硬質ゲル粒子を含む。ゲル層は、体外循環治療における血液又は血漿からのリポタンパク質の選択的除去に使用される。
【0015】
同様に、国際公開WO01/23413(特許文献2)においては、エンドトキシン除去のための多孔質支持体材料は、容器中へ入れることのできるビーズであり、該ビーズは、カラム又はフィルター層へ充填されるときに、ビーズ間に不可欠な空間を提供するのに充分な大きさを有する。多孔質支持体材料はまた、圧力低下を最小限にするために、精密濾過用の中空糸又は平板膜であることもできる。
【0016】
欧州特許第424698号(特許文献5)においては、生体高分子を除去するための吸着剤が示され、それは、50〜150ミクロンの粒子サイズ、少なくとも10ダルトンの排除限界分子量を有する多孔質球形粒子担体から成る。ポリミキシンBは粒子に結合され、そして続いて体外における全血からのエンドトキシン除去に使用されるカートリッジに充填される。体外における血液からの毒性成分の除去のためのこれらの慣用システムにおいては、容器又はカートリッジが最初に液体で満たされ、そして吸着性の多孔質ビーズが後から導入される。米国特許第6408894号(特許文献6)において、ビーズのより均一な分配及びより密な充填を提供する方法が示される。該方法は、液体及びビーズの混合物から、そして容器から液体が搾り出されるような方法で、上記混合物を容器に強制的に供給することを含む。
【0017】
したがって、例えば、上記の国際公開WO00/62836(特許文献3)又は国際公開WO01/23413(特許文献2)中に記載されたように、血液細胞の除去は血漿中に存在する成分の除去を容易にする。しかしながら、そのような技術は、そのどちらも生物不適合性によって細胞の有害な活性化の危険を高めることに寄与し得るところの2の分離ステップを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平06−022633
【特許文献2】国際公開WO01/23413
【特許文献3】国際公開WO00/62836
【特許文献4】欧州特許第464872号
【特許文献5】欧州特許第424698号
【特許文献6】米国特許第6408894号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、全血又は体液から少なくとも1の成分を選択的に結合し、且つ分離するための新しい方法であって、それによって炎症性過程と関連した上記の問題が排除される方法を提供することである。
【0020】
他の目的は、それによって、血液を血漿と血液細胞に分離する必要のない、全血に対する選択的結合及び分離を達成することのできる方法を提供することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、サイズに依存しない、すなわち血液成分が排除の手段によらずに分離される、方法を提供することである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、それによって分離装置中で、時間にともなう顕著な圧力低下をおこさずに高い流速が得られることのできるような方法を提供することでる。
【0023】
さらなる目的は、血管への損傷を防ぐために、低いライン圧を維持する一方、非常に高い流速においても分離装置内で血液にせん断力を与えないような方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
これらの目的は、請求項1の特徴を有する本発明によって達成されることができる。本発明の他の利点は、請求項21及びサブクレームによって明らかとなるであろう。
【0025】
本発明によれば、全血又は体液からの少なくとも1の成分の選択的結合及び分離のための方法が提供される。血液又は体液は硬質一体型分離マトリックスを、そこから排除されることなく通過させられ、ここで、該マトリックスは、5ミクロン〜500ミクロンの範囲の孔サイズ及び1又はいくつかの成分を結合することのできる0.5cm〜10mの範囲の活性表面を有する多孔質構造を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の方法を説明するための模式図である。
【図2】(a)〜(d)は何れも本発明の方法の実施に使用し得る装置の実施態様を示す模式図である。
【図3】(a)〜(d)は何れも本発明の方法の実施に使用し得る装置の別の実施態様を示す模式図である。
【図4】実施例においてエンドトキシン及びサイトカインの除去に用いた試験系を示す模式図である。
【図5】実施例で測定された全血中のTNF−α量を示すグラフである。
【図6】実施例で測定されたエンドトキシン量の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の好ましい実施態様において、該マトリックスはさらに、多孔質構造のコーティング及び/又は表面修飾によって導入された少なくとも1の官能基を含む。これによって、得られた活性表面は、単独で又はその非機能付加領域とともに、全血又は体液の少なくとも1の成分を選択的に結合することができる。除去される成分は、天然並びに非天然のものであることができ、すなわち、抗体のような特異的リガンドが成分に結合される。
【0028】
さらに、多孔質構造表面の直接的又は間接的な選択的変換によって得られた官能基は、さらにリガンドの固定化のために使用された。しかしながら、多孔質構造の官能基は、本発明においてそのままで使用されることができる。
【0029】
骨格のような多孔質構造の孔サイズ並びに表面は、全血の精製に関して本発明の方法の分離マトリックス中で使用されるために適合させられた。しかしながら、本発明の方法はまた、他の体液並びに水性溶液からの成分除去に使用されることもできる。いずれの成分又はいずれの溶媒も分離手順の間にマトリックスから排除されないということは、本発明の重要な側面である。
【0030】
本発明によれば、硬質一体型のマトリックスは、0.5cm〜10mの使用可能な表面を有するべきであり、マトリックス構造の密度は本発明の方法の実施を制限しない。
【0031】
この関係で、「硬質」という用語は、該マトリックスが、柔軟でなく、曲がったり又は屈することがなく、しかし少なくとも0.5バールの圧力に耐えることができるということを意味する。「一体型」という用語は、広い表面積を有する該マトリックスが完全な統一体であることを意味する。
【0032】
本発明の方法中のマトリックスの多孔質構造は、金属、無機酸化物、カーボン、ガラス、セラミック、合成ポリマー、及び/又は天然ポリマー或いはそれらの混合物から作られる。充分に定義された孔サイズ及び広い表面積を有する多孔質固体金属構造は、均一な孔サイズを作り出す、厳密に制御された焼結方法を用いて製造されることができる。
【0033】
マトリックスのための所望の孔サイズ及び広い表面積を有する、型成形又は押し出し成形された多孔質材料並びに多孔質構造として、異なるポリマーが製造された。それらはまた、フォームとしても製造された。例えば、イソシアネート及び多様な他の有機化合物から製造されたポリウレタンは、活性水素原子を有し、これはポリ付加物を製造するために使用された。この活性水素原子は、ポリアルコール、ポリアミンのような二機能又は多機能性化合物に由来することができる。水との反応は、特異的リガンドの共有結合による固定化のために使用された一級アミンを生じさせる。
【0034】
ステンレススチール、ニッケル、チタニウム、モネル、インコネル、ハステロイ及び他の特別な金属材料のような、広く多様な金属及び合金が使用された。表面積の広い無機酸化物、特別にはアルミナ及びジルコニア、もまた定められた孔構造を有するセラミック材料を製造するための同じ技術とともに利用された。
【0035】
ゼオライトなどのアモルファスシリカ、及びラバロック(溶岩石)のような天然の硬質材料もまた使用された。
【0036】
本発明の方法においてマトリックス材料として使用されることのできる、天然材料及びそれらの水素化物は、セルロースのようなポリサッカライド及び他の炭化水素ポリマー材料である。他の好適な天然ポリマー材料は、ポリアミノ酸、合成アミノ酸を含むポリアミノ酸、及び乳酸とのコポリマーである。
【0037】
この関係において、「ハイブリッド」という用語は、例えば好ましいポリサッカライド誘導体であるセルロースジアセテートなどの天然材料のような誘導体を包含する。
【0038】
本発明において使用されるマトリックスのための好適な合成ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、及びエチレンビニルアセテートコポリマーのようなポリオレフィン;ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、及びポリビニルピロリドンのようなビニルポリマー;ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−プロピレンコポリマーフッ化物、ポリクロロフルオロエチレン、ポリビニルフルオライド、及びポリビニリデンフルオライドのようなフッ素含有ポリマー;ポリメチルメタクリレート、シアノアクリレート、ポリアクリロニトリル、及びポリメタクリレートのようなポリアクリレート;ポリアクリルアミドのようなポリアミド;ポリエチレンイミンのようなポリイミド;ポリスチレン及びアクリロニトリル−ブタンジエン−スチレン−ポリマーのようなポリスチレン及びそのコポリマー;シリコンゴム;ポリエステル/エーテル;ポリカーボネート;ポリウレタン;ポリスルホネート;ポリグリコール;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドのようなポリアルキドオキサイド;並びにそれらのコポリマー又はハイブリッドである。
【0039】
好ましい実施態様において、少なくとも1の官能基が硬質一体型分離マトリックスの多孔質構造上へ導入された。官能基は異なる種類、すなわち、陰イオン性、陽イオン性又は非イオン性のタイプのものであることができる。多孔質構造の官能基は、ペプチド/タンパク質と胆汁酸(例えば、デオキシコール酸)、抗体とそれらの断片、並びに他の生体分子とエンドトキシン及び/又は炎症誘発性メディエーターとの選択的結合能を有する物質、のような物質の共有結合に使用された。
【0040】
表面修飾、すなわち、間接的な方法による表面への機能付加は、電着、電気蒸着、プラズマ化学沈着(plasma chemical deposition)、イオンプラズマ流からの沈着(deposition from anion plasma flow)、又は化学蒸着(例えば、プラズマ重合、プラズマにより促進された表面ポリマー沈着)の方法によって達成された。表面修飾法は、それ自体知られており、N. Inagaki, 1996, Technomic Publishing, Lancaster, USAの「プラズマ表面修飾及びプラズマ重合」中に見出される。異なる3次元マトリックス構造がこれらの方法によって処理され、非常に均一な活性表面の修飾が達成された。
【0041】
OH、NH、CN及びCOOHのような極性基による、アクリルの又はアリルの二重結合を有する二機能性モノマーの重合化が、高密度の官能基を有するプラズマポリマーを製造するために使用された。例えば、アリルアミンのようなアリル化合物のプラズマ環境において、無機的及び有機的表面への表面機能付加が行われた。
【0042】
それはNH、O、又はCOプラズマ環境における有機ポリマー表面に対しても可能であり、=NH、−NH、=CN、−OH、又は−COOHのいずれかの官能基を生じさせる。使用されたガスの他の例は本分野において周知である。
【0043】
プラズマ化学加工はまた、古典的な化学合成と組み合わされ、表面修飾のポリマー選択性が顕著に亢進された。1のアプローチは、共存するプラズマ官能基の化学的統一化がそれに直ちに続く、特異的なプラズマガスによる表面修飾の適用であった。
【0044】
官能基の導入の他の方法は、直接的機能付加、すなわちポリマー材料による表面のコーティング、による。この関係においては、合成又は天然ポリマーが表面積の広い金属、無機酸化物、カーボン、ガラス、セラミック、並びに他の好適な合成ポリマー、及び/又は天然ポリマー、或いはそれらの混合物上にコーティングされた。
【0045】
上記のポリマーの多く、特別にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンなどのような官能基を有さないもの、は、それらの表面特性を変化させるために、さらなる処理を必要とする。したがって、ポリマー表面の上記のようなプラズマ又はコロナ処理は、ヒドロキシル、カルボニル、カルボキシル、アミノ及びイミノ基などのような非常に独特の官能基を作り出し、それらは表面に共有結合で結合される。
【0046】
コーティングもまた、官能基を有するポリマー物質の吸着又は吸収によって達成された。そのような物質の例は、ポリリジン、ポリアルギニン、及びポリエチレンイミンである。
【0047】
例えば、プラズマ技術を用いることによって、多孔質表面上にポリエチレンイミン様の物質が得られた。全血又は体液からの少なくとも1の成分を選択的に結合し、且つ分離するための本発明の方法において、分離マトリックスが使用された場合、タンパク質様の血液成分の親水性並びに疎水性の領域は、所望の成分を除去するために加工された表面と相互作用することができる。機能付加の後、選択的結合及び分離のためのマトリックス表面が、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィンを含む場合、アミノ基の正の電荷は同様に静電気的相互作用に使用され、そして疎水性領域は疎水性相互作用のために使用される。このアプローチは、例えばリポポリサッカライドの異なる領域の選択的結合のための本発明の方法において使用される。
【0048】
例えば反応性のヒドロキシルを有するポリマー及び金属も、シラン処理によって機能付加されることができる。
【0049】
したがって、多様な異なる官能基が共有結合で表面積の広い多孔質マトリックス構造に結合された。直接的及び/又は間接的機能付加の後、多孔質構造は、異なる血液成分と相互作用することのできる、親水性並びに疎水性の領域を有することができる。したがって、着目の物質の特徴的性質は、本発明の方法によって使用される表面の製造時に利用される。
【0050】
好ましくは、活性表面の官能基は、スルフヒドリル、カルボキシレート、アミン、アルデヒド、ケトン、ヒドロキシル、ハロゲン、ヒドラジド、及び活性水素である。
【0051】
他の好ましい実施態様においては、リガンドが、表面積の広い多孔質構造の少なくとも1の官能基に共有結合で結合される。この関係において、リガンドは、全血又は体液から除去される成分に高い親和性を有する物質である。したがって、リガンドは、吸着特性及び結合効率を高めるために使用される。
【0052】
リガンドは、好ましくは組換えタンパク質であるタンパク質、ペプチド、抗体又はその断片、ポリサッカライドなどの炭化水素、ホルモン、抗酸化物質、糖タンパク質、リポタンパク質、脂質、ビタミンEなどの脂溶性ビタミン、胆汁酸、反応性色素、アラントイン、尿酸、又はポリミキシン、或いはそれらの組み合わせであることができる。
【0053】
好適な胆汁酸は、内因性の疎水性物質である、デオキシコール酸である。そのような胆汁酸は、直接的に、スペーサーを介して、又は大きな分子を介して官能基に結合されることができ、そして本発明の方法中におけるように、血液、体液及び水性溶液からエンドトキシンを除去するために使用される。
【0054】
この関係において、スペーサーは、リガンドを多孔質構造の表面に連結する、大きな又は小さな分子である。
【0055】
例えば、本発明の方法において、分離マトリックスの多孔質構造が付加されたアミン基を有するポリオレフィンを含む場合、この基はそこへ結合したアルブミンを有することができ、そして今度は、この大きな分子に結合した少なくとも1の胆汁酸部分を有することができる。
【0056】
したがって、本発明は、成分をそれを含む水溶液から除去するための、支持体上に固定された胆汁酸部分の新しい使用にも関する。好ましくは、胆汁酸部分は、デオキシコール酸部分である。
【0057】
したがって、胆汁酸部分を固定化するための好適な固体支持体は、硬質一体型分離マトリックスであって、5ミクロン〜500ミクロンの範囲、好ましくは70ミクロン〜170ミクロンの孔サイズ、及び0.5cm〜10mの範囲の活性表面を有するものである。
【0058】
また、好ましくは、本発明の方法中のマトリックスのリガンドは、アルブミン又は組み替え技術により製造されたアルブミンであって、血清アルブミン、ポリミキシンB(すなわち、疎水性構造上の荷電した基)、又はデオキシコール酸の代わりに使用されることのできるものである。
【0059】
したがって、リガンドは本発明の方法中のスペーサーとして作用することもできる。例えば、ヒト組み替えタンパク質又は他の大きな分子(例えば、ヒアルロン酸)を、除去される成分に特異的なリガンドを続いて結合させることを可能とする、多孔質構造に最初に共有結合で結合させることも可能であった。
【0060】
必要な場合には、クロスリンカーが、少なくとも1の官能基及びリガンドの間に共有結合で結合される。この関係において、クロスリンカーは、リガンドを支持体である多孔質構造に共有結合させる要素であり、該要素は、多孔質構造自身から離れたところにあるリガンドを連結する場合にはスペーサーである。そのような分子スペーサーは、本分野において周知である。それらは、リガンドへより良い有効性を提供することによって、結合され、且つ、全血又は体液から分離される成分への親和性を増加させるために、導入された。多孔質マトリックス構造表面の生物適合性もまた、これらの分子スペーサーの導入によって増加される。
【0061】
クロスリンカー/スペーサーは、ゼロ長のクロスリンカー単独で、又は介在性のクロスリンカーとともに含むことができ、得られた最終的な複合体は、クロスリンクされた物質へ構造を付加する化学物質によって一緒に結合されている。これらの介在性のクロスリンカーは、ホモ二機能性(例えば、ジアルデヒド)、ヘテロ二機能性(例えば、アミノ酸)の型又は三機能性クロスリンク型であることができる。
【0062】
スペーサーの主な目的は、使用される特異的リガンドのバイオアベイラビリティを増加させることである。
【0063】
スペーサーは、例えば、シラン、ジイソシアネート、グリコレート、ポリエチレングリコール、サクシニミジル試薬、ジヒドラジン、アジピン酸、ジアミン、アミノ酸、ポリ又はオリゴアミノ酸、ポリアミノ酸、ペプチド、或いはタンパク質であることができる。好ましくは、タンパク質はヒト組み替えタンパク質である。
【0064】
クロスリンカーの官能基は、いくつかの例によれば、アミノ基(Lys、Arg)と、スルフヒドリル基(Cys)と、又はカルボキシル(Asp、Glu)と反応するように設計される。
【0065】
反応基の化学との関係では、Bioconjugate Techniques, Greg T Hermanson, Academic Press, USA 1996を参考にした。
【0066】
したがって、活性多孔質マトリックス表面は、本発明の方法において例えば、エンドトキシンを単独で、又は多孔質構造の使用可能な非機能付加領域とともに除去することができる。活性表面はまた、アミノ酸、ポリペプチド及び抗体などの生体分子のような化学物質を、そのような特別な成分の除去を選択的に促進するために、共有結合によって固定化するための手段として使用されることもできる。
【0067】
全血又は体液からの少なくとも1の成分の選択的除去を意図する分離マトリックスは、一定の孔サイズ及び/又は意図される適用に依存する孔サイズ範囲を有する多孔質構造で作られることができる。好ましくは、多孔質構造は、血液細胞の通過を許容しなくてはならない。したがって、一定の型の血液細胞もまた、本発明の方法によって全血から除去されることができる。そのような細胞は、病気の細胞又は活性化された貪食細胞などの特異的な表面受容体を有する細胞であることができる。
【0068】
特別な適用のためには、金属構造は磁性を有することができる。磁性を有するマトリックスは、例えば、ポリエチレンなどのポリマーで焼結磁鉄鉱をコーティングすることによって得られることができる。そして、細胞の有効な除去は、磁性デキストラン鉄標識を有する抗体が血中の特異的な細胞に結合することを可能としつつ、実施されることができる。
【0069】
孔サイズは、細胞が損傷又は細胞が排除されることなく、高い流速が維持されるように、5ミクロン〜500ミクロン、好ましくは70ミクロン〜170ミクロン、最も好ましくは80ミクロン〜100ミクロンの範囲内であるべきである。したがって、本発明の方法によって達成される分離は、成分のいかなるサイズ分布にも基づくことはない。実際に、全血又は体液のすべての成分が、本発明の方法によって除去されることができる。
【0070】
1以上の一次的毒性エフェクター、すなわちエンドトキシン、の除去後、さらに二次的な毒性エフェクターが除去されることができる。二次的エフェクターはサイトカイン(例えば、TNF−α)、インターロイキン(例えば、IL−1)、活性酸素、及び窒素ラジカルなどであることができる。
【0071】
本発明の方法を実施する場合、1又は数個の分離マトリックスがハウジング内に保護され、該ハウジングはその適用に依存した多様な形状並びに多様な及び/又は異なる入り口及び出口を有することができる。そして、そのような装置はエンドトキシン除去及び/又はサイトカイン除去及び/又はサイトカインの中和に使用されることができる。これは、血液又は体液を、冠内、体側又は体外に提供された装置を、その中の該硬質一体型分離マトリックスから液体が排除されることなく通過するようにさせることによって達成される。その後、多孔質構造の活性表面、官能基及び/又はその上の特異的リガンドは、液体からの少なくとも1の成分を選択的に結合し、且つ分離する。該装置はまた、水性溶液からのエンドトキシンの除去のために有利に使用されることもできる。
【0072】
本発明の方法の重要な特徴は、敗血症ショックのすべての側面が予防手段を講じられることができる、すなわち、一次的並びに二次的毒性エフェクターが本発明の方法によって除去されることができる、ということである。
【0073】
本発明の方法の実施に関して図1を参照する。装置1はハウジング2を含み、ここで、該装置の該ハウジング(又はカートリッジ)は、全血、又は体液がポンプによって循環させられるところの閉じた循環中へ一体化されている。ハウジング2においては、少なくとも1の分離マトリックス5a、5b、…が配置され、それぞれが全血又は体液から1の成分を選択的に除去することを意図されている。ハウジング2は、入り口3及び出口4を備え、その位置は分離マトリックス及びハウジング内に適切な流れが得られる限り、重要ではない。好ましくは、ポンプは入り口3の上流に配置される。
【0074】
この方法で、顕著な圧力低下なしに5ml/時間〜6000ml/分の流速を維持する装置が得られる。体外適用された場合、非常に速い流速においても、ポンプからカニューレへの300mmHg以下のライン圧が得られる。
【0075】
硬質一体型分離マトリックスは、本発明の方法において使用されるための異なる形状に製造されることができる。例えば、それはディスク、ロッド、シリンダー、リング、球、管、中空管、平板、又は他の成型された形状に設計されることができる。
【0076】
各分離マトリックス内の流れがその空隙率に依存するために、血液成分又は体液成分と活性表面との接触時間は制御されることができる。さらに、所望の流れのグラジエントは、分離装置内の各分離マトリックスの空隙率及び構成を変えることによって該装置内で作り出されることができる。
【0077】
図2及び図3は、本発明の方法の実施に使用し得る装置の異なる模式的実施態様を示す。矢印は、個別の分離マトリックス及びそのためのハウジング内の血液又は体液の流れを示し、大きな矢印は小さな矢印よりも高い流速を表す。異なる構成のこれらの例において、1又は数種の成分を血液又は体液から除去するために、分離マトリックスは同じ又は多様な型の官能基又はリガンドを有するか、或いは有さず、同じ又は異なる空隙率を有することができる。
【0078】
分離マトリックスは、ハウジング内のいかなる液体又は成分のマトリックスへの流入も妨害されないこと、すなわちそこから排除されることのないことを確実にするために、好ましくは(それぞれが入り口3及び出口4を有する)ハウジングと一体化されている。図2において、ハウジング2内の分離マトリックス5の(a)及び(b)の例がしめされ、ここで、該マトリックスは異なる構成である。ハウジング2内の2の分離マトリックス5a、5bの例が図2(c)及び(d)に示される。図2(c)の装置において、適用された薄膜(applied skin)のような、分離マトリックス5aの外面上の不透過性のコーティング6が、装置に供給されたすべての物質がこのマトリックス全体を通過することを確実にする。一方、図2(d)の装置においては、供給された物質のいくらかは、分離マトリックス5bよりも分離マトリックス5a中での滞留時間が短く、そしてその逆も成り立つ。
【0079】
図3においては、各装置は数個の分離マトリックス5a〜5gを含む。図3(a)においては、仕切り壁7がマトリックス全体を通る流れを確実にする。分離マトリックスは、図3(b)及び(c)にそれぞれ示すように、それらの長軸方向に対して側方に又は交差して配置されることができる。図3(d)においては、装置は異なる大きさの分離マトリックスを含む。
【0080】
結論として、本発明の方法は冠内に、体側に、又は体外に適用された、或いは孤立した装置であって、それによって循環中の、好ましくは血中のエンドトキシン及び潜在的な有害前炎症性メディエーター、特別にはTNF−α、IL−1及びIL−17、を減少させることができるものとともに使用されることができる。エンドトキシンを他の水性溶液から選択的に除去することもまた可能である。該成分は、硬質一体型分離マトリックスの活性表面に吸着によって結合すると考えられる。
【実施例】
【0081】
本発明はここに、本発明を包含するように注意深く選ばれた以下の実施例を参照することによってさらに記載され、そして例解されるであろう。したがって、それらはどんな方法であっても、本発明を制限するものと解してはならない。
【0082】
表面修飾
実施例1
350ミクロンの空隙率及び10cmの活性表面を有する多孔質ポリエチレン(Porex Technologies, Germany)のマトリックス表面を、Oを使用したプラズマ化学蒸着(Plasma Science, USA, Type PS0350 Plasma Surface Treatment System)によって修飾した。
【0083】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のヒドロキシル基の形成をDyeテストによってアッセイし、その親水性を確認した。
【0084】
実施例2
100ミクロンの空隙率及び20cmの活性表面を有する多孔質ポリエチレン(Porex Technologies, Germany)のマトリックス表面を、Oを使用したプラズマ化学蒸着(Plasma Science, USA, Type PS0350 Plasma Surface Treatment System)によって修飾した。
【0085】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のカルボキシル基の形成及びその量を、ヒドロキサム酸へ変換することによって決定した。この関係において、Feigeletal.,; Microchemie 15:18, 1934に記載されたように、すべてのヒドロキサム酸が酸性溶液中、塩化鉄で赤又はバイオレット色を呈した。
【0086】
実施例3
170ミクロンの空隙率及び0.04mの活性表面を有する多孔質ポリエチレン(Porex Technologies, Germany)のマトリックス表面を、アリルアミンを使用したプラズマ重合(Plasma Science, USA, Type PS0350 Plasma Surface Treatment System)によって修飾した。
【0087】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上の一級アミンの量を、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)アッセイによって決定した。
【0088】
実施例4
70ミクロンの空隙率及び0.26mの活性表面を有する多孔質ポリエチレン(Porex Technologies, Germany)のマトリックス表面を、アクリル酸を使用したプラズマ重合(Plasma Science, USA, Type PS0350 Plasma Surface Treatment System)によって修飾した。
【0089】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のカルボキシル基の量を実施例2に記載の通りにアッセイした。
【0090】
実施例5
5ミクロンの空隙率及び0.9mの活性表面を有する多孔質ポリエチレン(Porex Technologies, Germany)のマトリックス表面を、NHを使用したプラズマ重合(Plasma Science, USA, Type PS0350 Plasma Surface Treatment System)によって修飾した。
【0091】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上の一級アミンの量を実施例3に記載の通りにアッセイした。
【0092】
実施例6
10ミクロンの空隙率及び100cmの活性表面を有する多孔質ポリテトラフルオロエチレン、PTFE(W. L. Gore & Associates Inc., USA)のマトリックス表面を、NHを使用したプラズマ化学蒸着(Plasma Science, USA, Type PS0350 Plasma Surface Treatment System)によって修飾した。
【0093】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上の一級アミンの量を実施例3に記載の通りにアッセイした。
【0094】
実施例7
10ミクロンの空隙率及び300cmの活性表面を有する多孔質ポリスチレン(Dow Chemical, USA)のマトリックス表面を、COを使用したプラズマ化学蒸着(Plasma Science, USA, Type PS0350 Plasma Surface Treatment System)によって修飾した。
【0095】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のカルボキシル基の量を実施例2に記載の通りにアッセイした。
【0096】
実施例8
80ミクロンの空隙率及び100cmの活性表面を有する多孔質ポリウレタン(Polymers Unlined, Sweden)のマトリックス表面を、アルデヒディックアルコキシシラン(Ardehydic Alkoxy Silane)製品番号(PSX1050, United Chemical Technologies Inc., USA)の95%エタノール中2%溶液を使用して修飾した。溶液のpHを酢酸でpH5.5に調節し、溶液をマトリックスを通して還流し、これを室温で一夜インキュベートし、その後0.9%生理食塩水で洗浄した。
【0097】
得られたマトリックスのアルデヒド機能性を、過酸化水素によるp−フェニレンジアミンの酸化の触媒による促進によって評価した。ここで、p−フェニレンジアミンは、酢酸溶液中過酸化水素で酸化され、Bandrowskiの塩基として知られている。
【0098】
実施例9
200ミクロンの空隙率及び0.5mの活性表面を有する多孔質シリコン(Nusil, France)のマトリックス表面を、アミン−シラン(製品番号0750, United Chemical Technologies Inc., USA)の95%エタノール中2%溶液を使用して修飾した。溶液をマトリックスを通して還流し、これを室温で一夜インキュベートし、最終的に0.9%生理食塩水で洗浄した。
【0099】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上の一級アミンの量を実施例3に記載の通りにアッセイした。
【0100】
共有結合によるコーティング
実施例10
ポリ−リジン(200mg)を10mlの50mM炭酸ナトリウム溶液に溶解し、そして100ミクロンの空隙率を有する多孔質ポリカーボネート(Milipore Plastics, USA)を該溶液に浸漬し、ポリ−リジンとポリカーボネートマトリックスの間に共有結合を得るために、4℃で24時間保持した。多孔質マトリックスを最終的に過剰の蒸留水で洗浄した。
【0101】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上の一級アミンの量を実施例3に記載の通りにアッセイした。
【0102】
実施例11
実施例4によって得られた多孔質ポリエチレンマトリックスを、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−p−トルエンスルホン酸塩(WCCM)(Aldrich)の水溶液で、閉じた回路中で、5ml/分の流速で6時間還流した。そして、それを水ですすぎ、最終的にポリエチレンイミン(Sigma)(10mg/ml、pH7.0)を加え、マトリックスを一夜インキュベートした。
【0103】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上の一級アミンの量を実施例3に記載の通りにアッセイした。
【0104】
実施例12
実施例3によって得られた多孔質ポリエチレンマトリックスを、1.0%グルタルジアルデヒドを使用して0.2Mリン酸緩衝液pH7.5中で結合させ、そして1ml/分の流速で室温で6時間還流した。その後、マトリックスをヒアルロン酸溶液(2mg/ml)とともに室温で16時間インキュベートする前に、緩衝液で洗浄した。過剰のヒアルロン酸を最終的にすすいだ。
【0105】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のヒアルロン酸含量を立証し、AlcianBlue(Sigma)で決定した。
【0106】
吸着によるコーティング
実施例13
70ミクロンの空隙率及び0.18mの活性表面を有する多孔質ポリエチレン(Porex Technologies, Germany)のマトリックスを、閉じた回路中、0.1MのHClで調節したpH3.3において、2mg/mlのヒアルロン酸溶液(BioHyos, Sweden, 12×10ダルトン)で1ml/分の流速、室温で16時間還流した。
【0107】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のヒアルロン酸含量を、実施例12に記載の通りに立証した。
【0108】
実施例14
70ミクロンの空隙率及び7.0mの活性表面を有する多孔質ポリエチレン(Porex Technologies, Germany)のマトリックスを、ガラスチューブ中に置いた。多孔質マトリックスをその中に有する該チューブを350mlの水中、0.13%ポリ−リジン(Sigma)溶液で満たし、0.1MのHClでpH3.3に調節した。そして、該ポリ−リジン溶液を、フィルターマトリックスを有するチューブを通して室温で5ml/分未満の流速で再循環させた。多孔質マトリックスを最終的に逆浸透水ですすいだ。
【0109】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上の一級アミンの量を実施例3に記載の通りにアッセイした。
【0110】
実施例15
70ミクロンの空隙率及び3.4mの活性表面を有する多孔質ポリエチレン(Porex Technologies, Germany)のマトリックスを、ガラスチューブ中に置いた。多孔質マトリックスをその中に有する該チューブを350mlの逆浸透水中、0.2%リコンブミン(登録商標)(組み換えHuman Serum Albumin, Hoechst-Pharma, USA)で満たし、0.1MのHClでpH3.3に調節した。
【0111】
そして、該リコンブミン(登録商標)溶液を、フィルターマトリックスを有するチューブを通して室温において、ポンプを用いた5ml/分未満の流速で再循環させた。多孔質マトリックスを最終的に逆浸透水ですすいだ。
【0112】
得られたマトリックスの多孔質表面上の表面タンパク質含量を、クマシーブリリアントブルー(BioRad,USA)を用いて決定した。
【0113】
実施例16
実施例4によって得られた多孔質ポリエチレンマトリックスを、10mg/mlのポリエチレンイミン(Sigma)溶液で、閉じた回路中、流速5ml/分で還流した。その後、該多孔質マトリックスを水ですすいだ。
【0114】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上の一級アミンの量を実施例3に記載の通りにアッセイした。
【0115】
リガンドの直接結合
実施例17
実施例5によって得られた多孔質ポリエチレンマトリックスを、WCCMの水性溶液を用いてデオキシコレート(DOC)と結合させた。1ミリモルのソディウムデオキシコレートを含む、水中、40%ジメチルホルムアミド(DMF)(Sigma)の溶液300mlを、0.3MのHClでpHをpH4.8に調節しつつ、攪拌しながら多孔質ポリカーボネートに加えた。DMF:水(1:.1.8)中、6mMのWCCM溶液をその後、10分間にわたって添加した。懸濁液を、0.3MのHClの添加によってpH4.8に維持した。
【0116】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のDOC含量をBileAcidkit(Sigma)を使用して決定した。
【0117】
実施例18
実施例3によって得られた多孔質ポリエチレンマトリックスを、0.15Mリン酸緩衝液、pH7.0中、12%のグルタルジアルデヒドを室温で24時間使用して、結合させた。マトリックスを0.15Mリン酸緩衝液で洗浄し、そして抗CD14抗体(DAKO, Denmark)を1mg/mlの濃度で添加し、8℃で24時間インキュベートした。続いて、安定な二級アミン結合を生成するために、シアノボロ水素化ナトリウムによる還元を実施した。
【0118】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上の抗体含量を、多孔質マトリックスとのインキュベーションの前後における抗体緩衝溶液についてのUV分光法によって間接的に決定した。
【0119】
実施例19
実施例8によって得られた多孔質ポリエチレンマトリックスを、0.15Mのリン酸緩衝液で洗浄し、そして組み替えIL−1受容体(Kineret, Amgen, USA)を1mg/mlの濃度で添加し、8℃で24時間インキュベートした。続いて、安定な二級アミン結合を生成するために、シアノボロ水素化ナトリウムによる還元を実施した。
【0120】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のIL−1受容体含量を、多孔質マトリックスとのインキュベーションの前後におけるIL−1受容体緩衝溶液についてのUV分光法によって間接的に決定した。
【0121】
実施例20
実施例5によって得られた多孔質ポリエチレンマトリックスを、0.2Mリン酸緩衝液、pH7.5及び1.0%のグルタルジアルデヒドを使用して、結合させた。マトリックスをこの溶液とともに3時間インキュベートした。リン酸緩衝液で洗浄後、マトリックスを再循環させながら、1mg/mlの硫酸ポリミキシンB(Sigma)溶液中で一夜インキュベートした。マトリックスを最終的に0.1Mのリン酸緩衝液、pH7.4で洗浄した。
【0122】
実施例21
実施例2によって得られた多孔質ポリエチレンマトリックスを、0.1Mの2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)緩衝液(Sigma)、pH4.8中、5mg/mlの濃度の組み替えTNF−α受容体(Enbrel, Wyeth, UK)と結合させた。30mg/mlのWCCMの水性溶液を添加し、マトリックスを8℃で一夜インキュベートした。マトリックスを最終的に0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4で洗浄した。
【0123】
実施例22
実施例3によって得られた多孔質ポリエチレンマトリックスを、0.2Mリン酸緩衝液、pH7.5中、1.0%のグルタルジアルデヒドを使用して、抗−ヒトTNF−α抗体(Sigma)と結合させた。マトリックスをTNF−α抗体緩衝溶液とともに3時間インキュベートした。リン酸緩衝液でマトリックスを洗浄後、1ml/分の流速で再循環させながら、リン酸緩衝液中、抗−ヒトTNF−α抗体(1mg/ml)を添加し、室温で6時間インキュベートした。マトリックスを最終的に0.1Mのリン酸緩衝液、pH7.4で洗浄した。
【0124】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のTHF−α受容体含量を、多孔質マトリックスとのインキュベーションの前後におけるTNF−α受容体緩衝溶液についてのUV分光法によって間接的に決定した。
【0125】
実施例23
実施例5で得られた多孔質ポリエチレンマトリックスを、0.1MのMES緩衝液、pH4.8中で、2mg/mlの濃度のヒト殺菌15mg/mlの濃度でこのマトリックスに添加し、8℃で一夜インキュベートした。マトリックスを最終的に0.1Mのリン酸緩衝液、pH7.4で洗浄した。
【0126】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のBPI含量を、多孔質マトリックスとのインキュベーションの前後におけるBPI緩衝溶液についてのUV分光法によって間接的に決定した。
【0127】
実施例24
実施例15によって得られた多孔質ポリエチレンマトリックスを、0.1MのMES緩衝液pH4.8中、1mg/mlの濃度のDOC溶液中でインキュベートした。その後、WCCMの水性溶液を添加し、マトリックスを8℃で一夜インキュベートした。マトリックスを最終的に0.1Mのリン酸緩衝液、pH7.4で洗浄した。
【0128】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のDOC含量を、実施例17の通りに決定した。
【0129】
リガンドとスペーサーの結合
実施例25
実施例3によって得られた多孔質ポリエチレンマトリックスを、室温で24時間、0.2Mリン酸緩衝液、pH7.0中、1.2%のグルタルジアルデヒドで活性化した。マトリックスを緩衝液で洗浄し、続いて0.2Mリン酸緩衝液、pH7.0中、50mg/mlの1,6−ジアミノヘキサン(DAH)(Sigma)中で24時間インキュベートした。その後、10mg/mlのシアノボロ水素化ナトリウム(Sigma)を溶液に添加した。多孔質マトリックスを0.1Mリン酸緩衝液で洗浄し、その後、0.1MのMES緩衝液、pH4.8中、DOC溶液(1mg/ml)中でインキュベートした。その後、WCCMの水性溶液を添加し、マトリックスを8℃で一夜インキュベートした。マトリックスを最終的に0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4で洗浄した。
【0130】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のDOC含量を、実施例17の通りに決定した。
【0131】
実施例26
実施例5によって得られた多孔質ポリエチレンマトリックスを、0.2Mリン酸緩衝液、pH7.0中、1.2%のグルタルジアルデヒドで、室温において24時間インキュベートした。マトリックスを緩衝液で洗浄し、その後、0.2Mリン酸緩衝液、pH7.4中、10mg/mlの濃度のアジピン酸ジヒドラジド(Aldrich)とともに24時間インキュベートした。その後、10mg/mlのシアノボロ水素化ナトリウム(Sigma)を溶液に添加した。
【0132】
多孔質マトリックスを0.1Mリン酸緩衝液で洗浄し、その後、0.1MのMES緩衝液、pH4.8中、1mg/mlの濃度のDOC溶液中でインキュベートした。その後、WCCMの水性溶液を添加し、マトリックスを8℃で一夜インキュベートした。マトリックスを最終的に0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4で洗浄した。
【0133】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のDOC含量を、実施例17の通りに決定した。
【0134】
実施例27
実施例10によって得られたマトリックスを、WCCMの水性溶液を使用してDOCと結合させた。1ミリモルのソディウムデオキシコレートを含む、300mlの40%DMF(Sigma)水溶液を、攪拌しながら、多孔質ポリカーボネートマトリックスに添加した。0.3MのHClで、懸濁液のpHを4.8に調節した。DMF:水(1:1.8)中、WCCMの6mM溶液を10分間にわたって添加し、3時間の間、周期的に0.3MのHClを添加することによって、pH4.8に維持した。そして、それを24時間、室温に保持した。
【0135】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のDOC含量を、実施例17の通りに決定した。
【0136】
実施例28
実施例14によって得られたマトリックスを、室温で24時間、0.2Mリン酸緩衝液、pH7.0中、1.2%のグルタルジアルデヒドで活性化し、その後過剰量の緩衝液ですすいだ。0.1Mの炭酸水素緩衝液、pH8.0中、10mg/mlの濃度のポリエチレンイミン(Sigma)を、多孔質マトリックス中へ導入し、マトリックスを溶液とともに16時間インキュベートした。
【0137】
その後、マトリックスを緩衝液で洗浄し、WCCMの水性溶液を使用して、DOCと結合させた。攪拌しながら、1ミリモルのソディウムデオキシコレートを含む、300mlの水中40%DMFを多孔質マトリックスに添加した。0.3MのHClで、懸濁液のpHを4.8に調節した。DMF:水(1:1.8)中、WCCMの6mM溶液を10分間にわたって添加し、3時間の間、周期的に0.3MのHClを添加することによって、pH4.8に維持した。そして、それを24時間、室温に保持した。
【0138】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のDOC含量を、実施例17の通りに決定した。
【0139】
実施例29
実施例3によって得られた多孔質ポリエチレンマトリックスを、室温で24時間、0.2Mリン酸緩衝液、pH7.0中、1.2%のグルタルジアルデヒドで活性化した。その後、マトリックスを緩衝液ですすぎ、0.2Mのリン酸緩衝液、pH7.0中、50mg/mlの濃度の1,6−ジアミノヘキサン(DAH)(Sigma)とともに室温で24時間インキュベートした。その後、多孔質マトリックスを0.1Mリン酸緩衝液で洗浄し、0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4中、10mg/mlの濃度のTNF−α受容体(Enbrel, Wyeth, UK)溶液中の懸濁液として、8℃で12時間インキュベートした。その後、10mg/mlの濃度で、シアノボロ水素化ナトリウム(Sigma)の溶液を懸濁液に添加した。マトリックスを最終的に0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4で洗浄した。
【0140】
得られたマトリックスの多孔質構造表面上のTNF−α受容体含量を、多孔質マトリックスとのインキュベーションの前後におけるTNF−α受容体緩衝溶液についてのUV分光法によって間接的に決定した。
【0141】
血液成分の選択的結合及び分離
全血を、0.02mの活性表面を有するディスク形状のマトリックスのフィルターを通過させることによって、細胞の分離を行った。
【0142】
エンドトキシン及びサイトカインの除去を、図4に示す試験系によって行った。2l以下の全血又は血漿を満たした容器8をポンプ9、圧力モニター10及び40以下のマトリックスプレートを有するフィルター装置1、すなわち70及び130ミクロンの間の空隙率を有する7m以下の活性表面が提供された、に接続した。
【0143】
細胞の分離
実施例30
特異的標識された抗CD45+抗体(MACS Antibody Microbeads; Miltenyi Biotec, Germany)を使用して、全血から白血球を分離するために、100ミクロンの空隙率を有する、ポリエチレン及び磁性フェライト(80%FeO、20%BaO、Porex Technologies, Germany)の混合物を含む磁性多孔質マトリックスを使用した。そのような抗体で白血球を磁性標識した後、血液を多孔質マトリックスを通過させた。
【0144】
自動セルカウンターを使用することによって、白血球の細胞計数をおこなった。そして、分離後、血液中の90%の白血球含量の減少を示した。
【0145】
実施例31
好中球及び単球としてヒト貪食血液細胞を分離するために、200ミクロンの空隙率及び0.2mの活性表面を有する、多孔質セルロースジアセテート(Tenite,EastmanChemicals,USA)のマトリックス表面を使用した。ヒト全血を、EDTA入り採血管(B&D、UK)中に集め、血液を多孔質マトリックスを通過させた。
【0146】
Turks試薬を使用してBurknerチャンバー中、顕微鏡下で示差的な細胞計数によって決定された、集めた血液における好中球及び単球の数の減少は、それぞれ50%及び35%であった。
【0147】
サイトカインの除去
実施例32
エンドトキシン除去基でコーティングした、実施例22によって得られたマトリックスを、図4に示す試験系において、多孔質ディスクとして使用した。
【0148】
グルタルジアルデヒドでTNF−αに対するポリクローナル抗体を多孔質ポリマー構造上のアミノ基に固定化した後、全血からのTNF−αの除去を調べた。LPSを血液に添加することによってTNF−αの生成を誘導し、活性化された全血を装置中の固定化フィルター上を還流させた。
【0149】
フィルターディスクによるTNF−αの取り込みを試験するために、酵素免疫アッセイ(Enzymimmuno-assay, Milenia Biotec GmbH, Germany)によって装置の前(黒菱形)と後(黒四角)において、全血中のTNF−α量を測定した(図5)。見てのとおり、全血における病理学的なTNF−α濃度の減少が得られた。
【0150】
エンドトキシンの除去
実施例33
実施例25によって得られたマトリックス、すなわちDOCをその上に有する、プラズマ修飾されたポリエチレンマトリックスは、ジアミノヘキサンのスペーサーを介してDOCをその上に固定化した。該スペーサーは、先ずグルタルジアルデヒドによってマトリックスに結合させ、そしてカルボジイミドを使用してデオキシコレートに結合させた。得られたマトリックスを、図4に示す系のフィルター装置中の多孔質ディスクとして使用した。
【0151】
血漿からのLPSの除去は、実施例32と同様に実施した。
【0152】
血漿中のLPS量を、Limulus Amebocyte Lysateassay(Endochrome-K, Charles River Laboratories Inc. USA)によって、フィルター装置を通る再循環中の異なる時間間隔において、バルクで測定した。
【0153】
エンドトキシン量(pg/ml)の減少の時間経過を図6に示す。2時間の再循環後、エンドトキシン負荷は、開始時の75pg/mlから、検出限界の15pg/mlまで減少した。
【0154】
実施例34
実施例3(非固定化アミノ基)及び実施例17(固定化DOC)によってそれぞれ得られたマトリックスを、多孔質ディスクとして使用し、それらのLPS除去能を比較した。LPSを蒸留水に溶解したという違い以外は、実施例33と同様の再循環試験を実施した。
【0155】
10mlの装置中の各フィルターを通過して、0.22ml/分の流速で再循環させつつ、水溶液からのLPS除去を図4に示すように決定した。
【0156】
以下の表1において、実施例3及び実施例17のそれぞれからの2のマトリックスによるLPS除去についての値を、最初のLPS濃度に対する120分の再循環後のLPS濃度のパーセンテージとして示す。
【0157】
【表1】

【0158】
タンパク質、LPS及びリガンドの間の競合的相互作用によって、プラズマ(実施例34)及び水(実施例35)の間の除去程度の相違を説明することができる。
【0159】
組み合わせの除去
実施例35
実施例19及び実施例29によって得られたマトリックスを、それぞれTNF−α及びIL−1の組み合わせの除去のために使用した。
【0160】
特異性の異なる2のマトリックスを、図4に示す2のフィルター装置の閉じたループの試験系内において、順に接続した。容器内の全血を37℃に保持し、LPS添加によって活性化し、そして系に導入した。サイトカインの分析のために、異なる時間間隔で、容器とフィルター出口において同時に、サンプリングを行った。
【0161】
結果は、どちらのマトリックスにおいても、TNF−αとIL−1βのそれぞれについて70%及び55%のサイトカイン濃度の減少を示した。
【0162】
以下の表2は、全血又は体液からの異なる成分の選択的結合及び分離のための本発明の方法の用途の広い適用性と顕著な有効性の概要を示す。この目的のためには、異なる多孔質マトリックスを、スペーサーを有するか又は有さないリガンドの結合のための支持体として使用した。したがって、固定化方法は、2の末端−NHを使用することによってグルタルジアルデヒドで、1の−NH2末端及び1の−OH又は−COOH末端においてそれぞれ1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドで実施した。アルデヒド又はアミノ基、抗体、酵素、ペプチド、タンパク質の特異的結合のためのアミノ機能性シラン結合試薬を介するシラン処理は、自然にアミン、ペプチド、及びタンパク質と反応するアルデヒド基もまた、使用した。
【0163】
【表2】

【0164】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
全血又は体液から、少なくとも1の成分を選択的に結合し、且つ分離するための方法であって、ここで、前記血液又は体液が、硬質一体型分離マトリックスを、そこから排除されることなく通過させられ、前記マトリックスが、5ミクロン〜500ミクロンの範囲の孔サイズ、並びに0.5cm〜10mの範囲の活性表面を有する多孔質構造を有し、前記少なくとも1の成分を結合可能である、前記方法。
【請求項2】
前記マトリックスがさらに、前記多孔質構造のコーティング及び/又は表面修飾によって導入された、少なくとも1の官能基を含み、前記少なくとも1の官能基が単独で又は前記多孔質構造の非機能付加領域とともに、前記少なくとも1の成分を結合可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マトリックスが、金属、無機酸化物、カーボン、ガラス、セラミック、合成ポリマー、及び/又は天然ポリマー、或いはそれらの混合物から作られる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属が磁性を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記合成又は天然ポリマーが、前記金属、表面積の広い無機酸化物、カーボン、ガラス、セラミック、合成ポリマー、及び/又は天然ポリマー、或いはそれらの混合物上にコーティングされた、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記合成ポリマーが、ポリオレフィン、ビニルポリマー、フッ素含有ポリマー、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミン、ポリスチレン及びそのコポリマー、シリコンゴム、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスルホネート、ポリグリコール、ポリエーテル、又はポリアルキドオキサイド、或いはそれらのコポリマー又はハイブリッドである、請求項3又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記天然ポリマーが、ポリサッカライド、ポリ炭化水素、ポリアミノ酸、ポリ乳酸、又はポリグリコール酸、或いはそれらのコポリマー又はハイブリッドである、請求項3又は5に記載の方法。
【請求項8】
前記表面修飾が、電着、電気蒸着、プラズマ化学沈着、イオンプラズマ流からの沈着、プラズマ重合、プラズマにより促進された表面ポリマー沈着、又は化学蒸着によって達成される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記多孔質構造が、焼結、押し出し成形、型成形、又は発泡法によって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1の官能基が、スルフヒドリル、カルボキシレート、アミン、アルデヒド、ケトン、ヒドロキシル、ハロゲン、ヒドラジド、又は活性水素である、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
リガンドが、前記少なくとも1の官能基に共有結合で結合されている、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記リガンドが、タンパク質、ペプチド、抗体又はそれらの断片、炭化水素、ポリサッカライド、ホルモン、抗酸化物質、糖タンパク質、リポタンパク質、脂質、脂溶性ビタミン、胆汁酸、反応性色素、アラントイン、尿酸、又はポリミキシン、或いはそれらの組み合わせである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
クロスリンカーが、前記少なくとも1の官能基及び前記リガンドの間に共有結合で結合されている、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記クロスリンカーが、ホモ二機能性、ヘテロ二機能性、又は三機能性のクロスリンカーである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記クロスリンカーが、スペーサーとして、前記少なくとも1の官能基及び前記リガンドの間に共有結合で結合されている、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記スペーサーが、シラン、ジイソシアネート、グリコレート、ポリエチレングリコール、サクシニミジル試薬、ジヒドラジン、アジピン酸、ジアミン、アミノ酸、オリゴアミノ酸、ポリアミノ酸、ペプチド、又はタンパク質である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記分離マトリックスが、ディスク、ロッド、シリンダー、リング、球、管、又は中空の管の形状を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法であって、以下の:
(1)ハウジング;
(2)入り口;
(3)出口;及び
(4)前記少なくとも1の分離マトリックス(5a、5b、…);
を含む装置中で実施される、前記方法。
【請求項19】
前記装置が数個の分離マトリックス(5a、5b、…)を有し、ここで、各分離マトリックスが、全血又は体液からの少なくとも1の成分を選択的且つ別々に除去する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記装置を通過する流速が、5ml/時間〜6000ml/分の範囲である、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
成分を、これを含む水性溶液から除去するための、支持体上に固定化された胆汁酸部分の使用。
【請求項22】
前記胆汁酸部分が、デオキシコール酸部分である、請求項21に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−83632(P2011−83632A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−293995(P2010−293995)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【分割の表示】特願2003−587542(P2003−587542)の分割
【原出願日】平成15年4月4日(2003.4.4)
【出願人】(504397055)アルテコ メディカル アクティエボラーグ (2)
【Fターム(参考)】