説明

改善した感覚受容性の特性を有するダイズ組成物および産生方法

本発明は、改善された感覚受容性の特性を持つダイズ肉組成物、および改善された感覚受容性の品質を持つダイズ豆の同定方法を提供する。また、本発明は、改善された感覚受容性の特性を持つダイズ組成物の製法、およびかかる特性を持つダイズ豆を生成する植物を創製する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、栄養および食品科学の分野に関する。特に、本発明は、減少した匂いのごとき改善された感覚受容性の特性を持つダイズ組成物ならびにその使用方法および生成方法に関する。
本願は、2004年7月9日に出願された米国仮特許出願シリアル番号60/521,846の優先権を主張し、その全開示を特にここに出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0002】
2.関連技術の記載
ダイズ豆は、ヒトに健康利益を供する高品質蛋白質を提供する(Hermansenら, 2003; Bazzanoら, 2001; 食品医薬品局, 1999)。ダイズ食品を作成するダイズ豆についての要求は、最近の30年間に期待された程には増大しなかった(WolfeおよびCowan, 1975ならびに SoySource, The United Soybean Board 1999)。これは、部分的には、ダイズ生成物に関連した好ましくない匂いのためである(McLeodおよびAmes, 1988ならびにFreese, 1999)。好ましくないダイズ豆の匂いは、「ビーニー」と一般的に記載される。ダイズ豆に豆味の特性を与える成分は、ダイズ豆の匂いで見出された種々の化合物の酵素の作用および多数のメカニズムにより生じたそれらのさらなる酸化に由来する、多数の揮発性の脂肪酸、脂肪族カルボニル、アミン、アルコ−ル、アルデヒド、およびフランを含む(WolfeおよびCowan, 1975; SessaおよびRackis, 1977)。
【0003】
Kobayashiら (1995)は、調理されていない豆乳の匂いは、(トランス,トランス)-2,4-ノナジエナール、(トランス,トランス)-2,4-デカジエナール、ヘキサナール、2-ペンチルフラン、1-オクテン-3-オン, (トランス)-2-ノネナールおよび(トランス,シス)-2,4-ノナジエナールであると結論した。熱処理された豆乳から抽出された最も強い匂いは、(トランス,トランス)-2,4-デカジエナールおよびn-ヘキサナールと同定された(Feng, Cornell University Ph.D. Dissertation, 2000)。(トランス,トランス)-2,4-デカジエナールの形成は、室温にてゆっくりした速度で生じる(Frankel, 1988)が、この反応は、高温条件下でのダイズ豆加工中の熱分解のために増強される(Lin, 2003)。匂いへの他の寄与するものは、(トランス)-4,5-エポキシ-(E)-2-デセナール (2,4−デカジエナールから形成)、(トランス,シス)-2,6-ノナジエナール、(トランス)-2-ノネナール、(トランス,トランス)-2,4-ノナジエナール、2,4 ノナジエナール、マルトール、バニリンおよびβ-ダマセノンであった。嗅覚検査によって検出するのに必要とされる最小のヘッドスペース(headspace)容積によって決定された豆乳における最も強力な匂い物質は、ヘキサナール、アセトアルデヒド、メタンチオール、三硫化ジメチルおよび2-ペンチルフランであった(Boatright, 2002)。
【0004】
ダイズ蛋白質単離体で最も強い匂い物質は、三硫化ジメチル、(トランス,トランス)-2,4-デカジエナール、2-ペンチルピリジン、(トランス,トランス)-2,4,-ノナジエナール、ヘキサナール、アセトフェノンおよび1-オクテン-3-オンと同定された(BoatrightおよびLei, 1999)。メタンチオールおよび三硫化ジメチルの形成のメカニズムは、脂質酸化により形成されたフリーラジカル(LeiおよびBoatright, 2003)およびシステインシンターゼのごとき酵素の生成物(Boatright, 2003, poster 45C-26, IFT annual meeting, Chicago)を含む。
【0005】
2−ペンチルピリジンの形成は、室温での2,4−デカジエナールおよびアンモニア間の自然反応から生じる。遊離アミノ酸アルギニン、リジン、アスパラギンおよびグルタミンは、恐らくダイズ蛋白質処理中にアンモニアを提供することにより2−ペンチルピリジン形成を増加させる(ZhouおよびBoatright, 2000; Kimら, 1996)。また、遊離アミノ酸は他の好ましくない生成物を形成しかねない。アスパラギンおよびグルコ−スの高温曝露の結果、アクリルアミドを形成する(Jungら, 2003)。調理温度に曝露されたアルギニンは、突然変異誘発物質を形成しかねない(Knizeら, 1994)。遊離アルギニンはβ−コングリシニンおよびグリシニンの双方を欠くダイズ豆において富化された(Takahashiら, 2003)。
【0006】
一旦形成されると、匂いは、蛋白質と会合するために、ダイズ成分から除去することが難しい(FranzenおよびKinsella, 1974)。また、ダイズ食品に添加された自然な風味の質は、いくらかの匂いがダイズ蛋白質に結合するために、好ましくなく変更される。カルボニル化合物および2−ペンチルピリジンは、β−コングリシニン画分よりグリシニン画分により大きな親和性で結合した(Zhouら, 2002; O'Keefeら, 1991)。油体関連(oil-body-associated)蛋白質および極性脂質の抽出は、ダイズ蛋白質単離体と関連した匂いの量をかなり低下させた(Samotoら, 1998)。
【0007】
蛋白蛋白相互作用により創製されたテクスチャー(texture)は、鼻内(in-nose)匂い濃度より風味強度に対して、より多数の効果を有し得る(Weelら, 2002)。ダイズ蛋白質は、不溶性の凝集物およびチョークの口あたりを形成することにより、ダイズ飲料の低い感覚受容性の質を与えかねない(SkarraおよびMiller, 2002)。主要なダイズ蛋白質のうちグリシニンは、pH、およびCa+2誘導不溶化に、より感応性であり(Yuan, 2002)、低比率のグリシニン−対−β−コングリシニンを含むダイズ豆は、可溶性のダイズ蛋白質成分を創製するのに有用である(米国特許第6,171,640号)。また、脂質酸化反応は蛋白質溶解度に影響を及ぼす。抗酸化物質をダイズ蛋白単離体製造中に添加して、蛋白質のフリーラジカル誘導酸化を制限し、可溶性蛋白質の収率を改善できる(米国特許第5,777,080号)。いくつかのペプチドは、多糖類と処理中に反応して、抗酸化物質化合物を形成できる(Matsumura, 2003)。
【0008】
色は、新鮮味および味の認知に影響する(Joshi, 2000)。脂質酸化から形成された、少量の還元糖およびアルデヒドは、加熱して蛋白質のアミノ基と反応して、Maillardの褐変反応によって褐色色素を形成する(Kwokら, 1999)。高含量のアルデヒドを含む豆乳は、熱処理後により暗く、あまり美味しそうではない色を創製するであろう。他方、豆乳処理中の脂質酸化は、豆乳中の黄色色素を脱色する(ObataおよびMatsuura, 1997)。
【0009】
ダイズ豆を精製して、アルコ−ル抽出、酵素処理、洗浄蛋白質凝乳(curd)、蛋白質の限外濾過により、および/またはフラッシュ蒸発の使用により脂質および他の成分の抽出により風味を改善する。これらのプロセスは、ダイズ蛋白質成分のコストを増し、典型的には生物が利用可能である健康に良い成分(例えば、繊維、オリゴ糖、イソフラボン、ポリ不飽和脂肪酸、トコフェロール、リン脂質、生物活性ペプチド)の量を低下させる。ダイズ蛋白質成分の感覚受容性の特性を改善するために使用された処理アプローチは、ダイズ蛋白質に結合した匂いにより、および匂い形成を促進する条件(pH8〜10)により有効性において限定される。リポキシゲナーゼ1、2および3の1〜3個を欠くダイズ豆を変異育種を用いて創製して、豆味の匂いの形成を低下させた(Hajikaら, 1991)。3つのリポキシゲナーゼを欠くダイズ豆から作成された豆乳およびダイズ粉末の香り分析(Aroma analysis)より、より少量のいくつかの匂いを含むことが判明したが、3つのリポキシゲナーゼのすべてを含む親ダイズ豆系よりも高い量の1−オクテン−3−オールを含むことが判明した(Haoら, 2002)。同様のレベルの2,4−デカジエナールが、3つのリポキシゲナーゼを欠くダイズ豆および他の2つのダイズ豆系から作成された脱脂された粉末およびダイズ蛋白質単離体において見出された(Boatrightら, 1998)。リポキシゲナーゼを欠くダイズ豆から調製されたダイズ食品は、対照ダイズ豆から作成された食品と比較して、風味を改善した(Wilson, 1996)。3つのリポキシゲナーゼを欠くダイズ豆から調製した豆乳は、特に、種子貯蔵の15か月後に、対照より苦いと知覚されたが、この差は、糖の添加により消失されると期待された(Torres-PenarandaおよびReitmeirer, 2001)。
【0010】
トランスジェニック改変は、ポリ不飽和脂肪酸(米国特許第5,981,781号)、リポキシゲナーゼ(米国特許出願番号20030074693)および/またはヒドロペルオキシドリアーゼ(米国特許第6,444,874号)のレベルの低下により、ダイズ豆の風味を改善するために提案されている。10%未満のポリ不飽和脂肪酸および75%を超えるオレイン脂肪酸を含有するダイズ豆は、より高いポリ不飽和脂肪酸を含むフライ油に比較してそれほど味がよくないフライ油を与える(Warnerら, 2001)。
【0011】
ポリリン酸塩(米国特許第6,355,296号)のごとき化学薬品を用いて、不快な匂いの生成を制限し、蛋白質溶解度を改善できる。没食子酸(PCT WO 01/06866)またはアルデヒド・オキシダ−ゼ(Maheshwariら, 1997)のごとき他の添加剤を用いて、匂いを除去できる。
【0012】
ダイズ豆の風味および色の属性に対する自然の遺伝学的変化の効果についての公開された情報はほとんどない。16種のダイズ豆品種についてのチオバルビツール酸数は脂質酸化の基準として決定され、ダイズ豆のビタミンE含量との相関性は見出されなかった(DahujaおよびMadaan, 2004)。3種のダイズ豆品種から作成されたダイズ粉末およびダイズ蛋白質単離体中の2−ペンチルピリジンおよび2,4−デカジエナールの量は決定された(ZhouおよびBoatright, 1999)。ダイズ豆からのクロロフィル、その緑色色素の除去に対する乾燥条件の効果が研究された(Saleteら, 2003; Sinneckerら, 2002)。
【0013】
過去数十年間において、科学者は、リポキシゲナーゼを欠くダイズ豆から調製された油が酸化安定性を改善しないことを示した。リポキシゲナーゼヌル(null)ダイズ豆から生成されたダイズ豆蛋白質は、依然として、かなりのレベルの豆味を含んでいた(Maheshwariら, 1997)。
【0014】
豆乳またはダイズの蛋白質成分を作成する第1の工程はダイズ豆を外皮を取り(または脱被覆)、ダイズ豆肉を創製することである。また、胚軸は、子葉から分離し得る。ダイズ豆肉は外皮を取ったダイズ豆と定義され、子葉を含んでいても、含んでいないなくてもよい。肉を調製する方法は、例えば、米国特許第5,727,689号に記載されている。外皮を取る1つの方法は、限定されるものではないが、向流ロ−ラ−またはクラッキングミル間の種子の試行、および軽重量の外皮を吸引し、肉を残すことを含む。脱脂ダイズ粉末、ダイズ蛋白質濃縮物、ダイズ蛋白質単離体を作成する開始工程として肉を水中に浸漬して豆乳を生成する、あるいはフレイクし、ヘキサンで抽出し、次いで、所望ならば蛋白質画分を精製する。
【0015】
本発明は、2,4−デカジエナール、ヘキサナール、ヘキサノ−ルおよび1−オクテン−3−オールと同定された鍵となる匂い化合物の生成に抵抗するダイズ豆肉の能力を決定する新しい方法を提供する。これらの化合物は、異なるタイプの酸化反応の範囲の指標として選択された。ヘキサナールおよびヘキサノ−ルは、ヒドロペルオキシドリアーゼおよびアルコ−ル脱水素酵素によるヒドロペルオキシド含有化合物(脂肪酸の9および12位の炭素上のペルオキシド)の分解に起因する。2,4−デカジエナールは、ヒドロペルオキシドリアーゼを含むことが知られていないリポキシゲナーゼ経路の分解産物である。1−オクテン−3−オールは、リノ−ル酸の10位の炭素上で形成されたヒドロペルオキシドに対するヒドロペルオキシドリアーゼの作用により形成される。これらの化合物は、さらなる処理によりさらに反応させて、より強力な匂いを形成しかねない。例えば、2,4−デカジエナールは2−ペンチルピリジンの形成に関与し、1−オクテン−3−オールは1−オクテン−3−オンの形成に関与する。
【0016】
発明の要約
1つの態様において、本発明は、総脂肪酸のパーセンテージとして10%を超えるリノ−ル酸、ならびに穏やかな水性条件下での酸化後のグラム当たり20μg未満の総2,4−デカジエナール+ヘキサナール+ヘキサノールを含む、リポキシゲナーゼ1、2および3を含むダイズ豆から生成されたダイズ豆肉組成物を提供する。その組成物はリポキシゲナーゼまたはそのいずれかの組合せを含んでいても、含んでいなくてもよく、非活性化されたリポキシゲナーゼを含んでいてもよい。1つの具体例において、組成物はリポキシゲナーゼ−2を含む。ある具体例において、組成物は、約15μg未満または約18μg未満の総2,4−デカジエナール+ヘキサナール+ヘキサノ−ルを含み得る。さらなる具体例において、本発明により供された組成物は、約6μg〜約20μg、約10μg〜約20μg、約12〜18μgの総2,4−デカジエナール+ヘキサナール+ヘキサノ−ルを含み得る。他の具体例において、組成物は、約3%未満、および約1%〜4%または約2%〜約4%を含めた、総脂肪酸のパ−セントとして4%未満のリノレン酸を含み得る。
【0017】
もう一つの具体例において、本発明の組成物は、グラム当たり約1800μg未満の遊離アルギニンおよび/またはグラム当たり約350μg未満の遊離アスパラギンを含めた、グラム当たり約2000μg未満の遊離アルギニンおよび/またはグラム当たり約400μg未満の遊離アスパラギンを含み得る。かかる組成物は、ある具体例において、グラム当たり約500〜2000、約1200〜1800および約100〜2000μgの遊離アルギニンを含めた、グラム当たり約300μg〜2000μgの遊離アルギニンを含み得る。本発明により供される組成物は、さらに、ある具体例において、グラム当たり約100〜400、100〜350、200〜400、300〜400および250〜400μgの遊離アスパラギンを含めた、グラム当たり約50μg〜約400μgの遊離アスパラギンを含む。
【0018】
さらにもう一つの具体例において、本発明により供された組成物は、CIE−Lシステムによりモニターされた30未満のb値および80を超えるL値と測定された色を有することができ、ここに、Lが明度を示し、bが青(−)〜黄(+)軸上の色相を示す。ある具体例において、本発明の組成物は、約18〜30、約20〜30、約25〜30および約25未満のb値と測定された色を含み得る。さらなる具体例において、本発明により供される組成物は、約80〜100、約80〜90および約90を超えるL値を含み得る。ある具体例において、組成物は、約6μg未満、約5μg未満、約1.3〜約8μg、約2〜約8μg、約4〜約8μgを含めた、穏やかな水性条件下での酸化後のグラム当たり8μg未満の1−オクテン−3−オール含量を含み得る。本発明により供される組成物は、β−コングリシニンとして蛋白質の30%を超えてもよく、グリシニンとして蛋白質の25%未満であり得る。かかる組成物は、β−コングリシニンとして蛋白質の約40%より大きく、および蛋白質の約30〜約60%、約40〜60%、約35〜55%、約30〜約50%のβ−コングリシニン含量を有するとさらに定義され得る。かかる組成物は、約20%未満、約15%未満、約10%未満のグリシニン含量を有するとさらに定義でき、グリシニンとして蛋白質の約0%〜25%、約5%〜20%、約1%〜25%および約10〜25%を含み得る。
【0019】
本発明のもう一つの態様において、β−コングリシニンとして蛋白質の30%を超え、グリシニンとして蛋白質の25%未満、グラム当たり5,000μg未満の遊離アルギニンおよびグラム当たり900μg未満の遊離アスパラギンを有するダイズ豆肉組成物が供される。かかる組成物は、ある具体例において、グラム当たり約300〜5,000μg、グラム当たり約1,000〜5,000μg、グラム当たり約3、000〜5,000μg、グラム当たり約1,000〜4,000μgおよびグラム当たり約500〜2,000μgの遊離アルギニンを含み得る。かかる組成物は、ある具体例において、グラム当たり400μg未満の遊離アスパラギン、グラム当たり約50〜400μg、グラム当たり約100〜400μg、グラム当たり約100〜700μgおよびグラム当たり約200〜900μgの遊離アスパラギンを含み得る。1つの具体例において、組成物は、グラム当たり2,000μg未満の遊離アルギニンおよびグラム当たり400μg未満の遊離アスパラギンを有する。
【0020】
もう一つの具体例において、提供される組成物は、穏やかな水性条件下での酸化後の、グラム当たり約3μg未満、約1.3μg〜3μg、約1.3μg〜4μg、約2μg〜4μgを含めたグラム当たり4μg未満の1−オクテン−3−オール含量を含む。依然としてさらなる具体例において、組成物は、約3〜14%、約5〜14%、約1.5〜12%、約3〜12%および約7〜14%を含めた、総脂肪酸の1%と14%との間のリノレン酸濃度を有する。さらにもう一つの具体例において、組成物は、約10%と50%との間、約10%と40%との間、約15%と60%との間、約20%と50%との間、および約20%と60%との間を含めた総脂肪酸の10%と60%との間のリノ−ル酸濃度を有する。
【0021】
ある具体例において、本発明により供されるダイズ豆肉組成物は、1以上のリポキシゲナーゼを欠くと定義できる。1つの具体例において、本発明により供されるダイズ豆肉組成物は、リポキシゲナーゼ−2を欠くと定義できる。さらなる具体例において、これらのリポキシゲナーゼのいずれか2または3のすべてを含めた、リポキシゲナーゼ−1、リポキシゲナーゼ−2および/またはリポキシゲナーゼ−3のいずれかの組合せが不存在である。また、本発明の組成物は、CIE−Lシステムによってモニタ−された30未満のb値および80を超えるL値を有し、ここに、Lが明度を示し、bが青(−)〜黄(+)軸上の色相を示すと定義できる。依然として他の具体例において、本発明により供される組成物は、蛋白質のグラム当たり67〜69mgのリジンを含み得る、蛋白質のグラム当たり72〜80mgのアルギニンを含み得る、および/または蛋白質のグラム当たり28〜30mgのヒスチジンを含み得る。
【0022】
さらにもう一つの態様において、本発明は、ダイズ豆の匂い生成特性の分析方法を提供し、該方法は、2,4−デカジエナール、ヘキサノ−ル、ヘキサナールおよび1−オクテン−3−オールよりなる群から選択される少なくとも1つの化合物のレベルを決定することを含む。1つの具体例において、該方法は、化合物のレベルの決定が、約1〜約40分の範囲の期間で約1部のダイズ豆種子粉末および約4部の水の混合物をインキュベートし、ヘキサナール、ヘキサノ−ルおよびデカジエナールについての重水素を含む標準を用いて、2,4−デカジエナール、ヘキサノール、ヘキサナールおよび1−オクテン−3−オールならびにその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの化合物の量を定量することを含み得る。ダイズ豆種子粉末は、外皮を取ったダイズ豆から作成し得る。
【0023】
依然としてさらにもう一つの態様において、本発明は、第1および第2のダイズ豆品種からの1以上のダイズ豆またはダイズ豆肉における2,4−デカジエナール、ヘキサノール、ヘキサナール、1−オクテン−3−オールならびにその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの化合物のレベルを測定し、次いで、低レベルの該化合物を含む種子を生成する品種を選択することを特徴とする、減少した匂い生成特性を持つダイズ豆およびダイズ豆肉を生成するダイズ豆品種を得る方法を提供する。該方法は、植物子孫を生成するために選択された品種の植物と異なる植物とを交配し、該子孫からの1以上のダイズ豆またはダイズ豆肉における2,4−デカジエナール、ヘキサノール、ヘキサナールおよび1−オクテン−3−オールならびにその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの化合物のレベルを測定することをさらに含み得る。
【0024】
依然としてさらにもう一つの態様において、本発明は、約1〜約40分の範囲の期間で約1部のダイズ豆種子粉末および約4部の水の混合物をインキュベートし、次いで、その1−オクテン−3−オールを測定することにより測定された、種子のグラム当たり5μg未満の1−オクテン−3−オールを含む品種を選択することを特徴とする菌類(fungal)汚染に抵抗するダイズ豆品種の選択方法を提供する。
【0025】
依然としてさらにもう一つの態様において、本発明は、0119149と指定され、その代表的な種子が、ATCC受入番号PTA−6197下で寄託されているダイズ豆植物の種子を提供する。本発明は、かかる種子の成長により生成されたダイズ豆植物0119149またはその器官を提供する。本発明のかかる植物は、導入遺伝子を含み得る。依然として他の具体例において、本発明は、ダイズ豆植物0119149に由来したダイズ豆植物の生成方法を提供し、該方法は、(a)ダイズ豆植物0119149の植物と第2のダイズ豆植物とを交配することよりダイズ豆植物0119149に由来した子孫植物を調製し(ここに、ダイズ豆植物0119149の種子試料はATCC受入番号PTA−6197下で寄託されている);(b)子孫植物とそれ自体または第2の植物とを交配させて、引き続いての世代の子孫植物の種子を生成し;(c)該種子からの引き続いての世代の子孫植物を成長させ、引き続いての世代の子孫植物とそれ自体または第2の植物とを交配させ;次いで、(d)さらなる3〜10世代の間、工程(b)および(c)を繰り返して、ダイズ豆植物0119149に由来した同系のダイズ豆植物を生成する工程を含む。
【0026】
依然としてさらにもう一つの態様において、本発明は、穏やかな水性条件下での酸化後に、改善された感覚受容性の特性(すなわち、改善された味、色、匂いおよび口あたりの特性)を持つダイズ豆を提供する。また、ダイズ豆の感覚受容性の特性を改善するためのより明るい色を持つダイズ豆が提供される。さらに、ダイズ豆の感覚受容性の特性を改善するための少量の遊離アルギニンおよびアスパラギンを含むダイズ豆が提供される。もう一つの具体例において、感覚受容性の特性を改善するための低下したレベルのリノ−ル酸およびリノレン酸を含むダイズ豆が提供される。
【0027】
本発明により供されるダイズ豆植物は、1つの具体例において、1以上の導入遺伝子を含み得る。例には、除草剤耐性を持つ植物を生成するであろう除草剤耐性を与える遺伝子、および虫害抵抗性を与える遺伝子が含まれる。
【0028】
本発明により、リポキシゲナーゼ1、2および3、ならびに穏やかな水性条件下での酸化後の細かくした(ground)種子のグラム当たり20μg未満の総2,4−デカジエナール+ヘキサナール+ヘキサノ−ルを生成する総脂肪酸に対するパーセンテージとして約10%を超えるリノ−ル酸を含有するダイズ豆種子が提供される。
【0029】
本発明のもう一つの態様により、総脂肪酸のパーセントとして約4%未満のリノレン酸および約10%を超えるリノール酸を有し、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくした種子のグラム当たり20μg未満の総2,4−デカジエナール+ヘキサナール+ヘキサノ−ルを生成する、リポキシゲナーゼを含有するダイズ豆が提供される。また、同一のダイズ豆は、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくした種子のグラム当たり8μg未満の1−オクテン−3−オール含量を生成し得る。
【0030】
また、本発明の依然としてさらにもう一つの態様により、本発明は、グラム乾燥種子重量当たり約2,000μgの遊離アルギニンおよび400μg未満のアスパラギンを有し、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくしたダイズ豆のグラム当たり20μg/グラム未満の2,4−デカジエナール、ヘキサナールおよびヘキサノ−ルを生成するダイズ豆を提供する。また、同一のダイズ豆は、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくしたダイズ種子のグラム当たり8μg未満の1−オクテン−3−オール含量を生成し得る。
【0031】
本発明の依然としてさらに本発明のもう一つの態様により、30未満の「b値」と測定された黄色を有し、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくしたダイズ豆のグラム当たり20μg/グラム未満の2,4−デカジエナール、ヘキサナールおよびヘキサノ−ルを生成するダイズ豆が提供される。また、同一のダイズ豆は、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくした種子のグラム当たり8μg未満の1−オクテン−3−オール含量を生成し得る。
【0032】
本発明の依然としてさらにもう一つの態様により、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくしたダイズ豆のグラム当たり20μg/グラム未満の2,4−デカジエナール、ヘキサナールおよびヘキサノ−ルを生成するβ−コングリシニンとして蛋白質の30%を超え、グリシニンとして蛋白質の25%未満であるダイズ豆が提供される。また、同一のダイズ豆は、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくした種子のグラム当たり8μg未満の1−オクテン−3−オール含量を生成し得る。
【0033】
本発明により、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくしたダイズ豆のグラム当たり20μg/グラム未満の2,4−デカジエナール、ヘキサナールおよびヘキサノ−ルを生成する5,000μg未満の遊離アルギニン、900μg未満の遊離アスパラギン、β−コングリシニンとして蛋白質の30%を超え、グリシニンとして蛋白質の25%未満を含むダイズ豆が提供される。また、同一のダイズ豆は、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくした種子のグラム当たり8μg未満の1−オクテン−3−オール含量を生成し得る。
【0034】
本発明の依然としてさらにもう一つの態様により、β−コングリシニンとして蛋白質の30%を超え、グリシニンとして蛋白質の25%未満である第1のダイズ豆、ならびに穏やかな水性条件下での酸化後の細かくしたダイズ豆のグラム当たり20μg/グラム未満の2,4−デカジエナール、ヘキサナールおよびヘキサノ−ルを生成する第2のダイズ豆の交配から起因するダイズ豆が提供される。
【0035】
本発明の依然としてさらにもう一つの態様により、総脂肪酸のパーセントとして4%未満のリノレン酸および10%を超えるリノール酸を有する第1のダイズ豆、ならびに穏やかな水性条件下での酸化後の細かくしたダイズ豆のグラム当たり20μg/グラム未満の2,4−デカジエナール、ヘキサナールおよびヘキサノ−ルを生成する第2のダイズ豆の交配から起因するダイズ豆が提供される。
【0036】
本発明の依然としてさらにもう一つの態様により、約1〜約40分の範囲の期間で約1部のダイズ豆種子粉末および約4部の水の混合物をインキュベートし、ヘキサナール、ヘキサノ−ルおよびデカジエナールについての重水素を含む標準を用いて、2,4−デカジエナール、ヘキサノール、ヘキサナールおよび1−オクテン−3−オールならびにその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの化合物の量を定量することを含む、ダイズ豆種子品種の匂い生成特性の分析方法が提供される。
【0037】
本発明の依然としてさらにもう一つの態様により、室温にて約1〜約40分の範囲の期間で約1部のダイズ豆粉末または外皮が取られたダイズ豆粉末および約4部の水の混合物をインキュベートし、次いで、ヘキサナール、ヘキサノ−ルおよびデカジエナールについての重水素を含む標準を用いて、2,4−デカジエナール、ヘキサノール、ヘキサナールおよび1−オクテン−3−オールの量を定量し、次いでその結果に基づいて生育集団から種子を選択することを含む、ダイズ豆生育方法が提供される。
【0038】
本発明のもう一つの態様により、導入遺伝子、例えば、除草剤耐性を与える除草剤耐性遺伝子、または虫害抵抗性を与える殺虫遺伝子を含むダイズ豆が提供される。
【0039】
本発明のもう一つの態様により、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくしたダイズ豆のグラム当たり20μg/グラム未満の2,4−デカジエナール、ヘキサナールおよびヘキサノ−ルを生成する、β−コングリシニンとして蛋白質の30%を超え、グリシニンとして蛋白質の25%未満であるダイズ豆を含むヒトの消費のための加工食品が提供される。
【0040】
例示的な具体例の記載
本発明は、改善された感覚受容性の特性を持つダイズ組成物、ダイズ豆およびダイズ豆種子誘導体、ならびにその生成方法を提供する。本発明のダイズ組成物は、改善された味、色、匂いおよび口あたりの特性を提供する。また、本発明は、かかる組成物の製法、2,4−デカジエナール、ヘキサナール、ヘキサノ−ルおよび1−オクテン−3−オールと同定された鍵となる匂いを生成するダイズ豆品種の能力を決定する方法、ならびに生育集団から種子を選択するためのその結果の使用を提供する。
【0041】
酸化条件は、約0.5のダイズ粉末が2mLの水と混合されるか、または1部のダイズ豆粉末が4部の水と混合されて、水中に固体粒子を分散させ、酸化反応が、15℃〜40℃に変化し得る室温にて約1〜40分間生じるのを可能とする場合に、本発明により生成され得る。濃縮懸濁物は、酵素、基質、フリーラジカル、フリーラジカルスカベンジング化合物、酵素阻害物質および他の因子が生成した匂いの量を与えるのを可能とする。
【0042】
本発明は、総脂肪酸のパ−セントとして4%未満のリノレン脂肪酸および/または10%を超えるリノ−ル酸を含有し、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくした種子のグラム当たり20μg未満の2,4−デカジエナール (CH3(CH2)4CHCHCHCHCHO, CAS番号 25152-84-5)+ヘキサナール (CH3(CH2)4CHO, CAS番号 66-25-1)+ヘキサノール(CH3(CH2)5OH, CAS番号 111-27-3)を生成するリポキシゲナーゼ含有ダイズ豆およびそれから誘導された組成物を提供する。また、同一のダイズ豆は、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくした種子または外皮を取ったダイズ粉末のグラム当たり8μg未満の1−オクテン−3−オール(CH3(CH2)4CHOHCHCH2, CAS番号 3391-86-4)を生成し得る。化合物2,4−デカジエナール、ヘキサノール、ヘキサナールおよび1−オクテン−3−オールならびにそれらの組合せを用いて、ダイズ豆の匂い生成特性を定量した。匂いは、これらのリストされた化合物に制限されない。他の検出可能なアルデヒド、ケトンおよびアルコ−ルを、本発明の方法を用いて、匂い生成特性の尺度として用いることができる。これらの化合物の例には、限定されるものではないが、プロパナール、ペンテナール、ペンタナール、ヘキセナール、ペンテノール、ペプタナール、ヘプテナール、べンズアルデヒド、ヘキサジエナール、ヘプタジエナール、ヘプタノール、オクテノール、オクテナール、ノナナール、オクタジエノン、2 ペンチルフラン、ペンタナール、2,3−ジメチル、ノネナール、マルトール、デセナールおよび2−ウンデセナールが含まれる。本発明による「リポキシゲナーゼ」なる用語は、酸素での不飽和脂肪酸の酸化を触媒してペルオキシドを与える酵素をいう。また、「リポキシゲナーゼ」(EC.1.13.11.12)なる用語は、当該技術分野においてリポキシダーゼおよびジオキシゲナーゼをいう。リポキシゲナーゼ1、2および3の1、2または3個を欠くダイズ豆からの豆乳およびダイズ蛋白質成分の匂いは、他の研究者により評価された。高オレインのダイズ豆は、4%未満のリノ−ル酸で存在する。それらの特性を有するダイズ豆のいくらかは、本発明のアッセイ方法を用いて細かくしたダイズ豆のグラム当たり20μg未満の2,4−デカジエナール+ヘキサナール+ヘキサノールを生成でき、いくらかはその範囲にないであろう。本発明において、非常に低レベルの匂いを生成するリポキシゲナーゼ1、2および3を含有するダイズ豆を創製できること、およびリポキシゲナーゼ−ヌル(null)ダイズ豆が高レベルの不快な匂い(off-flavor)を生成しかねないことを見出した。匂い生成特性につき従前にスクリーニングしていない高β−コングリシニン組成物に加えて、本発明は、リポキシゲナーゼ1、2および3、ならびに10%を超えるリノ−ル酸を有する新しいダイズ豆組成物を特に提供する。リノール脂肪酸(18:2 n-6) およびリノレン脂肪酸(18:3 n-6)は、本発明による2または3個のシス二重結合を持つポリ不飽和脂肪酸である。リポキシゲナーゼ−ヌルダイズ豆または高オレインダイズ豆の子孫から低い匂い生成系を選択する本発明の方法は、本発明の範囲内にある。
【0043】
匂い1−オクテン−3−オールは、リノ−ル酸の10位の炭素上にハイドロペルオキシドを有する脂肪酸の開裂生成物である。本発明において、その外皮の除去がダイズ豆組成物の1−オクテン−3−オール形成特性を実質的に低下させることを見出した。菌類リポキシゲナーゼおよびヒドロペルオキシドリアーゼは、各々、10−ハイドロペルオキシドおよび1−オクテン−3−オールを形成する(WurzenbergerおよびGrosch, 1984; Hussonら, 1998)。本発明において、少量の1−オクテン−3−オールを生成するダイズ豆が、ホモプシス(Phomopsis)(Minorら, 1995)のごとき菌類によりダイズ豆外皮の汚染に抵抗する、および/またはその菌類リポオキシゲナーゼを阻害する成分を含むと結論づけられた。
【0044】
ダイズ豆生成物の感覚受容性の特性は、グリシニンおよびβ−コングリシニンの含量に依存する。グリシニンは、匂いを保持し、ダイズ豆生成物の知覚の質に悪影響する不溶性の粒子を形成する傾向にある。本発明は、β−コングリシニンとして蛋白質の30%を超え、グリシニンとして蛋白質の25%未満を有し、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくした種子のグラム当たり20μg未満の総2,4−デカジエナール+ヘキサナール+ヘキサノールを生成するであろうダイズ豆を提供する。また、同一の種子は、同様の条件下で細かくした種子のグラム当たり8μg未満の1−オクテン−3−オールを生成し得る。本発明によるβ−コングリシニンは、150〜200kDaの分子量を持つ蛋白質三量体をいう。β−コングリシニンの主要な3つのサブユニットは、α’(72kDa)、α(68kDa)およびβ(52kDa)である。アルファプライムおよびアルファサブユニットは、2つの共有結合した炭水化物部分を含み、ベ−タサブユニットは1つを含む。β−コングリシニンおよび他の主要な貯蔵蛋白質グリシンの構造および特性の総説は、Utsumiら, (1997)により与えられている。「Moshidou Gong 503」のごとき公の生殖質を使用して、従来の生育方法を用いてβ−コングリシニンのα−対−α’サブユニットの比率を変更できる。β−コングリシニンなる用語は、これらのサブユニット変化を含む。5,000μg/g未満の遊離アルギニンおよび900μg/g未満の遊離アスパラギンを有するβ−コングリシニンとして蛋白質の30%を超え、グリシニンとして蛋白質の25%未満を有する本発明の種子が提供される。「遊離」なる用語は、ダイズ豆またはダイズ豆種子粉末中に存在する他の分子と結合せず、かつ4℃一晩トリクロロ酢酸(TCA)の5%の水溶液により抽出および可溶化できるアミノ酸をいう。高品質ダイズ豆肉、豆乳、ダイズ粉末、ダイズ蛋白質濃縮物およびダイズ蛋白質単離体を生成するための低レベルの遊離アミノ酸を含むダイズ豆を選択する価値は、従前に示されなかった。
【0045】
本発明により作成されたダイズ成分および食品の色は、アルデヒドがアミンと反応して褐色色素を形成するために、形成されたアルデヒド(例えば、ヘキサナール、および2,4−デカジエナール)のレベルを低下させることにより改善し得る。また、脂質酸化生成物のレベルの低下は、最終生成物の色をあまり白くさせない黄色色素の酸化的脱色を制限できる。潜在的な低脱色化の問題は、低レベルの黄色色素を含むダイズ豆の選択によりこの本発明において解決される。本発明は、30未満の「b値」と測定された黄色を有し、穏やかな水性条件下での酸化後の細かくした種子のグラム当たり20μg未満の総2,4−デカジエナール+ヘキサナール+ヘキサノールを生成するダイズ豆組成物を提供する。ダイズ豆種子の色を記載するために本明細書に用いた「b」値は、CIE-Lab Color Scale (CIE, Colorimetry, Publication 15.2, Second Edition, Vienna (1986)、Colorflex手順に使用)を表し、ダイズ豆またはダイズ豆粉末の青さ(負数)ないし黄色さ(正数)に関連し、同様に「L」値は、CIE-Lab Color Scaleについてのダイズ豆またはダイズ豆粉末の明度(lightness)をいう。本発明の一つの具体例におけるダイズ豆またはダイズ豆粉末は、80を超えるL値を有するであろう。
【0046】
所望の野生型ダイズ豆、商用栽培品種またはその雑種の子孫は、従来の植物生育方法により本発明の低い匂い生成表現型を持つ種子を有するダイズ豆植物と交配して、低い匂い特性+他の所望の特性(例えば、収率、高いβ−コングリシニン組成、除草剤耐性)を含む種子を創製し得る。低い匂い特性および他の所望の表現型を示す雑種の子孫が選択される。本発明により用いた生育方法には、例えば、KnowlesおよびBriggs (1967)に記載された方法または当該技術分野において知られたいずれの同様の方法も含まれる。新しいダイズ豆品種の選択および生育のための具体的な方法は、例えば、米国特許第6,653,534号に開示されている。
【0047】
また、本発明は、本発明のダイズ豆組成物から作成されたヒトの消費のための加工食品を提供する。ヒトの消費のための加工食品の例は、例えば、本発明の外皮を取ったダイズ粉末組成物から作成できる。これらの誘導体の例には、限定されるものではないが、バー、飲料、肉および肉代替物、大豆ヨ−グルト、チーズ代替物、栄養補給物が含まれる。
【0048】
以下の実施例は、本発明の好ましい具体例を示すために含まれる。当業者には、以下の実施例に開示された技術が本発明の実施に良好に機能するように発明者らにより見出された技術を表すと理解され、かくして、その実施につき好ましい様式を構成すると考えることができる。しかしながら、当業者は、本発明の開示に徴して、多数の変更を本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、開示され、依然として同様または類似する結果を得ることができる特定の具体例においてなすことができると認識するであろう。より詳細には、化学的および生理学的の双方で関連するある剤が、同一または同様の結果を達成しつつ、本明細書に記載された剤と置換されてもよいことは明らかであろう。当業者に明らかなかかる同様の置換および変更の全ては、添付した特許請求の範囲により規定された本発明の精神、範囲および概念内にあるとみなされる。
【実施例】
【0049】
実施例1
物質および方法
この実施例は、本発明の分析方法を記載する。この分析方法の目的は、異なるダイズ豆系統の匂い生成特性を決定することである。
該方法は、まず、匂い形成を開始することによって、選択された匂いを決定する。種子を細かい粉に挽き、水を用いて酵素を活性化させることで、匂いを形成させた。形成の速度に関する研究によると、室温では、匂いの形成は、大抵、約20分後に完了した(表1)。この時間は、匂い化合物の首尾良い定量化および異なるダイズ豆系統の匂い生成特性の評価に重要であった。20分後、ヘキサナール、ヘキサノールおよび2,4 デカジエナールの重水素化サロゲートを添加して、内部標準を提供した。反応を、硫酸ナトリウムの添加によって止め、直後に、10% メタノール:エーテルを添加して、アルデヒド、アルコールおよびケトンを抽出した。該方法は、リストされた化合物に制限されなかった。全ての他の検出可能なアルデヒド、アルコールおよびケトンが、重水素化サロゲートを用いる該3つほどの正確性はないが、定量化され得る。
【0050】
【表1】

【0051】
175試料中のこれらの成分を決定する分析時間は、24時間かかる。これは、抽出およびガスクロマトグラフィー/質量分析を用いる決定を含む。分析用の試料のサイズは、典型的には、0.5グラム(g)だが、0.2 gないし0.7 gの範囲であり得る。湿重量ベースでの匂い濃度の範囲は、0.2 μg/gないし120 μg/gであった。
ダイズ豆肉試料調製:そのままの種子またはダイズ豆肉を試料として収集した。約6ないし12のランダムに選択された種子または試料からのダイズ豆肉片と同等重量を、1分間、約1200回転/分(rpm)にて、ボールミルで挽いて、細かい粉を生成した。種子を挽くためのボールミルは、U.S. Patent Pub. 2003/0146313 A1に記載される。種子またはダイズ豆肉の数は、挽き終わった時に、約0.5ないし1.0 gのダイズ豆粉を得るように決定した。新たに挽かれたダイズ豆粉をさらなる分析に使用した。
【0052】
ダイズ豆粉の抽出:新たに挽いたダイズ豆粉を、鍵となる匂いの抽出に使用した。約0.5 g (0.48ないし0.52 g)のダイズ豆粉を、キャップ付きの20ミリリットル(ml)バイアル(VWR TraceClean(登録商標)透明なボロシリケートテフロンでライニングしたクロージャバイアル)に入れた。キャップを交換する前に、脱イオン水(2 ml)を該バイアル中の該粉に添加した。該バイアルの内容物を、ボルテックスミキサーで、約30秒間(sec)混合して、全てのダイズ豆粉が該バイアル中で適切に水和されたことを確証した。水和ダイズ豆粉を、緩やかな水性条件下でインキュベートさせた、これは本明細書において室温(22oC )での20分間(min)の水中でのインキュベーションと定義される。20分後、11±0.3グラムの無水硫酸ナトリウムを該バイアルに添加し、引き続いて、該バイアルに10 mlの10% メタノール:エーテル溶液を添加した。30 マイクロリットルの標準サロゲート (ヘキサナール、ヘキサノールおよびデカジエナールに対する重水素化標準の混合物) スパインキング溶液を、さらに、該バイアル中に添加し、その後再度キャップをし、それを〜 200 rpmにて、往復シェーカー上で、30-40分間撹拌した。30-40分後、1 mlのメタノール:エーテル抽出物を、さらなる分析のために、Autosamplerバイアル (7683 HP Autosampler用のAutosamplerバイアル。製造供給元はVWRである)に入れた。
【0053】
ダイズ豆粉抽出物の分析:メタノール:エーテル抽出媒体中のダイズ豆粉抽出物を、さらにLECO Chrom TOF ソフトウェアを用いるAgilent 7683シリーズオートサンプラーおよびLeco時間飛行質量分析計(LECO Corporation, St. Joseph, Michigan 49085)を備えたGas Chromatograph Agilent 6890 (395 Agilent Technologies, Palo Alto CA 94306)において分析した。また、ガスクロマトグラフは、0.4またはそれ以上およびID 0.18 mm (Agilent Technologies)のフィルムの厚みを有する10-メーターDB-WAXまたはDB1701ガスクロマトグラフィーカラムを備えた。メタノール (メタノールはEM Science メタノールパージかつトラップグレードである)を、VWR (VWR International West Chester, PA 19380)から調達した;エチルエーテル (無水エチルエーテル)をMallinckrodt (Mallinckrodt, Hazelwood, MO 63042)から入手した。2,4 デカジエナール、85%トランス (15% シス)、ヘキサナール 98%、ヘキサノール 99%、1 オクテン-3-オール 98%、2 ウンデカノン99%、2ノネナール97%、および 2,4 ノマジエナール99%は、Sigma-Aldrich Company (Saint Louis MO 63103)から調達した。重水素化D12ヘキサナール、D13 ヘキサノール、およびD2 2,4 デカジエナールを、Lin et al. (1999)によって記載されるように、社内で作成した。試料の分析のために、1マイクロリットル(μl)の試料を、該ガスクロマトグラフィー装置 (gc)の注入ポートを介して注入した。クロマトグラフにおいて試料を分析するのに使用したパラメーターは以下の通りであった:クロマトグラフパラメーターカラム: DB-WaxまたはDB 1701 キャピラリー 10 m x 0.18 mm, 0.4 mm フィルム注入量: 1 ul 注入ライナー: 分裂/非分裂ライナー。
【0054】
温度プログラム:最初55oCで1分間、40oC/分で40oCから175oCへ、0分保持し、35oC/分で175oCから240oC、0分保持 注入口温度: 220oC 注入モード:最初1.5分間8 psiにてパルス無分裂 分裂比:20:1 キャリアガス:1.8 mL/分にてヘリウム一定流。
LECO飛行時間パラメータ 温度界面:250oC 源温度:200oC 質量分析計源温度:150oC 走査パラメータ:秒当たり約50スキャンにて50ないし250 m/z。
分析の質制御:試料の各バッチにつき、ブランク方法およびスパイクを同時に実行した。該スパイクは、分析される試料のうちの1つを2つの部分に分割することによって作成した。該試料は出来る限り均一であるべきである。該第2の部分を、既知の量のヘキサナール, 1 オクテン-3-オールおよびデカジエナールでスパイクした。この添加は、上記のように、抽出手順で、重水素化合物の添加時になされた。該スパイクされた化合物およびスパイクされていない化合物の濃度を、以下の式によって、該%回収として決定した:
【0055】
【数1】

式中、C=添加した試料の濃度[μg/グラム湿重量]
=添加されない試料の濃度[μg/(グラム湿重量)]
Wt=添加した試料の量[グラム]
=試料中に添加したマイクログラム
【0056】
該ダイズ豆粉の添加なしで、該抽出手順の後、ブランク方法を行った。
分析の正確性および精度:該正確性および精度を、均一のダイズ豆粉試料を実行し、該試料を、既知のレベルの該3つの化合物ヘキサナール、1 オクテン-3-オールおよび2,4 デカジエナールでスパイクすることによって決定した。また、スパイクされていない試料を分析して、スパイクされた化合物の回収量を決定した。異なるスパイクレベルを、標準添加方法として使用して、システムエラーによる基準を決定することができる。標準偏差に沿った平均値を決定した。平均値を既知のレベルの物質と比較して、該方法の正確性の予測を得た。該標準偏差は、該測定の正確性を与える。40種子以上を挽いて、該均一なダイズ豆粉を作成することで該種子の変動を平均するため、これらのアプローチは該分析変動を測定するのみであることを理解することが重要であることに注意されたい。より大きな変動が、種子間の変動のため、該実際の決定に対して生じ得る。ヘキサナールについては、該%回収は83.8%であった。1 オクテン-3-オールに対して、該%回収は93.6 %であった。2,4 デカジエナールに対して、該%回収は99.3%であった。該ヘキサナールは、該スパイクアプローチに基づき、最も正確でなかった。これは、該ヘキサナールの揮発性および該方法がヘキサナールに対して低い回収を有するという事実のためと考えられる。該オクテン-3-オールおよび2,4 デカジエナールは、該スパイクアプローチを用いて、より高い程度の正確性を有する。該回収の%相対的標準偏差によって示されるように、該精度は、該ヘキサナールおよび該オクテン-3-オールに対して5%であった。該2,4 デカジエナールに対して、該回収値の該%相対的標準偏差によって測定されるように該精度は1.1%であった。試料サイズは、この均一試料に対して、0.2ないし0.9 グラムでは効果を有することが見出されなかったが、試料間では問題となるであろう。これはテストされなかった。従って、試料サイズが問題でないと分かるまでまたは該方法が調整されるまで、試料サイズは約0.5グラムであるべきである。
全化合物に対する検出範囲は、0.5 マイクログラムないし25 マイクログラムである。標準曲線に、もっと標準を加えることで、該範囲を拡大することができる。
【0057】
実施例2
匂いをあまり生成しないダイズ豆の同定および選択
強力な匂いを、対照ダイズ豆 (Vinton 81)、リポキシゲナーゼ-2欠乏ダイズ豆(QT-1)およびリポキシゲナーゼ 1、2および3欠乏ダイズ豆(IA2025)から作成した豆乳において定量化した。豆乳を、約8時間、25°摂氏 (C)にて、1:5比(1 gm 重量: 5 ml 水)で、水中に乾燥させた清潔な種子を浸漬することによって、各ダイズ豆種から作成した。浸漬水を捨てた後、元の重量の2倍の重量のダイズ豆を排出し、5分間、新鮮な蒸留水(2Xダイズ豆の乾燥重量)と混ぜた。さらなる蒸留水(7Xダイズ豆の乾燥重量)を、20℃にて、約2分間(min.)、該スラリーに混ぜた。該スラリーを、水浴中に、20分間、95°ないし98℃で煮立て、織り目の粗いチーズクロスを介してろ過し、手で絞って、できるだけたくさんの豆乳を絞り出した。該豆乳を、水浴中で、10分間、85°ないし90℃で煮立てることによって低温殺菌して、微生物汚染を減らし、さらなる分析のために、匂いの抽出の前に、4℃で保存した。
【0058】
匂いを該豆乳試料から抽出した。豆乳を、少なくとも30分間、Freon(登録商標) 113の0.67部分で抽出した。該Freon(登録商標)113抽出物の除去後、該水性相をさらに、酢酸エチルの0.67部分で抽出した。酢酸エチル抽出物の収集後、該水性相を捨てた。Freon(登録商標)および酢酸エチルの両方を、硫酸マグネシウムを介してろ過して、出来る限り水を除去し、Buchi 0.1 回転蒸発器を用いて、1 mlまで濃縮した。Freon抽出物を、48 キロパスカル (kPa)下で蒸発させ、酢酸エチルを86 kPa下で蒸発させた。
【0059】
豆乳において生成される強力な匂いを、GC-臭度測定(Acree T. E, Analytical Chem. 69:170A-175A, 1997)を用いて定量化した。GC- GC-臭度測定(Acree T. E, Analytical Chem. 69:170A-175A, 1997)は、スニッフィングポートを有するガスクロマトグラフィーであり、ここに匂い物質としての化学化合物の強度は、気流または一吹きの空気中の匂い物質に対するヒト応答の測定として測定される。12m x 0.32mm 架橋メチルシリコーン溶融石英キャピラリカラム(フィルムの厚み= 0.33μm)を備えたHewlett Packard 6890ガスクロマトグラフを、CharmAnalysis(登録商標) (Acree, T. E.; Bamard, J; Cunningham D. G.; Food Chem. 14, 273-286, 1984)に使用した。該溶出物は、キャリアガスとしてヘリウム(2 ml/分)およびメークアップガスとして窒素(約30ml/分)よりなった。該溶出物を、50%および75%の間まで加湿された99%研究室の空気である空気をスニッフィング(20L/分)することによって混合し、10mm直径シリル化pyrax管を介して、該スニッファーを通過させた。該GCMSオーブンを、6℃/分にて、35℃の初期温度から225℃へ3分にその温度を増加し始めるようにプログラムした。豆乳中のCharmAnalyis(登録商標)のための方法のさらなる詳細は、Yu-Wen Fengによって、コーネル大学の大学院の教職員に提示された博士論文で見つけることができる。
【0060】
リポキシゲナーゼ-2を欠乏する両方のダイズ豆(IA2025, QT-1)は、該対照より低いレベルのヘキサナールを生成した (表2)。全3つのリポキシゲナーゼを欠乏する該ダイズ豆(IA2025)は、最高レベルの2,4 デカジエナールおよび1-オクテン-3-オンを生成したが、リポキシゲナーゼ 2を欠乏する該ダイズ豆 (種 QT-1)は、全ての5つの強力な匂いを有した (表2)。それは、リポキシゲナーゼ-2以外の未知の組成要因が、ダイズ豆中の脂質酸化を制御するのに関与しているという結果から明らかであった。該ダイズ豆種QT-1は、リポキシゲナーゼ-2を含むまたは含まない商業用の匂いのあまりないダイズ豆の種類を作り出すための有用な種として同定した。実施例1の方法を発展させて、QT-1の子孫および低量の2,4 デカジエナール、ヘキサナール、ヘキサノールおよび1-オクテン-3-オールを生成する他のダイズ豆系統を同定した。
【0061】
【表2】

【0062】
表3は、本発明を記載するために該子孫を開発するのに使用されたダイズ豆交配種を記載する。植物育種の標準方法を使用して、これらの系統を発生させた。
【0063】
【表3】

【0064】
実施例3
本発明に従って選択されたダイズ豆系統における匂いをあまり生じず、低色彩で低遊離アミノ酸の特徴の年間および位置間の一致の証明
色評価のため、そのままの種子を試料として収集した。試料からの所望の数の選択された種子を、1分間、1200のrpmにて、Mega-Grinderで挽いて、細かく挽かれたダイズ豆粉を生成した。種子を挽くためのMega-Grinderを、U.S. Patent Pub. 2003/0146313 A1に記載する。新たに挽いたダイズ豆粉を、さらなる分析に使用した。
【0065】
Hunter ラボによって製造されたColorFlex Spectrocolorimeter Model 45/0色測定システムを、製造者によって示唆される標準の操作手順によって、ダイズ豆粉の色を測定するのに使用した(Hunter Associates Laboratory Inc, Reston VA, USA)。色を、ColorFlex手順を用いて、CIE-L*a*b* カラースケール (CIE, Colorimetry, Publication 15.2, Second Edition, Vienna, 1986)上で測定した。International Commission on Illumination - そのフランス語標記Commission Internationale de l'EclairageからCIEと略される-は、光の科学および芸術に関する全ての事柄に関して、そのメンバーの国の間での国際的協力および情報の交換に捧げられた組織である。該L*値は、該ダイズ豆粉の軽さに関し、該b*値は該ダイズ豆粉の青(負数)ないし黄色(正数)に関する。異なる系統から作成されたダイズ豆粉の色値は、表4および5に示す。
【0066】
遊離アミノ酸:挽かれていない試料を、温度/湿度制御され、密閉された(APHIS 認可)部屋に保存した。試料を、CATメガグラインダーを用いて挽いて、ダイズ豆粉を作り出し、種子保存部屋で4℃に保存した。ダイズ豆粉を、4℃で5%TCAによって一晩抽出し、遠心分離し、抽出物を-80℃で保存した。抽出物をろ過し、必要に応じて希釈し、OPA法によって遊離アミノ酸について分析した。該OPA法は、o-フタルジアルデヒド (OPA)を使用して、C18, 逆相HPLCカラム上への注射前に試料を誘導体化する。該誘導体化された、一次アミノ酸を、R基によって効率的に分離し、感度の高い蛍光光度計によって定量的に検出する。この方法に対する相対的な標準偏差は〜3%である。
【0067】
リポキシゲナーゼ活性:試料を、メガ−グラインダーを用いて挽いた。各新たに挽かれた試料を、3通り(5 mg ± 1)に検量し、2-ml 96-ウェル抽出プレートの特異的なウェルに入れた。試料を室温にて1時間、0.1M K2HPO4 (pH 7.0またはpH 9.)で抽出した。遠心分離後、得られた上澄みを使用して、分光光度計を用いて、リノール酸(基質)の消費を測定し、その後、Bio Rad蛋白質色素を用いて、総蛋白質/試料を決定した。リポキシゲナーゼユニットを、1分間の反応間、230nmにて吸収変化を用いることによっておよび消衰係数 (ε =23,000 M-1cm-1)を用いることによって計算した。該反応の間消費された基質の濃度を、各値を式A = εbCに代入することによって計算した。リポキシゲナーゼの1つの単位を、消費された基質のμモル/分およびmg総抽出された蛋白質として定義した。pH 7.0またはpH 9.0にて調製された試薬溶液を用いることによって、このアッセイは、それぞれ、リポキシゲナーゼ-2/-3またはリポキシゲナーゼ-1のレベル(酵素の単位)を測定することを可能にする。リポキシゲナーゼユニット結果を、リポキシゲナーゼ-2および3活性に対してLOX Units pH 7.0としておよびリポキシゲナーゼ-1活性に対してLOX Units pH 9.0として与える。
【0068】
結果:ダイズ豆匂い特徴は、複数の場所(表4)および複数年(表4および5)、成長させた時、持続した。該匂いアッセイ(実施例1に記載)において、低レベルのヘキサナール、ヘキサノールおよび2,4 デカジエナールおよび1-オクテン-3-オールを生成したダイズ豆系統は、高レベルを生成した系統と一貫して異なった(表4)。表4における該ダイズ豆系統を、該系統が生成したヘキサナール + ヘキサノール + 2,4 デカジエナールのレベル順に分けた。例えば、該3つの匂いの65.74 +/- 21.97 μg/gを生成した該表の下部の系統A-18と比較して、該表の頂部の系統A-1は該3つの匂いの18.21 +/- 4.21 μg/gを生成した。ヘキサナールプラス該同一交配種 (例えば、交配種 A)からの該ダイズ豆によって生成されたヘキサノールの量は、生成された2,4 デカジエナールの量と相関し(表6, R2 = 0.85)、遺伝的および組成的変動による同様のメカニズムおよび制御を示唆した。生成された1-オクテン-3-オールのレベルは、ヘキサナール、ヘキサノールおよび2,4 デカジエナールから独立しており(表6, R2 = 0.01)、形成および制御の異なるメカニズムを示唆した。低レベルの1-オクテン-3-オールを生成する2ないし3つの場所で成長されたダイズ豆系統は、高レベルの1-オクテン-3-オールを生成した系統と一貫して異なった。例えば、系統A-18は、4.70 +/- 0.88 μg/g 1-オクテン-3-オールを生成し、系統A-12は14.67 +/- 2.37 μg/g 1-オクテン-3-オールを生成した。より低いレベルの1-オクテン-3-オールおよびより低いレベルの2,4 デカジエナールプラスヘキサナールプラスヘキサノールを生成する遺伝子組成物の組合せを有する系統(例えば、系統 A-6)を選択することができる。
【0069】
【表4−1】

【0070】
【表4−2】

【0071】
【表4−3】

【0072】
【表4−4】

【0073】
【表5−1】

【0074】
【表5−2】

【0075】
【表5−3】

【0076】
【表6】

【0077】
本発明の方法およびダイズ豆を用いて、初めて、匂いをあまり生じず低色彩の品種を良好な収率で開発することができた。
例えば、系統A-1、A-4およびA-6は、商業用チェックのものの90、90.5および104%を得た。
pH 7および9におけるリポキシゲナーゼ活性と、水和ダイズ豆粉からの2,4 デカジエナール + ヘキサナール + ヘキサノールの形成との間はほとんどまたは全く関係がなかった(R-二乗値 <0.35, 表7)。pH 7および9にて有意なリポキシゲナーゼ活性を生成したダイズ豆(系統A-1)は、リポキシゲナーゼ活性を欠乏する系統 (系統C-1)と同様の匂い特性を有した(表5)。また、リポキシゲナーゼ 1、2および3を欠乏する商業的に入手可能なダイズ豆(1999 収穫からのIA2032)を、リポキシゲナーゼ活性および匂い形成につきテストした。pH 7および9にて該3種類のリポキシゲナーゼ-ヌルダイズ豆粉に対してリポキシゲナーゼ活性は全く発見されなかったが、有意なレベルのヘキサナール (23.3 μg/g)、ヘキサノール (14.9 μg/g)、および2,4 デカジエナール (5.8 μg/g)が、本発明の該匂いアッセイにおいて形成された。リポキシゲナーゼ阻害剤を用いる実験の後、少なくとも1つの他のリポキシゲナーゼがこのダイズ豆組成物において活性であると結論付けた。
【0078】
色の薄い蛋白質成分を、特に酪農型製品に対する食品産業によって評価する。ダイズ豆を2ないし3つの場所で成長させて、色のあまりないダイズ豆が選択できたかを決定した。挽いたダイズ豆のb*値(高b*値は、より黄色でありより青でなくことを示す; 表4)から決定されるように、色のあまりないダイズ豆を選択することができることを発見した。例えば、ダイズ豆 A-2は、22.16 +/- 1.39のb*値を有し、ダイズ豆 A-6は、27.35 +/- 2.85のb*値を有した(表4)。相関関係は、2001および2002に育てられたダイズ豆系統の該b*値の間に存在した(R-二乗 = 0.7; 表7)。
【0079】
【表7】

【0080】
遺伝学に加えて環境要因は、ダイズ豆の匂い生成特性に影響を及ぼす組成物に影響する。環境の影響は、2つの時期、2001および2002に育てたダイズ豆系統の匂い生成特性を比較することによって明白になった。作り出された系統に対する2,4 デカジエナール + ヘキサナール + ヘキサノールの範囲は、2001に12-44 μg/gであり、2002に17-65 μg/gであった(表4、5)。ダイズ豆の該1-オクテン-3-オール生成特性は、2001および2002に育てられた該同一系統によって生成された1-オクテン-3-オールの間の相関関係の欠落によって実証されるように、環境要因に最も感受性があるようであった(R-二乗 = 0.07, 表6)。対照的に、2001および2002に該ダイズ豆系統によって生成された2,4 デカジエナール + ヘキサナール + ヘキサノールのレベルは相関した(R2 = 0.62, 表6)。
【0081】
ダイズ豆子孫中の遊離アルギニン (Arg)およびアスパラギン (Asp)の量を決定した。遊離アルギニンおよびアスパラギンの量は相関し(R2 = 0.81, 表7)、該総アルギニンプラスアスパラギンは353ないし3300 μg/g の範囲であった(2001)(表5)。該ダイズ豆中の該遊離アルギニン + アスパラギンは、該ダイズ豆の該選択された匂いまたは色特性に関連しない(R-二乗 < 0.3, 表7)ため、遊離アミノ酸をアッセイして、低2,4 デカジエナール、暗い色および低遊離アミノ酸の組合せを有する系統を選択することが必要である。低遊離アミノ酸ダイズ豆系統を選択することの実行可能性は、2つの異なる年に収穫された系統中の遊離アルギニン + アスパラギンの間の良好な相関関係によって指示された(R-二乗 = 0.8; 表7)。
【0082】
実施例4
低匂い生成特性と、高β-コングリシニン 組成物および低遊離アルギニンおよびアスパラギン組成物および低色彩特性との組合せ
高β-コングリシニン特徴の源は、グリシニンを欠乏し、β-コングリシニンとして該総蛋白質の約55%を含有する突然変異ダイズ豆であった (U.S. Patent 6,171,640)。リポキシゲナーゼアッセイは、上記のように匂いをあまり生成しない系統を選択するのに有用でなかった。商品ダイズ豆にとって正常の範囲内である蛋白質、脂肪およびアミノ酸プロファイルを有するダイズ豆を作り出した。
【0083】
ダイズ豆蛋白質サブユニットの定量:約8つの種子を、メガグラインダーを用いて挽いた( U.S. Patent Pub. 2003/0146313 A1)。各試料につき、〜30 mgの粉を、ヌテーターまたはマルチプレートボルテクサーにて、0.1M DTTを含む1.0mLのLaemmli SDS緩衝液pH 6.8中で、45ないし60分間、抽出した。管を、3ないし5分間遠心分離した。該上澄みの一部を、微小遠心管に移し、上記緩衝液で希釈して、1.2ないし1.5 μg/μL総蛋白質を得た。該試料を3分間煮沸し、冷却し、遠心分離した。予め注型した10ないし20%グラジエント トリス-HCl Criterionゲルに各試料の15-20 μg 蛋白質を負荷した。トラッキング染料がゲルの底に到達するまで(約1.2時間)、1X トリス-グリシン-SDS泳動緩衝液中で180ないし200Vで、ゲルを電気泳動に付した。ゲルを40% メタノール/10% 酢酸中で30-60分間固定し、コロイダルクーマシーブルーG-250で染色した;最小一晩または3日まで。バックグラウンドを取り除くために、該ゲルを脱イオン水で脱染した。該ゲルを、GS 800 目盛り付き濃度計を用いて撮像した。定量化を、Bio-Rad Quantity One ソフトウェアを用いて実施した。該ソフトウェアを使用して、該試料レーン中の各バンドの相対量を決定する。該%グリシニンサブユニットおよび%ベータコングリシニンサブユニットを、該レーンにおいて該総蛋白質の相対的パーセントして報告した。
【0084】
総アミノ酸分析:該試料を3つの方法によってアッセイして、該完全プロファイルを得た。トリプトファンは、水酸化ナトリウムによる塩基加水分解を要した。アミノ酸を含有する硫黄は、塩酸による加水分解前に、過ギ酸による酸化を要した。残留アミノ酸のための該試料の分析は、塩酸による直接酸加水分解を介して達成した。一旦加水分解した後、次いで、該個々のアミノ酸を、自動アミノ酸アナライザーを用いて低量化した(Official Methods of Analysis of AOAC INTERNATIONAL, 2000)。
【0085】
灰分:試料を、550℃の電気炉に入れ、発火させて全ての揮発性有機物を除去した。非揮発性物質の残りを重量測定により定量し、計算して、パーセント灰分を決定した。Official Methods of Analysis of AOAC INTERNATIONAL, (2000).
炭水化物:新鮮な重量から由来するデータおよび以下の式: %炭水化物 = 100 % - (% 蛋白質 + % 脂肪 + % 湿気 + % 灰)を用い、差によって、総炭水化物レベルを計算した。United States Department of Agriculture (1973).
【0086】
ソックスレー抽出による脂肪:砂および硫酸ナトリウムを含有するセルロースシンブルに試料を計量し、乾燥して、過剰の水分を除去した。ペンタンを試料中に滴下して脂肪を除去した。次いで、該抽出物を蒸発させ、乾燥させ、重さを測った。Official Methods of Analysis of AOAC INTERNATIONAL (2000).
湿気:該試料を、約100℃にて、真空オーブン内で、一定の重量まで乾燥させた。該湿気重量喪失を決定し、パーセント湿度に変換した。
蛋白質:該試料中の窒素化合物を、沸騰している硫酸および水銀触媒混合物の存在下で還元してアンモニアを形成した。酸処理物をアルカリ性とした。該アンモニアを蒸留し、次いで、標準酸で倍散した。該パーセント窒素を計算し、因子6.25を用いて蛋白質に変換した。Official Methods of Analysis of AOAC INTERNATIONAL (2000). Bradstreet, (1965). Kalthoff and Sandell (1948).
【0087】
結果:あまり匂いを生成しない特徴を含有するダイズ豆との交配種から選択された高β-コングリシニンダイズ豆系統の集団は、ヘキサナール、ヘキサノール、2,4 デカジエナールおよび1-オクテン-3-オールの形成によって測定されるように、広範囲の匂い生成特性を呈した(表8)。商品ダイズ豆は、β-コングリシニンとしての30%以上の蛋白質およびグリシニンとして25%未満の蛋白質を有する表8のダイズ豆と比較して、β-コングリシニンとして約22%の総蛋白質および約38% グリシニンを含有した。実施例1の該匂いアッセイにおいて、ヘキサナールプラスヘキサノールおよび2,4 デカジエナールの合計の20 μg/g未満を生成するβ-コングリシニンとして30%以上の総蛋白質を有し、また低レベルの遊離アスパラギンおよび遊離アルギニンを含むダイズ豆を作り出した(表8)。例えば、20の高β-コングリシニン系統を本発明によって作り出し、これは20 μg/g未満の合計2,4 デカジエナール+ヘキサナール+ヘキサノールを生じ、遊離アルギニン+アスパラギンの合計は360および2,840 μg/gの挽いたダイズ豆の間であった(表8)。これらの系統の該遊離アスパラギンは、35および1,000 μg/gの間であり、これらの系統の該遊離アルギニンは、挽いたダイズ豆の500および2400 μg/gの間であった。
【0088】
【表8−1】

【0089】
【表8−2】

【0090】
【表8−3】

【0091】
【表8−4】

【0092】
【表8−5】


リポキシゲナーゼ活性は、高β-コングリシニンダイズ豆試料につき有意に変動した。pH 7およびpH 9でのリポキシゲナーゼ活性および該同一ダイズ豆粉から生成された2,4 デカジエナールプラスヘキサナールプラスヘキサノールの総量の間に関連はなかった (R2値 < 0.02)。
さらなる実験を実施して、30%以上のβ-コングリシニンおよび25%未満のグリシニンを有し、あまり色を有さず、商品ダイズ豆の範囲内であるアミノ酸組成物を有するダイズ豆を選択することが出来ることを示した。Roundup Ready(登録商標)特徴も有し、3つの場所で商業的チェックの平均と同じまたはそれより優れた4つの高β-コングリシニンダイズ豆を、選択した。これらのダイズ豆は、平均b*の約22および平均L*の約85によって示されるように、色が薄い特徴を有した (表9)。該アミノ酸組成物 (表9)は、International Life Sciences Institute Crop Composistions Database (Version 1.0, accessed March 22, 2004)に公開されるように、商品ダイズ豆の範囲内(表10)であった。3つの高β-コングリシニンダイズ豆系統(表9)の平均アミノ酸組成物を、ILSIデータベースにおいて、平均ダイズ豆組成物と比較した(表10)。該高β-コングリシニン系統の4つのアミノ酸 (アルギニン、リジン、ヒスチジンおよびセリン)は、商品ダイズ豆の平均的な組成物と10および15%の間異なるが、それでもなお商品ダイズ豆組成物の範囲内であった。
【0093】
また、高β-コングリシニンダイズ豆の官能特性が、さらに、低リノレン酸、中程度オレイン酸ダイズ豆と交配させることによって改良されるであろうことが予測される。該低リノレン酸、中程度オレイン酸ダイズ豆を、Monsantoで、従来の育種を用いて作り出し、それは、該総脂肪酸の約2%のリノレン酸含有量、約25%のリノール酸含有量および約59%のオレイン酸含有量を含む。
【0094】
【表9−1】

【0095】
【表9−2】

【0096】
【表10】

【0097】
実施例5
商品ダイズ豆と本発明に従い選択されたダイズ豆の匂いおよび色特徴の比較
商品ダイズ豆の該匂いおよび色特徴を決定して、本発明のダイズ豆の該匂いおよび色特徴を比較した。いくつかのダイズ豆は、17.5 μg/g未満のヘキサナールプラスヘキサノールを生成し、いくつかは、該匂いアッセイにおいて11 μg/g未満の2,4 デカジエナールを生成した(表11)。しかしながら、商品ダイズ豆のいずれも、穏やかな水性条件下で、酸化後に、挽いた種子の20 μg未満の総2,4 デカジエナールプラスヘキサナールプラスヘキサノール/グラムを生成しなかった。2つの季節に、20 μg/g未満のヘキサナール + ヘキサノール + 2,4 デカジエナールを静止した本発明の4つのリポキシゲナーゼ含有系統を作り出した(表4, 5)。例えば、2001および2002収穫からの系統A-1は、それぞれ、ヘキサナール + ヘキサノールおよび2,4 デカジエナールの合計のうち18.0および18.2 μg/gを生成した(表4, 5)。20以上の高β-コングリシニン系統を本発明によって作り出し、それは、ヘキサナール + ヘキサノールおよび2,4 デカジエナールの合計のうち20 μg/gミンを生成した(表8)。例えば、1つの高β-コングリシニンダイズ豆は、9.7 μg/g ヘキサナール + ヘキサノールおよび3.2 μg/gの2,4 デカジエナールを生成した(表8)。
【0098】
商品ダイズ豆の色は広範囲に及んだ。例えば、該b*値は27ないし34の範囲であった (表11)。本発明の該ダイズ豆系統は、b*の値を22程度まで拡大することがわかった(表4, 表9)。
【0099】
【表11−1】

【0100】
【表11−2】

【0101】
【表11−3】

【0102】
【表11−4】

【0103】
【表11−5】

【0104】
【表11−6】

【0105】
【表11−7】

【0106】
【表11−8】

【0107】
【表11−9】

【0108】
【表11−10】

【0109】
【表11−11】

【0110】
【表11−12】

【0111】
【表11−13】

【0112】
【表11−14】

【0113】
【表11−15】

【0114】
【表11−16】

【0115】
【表11−17】

【0116】
【表11−18】

【0117】
実施例6
匂いをあまり生成しない特徴を、低リノレン酸組成物特徴と組み合わせる能力の実証
この実施例は、匂いをあまり生成しない特徴を、低リノレン酸組成物特徴と組み合わせることが可能であることを示し、さらに、匂いの生成に対する脱皮ダイズ豆の効果を探求する。リノレン酸であるダイズ豆脂肪酸のパーセンテージは、通常、約8%である。従来の育種を用いて、6%未満のリノレン酸およびあまり匂いを生成しない特徴を含有するダイズ豆を作り出すことが可能であった (表12)。
【0118】
1-オクテン-3-オールの形成は、該匂いアッセイにおいて測定された他の揮発性化合物の形成から独立している。1つの仮説は、該ダイズ豆の表面上の菌体酵素が、該アッセイにおける1-オクテン-3-オールの迅速な形成の源であるということである。粉に挽く前に、該種子を脱皮することは、該匂いアッセイにおける菌体酵素のレベルを減少させるはずであると論理付けられた。そのままのダイズ豆は、通常、挽かれて、該匂いアッセイにおいて使用される粉を作り出す。再テストを、注意深く脱皮した6つの匂いがあまりなく、リノレン酸をあまり含有しないダイズ豆系統を用いて実施した。該脱皮種子から形成された1-オクテン-3-オールの量は、そのままの種子のものの約半分であり、これは、皮部分中の真菌および菌体酵素のような成分が1-オクテン-3-オール形成に加担するという仮説を支持する(表3)。リポキシゲナーゼはカビの成長を阻害する役割を果たし得るため、リポキシゲナーゼの不在下では、カビ感染はより大きく、より多くの菌体酵素および1-オクテン-3-オールの形成を招き得る。本発明の該スクリーンによって同定されたリポキシゲナーゼを含有する匂いのあまりないダイズ豆は、より匂いのあるダイズ豆のものより低い1-オクテン-3-オール範囲を有する傾向がある(例えば、表12)。
【0119】
【表12−1】

【0120】
【表12−2】

【0121】
【表12−3】

【0122】
【表12−4】

【0123】
【表12−5】

【0124】
【表13】

【0125】
実施例7
匂い形成に対するpHの効果
本発明によって提供された標準匂いアッセイは、ダイズ豆粉を水に添加することを含み、これは、約pH 6.3での匂い形成を招いた。以下の実験の目的は、この条件下で低レベルの匂いを生成する種が、他のpH条件下でも低レベルの匂いを生成するかを決定することであった。商業用対照ダイズ豆の該匂い生成特性を、匂いをあまり生成しない系統(A-4)と比較した。系統 A-4は、pH 3.0およびpH 5.5、およびpH 7およびpH 9.2にて、低レベルのデカジエナールおよびヘキサナールを生成した(表14)。これらのデータは、広範囲のpH条件にわたり、低レベルの匂いを生成するであろうダイズ豆を選択する方法として、緩衝液なしのアッセイの使用を指示する。最高濃度のヘキサナールおよび2,4 デカジエナールは、pH 9で生成され、そのpHでは、最小量の1-オクテン-3-オールが生成された(表14)。
【0126】
【表14】

【0127】
実施例8
豆乳堆積物に対するダイズ豆蛋白質組成物の効果
この実施例は、本発明の該修飾された蛋白質組成物を有するダイズ豆から作成された豆乳において形成されたより低レベルの堆積物を記載する。蛋白質含有堆積物は、飲料中に粒子を感じるのは望ましくないため、豆乳の官能特性にネガティブな影響を有する。
【0128】
豆乳調製物。対照の匂いのあまりないダイズ豆 (A-4)および約39% β -コングリシニンおよび約13% グリシニンを有するダイズ豆を、メガグラインダーを用いて挽いて、ダイズ豆粉を作成した。各粉試料を50 mLの使い捨てポリプロピレン遠心分離管中の36.75 グラムの水 (4oC)に添加して、該混合物中の蛋白質の最終濃度が3.3%重量ベースにして、15秒間、8の出力制御設定で超音波で分解した。該超音波で分解した試料を、10分間、8,000 rpmにて、4℃で、Eppendorf Centrifuge 5804 Rを用いて遠心分離した。該上澄み(豆乳)を、50 mlの使い捨てポリプロピレン遠心分離管に捨てた。各豆乳 (27.25 グラム)の一部を、もう1つの50 mlの使い捨て遠心分離管に移した。該上記試料を2つ調製して、スクロースの添加における以下の変動に適応させた。スクロース(0.6987 グラム)を、加熱処理の前または後のいずれかに、27.25 グラムの豆乳に添加した。
【0129】
豆乳試料を、5分間、95℃のシリコーンオイル漕に、該50 mlの使い捨て遠心分離管を入れることによって、加熱処理し、次いで、外資量を氷漕に移して冷却し、その後、30日間、冷蔵保存した。やがて、該豆乳試料中に、堆積物が形成された。形成された堆積物の量を以下のように定量化した。該遠心分離管の底の該堆積物を、該管を前後に傾けることによって分散させた。該豆乳試料を、計量した遠心分離管に移し、最終重量を記録した。該管を、該Eppendorf Centrifuge 5804 Rに入れて、2分間、8,000 rpmにて、25℃で遠心分離した。該豆乳上澄みを捨て、残りの該堆積物の重量を計算した。堆積物の量を、豆乳重量のパーセンテージとして記録した(% 堆積物= 100 x 堆積物の重量 /豆乳の重量)。
結果。該対照豆乳は、該高β-コングリシニン 豆乳の少なくとも2倍の堆積物を有した(表15)。
【0130】
【表15】

【0131】
該上記の実施例は、ダイズ豆がリポキシゲナーゼ1、2および3を含有した時でさえ、低レベルの匂いを生成する独特の組成物が作り出されたことを示す。また、官能特性を改善したダイズ豆を選択する能力が示され、ここに、ダイズ豆を、該ダイズ豆中のグリシニン蛋白質、遊離アルギニンおよびアスパラギン、黄色色素および多価不飽和脂肪酸の量および該水性の挽かれたダイズ豆の懸濁液によって生成された匂い 2,4 デカジエナール、ヘキサナール、ヘキサノール、および1-オクテン-3-オールの量に基づいて選択した。2,4 デカジエナール、ヘキサナール、ヘキサノールおよび1-オクテン-3-オールおよびダイズ豆成分および食物において他のさらにより強力な匂いを生成するダイズ豆の潜在性を予測するための方法が開示された。ダイズ豆の匂いの予測のこの方法において、ダイズ豆匂いのこの評価方法において、1ないし4の比率における水中のインキュベートしたダイズ豆粉の値は、2,4 デカジエナールが懸濁液中で室温にて形成され、非常に低レベルの匂いを生じるリポキシゲナーゼ1、2および3を含有するダイズ豆を育種するのが可能であるという元来の観察をもたらした。
また、通常または低い遊離アルギニンおよび遊離アスパラギンを有する30%以上のβ-コングリシニンおよび25%未満のグリシニンを有する内因性ダイズ豆組成物を作り出すことが可能であることを該実施例において示した。さらに、あまり匂いおよび色がない特徴を、高β-コングリシニン組成物と組み合わせることができることが示され、さらなる組合せが、低リノレン酸および中程度オレイン酸ダイズ豆で考えられた。グリシニンは、ダイズ豆成分および食物中の不溶性蛋白質の源であって、飲料中の堆積物および望ましくない食感を作り出す。遊離アルギニンおよびアスパラギンは、さらに2,4 デカジエナールのような匂い化合物と反応して、2 ペンチルピリジンのような強力な匂いを形成する処理の間、アンモニアを形成し得る。リノール酸およびリノレン酸は、匂い形成に対する基質である多価不飽和脂肪酸であり;ダイズ豆中のそれらの含有量を減らすことで、匂いをあまり形成しないようにすることができるであろう。ダイズ豆の色素は、ダイズ豆産物の発色の悪さに寄与し、さらに、該官能応答に影響を及ぼす。一纏めにして、該高β-コングリシニン、低遊離アルギニンおよびアスパラギン匂いのあまりないことおよび色の薄さおよび低多価不飽和脂肪酸ダイズ豆組成物は、ダイズ豆蛋白質成分および官能的に感じの良い食物を作り出すために、本発明の最も評価される組成物である。また、β-コングリシニンがダイズ豆蛋白質のコレステロールおよびトリグリセリド低下特性と関連しており(Duranti et al., 2004)、アテローム硬化症の阻害において関連している(Adams et al., 2004)ため、これらの組成物がダイズ豆蛋白質成分と関連した健康特性を欠乏しないであろうことが認識される。
【0132】
実施例9
匂いのあまりないダイズ豆組成物のさらなる堆積作用分析
実施例8における研究を、以下の変更をもって繰り返した。商品ダイズ豆対照を含んだ(AG3302)。該ダイズ豆を脱皮して、粉を作成し、該粉を、水への添加前にふるいにかけた。該上澄み (豆乳)を、予め計量した遠心分離管に移した。スクロースを添加して、加熱処理して、最終スクロース濃度2.5% (w/w ベース)を作成した。該試料を、21日間、冷蔵庫内に保存した。該遠心分離管中の豆乳堆積物の高さを測定し、次いで、試料を、5分間、8,000 rpmにて遠心分離した。該上澄みを捨て、計量し、該上澄みのpHを決定し(全試料はpH = 6.7を有した)、ペレットを含有する管を計量した。該湿ったダイズ豆堆積物の重量パーセントを、各試料につき計算した (湿ったダイズ豆堆積物の重量% = 100 x湿ったダイズ豆堆積物の重量/(湿ったダイズ豆堆積物の重量 + ダイズ豆上澄みの重量)。
【0133】
蛋白質堆積物形成を減少させる際のHBCおよび匂いのあまりないダイズ豆の有益な効果は、脱皮ダイズ豆を用いて発見した(表16)。該HBC 豆乳は、該匂いのあまりないダイズ豆系統と比較して、2.2倍の堆積物の減少および対照ダイズ豆と比較して7倍の堆積物の減少を有した。驚くべき3.1倍の減少は、該対照と比較して該匂いのあまりないダイズ豆における堆積物において発見された。該匂いのあまりない特徴は、堆積物形成を、遊離基形成および蛋白質酸化を制限することによって減少させることが可能である。これはすなわち、高β-コングリシニンおよび匂いのあまりない特徴を組合せた最適化された組成物のさらなる有益な特性を示した。
【0134】
【表16】

【0135】
実施例 9
脱皮ダイズ豆粉および単離されたダイズ豆蛋白質成分の調製
対照ダイズ豆 (AG3302)およびベータ-コングリシニンとして30%以上の該総蛋白質およびグリシニンとして25%未満の該総蛋白質および2500 マイクログラム/g未満の遊離アルギニンプラスアスパラギン (DJB2104GOR, EXP319AP)を含むダイズ豆を脱皮して、脱皮-ダイズ豆粉を作成し、次いで、さらに処理して、下記の工程に従って、単離されたダイズ豆蛋白質成分を作成した。
【0136】
【表17】

【0137】
1. ダイズ豆を約10%の湿気に調整し、室温に調節する。
2. クラッキングミルを用いることによって、ダイズ豆を砕く。
3. 吸引装置を用いることによって、該砕かれたダイズ豆を脱皮する。
4. 調理器具を用いることによって、該砕かれたおよび脱皮ダイズ豆を50-60℃に調整する。
5. 該調整されたダイズ豆をフレーキングミルを用いてほぐす。
6. ヘキサンでダイズ豆フレークを抽出する。
7. 該脱脂されたダイズ豆飼料を脱溶媒化して、フレークにする。
8. フレークを挽いて粉を作る。
9. 水を300リットルジャックドタンクに添加し、50℃およびpH 9.0に40% NaOHを用いて調整する。該水対ダイズ豆粉比は12/1 (w/w)であった。抽出時間は45分であった。
【0138】
10. 該溶解されたダイズ豆蛋白質を、ディスラッジングディスク遠心機を用いることによって、該抽出スラリーから回収した(背圧, 58-60 psi)。
11. 該澄んだ蛋白質溶液を、塩酸(18%)を添加することによってpH 4.5に調整し、39分間、45℃で反応させた。
12. 該沈殿した蛋白質を、ディスラッジングディスク遠心機を用いて回収した。
13. 該蛋白質凝乳を、酸性水(pH 4.5 +/- 0.1, 30-35℃)を用いて、二回洗浄した。洗浄水対パックされた湿った固体の比率は6:1 (w/w)であった。該蛋白質凝乳を、各洗浄後、ディスラッジングディスク遠心機を用いて回収した(背圧, 58-60 psi)。
14. 該洗浄された凝乳を、水酸化ナトリウム (30%)と混合して、30% NaOHを用いてpHを6.8に調整し、次いで、7.5秒間、116℃にて処理した。次いで、該pHをpH 6.8に調整した。
15. 該蛋白質溶液を、45-55℃に調整し、204-215 ℃の吸気温度、82-88 ℃の外気温度を用いて、噴霧乾燥させた。
16. 該単離ダイズ豆蛋白質成分の窒素溶解性指数を決定した。試料の一部を、2時間、30℃で撹拌しながら、水中で懸濁した。次いで、それを、水で既知の容量まで希釈した。試料抽出物の一部を遠心分離し、アリコートを蛋白質につき分析した。試料の別の一部を、該同一の方法によって、総蛋白質につき分析した。水溶性蛋白質を、総蛋白質のパーセントとして計算し、それは、総窒素のパーセントとして、水溶性窒素に比例した。
【0139】
結果:該ダイズ豆蛋白質粉末 (表18)の窒素溶解性指数は、ダイズ豆蛋白質成分: NSI = 1.4716(% ベータ-コングリシニン) + 7.4502; R-二乗 = 0.9975を作成するのに使用されるダイズ豆中のベータ-コングリシニンの量に正比例した。不溶性蛋白質のレベルの減少は、該ダイズ豆蛋白質成分によって形成される食品の官能特性を改善する(例えば、より滑らかでより爽快な食感)。
【0140】
【表18】

【0141】
ダイズ豆から作成された、該単離されたダイズ豆蛋白質成分の該アミノ酸組成物は、該高ベータ-コングリシニン (HBC)成分の該リジン含有量が、該対照より約6%高かったということを除いて、同様のアミノ酸組成物を有した。
【0142】
【表19】

【0143】
実施例10
脱皮ダイズ豆粉からの培養されたダイズ豆製品の調製
脱皮ダイズ豆粉を、全て2004年に米国で収穫された商品ダイズ豆 (AG3302)、高ベータ-コングリシニンダイズ豆 (DJB2104GOR)および匂いをあまり生成しないダイズ豆系統 (03JBK8-25)から調製した。
方法を使用して、ダイズ豆から作成した培養産物を調製し、テストする:
1. ダイズ豆を、クラッキングミルを用いて割った。
2. 割ったダイズ豆種子を、吸引機を用いて脱皮した。
3. 該ダイズ豆肉 (脱皮ダイズ豆)を、ハンマーミルを通して1パスの間粉砕し、ピンミルを通して5パスの間粉砕した。
4. 脱皮ダイズ豆粉をファイバードラム内でプラスチックバッグに包装した。
5. 該粉の蛋白質含有量を決定した。
6. 該蛋白質含有量が3.5% (重量ベース)になるように、脱皮ダイズ豆粉 (3 ℃)を水 (3 ℃)に添加し、約1ないし2分間、手持ち式ホモゲナイザーを用いて混合した。
7. ダイズ豆粉懸濁液を、プレート熱交換器で温め、次いで、蒸気を注入して、141 ℃にて、3.5秒間、該懸濁液を処理し、脱気し、その後、約4 ℃まで冷却した。
8. 熱処理懸濁液をろ過して、線維を除いて、豆乳を得た。
9. 乳製品風味成分、砂糖(3%)、および塩(0.2%)を、該豆乳に添加して、手持ち式ホモゲナイザーを用いて混合した。
【0144】
10. 風味付けした豆乳を、プレート熱交換器で温め、次いで、蒸気を注入して、141 ℃にて、3.5秒間、該懸濁液を処理し、脱気し、その後、約4 ℃まで冷却し、滅菌容器内にパッケージした。
11. 各々が2.2% 蛋白質を含有する豆乳試料を、滅菌された、クオートジャーに秤量し、マイクロ波にて45ないし60秒間加速した(約 24 ℃)。
12. 砂糖 (3.1%)、バニラエキス(0.4%)および培養されたダイズ豆ヨーグルト(L. Bulgaricus, S. Thermophilus, L. Acidophilus, B. Bifidum, L. Casei, L. Rhamnosus) (8%)を、該豆乳に添加して、該試料を混合した。
13. 培養液を含有する豆乳を、43 ℃にて、インキュベーターに入れ、4時間インキュベートし、取り出し、一晩(4 ℃)冷蔵した。
14. 該pHおよび粘度測定を、冷蔵された試料の上でとり、感覚評価を、試料処方を知らない3人パネルによって実施した。粘度を、20 rpmsにて、Spindle #3を有するBrookfield粘度計を用いて測定した。
結果: DJB2104GORから作成された培養された産物の該風味プロファイルは心地よく、フルーツ味のスムージーに適しているであろう。03JBK8-25から作成された生成物の該プロファイルは心地よく、サワークリームまたはディップ製品に非常に適しているであろう。高ベータ-コングリシニンおよび匂いをあまり生成しない特徴の組合せは、また、心地よい培養された豆乳生成物を作り出すであろうと論理付けられた。該高ベータ-コングリシニン蛋白質物質のより低い粘度は、同じ濃さのレベルで、より高い蛋白質生成物を作り出すのに役立ち得る。
【0145】
【表20】

【0146】
【表21】

【0147】
実施例11
低臭気および高β-コングリシニンの組合せの実施
この実施例は、匂いをあまり生成しない特性の高β-コングリシニン組成物との組合せを記載する。減少したグリシニンおよび増加したβ-コングリシニン含有量を含む匂いのあまりないダイズ豆組成物を生成する能力を実施する。AおよびEのような交配型(表3)を、A3233/B2G2/A1923の起源を有する高ベータ-コングリシニン生殖質と組合せた。蛋白質分析を、以下のとおり実施した:8つのダイズ豆種子をプールし、該CATメガグラインダーを用いて挽いた(SOP Asci-01-0002)。挽いた試料を、4℃で保存した。分析のために、各々からの粉の〜30 mgを、96ウェル 2 mlマイクロタイタープレートのうちの1ウェルにweighedした。蛋白質を、反応剤として0.1Mジチオスレイトール(DTT)を含有する1.0 ml 1X Laemmli SDS緩衝液pH 6.8中で撹拌しながら、1時間、抽出した。遠心分離後、各抽出物の一部を、さらに、SDS緩衝液中で希釈して、0.2-0.5 μg/μL 総蛋白質を得、10分間、90-100℃に加熱し、冷却した。各試料につき、1-2 μg 総蛋白質を、26レーン15% TグラジエントTris/HCl Criterionゲル上に、12チャネルピペットを用いて負荷した。分子量標準および親対照を、各ゲルにおいて、該レーンのうちの1つに含んだ。該ゲルを、該追跡用色素が〜1.2時間で、該ゲルの底に達するまで、電気泳動させ、次いで、Colloidal Coomassie Blue G-250中で、一晩染色し、DI 水中で脱染し、該GS800 Calibrated Densitometerを用いてイメージ化した。定量化を、Bio-Rad Quantity OneTM ソフトウェアを用いて行った。該ソフトウェアを使用して、該試料レーンにおいて、各バンドの相対的な質を決定した。該パーセントグリシニンおよびパーセントβ-コングリシニン蛋白質サブユニットバンドを、該レーンにおいて、該総蛋白質の相対的パーセントとして報告する。該a5-グリシニンサブユニットは定量化されず、総酸性グリシニン値中に含まれなかった。該試料同一性および重量を、Master LIMSTMを用いて追跡する。
【0148】
高β-コングリシニン特徴を有するあまり匂いを生成しないダイズ豆組成物を、あまり匂いがない特徴を有さないいくつかの系統に沿って示す (表22)。複製の匂い分析を、表の最初の線に示す。グリシニンを欠乏し、緩やかな水性条件下、総2,4 デカジエナールプラスヘキサナールの酸化後に挽いた種子の20 μg/g未満の総プラスヘキサナール/グラムを有する組成物を生成したいくつかの系統を示す。生成された該組成物は、他の特徴(例えば、収率、遊離アミノ酸、色および脂肪酸組成物).につき、さらに評価されるであろう。
【0149】
【表22】

【0150】
寄託情報
上記で開示され、請求の範囲で再度引用されるMonsanto Technology LLCのダイズ豆 0119149種子の寄託は、American Type Culture Collection (ATCC), 10801 University Boulevard, Manassas, Va. 20110にブダペスト条約下でなされている。また、該寄託された系統0119149は、実施例および表において本明細書中で使用される命名「A-4」および「03JBK8-25」を有する。該寄託に対する該ATCC受託番号は、PTA-6197であり、寄託の日付は、2004年9月10日であった。該寄託は、30年の期間、または最後の要求後5年後、または特許の有効期間のいずれか長い方の間、保管場所で維持され、必要に応じて、その期間の間、置き換えられるであろう。
* * *
【0151】
本明細書中で開示され主張された全組成物および方法は、本開示に鑑みて、不要な実験なしおよび実行することができる。本発明の組成物および方法が、好ましい具体例に関して記載されているが、本発明の概念、精神および範囲から逸脱せずに、本明細書中に記載の該組成物および方法および該方法の工程においてまたはその順序において、変更を適用し得ることが、当業者には明白であろう。より具体的には、化学的かつ生理学的に関連した特定の剤を、本明細書中に記載の剤と置き換えても、同一または同様の結果が達成されるであろうことが明白であろう。全てのそのような、当業者に明白な同様の置換および修飾は、添付の請求の範囲によって定義されるように、本発明の精神、範囲および概念内にあるとみなされる。
【0152】
引用文献
以下の引用文献は、それらが本明細書中に記載のものに例示的な手順または補助的な他の詳細を提供する限り、引用によって本明細書中に具体的に援用される。
U.S. Patent 5,777,080
U.S. Patent 5,981,781
U.S. Patent 6,171,640
U.S. Patent 6,171,640
U.S. Patent 6,171,640.
U.S. Patent 6,355,296
U.S. Patent 6,444,874
U.S. Patent 6,653,534.
U.S. Patent Appln. 20030074693
U.S. Patent Pub. 2003/0146313 A1
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
総脂肪酸のパーセンテージとして10%を超えるリノ−ル酸、ならびに穏やかな水性条件下での酸化後のグラム当たり20μg未満の総2,4−デカジエナール+ヘキサナール+ヘキサノールを含む、リポキシゲナーゼ1、2および3を含むダイズ豆から生成されたダイズ豆肉組成物。
【請求項2】
総脂肪酸のパ−セントとして4%未満のリノレン酸を含む請求項1記載の組成物。
【請求項3】
グラム当たり2000μg未満の遊離アルギニンおよびグラム当たり400μg未満の遊離アスパラギンを含む請求項1記載の組成物。
【請求項4】
CIE−Lシステムによりモニタ−された30未満のb値および80を超えるL値と測定された色を有し、ここに、Lが明度を示し、bが青(−)〜黄(+)軸上の色相を示す請求項1記載の組成物。
【請求項5】
穏やかな水性条件下での酸化後のグラム当たり、4μg未満の1−オクテン−3−オール含量を含む請求項1記載の組成物。
【請求項6】
β−コングリシニンとして蛋白質の30%を超える請求項1記載の組成物。
【請求項7】
グリシニンとして蛋白質の25%未満である請求項1記載の組成物。
【請求項8】
総脂肪酸の10%と60%との間のリノ−ル酸濃度を有する請求項1記載の組成物。
【請求項9】
β−コングリシニンとして蛋白質の30%を超え、グリシニンとして蛋白質の25%未満であり、グラム当たり5,000μg未満の遊離アルギニンおよびグラム当たり900μg未満の遊離アスパラギンを有するダイズ豆肉組成物。
【請求項10】
グラム当たり2,000μg未満の遊離アルギニンおよびグラム当たり400μg未満の遊離アスパラギンを有する請求項9記載の組成物。
【請求項11】
穏やかな水性条件下での酸化後のグラム当たり4μg未満の1−オクテン−3−オール含量を含む請求項9記載の組成物。
【請求項12】
穏やかな水性条件下での酸化後のグラム当たり20μg未満の総2,4−デカジエナール+ヘキサナール+ヘキサノールを含む請求項9記載の組成物。
【請求項13】
総脂肪酸の1.5%と14%との間のリノレン酸濃度を有する請求項9記載の組成物。
【請求項14】
総脂肪酸の10%と60%との間のリノ−ル酸濃度を有する請求項9記載の組成物。
【請求項15】
リポキシゲナーゼ−2を欠くと定義された請求項9記載の組成物。
【請求項16】
リポキシゲナーゼを欠くと定義された請求項9記載の組成物。
【請求項17】
CIE−Lシステムによりモニタ−された30未満のb値および80を超えるL値により特徴付けられた色を有し、ここに、Lが明度を示し、bが青(−)〜黄(+)軸上の色相を示す請求項9記載の組成物。
【請求項18】
蛋白質のグラム当たり67〜69mgのリジンを含む請求項9記載の組成物。
【請求項19】
蛋白質のグラム当たり72〜80mgのアルギニンを含む請求項9記載の組成物。
【請求項20】
蛋白質のグラム当たり28〜30mgのヒスチジンを含む請求項9記載の組成物。
【請求項21】
穏やかな水性条件下での酸化後にβ−コングリシニンとして蛋白質の30%を超え、グリシニンとして蛋白質の25%未満であり、グラム当たり20μg未満の総2,4−デカジエナール+ヘキサナール+ヘキサノールを有するダイズ豆肉組成物。
【請求項22】
リポキシゲナーゼ−2を欠くと定義された請求項21記載の組成物。
【請求項23】
総脂肪酸の1.5%と14%との間のリノレン酸濃度を有する請求項21記載の組成物。
【請求項24】
総脂肪酸の10%と60%との間のリノ−ル酸濃度を有する請求項21記載の組成物。
【請求項25】
リポキシゲナーゼ−2を欠くと定義された請求項21記載の組成物。
【請求項26】
CIE−Lシステムによりモニタ−された30未満のb値および80を超えるL値により特徴付けられた色を有し、ここに、Lが明度を示し、bが青(−)〜黄(+)軸上の色相を示す請求項21記載の組成物。
【請求項27】
2,4−デカジエナール、ヘキサノ−ル、ヘキサナールおよび1−オクテン−3−オールよりなる群から選択される少なくとも1つの化合物のレベルを決定することを特徴とする、ダイズ豆の匂い生成特性の分析方法。
【請求項28】
化合物のレベルの決定が、約1〜約40分の範囲の期間で約1部のダイズ豆種子粉末および約4部の水の混合物をインキュベートし、ヘキサナール、ヘキサノ−ルおよびデカジエナールについての重水素を含む標準を用いて、2,4−デカジエナール、ヘキサノール、ヘキサナールおよび1−オクテン−3−オールならびにその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの化合物の量を定量することを含むことを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項29】
ダイズ豆種子粉末が外皮を取ったダイズ豆から作成される請求項28記載の方法。
【請求項30】
第1および第2のダイズ豆品種からの1以上のダイズ豆における2,4−デカジエナール、ヘキサノール、ヘキサナール、1−オクテン−3−オールならびにその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの化合物のレベルを測定し、次いで、低レベルの該化合物を持つ種子を生成する品種を選択することを特徴とする、減少した匂い生成特性を持つダイズ豆を生成するダイズ豆品種を得る方法。
【請求項31】
選択された品種の植物と異なる植物とを交配して子孫を生成し、次いで該子孫からの1以上のダイズ豆における2,4−デカジエナール、ヘキサノール、ヘキサナールおよび1−オクテン−3−オールならびにそのいずれかの組合せよりなる群から選択される少なくとも1つの化合物のレベルを測定することをさらに含むことを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項32】
約1〜約40分の範囲の期間で約1部のダイズ豆種子粉末および約4部の水の混合物をインキュベートし、次いで、その1−オクテン−3−オールを測定することにより測定された、種子のグラム当たり5μg未満の1−オクテン−3−オールを含む品種を選択することを特徴とする菌類汚染に抵抗するダイズ豆品種の選択方法。
【請求項33】
0119149と指定され、その代表的な種子が、ATCC受入番号PTA−6197下で寄託されているダイズ豆植物の種子。
【請求項34】
請求項33記載の種子の成長により生成されたダイズ豆植物0119149またはその器官。
【請求項35】
導入遺伝子を含むとさらに定義された請求項34記載のダイズ豆植物。
【請求項36】
ダイズ豆植物0119149に由来したダイズ豆植物の生成方法であって、
(a)ダイズ豆植物0119149の植物と第2のダイズ豆植物とを交配することよりダイズ豆植物0119149に由来した子孫植物を調製し(ここに、ダイズ豆植物0119149の種子試料はATCC受入番号PTA−6197下で寄託されている);
(b)子孫植物とそれ自体または第2の植物とを交配させて、引き続いての世代の子孫植物の種子を生成し;
(c)該種子からの引き続いての世代の子孫植物を成長させ、引き続いての世代の子孫植物とそれ自体または第2の植物とを交配させ;次いで
(d)さらなる3〜10世代の間工程(b)および(c)を繰り返して、ダイズ豆植物0119149に由来した同系のダイズ豆植物を生成する工程を含む該方法。

【公表番号】特表2008−505647(P2008−505647A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520558(P2007−520558)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/024361
【国際公開番号】WO2006/010049
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501231613)モンサント テクノロジー エルエルシー (71)
【Fターム(参考)】