説明

改変バクテリオファージ

本発明は、標的細菌に感染することができる改変バクテリオファージであって、標的細菌に対して毒性であるSASPをコードするα/β低分子量酸可溶性胞子タンパク質(SASP)遺伝子を含み、前記SASP遺伝子が、バクテリオファージおよびSASP遺伝子に対して外来である構成的プロモーターの制御下にある、改変バクテリオファージを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改変バクテリオファージおよび改変バクテリオファージの作製プロセスに関連する。
【背景技術】
【0002】
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、入院期間中に罹る感染症(院内感染症)の最も一般的な原因である(Noskinら、2005年)。黄色ブドウ球菌は、肺、創傷部、皮膚および血液においてしばしば感染症を引き起こし、また、この細菌が産生し得る毒素の数のために、これらの感染症は命を脅かすことがある。
【0003】
S.aureusのほとんどすべての菌株が、薬物を分解する酵素(ペニシリナーゼ)を産生することができるために、ペニシリンに対して今や耐性を有し、また、1959年のメチシリン(ペニシリナーゼ耐性ペニシリン)の導入の45年後、メチシリン耐性S.aureus(MRSA)株が多くの病院で広がっている。より近年では、MRSA株は社会においても問題となっている。多くのMRSA株が、現在では多数の抗生物質に対して耐性がある。
【0004】
MRSAのレベルはアメリカ合衆国および英国の両国の病院において劇的に上昇しており、加えて、新しい市中感染型MRSA(CA−MRSA)株が、1990年代後半に初めて報告されて以降、世界中で急速に蔓延している。これらのCA−MRSA株は、非常に伝染性が強いこと、および多くの場合、これらの株の毒性を非常に強くし得る毒素であるパントン・バレンタイン型ロイコシジンをコードする一連の遺伝子を保有することが証明されている。これらのCA−MRSA株のせいで、MRSA感染症を病院において抑制することがより困難になるのではないかと懸念される(Donegan、2006年)。
【0005】
実際、MRSAは今や、病院における重大(かつ致命的)な問題であるので、病院におけるMRSAの蔓延を最小限に抑え、それによって感染者の数を減らす一手段として感染抑制対策を実行することにかなりの努力が注がれ続けている。特にMRSAに関しては、感染抑制対策には、様々ではあるが、医療従事者による手消毒剤の使用;感染患者および保菌患者のスクリーニング、隔離および隔離看護;ならびにMRSAを保菌する患者および医療従事者の除染が含まれる。細菌の保菌は、何らの関連する病状(例えば、炎症など)も有することなく、通常は低いレベルで細菌が存在することとして定義される。しかしながら、MRSA保菌者は、MRSAのより広範囲の病院社会への蔓延についての著しい危険性を実際に生じさせており、保菌者からのMRSAの除去、特に入院時または入院前における保菌者からのMRSAの除去が、感染抑制プロセスの非常に重要な部分である。
【0006】
S.aureus(したがって、MRSA)の保菌は、表層の皮膚病変部においてだけでなく、鼻、腋窩、鼠蹊部および会陰部において、また、それらの周りで生じる。数多くの研究により、一般集団の25%〜30%がS.aureusを鼻に保菌し、約1%がMRSAを保菌することが報告される。入院患者の間では、保菌率がこれより著しく高くなる。合衆国では、8900万人がその鼻にS.aureusを保菌し、そのうちの230万人がMRSAを保菌すると推定されている(Mainousら、2006年)。したがって、MRSAの鼻内除去が、病院におけるこの潜在的に致死的な生物の蔓延の抑制にとって欠かせないことである。
【0007】
従来の抗生物質に代わるものとして、広い作用スペクトルの抗菌活性を細菌の内部において示すあるタンパク質のファミリーが、α/β型の低分子量の酸可溶性胞子タンパク質(以降、SASPとして理解される)を含む。細菌の内部において、SASPは細菌DNAに結合する:極低温電子顕微鏡観察を使用したこのプロセスの可視化により、SspC(最も研究されているSASP)がDNAを覆い、突き出たドメインを形成し、DNA構造をB様(3.4nmのピッチ)からA様(3.18nm;A様DNAは2.8nmのピッチを有する)へと改変させることが示されている(Francesconiら、1988年;Frenkiel−Krispinら、2004年)。突き出たSspCモチーフは近くのDNA−SspCフィラメントと相互作用し、フィラメントを核タンパク質らせんのすき間のない集合体にする。このようにして、DNAの複製が停止させられ、また、結合した場合、SASPはDNAの転写を妨げる。SASPは、細菌DNAにおける変異がSASPの結合に影響を及ぼさないように、配列非特異的な様式でDNAに結合する(Nicholsonら、1990年)。
【0008】
特許文献1は、SASP遺伝子を取り込むように改変されたバクテリオファージの抗菌剤としての使用を記載する。細菌宿主における改変バクテリオファージの効果的な産生を提供するために、特許文献1は、産生宿主の増殖期間中におけるSASP遺伝子の発現を回避することを目的とする。この目的を達成するために、SASP遺伝子が好ましくは、バクテリオファージの生活環の最後においてのみ活性である溶菌遺伝子プロモーターの制御下にSASP遺伝子を置くように、バクテリオファージの溶菌遺伝子の中に挿入された。そうでない場合には、特にSASP遺伝子が構成的プロモーターの制御下にあったならば、SASP遺伝子産物の存在のために細菌産生宿主の増殖が妨げられると考えられた。あまり好ましくないアレンジメントにおいて、SASP遺伝子は、バクテリオファージ染色体のどこかほかの所に存在させ、かつ、バクテリオファージまたは細菌のプロモーターの制御下に置くことができ、それにより、溶菌サイクルそのまま残され得る。このアレンジメントでは、細菌のプロモーターは非構成的であり、環境刺激によって発現増加され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開WO02/40678
【発明の概要】
【0010】
今回、驚くべきことに、バクテリオファージに依存することなく制御され、かつ、外因的調節またはトランス作用の調節を必要とすることなく、あるいは、それらを有することなく構成的であるプロモーターの制御下にSASPをコードする遺伝子を保有するようにバクテリオファージが改変されている場合、バクテリオファージの効果的な産生が達成され得ることが見出された。多数のコピー体で存在するとき、例えば、標的細胞に感染した後で、前記プロモーターは毒性レベルのSASP発現を行わせる。
【0011】
したがって、第1の局面において、本発明は、標的細菌に感染することができる改変バクテリオファージであって、標的細菌に対して毒性であるSASPをコードするα/β低分子量酸可溶性胞子タンパク質(SASP)遺伝子を含み、SASP遺伝子が、バクテリオファージおよびSASP遺伝子に対して外来である構成的プロモーターの制御下にある、改変バクテリオファージを提供する。
【0012】
第2の局面において、標的細菌に感染することができる改変バクテリオファージを作製するためのプロセスが提供され、このプロセスは、このバクテリオファージをコードする遺伝物質を含む細菌宿主を成長培地において成長させる工程、このバクテリオファージを細菌宿主において複製させる工程、およびこのバクテリオファージを採取する工程を含む。
【0013】
SASP遺伝子が構成的プロモーターの制御下にある改変バクテリオファージの使用は、数多くの利点を有する。SASP遺伝子の発現の制御がバクテリオファージから除かれ、それにより、SASPの産生がファージ遺伝子の発現に依存しなくなる。このことは、バクテリオファージがその完全な生活環を行うことができないときでさえ、SASPが産生されることを可能にする;これは、(バクテリオファージが、プロファージを既に保有する細菌宿主に感染する)重複感染の場合に、また、バクテリオファージDNAの宿主制限の場合に起こり得る。したがって、後述するように、この戦略は、1つのファージタイプが1つの細菌種の多くの異なる菌株を阻害することを可能にする。
【0014】
バクテリオファージは、一般に狭い宿主範囲を有する傾向があるが、SASP遺伝子を構成的プロモーターの制御下に置くことにより、改変バクテリオファージの宿主範囲を広げることができる。これは、細菌がその宿主範囲を限定する重要な手段の1つが、バクテリオファージDNAを、細菌細胞内に入ったときに分解することであるからである。その産生がバクテリオファージに依存しないSASP遺伝子を送達するためのバクテリオファージの使用は、バクテリオファージDNAの死滅がSASPの効力に影響を与え得ないことを意味する。このように、バクテリオファージは、SASPをコードする遺伝子を標的細菌細胞に送達することによって送達ベクターとして作用する。
【0015】
本発明による改変バクテリオファージの産生では、バクテリオファージによって溶原化され得る細菌宿主が要求される。この溶原菌はバクテリオファージの増殖を誘導時に可能にするはずであり、その結果、採取のために十分なバクテリオファージ力価を得ることができる。本発明によれば、SASPは、製造プロセスによって要求される時間範囲内において、すなわち、宿主細胞が死ぬ前において十分なファージ力価の産生を妨げない。
【0016】
本発明による好ましい取り組み方法の1つは、SASP遺伝子を制御するために構成的プロモーターを使用し、その結果、改変バクテリオファージが採取されることになる宿主産生菌株を殺すのに十分なSASPの発現がプロモーターによって促進されないようにすることである。そのようなプロモーターは、細菌のプロモーター(例えば、S.aureus由来のプロモーターなど)であり得る。好ましいプロモーターとしては、S.aureusのプロモーターである、ピルビン酸デヒドロゲナーゼE1成分αサブユニットのためのpdhA、30Sリボソームタンパク質S2のためのrpsB、グルコース−6−リン酸イソメラーゼのためのpgiが挙げられる。これらの配列に対して90%超の同一性を有する配列もまた、本発明に従ってプロモーターに使用することができる。特に好ましいプロモーターは、S.aureus N315(アクセッション番号BAB43211)に由来する、フルクトースビスリン酸アルドラーゼ遺伝子のためのプロモーター(fbaA)、またはこの配列に対して90%超の相同性を示す配列である。SASP遺伝子を発現させるためにfbaAプロモーターを使用することの利点は、このプロモーターが細菌細胞において構成的に発現すること、かつ、S.aureus細胞内のどのような機構によっても調節を受けないと思われることである。加えて、1コピーのfbaA::SASP−Cエレメントは、以下に詳述するように、宿主細胞に対して致死的であるのに十分なSASP−Cを産生せず、そのため、PTSA1.2/Aバクテリオファージの維持および産生を可能にする。しかしながら、標的細菌に感染したときは、(多重感染事象または標的細胞内でのファージ複製に由来する)多数コピーのfbaAプロモーターは、標的の生存性を失わせるようにSASP−Cの十分な発現を行わせる。
【0017】
したがって、バクテリオファージ構築物においてSASPの上流側で使用されるために好適であるプロモーター(例えば、fbaAプロモーターなど)は、2つの特徴的な性質を有する;そのようなプロモーターは、宿主細菌の成長期間中にバクテリオファージの宿主を殺すほど十分には強くない;そのようなプロモーターは、十分なファージ力価の産生を、製造プロセスによって要求される時間範囲内において、すなわち、宿主細胞が死ぬ前において妨げない。しかしながら、そのようなプロモーターは、多数コピーで存在するとき、すなわち、多数コピーのSASP遺伝子が標的細胞に送達された後において、または、標的細胞におけるファージ複製に起因して、毒性レベルのSASPの産生を行わせるようにするには十分に強い。そのような活性を有するプロモーターの選択を、バクテリオファージ構築物をこれらの特性について分析することによって行うことができる。
【0018】
SASP遺伝子の転写、ひいては、SASP遺伝子の発現を制御するプロモーターは、該プロモーターがバクテリオファージに由来せず、かつSASP遺伝子の本来のプロモーターでないという意味で、バクテリオファージおよびSASP遺伝子の両方にとって外来である。このように、ファージはSASP遺伝子の発現の制御に関与しない。
【0019】
細菌宿主は、所与のバクテリオファージに好適な任意の宿主であればよい。宿主は、成熟したバクテリオファージ粒子の宿主内での増殖を行うように誘導されるとき、そのような増殖が終わるまではバクテリオファージを養わなければならない。国際公開WO02/40678は、付録4において、一般的な病原体およびそれらのファージの一部からなるリストを示す。この付録を、本出願において付録1として再利用する。ブドウ球菌属(Staphylococcus)およびクロストリジウム属(Clostridium)の宿主、好ましくは黄色ブドウ球菌およびクロストリジウム・デフィシレ(Clostridium difficile)は特に有用な宿主である。バクテリオファージφ11は黄色ブドウ球菌に感染することができる。バクテリオファージφ11について以下に詳述する。本発明によれば、このバクテリオファージを改変することができる。
【0020】
α/β型SASPの配列を、好ましいα/β型SASPであるバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)由来のSASP−Cを含めて、国際公開WO02/40678の付録1に見出すことができる。
【0021】
SASP遺伝子を含有するように改変されたバクテリオファージベクターは、一般に、SASPjectベクターと名づけられている。SASPjectベクターPTSA1.2/Aの、SASP遺伝子のS.aureus(MRSAを含む)への送達について以下に詳述する。SASP遺伝子が標的細菌に送達されると、それら細菌の内部でSASPが産生され、菌体内において、SASPが細菌DNAに結合し、DNAの立体配座をB様からA様へと変化させる。標的細菌細胞の内部においてSASPが十分に産生されると、病的細胞の生存性の低下を生じさせる;したがって、SASPによって引き起こされる毒性は用量依存的であり、その毒性は結果として、プロモーター活性および存在するプロモーター::SASPコピー体の数に依存する。
【0022】
一般に、SASP遺伝子およびそのプロモーターはバクテリオファージゲノム内のどこにでも配置することができる。しかしながら、改変バクテリオファージが非溶菌性であることが、病原性細菌を標的化するためには好ましい。これは、感染した細菌を溶解するためにファージにより要求される1つまたは複数の遺伝子の除去または不活性化によって達成することができ、最も好ましくは、溶菌遺伝子の少なくとも1つを不活性化することによって達成することができる。好ましい実施形態において、SASP遺伝子は溶菌遺伝子の1つに挿入されるか、または溶菌遺伝子が毒素遺伝子で置き換えられる。感染した細菌を溶解するための遺伝子としては、バクテリオファージホリン遺伝子および/またはアミダーゼ遺伝子が挙げられる。これらの遺伝子の1つまたは複数をSASP遺伝子によって中断または置換することができる。改変バクテリオファージにその標的細菌宿主を溶解させないようにすることにより、SASPの継続した発現および蓄積が、場合により、細菌宿主の溶解をこのバクテリオファージが通常の場合に生じさせる時間を超えて可能になる。
【0023】
さらなる局面において、本発明は、本明細書中で定義する改変バクテリオファージと、そのためのキャリアとを含む、細菌の細胞成長を阻害または予防するための組成物を提供する。そのような組成物は広範囲の様々な用途を有することができ、意図された用途に応じて処方される。そのような組成物は、特にヒトの処置のための医薬品として処方することができ、また、細菌感染症を含めて、様々な状態を処置することができる。本発明に従って処置可能なそのような感染症には、局所的な感染症、虫歯、呼吸器感染症、眼感染症、ならびに限局性の組織感染症および臓器感染症がある。キャリアは、医薬的に許容される受容体または希釈剤であり得る。そのような組成物の成分の正確な性質および量は経験的に決定することができ、部分的には組成物の投与経路に依存する。
【0024】
被投与者に対する投与経路としては、経口、口内、舌下、経鼻、吸入、局所的(眼科的を含む)、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下および関節内が挙げられる。使用の便宜上、本発明による投与量は、治療または予防される感染の部位および種類による。呼吸器感染症を吸入投与によって処置することができ、眼感染症を、点眼薬を使用して処置することができる。改変バクテリオファージを含有する口腔衛生製品もまた提供される;歯垢形成に関連する細菌を除くために処方された本発明による改変バクテリオファージを含有する口内洗浄剤または練り歯磨きを使用することができる。
【0025】
本発明による改変バクテリオファージは、例えば、表面の細菌汚染の処理においてだけでなく、土壌修復または水処理においても、細菌除染剤として使用することができる。バクテリオファージは、除染用薬剤として、例えば、手消毒剤における除染用薬剤として、医療関係者および/または患者の処置において使用することができる。作業表面および作業設備の処置、特に、病院での行為において、または食品調理において使用される作業表面および作業設備の処置もまた提供される。1つの具体的な実施形態は、細菌の保菌および個体から個体への汚染を予防し、排除し、または減らすための局所使用のために処方された組成物を含む。これは、従来の抗生物質に対して耐性を有する細菌が蔓延している病院環境では、特に、微生物感染症の伝染を制限するために重要である。そのような使用のために、改変バクテリオファージは、CaCl(10mM)およびMgCl(1mM)を含有するTris緩衝生理食塩水に含有され得るか、あるいは、ゲルまたはクリームに処方され得る。複数回の使用のために、保存剤を加えることができる。あるいは、製造物を凍結乾燥することができ、賦形剤、例えば、糖(例えば、スクロースなど)などを加えることができる。
【0026】
次に、単に例として、添付の図面および下記の実施例を参照して、本発明をさらに詳しく記載する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ホリン遺伝子およびアミダーゼ遺伝子、ならびにこれらの遺伝子および隣接DNAを増幅するためのプライマー作用部位を示す、S.aureusファージφ11の領域。
【図2】クローン化された領域と、pSA1の逆PCRのためのプライマー作用部位の存在位置とを示す、pSA1の図。
【図3】カドミウム耐性(Cd)遺伝子および隣接するφ11DNAを伴うクローン化されたプロモーター−saspC領域を、関連するプライマー作用部位の存在位置と一緒に示す、pSA4の図。
【図4】外来遺伝子によるホリン遺伝子の置換を示す、PTL1003のゲノムにおけるDNAの配置。野生型φ11のゲノムにおける遺伝子の配置を比較のために示す。
【図5】S.aureusの菌株に対するPTSA1.2/Aの効力を示す殺菌曲線の一例。SASPject PTSA1.2/Aを感染させたS.aureus細胞の生存性の低下を示す。S.aureus菌株を5×10細胞/mlの密度に成長させた。その後、培養物を分け、生成物PTSA1.2/A(1×1010個)を1つのアリコートに加え、インキュベーションを続けた。サンプルを感染後30分および1時間毎に採取して、残存する生細菌の数を数えた。
【図6】PTSA1.2/Aの殺菌能を、SASP遺伝子を有しない同じファージと比較する殺菌曲線。SASPject PTSA1.2/A(φ11:ホリン::SASP−C)を感染させたS.aureus細胞とSA0/A(φ11:ホリン::SASP−C)との比較を示す。S.aureus菌株を5×10細胞/mlの密度に成長させた。その後、培養物を分け、生成物PTSA1.2/A(1×1010個)を1つのアリコートに加え、ファージSA0/A(1×1010個)を1つのアリコートに加え、インキュベーションを続けた。サンプルを感染後30分および1時間毎に採取して、残存する生細菌の数を数えた。
【図7】S.aureusの菌株に感染するPTSA1.2/Aの殺菌曲線。S.aureusのPTSA1.2/Aモノ溶原菌に対するSASPject PTSA1.2/Aの影響を示すグラフである。PTSA1.2/Aにより溶原菌化されたS.aureus菌株を5×10細胞/mlまたは5×10細胞/mlの密度に成長させた。密度が5×10細胞/mlである細胞には1×1010個のPTSA1.2/A粒子を加え、密度が5×10細胞/mlである細胞には1×10個のPTSA1.2/A粒子を加えた。サンプルを感染後30分および1時間毎に採取して、残存する生細菌の数を数えた。
【発明を実施するための形態】
【0028】
SASP−Cをフルクトースビスリン酸アルドラーゼホモログ(fbaA)プロモーターの制御下に保有する遺伝子改変バクテリオファージの構築の概要
遺伝子を、相同組換えを使用して除くことができ、またファージゲノムに加えることができる。外来の遺伝子およびプロモーターを保有するファージを構築することができる方法がいくつかあり、下記はそのような方法の一例である。
【0029】
φ11誘導体を構築するために、単に一例としてであるが、E.coli/S.aureusのシャトルベクターを使用して、S.aureusのフルクトースビスリン酸プロモーターホモログの制御下において、ファージのホリン遺伝子がどのようにしてSASP−Cのための遺伝子により置換されているかを示す(これ以降、フルクトースビスリン酸アルドラーゼプロモーターを示すためにfbaAを使用する)。重金属カドミウムに対する耐性のための遺伝子(以降、Cdという)が、非抗生物質耐性マーカーとして使用される。
【0030】
fbaA−SASP−C領域およびCd領域が、φ11ホリン遺伝子に隣接するφ11 DNAの2つの領域の間にクローン化された。続いて、このプラスミドが細胞に導入され、ホリンがfbaA−SASP−C領域およびCd領域により置換された二重組換え体が選択された。
【0031】
実験手順
すべてのPCR反応が、製造者の説明書に従って、Expand High Fidelity PCRシステム、およびプライマーの融解温度(T)に依存するストリンジェントな条件を使用して行われた。別途の記載がない限り、一般的な分子生物学的手法、例えば、制限酵素消化、アガロースゲル電気泳動、T4DNAリガーゼ依存性連結、コンピテント細胞の調製および形質転換などは、Sambrookら(1989年)に記載の方法に基づいた。DNAを、Qiagen DNA精製キットを使用して酵素反応液から精製し、細胞から調製した。S.aureus細胞を、SchenckおよびLadagga(1992年)によって記載されるような方法を使用して、エレクトロポレーションによってプラスミドDNAで形質転換した。
【0032】
プライマーを、Sigma Genosysから得た。プライマーが制限酵素のための制限配列を含む場合、追加の2ヌクレオチド〜6ヌクレオチドが、増幅されたPCR DNAの消化を確実にするために5’末端に付加された。
【0033】
すべてのクローン化が、別途の記載がない限り、各書(Sambrookら、1989年)に記載されるように、DNAをT4DNAリガーゼにより一晩連結し、その後、DNAをE.coliクローニング株(例えば、DH5aまたはXL1−Blueなど)に形質転換し、選択培地での単離を行うことによって達成される。
【0034】
E.coli/S.aureusのシャトルベクター(pSM198と呼ばれる)が、遺伝子を、E.coliと、S.aureusとの間で移し替えるために使用された。プラスミドpSM198は、E.coliクローニングベクターpUC18と、S.aureusプラスミドpT181のテトラサイクリン耐性領域および複製領域とを組み合わせることによって前もって作製された。このプラスミドは、E.coliおよびS.aureusにおいて選抜され得る耐性マーカーを保有する。このプラスミドはpUC18の多重クローニング部位(MCS)を保持しているが、必ずしもすべての部位が特異的部位として残存するわけではない。pSM198のMCSにおける残存する特異的部位は、PstI、SalI、BamHI、SacIおよびEcoRIである。
【0035】
fbaA−SASP−C/Cdによるφ11ホリン遺伝子の標的置換のためのプラスミドの構築
1.溶菌遺伝子にまたがるφ11の1.8kbフラグメントを含有するpBluescriptSK+を含むプラスミドpSA1を下記のように構築した。図1は、φ11ゲノム由来領域を増幅するための下記のオリゴヌクレオチドについてのプライマー作用部位を示す。
【0036】
プライマーB1001およびプライマーB1002を使用してφ11DNAのPCR増幅を行い、1.8kbのフラグメントを得て、これを洗浄し、XbaIおよびPstIにより消化した。消化後、DNAを洗浄し、XbaIおよびPstIにより消化されたpBluescriptSK+にクローン化し、これにより、pSA1を得た。
【0037】
プライマーB1001(配列番号1)は5’側のPstI部位(下線部)を含み、その後に、塩基39779から塩基39798までのφ11の配列(Genbank:AF424781)が続く(図1参照)。プライマーB1002(配列番号2)はXbaI部位(下線部)を含み、その後に、塩基41537から塩基41556までのφ11の逆相補配列が続く(図1参照)。
B1001(配列番号1)
5'-AACTGCAGGTGTATTGCAACAGATTGGCTC-3'
B1002(配列番号2)
5'-GCTCTAGACTTTGCTCCCTGCGTCGTTG-3'
【0038】
2.逆PCRを、プライマーB1003(配列番号3)およびプライマーB1004(配列番号4)を使用して、テンプレートとしてのpSA1に対して行った(図2参照)。
【0039】
プライマーB1003は5’側のBamHI部位(下線部)を含み、その後に、塩基40454から塩基40469までのφ11の逆相補配列が続く(図2参照)。プライマーB1004は5’側のSpeI部位(下線部)を含み、その後に、塩基40891から塩基40911までのφ11の配列が続く(図2参照)。
B1003(配列番号3)
5'-CGGGATCCGACTAAAAATTAGTCG-3'
B1004(配列番号4)
5'-GGACTAGTGAATGAGTATCATCATGGAGG-3'
【0040】
このPCR反応により、φ11のレフトアーム、pBluescriptSK+プラスミド全体およびφ11のライトアームから成る約4.2kbのフラグメントが得られた。このフラグメントをBamHIおよびSpeIにより消化し、洗浄し、続いて、下記のフラグメントでクローン化するためにベクターとして使用した。
【0041】
3.pI258由来のカドミウム耐性領域を、プライマーB1005およびプライマーB1006を使用してPCRによって増幅し、これにより、約2.8kbのフラグメントを得た。このPCR産物を洗浄し、BamHIおよびXBaIにより消化した。消化されたPCR産物を洗浄し、(PCR増幅され、消化された)pSA1(上記)にクローン化し、これにより、pSA2を作製した。
【0042】
プライマーB1005(配列番号5)は、pI258由来の推定されるカドミウム応答性調節タンパク質遺伝子cadC(Genbank:J04551)のためのATGから308bp上流側のDNAに対して相補的であり、その3’末端がATGに最も近い(図3参照)。このプライマーの5’末端は、クローン化を助けるためのBamHI部位(下線部)を伴う非相補的なテールを有する。
【0043】
プライマーB1006(配列番号6)は、最後の3つの相補的なヌクレオチドがcadA遺伝子の停止コドンTAGに対して相補的であるように、プラスミドpI258由来のカドミウム耐性タンパク質のためのcadA遺伝子の3’末端においてDNAに対して相補的である(図3参照)。5’末端は、クローン化を助けるための非相補的なXbaI部位(下線部)を有する。
B1005(配列番号5)
5'-CGATGGATCCTCTCATTTATAAGGTTAAATAATTC-3'
B1006(配列番号6)
5'-GCAGACCGCGGCTATTTATCCTTCACTCTCATC-3'
【0044】
4.φ11のレフトアームおよびライトアームと、Cdとを含有するDNAを、PstIおよびSacIを使用してpSA2から切り出し、ゲル精製してベクターから分離した。このフラグメントを、PstIおよびSacIにより同様に切断されたシャトルベクターpSM198にクローン化した。クローンを制限フラグメントについてスクリーニングし、候補体を配列決定のために送った。正しいプラスミド構築物を確認し、pSA3と名づけた。このプラスミドを、下記のフラグメントでクローン化するために使用した。
【0045】
5.B1007およびB1008を使用してfbaAプロモーターのPCR増幅により、約300bpのフラグメントが得られ、これを洗浄し、続いて、NcoIにより消化し、その後、再び洗浄した。
【0046】
fbaAのPCRフラグメントをB.megaterium由来のSASP−Cコード配列に連結した。SASP−C遺伝子の増幅および調製を下記に記載する。
【0047】
プライマーB1007(配列番号7)は、BamHI部位を含む5’側の配列テールを含み、その後には、S.aureus NCTC8325のゲノム(Genbank:CP000253)に由来する塩基2189404から塩基2189427までの逆向き相補部分が続く(図3参照)。
【0048】
オリゴヌクレオチドB1008(配列番号8)は、NcoI部位と、その後に、S.aureus NCTC8325のゲノムに由来する塩基2189214から塩基2189232までの配列とを含む配列テールを含む(図3参照)。PCR産物が、このプライマーを使用して作製されるとき、遺伝子のATGにおいてプライマーに取り込まれるNcoI部位により、ATGの2ヌクレオチド上流側の塩基の、TからCへの変化が生じる。
B1007(配列番号7)
5'-CTACGGATCCTTTATCCTCCAATCTACTTATAAA-3'
B1008(配列番号8)
5'-CATGCCATGGAAGTTCCTCCTTGAGTGCT-3'
【0049】
6.B.megateriumのKM株(ATCC13632)に由来するSASP−C遺伝子をプライマーB1009およびプライマーB1010によるPCRによって増幅し、約300bpのフラグメントを得た。このPCR産物を洗浄し、NcoIにより消化した。消化されたPCR産物を洗浄し、下記のように、fbaAのPCRフラグメントとの連結において使用した。
【0050】
オリゴヌクレオチドB1009(配列番号9)は、NcoI部位を含有する5’側のテールを含み、B.megateriumのKM株に由来する、SASP−C(寄託番号K01833)のATGから始まる最初の20ヌクレオチドに対して相補的である(図3参照)。このオリゴヌクレオチドの開始部におけるNcoI部位はSASP−C遺伝子のATGを取り込む。
B1009(配列番号9)
5'-CGATCCATGGCAAATTATCAAAACGC-3'
【0051】
オリゴヌクレオチドB1010(配列番号10)は、BglII部位(下線部)、およびEcoRI部位(二重下線部)、それに続いて、SASP−C遺伝子の停止コドンの59塩基下流側から始まり、停止コドンの74塩基下流側までのDNAの逆相補部分を含む。(図3参照)。
B1010(配列番号10)
5'-AGTGAGATCTGAATTCGCTGATTAAAAGAAAC-3'
【0052】
7.fbaAおよびSASP−CのPCRフラグメント(これらはともに、NcoIにより切断された)を、T4DNAリガーゼを使用して連結した。連結されたDNAをPCRのためのテンプレートとして使用して、連結されたfbaA DNAおよびSASP−C DNAを増幅した。PCRを、プライマーB1007およびプライマーB1010を使用して行った。約500bpの主PCR産物をゲル精製した。このPCR産物をBamHIおよびBglIIにより消化し、洗浄した。このフラグメントを、下記のように調製されたpSA3にクローン化した。プラスミドをBamHIにより切断し、両端を、子ウシ腸アルカリホスファターゼ(CIAP)を使用して脱リン酸化した。DNAを再び洗浄した。
【0053】
プラスミドをスクリーニングし、その結果、SASP−C遺伝子の末端がφ11の「レフトアーム」領域に隣接するようにし、かつ、fbaAプロモーターの開始部が塩化カドミウム耐性領域に隣接するようにした。fbaA−SASP−Cを有する得られたプラスミドをpSA4と名づけた。
【0054】
fbaA−SASP−CおよびCdマーカーによるS.aureusファージφ11由来のホリン遺伝子の置換
1.pSA4をS.aureusのPTL47株に形質転換した。PTL47はRN4220におけるφ11のモノ溶原菌である。
【0055】
2.pSA4のφ11レフトアームと、φ11ライトアームとの間に含有されるDNAが、ファージゲノムにおけるφ11レフトアームと、φ11ライトアームとの間のDNA(すなわち、ホリン遺伝子)により置き換えられている二重乗換えを受けた細胞は、下記の表現型を有するコロニーを生じさせた:CdCl(0.1mM)耐性、テトラサイクリン(5μg/ml)感受性。シャトルベクターpSM198はテトラサイクリン耐性を有する。テトラサイクリン耐性の喪失はpSM198の喪失を示す。CdCl、テトラサイクリンの表現型を有したコロニーを、コロニーPCRによってさらにスクリーニングした。
【0056】
3.PCR反応を行って、ホリン遺伝子がもはや存在しないこと、ならびにfbaA−SASP−C遺伝子およびCdClR遺伝子がφ11プロファージゲノムに存在し、かつ正しく配置されることを調べた。PCRフラグメントを配列決定して、単離体が、特にfbaAおよびSASP−Cの領域において、予想された配列を有することを確実にした。
【0057】
確認されたプロファージ構築物をこのように特定し、代表物を選択し、PTL1001と名づけた。
【0058】
4.ファージを熱ショックによってPTL1001株の培養物から誘導し、細胞をリソスタフィン(0.25μg/ml)により溶解し、その後、0.2μmのフィルターでろ過し、これにより、粗製の無細胞ファージ溶解物を得た。
【0059】
5.この溶解物を使用して、S.aureusの8325−4株に感染させた。感染混合物をφVPB(10g/lの塩化ナトリウムを含有する植物ペプトン培養液)+CdCl(0.1mM)の寒天平板に置床して、溶原菌について、37℃での一晩の成長の後で選択した。
【0060】
6.溶原菌を、上述したコロニーPCRによって調べた。確認された溶原菌を特定し、PTL1002と名づけた。
【0061】
7.PTL1002をφVPB寒天で5回継代した。このとき、それぞれの継代で、単一コロニーを選び、単一コロニーに再び画線培養した。
【0062】
8.単一コロニーを選び、PCRおよび配列決定によって再び分析した。確認された単離体をPTL1003と名づけた。この溶原菌株によって保有されるファージはPTSA1.2/Aと呼ばれる(図4参照)。
【0063】
SASPjectベクターPTSA1.2/Aは、5つの認識されているscc−mecタイプのそれぞれに属するメチシリン感受性S.aureus(MSSA)株およびMRSA株を含めて、S.auresuの様々な菌株および臨床単離体のパネルに対して試験されている。1つのS.aureus株に対するPTSA1.2/Aの効力を示す殺菌曲線の一例を図5に示す。
【0064】
PTSA1.2/Aの殺菌能を、SASP遺伝子を有しない同じファージ(ファージSA0/A)と比較した殺菌曲線を図6に示す。この図により、殺菌速度がSASPの存在に起因することが確認される。
【0065】
PTSA1.2/Aのモノ溶原菌であるS.aureus株に感染するPTSA1.2/Aの殺菌曲線を図7に示す。この図は、このファージに対する重複感染免疫性が、SASPが感染細胞を阻害することを妨げないことを示す。
【0066】
参考文献
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Francesconi,S.C.、MacAlister,T.J.、Setlow,B.およびSetlow,P.、1988年、枯草菌の出芽細胞における低分子量酸可溶性胞子タンパク質の免疫電子顕微鏡法による位置確認、J.Bacteriol.170:5963−5967。
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Mainous,A.G.III、Hueston,W.J.、Everett,C.J.およびDiaz V.A.、2006年、合衆国の2001年〜2002年における黄色ブドウ球菌およびメチシリン耐性S.aureusの鼻腔保菌、Annals of Family Medicine 4:132−137。
Nicholson,W.L.、Setlow,B.およびSetlow,P.、1990年、枯草菌由来の低分子量酸可溶性胞子タンパク質によるインビトロでのDNAの結合およびDNAトポロジーに対するこの結合の影響、J.Bacteriol.172:6900−6906。
Noskin,G.A.、Rubin,R.J.、Schentag,J.J.、Kluytmans,J.、Hedblom,E.C.、Smulders,M.、Lapetina,E.およびGemmen,E.、2005年、合衆国における病院での黄色ブドウ球菌感染症の負担:2000年および2001年の全国入院サンプルデータベースの分析、Arch Intern Med 165:1756−1761。
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Schenk,S.およびR.A.Laddaga、1992年、黄色ブドウ球菌のエレクトロポレーションのための改善された方法、FEMS Microbiol.Lett.73:133−138。
【0067】
付録1
一般的な病原体およびそれらのファージの一部のリスト(このリストは網羅的ではなく、代表的なものである)。
大腸菌ファージ:
バクテリオファージλ
バクテリオファージ933W(大腸菌O157:H7)
バクテリオファージVT2−Sa(大腸菌O157:H7)
大腸菌ファージ186
大腸菌ファージP1
大腸菌ファージP2
大腸菌ファージN15
バクテリオファージT3
バクテリオファージT4
バクテリオファージT7
バクテリオファージKU1
サルモネラ菌種(Salmonella spp)のバクテリオファージ:
バクテリオファージFelix
バクテリオファージP22
バクテリオファージL
バクテリオファージ102
バクテリオファージ31
バクテリオファージF0
バクテリオファージ14
バクテリオファージ163
バクテリオファージ175
バクテリオファージVir
バクテリオファージViVI
バクテリオファージ8
バクテリオファージ23
バクテリオファージ25
バクテリオファージ46
バクテリオファージE15
バクテリオファージE34
バクテリオファージ9B
志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)のバクテリオファージ:
バクテリオファージφ80
バクテリオファージP2
バクテリオファージ2
バクテリオファージ37
コレラ菌(Vibrio cholerae)のバクテリオファージ:
バクテリオファージfs−2
バクテリオファージ138
バクテリオファージ145
バクテリオファージ149
バクテリオファージ163
マイコプラズマ・アルスリチジス(Mycoplasma arthritidis)のバクテリオファージ:
バクテリオファージMAV1
連鎖球菌属細菌のバクテリオファージ:
バクテリオファージCP−1
バクテリオファージφXz40
バクテリオファージ1A
バクテリオファージ1B
バクテリオファージ12/12
バクテリオファージ113
バクテリオファージ120
バクテリオファージ124
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のバクテリオファージ:
バクテリオファージD3
バクテリオファージφCTX
バクテリオファージPP7
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)のバクテリオファージ:
バクテリオファージS2
バクテリオファージHP1
バクテリオファージflu
バクテリオファージMu
黄色ブドウ球菌のバクテリオファージ:
バクテリオファージTwort
バクテリオファージtIII−29S
バクテリオファージφPVL
バクテリオファージφPV83
バクテリオファージφ11
バクテリオファージφ12
バクテリオファージφ13
バクテリオファージφ42
バクテリオファージφ812
バクテリオファージK
バクテリオファージP3
バクテリオファージP14
バクテリオファージUC18
バクテリオファージ15
バクテリオファージ17
バクテリオファージ29
バクテリオファージ42d
バクテリオファージ47
バクテリオファージ52
バクテリオファージ53
バクテリオファージ79
バクテリオファージ80
バクテリオファージ81
バクテリオファージ83
バクテリオファージ85
バクテリオファージ93
バクテリオファージ95
バクテリオファージ187
クラミジア属細菌のバクテリオファージ:
バクテリオファージφCPAR39
マイコバクテリオファージ:
バクテリオファージL5
バクテリオファージLG
バクテリオファージD29
バクテリオファージRv1
バクテリオファージRv2
バクテリオファージDSGA
リステリア菌(Listeria monocytogenes)のバクテリオファージ:
バクテリオファージA118
バクテリオファージ243
バクテリオファージA500
バクテリオファージA511
バクテリオファージ10
バクテリオファージ2685
バクテリオファージ12029
バクテリオファージ52
バクテリオファージ3274
肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)のバクテリオファージ:
バクテリオファージ60
バクテリオファージ92
ペスト菌(Yersinia pestis)のバクテリオファージ:
バクテリオファージR
バクテリオファージY
バクテリオファージP1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的細菌に感染することができる改変バクテリオファージであって、標的細菌に対して毒性であるSASPをコードするα/β低分子量酸可溶性胞子タンパク質(SASP)遺伝子を含み、前記SASP遺伝子が、バクテリオファージおよびSASP遺伝子に対して外来である構成的プロモーターの制御下にある、改変バクテリオファージ。
【請求項2】
前記SASPがB.megateriumのSASP−Cを含む、請求項1に記載の改変バクテリオファージ。
【請求項3】
改変されたS.aureusバクテリオファージを含む、請求項1または請求項2に記載の改変バクテリオファージ。
【請求項4】
前記S.aureusバクテリオファージがφ11バクテリオファージである、請求項3に記載の改変バクテリオファージ。
【請求項5】
前記プロモーターが、pdhA、rpsB、pgi、fbaA、およびそれらに対して90%超の同一性を有する配列から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の改変バクテリオファージ。
【請求項6】
前記細菌fbaAプロモーターがS.aureus由来である、請求項5に記載の改変バクテリオファージ。
【請求項7】
非溶菌性である、先行する請求項のいずれかに記載の改変バクテリオファージ。
【請求項8】
毒素遺伝子がその溶菌遺伝子に挿入される、請求項7に記載の改変バクテリオファージ。
【請求項9】
ホリンである、請求項7または請求項8に記載の改変バクテリオファージ。
【請求項10】
標的細菌に感染することができる改変バクテリオファージであって、fbaA構成的プロモーターの制御下にB.megateriumのSASP−Cをコードする遺伝子が挿入されるホリン遺伝子を有するφ11バクテリオファージを含む、改変バクテリオファージ。
【請求項11】
非抗生物質耐性マーカーをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の改変バクテリオファージ。
【請求項12】
前記非抗生物質耐性マーカーがカドミウム耐性マーカーである、請求項11に記載の改変バクテリオファージ。
【請求項13】
先行する請求項のいずれかに記載の改変バクテリオファージと、そのためのキャリアとを含む、細菌の細胞成長を阻害または予防するための組成物。
【請求項14】
局所使用のために処方される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
医薬品として使用される、請求項1〜12のいずれかに記載の改変バクテリオファージ。
【請求項16】
細菌除染剤としての、請求項1〜12のいずれかに記載の改変バクテリオファージの使用。
【請求項17】
細菌の細胞成長を阻害または予防するための医薬品を調製するための、請求項1〜12のいずれかに記載の改変バクテリオファージの使用。
【請求項18】
標的細菌に感染することができる改変バクテリオファージを作製するためのプロセスであって、先行する請求項のいずれかに記載のバクテリオファージをコードする遺伝物質を含む細菌宿主を成長培地において成長させる工程、前記バクテリオファージを前記細菌宿主において複製させる工程、および前記バクテリオファージを採取する工程を含む、プロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−535482(P2010−535482A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519462(P2010−519462)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060360
【国際公開番号】WO2009/019293
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(503181152)フィコ セラピューティクス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】