説明

改札システム、発行機、改札機、及び改札方法

【課題】不正防止に優れた改札システムを提供することにある。
【解決手段】 実施形態の改札システムは、発行機と、改札機とを備える。前記発行機は、第1の顔画像データを取得し、前記第1の顔画像データに基づき通行券情報を暗号化し、暗号化通行券情報を発行する。前記改札機は、第2の顔画像データを取得し、前記暗号化通行券情報を光学的に読み取り、前記第2の顔画像データに基づき前記暗号化通行券情報を復号化し、復号化通行券情報に基づき改札処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、改札システム、発行機、改札機、及び改札方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道等の交通機関における改札処理は、改札システムにより自動化されている。改札システムは、各駅に設置された自動改札機、及び通行券を発行する自動券売機などの各種駅務機器により構成される。また、各種駅務機器は、ネットワーク(駅内ネットワーク)を介して通信可能に接続されている。さらに、すべての駅を統制する中央管理装置が、このネットワーク(駅間ネットワーク)に接続されている。
【0003】
また、大都市圏では、IC通行券に対応可能な改札システムが導入されている。例えば、IC通行券に対応可能な自動改札機に設けられたICカードリーダが、IC通行券から通行券情報を読み取り、IC通行券に対応可能な自動改札機は、読み取られた通行券情報に基づき通行可否を判定する。
【0004】
また、IC通行券に対応可能な自動改札機は、IC通行券以外に、磁気通行券にも対応可能に構成されている。そのため、IC通行券に対応可能な自動改札機は、磁気通行券を受け取り、搬送し、返却するための磁気券搬送機構を備える。上記したようなIC通行券及び磁気通行券の両方に対応可能な改札システムを構築し、また維持するための鉄道事業者の費用負担は重い。
【0005】
そこで、磁気通行券に替わる二次元コード通行券の導入が提案されている。二次元コード通行券には、光学的に読み取り可能な二次元コード(例えば、QRコード(登録商標))による通行券情報が記録される。二次元コード通行券に対応可能な自動改札機は、二次元コードを光学的に読み取るためのコードリーダを備えればよい。コードリーダは、二次元コード通行券に印刷された二次元コードを光学的に読み取り、二次元コード通行券に対応可能な自動改札機は、読み取った二次元コードが示す通行券情報に基づき通行可否を判定する。
【0006】
二次元コード通行券に対応可能な自動改札機は、上記した磁気券搬送機構等が不要であるため、磁気通行券に対応可能な自動改札機に比べて、安価に構成することができ、また維持費用も安い。反面、二次元コードは、比較的簡単にコピーされてしまうため、不正コピーにより作成された不正な二次元コード通行券による不正通行を防止する仕組みが必要であり、様々な不正通行防止の仕組みが提案されている。
【0007】
例えば、正規に発行された二次元コード通行券に記録された券識別情報は、ユニークな情報である。ところが、不正コピーにより作成された不正な二次元コード通行券に記録されている券識別情報は、ユニークな情報ではなく、コピー元の二次元コード通行券に記録されている券識別情報と同一の識別情報である。
【0008】
そこで、各駅の各自動改札機へ正規に発行された二次元コード通行券に記録されている券識別情報を送信し、各二次元コード通行券から読み取られる識別情報をチェックし、不正な二次元コード通行券による不正乗車を防止する仕組みが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−59249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記した改札システムでは、駅内ネットワーク或いは駅間ネットワークが回線障害などによって通信不能になった場合に券識別情報を自動改札機に配信することができず、利用者に迷惑をかけるおそれがある。
【0011】
また、各駅の自動改札機に対して、膨大な発行数の二次元コード通行券に記録した通行券情報を配信する必要があるため、上位サーバを含めネットワークに対する負荷が非常に大きくなってしまう。このような事情から、不正な二次元コード通行券による不正乗車を効率良く防止するための仕組みが望まれている。
【0012】
本発明の目的は、不正防止に優れた改札システム、発行機、改札機、及び改札方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態の改札システムは、発行機と、改札機とを備える。前記発行機は、第1の顔画像データを取得し、前記第1の顔画像データに基づき通行券情報を暗号化し、暗号化通行券情報を発行する。前記改札機は、第2の顔画像データを取得し、前記暗号化通行券情報を光学的に読み取り、前記第2の顔画像データに基づき前記暗号化通行券情報を復号化し、復号化通行券情報に基づき改札処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る改札システムによる改札処理の一例を示す図である。
【図2】実施形態に係る改札システムの構成の一例を示す図である。
【図3】実施形態に係る自動改札機の一例を示す斜視図である。
【図4】実施形態に係る自動改札機の制御器の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図5】実施形態に係る改札システムの通行券情報(通行券情報が光学読取可能に記録された通行券)を発行するためのフローチャートである。
【図6】実施形態に係る改札システムの入場時の改札処理を示すフローチャートである。
【図7】実施形態に係る改札システムの出場時の改札処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、実施形態に係る改札システムによる改札処理の一例を示す図である。図2は、実施形態に係る改札システムの構成の一例を示す図である。図3は、実施形態に係る自動改札機の一例を示す斜視図である。図4は、実施形態に係る自動改札機の制御器の電気的構成の一例を示すブロック図である。以下、図2、図3、及び図4を用いて実施形態に係る改札システムの構成を説明する。なお、以下の通行券なる記載を乗車券と読み替えてもよいし、通行券情報なる記載を乗車券情報と読み替えてもよい。
【0017】
図2に示すように、改札システムは、鉄道会社の本社などの所定の中央に設けられた中央管理装置1を備える。中央管理装置1は、制御部101、記憶部102、通信部103、精算処理部105、発行部106を備える。中央管理装置1による通行券情報の発行処理は後述する。
【0018】
中央管理装置1は、図示しない列車運行管理装置とも接続されていて、2次元コードの通行券情報(通行券情報が光学読取可能に記録された通行券)の発行、及び通行券情報(通行券)の使用状態などを一元的に管理できるように構成されている。
【0019】
また、中央管理装置1は、旅客である利用者の開設している口座の金融機関のホストコンピュータ2とも通信回線網(公衆回線網及びインターネットを含む。)L1を介して接続されていて、中央管理装置1の精算処理部105は、利用者が2次元コードの通行券情報(通行券情報が光学読取可能に記録された通行券)を購入したときの購入代金の引き落とし処理を行なう。
【0020】
利用者の所持する通信端末の一種の携帯電話機(PHSを含む。)3は、基地局4及び通信回線網L1を介して中央管理装置1と接続可能に構成されている。なお、携帯端末機3は、表示画面3a及びカメラCa1を有し、上述の携帯電話機3以外にPDAなどを使用することも可能である。
【0021】
通信回線網L1に接続されたパーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)5aは、利用者の自宅または職場などに設けられ、このPC5には、カメラCa2及びプリンタ6が接続されている。
【0022】
鉄道会社の各駅に設けられている駅務機器と中央管理装置1との間で通信を行う為の通信回線網(駅間ネットワーク)L2は、多くの駅務機器が接続されているが、図面を簡略化するために、ある一つの駅に設置されている自動改札機G及び自動券売機8が駅務機器制御装置7を介して駅間ネットークL2に接続されている。
【0023】
なお、自動改札機Gは、監視盤を介して駅務機器制御装置7に接続されるが、ここではその監視盤は省略されている。
【0024】
自動券売機8は、制御部81、記憶部82、通信部83、操作入力部84、精算処理部85、発行部86、カメラCa3を備える。自動券売機8による通行券情報(通行券)の発行処理は後述する。
【0025】
2次元コードからなる通行券情報C1〜C3は、例えば、QRコード(登録商標)である。2次元コードC1は、利用者の所持する携帯電話機3の表示画面3aに表示されたものであり、2次元コードC2は、プリンタ6から打ち出された用紙6aに印字されたものであり、2次元コードC3は、自動券売機8の発券口87から発行された用紙8aに記録(印字)されたものである。
【0026】
図3に示すように自動改札機Gは、自動改札機Gを構成する一対の筐体のうちの一方の筐体Hを改札通路P側からみたものである。投入口10は、筐体Hの改札通路Pの通過方向の進入側に設けられた磁気券からなる通行券の投入口である。取出口11は、筐体Hの上面で改札通路Pの進出側に設けられた投入口10から投入された通行券の取出口である。表示画面12は、取出口11の近傍に設けられた利用者に対して文字、画像により所定の内容を案内するための表示画面である。
【0027】
また、スピーカ13は、筐体Hの側面に設けられた利用者に対して音声により案内するためのスピーカである。
【0028】
投入口10、及び取出口11間の筐体Hの内部には、図4に示すカードハンドラ24が設けられている。カードハンドラ24は、投入口10から投入された通行券を取出口11または、筐体Hの内部に設けられた図示しない集札箱まで搬送させることができるように構成されている。また、通行券の搬送の途中において、投入口10に投入された磁気券からなる通行券に記録されているデータを読み取り、新たなデータを書き込み、必要に応じてパンチ、印字を行う。
【0029】
この通行券のうち、利用者へ返却する必要のある通行券は取出口11から排出され、筐体Hの内部に回収する必要のある通行券は集札箱へ集札されるように構成されている。
【0030】
筐体Hの上面の投入口10の近傍に設けられた光学読取部14は、翳された2次元コードC1〜C3に光線を照射し、その反射光から2次元コードC1〜C3の内容を読み取ることができるように構成されている。また、カメラCa4は、二次元コードC1〜C3を翳そうとする通行者(通行者の顔)を撮影する。なお、2次元コードC1〜C3の内容を読み取るための光学読取部14と、通行者の顔を撮影するためのカメラCa4とを区別せずに、1つのカメラで実現することもできる。
【0031】
アンテナ15は、筐体Hの上面で、光学読取部14よりも出口側に設けられている。アンテナ15は、無線通信機能を備えた非接触型1Cカードからなる非接触券と交信できるように構成されている。また、センサ取付ボックスBは、筐体Hの上面で、かつ、改札通路Pの反対側に改札通路Pに沿って設けられている。
【0032】
センサ取付ボックスBの内部には、反射型センサからなる人間検知器Sが改札通路Pの入口側、中央部及び進出側にそれぞれ内蔵されている。センサ取付ボックスBは、改札通路P内に存する所定の高さ以上の利用者を検知することができる。
【0033】
光電素子からなる透過型センサからなる人間検知器S’は、一対の筐体間の改札通路P側に所定の間隔を存して設けられていて、改札通路P内の利用者の位置を検知することができる。
【0034】
人間検知器S’で検知され、かつ、人間検知器Sで検知されないとき、検知された利用者は「子供(小児)」であると判定される。一方人間検知器S’で検知され、かつ、人間検知器Sで検知された利用者は「大人」であると判定される。
【0035】
開閉ドアD1、D2(以下、ドアD1、D2とする)は、改札通路Pへの入場、或いは出場(以下、入場、出揚を含めて通行とも言う)を許可或いは禁止する。ドアD1は、改札通路Pの進出側に設けられ、ドアD2は、改札通路Pの進入側に設けられている。これらドアD1、D2は、自動改札機Gを統括的に制御する後述する制御器16により駆動されるように構成されている。
【0036】
図4に示すように制御器16は、中央処理部22(CPU:Central Processing Unit)を備えている。中央処理部22は、ROM(Read Only Memory)20に格納されているシステムプログラム、RAM(Random Access Memory)21に格納されているワーキングデータ、NVRAM(Nonvolatile Random Access Memory)29に格納されたデータ(後述する通行済み通行券ID)を用いて所定の演算処理を行う。
【0037】
CPU22は、I/O(Input/Output)ユニット23を介して投入口10から取り込んだ磁気券からなる通行券を処理するカードハンドラ24と、ドアD1、D2を駆動制御するドアドライバ25と、光学読取部14を含んで構成される光学読取ユニット26と、アンテナ15を介して非接触券に記録されているデータを読み取るとともに、新たなデータを非接触券に書き込むためのリーダライタ27と、駅務機器制御装置7側と通信を行うための通信制御部28、カメラCa4とが接続されている。なお、I/Oユニット23には、人間検知器Sのセンサアンプなども接続されているが、ここでは省略されている。
【0038】
図5は、実施形態に係る改札システムの通行券情報(通行券情報が光学読取可能に記録された通行券)を発行するためのフローチャートである。以下、図1及び図5を参照して実施形態に係る改札システムの通行券情報(通行券情報が光学読取可能に記録された通行券)の発行処理について説明する。
【0039】
本実施形態では、改札システムの利用者が携帯電話機3を用いて通行券情報を入手する例、また、改札システムの利用者が自動券売機8を用いて通行券情報が光学読取可能に記録された通行券(用紙8a)を入手する例、また、改札システムの利用者がプリンタ6を用いて通行券情報が光学読取可能に記録された通行券(用紙6a)を入手する例を説明する。
【0040】
利用者が自己の所有する携帯電話機3を操作して通信回線網L1を介し中央管理装置1を発呼し、携帯電話機3と中央管理装置1とが接続されると(S100、YES)、携帯電話機3の表示画面3aには、通行券を購入するための案内画面が表示され、その案内に従って利用者は購入操作を行なう。これにより、携帯電話機3は、中央管理装置1に対して、通行券購入情報を送信する(S101、YES)。
【0041】
通行券購入情報は、通行条件情報及び第1の顔画像データを含む。通行条件情報は、通行区間等の情報を含む。第1の顔画像データは、記憶部82に記憶された通行券使用者(通行券購入者)の顔画像データである。なお、記憶部82に記憶された顔画像データは、例えば、携帯電話機3のカメラCa1で撮影された顔画像データである。
【0042】
中央管理装置1の通信部103は、通行券購入情報を受信し、中央管理装置1の精算処理部105は、利用者の金融機関の口座の残額が通行券を購入できる残額以上であることを確認する(S102、YES)。
【0043】
さらに、中央管理装置1の発行部106は、通行券購入情報に含まれた通行条件情報に基づき通行券情報を生成し、通行券購入情報に含まれた第1の顔画像データに基づき通行券情報を暗号化し、暗号化通行券情報及び非暗号化通行券IDを含む2次元コードを発行する。より詳しく説明すると、発行部106は、第1の顔画像データから第1の顔特徴量(第1の特徴データ)を抽出し、第1の顔特徴量を暗号鍵として通行券情報を暗号化し、暗号化通行券情報を生成し、暗号化通行券情報及び非暗号化通行券IDを含む2次元コードを発行する。つまり、中央管理装置1の通信部103は、携帯電話機3に対して、暗号化通行券情報及び非暗号化通行券IDを含む2次元コードを送信する(S103)。なお、通行券情報は、通行券の有効区間、及び有効期間を含む。また、通行券IDは、通行券情報を一意に特定するための識別情報である。
【0044】
携帯電話機3は、暗号化通行券情報及び非暗号化通行券IDを含む2次元コードを受信し、受信した二次元コードを記憶する。また、携帯電話機3の表示画面3aは、記憶した二次元コードを表示することができる。つまり、表示画面3aは、暗号化通行券情報及び非暗号化通行券IDを含む2次元コードC1を表示する。
【0045】
一方、中央管理装置1の精算処理部105が、利用者の金融機関の口座の残額が通行券情報を購入できる額に満たないと判断した揚合(S102、NO)、中央管理装置1の通信部103は、携帯電話機3に対して通行券情報の購入不可を通知する。これに対応して、携帯電話機3の表示画面3aは、「通行券情報の購入が出来ない」旨の案内を表示する(S104)。
【0046】
すなわち、利用者は、予め鉄道会社と口座引き落としの契約を結んでいる場合には、携帯電話機3を用いて通行券を購入できるように運用されている。なお、ここでは通行券の購入代金の支払いは口座引き落としとしたが、当然、口座引き落としに限定されず、後払いなど、クレジットカードでの支払いなど、他の支払い方法を採用しても良いことは言うまでもない。
【0047】
また、PC5及びプリンタ6を用いて、上記と同様に通行券情報を取得することができる。つまり、PC5が、中央管理装置1に対して、通行券購入情報を送信する。通行券購入情報は、通行条件情報及び第1の顔画像データを含む。通行条件情報は、通行区間等の情報を含む。第1の顔画像データは、例えば、PC5に接続されたカメラCa2で撮影された顔画像データである。中央管理装置1の通信部103は、通行券購入情報を受信し、上記したように、中央管理装置1の通信部103は、PC5に対して、暗号化通行券情報及び非暗号化通行券IDを含む2次元コードを送信する。
【0048】
PC5は、暗号化通行券情報及び非暗号化通行券IDを含む2次元コードを受信し、受信した二次元コードを記憶する。また、プリンタ6は、PC5に記憶された二次元コードを用紙6aに印字(記録)することができる。つまり、プリンタ6は、二次元コードが記録された通行券(2次元コードC2が記録された用紙6a)を発行することができる。
【0049】
また、自動券売機8を用いて上記と同様に通行券情報を取得することができる。自動券売機8の操作入力部84の表示画面には、通行券を購入するための案内画面が表示され、その案内に従って利用者は操作入力部84を介して購入操作を行なう。このとき、カメラCa3は、通行券購入者を撮影し第1の顔画像データを取得する。これにより、自動券売機8の操作入力部84は、発行部86に対して通行券購入情報を送信する。通行券購入情報は、通行条件情報及び第1の顔画像データを含む。通行条件情報は、通行区間等の情報を含む。
【0050】
発行部86は、通行券購入情報を受信し、精算処理部85は、投入金額が通行券を購入できる金額以上であることを確認し、発行部86は、通行券購入情報に含まれた通行条件情報に基づき通行券情報を生成し、通行券購入情報に含まれた第1の顔画像データに基づき通行券情報を暗号化し、暗号化通行券情報及び非暗号化通行券IDを含む2次元コードを記録した通行券を発行する。より詳しく説明すると、発行部86は、第1の顔画像データから第1の顔特徴量(第1の特徴データ)を抽出し、第1の顔特徴量を暗号鍵として通行券情報を暗号化し、暗号化通行券情報を生成し、暗号化通行券情報及び非暗号化通行券IDを含む2次元コードが記録された通行券を発行する。つまり、発行口87は、暗号化通行券情報及び非暗号化通行券IDを含む2次元コードが記録された通行券(2次元コードC3が記録された用紙8a)を発行することができる。
【0051】
図6は、実施形態に係る改札システムの入場時の改札処理を示すフローチャートである。以下、図1及び図6を参照して実施形態に係る改札システムの自動改札機Gによる入場時の改札処理を説明する。
【0052】
改札システムの利用者は、携帯電話機3を操作して携帯電話機3の表示画面3aに二次元コードC1を表示させる。自動改札機GのカメラCa4は、通行者を撮影し第2の顔画像データを取得する。また、表示画面3aが自動改札機Gの光学読取部14に翳されると(S200、YES)、光学読取部14は、表示画面3aに表示された二次元コードC1を読み取り、CPU22は、二次元コードC1に含まれた非暗号化通行券IDを認識し、さらに、カメラCa4により取得した第2の顔画像データに基づき二次元コードC1に含まれた暗号化通行券情報を復号化する。
【0053】
例えば、CPU22が、メモリ21に記憶された通行済み通行券ID(入場済み通行券ID)と、二次元コードC1に含まれた非暗号化通行券IDとが一致する場合には、利用者の入場を不可と判定するようにしてもよい。
【0054】
或いは、改札システムの利用者は、2次元コードC2が記録された用紙6aを通行券として利用することもできる。自動改札機GのカメラCa4は、通行者を撮影し第2の顔画像データを取得する。また、2次元コードC2が記録された用紙6a(通行券)が自動改札機Gの光学読取部14に翳されると(S200、YES)、光学読取部14は、用紙6a(通行券)に記録された二次元コードC2を読み取り、CPU22は、二次元コードC2に含まれた非暗号化通行券IDを認識し、さらに、カメラCa4により取得した第2の顔画像データに基づき二次元コードC2に含まれた暗号化通行券情報を復号化する。
【0055】
例えば、CPU22が、メモリ21に記憶された通行済み通行券ID(入場済み通行券ID)と、二次元コードC2に含まれた非暗号化通行券IDとが一致する場合には、利用者の入場を不可と判定するようにしてもよい。
【0056】
或いは、改札システムの利用者は、2次元コードC2が記録された用紙8aを通行券として利用することもできる。自動改札機GのカメラCa4は、通行者を撮影し第2の顔画像データを取得する。また、2次元コードC2が記録された用紙8a(通行券)が自動改札機Gの光学読取部14に翳されると(S200、YES)、光学読取部14は、用紙8a(通行券)に記録された二次元コードC3を読み取り、CPU22は、二次元コードC3に含まれた非暗号化通行券IDを認識し、さらに、カメラCa4により取得した第2の顔画像データに基づき二次元コードC3に含まれた暗号化通行券情報を復号化する。
【0057】
例えば、CPU22が、メモリ21に記憶された通行済み通行券ID(入場済み通行券ID)と、二次元コードC3に含まれた非暗号化通行券IDとが一致する場合には、利用者の入場を不可と判定するようにしてもよい。
【0058】
通行券情報の暗号化に使用された第1顔画像データと、カメラCa4により取得した第2の顔画像データとが、同一人物から得られた顔画像データであれば、カメラCa4により取得した第2の顔画像データに基づき暗号化通行券情報を復号化することができる。つまり、同じ人物から得られた第1顔画像データの第1の顔特徴量と第2顔画像データの第2の顔特徴量とは実質的に同じデータであるため、第1の顔特徴量を暗号鍵として通行券情報を暗号化した場合、第2の顔特徴量を復号鍵として暗号化通行券情報を復号化することができる。
【0059】
しかしながら、通行券情報の暗号化に使用された第1顔画像データと、カメラCa4により取得した第2の顔画像データとが、異なる人物から得られた顔画像データであれば、カメラCa4により取得した第2の顔画像データに基づき暗号化通行券情報を復号化することはできない。つまり、正規通行券購入者から得られた第1顔画像データの第1の顔特徴量と、不正通行券取得者から得られた第2顔画像データの第2の顔特徴量とは異なるデータであるため、第1の顔特徴量を暗号鍵として通行券情報を暗号化した場合、第2の顔特徴量を復号鍵として暗号化通行券情報を復号化することはできない。
【0060】
CPU22は、メモリ21に記憶された通行済み通行券ID(入場済み通行券ID)と、非暗号化通行券IDとが一致せずに、カメラCa4により取得した第2の顔画像データに基づき暗号化通行券情報を復号化できた場合には(S201、YES)、復号化通行券情報に基づき利用者の駅改札内への入場が可能か否かを判定する(S202)。
【0061】
ここで、利用者の駅改札内への入場が可能か否かの判定は、復号化通行券情報に含まれる通行券の有効期間、有効区間に基づいて判定される。つまり、通行券の有効期間内で、かつ有効区間内である場合には利用者の入場は可能であると判定される。一方、通行券の有効期間外、或いは有効区間外である場合には利用者の入場は不可能であると判定される。
【0062】
S202における判定において、利用者の入場が可能であると判定されたとき(S203、YES)、ドアD1を開放制御して利用者の駅改札内への入場を許可する(S204)。S204において利用者の入場を許可した後、メモリ21は、読み取った非暗号化通行券IDを通行済み通行券ID(入場済み通行券ID)として記憶し、また、通信制御部28は、非暗号化通行券IDを通行済み通行券ID(入場済み通行券ID)として中央管理装置1へ送信するようにしてもよい(S205)。中央管理装置1は、通行済み通行券IDを各駅の各自動改札機へ配信する。
【0063】
一方、CPU22が、カメラCa4により取得した第2の顔画像データに基づき暗号化通行券情報を復号化できない場合には(S201、YES)、つまり復号化エラーの場合、又は入場不可判定の場合(S203、NO)には、ドアD1を閉鎖制御して利用者の入場を禁止するとともに(S206)、スピーカ13により利用者に対して「通行券情報が不正である可能性が有ります」といった旨の警告を発する(S207)。
【0064】
図7は、実施形態に係る改札システムの出場時の改札処理を示すフローチャートである。以下、図1及び図7を参照して実施形態に係る改札システムの自動改札機Gによる駅改札内へ入場した利用者の駅改札外への出場時の改札処理を説明する。
【0065】
入場時に携帯電話機3(二次元コードC1)を利用した改札システムの利用者は、携帯電話機3を操作して携帯電話機3の表示画面3aに二次元コードC1を表示させる。自動改札機GのカメラCa4は、通行者を撮影し第2の顔画像データを取得する。また、表示画面3aが自動改札機Gの光学読取部14に翳されると(S300、YES)、光学読取部14は、表示画面3aに表示された二次元コードC1を読み取り、CPU22は、二次元コードC1に含まれた非暗号化通行券IDを認識し、さらに、カメラCa4により取得した第2の顔画像データに基づき二次元コードC1に含まれた暗号化通行券情報を復号化する。
【0066】
例えば、CPU22が、メモリ21に記憶された通行済み通行券ID(出場済み通行券ID)と、二次元コードC1に含まれた非暗号化通行券IDとが一致する場合には、利用者の出場を不可と判定するようにしてもよい。
【0067】
或いは、入場時に用紙6a(二次元コードC2)を利用した改札システムの利用者は、2次元コードC2が記録された用紙6aを出場用の通行券として利用する。自動改札機GのカメラCa4は、通行者を撮影し第2の顔画像データを取得する。また、2次元コードC2が記録された用紙6a(通行券)が自動改札機Gの光学読取部14に翳されると(S300、YES)、光学読取部14は、用紙6a(通行券)に記録された二次元コードC2を読み取り、CPU22は、二次元コードC2に含まれた非暗号化通行券IDを認識し、さらに、カメラCa4により取得した第2の顔画像データに基づき二次元コードC2に含まれた暗号化通行券情報を復号化する。
【0068】
例えば、CPU22が、メモリ21に記憶された通行済み通行券ID(出場済み通行券ID)と、二次元コードC2に含まれた非暗号化通行券IDとが一致する場合には、利用者の出場を不可と判定するようにしてもよい。
【0069】
或いは、入場時に用紙8a(二次元コードC3)を利用した改札システムの利用者は、2次元コードC3が記録された用紙8aを出場用の通行券として利用する。自動改札機GのカメラCa4は、通行者を撮影し第2の顔画像データを取得する。また、2次元コードC2が記録された用紙8a(通行券)が自動改札機Gの光学読取部14に翳されると(S300、YES)、光学読取部14は、用紙8a(通行券)に記録された二次元コードC3を読み取り、CPU22は、二次元コードC3に含まれた非暗号化通行券IDを認識し、さらに、カメラCa4により取得した第2の顔画像データに基づき二次元コードC3に含まれた暗号化通行券情報を復号化する。
【0070】
例えば、CPU22が、メモリ21に記憶された通行済み通行券ID(出場済み通行券ID)と、二次元コードC3に含まれた非暗号化通行券IDとが一致する場合には、利用者の出場を不可と判定するようにしてもよい。
【0071】
CPU22は、メモリ21に記憶された通行済み通行券ID(出場済み通行券ID)と、非暗号化通行券IDとが一致せずに、カメラCa4により取得した第2の顔画像データに基づき暗号化通行券情報を復号化できた場合には(S301、YES)、復号化通行券情報に基づき利用者の駅改札外への出場が可能か否かを判定する(S302)。
【0072】
ここで、利用者の駅改札外への出場が可能か否かの判定は、復号化通行券情報に含まれる通行券の有効期間、有効区間に基づいて判定される。つまり、通行券の有効期間内で、かつ有効区間内である場合には利用者の入場は可能であると判定される。一方、通行券の有効期間外、或いは有効区間外である場合には利用者の入場は不可能であると判定される。
【0073】
S302における判定において、利用者の入場が可能であると判定されたとき(S303、YES)、ドアD1を開放制御して利用者の駅改札内への入場を許可する(S304)。S304において利用者の入場を許可した後、メモリ21は、読み取った非暗号化通行券IDを通行済み通行券ID(出場済み通行券ID)として記憶し、また、通信制御部28は、非暗号化通行券IDを通行済み通行券ID(出場済み通行券ID)として中央管理装置1へ送信するようにしてもよい(S305)。中央管理装置1は、通行済み通行券IDを各駅の各自動改札機へ配信する。
【0074】
一方、CPU22が、カメラCa4により取得した第2の顔画像データに基づき暗号化通行券情報を復号化できない場合には(S301、YES)、つまり復号化エラーの場合、又は出場不可判定の場合(S303、NO)には、ドアD1を閉鎖制御して利用者の入場を禁止するとともに(S306)、スピーカ13により利用者に対して「通行券情報が不正である可能性が有ります」といった旨の警告を発する(S307)。
【0075】
以上のように改札システムは、通行券購入者を撮影して取得された第1の顔画像データ(第1の特徴データ)に基づき通行券情報を暗号化し、また通行者を撮影して取得された第2の顔画像データ(第2の特徴データ)に基づき暗号化通行券情報を復号化する。このため、通行券購入者と通行者とが一致する場合、改札システムの改札機は、暗号化通行券情報を復号化することができ、通行券購入者と通行者とが一致しない場合には、改札システムの改札機は、暗号化通行券情報を復号化することができない。つまり、改札システムの改札機は、暗号化通行券情報の復号結果に基づき、暗号化通行券情報の正当性を判定することができ、例えば、暗号化通行券情報の復号エラーに基づき、前記暗号化通行券情報を不正情報と判定することができる。このようにして、通行券購入者と通行者とが一致しない場合には、改札システムは、暗号化通行券情報を不正情報として判定することができ、不正通行券取得者(コピー通行券使用者)による不正乗車を防止することができる。
【0076】
例えば、本実施形態で説明した改札システムによれば、以下のような作用効果が得られる。
【0077】
(1)光学読取可能な通行券情報が記録された1枚の通行券を複製し、複数人で使用することを防止できる。
【0078】
(2)通行済み通行券IDを管理しない場合には、通行券の使用状態を上位システムで管理しなくてもよいので、上位システムへの投資コストを抑制できる。
【0079】
(3)二次元バーコードを用いた通行券は、改札処理の際に通行券に対して情報の書込みが困難である。このため、上位システムに頼った不正防止が考えられる。本実施形態で説明した改札システムは、通行済み通行券IDを管理しない場合には、上位システムに頼らずに、二次元バーコードを用いた通行券の不正使用を防止することができる。
【0080】
(4)通行券購入者の顔特徴量を暗号鍵として用いて通行券情報を暗号化するため、通行券情報の内容を秘匿化することができる。
【0081】
(5)通行券購入者の顔特徴量を暗号鍵として用いて通行券情報を暗号化するため、暗号鍵の配信や設定を不要にすることができる。
【0082】
(6)通行券購入者の顔特徴量を暗号鍵として用いて通行券情報を暗号化する技術をICカード通行券にも適用することができる。これにより、上記したように、通行券情報の内容を秘匿化することができ、また、暗号鍵の配信や設定は不要である。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1…中央管理装置、2…金融機関のホストコンピュータ、3…携帯電話機、4…基地局、5…パーソナルコンピュータ(PC)、6…プリンタ、6a…用紙、7…駅務機器制御装置、G…自動改札機、8…自動券売機、8a…用紙、C1、C2、C3…2次元コード、Ca1、Ca2、Ca3、Ca4…カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の顔画像データを取得し、前記第1の顔画像データに基づき通行券情報を暗号化し、暗号化通行券情報を発行する発行機と、
第2の顔画像データを取得し、前記暗号化通行券情報を光学的に読み取り、前記第2の顔画像データに基づき前記暗号化通行券情報を復号化し、復号化通行券情報に基づき改札処理を実行する改札機と、
を備えた改札システム。
【請求項2】
前記改札機は、前記第2の顔画像データに基づく前記暗号化通行券情報の復号結果に基づき、前記暗号化通行券情報の正当性を判定する請求項1記載の改札システム。
【請求項3】
前記改札機は、前記第2の顔画像データに基づく前記暗号化通行券情報の復号エラーに基づき、前記暗号化通行券情報を不正情報と判定する請求項1又は2記載の改札システム。
【請求項4】
前記発行機は、通行券購入者を撮影し前記第1の顔画像データを取得し、前記第1の顔画像データに基づき前記通行券情報を暗号化し、前記暗号化通行券情報を光学読取可能に記録した通行券を発行し、
前記改札機は、通行者を撮影し前記第2の顔画像データを取得し、前記通行券に記録された前記暗号化通行券情報を光学的に読み取り、前記第2の顔画像データに基づき前記暗号化通行券情報を復号化する請求項1乃至3の何れか1項に記載の改札システム。
【請求項5】
前記発行機は、通信端末から送信される前記第1の顔画像データを受信し、前記第1の顔画像データに基づき前記通行券情報を暗号化し、前記通信端末に対して前記暗号化通行券情報を送信し、
前記改札機は、通行者を撮影し前記第2の顔画像データを取得し、前記通信端末により表示された前記暗号化通行券情報を光学的に読み取り、前記第2の顔画像データに基づき前記暗号化通行券情報を復号化する請求項1乃至3の何れか1項に記載の改札システム。
【請求項6】
前記発行機は、前記暗号化通行券情報及び非暗号化識別情報を発行し、
前記改札機は、前記暗号化通行券情報及び前記非暗号化識別情報を光学的に読み取り、前記非暗号化識別情報を認識し、前記第2の顔画像データに基づき前記暗号化通行券情報を復号化し、前記復号化通行券情報に基づき改札処理を実行する請求項1乃至5の何れか1項に記載の改札システム。
【請求項7】
通行券購入者を撮影し顔画像データを取得する撮影手段と、
前記第1の顔画像データに基づき前記通行券情報を暗号化し、前記暗号化通行券情報を光学読取可能に記録した通行券を発行する発行手段と、
を備えた発行機。
【請求項8】
前記発行手段は、前記暗号化通行券情報及び非暗号化券識別情報を光学読取可能に記録した前記通行券を発行する請求項7記載の発行機。
【請求項9】
第1の顔画像データに基づき暗号化された暗号化通行券情報を光学的に読み取り、
通行者を撮影し第2の顔画像データを取得する撮影手段と、
前記第2の顔画像データに基づき前記暗号化通行券情報を復号化し、復号化通行券情報に基づき改札処理を実行する改札手段と、
を備えた改札機。
【請求項10】
前記改札手段は、前記第2の顔画像データに基づく前記暗号化通行券情報の復号結果に基づき、前記通行券情報の正当性を判定する請求項9記載の改札機。
【請求項11】
前記改札手段は、前記第2の顔画像データに基づく前記暗号化通行券情報の復号エラーに基づき、前記通行券情報を不正情報と判定する請求項9又は10記載の改札機。
【請求項12】
前記改札手段は、前記通行券に記録された前記暗号化通行券情報及び非暗号化券識別情報を光学的に読み取り、前記非暗号化券識別情報を認識し、前記第2の顔画像データに基づき前記暗号化通行券情報を復号化し、前記復号化通行券情報に基づき改札処理を実行する請求項9乃至11の何れか1項に記載の改札機。
【請求項13】
発行機は、第1の顔画像データを取得し、前記第1の顔画像データに基づき通行券情報を暗号化し、暗号化通行券情報を発行し、
改札機は、第2の顔画像データを取得し、前記暗号化通行券情報を光学的に読み取り、前記第2の顔画像データに基づき前記暗号化通行券情報を復号化し、復号化通行券情報に基づき改札処理を実行する改札方法。
【請求項14】
通行券購入者の撮影により取得された顔画像データに基づき暗号化された通行券情報を光学読取可能に記録した通行券。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−79234(P2012−79234A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225988(P2010−225988)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】