説明

改良されたフィルタ媒体による能動電界分極媒体型エアクリーナ

能動電界分極媒体型エアクリーナ用フィルタ媒体は、誘電体からなる2つの層を備え、さらに、より抵抗の高い通気性スクリーンが、より抵抗率の低い上記電気層の間に挟まれている。フィルタ媒体は、摩擦電気尺度の異なる側にある繊維を有する混合繊維フィルタ層をさらに備えていてもよい。フィルタ媒体は、相対的に密度の高い誘電体からなる層と、それに続く相対的に密度の低い誘電体からなる層とをさらに備えていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にエアクリーナ装置に関し、詳細には、静電界を利用して媒体および粒子を分極させることによって媒体の粒子捕集効率を向上させるエアクリーナ用のフィルタ媒体を対象とする。
【背景技術】
【0002】
静電吸着の原理は、気流中に存在する汚染物質の除去を向上する目的で長年利用されている。静電気を利用したエアクリーナは主に3つに分類され、それらは静電集塵器、受動静電フィルタ、および能動電界分極媒体型エアクリーナであるが、別の名称で呼ばれることもある。
【0003】
静電集塵器では、粒子を帯電させ、その粒子を逆帯電および/または接地された捕集板で捕集する。
【0004】
受動静電フィルタ(エレクトレットとしても知られる)では、ある種の組み合わせの処理および/または固有の特性によって静電荷を持った媒体(または異なる種類の媒体の組み合わせ)が使用される。静電荷を持つ粒子がフィルタ媒体に入った際、これらの粒子は逆の静電荷を持つフィルタ媒体材に吸着される。
【0005】
能動電界分極媒体型エアクリーナは、2つの電極間の電圧差によって発生する静電界を利用する。この2電極間の静電界に誘電フィルタ媒体が配置される。静電界は媒体の繊維およびそれに侵入する粒子の両方を分極させ、それにより媒体およびエアクリーナの効率が向上する。誘電体とは、電気絶縁体、すなわち電流に対し高い抵抗性を有しかつ電気エネルギーを蓄積可能な物質である。誘電体はそれ自体に電界を集中させる傾向があり、それゆえに静電界を効率的に維持することができる。
【0006】
また、カナダ特許第1,272,453号公報には、別の静電エアフィルタの構成が開示されている。この構成では使い捨ての矩形カートリッジが高圧電源に接続されており、このカートリッジは繊維状誘電体(プラスチックまたはガラス)からなる2層の間に挟まれた導電性内側中央スクリーンで構成されている。さらに、この2つの誘電層は、導電性材料からなる2つの外側スクリーンの間に挟まれている。導電性内側中央スクリーンを高電圧に引き上げることにより、導電性内側中央スクリーンと逆電位または接地電位に維持された2つの導電性外側スクリーンとの間に静電界が発生する。高圧静電界によって2つの誘電層の繊維が分極される。
【0007】
エアクリーナは様々な構成および状況で設置することができ、冷暖房空調(HVAC)装置の一部として、また独立型の空気循環清浄装置においても使用可能である。(家庭用および軽業務用等の)小型HVAC装置では、エアクリーナパネルが(気流に対し直角に)平面配置で設置されるかあるいは傾斜フィルタトラックとして設置される場合が多い。一方、大型の装置では、通常複数のエアフィルタがV字状配列構造をなすように配列され、それぞれのフィルタの配置によって、気流の軸に対して直角に延在するZ字折りフィルタが形成される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、能動電界分極媒体型エアクリーナ用フィルタ媒体に対するいくつかの改良点のそれぞれおよびその組み合わせにおいて具体化される。本発明の各特徴は下記の通りである。
【0009】
1.本発明のフィルタ媒体は、特に、繊維状誘電体(ポリエステルなど)からなる2つの層を備え、さらに、より抵抗の高い通気性材料(ガラス繊維スクリーンなど)が、より抵抗の低い上記誘電体(ポリエステル)層の間に挟まれている。
【0010】
2.本発明の他の実施形態において、フィルタ媒体は、能動電界分極媒体型エアクリーナに用いられる材料の摩擦電気系列(摩擦電気尺度)の異なる端にある繊維を有する混合繊維層を構成する繊維状誘電体からなる層を備えている。
【0011】
3.本発明のさらに他の実施形態において、フィルタ媒体は、相対的に密度の高い誘電体(繊維状ポリエステルなど)からなる層と、それに続く相対的に密度の低い材料(より密度の低い繊維状ポリエステルなど)からなる層とを備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る能動電界分極媒体型エアクリーナの一実施形態を図1に示す。図1において(図2から図7についても同様)、フィルタを通る気流は、図面の上から下へと下側に向かって進む。フィルタは、フィルタ媒体を保持するフレームからなる。
【0013】
本発明の一実施形態において、フィルタ媒体本体は、誘電性媒体支持フレーム120と、繊維状誘電体からなる第1パッド16Aと、ガラス繊維メッシュスクリーン14Aと、繊維状誘電体からなる第2パッド16Bと、中央スクリーン13と、繊維状誘電体からなる第3パッド16Cと、別のガラス繊維メッシュスクリーン14Bと、誘電性フィルタ材からなる第4パッド16Dとを備える。フィルタ媒体を保持するフィルタフレームは、第1導電性外側スクリーン12Aを有する第1導電性保持フレーム116Aと、第2導電性外側スクリーン12Bを有する第2導電性保持フレーム116Bとからなる。わかりやすいように、媒体フレーム120と保持フレーム116A、Bとを用いた同一の基本構成を各図面において用いているが、これはひとつの可能な実施形態に過ぎない。本発明において主要な要素は、分極媒体型エアクリーナ内における2つの電極間の媒体の様々な構成である。図面に開示された具体的な実施形態にも何らかの利点はあるが、中央スクリーンは端部まで伸びている必要はなく、また中央スクリーンと媒体層の周囲にフレームを配置しなくてもよい。
【0014】
誘電性フィルタ材からなる第1パッド16Aは、接着剤121Aや超音波溶接など好適な手段によって、誘電性媒体支持フレーム120および/または中央電極13に取り付けられている。誘電性フィルタ材からなる第4パッド16Dは、接着剤121Bや超音波溶接など好適な手段によって、誘電性媒体支持フレーム120に取り付けられている。媒体支持フレームを用いない実施形態では、通常、接着剤、超音波溶接、縫製、締めつけなど好適な手段によって、媒体の各種層16A〜Dおよび14A、Bと中央スクリーン13とを一体に取り付ける。第1導電性外側スクリーン12Aは、第1導電性保持フレーム116Aによって固定される。第2導電性外側スクリーン12Bは、第2導電性保持フレーム116Bによって固定される。
【0015】
使用時には、高圧電源108の一方の端子が中央スクリーン13に接続される。高圧電源108の他方の端子は、第1導電性外側スクリーン12Aと、通常接地電位に保たれる第2導電性外側スクリーン12Bとに接続される。
【0016】
図1の能動電界分極媒体型エアクリーナにおいて、誘電性フィルタ材16A、16B、16C、16Dを通って入ってくる空気に含まれる粒子は、その中の電界によって分極され、誘電性フィルタ材からなる第1および第2パッド16A、16B、16C、16Dに捕集される。
【0017】
本発明のフィルタ媒体は、繊維状誘電体からなる2つの層を備え、さらに、より抵抗の高い通気性材料が、より抵抗の低い上記誘電体層の間に挟まれている。他の材料の組み合わせも可能であるが、特に図1においては、ポリエステル層16Aとポリエステル層16Bとの間にガラス繊維スクリーン14Aを挟み、それを中央スクリーン13の上側に配置している。同様に、ポリエステル層16Cとポリエステル層16Dとの間にガラス繊維スクリーン14Bを挟み、それを中央スクリーン13の下側に配置している。
【0018】
この材料配置は、より高く安定した電圧差を電極間にもたらすことがわかっている。より高い電圧は、より高い電界強度をもたらし、ひいては粒子除去効率の向上につながるため、これにより効率が向上する。具体的には、上記の材料配置により、電極間にアーク放電やスプレー放電を誘発することなく最大で25%高い電圧が得られることがわかっている。
【0019】
本発明のフィルタ媒体は、能動電界分極媒体型エアクリーナにおいて混合繊維層を備えており、前記混合繊維層は、材料の摩擦電気系列の異なる部分にある繊維を有する。多くの材料は、いくらかの静電気を生成し蓄える。材料が摩擦電気尺度上のどこに属するかは、この電荷を生成し蓄える材料の能力によって決まる。
【0020】
〔静電気を起こす材料の摩擦電気系列〕
材料のうち、あるものは他のものよりも、より多くの静電気を生成する。静電気は材料表面に荷電粒子が集まってできることから、各種の材料は、電子を手放して正(+)に荷電する傾向、あるいは電子を引き付けて負(−)に荷電する傾向を有する。摩擦電気系列は、材料のうちどれが正(+)に荷電する傾向が大きく、どれが電子を引き付けて負(−)に荷電する傾向が大きいかを示す一覧である。この一覧によって、どのような材料の組み合わせが最も静電気を生成するかがわかる。
【0021】
以下に説明のため、他の材料にこすり合わせたときに静電気をどの程度生成するか、そしてどちらの極に荷電するかに基づいて、いくつかの一般的な材料を一覧にまとめてある。この一覧は網羅的でないが、あらゆる材料が正あるいは負の摩擦電気尺度のどこかに位置する。
【0022】
〔正に荷電する材料〕
下記の材料は、他の材料と接触したときに電子を手放す傾向がある。これらは、電子を手放す傾向の最も大きなものから電子をほとんど手放さないものへと順にまとめてある。
【0023】
【表1】

【0024】
〔中性の材料〕
他の材料に接触あるいはこすり合わせたときに、電子を引き付けも手放しもしにくい傾向を示す材料はほとんどない。
【0025】
【表2】

【0026】
〔負に荷電する材料〕
下記の材料は、他の材料と接触したときに電子を引き付ける傾向がある。これらは、電子を引き付ける傾向の最も小さなものから電子を引き付けやすいものへと順にまとめてある。
【0027】
【表3】

【0028】
静電気を生成するのに最も適した材料の組み合わせは、正電荷の一覧と負電荷の一覧から1つずつ選んだものである。しかしながら、正電荷の一覧と負電荷の一覧のうちの一方から2つの材料を選んでも、中程度の静電気を生成することができる。たとえば、電子を手放す傾向にある2つの材料をこすり合わせた場合、その傾向の大きな方が中程度に正(+)に荷電する。同様に、電子を引き付ける傾向にある2つの材料をこすり合わせた場合、その傾向の大きな方が中程度に負(−)に荷電する。
【0029】
摩擦電気尺度の異なる部分および/または好ましくは異なる側にある繊維の混合物を用いた能動電界分極媒体型エアクリーナ用の本発明のフィルタ媒体が図2に示されている。具体的には、フィルタ層15Aは、摩擦電気尺度の異なる側にある繊維の混合物を含んでいる(混合摩擦電気フィルタ層)。これらフィルタ層15Aの異なる繊維は、フィルタ層15A全体にわたって織り合わされて混合されていてもよく、あるいは、フィルタ材からなる別個の第1および第2シートを重ね合わせたものであってもよい。すなわち、フィルタ材からなる第1シートは、摩擦電気尺度の一方の側にある繊維からなり、フィルタ材からなる第2シートは、摩擦電気尺度の他方の側にある繊維からなる。フィルタ材からなる第1および第2シートは、重ね合わせられて混合摩擦電気フィルタ層15Aを構成する。
【0030】
混合摩擦電気フィルタ層15Bは、混合摩擦電気フィルタ層15Aと同様である。摩擦電気尺度の異なる側にある繊維を混合する(織り合わせる、または重ね合わせる)ことの重要な特徴は、そのように繊維を混合することで、混合摩擦電気フィルタ層15A、15B中の繊維が相対的に正と負に荷電した状態がつくり出される点にある。そのように組み合わせた材料としては他にも、モダクリルとポリプロピレンの混合物であるAlhstrom Air Media社のHPシリーズや、アクリルとポリプロピレンの混合物であるHollingsworth and
Vose社のテクノスタットがある。
【0031】
摩擦電気尺度の異なる側にある材料を適切に混ぜ合わせることで、媒体の密度、すなわち媒体の受動的なメカニズムのみから予測される範囲を超えて媒体の効率が向上することは、受動静電フィルタの製造・設計においてよく知られている。他の種類の受動静電フィルタでは、様々な手法により媒体を荷電している。受動静電フィルタにおける課題のひとつは、繊維が汚染物質に覆われたり、様々な要因(湿度、化学物質、温度)により徐々に放電したりするにしたがって、静電吸着による初期効率が実際には低下してしまうことである。
【0032】
電界中に多数のフィルタ媒体を配置することにより、効率が向上する可能性はあるが、いつでもそうなるとは限らない。実際、多数の受動静電媒体を配置しても、改善が見られないどころか、かえって性能が低下してしまう。しかしながら、分極場中に摩擦電気型のエレクトレット媒体を配置した場合、実際に効果が増大し、上記のような効率の低下を避けられることがわかっている(混合摩擦電気フィルタ層に対する理由を参照)。摩擦電気層は比較的薄い傾向にあるため、1つ以上の層を、一体あるいは別個にして、エアクリーナ媒体中の様々な位置に配置して使用してもよい。すなわち、他の媒体材料を摩擦電気層の片側あるいは両側に配置して使用してもよい。
【0033】
本発明の他の実施形態においては、混合摩擦電気フィルタ層15Aの上側に、比較的疎である繊維状層16Eが配置されている。中央スクリーン13より上側のフィルタ媒体構造は、下側においても繰り返され、すなわち、比較的疎である第2繊維状層16Fが第2混合摩擦電気フィルタ層15Bの上側に配置されている。これら比較的疎である繊維状層は、様々な材料で、あるいは互いに異なる材料で構成することができる。
【0034】
ガラス繊維中央スクリーン14A、14Bと、摩擦電気尺度の異なる側にある繊維の混合物とを組み合わせた能動電界分極媒体型エアクリーナ用の本発明のフィルタ媒体が図3に示されている。図3のフィルタ媒体は、図1と図2に示されているフィルタ媒体を組み合わせたものである。
【0035】
この組み合わせは、各実施形態の利点を兼ね備えており、最大装置効率を得ることができる。
より密度の高い誘電体からなる層と、それに続く密度の低い誘電体からなる層とを備えたフィルタ媒体が図4に示されている。図4に示したフィルタ媒体は図2と似ているが、図4においては、相対的に密度の高い材料からなるフィルタ層16Eの後方に、相対的に密度の低い材料からなるフィルタ層25Aがさらに配置されている。
【0036】
より密度の高い誘電体からなる層と、それに続くより密度の低い誘電体からなる層とを備えた別のフィルタ媒体が図5に示されている。図5に示したフィルタ媒体は図3と似ているが、図5においては、フィルタ層16Bの後方に、相対的に密度の低い材料からなるフィルタ層25Aがさらに配置されている。また図5では、能動電界分極媒体型エアクリーナを通過する気流の終端側にあるフィルタ層16Dの後方に、相対的に密度の低い材料からなる第2摩擦電気フィルタ層25Bが配置されている。
これらの実施形態の利点は、気流抵抗の減少である。媒体の最も密度の高い層は、最も気流抵抗が高くなる。最も密度の高い層を一方の電極に対向させた場合、その面積は電極の面積だけ実質的に減少する。これにより、残った領域を通過する空気の速度が上昇し、気流抵抗が増加してしまう。より密度の低い層を電極と最も密度の高い層との間に配置することで、最も密度の高い層の代わりに、より密度の低い層を通過する空気の速度が上昇し、それにより気流抵抗が大幅に減少する。
【0037】
図6において、フィルタ媒体の中央スクリーン13より上側の部分は図1と同じであり、フィルタ媒体の中央スクリーン13より下側の部分は図5と同じである。
本実施形態は、負荷特性に優れている。より大きな粒子、すなわち、より密度の低いおよび/または、より運動量の小さい粒子を、より密度の低い上流側の層が捕らえることにより、より密度の高い層は、目詰まりしなくなり、より小さな(すなわち、より密度の高いおよび/またはより運動量の大きい)粒子を中心に捕集できるようになるため、耐用寿命が伸びる。こうして上記媒体は、その全体にわたって均一に粒子を分散させることができる。
【0038】
図7において、フィルタ媒体の中央スクリーン13より上側の部分は図3と同じであり、フィルタ媒体の中央スクリーン13より下側の部分は図5または図6と同じである。
【0039】
図8において、中央スクリーン13より上側のフィルタ媒体15C、15Dは、摩擦電気尺度の異なる端にある繊維を有する本発明に係る混合繊維層である。
【0040】
本発明のさらなる他の実施形態においては、媒体の最外層の一方を光触媒材料で処理してもよい。その場合、エアクリーナを紫外光照明と組み合わせて気相汚染物質を分解することができる。光触媒層は、最も下流側の層が最適である。これにより、光触媒層は実質的に粒子に汚染されない状態に保たれる。
【0041】
本発明のさらなる他の実施形態においては、フィルタフレームの外側スクリーンまたは電極を光触媒で処理する。
【0042】
本発明のさらなる他の実施形態においては、中央スクリーンが炭素含浸発泡材またはメッシュ材などからなり、消臭性を有する。
【0043】
より密度の低い材料からなる下流側の層は、VOCや他の反応性気相汚染物質、および/またはオゾン、および/または生物汚染物質を分解する触媒で処理してもよい。
【0044】
少なくとも1つの外側スクリーンおよび/または媒体の層を、光、一般的には紫外光の下でVOCなどの気相不純物や生物汚染物質を分解する光触媒で処理してもよい。後者の構成では、近傍に配置した1つ以上の紫外光源と組み合わせて光触媒効果を得ることができる。このように構成要素を一体化することにより、気流に光触媒作用を与えるコストが大幅に減少する。触媒は、上流側と下流側のどちらのスクリーンに適用してもよい。この装置においては、複数の中央紫外光源を配置し、ともに処理した上流側と下流側のスクリーンの両方に紫外光を照射してもよい。媒体の層に触媒を適用する場合は、汚染物質で汚れにくい最も下流側の層への適用が好ましい実施形態である。
【0045】
上述の発明では様々な実施形態を参照してきたが、本発明の構造や要素は、全体として発明の趣旨や範囲を逸脱しない限りにおいて変更することができる。特に、各種層および要素を組み合わせたり繰り返したりすることで、様々な効果を得ることができる。たとえば、図7aには、エアクリーナの基本概念が示されており、図7bには、組み立てた装置の一例の構成が示されている。わかりやすいように各種要素は別個の層として図示されているが、2つ以上の「層」を単一の層または材料として一体化させてもよい。
【0046】
上記において開示された発明は、様々な用途に利用でき、HVAC装置、独立型のフィルタ/ファン装置、産業用エアクリーナ装置、集塵装置などの用途が挙げられ、かつこれらに限られるものでない。上記の実施形態では主に平面フィルタ構造について説明したが、本発明は他の構造にも適用でき、V字状配列の多重平面パネル群、相互接続されたパネルおよびV字状配列装置群、集塵装置用の円筒形フィルタなどが挙げられ、かつこれらに限られるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】相対的に抵抗の低い誘電体からなる繊維状パッドの間に、より抵抗の高い通気性スクリーンを備える本発明に係るフィルタ媒体の断面図である。
【図2】誘電体からなる繊維状パッドと、摩擦電気尺度の異なる端にある繊維を有する混合繊維層とを備える本発明に係るフィルタ媒体の断面図である。
【図3】図1および図2の特徴を取り入れた本発明に係るフィルタ媒体の断面図である。
【図4】より密度の高い誘電体からなる層と、それに続くより密度の低い誘電体とを備える本発明に係るフィルタ媒体の断面図である。
【図5】図1から図4の特徴を取り入れた本発明に係るフィルタ媒体の断面図である。
【図6】図1と図5の特徴を取り入れた本発明に係るフィルタ媒体の断面図である。
【図7】図3と図6の特徴を取り入れた本発明に係るフィルタ媒体の断面図である。
【図8】摩擦電気尺度の異なる端にある繊維を有する混合繊維層を備える本発明に係るフィルタ媒体の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動電界分極媒体型エアクリーナ用フィルタ媒体であって、
フィルタ材からなる第1パッドと、
フィルタ材からなる第2パッドと、
前記フィルタ材からなる第1パッドと前記フィルタ材からなる第2パッドとの間に配置され、抵抗率が前記フィルタ材からなる第1パッドの抵抗率より高くかつ前記フィルタ材からなる第2パッドの抵抗率より高い通気性スクリーンとを備えるフィルタ媒体。
【請求項2】
前記フィルタ材からなる第1パッドと前記フィルタ材からなる第2パッドが繊維状ポリエステルである請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項3】
前記通気性スクリーンがガラス繊維スクリーンである請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項4】
第1導電性外側スクリーンと、
前記第1導電性外側スクリーンと略平行の第2導電性スクリーンと、
前記第1導電性外側スクリーンと前記第2導電性スクリーンとの間に配置された、摩擦電気尺度の異なる部分にある繊維を含む混合摩擦電気材料からなるパッドと、
第1および第2端子を有し、前記高圧電源の前記第1端子が前記第2導電性スクリーンに接続され、前記高圧電源の前記第2端子が前記第1導電性外側スクリーンに接続された高圧電源とを備える能動電界分極媒体型エアクリーナ。
【請求項5】
前記混合摩擦電気材料からなるパッドが、摩擦電気尺度の一部分にある繊維からなる第1層と、摩擦電気尺度の異なる部分にある繊維からなる第2層とを含む請求項4に記載の能動電界分極媒体型エアクリーナ。
【請求項6】
前記混合摩擦電気材料からなるパッドが第1および第2繊維の混合物を含み、前記第1繊維が摩擦電気尺度の一部分にあり、前記第2繊維が摩擦電気尺度の異なる部分にある請求項4に記載の能動電界分極媒体型エアクリーナ。
【請求項7】
第1導電性外側スクリーンと、
前記第1導電性外側スクリーンと略平行の第2導電性スクリーンと、
前記第2導電性スクリーンに隣接して配置された、摩擦電気尺度の異なる部分にある繊維を含む混合摩擦電気材料からなるパッドと、
前記第1導電性外側スクリーンと前記混合摩擦電気媒体層との間に配置された第1フィルタ媒体と、
第1および第2端子を有する高圧電源であって、前記高圧電源の前記第1端子が前記第2導電性スクリーンに接続され、前記高圧電源の前記第2端子が前記第1導電性外側スクリーンに接続された高圧電源とを備える能動電界分極媒体型エアクリーナ。
【請求項8】
前記第1フィルタ媒体が、フィルタ材からなる第1パッドをさらに備え、前記フィルタ材からなる第1パッドが繊維状ポリエステルからなる請求項7に記載の能動電界分極媒体型エアクリーナ。
【請求項9】
前記第1フィルタ媒体が、
フィルタ材からなる第1パッドと、
フィルタ材からなる第2パッドと、
前記フィルタ材からなる第1パッドと前記フィルタ材からなる第2パッドとの間に配置され、抵抗率が前記フィルタ材からなる第1パッドの抵抗率より高くかつ前記フィルタ材からなる第2パッドの抵抗率より高い通気性スクリーンとをさらに備える請求項7に記載の能動電界分極媒体型エアクリーナ。
【請求項10】
前記フィルタ材からなる第1パッドと前記フィルタ材からなる第2パッドが繊維状ポリエステルである請求項9に記載の能動電界分極媒体型エアクリーナ。
【請求項11】
前記通気性スクリーンがガラス繊維スクリーンである請求項9に記載の能動電界分極媒体型エアクリーナ。
【請求項12】
能動電界分極媒体型エアクリーナ用フィルタ媒体であって、
フィルタ材からなる第1パッドと、
フィルタ材からなる第2パッドと、
前記フィルタ材からなる第1パッドと前記フィルタ材からなる第2パッドとの間に配置され、抵抗率が前記フィルタ材からなる第1パッドの抵抗率より高くかつ前記フィルタ材からなる第2パッドの抵抗率より高い通気性スクリーンと、
前記フィルタ材からなる第2パッドに隣接して配置された、摩擦電気尺度の異なる部分にある繊維を含む混合摩擦電気材料からなるパッドとを備える能動電界分極媒体型エアクリーナ用フィルタ媒体。
【請求項13】
前記フィルタ材からなる第1パッドと前記フィルタ材からなる第2パッドが繊維状ポリエステルである請求項12に記載のフィルタ媒体。
【請求項14】
前記通気性スクリーンがガラス繊維スクリーンである請求項12に記載のフィルタ媒体。
【請求項15】
前記混合摩擦電気材料からなるパッドが、摩擦電気尺度の一部分にある繊維からなる第1層と、摩擦電気尺度の異なる部分にある繊維からなる第2層とを含む請求項12に記載のフィルタ媒体。
【請求項16】
前記混合摩擦電気材料からなるパッドが第1および第2繊維の混合物を含み、前記第1繊維が摩擦電気尺度の一部分にあり、前記第2繊維が摩擦電気尺度の異なる部分にある請求項12に記載のフィルタ媒体。
【請求項17】
能動電界分極媒体型エアクリーナ用フィルタ媒体であって、
フィルタ材からなる第1パッドと、
前記フィルタ材からなる第1パッドに隣接して配置された、摩擦電気尺度の異なる部分にある繊維を含む混合摩擦電気材料からなるパッドと、
前記混合摩擦電気材料からなるパッドに隣接して配置され、前記混合摩擦電気材料からなるパッドより密度の低いフィルタ材からなる第2パッドとを備えるフィルタ媒体。
【請求項18】
前記フィルタ材からなる第2パッドが繊維状ポリエステルである請求項17に記載の能動電界分極媒体型エアクリーナ用フィルタ媒体。
【請求項19】
能動電界分極媒体型エアクリーナ用フィルタ媒体であって、
フィルタ材からなる第1パッドと、
フィルタ材からなる第2パッドと、
前記フィルタ材からなる第1パッドと前記フィルタ材からなる第2パッドとの間に配置され、抵抗率が前記フィルタ材からなる第1パッドの抵抗率より高くかつ前記フィルタ材からなる第2パッドの抵抗率より高い通気性スクリーンと、
前記フィルタ材からなる第2パッドに隣接して配置された、摩擦電気尺度の異なる部分にある繊維を含む混合摩擦電気材料からなるパッドと、
前記混合摩擦電気材料からなるパッドに隣接して配置され、前記混合摩擦電気材料からなるパッドより密度の低いフィルタ材からなる第3パッドとを備えるフィルタ媒体。
【請求項20】
前記フィルタ材からなる第1パッドと前記フィルタ材からなる第2パッドが繊維状ポリエステルである請求項19に記載のフィルタ媒体。
【請求項21】
前記通気性スクリーンがガラス繊維スクリーンである請求項19に記載のフィルタ媒体。
【請求項22】
前記混合摩擦電気材料からなるパッドが、摩擦電気尺度の一部分にある繊維からなる第1層と、摩擦電気尺度の異なる部分にある繊維からなる第2層とを含む請求項19に記載のフィルタ媒体。
【請求項23】
前記混合摩擦電気材料からなるパッドが第1および第2繊維の混合物を含み、前記第1繊維が摩擦電気尺度の一部分にあり、前記第2繊維が摩擦電気尺度の異なる部分にある請求項19に記載のフィルタ媒体。
【請求項24】
前記フィルタ材からなる第3パッドが繊維状ポリエステルである請求項19に記載の能動電界分極媒体型エアクリーナ用フィルタ媒体。
【請求項25】
能動電界分極媒体型エアクリーナ用フィルタ媒体であって、
フィルタ材からなる第1パッドと、
フィルタ材からなる第2パッドと、
前記フィルタ材からなる第1パッドと前記フィルタ材からなる第2パッドとの間に配置され、抵抗率が前記フィルタ材からなる第1パッドの抵抗率より高くかつ前記フィルタ材からなる第2パッドの抵抗率より高い第1通気性スクリーンと、
前記フィルタ材からなる第2パッドに隣接して配置された導電性中央スクリーンと、
前記導電性中央スクリーンに隣接して配置されたフィルタ材からなる第3パッドと、
フィルタ材からなる第4パッドと、
前記フィルタ材からなる第3パッドと前記フィルタ材からなる第4パッドとの間に配置され、抵抗率が前記フィルタ材からなる第3パッドの抵抗率より高くかつ前記フィルタ材からなる第4パッドの抵抗率より高い第2通気性スクリーンと、
前記フィルタ材からなる第4パッドに隣接して配置された、前記摩擦電気尺度の異なる部分にある繊維を含む混合摩擦電気材料からなるパッドと、
前記混合摩擦電気材料からなるパッドに隣接して配置され、前記混合摩擦電気材料からなるパッドより密度の低いフィルタ材からなる第5パッドとを備えるフィルタ媒体。
【請求項26】
前記フィルタ材からなる第1パッドと前記フィルタ材からなる第2パッドが繊維状ポリエステルである請求項25に記載のフィルタ媒体。
【請求項27】
前記第1通気性スクリーンがガラス繊維スクリーンである請求項25に記載のフィルタ媒体。
【請求項28】
前記フィルタ材からなる第3パッドと前記フィルタ材からなる第4パッドが繊維状ポリエステルである請求項25に記載のフィルタ媒体。
【請求項29】
前記第2通気性スクリーンがガラス繊維スクリーンである請求項25に記載のフィルタ媒体。
【請求項30】
前記混合摩擦電気材料からなるパッドが、摩擦電気尺度の一部分にある繊維からなる第1層と、摩擦電気尺度の異なる部分にある繊維からなる第2層とを含む請求項25に記載のフィルタ媒体。
【請求項31】
前記混合摩擦電気材料からなるパッドが第1および第2繊維の混合物を含み、前記第1繊維が摩擦電気尺度の一部分にあり、前記第2繊維が摩擦電気尺度の異なる部分にある請求項25に記載のフィルタ媒体。
【請求項32】
前記フィルタ材からなる第5パッドが繊維状ポリエステルである請求項25に記載の能動電界分極媒体型エアクリーナ用フィルタ媒体。
【請求項33】
能動電界分極媒体型エアクリーナ用フィルタ媒体であって、
フィルタ材からなる第1パッドと、
フィルタ材からなる第2パッドと、
前記フィルタ材からなる第1パッドと前記フィルタ材からなる第2パッドとの間に配置され、抵抗率が前記フィルタ材からなる第1パッドの抵抗率より高くかつ前記フィルタ材からなる第2パッドの抵抗率より高い第1通気性スクリーンと、
前記フィルタ材からなる第2パッドに隣接して配置された、前記摩擦電気尺度の異なる部分にある繊維を含む混合摩擦電気材料からなる第1パッドと、
前記混合摩擦電気材料からなる第1パッドに隣接して配置された導電性中央スクリーンと、
前記導電性中央スクリーンに隣接して配置されたフィルタ材からなる第3パッドと、
フィルタ材からなる第4パッドと、
前記フィルタ材からなる第3パッドと前記フィルタ材からなる第4パッドとの間に配置され、抵抗率が前記フィルタ材からなる第3パッドの抵抗率より高くかつ前記フィルタ材からなる第4パッドの抵抗率より高い第2通気性スクリーンと、
前記フィルタ材からなる第4パッドに隣接して配置された、前記摩擦電気尺度の異なる部分にある繊維を含む混合摩擦電気材料からなる第2パッドと、
前記混合摩擦電気材料からなる第2パッドに隣接して配置され、前記混合摩擦電気材料からなる第2パッドより密度の低いフィルタ材からなる第5パッドとを備えるフィルタ媒体。
【請求項34】
前記フィルタ材からなる第1パッドと前記フィルタ材からなる第2パッドが繊維状ポリエステルである請求項33に記載のフィルタ媒体。
【請求項35】
前記第1通気性スクリーンがガラス繊維スクリーンである請求項33に記載のフィルタ媒体。
【請求項36】
前記フィルタ材からなる第1パッドと前記フィルタ材からなる第2パッドが繊維状ポリエステルである請求項33に記載のフィルタ媒体。
【請求項37】
前記第2通気性スクリーンがガラス繊維スクリーンである請求項33に記載のフィルタ媒体。
【請求項38】
前記混合摩擦電気材料からなる第1パッドが、摩擦電気尺度の一部分にある繊維からなる第1層と、摩擦電気尺度の異なる部分にある繊維からなる第2層とを含む請求項33に記載のフィルタ媒体。
【請求項39】
前記混合摩擦電気材料からなる第1パッドが第1および第2繊維の混合物を含み、前記第1繊維が摩擦電気尺度の一部分にあり、前記第2繊維が摩擦電気尺度の異なる部分にある請求項33に記載のフィルタ媒体。
【請求項40】
前記混合摩擦電気材料からなる第2パッドが、摩擦電気尺度の一部分にある繊維からなる第1層と、摩擦電気尺度の異なる部分にある繊維からなる第2層とを含む請求項33に記載のフィルタ媒体。
【請求項41】
前記混合摩擦電気材料からなる第2パッドが第1および第2繊維の混合物を含み、前記第1繊維が摩擦電気尺度の一部分にあり、前記第2繊維が摩擦電気尺度の異なる部分にある請求項33に記載のフィルタ媒体。
【請求項42】
前記フィルタ材からなる第5パッドが繊維状ポリエステルである請求項33に記載の能動電界分極媒体型エアクリーナ用フィルタ媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−536281(P2009−536281A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548879(P2008−548879)
【出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/062764
【国際公開番号】WO2007/076552
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(508196162)エンヴァイロメンタル マネジメント コンフェデレーション インコーポレーテッド (5)