改良された手乾燥装置
【課題】
手乾燥装置のノズル部を製造する改善された方法を提供すること。
【解決手段】
手乾燥装置のノズル部を製造する方法は、ノズル部はノズル本体及び該ノズル本体内の空気出口開口を備え、単体としてプラスチックからノズル本体を成形する段階と、次に、成形されたプラスチック製ノズル本体に空気出口開口を機械加工する段階とを含む。
手乾燥装置のノズル部を製造する改善された方法を提供すること。
【解決手段】
手乾燥装置のノズル部を製造する方法は、ノズル部はノズル本体及び該ノズル本体内の空気出口開口を備え、単体としてプラスチックからノズル本体を成形する段階と、次に、成形されたプラスチック製ノズル本体に空気出口開口を機械加工する段階とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手乾燥装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、手乾燥装置であるDyson Airblade(登録商標)シリーズの一部としてモデル名ABO1で販売されている従来の手乾燥装置の部分断面図である。このタイプの手乾燥装置は、欧州特許第1909627号明細書に詳細に説明されている。本装置は、2つの対向する各々1mm未満の薄い空気スロットを通って乾燥空気送り出すことで機能し、ユーザが対向する空気スロットの間に手のひらを開いて「突っ込む」場合にユーザの手の表側及び裏側から水分を除去するように作用する対向する高速空気の薄い広がり(シート)又は「空気ナイフ」を生成するようになっている。
【0003】
図1の部分aは、手乾燥装置のいわゆる空気ナイフ組立体の1つである。2つの空気ナイフ組立体があり、2つの対向する薄い空気スロットを形作るものである。各々の空気ナイフ組立体はノズルbを備え、ノズルbは主空気ダクトdの端部に結合するそれぞれの空気スロットcを含む。ノズルbは、空気スロットcを形成するように後で一緒に組み立てられる2つの成形部e、fの形態である(図2)。これは、2つの部品e、fの射出成形には好適であるが、部品e、fの最終組立体の許容誤差の積み重ねが原因で、スロットcの幅Wを正確に管理するのは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1909627号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、手乾燥装置のノズル部を製造する改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、手乾燥装置のノズル部を製造する方法が提供され、ノズル部はノズル本体及び該ノズル本体内の空気出口開口を備え、単一部品としてプラスチックからノズル本体を成形する段階と、次に、成形されたプラスチック製ノズル本体に空気出口開口を機械加工する段階とを含む。
【0007】
ノズル部は、組立を必要としないので、許容誤差の積み重ねの悪影響を受けず、出口開口の寸法の管理が容易になる。
【0008】
これは、特に出口開口が幅1.5mm未満(特に幅1mm未満)の狭くて細長いスロットの形態の手乾燥装置に当てはまる、何故ならば、本発明に関連して行われた研究によれば、これらの形式の乾燥装置においてスロット幅が実際に重要な乾燥パラメータであり、スロット幅において非常に小さなばらつきであっても乾燥性能に大きく影響することが示唆されているためである。従って、本発明によりスロット幅の許容誤差の積み重ねの影響を取り除くことができるので、これらのタイプの手乾燥装置に関する性能仕様を満たすことが非常に簡単になる。
【0009】
出口開口は後で機械加工されるので、本発明により、ノズル本体の簡単な成形が可能になり、例えば、射出成形の経済的使用につながる。このことは、スロットを成形するために比較的複雑な成形インサートの使用を必要とする、出口開口が狭くて細長いスロットの場合は特にあてはまる。本発明は、スロット幅の許容誤差の積み重ねは多部品ノズル組立体で深刻なので、長さが100mm以上(好ましくは長さ100mm−160mm)の比較的長くて細長い空気スロットを有するノズル部を製造するために特に有利である。例えば、本発明は、手乾燥装置であるDyson Airblade(登録商標)シリーズ等の手乾燥装置に特定の用途があることが分かっている。各々の手のための細長い空気スロットの長さは、スロットに面して「手のひらを開いた」状態のユーザの手の幅にわたって広がるように100mmよりも大きい傾向がある。
【0010】
ノズル部は、各々の手のための比較的長くて細長い空気スロットを備える。この場合、細長い空気スロットは、連続した空気スロットを形成するように結合することができる。この場合、各細長いスロットは、実際上は連続結合したスロットの、異なる長さとなり、各スロットが長さ100mmよりも大きい場合は長さ200mmよりも大きくなるであろう(好ましくは長さ200mm−320mm)。
【0011】
「プラスチック」は熱硬化性又は熱可塑性ポリマー材料を意味する。例えば、ノズル本体は、ポリカーボネート、又はポリカーボネート及びアクリロニトリルブタジエンスチレンの混合物で成形でき、出口開口の好都合な後での機械加工が可能になる。
【0012】
射出成形等の任意の適当な成形方法を利用できる。
細長い空気スロットは、ノズル本体の一部として一体成形される1つ又はそれ以上の筋かい要素(ブレーシング要素)で補強されたノズル本体の一部に機械加工できる。これは比較的頑丈な構造をもたらすが、ノズル本体の単一部品成形の利点を依然として保持する。
【0013】
筋かい要素は、ノズル本体の内側に成形された複数の補強リブとすることができる。これらのリブは、スロットの対向壁を補強するために、機械加工されたスロットにわたって有効に延びる。この場合、後の機械加工ステップは、補強リブの途中までカットする丸みをもった切削工具を用いて行うことができる。リブの途中までカットすると、リブがスロットの分割隔壁として機能することを防止する一方で、リブの筋かい機能は保持される。ボール状又は球状カッター等の丸みをもった切削工具を用いると、リブの応力上昇を制限するという利点がある。このことは図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0014】
ノズル部は、手乾燥装置の外側ケーシングを構成又はその一体部分を形成するのがよい。これにより単純な構造が可能になり、ノズル部は、手乾燥装置の外側ケーシングの一部として効率的に一体にでき、乾燥装置の掃除が容易になり更に衛生的になる。
【0015】
本発明の関連の態様において、ノズル部を有する手乾燥装置が提供され、ノズル部は、プラスチック成形ノズル本体及び使用時に乾燥空気が放出されるノズル出口開口を備え、ノズル出口開口は、成形ノズル本体に機械加工される。
手乾燥装置は、高速の手乾燥装置とすることができ、100m/sよりも大きな出口速度で乾燥空気を放出するように構成される。
【0016】
本発明の実施形態を、例示的に添付図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】欧州特許第1909627号明細書に記載の従来の手乾燥装置の一部を示す断面図である。
【図2】欧州特許第1909627号明細書に記載の従来の手乾燥装置の一部を示す拡大断面図である。
【図3】本発明による、壁面に取り付け可能な手乾燥装置の概略斜視図であり、使用時の通常の方向を示す。
【図4】図3に示す手乾燥装置の下方から見た斜視図である。
【図5a】図3の乾燥装置の上から見下ろした斜視図であり、手を乾燥するための乾燥装置の通常の使用を示す。
【図5b】図3の乾燥装置の上から見下ろした斜視図であり、手を乾燥するための乾燥装置の通常の使用を示す。
【図6】図3に示す手乾燥装置のための成形ノズル本体の斜視図である。
【図7a】ディスクカッターを使用して機械加工された細長い空気スロットの外観正面図であり、スロットの端部プロファイルを示すことが意図されている。
【図7b】図7aのA−A線に沿った断面図であり、スロットの端部プロファイルを更に示す。
【図8a】スロットドリルを使用して機械加工された細長い空気スロットの外観正面図であり、スロットの端部プロファイルを示すことが意図されている。
【図8b】図8aのB−B線に沿った断面図であり、スロットの端部プロファイルを更に示す。
【図9】図3の乾燥装置の下側の断面図であり、ノズル本体の一部として一体成形された筋かい要素を示し、先端が平らな切削工具を使用して筋かい要素に途中までカットされたスロットを備える。
【図10】図9に対応した図であるが、丸みをもった切削工具を使用して筋かい要素に途中までカットされたスロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図3は、本発明によって製造されたノズル部を組み入れた壁面に取り付け可能な手乾燥装置1を示す。この場合、ノズル部は、各々幅が約0.8mmの狭くて細長いスロット5の形態の一対の出口開口を組み入れた手乾燥装置の主外側ケーシング3を構成する。図3では空気スロットを見ることは難しいが、乾燥装置1の下側7に設けられたスロット5の一方は図4に明確に示されている。
【0019】
モータ駆動式ファンは主ケーシング3内に設けられおり、ファンは、主ケーシング3の両側の吸気口9を通って空気を引き込み、狭くて細長い空気スロット5から空気を強制的に高速(>100m/s)で排出する。
【0020】
細長い空気スロット5の各々は、スロット5に面して「手のひらを開いた」ままとする場合、典型的なユーザの手の幅にわたって確実に広がるように十分に長い。120mmと160mmの間の長さが好ましいと考えられる。使用時、乾燥装置1は壁面17に取り付けられる。ユーザは、図5aに示すように、自分の手を細長い空気スロット5の真下に手の縦方向に前から後ろへ挿入し、高速の空気シート11、13(図3)が手の上に下向きに向けられて、続いてスロット5の真下で手を引き戻す際に手から水分を「こすり落とす(scrape)」ようになっている。手を反転させてこの動作を繰り返し手の反対側も乾燥させる(図5b)。
【0021】
細長いスロット5は、厳密な許容誤差で製造する必要があり、本発明において、スロット5の幅の僅かなばらつきであっても乾燥装置1の乾燥性能に悪影響を与える場合があることが分かっている。このことは、本発明では、最初にノズル本体を成形して(この場合、ノズル本体はスロットをもたない主ケーシングである)、次に、スロット5をノズル本体に機械加工して完成した主ケーシングを形成することで好都合かつ確実に実現できる。
【0022】
ノズル本体15は、真下から見た図6に示されており、加工されていない下面7をはっきりと見ることができる。ノズル本体は、ポリカーボネート(PC)又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、又はPC/ABS混合物等の任意の適当なプラスチックの射出成形とすることができる。
【0023】
細長いスロット5は、適当なフライス盤を使用する従来のCNCフライスマシンで機械加工できる。例えば、ディスクカッターを、スロット5をカットするために使用できる。図7a及び7bは、結果として得られたスロットプロファイルを示す。ディスクカッターを使用する欠点は、スロット5に丸みのある端部19をもたらすことであり、スロット5の断面は、空気流の観点から均一ではない。これはスロット5の端部の周りの流動構造に悪影響を及ぼすことが分かっている。この問題は、実施可能の場合、ディスクカッターの半径r1(図7b)を大きくすることで、ほんの少しの程度であるが、幾らか軽減できる。本発明の別の態様によれば、この問題は、図8a及び8bに示すように、スロットドリルを使って真っ直ぐな端部21を備えるスロット5をカットすることで解決できる。
【0024】
ノズル本体15の一部は、好都合には一体の筋かい要素と一緒に成形でき、次に、スロットをこの部分に機械加工できるので、筋かい要素は、スロットの対向壁を変形に抗して突っ張りをして強化するように機能する。これにより、手乾燥装置の製品寿命にわたってより安定した一定のスロット幅を維持できる。図9では、主ケーシング3の内側で、ケーシングの下面7と前壁25との間に延びるリブ23の形態の筋かい要素が含まれる。スロット5はケーシングの下面7にカットされるが、リブ23の途中までカットされて、リブ23がスロット5の分割隔壁として機能することを防止するようになっている。
【0025】
図9は、先端が平らなスロットドリルでカットされているスロットを示す。この場合、スロット5の四角の端部27は、リブ23の応力上昇部として作用する場合もある。これは、ボール状カッター又は球状カッター等の丸みをもった切削工具を使用して、図10に示すような、丸みをもった端部29をスロット5に形成することで解決できる。
【0026】
本発明は、特定の手乾燥装置1に限定されない。例えば、本発明は、欧州特許第1909627号明細書に記載の手乾燥装置の2部品ノズルに置き換わる、主ケーシングと別々の適当なノズル部を製造するためにも同様に利用できる。ノズル部が主ケーシングと別々に形成される場合、既存の2部品ノズルと同じ方法で主ケーシングに対してシール又は結合することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 手乾燥装置
3 主外側ケーシング
5 スロット
11 高速の空気シート
13 高速の空気シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、手乾燥装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、手乾燥装置であるDyson Airblade(登録商標)シリーズの一部としてモデル名ABO1で販売されている従来の手乾燥装置の部分断面図である。このタイプの手乾燥装置は、欧州特許第1909627号明細書に詳細に説明されている。本装置は、2つの対向する各々1mm未満の薄い空気スロットを通って乾燥空気送り出すことで機能し、ユーザが対向する空気スロットの間に手のひらを開いて「突っ込む」場合にユーザの手の表側及び裏側から水分を除去するように作用する対向する高速空気の薄い広がり(シート)又は「空気ナイフ」を生成するようになっている。
【0003】
図1の部分aは、手乾燥装置のいわゆる空気ナイフ組立体の1つである。2つの空気ナイフ組立体があり、2つの対向する薄い空気スロットを形作るものである。各々の空気ナイフ組立体はノズルbを備え、ノズルbは主空気ダクトdの端部に結合するそれぞれの空気スロットcを含む。ノズルbは、空気スロットcを形成するように後で一緒に組み立てられる2つの成形部e、fの形態である(図2)。これは、2つの部品e、fの射出成形には好適であるが、部品e、fの最終組立体の許容誤差の積み重ねが原因で、スロットcの幅Wを正確に管理するのは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1909627号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、手乾燥装置のノズル部を製造する改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、手乾燥装置のノズル部を製造する方法が提供され、ノズル部はノズル本体及び該ノズル本体内の空気出口開口を備え、単一部品としてプラスチックからノズル本体を成形する段階と、次に、成形されたプラスチック製ノズル本体に空気出口開口を機械加工する段階とを含む。
【0007】
ノズル部は、組立を必要としないので、許容誤差の積み重ねの悪影響を受けず、出口開口の寸法の管理が容易になる。
【0008】
これは、特に出口開口が幅1.5mm未満(特に幅1mm未満)の狭くて細長いスロットの形態の手乾燥装置に当てはまる、何故ならば、本発明に関連して行われた研究によれば、これらの形式の乾燥装置においてスロット幅が実際に重要な乾燥パラメータであり、スロット幅において非常に小さなばらつきであっても乾燥性能に大きく影響することが示唆されているためである。従って、本発明によりスロット幅の許容誤差の積み重ねの影響を取り除くことができるので、これらのタイプの手乾燥装置に関する性能仕様を満たすことが非常に簡単になる。
【0009】
出口開口は後で機械加工されるので、本発明により、ノズル本体の簡単な成形が可能になり、例えば、射出成形の経済的使用につながる。このことは、スロットを成形するために比較的複雑な成形インサートの使用を必要とする、出口開口が狭くて細長いスロットの場合は特にあてはまる。本発明は、スロット幅の許容誤差の積み重ねは多部品ノズル組立体で深刻なので、長さが100mm以上(好ましくは長さ100mm−160mm)の比較的長くて細長い空気スロットを有するノズル部を製造するために特に有利である。例えば、本発明は、手乾燥装置であるDyson Airblade(登録商標)シリーズ等の手乾燥装置に特定の用途があることが分かっている。各々の手のための細長い空気スロットの長さは、スロットに面して「手のひらを開いた」状態のユーザの手の幅にわたって広がるように100mmよりも大きい傾向がある。
【0010】
ノズル部は、各々の手のための比較的長くて細長い空気スロットを備える。この場合、細長い空気スロットは、連続した空気スロットを形成するように結合することができる。この場合、各細長いスロットは、実際上は連続結合したスロットの、異なる長さとなり、各スロットが長さ100mmよりも大きい場合は長さ200mmよりも大きくなるであろう(好ましくは長さ200mm−320mm)。
【0011】
「プラスチック」は熱硬化性又は熱可塑性ポリマー材料を意味する。例えば、ノズル本体は、ポリカーボネート、又はポリカーボネート及びアクリロニトリルブタジエンスチレンの混合物で成形でき、出口開口の好都合な後での機械加工が可能になる。
【0012】
射出成形等の任意の適当な成形方法を利用できる。
細長い空気スロットは、ノズル本体の一部として一体成形される1つ又はそれ以上の筋かい要素(ブレーシング要素)で補強されたノズル本体の一部に機械加工できる。これは比較的頑丈な構造をもたらすが、ノズル本体の単一部品成形の利点を依然として保持する。
【0013】
筋かい要素は、ノズル本体の内側に成形された複数の補強リブとすることができる。これらのリブは、スロットの対向壁を補強するために、機械加工されたスロットにわたって有効に延びる。この場合、後の機械加工ステップは、補強リブの途中までカットする丸みをもった切削工具を用いて行うことができる。リブの途中までカットすると、リブがスロットの分割隔壁として機能することを防止する一方で、リブの筋かい機能は保持される。ボール状又は球状カッター等の丸みをもった切削工具を用いると、リブの応力上昇を制限するという利点がある。このことは図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0014】
ノズル部は、手乾燥装置の外側ケーシングを構成又はその一体部分を形成するのがよい。これにより単純な構造が可能になり、ノズル部は、手乾燥装置の外側ケーシングの一部として効率的に一体にでき、乾燥装置の掃除が容易になり更に衛生的になる。
【0015】
本発明の関連の態様において、ノズル部を有する手乾燥装置が提供され、ノズル部は、プラスチック成形ノズル本体及び使用時に乾燥空気が放出されるノズル出口開口を備え、ノズル出口開口は、成形ノズル本体に機械加工される。
手乾燥装置は、高速の手乾燥装置とすることができ、100m/sよりも大きな出口速度で乾燥空気を放出するように構成される。
【0016】
本発明の実施形態を、例示的に添付図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】欧州特許第1909627号明細書に記載の従来の手乾燥装置の一部を示す断面図である。
【図2】欧州特許第1909627号明細書に記載の従来の手乾燥装置の一部を示す拡大断面図である。
【図3】本発明による、壁面に取り付け可能な手乾燥装置の概略斜視図であり、使用時の通常の方向を示す。
【図4】図3に示す手乾燥装置の下方から見た斜視図である。
【図5a】図3の乾燥装置の上から見下ろした斜視図であり、手を乾燥するための乾燥装置の通常の使用を示す。
【図5b】図3の乾燥装置の上から見下ろした斜視図であり、手を乾燥するための乾燥装置の通常の使用を示す。
【図6】図3に示す手乾燥装置のための成形ノズル本体の斜視図である。
【図7a】ディスクカッターを使用して機械加工された細長い空気スロットの外観正面図であり、スロットの端部プロファイルを示すことが意図されている。
【図7b】図7aのA−A線に沿った断面図であり、スロットの端部プロファイルを更に示す。
【図8a】スロットドリルを使用して機械加工された細長い空気スロットの外観正面図であり、スロットの端部プロファイルを示すことが意図されている。
【図8b】図8aのB−B線に沿った断面図であり、スロットの端部プロファイルを更に示す。
【図9】図3の乾燥装置の下側の断面図であり、ノズル本体の一部として一体成形された筋かい要素を示し、先端が平らな切削工具を使用して筋かい要素に途中までカットされたスロットを備える。
【図10】図9に対応した図であるが、丸みをもった切削工具を使用して筋かい要素に途中までカットされたスロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図3は、本発明によって製造されたノズル部を組み入れた壁面に取り付け可能な手乾燥装置1を示す。この場合、ノズル部は、各々幅が約0.8mmの狭くて細長いスロット5の形態の一対の出口開口を組み入れた手乾燥装置の主外側ケーシング3を構成する。図3では空気スロットを見ることは難しいが、乾燥装置1の下側7に設けられたスロット5の一方は図4に明確に示されている。
【0019】
モータ駆動式ファンは主ケーシング3内に設けられおり、ファンは、主ケーシング3の両側の吸気口9を通って空気を引き込み、狭くて細長い空気スロット5から空気を強制的に高速(>100m/s)で排出する。
【0020】
細長い空気スロット5の各々は、スロット5に面して「手のひらを開いた」ままとする場合、典型的なユーザの手の幅にわたって確実に広がるように十分に長い。120mmと160mmの間の長さが好ましいと考えられる。使用時、乾燥装置1は壁面17に取り付けられる。ユーザは、図5aに示すように、自分の手を細長い空気スロット5の真下に手の縦方向に前から後ろへ挿入し、高速の空気シート11、13(図3)が手の上に下向きに向けられて、続いてスロット5の真下で手を引き戻す際に手から水分を「こすり落とす(scrape)」ようになっている。手を反転させてこの動作を繰り返し手の反対側も乾燥させる(図5b)。
【0021】
細長いスロット5は、厳密な許容誤差で製造する必要があり、本発明において、スロット5の幅の僅かなばらつきであっても乾燥装置1の乾燥性能に悪影響を与える場合があることが分かっている。このことは、本発明では、最初にノズル本体を成形して(この場合、ノズル本体はスロットをもたない主ケーシングである)、次に、スロット5をノズル本体に機械加工して完成した主ケーシングを形成することで好都合かつ確実に実現できる。
【0022】
ノズル本体15は、真下から見た図6に示されており、加工されていない下面7をはっきりと見ることができる。ノズル本体は、ポリカーボネート(PC)又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、又はPC/ABS混合物等の任意の適当なプラスチックの射出成形とすることができる。
【0023】
細長いスロット5は、適当なフライス盤を使用する従来のCNCフライスマシンで機械加工できる。例えば、ディスクカッターを、スロット5をカットするために使用できる。図7a及び7bは、結果として得られたスロットプロファイルを示す。ディスクカッターを使用する欠点は、スロット5に丸みのある端部19をもたらすことであり、スロット5の断面は、空気流の観点から均一ではない。これはスロット5の端部の周りの流動構造に悪影響を及ぼすことが分かっている。この問題は、実施可能の場合、ディスクカッターの半径r1(図7b)を大きくすることで、ほんの少しの程度であるが、幾らか軽減できる。本発明の別の態様によれば、この問題は、図8a及び8bに示すように、スロットドリルを使って真っ直ぐな端部21を備えるスロット5をカットすることで解決できる。
【0024】
ノズル本体15の一部は、好都合には一体の筋かい要素と一緒に成形でき、次に、スロットをこの部分に機械加工できるので、筋かい要素は、スロットの対向壁を変形に抗して突っ張りをして強化するように機能する。これにより、手乾燥装置の製品寿命にわたってより安定した一定のスロット幅を維持できる。図9では、主ケーシング3の内側で、ケーシングの下面7と前壁25との間に延びるリブ23の形態の筋かい要素が含まれる。スロット5はケーシングの下面7にカットされるが、リブ23の途中までカットされて、リブ23がスロット5の分割隔壁として機能することを防止するようになっている。
【0025】
図9は、先端が平らなスロットドリルでカットされているスロットを示す。この場合、スロット5の四角の端部27は、リブ23の応力上昇部として作用する場合もある。これは、ボール状カッター又は球状カッター等の丸みをもった切削工具を使用して、図10に示すような、丸みをもった端部29をスロット5に形成することで解決できる。
【0026】
本発明は、特定の手乾燥装置1に限定されない。例えば、本発明は、欧州特許第1909627号明細書に記載の手乾燥装置の2部品ノズルに置き換わる、主ケーシングと別々の適当なノズル部を製造するためにも同様に利用できる。ノズル部が主ケーシングと別々に形成される場合、既存の2部品ノズルと同じ方法で主ケーシングに対してシール又は結合することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 手乾燥装置
3 主外側ケーシング
5 スロット
11 高速の空気シート
13 高速の空気シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手乾燥装置のためのノズル部を製造する方法であって、前記ノズル部はノズル本体及び該ノズル本体の空気出口開口を備え、単一部品としてプラスチックからノズル本体を成形する段階と、次に、前記成形されたプラスチック製ノズル本体に前記空気出口開口を機械加工する段階と、を含む方法。
【請求項2】
細長いスロットの形態の前記空気出口開口を機械加工する段階を含み、前記スロットの幅は1.5mm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スロットの長さは100mmよりも大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ノズル本体は、ポリカーボネート、又はポリカーボネート及びアクリロニトリルブタジエンスチレンの混合物から成形される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ノズル本体は射出成形される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記スロットは、前記ノズル本体の一部として一体成形された1つ又はそれ以上の筋かい要素によって補強された前記ノズル本体の一部に機械加工される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記筋かい要素は、前記ノズル本体の一部の内側に成形された補強リブである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記機械加工は、前記補強リブの途中までカットする、丸みをもった切削工具を使用して行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ノズル本体は、手乾燥装置の外側ケーシングを構成するか又はその一部を形成する、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ノズル部を有する手乾燥装置であって、前記ノズル部は、プラスチック成形ノズル本体及び使用時に乾燥空気が放出されるノズル出口開口を備え、前記ノズル出口開口は、前記成形ノズル本体に機械加工されたものである、手乾燥装置。
【請求項11】
前記ノズル出口開口は細長いスロットの形態であり、前記スロットの幅は1.5mm未満である、請求項10に記載の手乾燥装置。
【請求項12】
前記スロットの長さは少なくとも120mmであり、前記スロットに面して手のひらを開いた状態のユーザの片手又は両手の幅にわたって広がっている、請求項11に記載の手乾燥装置。
【請求項13】
前記スロットは、前記ノズル本体の一部として一体成形された1つ又はそれ以上の筋かい要素によって補強された前記ノズル本体の一部に機械加工される、請求項11に記載の手乾燥装置。
【請求項14】
前記筋かい要素は、前記ノズル本体の一部の内側に成形された補強リブである、請求項13に記載の手乾燥装置。
【請求項15】
前記ノズル本体は、前記手乾燥装置の外側ケーシングである、請求項10から14のいずれか1項に記載の手乾燥装置。
【請求項1】
手乾燥装置のためのノズル部を製造する方法であって、前記ノズル部はノズル本体及び該ノズル本体の空気出口開口を備え、単一部品としてプラスチックからノズル本体を成形する段階と、次に、前記成形されたプラスチック製ノズル本体に前記空気出口開口を機械加工する段階と、を含む方法。
【請求項2】
細長いスロットの形態の前記空気出口開口を機械加工する段階を含み、前記スロットの幅は1.5mm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スロットの長さは100mmよりも大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ノズル本体は、ポリカーボネート、又はポリカーボネート及びアクリロニトリルブタジエンスチレンの混合物から成形される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ノズル本体は射出成形される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記スロットは、前記ノズル本体の一部として一体成形された1つ又はそれ以上の筋かい要素によって補強された前記ノズル本体の一部に機械加工される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記筋かい要素は、前記ノズル本体の一部の内側に成形された補強リブである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記機械加工は、前記補強リブの途中までカットする、丸みをもった切削工具を使用して行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ノズル本体は、手乾燥装置の外側ケーシングを構成するか又はその一部を形成する、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ノズル部を有する手乾燥装置であって、前記ノズル部は、プラスチック成形ノズル本体及び使用時に乾燥空気が放出されるノズル出口開口を備え、前記ノズル出口開口は、前記成形ノズル本体に機械加工されたものである、手乾燥装置。
【請求項11】
前記ノズル出口開口は細長いスロットの形態であり、前記スロットの幅は1.5mm未満である、請求項10に記載の手乾燥装置。
【請求項12】
前記スロットの長さは少なくとも120mmであり、前記スロットに面して手のひらを開いた状態のユーザの片手又は両手の幅にわたって広がっている、請求項11に記載の手乾燥装置。
【請求項13】
前記スロットは、前記ノズル本体の一部として一体成形された1つ又はそれ以上の筋かい要素によって補強された前記ノズル本体の一部に機械加工される、請求項11に記載の手乾燥装置。
【請求項14】
前記筋かい要素は、前記ノズル本体の一部の内側に成形された補強リブである、請求項13に記載の手乾燥装置。
【請求項15】
前記ノズル本体は、前記手乾燥装置の外側ケーシングである、請求項10から14のいずれか1項に記載の手乾燥装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−85961(P2013−85961A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230933(P2012−230933)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
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