改良径測定用の信号伝送機構
【課題】伝送ケーブルの接続部のショート等の不具合をなくす。
【解決手段】改良径測定用の信号伝送機構30は、改良体と未改良地山との境界面の位置を検知装置10によって検知した電気信号を受信したときに発光する発光部34と、この発光部34に対して受光可能な位置に一端を配するとともにその光を他端側へ伝送させる光ファイバー32と、光ファイバー32を同軸に挿通させて保持する光ファイバーロッド33と、光ファイバー32の他端側に配されるとともに光ファイバー32により伝送された光を受光したときに光を音に変換して音信号を発報する発報部35とを備え、検知装置10で検知した電気信号を地上に伝送する構成とした。
【解決手段】改良径測定用の信号伝送機構30は、改良体と未改良地山との境界面の位置を検知装置10によって検知した電気信号を受信したときに発光する発光部34と、この発光部34に対して受光可能な位置に一端を配するとともにその光を他端側へ伝送させる光ファイバー32と、光ファイバー32を同軸に挿通させて保持する光ファイバーロッド33と、光ファイバー32の他端側に配されるとともに光ファイバー32により伝送された光を受光したときに光を音に変換して音信号を発報する発報部35とを備え、検知装置10で検知した電気信号を地上に伝送する構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤中に、硬化材を噴射させて攪拌混合することによって造成される改良体の径寸法を測定するために用いる改良径測定用の信号伝送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、改良対象地盤中に硬化材を噴射させて混合攪拌することによって改良体を造成する高圧噴射攪拌工法がある。この改良体の径寸法の測定方法として、温度、荷重、pHなどの変化を検知するための検知センサーを棒状部材の先端に取り付け、その検知センサーを棒状部材とともに改良体中の径方向、すなわち水平方向に延出させ、改良体と未改良地盤との境界面を検知し、その検知位置に延出した棒状部材の長さ寸法を測定することにより改良径を検出する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、地盤内に貫入されるケーシングの内部に棒状部材を挿入させて、その下端部(先端部)をケーシングの内部から水平方向に延出させ、改良体と未改良地盤との境界面へと貫入もしくは接触させるようにして送り込む装置が地上の地盤改良機に搭載され、棒状部材の先端部には境界面における荷重変化、温度変化又はpH変化のうち少なくともいずれか一つを検出する検知センサーが設けられており、この検知センサーによって境界面が確認された際の棒状部材の水平方向における改良体への貫入量に基づいて改良体の径を測定する測定装置について記載されている。
【0004】
ところで、このような改良径測定装置では、改良径の測定時において、検知センサーで改良体と未改良地盤との境界面を検知した電気信号がケーシング内に配線された信号ケーブルによって地上へ送信され、その信号を確認することで、検知センサーの位置を検出する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−52634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すような従来の改良径測定装置では、以下のような問題があった。
すなわち、従来の改良径測定装置では、信号ケーブルの接続作業を伴い、この接続部において、ケーシング内の漏水によって漏電してショートするといった不具合が発生することがあり、その点で改良の余地があった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、伝送ケーブルの接続部のショート等の不具合をなくす改良径測定用の信号伝送機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る改良径測定用の信号伝送機構では、地盤中に、硬化材を噴射させて攪拌混合することによって造成される改良体の径寸法を測定する際に、改良体と未改良地山との境界面の位置を検知装置によって検知し、その検知装置による検知信号を地上に伝送するための改良径測定用の信号伝送機構であって、検知装置からの信号を受信したときに発光する発光部と、発光部に対して受光可能な位置に一端を配し、その光を他端側へ伝送させる光ファイバーと、光ファイバーを同軸に挿通させて保持する光ファイバーロッドと、光ファイバーの他端側に配され、光ファイバーにより伝送された光を受光したときに信号を発する発報部とを備えたことを特徴としている。
【0009】
本発明では、検知装置で検知した電気信号を受信した発光部が発光し、その光が光ファイバーロッド内に挿通された光ファイバーによって地上の発報部へ伝送され、この発報部の信号を確認することで、検知装置の位置を確認することができる。つまり、この発報部の信号確認時における検知装置の位置を例えば光ファイバーロッドの送り込み長さ等から測定することで、改良体の径寸法を検出することができる。このときの光ファイバーは光ファイバーロッド内に挿通され、被覆された状態で保持されているので、従来のように伝送ケーブルがケーシング内の漏水等に接して漏電を起こしたり、ショートしたりするといった不具合を無くすことができる。
【0010】
また、本発明に係る改良径測定用の信号伝送機構では、光ファイバーロッドは、複数の定尺ロッドによる連結構造をなし、定尺ロッド同士の連結により、それら定尺ロッド内の光ファイバー端部同士が光を伝達可能に対向配置される構成であることが好ましい。
【0011】
これにより、光ファイバーロッドの延長時には、光ファイバーを内挿した定尺ロッドを連結することで、内部の光ファイバー同士も実質的に接続されることから、容易に且つ確実な接続作業を行うことがきる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の改良径測定用の信号伝送機構によれば、光ファイバーロッドに伝送ケーブルをなす光ファイバーが同軸に内挿された状態で保持されているので、光ファイバーロッド同士の連結と同時に、それらの内部の光ファイバー同士も実質的に接続されることから、簡単、且つ確実に接続作業が行え、作業にかかる手間を低減させることができる。しかも、光ファイバーが光ファイバーロッドによって被覆された状態となっているので、断線等の接続時の不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態による改良径測定装置の概略を示す側面図である。
【図2】改良径測定装置の地中部分の詳細を示す一部破断側面図である。
【図3】計測体を示す図であって、(a)はその断面図、(b)はその一部側断面図である。
【図4】図2に示す検知装置の拡大図である。
【図5】触覚スイッチを示す図であって、(a)はオフ状態の図、(b)はオン状態の図である。
【図6】検知装置による検知状態を示す側断面図である。
【図7】信号伝送機構の全体概要を示す図である。
【図8】信号伝送機構の地中部分の詳細を示す図である。
【図9】送り出し装置の側断面図であって、(a)は計測体を送り出す状態を示す図、(b)は計測体を引き戻す状態を示す図である。
【図10】送り出し装置の断面図であって、(a)は図9に示すA−A線断面図、(b)は図7に示すB−B線断面図である。
【図11】送り出し装置の注水管を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態による改良径測定装置について、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1の符号1は、本実施の形態による高圧噴射攪拌工法に用いられる改良径測定装置を示している。すなわち、改良径測定装置1は、改良対象地盤G中に高圧で硬化材を噴射させて攪拌混合する改良掘削機本体2によって造成した改良体Kの径寸法(以下、単に改良径ということもある)を測定するためのものであり、地上部に設置された改良掘削機本体2に具備されている。
改良掘削機本体2は、地上に架台2aを介して設けられ、先端ビット3aを装着した地盤改良用の掘削ロッド3を地盤G内に鉛直方向に貫入させ、所定の深さまで貫入させたときに、掘削ロッド3の下部側面に備えた噴射ノズル4により硬化材Nを高圧噴射させる周知の構成を有している。つまり、噴射ノズル4より硬化材を高圧噴射させつつ、掘削ロッド3を回転させることで、掘削ロッド3の周囲に所定の改良径からなる改良体Kが形成されることになる。
【0016】
掘削ロッド3は、筒状をなし、その内部には、噴射ノズル4に接続する硬化材Nを送るための注入管5や、送り出し装置20と、計測体曲げ案内管8と、先端に検知装置10(後述)を取り付けた長尺棒状部材をなす計測体6(断面が湾曲状の計測体)が挿入されている。
【0017】
図1および図2に示すように、改良径測定装置1は、改良体Kと未改良地盤G1との境界面Fの地盤の変化点を検知するための検知装置10と、この検知装置10をその先端部に固定するとともに掘削ロッド3の側面から境界面Fに向けて略水平方向に延出させるための計測体6と、この計測体6を検知装置10が境界面Fに到達するように送り出す計測体送り出し装置(以下、単に「送り出し装置20」という)と、検知装置10で検知した信号を後述する地上(後述する図7に示す発報部35)に送信するための信号伝送機構30とを備えて概略構成されている。
【0018】
図3(a)に示すように、計測体6は、例えばばね鋼などの材料から形成されており、コンベックスメジャーのように断面視で湾曲した長尺棒状をなし、延伸可能になっている(図10(a)、(b)参照)。そして、図2に示すように、計測体6の先端部6aが検知装置10に接続され、基端部6bが送り出し装置20に固定されている。そのため、計測体6は、湾曲している凹曲面6c側に屈曲し易く、その反対側(凸曲面6d側)で軸方向には曲げ難い形状となっている。
【0019】
また、図2および図3(b)に示すように、計測体6の厚さ寸法は、鉛直方向から水平方向に屈曲する部分(図2の屈曲部6e)では複数枚を接着剤等で重ね合わせて厚くし、先端(検知装置10)に向かうにしたがって重ね枚数を減らして漸次薄くなっている。つまり、厚さ寸法を大きくする範囲では、複数枚(図では2枚)の計測体6を重ね合わせた二重構造(図3(b)に示す符号6A、6B参照)をなしている。これにより、計測体6の先端部6a寄りの自重を減少させ、モーメントが大きくなる屈曲部6e付近(支点付近)において厚さ寸法を増大させて剛性を高めた構造とすることで、計測体6の水平部分(掘削ロッド3から延出された部分)の垂れ下がりを抑え、この垂れ下がりによる改良径測定値の誤差を小さくするようになっている(図1参照)。
【0020】
次に、計測体6の先端部6aに取り付けられるとともに、改良体Kと未改良地盤G1との境界面Fを検知するための検知装置10の構成について説明する。
図2および図4に示すように、検知装置10は、掘削ロッド3の側面に設けられた検知装置収容部7内に着脱可能に収められており、改良径の測定時に検知装置収容部7から延出するようになっている。つまり、図1に示すように、改良時、すなわち掘削ロッド3の回転中には、検知装置10が検知装置収容部7内に収まった状態となり、これにより掘削ロッド3の貫入および噴射攪拌中の噴射ノズル4の回転を妨げることはない。
【0021】
検知装置収容部7は、略有底筒状をなし、開口端7aに検知装置10が着脱できるようになっており、底部7b側には、計測体6を鉛直方向から水平方向に屈曲させるようにして案内するための計測体曲げ案内管(管部材)8が接続されている。その計測体曲げ案内管8内を通過した計測体6の先端部6aは、底部7bを貫通した状態で検知装置10に固定されている。なお、図2に示すように、計測体曲げ案内管8は、その上端8aが後述する送り出し装置20のケーシング(管部材)21の下端21aに接続され、下端8bが検知装置収容部7の底部7bに接続されている。
【0022】
図4に示すように、検知装置10は、防水ボックス11と、触覚スイッチ12と、カバー体14とを備えたものである。そして、本実施の形態では触覚スイッチ12が外殻を構成する防水ボックス11に収容されており、触覚スイッチ12の先端部12aを覆うカバー体14が防水ボックス11にバネ部材13を介して取り付けられている。防水ボックス11とカバー体14とは液密な状態で接しており、これにより防水ボックス11内に配置される触覚スイッチ12とバネ部材13とが防水された状態で収容されている。
【0023】
触覚スイッチ12は、図5(a)、(b)に示すように、先端部12aがスプリング12cを介してスイッチ本体12bに対して近接離反可能に設けられている。そして、図6に示すように、先端部12aがカバー体14に当接して押圧されると、先端部12aがスイッチ本体12bに接触し、スイッチ本体12b内の電気回路が閉回路となって通電状態となり、機械的にスイッチがオフからオンとなる周知の構造であり、その通電による信号が計測体6に沿って配線されたケーブル15を通じ、さらに信号伝送機構30(図2参照)を通じて地上の検知確認部(図7に示す発報部35に相当)へ送信されるようになっている。
【0024】
カバー体14は、触覚スイッチ12の先端部12aが直接孔壁(図1に示す未改良地盤G1との境界面F)に接触することを防ぐ目的で設けられ、バネ部材13の付勢に抗して触覚スイッチ12側に押し込まれるようになっている。つまり、検知装置10が計測体6とともに延出し、カバー体14が孔壁(境界面F)に接してから、さらに計測体6を延ばし続けることにより、触覚スイッチ12とカバー体14との間のバネ部材13が圧縮し、触覚スイッチ12がオンになる構成となっている。
【0025】
次に、検知装置10で検知したオンの検知信号を地上に伝達するための信号伝送機構30の詳細構成について図面に基づいて説明する。ここで、図8は、信号伝送機構30のうちピストン22の直上部に位置する地中部分を示している。
図7および図8に示すように、信号伝送機構30は、送り出し装置20のピストン22(後述する)の上端部に配置された送信部31と、送信部31と地上の受光検知部(後述する発報部35)とを接続する光ファイバー32と、その光ファイバー32を内部に同軸に挿通させて保持する光ファイバーロッド33と、検知装置10から伝達された電気信号を受信したときに発光する発光ダイオードからなる発光部34と、光ファイバー32の他端側に配され、光ファイバー32により伝送された光を受光したときに光を音に変換して音信号を発報する発報部35とを備え、その発報部35の発光時における光ファイバーロッド33の貫入長を測定することで、計測体6の送り込みの長さ、すなわち改良体径を測定することが可能な構成となっている。
【0026】
図8に示すように、送信部31は、送り出し装置20の後述するケーシング21内において、ピストン22の上にその下側接続部材36aが固定されたケース36に内装されており、検知装置10に繋がれたケーブル15の上端部15aが接続されるとともに、送信部31の上端部31aに発光部34が固定されている。つまり、送信部31では、検知装置10で検知した電気信号を受信したときに、発光部34を発光させる機能を有している。
【0027】
光ファイバーロッド33は、ケーシング21より小さな外径寸法の円筒棒状をなし、そのロッド先端33aがケース36の上側接続部材36bに接続固定されている。このときのロッド先端33aの位置は、光ファイバー32の先端32aが発光部34と所定距離(光ファイバー先端32aで発光部34の光を受光可能な距離)だけ離れた位置となっている。つまり、光ファイバー先端32aで発光部34の光信号を受光し、その光を光ファイバー32によって発報部35へ伝送するように構成されている。
【0028】
また、この光ファイバーロッド33は、内部に光ファイバー32を同軸に挿通させて保持し、複数の定尺ロッドによるネジ継手方式等の連結構造をなしている。これら各定尺の光ファイバーロッド33に挿通されている光ファイバー32は、それぞれの定尺の光ファイバーロッド33において、その両端が露出した状態となっており、各定尺ロッド同士が連結された状態で双方の光ファイバー32の露出した端部同士を突き合わせて対向配置される構造となっている。これにより、連結される定尺ロッドの光ファイバー32、32同士の間で光信号を伝送させることが可能な配置となり、対向配置された光ファイバー32を通じて発報部35へ伝送させることができる構成となっている。なお、光ファイバー32の露出した端部同士の突き合わせ対向配置においては、必ずしも端部同士を接触させる必要はなく、多少の隙間があいていても光が伝達可能であれば差し支えない。
【0029】
また、光ファイバーロッド33のロッド上端33b(図1参照)から光ファイバー32が引き出され、その光ファイバー32の他端が地上部の発報部35へ連絡している。そして、図1に示すように、そのロッド上端33bには、略リング状をなし、例えばクレーンのフック等を掛止させることが可能なロッド引き上げ用のフック37(図11参照)が具備されており、そのフック37が改良掘削機本体2より上方に突出した状態となっている。
【0030】
次に、計測体6の先端に具備した検知装置10を、改良体Kと未改良地盤G1との間の境界面Fへと送り出すための送り出し装置20の詳細な構成について説明する。
図9(a)に示すように、送り出し装置20は、検知装置10を先端に取り付けた計測体6を挿通させるケーシング21と、計測体6の基端部6bを固定するとともに、ケーシング21内で上下移動可能に設けられたピストン22とを備えている。計測体6の基端部6bは、図10(a)に示すように、その凹曲面6cを外管23の周面に一致させた状態で例えばボルトなどの固定部材23dによって強固に固定され、ピストン22とともにケーシング21内を移動するようになっている。なお、ピストン22より下方のケーシング21内においては、図10(b)に示すように、計測体6とケーブル15が挿通された状態となっている。
【0031】
ピストン22は、ケーシング21に対して液密に接した状態で上下移動可能に挿通された外管23と、この外管23に対して液密に挿通係止したり、外管23の内部に上下軸方向に連通する隙間を形成したりすることが可能な内管24とからなり、ケーシング21の途中の適宜な位置に配置(本実施の形態では下方位置)されている。そして、外管23と内管24とが液密に係止された状態で、ケーシング21内のピストン22の上方領域に後述する注水管26(図11参照)によって高圧水Wが供給される構成となっている。
【0032】
外管23は、内周面の軸方向中間部にバネ収容部23aが形成されており、このバネ収容部23aにバネ部材25が設けられ、このバネ部材25を介して内管24が外管23に対してスライド可能に挿通された状態で配置されている。さらに、外管23は、下部に計測体6の基端部6bが固定されるとともに、上部側外周面には第1止水リング23b、23bが取り付けられている。そして、外管23の上端内縁部には凹部23cが形成され、この凹部23cには内管24の係合部24c(後述)が係合可能となっている。バネ部材25としてコイルバネが採用され、バネ収容部23aに外管23と同軸に組み込まれ、その内側に内管24が挿通された状態となっている。
【0033】
内管24は、軸方向に沿う中空部24aを有しており、上端部に中空部24aに連通する孔部を有する蓋部材24bが形成され、その蓋部材24bの下方には外管23の凹部23cに対応して液密な状態で係合される係合部24cが形成されている。この係合部24cの外周には、第2止水リング24dが設けられている。また、内管24の蓋部材24bは、ケース36の下部36aとねじ接続されて固定されている。そのため、詳しくは後述するがピストン22とともにケース36も鉛直方向に上下移動する構成となっている。そして、ケース36の内部と中空部24aは連通し、ケーブル15は中空部24aを通ってケース36内の送信部31に接続されている。
【0034】
そして、内管24の外周で軸方向中間部には、周方向にわたって外方に突出する係止突起部24eが形成されている。この係止突起部24eは、上述したバネ収容部23a内に介在して、バネ部材25の下端部25aに係止している。つまり、図9(a)に示すように、内管24は、バネ部材25の付勢によって係止突起部24eが下方(図では右側)に向けて押圧されており、これにより凹部23cに係合部24cが液密に嵌合し、外管23の上端部が内管24によって閉止される構成となっている。
【0035】
さらに、この閉止状態において、ケーシング21の上端に設けられた後述する注水管26の注入口26aからケーシング21内に高圧水Wを供給して、ピストン22と注水管26との間の領域を高圧水Wで満たすことにより、ピストン22はケーシング21の内面に沿って液密な状態を保ちながら下方(図では右側)へ押し込まれて移動する構成となっている。これにより、外管23に固定されている計測体6もピストン22の下降とともに押圧されて、先端の検知装置10が改良体Kの外径方向に向けて延出するようになっている。
【0036】
また、図1、図9(b)に示すように、本実施の形態による光ファイバーロッド33は、上述したように内部に光ファイバー32を挿通させる機能と、下方に押し込まれたピストン22を上方に引き上げる機能とを有している。つまり、光ファイバーロッド33を上方に移動させることで、内管24がバネ部材25の付勢に抗して上方に移動し、外管23の凹部23cと内管24の係合部24cとの嵌合状態が解除され、蓋部材24bが外管23の上端に対して持ち上がり、外管23の上端部が開放した状態となる。これにより、ピストン22上に供給されていた高圧水Wを外管23内を通過させてケーシング21の先端側へ流出させて、前記ピストン22上の水圧を低下させ、さらに光ファイバーロッド33を引き上げることでピストン22を計測体6とともに矢印E2方向に引き上げる構成となっている。
【0037】
図11に示す注水管26は、ケーシング21の上端に密接した状態で接続固定されており、注水口26aを有し、光ファイバーロッド33の外周に対して所定の間隔をもって取り付けられている。つまり、上述したように、外管23と内管24とが液密に閉止した状態において、注水口26aからケーシング21の内部に高圧水Wを高圧水供給装置(ポンプ)によって供給することで、その高圧水Wの圧力によってピストン22が下方に移動し、それにともなって計測体6、検知装置10が送り出される構成となっている。
【0038】
次に、このように構成される改良径測定装置1による改良径の測定方法について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、先端ビット3aを取り付けた掘削ロッド3を改良掘削機本体2によって回転させつつ、所定の深度まで掘削していく。なお、この掘削ロッド3には上述したように、改良体Kの径寸法を測定するための改良径測定装置1、すなわち計測体6、検知装置10、送り出し装置20、信号伝送機構30などが所定位置に組み込まれたものとなっている。
【0039】
そして、高圧ポンプ(図示省略)を介して掘削ロッド3の先端の噴射ノズル4から硬化材Nを改良対象地盤G内に高圧噴射させるとともに、掘削ロッド3を上方に引き上げていくことにより改良体Kを造成する。そして、この高圧噴射させつつ引き上げる途中で、検知装置10の検知装置収容部7が所定の測定位置(測定高さ)に達したときに、一旦、高圧噴射および引き上げ作業を停止し、改良径の測定作業を行う。
【0040】
改良径の測定は、高圧噴射した直後で硬化材Nの硬化前の段階で行われ、下方の改良体Kに検知装置収容部7を位置させるため、掘削ロッド3を若干引き下げる。そして、検知装置収容部7から計測体6とともに検知装置10を略水平方向に押し出して硬化前の泥水状態の改良体K中に延出させる。具体的には、計測体6を改良体Kと未改良地盤G1との境界面Fに向けて送り出す際に、図11に示す注水管26によりケーシング21内に高圧水Wを送り込むことで、第1段階として、図9(a)に示すように水圧によって内管24のみを下方に移動させ、内管24の係合部24cが外管23の凹部23cに液密な状態で嵌合して蓋部材24bが閉じ、外管23と内管24との隙間が液密に閉止する。
【0041】
そして、さらにケーシング21内に高圧水Wを供給することで、第2段階として高圧水Wを受けたピストン22がケーシング21内を下方(図9(a)に示す矢印E1方向)に移動し、ピストン22とともに計測体6が下方に移動する。これにより、図1に示すように、計測体6は計測体曲げ案内管8(図2参照)に屈曲案内されて鉛直方向から略水平方向に向けて屈曲した状態で移動しつつ、計測体6の先端部に具備した検知装置10が検知装置収容部7より掘削ロッド3の径方向に延び出し、改良体Kと未改良地盤G1との境界面Fに向けて送り出される。
【0042】
そして、送り出し装置20によって延出された検知装置10が、図1に示すように境界面Fに到達し、センサー先端のカバー体14が未改良地盤G1をなす孔壁に接触し、さらに押圧されることで、触覚スイッチ12とカバー体14との間のバネ部材13が収縮し、触覚スイッチ12がオンとなって、その検知信号がケーブル15を介して信号伝送機構30へ送られる。
続いて、図7に示すように、信号伝送機構30の送信部31において、検知装置10で検知した電気信号を受信したときに発光部34が発光し、その光が光ファイバーロッド33内に挿通された光ファイバー32の光ファイバー先端32aで受光されて、光ファイバー32につながれた地上の発報部35へ伝送されて発報部35が発光する。
【0043】
そして、発報部35の発光を確認することにより、注水管26による高圧水Wの供給を止め、ピストン22の送り出しを停止させて固定位置とする。なお、光ファイバーロッド33は、図8に示すように、ケース36(送信部31など)を介してピストン22に固定されているので、発報部35の発光時にピストン22が停止した位置において、光ファイバーロッド33の貫入長(地中部分への送り込み長さ)を測定することで、計測体6の送り込みの長さ、すなわち改良径を検出することができる。
【0044】
ここで、計測体6の送り込み長さの計測方法の一例を示す。ケーシング21に接続された側とは反対の側の注入管26の端部において、光ファイバーロッド33がシール材により液密かつ上下動可能に保持されているが、この注入管26の端部より上方位置にある光ファイバーロッド33の所定高さに1箇所マーキングをする。そして、計測体6を送り出す前に、注入管26の端部から光ファイバーロッド33のマーキング箇所までの第1距離Aを測定しておく。計測体6を送り出し、発報部35が発光したら計測体6の送り出しを停止する。このときの注入管26の端部から光ファイバーロッド33のマーキング箇所までの第2距離Bを計測する。そして、第1距離A−第2距離Bが計測体6の送り出し長さがほぼ改良半径となるが、より正確には、改良体のほぼ中心位置で回転する掘削ロッド1の回転中心から検知装置収容部7に収容されている検知装置10の先端部までの長さと、計測体6の送り出し長さとを加算した長さが改良半径となる。この改良半径を求めることを、改良体の中心軸位置で掘削ロッド3を回転させることで改良体中心に対して放射方向複数か所で行うと、改良直径や平面的な改良形状を求めることができる。
この他、注入管26と光ファイバーロッド33との間にロータリーエンコーダやリニアエンコーダを適宜設けることで、光ファイバーロッド33の送り出し長さを計測することができし、注入管26aと高圧水供給装置(ポンプ)との間の送水管の途中に水圧計の他に流量計を設け、この流量計で計測された高圧水Wの供給量からピストンの移動量すなわち光ファイバーロッド33の送り出し長さ(計測体6の送り出し長さ)を算出することもできる(図11参照)。
【0045】
なお、このときの光ファイバー32は光ファイバーロッド33内に挿通され、被覆された状態で保持されているので、光ファイバー32を断線させるといった不具合を無くすことができる。
そして、光ファイバー32の先端部同士を接触させるか、やや離れた位置に対向配置させることで光が伝達可能になり、光ファイバー32を伝送ケーブルとして使用することが可能になる。また光ファイバー32を予め光ファイバーロッド33と同軸に内挿して固定させた構造となるので、光ファイバー32の延長時には、光ファイバーロッド33同士の連結と同時に、内部の光ファイバー32の先端部同士も実質的に接続されることになるので、接続作業が容易となる利点がある。
【0046】
また、本実施の形態では、ケーシング21内でその上下方向途中の位置にピストン22を配置させておくことができるので、計測体6の長さ寸法を短くすることが可能となり、送り込み時の摩擦抵抗を低減することができる。つまり、計測体6の送り込みが困難になるといった不具合を防ぎ、検知装置10を確実に未改良地盤G1との境界面Fに送り込むことができるので、改良径を正確に測定することができる。さらに、水圧を変えてピストン22の送り出し力を調整することが可能となるので、改良体Kの強度等の条件に合わせて最適な計測体6の送り出しを行うことができる。
【0047】
次に、図1および図9(b)に示すように、改良径の検出後には、光ファイバーロッド33をフック37を使用してクレーン等で引き上げることにより、第1段階で内管24のみをバネ部材25の付勢に抗して上方に移動させることで、外管23の凹部23cと内管24の係合部24cとの嵌合状態が解除され、蓋部材24bが外管23の上端に対して持ち上がり、外管23と内管24との間に上下方向に連通する隙間が形成される。そして、ピストン22上に供給されていた高圧水Wが外管23内を通過してケーシング21の先端側へ流出し、前記ピストン22上の水圧が低下するため、ピストン22を高圧水Wによる負荷がかからない状態で計測体6とともに容易に引き上げることができる。
【0048】
次いで、さらに光ファイバーロッド33を引き上げることで、第2段階でピストン22を上方に(図9(b)の矢印E2方向)に移動させ、延出している検知装置10を検知装置収容部7内に収納させ、改良径測定が完了する。なお、ピストン22の送り出し時に使用した高圧水Wは、ピストン22の引き上げ時に外管23と内管24との間に形成された隙間から下方に流れ、ケーシング21、計測体曲げ案内管8、および検知装置収容部7に順次流れ込み、それぞれの内側の洗い水となる。
【0049】
上述のように本実施の形態による改良径測定用の信号伝送機構では、光ファイバーロッド33に伝送ケーブルをなす光ファイバー32が同軸に内挿された状態で保持されているので、光ファイバーロッド33同士の連結と同時に、それらの内部の光ファイバー32同士も実質的に接続されることから、簡単、且つ確実に接続作業が行え、作業にかかる手間を低減させることができる。しかも、光ファイバー32が光ファイバーロッド33によって被覆された状態となっているので、断線等の接続時の不具合を防止することができる。
【0050】
以上、本発明による改良径測定用の信号伝送機構の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では信号伝送機構30の送信部31が送り出し装置20のピストン22上に固定された構成となっているが、このような形態に限定されることはなく、送り出し装置20を省略した構造であってもかまわない。
また、本実施の形態では地上部に設置された発報部35の発光を確認する構成としているが、この発報部35の位置は任意に設定することが可能であることは勿論である。そして、発報部35を直接確認してもよいが、発報部35の光を電気信号に変換して、例えば表示板や音声などの他の確認手段で出力する構成とすることも可能である。
【0051】
さらに、送り出し装置20の構成、すなわちケーシング21の管径寸法、ピストン22(外管23、内管24)の形状、大きさ、ケーシング21におけるピストン22の位置、ピストン22と光ファイバーロッド33との固定方法、注水管26の構造、位置、計測体6の基端部6aの固定構造などの構成は、本実施の形態に限定されることはなく、任意に設定することができる。
また、改良掘削機本体2、計測体6、検知装置10の構成などについても本実施の形態に限定されることはなく、適宜な構造のものを採用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 改良径測定装置
2 改良掘削機本体
3 掘削ロッド
4 噴射ノズル
6 計測体
6a 先端部
6b 基端部
7 検知装置収容部
10 検知装置
15 ケーブル
20 送出し装置
21 ケーシング
22 ピストン
23 外管
24 内管
25 バネ部材
26 注水管
30 信号伝送機構
32 光ファイバー(信号伝送機構)
33 光ファイバーロッド(信号伝送機構)
34 発光部
35 発報部
G 改良対象地盤
G1 未改良地盤
K 改良体
N 硬化材
F 境界面
W 高圧水
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤中に、硬化材を噴射させて攪拌混合することによって造成される改良体の径寸法を測定するために用いる改良径測定用の信号伝送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、改良対象地盤中に硬化材を噴射させて混合攪拌することによって改良体を造成する高圧噴射攪拌工法がある。この改良体の径寸法の測定方法として、温度、荷重、pHなどの変化を検知するための検知センサーを棒状部材の先端に取り付け、その検知センサーを棒状部材とともに改良体中の径方向、すなわち水平方向に延出させ、改良体と未改良地盤との境界面を検知し、その検知位置に延出した棒状部材の長さ寸法を測定することにより改良径を検出する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、地盤内に貫入されるケーシングの内部に棒状部材を挿入させて、その下端部(先端部)をケーシングの内部から水平方向に延出させ、改良体と未改良地盤との境界面へと貫入もしくは接触させるようにして送り込む装置が地上の地盤改良機に搭載され、棒状部材の先端部には境界面における荷重変化、温度変化又はpH変化のうち少なくともいずれか一つを検出する検知センサーが設けられており、この検知センサーによって境界面が確認された際の棒状部材の水平方向における改良体への貫入量に基づいて改良体の径を測定する測定装置について記載されている。
【0004】
ところで、このような改良径測定装置では、改良径の測定時において、検知センサーで改良体と未改良地盤との境界面を検知した電気信号がケーシング内に配線された信号ケーブルによって地上へ送信され、その信号を確認することで、検知センサーの位置を検出する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−52634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すような従来の改良径測定装置では、以下のような問題があった。
すなわち、従来の改良径測定装置では、信号ケーブルの接続作業を伴い、この接続部において、ケーシング内の漏水によって漏電してショートするといった不具合が発生することがあり、その点で改良の余地があった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、伝送ケーブルの接続部のショート等の不具合をなくす改良径測定用の信号伝送機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る改良径測定用の信号伝送機構では、地盤中に、硬化材を噴射させて攪拌混合することによって造成される改良体の径寸法を測定する際に、改良体と未改良地山との境界面の位置を検知装置によって検知し、その検知装置による検知信号を地上に伝送するための改良径測定用の信号伝送機構であって、検知装置からの信号を受信したときに発光する発光部と、発光部に対して受光可能な位置に一端を配し、その光を他端側へ伝送させる光ファイバーと、光ファイバーを同軸に挿通させて保持する光ファイバーロッドと、光ファイバーの他端側に配され、光ファイバーにより伝送された光を受光したときに信号を発する発報部とを備えたことを特徴としている。
【0009】
本発明では、検知装置で検知した電気信号を受信した発光部が発光し、その光が光ファイバーロッド内に挿通された光ファイバーによって地上の発報部へ伝送され、この発報部の信号を確認することで、検知装置の位置を確認することができる。つまり、この発報部の信号確認時における検知装置の位置を例えば光ファイバーロッドの送り込み長さ等から測定することで、改良体の径寸法を検出することができる。このときの光ファイバーは光ファイバーロッド内に挿通され、被覆された状態で保持されているので、従来のように伝送ケーブルがケーシング内の漏水等に接して漏電を起こしたり、ショートしたりするといった不具合を無くすことができる。
【0010】
また、本発明に係る改良径測定用の信号伝送機構では、光ファイバーロッドは、複数の定尺ロッドによる連結構造をなし、定尺ロッド同士の連結により、それら定尺ロッド内の光ファイバー端部同士が光を伝達可能に対向配置される構成であることが好ましい。
【0011】
これにより、光ファイバーロッドの延長時には、光ファイバーを内挿した定尺ロッドを連結することで、内部の光ファイバー同士も実質的に接続されることから、容易に且つ確実な接続作業を行うことがきる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の改良径測定用の信号伝送機構によれば、光ファイバーロッドに伝送ケーブルをなす光ファイバーが同軸に内挿された状態で保持されているので、光ファイバーロッド同士の連結と同時に、それらの内部の光ファイバー同士も実質的に接続されることから、簡単、且つ確実に接続作業が行え、作業にかかる手間を低減させることができる。しかも、光ファイバーが光ファイバーロッドによって被覆された状態となっているので、断線等の接続時の不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態による改良径測定装置の概略を示す側面図である。
【図2】改良径測定装置の地中部分の詳細を示す一部破断側面図である。
【図3】計測体を示す図であって、(a)はその断面図、(b)はその一部側断面図である。
【図4】図2に示す検知装置の拡大図である。
【図5】触覚スイッチを示す図であって、(a)はオフ状態の図、(b)はオン状態の図である。
【図6】検知装置による検知状態を示す側断面図である。
【図7】信号伝送機構の全体概要を示す図である。
【図8】信号伝送機構の地中部分の詳細を示す図である。
【図9】送り出し装置の側断面図であって、(a)は計測体を送り出す状態を示す図、(b)は計測体を引き戻す状態を示す図である。
【図10】送り出し装置の断面図であって、(a)は図9に示すA−A線断面図、(b)は図7に示すB−B線断面図である。
【図11】送り出し装置の注水管を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態による改良径測定装置について、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1の符号1は、本実施の形態による高圧噴射攪拌工法に用いられる改良径測定装置を示している。すなわち、改良径測定装置1は、改良対象地盤G中に高圧で硬化材を噴射させて攪拌混合する改良掘削機本体2によって造成した改良体Kの径寸法(以下、単に改良径ということもある)を測定するためのものであり、地上部に設置された改良掘削機本体2に具備されている。
改良掘削機本体2は、地上に架台2aを介して設けられ、先端ビット3aを装着した地盤改良用の掘削ロッド3を地盤G内に鉛直方向に貫入させ、所定の深さまで貫入させたときに、掘削ロッド3の下部側面に備えた噴射ノズル4により硬化材Nを高圧噴射させる周知の構成を有している。つまり、噴射ノズル4より硬化材を高圧噴射させつつ、掘削ロッド3を回転させることで、掘削ロッド3の周囲に所定の改良径からなる改良体Kが形成されることになる。
【0016】
掘削ロッド3は、筒状をなし、その内部には、噴射ノズル4に接続する硬化材Nを送るための注入管5や、送り出し装置20と、計測体曲げ案内管8と、先端に検知装置10(後述)を取り付けた長尺棒状部材をなす計測体6(断面が湾曲状の計測体)が挿入されている。
【0017】
図1および図2に示すように、改良径測定装置1は、改良体Kと未改良地盤G1との境界面Fの地盤の変化点を検知するための検知装置10と、この検知装置10をその先端部に固定するとともに掘削ロッド3の側面から境界面Fに向けて略水平方向に延出させるための計測体6と、この計測体6を検知装置10が境界面Fに到達するように送り出す計測体送り出し装置(以下、単に「送り出し装置20」という)と、検知装置10で検知した信号を後述する地上(後述する図7に示す発報部35)に送信するための信号伝送機構30とを備えて概略構成されている。
【0018】
図3(a)に示すように、計測体6は、例えばばね鋼などの材料から形成されており、コンベックスメジャーのように断面視で湾曲した長尺棒状をなし、延伸可能になっている(図10(a)、(b)参照)。そして、図2に示すように、計測体6の先端部6aが検知装置10に接続され、基端部6bが送り出し装置20に固定されている。そのため、計測体6は、湾曲している凹曲面6c側に屈曲し易く、その反対側(凸曲面6d側)で軸方向には曲げ難い形状となっている。
【0019】
また、図2および図3(b)に示すように、計測体6の厚さ寸法は、鉛直方向から水平方向に屈曲する部分(図2の屈曲部6e)では複数枚を接着剤等で重ね合わせて厚くし、先端(検知装置10)に向かうにしたがって重ね枚数を減らして漸次薄くなっている。つまり、厚さ寸法を大きくする範囲では、複数枚(図では2枚)の計測体6を重ね合わせた二重構造(図3(b)に示す符号6A、6B参照)をなしている。これにより、計測体6の先端部6a寄りの自重を減少させ、モーメントが大きくなる屈曲部6e付近(支点付近)において厚さ寸法を増大させて剛性を高めた構造とすることで、計測体6の水平部分(掘削ロッド3から延出された部分)の垂れ下がりを抑え、この垂れ下がりによる改良径測定値の誤差を小さくするようになっている(図1参照)。
【0020】
次に、計測体6の先端部6aに取り付けられるとともに、改良体Kと未改良地盤G1との境界面Fを検知するための検知装置10の構成について説明する。
図2および図4に示すように、検知装置10は、掘削ロッド3の側面に設けられた検知装置収容部7内に着脱可能に収められており、改良径の測定時に検知装置収容部7から延出するようになっている。つまり、図1に示すように、改良時、すなわち掘削ロッド3の回転中には、検知装置10が検知装置収容部7内に収まった状態となり、これにより掘削ロッド3の貫入および噴射攪拌中の噴射ノズル4の回転を妨げることはない。
【0021】
検知装置収容部7は、略有底筒状をなし、開口端7aに検知装置10が着脱できるようになっており、底部7b側には、計測体6を鉛直方向から水平方向に屈曲させるようにして案内するための計測体曲げ案内管(管部材)8が接続されている。その計測体曲げ案内管8内を通過した計測体6の先端部6aは、底部7bを貫通した状態で検知装置10に固定されている。なお、図2に示すように、計測体曲げ案内管8は、その上端8aが後述する送り出し装置20のケーシング(管部材)21の下端21aに接続され、下端8bが検知装置収容部7の底部7bに接続されている。
【0022】
図4に示すように、検知装置10は、防水ボックス11と、触覚スイッチ12と、カバー体14とを備えたものである。そして、本実施の形態では触覚スイッチ12が外殻を構成する防水ボックス11に収容されており、触覚スイッチ12の先端部12aを覆うカバー体14が防水ボックス11にバネ部材13を介して取り付けられている。防水ボックス11とカバー体14とは液密な状態で接しており、これにより防水ボックス11内に配置される触覚スイッチ12とバネ部材13とが防水された状態で収容されている。
【0023】
触覚スイッチ12は、図5(a)、(b)に示すように、先端部12aがスプリング12cを介してスイッチ本体12bに対して近接離反可能に設けられている。そして、図6に示すように、先端部12aがカバー体14に当接して押圧されると、先端部12aがスイッチ本体12bに接触し、スイッチ本体12b内の電気回路が閉回路となって通電状態となり、機械的にスイッチがオフからオンとなる周知の構造であり、その通電による信号が計測体6に沿って配線されたケーブル15を通じ、さらに信号伝送機構30(図2参照)を通じて地上の検知確認部(図7に示す発報部35に相当)へ送信されるようになっている。
【0024】
カバー体14は、触覚スイッチ12の先端部12aが直接孔壁(図1に示す未改良地盤G1との境界面F)に接触することを防ぐ目的で設けられ、バネ部材13の付勢に抗して触覚スイッチ12側に押し込まれるようになっている。つまり、検知装置10が計測体6とともに延出し、カバー体14が孔壁(境界面F)に接してから、さらに計測体6を延ばし続けることにより、触覚スイッチ12とカバー体14との間のバネ部材13が圧縮し、触覚スイッチ12がオンになる構成となっている。
【0025】
次に、検知装置10で検知したオンの検知信号を地上に伝達するための信号伝送機構30の詳細構成について図面に基づいて説明する。ここで、図8は、信号伝送機構30のうちピストン22の直上部に位置する地中部分を示している。
図7および図8に示すように、信号伝送機構30は、送り出し装置20のピストン22(後述する)の上端部に配置された送信部31と、送信部31と地上の受光検知部(後述する発報部35)とを接続する光ファイバー32と、その光ファイバー32を内部に同軸に挿通させて保持する光ファイバーロッド33と、検知装置10から伝達された電気信号を受信したときに発光する発光ダイオードからなる発光部34と、光ファイバー32の他端側に配され、光ファイバー32により伝送された光を受光したときに光を音に変換して音信号を発報する発報部35とを備え、その発報部35の発光時における光ファイバーロッド33の貫入長を測定することで、計測体6の送り込みの長さ、すなわち改良体径を測定することが可能な構成となっている。
【0026】
図8に示すように、送信部31は、送り出し装置20の後述するケーシング21内において、ピストン22の上にその下側接続部材36aが固定されたケース36に内装されており、検知装置10に繋がれたケーブル15の上端部15aが接続されるとともに、送信部31の上端部31aに発光部34が固定されている。つまり、送信部31では、検知装置10で検知した電気信号を受信したときに、発光部34を発光させる機能を有している。
【0027】
光ファイバーロッド33は、ケーシング21より小さな外径寸法の円筒棒状をなし、そのロッド先端33aがケース36の上側接続部材36bに接続固定されている。このときのロッド先端33aの位置は、光ファイバー32の先端32aが発光部34と所定距離(光ファイバー先端32aで発光部34の光を受光可能な距離)だけ離れた位置となっている。つまり、光ファイバー先端32aで発光部34の光信号を受光し、その光を光ファイバー32によって発報部35へ伝送するように構成されている。
【0028】
また、この光ファイバーロッド33は、内部に光ファイバー32を同軸に挿通させて保持し、複数の定尺ロッドによるネジ継手方式等の連結構造をなしている。これら各定尺の光ファイバーロッド33に挿通されている光ファイバー32は、それぞれの定尺の光ファイバーロッド33において、その両端が露出した状態となっており、各定尺ロッド同士が連結された状態で双方の光ファイバー32の露出した端部同士を突き合わせて対向配置される構造となっている。これにより、連結される定尺ロッドの光ファイバー32、32同士の間で光信号を伝送させることが可能な配置となり、対向配置された光ファイバー32を通じて発報部35へ伝送させることができる構成となっている。なお、光ファイバー32の露出した端部同士の突き合わせ対向配置においては、必ずしも端部同士を接触させる必要はなく、多少の隙間があいていても光が伝達可能であれば差し支えない。
【0029】
また、光ファイバーロッド33のロッド上端33b(図1参照)から光ファイバー32が引き出され、その光ファイバー32の他端が地上部の発報部35へ連絡している。そして、図1に示すように、そのロッド上端33bには、略リング状をなし、例えばクレーンのフック等を掛止させることが可能なロッド引き上げ用のフック37(図11参照)が具備されており、そのフック37が改良掘削機本体2より上方に突出した状態となっている。
【0030】
次に、計測体6の先端に具備した検知装置10を、改良体Kと未改良地盤G1との間の境界面Fへと送り出すための送り出し装置20の詳細な構成について説明する。
図9(a)に示すように、送り出し装置20は、検知装置10を先端に取り付けた計測体6を挿通させるケーシング21と、計測体6の基端部6bを固定するとともに、ケーシング21内で上下移動可能に設けられたピストン22とを備えている。計測体6の基端部6bは、図10(a)に示すように、その凹曲面6cを外管23の周面に一致させた状態で例えばボルトなどの固定部材23dによって強固に固定され、ピストン22とともにケーシング21内を移動するようになっている。なお、ピストン22より下方のケーシング21内においては、図10(b)に示すように、計測体6とケーブル15が挿通された状態となっている。
【0031】
ピストン22は、ケーシング21に対して液密に接した状態で上下移動可能に挿通された外管23と、この外管23に対して液密に挿通係止したり、外管23の内部に上下軸方向に連通する隙間を形成したりすることが可能な内管24とからなり、ケーシング21の途中の適宜な位置に配置(本実施の形態では下方位置)されている。そして、外管23と内管24とが液密に係止された状態で、ケーシング21内のピストン22の上方領域に後述する注水管26(図11参照)によって高圧水Wが供給される構成となっている。
【0032】
外管23は、内周面の軸方向中間部にバネ収容部23aが形成されており、このバネ収容部23aにバネ部材25が設けられ、このバネ部材25を介して内管24が外管23に対してスライド可能に挿通された状態で配置されている。さらに、外管23は、下部に計測体6の基端部6bが固定されるとともに、上部側外周面には第1止水リング23b、23bが取り付けられている。そして、外管23の上端内縁部には凹部23cが形成され、この凹部23cには内管24の係合部24c(後述)が係合可能となっている。バネ部材25としてコイルバネが採用され、バネ収容部23aに外管23と同軸に組み込まれ、その内側に内管24が挿通された状態となっている。
【0033】
内管24は、軸方向に沿う中空部24aを有しており、上端部に中空部24aに連通する孔部を有する蓋部材24bが形成され、その蓋部材24bの下方には外管23の凹部23cに対応して液密な状態で係合される係合部24cが形成されている。この係合部24cの外周には、第2止水リング24dが設けられている。また、内管24の蓋部材24bは、ケース36の下部36aとねじ接続されて固定されている。そのため、詳しくは後述するがピストン22とともにケース36も鉛直方向に上下移動する構成となっている。そして、ケース36の内部と中空部24aは連通し、ケーブル15は中空部24aを通ってケース36内の送信部31に接続されている。
【0034】
そして、内管24の外周で軸方向中間部には、周方向にわたって外方に突出する係止突起部24eが形成されている。この係止突起部24eは、上述したバネ収容部23a内に介在して、バネ部材25の下端部25aに係止している。つまり、図9(a)に示すように、内管24は、バネ部材25の付勢によって係止突起部24eが下方(図では右側)に向けて押圧されており、これにより凹部23cに係合部24cが液密に嵌合し、外管23の上端部が内管24によって閉止される構成となっている。
【0035】
さらに、この閉止状態において、ケーシング21の上端に設けられた後述する注水管26の注入口26aからケーシング21内に高圧水Wを供給して、ピストン22と注水管26との間の領域を高圧水Wで満たすことにより、ピストン22はケーシング21の内面に沿って液密な状態を保ちながら下方(図では右側)へ押し込まれて移動する構成となっている。これにより、外管23に固定されている計測体6もピストン22の下降とともに押圧されて、先端の検知装置10が改良体Kの外径方向に向けて延出するようになっている。
【0036】
また、図1、図9(b)に示すように、本実施の形態による光ファイバーロッド33は、上述したように内部に光ファイバー32を挿通させる機能と、下方に押し込まれたピストン22を上方に引き上げる機能とを有している。つまり、光ファイバーロッド33を上方に移動させることで、内管24がバネ部材25の付勢に抗して上方に移動し、外管23の凹部23cと内管24の係合部24cとの嵌合状態が解除され、蓋部材24bが外管23の上端に対して持ち上がり、外管23の上端部が開放した状態となる。これにより、ピストン22上に供給されていた高圧水Wを外管23内を通過させてケーシング21の先端側へ流出させて、前記ピストン22上の水圧を低下させ、さらに光ファイバーロッド33を引き上げることでピストン22を計測体6とともに矢印E2方向に引き上げる構成となっている。
【0037】
図11に示す注水管26は、ケーシング21の上端に密接した状態で接続固定されており、注水口26aを有し、光ファイバーロッド33の外周に対して所定の間隔をもって取り付けられている。つまり、上述したように、外管23と内管24とが液密に閉止した状態において、注水口26aからケーシング21の内部に高圧水Wを高圧水供給装置(ポンプ)によって供給することで、その高圧水Wの圧力によってピストン22が下方に移動し、それにともなって計測体6、検知装置10が送り出される構成となっている。
【0038】
次に、このように構成される改良径測定装置1による改良径の測定方法について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、先端ビット3aを取り付けた掘削ロッド3を改良掘削機本体2によって回転させつつ、所定の深度まで掘削していく。なお、この掘削ロッド3には上述したように、改良体Kの径寸法を測定するための改良径測定装置1、すなわち計測体6、検知装置10、送り出し装置20、信号伝送機構30などが所定位置に組み込まれたものとなっている。
【0039】
そして、高圧ポンプ(図示省略)を介して掘削ロッド3の先端の噴射ノズル4から硬化材Nを改良対象地盤G内に高圧噴射させるとともに、掘削ロッド3を上方に引き上げていくことにより改良体Kを造成する。そして、この高圧噴射させつつ引き上げる途中で、検知装置10の検知装置収容部7が所定の測定位置(測定高さ)に達したときに、一旦、高圧噴射および引き上げ作業を停止し、改良径の測定作業を行う。
【0040】
改良径の測定は、高圧噴射した直後で硬化材Nの硬化前の段階で行われ、下方の改良体Kに検知装置収容部7を位置させるため、掘削ロッド3を若干引き下げる。そして、検知装置収容部7から計測体6とともに検知装置10を略水平方向に押し出して硬化前の泥水状態の改良体K中に延出させる。具体的には、計測体6を改良体Kと未改良地盤G1との境界面Fに向けて送り出す際に、図11に示す注水管26によりケーシング21内に高圧水Wを送り込むことで、第1段階として、図9(a)に示すように水圧によって内管24のみを下方に移動させ、内管24の係合部24cが外管23の凹部23cに液密な状態で嵌合して蓋部材24bが閉じ、外管23と内管24との隙間が液密に閉止する。
【0041】
そして、さらにケーシング21内に高圧水Wを供給することで、第2段階として高圧水Wを受けたピストン22がケーシング21内を下方(図9(a)に示す矢印E1方向)に移動し、ピストン22とともに計測体6が下方に移動する。これにより、図1に示すように、計測体6は計測体曲げ案内管8(図2参照)に屈曲案内されて鉛直方向から略水平方向に向けて屈曲した状態で移動しつつ、計測体6の先端部に具備した検知装置10が検知装置収容部7より掘削ロッド3の径方向に延び出し、改良体Kと未改良地盤G1との境界面Fに向けて送り出される。
【0042】
そして、送り出し装置20によって延出された検知装置10が、図1に示すように境界面Fに到達し、センサー先端のカバー体14が未改良地盤G1をなす孔壁に接触し、さらに押圧されることで、触覚スイッチ12とカバー体14との間のバネ部材13が収縮し、触覚スイッチ12がオンとなって、その検知信号がケーブル15を介して信号伝送機構30へ送られる。
続いて、図7に示すように、信号伝送機構30の送信部31において、検知装置10で検知した電気信号を受信したときに発光部34が発光し、その光が光ファイバーロッド33内に挿通された光ファイバー32の光ファイバー先端32aで受光されて、光ファイバー32につながれた地上の発報部35へ伝送されて発報部35が発光する。
【0043】
そして、発報部35の発光を確認することにより、注水管26による高圧水Wの供給を止め、ピストン22の送り出しを停止させて固定位置とする。なお、光ファイバーロッド33は、図8に示すように、ケース36(送信部31など)を介してピストン22に固定されているので、発報部35の発光時にピストン22が停止した位置において、光ファイバーロッド33の貫入長(地中部分への送り込み長さ)を測定することで、計測体6の送り込みの長さ、すなわち改良径を検出することができる。
【0044】
ここで、計測体6の送り込み長さの計測方法の一例を示す。ケーシング21に接続された側とは反対の側の注入管26の端部において、光ファイバーロッド33がシール材により液密かつ上下動可能に保持されているが、この注入管26の端部より上方位置にある光ファイバーロッド33の所定高さに1箇所マーキングをする。そして、計測体6を送り出す前に、注入管26の端部から光ファイバーロッド33のマーキング箇所までの第1距離Aを測定しておく。計測体6を送り出し、発報部35が発光したら計測体6の送り出しを停止する。このときの注入管26の端部から光ファイバーロッド33のマーキング箇所までの第2距離Bを計測する。そして、第1距離A−第2距離Bが計測体6の送り出し長さがほぼ改良半径となるが、より正確には、改良体のほぼ中心位置で回転する掘削ロッド1の回転中心から検知装置収容部7に収容されている検知装置10の先端部までの長さと、計測体6の送り出し長さとを加算した長さが改良半径となる。この改良半径を求めることを、改良体の中心軸位置で掘削ロッド3を回転させることで改良体中心に対して放射方向複数か所で行うと、改良直径や平面的な改良形状を求めることができる。
この他、注入管26と光ファイバーロッド33との間にロータリーエンコーダやリニアエンコーダを適宜設けることで、光ファイバーロッド33の送り出し長さを計測することができし、注入管26aと高圧水供給装置(ポンプ)との間の送水管の途中に水圧計の他に流量計を設け、この流量計で計測された高圧水Wの供給量からピストンの移動量すなわち光ファイバーロッド33の送り出し長さ(計測体6の送り出し長さ)を算出することもできる(図11参照)。
【0045】
なお、このときの光ファイバー32は光ファイバーロッド33内に挿通され、被覆された状態で保持されているので、光ファイバー32を断線させるといった不具合を無くすことができる。
そして、光ファイバー32の先端部同士を接触させるか、やや離れた位置に対向配置させることで光が伝達可能になり、光ファイバー32を伝送ケーブルとして使用することが可能になる。また光ファイバー32を予め光ファイバーロッド33と同軸に内挿して固定させた構造となるので、光ファイバー32の延長時には、光ファイバーロッド33同士の連結と同時に、内部の光ファイバー32の先端部同士も実質的に接続されることになるので、接続作業が容易となる利点がある。
【0046】
また、本実施の形態では、ケーシング21内でその上下方向途中の位置にピストン22を配置させておくことができるので、計測体6の長さ寸法を短くすることが可能となり、送り込み時の摩擦抵抗を低減することができる。つまり、計測体6の送り込みが困難になるといった不具合を防ぎ、検知装置10を確実に未改良地盤G1との境界面Fに送り込むことができるので、改良径を正確に測定することができる。さらに、水圧を変えてピストン22の送り出し力を調整することが可能となるので、改良体Kの強度等の条件に合わせて最適な計測体6の送り出しを行うことができる。
【0047】
次に、図1および図9(b)に示すように、改良径の検出後には、光ファイバーロッド33をフック37を使用してクレーン等で引き上げることにより、第1段階で内管24のみをバネ部材25の付勢に抗して上方に移動させることで、外管23の凹部23cと内管24の係合部24cとの嵌合状態が解除され、蓋部材24bが外管23の上端に対して持ち上がり、外管23と内管24との間に上下方向に連通する隙間が形成される。そして、ピストン22上に供給されていた高圧水Wが外管23内を通過してケーシング21の先端側へ流出し、前記ピストン22上の水圧が低下するため、ピストン22を高圧水Wによる負荷がかからない状態で計測体6とともに容易に引き上げることができる。
【0048】
次いで、さらに光ファイバーロッド33を引き上げることで、第2段階でピストン22を上方に(図9(b)の矢印E2方向)に移動させ、延出している検知装置10を検知装置収容部7内に収納させ、改良径測定が完了する。なお、ピストン22の送り出し時に使用した高圧水Wは、ピストン22の引き上げ時に外管23と内管24との間に形成された隙間から下方に流れ、ケーシング21、計測体曲げ案内管8、および検知装置収容部7に順次流れ込み、それぞれの内側の洗い水となる。
【0049】
上述のように本実施の形態による改良径測定用の信号伝送機構では、光ファイバーロッド33に伝送ケーブルをなす光ファイバー32が同軸に内挿された状態で保持されているので、光ファイバーロッド33同士の連結と同時に、それらの内部の光ファイバー32同士も実質的に接続されることから、簡単、且つ確実に接続作業が行え、作業にかかる手間を低減させることができる。しかも、光ファイバー32が光ファイバーロッド33によって被覆された状態となっているので、断線等の接続時の不具合を防止することができる。
【0050】
以上、本発明による改良径測定用の信号伝送機構の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では信号伝送機構30の送信部31が送り出し装置20のピストン22上に固定された構成となっているが、このような形態に限定されることはなく、送り出し装置20を省略した構造であってもかまわない。
また、本実施の形態では地上部に設置された発報部35の発光を確認する構成としているが、この発報部35の位置は任意に設定することが可能であることは勿論である。そして、発報部35を直接確認してもよいが、発報部35の光を電気信号に変換して、例えば表示板や音声などの他の確認手段で出力する構成とすることも可能である。
【0051】
さらに、送り出し装置20の構成、すなわちケーシング21の管径寸法、ピストン22(外管23、内管24)の形状、大きさ、ケーシング21におけるピストン22の位置、ピストン22と光ファイバーロッド33との固定方法、注水管26の構造、位置、計測体6の基端部6aの固定構造などの構成は、本実施の形態に限定されることはなく、任意に設定することができる。
また、改良掘削機本体2、計測体6、検知装置10の構成などについても本実施の形態に限定されることはなく、適宜な構造のものを採用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 改良径測定装置
2 改良掘削機本体
3 掘削ロッド
4 噴射ノズル
6 計測体
6a 先端部
6b 基端部
7 検知装置収容部
10 検知装置
15 ケーブル
20 送出し装置
21 ケーシング
22 ピストン
23 外管
24 内管
25 バネ部材
26 注水管
30 信号伝送機構
32 光ファイバー(信号伝送機構)
33 光ファイバーロッド(信号伝送機構)
34 発光部
35 発報部
G 改良対象地盤
G1 未改良地盤
K 改良体
N 硬化材
F 境界面
W 高圧水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤中に、硬化材を噴射させて攪拌混合することによって造成される改良体の径寸法を測定する際に、前記改良体と未改良地山との境界面の位置を検知装置によって検知し、その検知装置による検知信号を地上に伝送するための改良径測定用の信号伝送機構であって、
前記検知装置からの信号を受信したときに発光する発光部と、
前記発光部に対して受光可能な位置に一端を配し、その光を他端側へ伝送させる光ファイバーと、
前記光ファイバーを同軸に挿通させて保持する光ファイバーロッドと、
前記光ファイバーの他端側に配され、前記光ファイバーにより伝送された光を受光したときに信号を発する発報部と、
を備えたことを特徴とする改良径測定用の信号伝送機構。
【請求項2】
前記光ファイバーロッドは、複数の定尺ロッドによる連結構造をなし、
前記定尺ロッド同士の連結により、それら定尺ロッド内の光ファイバー端部同士が光を伝達可能に対向配置される構成であることを特徴とする請求項1に記載の改良径測定用の信号伝送機構。
【請求項1】
地盤中に、硬化材を噴射させて攪拌混合することによって造成される改良体の径寸法を測定する際に、前記改良体と未改良地山との境界面の位置を検知装置によって検知し、その検知装置による検知信号を地上に伝送するための改良径測定用の信号伝送機構であって、
前記検知装置からの信号を受信したときに発光する発光部と、
前記発光部に対して受光可能な位置に一端を配し、その光を他端側へ伝送させる光ファイバーと、
前記光ファイバーを同軸に挿通させて保持する光ファイバーロッドと、
前記光ファイバーの他端側に配され、前記光ファイバーにより伝送された光を受光したときに信号を発する発報部と、
を備えたことを特徴とする改良径測定用の信号伝送機構。
【請求項2】
前記光ファイバーロッドは、複数の定尺ロッドによる連結構造をなし、
前記定尺ロッド同士の連結により、それら定尺ロッド内の光ファイバー端部同士が光を伝達可能に対向配置される構成であることを特徴とする請求項1に記載の改良径測定用の信号伝送機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−72215(P2013−72215A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211845(P2011−211845)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000115463)ライト工業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000115463)ライト工業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
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