説明

放射性同位体の貯蔵及び処理のためのシステム及びシステム

【課題】効率的な放射性物質保管システムを提供する。
【解決手段】様々な実施形態において、放射性物質保管のためのシステム10は放射線遮蔽と冷却液に水没された放射性物体26を保管するための貯蔵プール14を含む。加えてシステム10は貯蔵プール14から運搬される放射性物体26を使用して、一つまたはそれ以上の放射性物品28を構成するために貯蔵プール14の上に位置する組立棟18を含む。さらにシステム10は貯蔵プール14と組立棟18とを接続する少なくとも一つの運搬シャフト22を含む。運搬シャフト22は放射性物体26を貯蔵プール14の中から組立棟18の内部へ、組立棟18の内部から貯蔵プール14へ直接運搬するのに使われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射性同位体の貯蔵及び処理のためのシステム及び方法に関する
【背景技術】
【0002】
本項の記述は、本開示に関連した背景情報を提供するにすぎず、従来技術を構成しなくてもよい
現在、放射線照射をされた大量の物質を安全に貯蔵することを必要とする、放射性同位体の大規模な生産は可能である。一般的に放射性同位体は、求められる放射能を持つように放射線照射されたコバルトのような目的の同位体物質のペレット、ワイヤー、ディスクからなる。多くの場合、これら放射性同位体は異なる目的の放射能プロファイルを要求する多数の異なる顧客に特定されたソース(線源)カプセルを組み立てる、すなわち異なる指定された放射能プロファイルの密封放射性同位体を構成・組み立てることになる。封入が要求される工程は遮蔽設備の中で行われ、実行するためには多量の反復作業を必要とする。
【0003】
伝統的に、様々な同位体の在庫は複数の貯蔵構造の中に備えられる。特に、放射性同位体を作るロッド又はチューブは、複数の放射能遮蔽貯蔵構造の中に備えられる。顧客の要求にあった放射能プロファイルを持つソース・カプセルを組み立て又は構成するために、様々な放射能を持つ放射性同位体は、複数の貯蔵設備から離れた放射能遮蔽キャスク(使用済み核燃料を貯蔵するための容器)の中におかれる。キャスクは一般にホットセルと呼ばれる別の組立設備に運ばれる。一旦、様々な放射性同位体がホットセルに運ばれると、キャスクは、夫々の放射性同位体にアクセスするために開かれることになる。所望量の各放射性同位体は、取り外され、そして、所望の放射能プロファイルを有するソース・カプセル(例えばステンレス鋼のカプセル)内に封入される。使用されなかった放射性同位体はキャスクに戻される。キャスクはホットセルから取り外されて、夫々の貯蔵設備に戻される。
【0004】
従って、キャスク内の様々な貯蔵設備に貯蔵された放射性同位体の積み込み作業、ホットセルへのキャスクの輸送作業、放射性同位体へアクセスするための開放作業、ソース・カプセルの結合作業、キャスクの再梱包及び貯蔵設備への返却作業は煩雑且つ時間を費やす作業である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国公開2008/0076957
【特許文献2】米国公開2008/0031811
【特許文献3】米国公開2007/0297554
【特許文献4】米国公開2007/0133734
【特許文献5】米国公開2007/0133731
【特許文献6】米国公開2006/0126774
【特許文献7】米国公開2006/0062342
【特許文献8】米国公開2005/0105666
【特許文献9】米国公開2005/0118098
【特許文献10】米国公開2004/0091421
【特許文献11】米国公開2004/0196942
【特許文献12】米国公開2004/0196943
【特許文献13】米国公開2004/0105520
【特許文献14】米国公開2003/0179844
【特許文献15】米国公開2003/0012325
【特許文献16】米国公開2003/0016775
【特許文献17】米国公開2003/0103896
【特許文献18】米国公開2002/0034275
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
様々な実施形態において、放射性物質を保管するシステムが提供され、システムは放射線遮蔽及び冷却液に沈んだ多量の放射性物質を貯蔵する貯蔵プールを含む。システムはさらに、貯蔵プールから移動された放射性物質を使って一つ以上の放射能物品を築く組立棟を貯蔵プールの上に設ける。さらに、貯蔵プールと組立棟に繋がる少なくとも1つの運搬シャフトがある。運搬シャフトは、貯蔵プールの中から直接組立棟の中、および組立棟内から直接貯蔵プールへ放射性物質を輸送するために使われる。
【0007】
その他様々な実施形態において、放射性物質を保管するシステムが提供され、システムの床の内部及び直下に配置されている貯蔵プールを含む。貯蔵プールは放射線遮蔽及び冷却液に沈んだ多量の放射性物質を保管するために構成される。さらに、このシステムは貯蔵プール上のシステムの床の上に配置されているカプセル組立棟を含む。カプセル組立棟は、貯蔵プールからカプセル組立棟へ運搬される1つまたは複数個の放射性カプセルからなる内小室の組立チャンバーを含むことができる。さらにこのシステムはカプセル組立棟の内部から貯蔵プールへの直接アクセスを提供するために貯蔵プールとカプセル組立棟とを接続する少なくとも一つの運搬シャフトを含む。従って、運搬シャフトは貯蔵プールから直接カプセル組立棟の内部へ、及びカプセル組立棟から直接貯蔵プール内への放射性同位体の運搬を供給する。
【0008】
さらに他の実施形態において、放射性物質の保存方法が供給され、その方法は放射線遮蔽及び冷却液に沈んだ多量の放射性同位体を保存する方法と、貯蔵プールから組立棟のチャンバー内部へ直接運搬する方法とを含む。組立棟は貯蔵プールの上に設置することができる。選択された放射性同位体は貯蔵プールと組立棟を繋ぐ、少なくとも一つの運搬シャフトを通じて貯蔵プールの中から組立チャンバーの内部へ運搬される。さらにこの方法は貯蔵プールから運搬された放射性同位体の中に一つまたはそれ以上の放射性カプセルからなることを含む。この方法はさらに、直接組立チャンバー内部から貯蔵プールの中へ少なくとも一つの運搬シャフトを使って一つまたはそれ以上の放射性カプセルを構成するために使用されない選択された放射性同位体の運搬を含む。
【0009】
更に、本内容の適用の範囲は、ここに提供される詳細な説明から明白になるであろう。詳細な説明及び特定の例は描写する目的のためだけであることを意図されており、本内容の範囲を限定することを意図していないことは当然のことである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の様々な実施形態に従った放射性物質を保管するための設備の等角図である。
【図2】本発明の様々な実施形態に従った図1で示される放射性物質保管設備の側面図である。
【図3】本発明の様々な実施形態に従った図1で示される放射性物質保管設備の側面図である。
【図4】本発明の様々な実施形態に従った複数の組立セル内部を説明するために放射線遮断と格納容器及び天井とを取り除いた、図1で示される放射性物質保管設備の組立棟の等角図である。
【図5】本発明の様々な実施形態に従った図1で示される放射性物質保管設備にある組立棟の組立チャンバー内部の一部についての等角図である。
【図6】本発明の様々な実施形態に従った床下ベルトコンベアシステムを説明する、図1で示される放射性物質保管設備の断面図である。
【図7】本発明の様々な実施形態に従った、放射性物体を貯蔵プールから組立チャンバーの内部へ直接運搬するエレベーターシステムを説明する、図1で示される放射性物質保管設備の断面図である。
【図8】本発明の様々な実施形態に従った、組立チャンバーの側壁に沿って置かれ、側壁を通じて伸びる複数の対物マニピュレーターを説明する、図1で示される放射性物質保管設備の組立チャンバーの断面図である。
【図9】本発明の様々な実施形態に従った、貯蔵プールへアクセスする複数の組立棟を含む、図1で示される放射性物質保管設備の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】

以下の記述は単なる事実上の模範であり、現在の発明、活用または使用を制限することを意図したものではない。本仕様を通して類似の参照数字は類似の要素を参照するために使われる。ここに説明されている図は描写目的のためだけであり、決して本内容の範囲を限定することを意図していない。
【0012】
図1と図2は、放射性同位体のような放射性物質の安全な貯蔵を提供し、迅速、簡易及び安全に放射性物質を様々な実用品及び/又は製品への加工することを提供することからなる施設10を説明している。例えば、様々な実施形態において、装置10は少なくとも一つの放射性物質運搬シャフト22を通じて組立棟18に繋がれた貯蔵プール14を含む。装置10は組立棟18と貯蔵プール14とを繋ぐ一つかまたはそれ以上の運搬シャフト22を含むことができるが、整合と簡略のために、装置10は一対の運搬シャフト22を含んで記載することがある。
【0013】
貯蔵プール14は、複数の放射性物体26及び/又は放射性物体26から構成される複数の放射性物品28がその中に水没されて保管されることができるような、放射線遮断と水などの冷却液とで満たされて構成される。放射性物品28及び/又は放射性物体26はコバルト60、イリジウム、ニッケルなどの放射性物質で構成することができる。様々な実施形態において、放射線遮蔽と冷却液とは、保管された放射性物体26及び/又は放射性物品28に対して所望の冷却を供給するために、冷却装置(図示せず)を通じて循環されても良い。
【0014】
冷却液は、貯蔵プール14に水没された放射性物体26及び/又は放射性物品28から発散された崩壊熱を捕らえる。放散に必要な熱量は、貯蔵プール14のキュリー含有量と、特定の放射性物体26及び/又は放射性物品28とによる。例えば、貯蔵プール14が0.015Watts/Ciを生成するコバルト60(Co−60)の放射性物体26及び/又は放射性物品28の貯蔵にほぼそれの限度容量であったならば、(付随的に冷却装置を通じて循環される)冷却液は放射性物体26及び/又は放射性物品28を保持するためにおよそ100Fで使用されてもよい。別の実施例では、(付随的に冷却装置を通じて循環される)冷却液は放射性物体26及び/又は放射性物品28を保持するためにおよそ100Fから200F(38℃から93℃)で使われてもよい。
【0015】
さらに、貯蔵プール14は大量、例えば数千の放射性物体26及び/又は放射性物品28を保持するための大きさになるように想定されている。組立棟18は、運搬シャフト22を経由して、貯蔵プール14から組立棟18の内部へ直接運搬される放射性物体26及び/又は放射性物品28を安全に収納するのにふさわしい放射線遮蔽及び格納構造になるために構成される。さらに下記で記載されているように、作業中、放射性物品28を構成するために、放射性物体26は貯蔵プール14の中から選択され、直接組立棟18の内部へ運搬される。組立棟18では、特定の使用のため一つまたはそれ以上の放射性物品28を構成するために放射性物体26が使われる。
【0016】
例えば、様々な実施形態において、放射性物体26は様々な放射性強度をもつ様々な放射性同位体を含む放射性ロッド32から構成することができる。そして放射性物品28は、所望の放射能プロファイルを有するために、組立棟18内で構築され、安全な貯蔵のために貯蔵プール14に戻されるソース・カプセル34から構成することができる。特に、大量のロッド32及び/又はソース・カプセル34は貯蔵プール14内の棚40に保管されてもよい。ソース・カプセル34を組み立て又は構成するために特定の放射性同位体をもつ一つまたはそれ以上のロッド32が、運搬シャフト22を通じて貯蔵プール14から組立棟18の放射体含有組立チャンバー42の内部へ運搬される。ロッド32が組立チャンバー42へ運搬されると、ロッド32は各放射性同位体へのアクセスのため開かれてもよい。放射性同位体は所望の放射能プロファイルを持つ一つまたはそれ以上の放射性ソース・カプセル34を構成するのに使うことができる。ソース・カプセル34はその後貯蔵のために貯蔵プール14に戻されるか、或いは医療画像及び/又は診察に使う医療設備などのような希望の場所に運ばれる。実施形態において、組立部はまたカプセル組立チャンバー42として言及することができる。
【0017】
様々な実施形態において、放射性物体26及び/又は放射性物品28は貯蔵プール14と組立棟18との間を運搬シャフト22を経由して比較的短い距離で運ぶために、組立棟18は貯蔵プール14の上又はより高い位置に近接してある。例えば、実施形態において、図1及び図2で示されるように、貯蔵プール14は施設10の床30の内部かつ直下に配置することができ、組立棟18は貯蔵プール14の上に近接して配置することができる。それに合わせて、運搬シャフト22は床30の内部かつ直下に位置し、貯蔵プール14の側壁36の下部と組立チャンバー42の床38の間に伸びている。代わりに、そのほかの様々な実施形態において、貯蔵プール14は床30の内部特に直下に配置あるいは床30の上に組み立てることができる。ある実施形態において、組立棟18は床30の上及び頂上部に伸びる運搬シャフト22を有する貯蔵プール14の上で支えられる。
【0018】
さらに様々な実施形態において、図3で示されるように、組立チャンバー42は組立チャンバー42から貯蔵プール14へ伸びている別室44を含むことができる。特に別室44は、実質的に貯蔵プールの側壁36の上側又は真上に位置され、運搬シャフト22は貯蔵プール14と別室44との間に垂直方向である。
【0019】
図1及び図4を参照すると、様々な実施形態において、組立棟18は一般的に組立チャンバー42と、組立チャンバー42の少なくとも一つの端部50と繋がっている少なくとも一つのインターロック46と、を含む。組立チャンバー42は、放射線遮蔽及び格納容器天井58にそれぞれ結合する放射線遮断及び格納容器の側壁54を含む。放射線遮蔽と格納容器の側壁54及び天井58とは、組立チャンバー42の内部の貯蔵プール14から運搬された放射性物体26及び/又は放射性物品28を含む、組立チャンバー42の内部に放射線密封環境を提供する。図4を参照すると、各インターロック46は「閉」位置のとき、組立チャンバー42内部の放射線格納容器へ供給可能な放射線遮蔽と格納容器連結扉62とを含む。「開」位置のとき、各放射線遮蔽及び容器連結扉62は組み立てられた放射性物、例えば放射能ソース・カプセル34、の除去のために、組立チャンバー42への出入りを可能にする。加えて、各インターロック46は、組み立てられた放射性物28を組立チャンバー42から運搬するためのキャスクのようなアイテムの廃棄及び/又は除去のために各インターロック46の内部にアクセスl可能な少なくとも1つの外部アクセス扉66を含む。
【0020】
図4及び図5を参照すると、様々な実施形態において、組立チャンバー42は組立チャンバー42の内部に放射線遮蔽壁70を含んで構成される。放射線遮蔽壁70は、放射線ソース・カプセル34のような放射線物品の組み立て又は構築に使用される複数の内部組立セル74、すなわち位置(station)、を形成する。様々な実施形態において、各放射線遮蔽壁70の高さHは組立チャンバーの高さのたった一部である。いくつかの実施例において、放射線遮蔽壁70は可動でき、組立チャンバー42の内部で組立セル74を様々なサイズに作るために移動できることも想定される。さらに、組立チャンバー42は頭上クレーン装置78も含むことができる。その頭上クレーン装置78は、例えば両側のインターロック46間を広がっているような、組立チャンバー42の一つの端50から反対側の端50に広がっている直列線路82又はケーブルにそって、組立チャンバー42の一つの端50から反対側の端50へ動かすことができる。従って、クレーン措置78は、放射線遮蔽壁70にわたり、また様々な組立セル74の間、様々な組立セル74及びあらゆるインターロック46の間、及び相対するインターロック46の間で放射性物体26及び組み立てられた放射性物品28を移動させるために構築され操作が可能である。
【0021】
図4、図5及び図6を参照すると、その他様々な実施形態において、頭上クレーン装置78に加えて、組立チャンバー42は組立チャンバー42の床38の内部及び/又は直下に位置する床下コンベアベルトシステム84を含むことができる。床下コンベアベルトシステム84は耐食物質から構成することができる。例えば、様々な実施形態において、床下コンベアベルトシステム84はステンレス鋼又はそれに近い材質から構成することができる。床下コンベアベルトシステム84へのアクセスを可能とするために、組立チャンバーの床38は組立セル74の下の床38に沿って縦方向に伸びる開口部86を含む。コンベアベルトシステム84は開口部86の下に位置し、放射線遮蔽壁70の下の組立セル74の間に放射性物体26と放射性物品28を動かすために構成される。
【0022】
再び図4及び図5を参照すると、様々な実施形態において、組立チャンバー42は放射線遮蔽壁70上部に機能的に接続あるいは結合する一つ又はそれ以上の可動可能な仕切りパネル90を含むことができる。一つの放射線遮蔽壁70と接続あるいは結合させる時、各可動可能仕切りパネル90と放射線遮蔽壁70は床38から天井58までと、組立チャンバー42の壁54から壁54までとに全体に広がって形づくる。様々な実施形態において、仕切りパネル90はスライド可能にクレーンの線路82に支えられ、そこから吊るすことができる。従って、仕切りパネル90は、各放射線遮蔽壁70の上部と繋げられる各仕切りパネル90の位置に軌道82に沿って動かすことができ、すなわち滑らせることができる。続いて、適当な合わせ又は/及び結合方法を通じて、各仕切りパネル90は各放射線遮蔽壁70と結合させることができる。例えば、仕切りパネル90と放射線遮蔽壁70は凸部と溝を一致させたり、又は他の連結合わせ方法を使ったりして構成することができる。あるいは、ナット、ボルト、固定ピン又はその他適当なラッチング方法を使って各仕切りパネル90は放射線遮蔽壁70と合わせることができる。
【0023】
様々な実施形態において、組立セル74は例えば真ん中のセルのような少なくとも一つの結合セル74Aと、一つまたはそれ以上の放射能物品からなるための少なくとも別個体の組立セル74とを含む。それぞれのシャフト22(図2で示される)の端部92は組立チャンバーの結合セル74Aの床38にある各開口部94に繋がっている。連結セル開口部94は、放射性物質26及び/又は放射性物品28を直接貯蔵プール14から運ぶための組立チャンバー42からの出入を供給する。同様に、運搬シャフト(図2で示される)の貯蔵末端98は貯蔵プール側壁36(図1で示される)にある開口部102に繋がっている。貯蔵プール開口部102は組立チャンバー74Aから貯蔵プール14へ直接運び込まれた及び運び出された放射性物体26及び/又は放射性物品28を、運び込む及び運び出す入口と出口とを供給する。従って、結合セル開口部94と貯蔵プール開口部102とを繋ぐ、運搬シャフト22を通じて、放射性物体26及び/又は放射性物品28を直接貯蔵プール14から結合セル74Aに移動させることができる。
【0024】
今、図3と図7とを参照すると、様々な実施形態において、各運搬シャフト22は運搬シャフト22を通って貯蔵プール14から組立チャンバー42の内部へ放射性物体26及び/又は放射性物品28、例えば放射性ロッド32及び/又は放射能ソース・カプセル34、を運搬するために構成され、操作可能なエレベーターシステム106を含む。様々な実施例において、さらにエレベーターシステム106は運搬シャフト22を通って組立チャンバーの内部から貯蔵プール14へ放射性物体26及び/又は放射性物品28、例えば放射性ロッド32及び/又は放射能ソース・カプセル34、を運搬するために構成され、操作可能である。エレベーターシステム106は、貯蔵プール14と組立チャンバー42の内部との間で対応する運搬シャフト22の内部で直接トレイ110を動かすために構成されて操作可能なコンベア114に結合された少なくとも一つのトレイ110を含む。トレイ110とコンベア114とを含むエレベーターシステム106は耐食物質で構成されてもよい。例えば様々な実施形態において、トレイ110とコンベア114とを含むエレベーターシステム106はステンレス鋼や似たような材料で構成されることができる。
【0025】
コンベア114は運搬シャフト22内部の長さに合わせて置かれたトレイ110と放射性物体26及び/又は放射性物品28とをすなわち搬送、運搬、移動、平行移動することに適応するあらゆるシステム、装置、機械である。たとえば、コンベア114はコンベアベルトタイプ、スプロケットタイプ、ケーブル滑車タイプ、ネジシャフトタイプ、それらの組合せ、あるいはその他の適当な運搬システムであることができる。
【0026】
今、図1、図5、図6及び図8を参照すると、様々な実施形態において、組立チャンバー42は各組立チャンバーの側壁54を通して置かれたマニュピレーター用開口部118を含む。加えて組立チャンバー42は側壁54に沿って置かれ、各対物マニピュレーター用開口部118を通じて伸びた対物マニピュレーター122を含む。対物マニピュレーター122は放射性物品28を構成することを意図して結合するように作られたロボットアームでも構わない。このために、ロボットアームは掴んだり、引っ張ったり、溶接したり、ねじをまわしたりする手段を持っても構わない。
【0027】
分かるように、対物マニピュレーター122は施設人員、例えば組立チャンバー42の外部、すなわち外側にいるオペレーター126(図8)によって調整可能である。より具体的に言うと、オペレーター126は対物マニピュレーター122の近接端部130で、組立チャンバーの側壁54から突き出たり、伸びたりする対物マニピュレーター122の動作を制御する(図示されず)。オペレーター126による制御操作は組立チャンバー42の内部へ突き出たり、伸びたりする各対物マニピュレーター122の末端部134の動き及び操作を調整する。特に、組立セル74/74Aの内部で放射線物体26及び/又は放射線物品28を操作するために対物マニピュレーター122の末端部134は組立セル74/74Aの内部へ伸びている。従って、例えば放射性同位体ロッド32などの放射性物体26を組立セル74の間及内部で動かしたり、例えば放射能ソース・カプセル34などの放射性物質28を組み立てたり/構成したりするために、オペレーター126は近接端部130で制御操作をすることで、組立チャンバー42の内部でマニュピレータ―の末端部134の動き及び作用を制御する。様々な実施形態において、組立チャンバー42は各組立セル74/74Aのために一つまたはそれ以上の対物マニピュレーター122を含む。さらに、例えば放射能ソース・カプセル34のような放射性物品28は組立セル74/74Aと対応する対物マニピュレーター122とを実質的に同時に使用し組み立てることができる。
【0028】
作業中、一つまたはそれ以上の放射性物品28を組み立て構成するために、一つまたはそれ以上の放射性物体26、例えば貯蔵プール14にある放射性ロッド32が選択され、複数の棚40から除かれ、貯蔵プールの側壁開口部102の一つへ動かされる。放射性物体26は、放射線物体26の所望の特徴、すなわち大きさ、素材、同位体、放射能等に基づいて選択される。放射性物体26は貯蔵プールの側面開口部102へ移動されると、組立チャンバーの内部結合セル74へ運搬するために放射性物体26はトレイ110の上に置かれる。
【0029】
棚40から選択された放射性物体26を取り除き、貯蔵プールの側壁開口部102の一つに選択された放射性物体26を移動し、及びトレイ110の上に放射性物体26を置くための適当な手段を用いることができる。例えば、ロボット装置、機械、組立部又はシステム(図示されず)は放射性物体26を選択するために利用することができ、それらを貯蔵プール側壁開口部102へ移動し、エレベーターシステムトレイ110の上に置く。そのかわり、長い機械保持ポールは貯蔵プールの中に配置されてもよく、放射性物体26を選択するために床30から施設人員によって操作され、それらを貯蔵プール側壁開口部102へ移動し、エレベーターシステムトレイ110の上に置く。
【0030】
選択された放射性物体26がトレイ110の上に置かれた後、コンベア114は運搬シャフト22を通じて、貯蔵プール14から直接選択された放射性物体26を組立チャンバー42の内部へ、すなわち直接結合セルの内部へ運搬するために操作される。対物マニピュレーター122及び/又は上部クレーン装置78及び/又は床下コンベアシステム84は、放射性物質26の運搬をコントロールするために操作されてもよく、結合セル74Aから1つまたはそれ以上の異なる組立セル74へ動かす。放射性物体26が1つまたはそれ以上のセル74に運ばれると、施設人員は例えば放射能ソース・カプセル34のような放射性物体を組み立て又は構成するために対物マニピュレーター122を動かすことができる。また対物マニピュレーター122は容器又はキャスクの中で組み立てられた/構成された放射性物体を置いたり、梱包したりするために使うことができる。その後、頭上クレーン78は梱包された放射性物品を、選ばれた場所に配送されるために安全に除去されたインターロック46の一つに移動するために操作されてもよい。
【0031】
続いて、対物マニピュレーター122及び/又は上部クレーン装置78及び/又は床下コンベアシステム84及び/又は、未使用の放射性物体26をコントロールするために、及びそれらを一つまたはそれ以上のセル74から結合セル74Aへ貯蔵プール14に戻すために操作されてもよい。未使用の放射性物体26は結合セルの床開口部94を通って、各エレベーターシステムのトレイ110の上に置かれてもよい。エレベータシステムコンベア114は未使用の放射性物体26を組立チャンバー42の内部からすなわち各運搬シャフト22を通して、結合セル74Aから貯蔵プールの側壁開口部102へ直接運搬するために操作される。戻された未使用の放射性物体26は貯蔵プール14の遮蔽及び冷却液内に沈んだ適当な棚40に戻されてもよい。
【0032】
今図9を参照すると、実施形態において、設備10は運搬シャフト22を通じて一つの貯蔵プール14と接続している二つまたはそれ以上の組立棟18を含むことができる。従って、二つかそれ以上の組立棟18は一つの貯蔵プール14に直接アクセスすることができる。更に具体的には、貯蔵プール内に保管された例えば放射性ロッド32のような選択された放射性物体26は、上述されるように、各対応する運搬シャフト22を介して、例えば放射性ソース・カプセル34のような複数の放射性物品28をいっせいに又は同時に組み立てるために、あらゆる組立棟18に直接いっせいに又は同時に移動される。
【0033】
図で示されるような、要素又は特徴を関係する別の要素又は特徴で記述するという簡単な記述のために、「直下」「以下」「下方」「上方」などの空間的相対表現は使用されてもよいと理解すべきである。空間的相対表現は図で示された配置に加えて、使用又は操作の異なった配置を含んでもよいと理解されるだろう。例えば、図の装置が回転されたら、「以下」又は「直下」、他の要素あるいは特徴として表現された要素は以上又はその他の要素や特徴に配置されるだろう。従って表現例「以下」は上と下の両配置を含むことができる。装置はそうでなければ(回転された90度または他の方向)適応させられてもよく、本明細書で用いる空間的相対表現は適切に解釈される。
【0034】
以下の記述は単なる事実上の模範であり、従って、記載された要点から逸脱しない変化は本発明の領域内であると意図される。そのような変化は本発明の精神と領域から逸脱したものとしてみなされるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質保管のためのシステム(10)であって、
放射線遮蔽内の冷却液に沈んだ多量の放射性物質(26)を保管する貯蔵プール14と、
前記貯蔵プール(14)の上に位置し、前記貯蔵プール(14)から運搬された前記放射性物体(26)を使用して、一つ以上の放射性物品(28)を組み立てる組立棟(18)と、
前記貯蔵プール(14)と組立棟(18)とを接続して、前記放射性物体(26)を、前記貯蔵プール(14)の内部から前記組立棟(18)の内部に、または、前記組立棟(18)の内部から前記貯蔵プール(14)に、運搬するための少なくとも一つの運搬シャフト、
とを具備する放射性物質保管のためのシステム。
【請求項2】
各運搬シャフト(22)が、前記放射性物体(26)を、前記貯蔵プール(14)から前記組立棟(18)の内部へ、前記組立棟(18)の内部から前記貯蔵プール(14)へと、運搬するエレベーターシステム106を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
組立棟(18)は、複数の内部セル(74)を有する組立チャンバー(42)を備え、前記複数の内部セル(74)は隣接するセル(74)間の放射線遮断壁(70)を有し、
前記複数の内部セル(74)は、各運搬シャフト(22)が結合された末端部(92)と、一つ以上の放射性物品(28)を組み立てるための少なくとも一つの組立セル(74)を含む結合セル(74A)を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記遮蔽壁(70)が前記組立棟(18)内を移動可能であることを特徴とする請求項3に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記組立棟(18)が前記組立チャンバー(42)の対合する末端部(50)の少なくとも一つと連結する少なくとも一つのインターロック(46)からなることを特徴とする請求項3に記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記組立棟(18)は組立チャンバー(42)の内部にクレーン装置(78)を有し、このクレーン装置(78)は、遮蔽壁(70)の上で、前記複数のセル(74)の間において、および、前記複数のセル(74)と少なくとも一つインターロック(46)との間において、放射性物体(26)を動かすことができることを特徴とする請求項5に記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記組立棟(18)が前記組立チャンバー(42)の床(38)の内部又は直下にあるコンベアシステム(84)を有し、このコンベアシステム(84)は、前記複数のセル(74)の間及び、前記セル(74)と少なくとも一つインターロック(46)との間にある前記遮蔽壁(70)の下で前記放射性物体(26)を動かすことができることを特徴とする請求項5記載のシステム(10)。
【請求項8】
少なくとも1つのセル(74)の対向する外壁(54)の各々が、夫々の外壁(54)を貫通して延びる少なくとも1つの対物マニピュレーター用開口部(118)を有し、
各マニピュレーター用開口部(118)は、夫々の対物マニピュレーター(122)がセル(74)の内部にアクセスできるように構成され、
各対物マニピュレーター(122)は、前記チャンバー(42)の外から制御可能であり、また、前記各セル(74)内で前記放射性物体(26)を操作して一つ以上の放射性物品(28)を組み立て可能に構成されたことを特徴とする請求項3記載のシステム10。
【請求項9】
前記貯蔵プール(14)の上に配置され、少なくとも一つの運搬シャフト(22)を通じて前記貯蔵プール(14)に接続された第二組立棟(18)であって、前記少なくとも一つの第二運搬シャフト(22)を介して前記貯蔵プール(14)から運搬された放射性物体(26)を使用して一つ以上の放射線物品(28)を組み立てるための第二組立棟(18)を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−271065(P2009−271065A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104623(P2009−104623)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(508177046)ジーイー−ヒタチ・ニュークリア・エナージー・アメリカズ・エルエルシー (101)
【氏名又は名称原語表記】GE−HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC