説明

放射性廃棄物収納バスケット

【課題】使用済みLPRMの切断片を収納したバスケットを確実に横転させることを可能にした放射性廃棄物収納バスケットを提供する。
【解決手段】原子炉から取り出された後に切断された使用済み長尺部材を上方から挿入して、立てた状態で収納する縦長のバスケット10と、バスケット10の上部に設けられ、第1引き上げ装置200から垂下したフック30に係合する第1被係合部と、バスケット10の下部に設けられ、第2引き上げ装置202から垂下したフック32に係合する引っ掛け部材20とを備え、第2被係合部は、バスケット10の下部に固定された下部支持金具14と、下部支持金具14に支持されかつ前記土台の上部に突出する引っ掛け部材20とを有し、フック32は引っ掛け部材20に係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断された使用済みの中性子検出器(LPRM)やドライチューブを収納する放射性廃棄物収納バスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、原子力発電所においては、定期検査期間中に、原子炉から取り出した使用済みの中性子検出器(以下、LPRMと称する)は、原子炉建物内の燃料プールへ一時的に保管される。さらに、燃料プール内に保管されたLPRMは、放射線量が高い高線量部と放射線量が低い低線量部に分割され、さらに、高線量部は2分割されて、燃料プール内のLPRM切断片バスケットに収納される。このLPRM切断片バスケットに使用済みのLPRMが所定量収納された場合に、放射性物質の輸送に用いる容器であるキャスクをサイトバンカ建物から原子炉建物の燃料プール内に運び込み、このキャスクにLPRM切断片バスケットを装填する。次に、キャスクを燃料プールから取り出してサイトバンカ建物のサイトバンカプールに輸送する。そして、キャスクからLPRM切断片バスケットを取り出し、LPRM切断片バスケットを横転させることによって、サイトバンカプール内に設置されている長尺物貯蔵箱に、LPRM切断片バスケットの中身を取り出している。
【0003】
図14は、従来のLPRM切断片バスケットの構成を示す説明図であり、図14(a)は、LPRM切断片バスケットを示す側面図、図14(b)は、LPRM切断片バスケットの移送時の動きを示す側面図である。図14(a)に示すように、LPRM切断片バスケット100は、バスケット110、吊り具112、下部支持金具114、上部支持金具116及び横転用吊棒118によって構成されている。
【0004】
バスケット110は、切断された使用済みのLPRMを収納する縦長の筺体であり、開口が形成されているバスケット110上部には、吊り具112が回動可能に取り付けられている。また、バスケット110の一側面の下部には下部支持金具114が固定されており、バスケット110の一側面の上部には上部支持金具116が固定されている。
【0005】
吊り具112は、略コ字状の金属部材からなり、この金属部材における一対の側面部の端部が、LPRM切断片バスケット100における互いに対向する側面部の上端部に、回動可能に取り付けられている。この吊り具112に、LPRM切断片バスケット100の引き上げに用いるフック130(図14(b)参照)が係合される。
【0006】
下部支持金具114は、横転用吊棒118を回動可能に支持する取付ピン114aを備えている。横転用吊棒118は、バスケット110の高さよりも若干短い金属棒120と、この金属棒120の一端部に固定される下部接続金具122と、金属棒120の他端部に固定される上部接続金具124とによって構成されている。この下部支持金具114は、バスケット110の下部に溶接などで固定される。
【0007】
上部接続金具124は、コ字型の金属部材124aと、係合ピン124bとから構成されている。金属部材124aの中央部には金属棒120の他端部が固定され、金属部材124aの中央部の両端部から直角に延びる一対の側面部の端部に、係合ピン124bの端部がそれぞれ固定されている。この係合ピン124bに、LPRM切断片バスケット100の引き上げに用いるフック132(図14(b)参照)が係合する。
【0008】
下部接続金具122の中央部には、長穴122aが形成されている。この長穴122aは、横転用吊棒118の長手方向に沿った方向に延びる貫通穴である。
【0009】
そして、下部支持金具114内に下部接続金具122を入れた状態で、下部支持金具114の両側部の孔部と下部接続金具122の長穴122aとに取付ピン114aを通し、取付ピン114aの両端部に、例えばナットを取り付けることにより、下部接続金具122が下部支持金具114に回動可能に支持される。
【0010】
LPRM切断片バスケット100を燃料プールあるいはキャスクに載置している状態においては、図14(a)に示すように、上部接続金具124は、上部支持金具116に支持されている。この時、長穴122aの方向は、バスケット110の高さ方向に平行であり、長穴122aの上端部に取付ピン114aが当接している。すなわち、下部接続金具122が下がった状態にあり、下部接続金具122は、下部支持金具114内に収納されている。
【0011】
LPRM切断片バスケット100を横転させる場合には、まず、図14(b)に示すように、吊り具112にフック130を係合させ、上部接続金具124にフック132を係合させる。ここで、フック130及びフック132はそれぞれ独立した引き上げ装置にチェーンを介して連結されている。
【0012】
次に、フック132上方に引き上げて横転用吊棒118を上方に引き出すことにより、上部支持金具116から上部接続金具124を外し、下部接続金具122を下部支持金具114から引き出して、長穴122aの下端部に取付ピン114aを当接させる。そして、フック132を側方に移動させることにより、図14(b)に示すように、横転用吊棒118が側方に回動する。さらにフック132を側方に移動させると、LPRM切断片バスケット100の下部が持ち上げられ、図15に示すように、LPRM切断片バスケット100は、吊り具112の回動軸を中心に回動する。これにより、LPRM切断片バスケット100は横転する。
【0013】
また、従来における、この種の技術としては、特許文献1に記載された技術がある。特許文献1によれば、使用済みのLPRMを切断し、LPRMを束にした状態でプール内の箱型貯蔵箱に貯蔵し、取り出すときには、先端にフックがついたワイヤをプールに入れ、LPRMの束にフックを引っかけて取り出すことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開昭60−93393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、図14に示すLPRM切断片バスケット100の場合、横転用吊棒118が曲がってしまうという問題点があった。その原因としては、図16(a)に示すように、下部接続金具122が下部支持金具114から引き出されていない状態、あるいは取付ピン114aが長穴122aの下端部に当接するまで引き出されない状態で、横転用吊棒118を回動させた場合、下部接続金具122がバスケット110と衝突してしまい、下部接続金具122が回動不可能な状態となる。この状態において、フック132からの引っ張り力が横転用吊棒118にかかることによって、図16(b)に示すように、横転用吊棒118が曲がってしまうと推測される。
【0016】
下部接続金具122が下部支持金具114から十分に引き出されない状況は、作業者が運転操作の手順を間違え、横転用吊棒118を引き上げないままフック132を移動させたこと、あるいは、横転用吊棒118を引き上げた後に、吊り具112に掛けられているフック130を若干上方に移動させることにより、長穴122aにおける取付ピン114aの位置が相対的に下がってしまったことなどが考えられる。
【0017】
横転用吊棒118が曲がってしまうと、LPRM切断片バスケット100を横転させることが困難になるため、その後のLPRM切断片バスケット100内に収納された使用済みLPRMを取り出すことが困難になる。また、横転用吊棒118が折れてしまった場合には、使用済みLPRMが長尺物貯蔵箱に貯蔵される前に、長尺物貯蔵箱の周囲に散乱してしまう可能性がある。さらに、曲がった横転用吊棒118は、それ自体が放射性廃棄物となってしまう。このため、使用済みLPRMの切断片を収納したバスケットを確実に横転させることを可能するとともに、横転させる機構から廃棄物を出さないように簡単な構造で横転させることが望ましい。
【0018】
本発明は、このような問題を解決し、使用済みLPRMの切断片を収納したバスケットを確実に横転させることを可能にした放射性廃棄物収納バスケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備えている。
【0020】
(1) 原子炉から取り出された後に切断された使用済み長尺部材を上方から挿入して、立てた状態で収納する縦長のバスケットと、前記バスケットの上部に設けられ、第1の引き上げ装置から垂下したフックに係合する第1被係合部と、前記バスケットの下部に設けられ、第2の引き上げ装置から垂下したフックに係合する第2被係合部とを備え、前記第2被係合部は、前記バスケットの下部に固定された土台と、当該土台に支持されかつ前記土台の上部に突出する引っ掛け部材とを有し、前記フックは前記引っ掛け部材に係合すること特徴とする放射性廃棄物収納バスケット。
【0021】
(2) (1)において、前記引っ掛け部材は、一端部が前記土台に支持され、他端部側が前記土台の上部に突出する引っ掛け部材本体、及び当該引っ掛け部材本体の他端部に固定され、前記フックが係合する環状部材を有することを特徴とする放射性廃棄物収納バスケット。
【0022】
(3) (1)において、前記引っ掛け部材は、一端部が前記土台に支持され、他端部側に前記土台の上部から突出する孔部を有し、前記フックは、前記引っ掛け部材の他端部に係合することを特徴とする放射性廃棄物収納バスケット。
【0023】
(4) (1)において、前記引っ掛け部材は、一端部が前記土台に支持され、他端部の両端部から上方に延出し、しかも前記土台の上部に突出する一対の延出部を備えた引っ掛け部材本体、及び前記一対の延出部の上端部に固定される棒状部材を有し、前記フックは、前記棒状部材に係合することを特徴とする放射性廃棄物収納バスケット。
【0024】
(5) (1)において、前記引っ掛け部材は、円環部材からなり、前記土台は、前記円環部材に挿入する棒状部材と、当該棒状部材の両端部を支持しかつ当該棒状部材の上部を開放している支持部とを有し、前記円環部材を前記土台の上部から突出させた状態で維持する維持部材を備えたことを特徴とする放射性廃棄物収納バスケット。
【0025】
(6) (5)において、前記維持部材は、スプリングと、一端が前記円環部材に固定され、他端が前記スプリングを介して前記バスケットにおける前記棒状部材より上方の所定部位に固定されるワイヤとからなり、前記スプリングが通常状態の場合に、前記ワイヤによって前記円環部材を前記土台の上部から突出させた状態を維持し、前記円環部材に前記フックが係合して、前記円環部材が移動した場合に、前記スプリングが伸長することを特徴とする放射性廃棄物収納バスケット。
(7) (5)において、前記維持部材は、おもりと、一端が前記円環部材に固定され、他端に前記おもりが固定されるワイヤと、前記バスケットにおける前記棒状部材より上方の所定部位に備えられた支持部材とからなり、前記ワイヤを前記円環部材の上方に備えられた支持部材に引っ掛けることで、前記おもりの重量によって前記円環部材を上方に持ち上げ、前記円環部材を前記土台の上部から突出させた状態を維持し、前記円環部材に前記フックが係合して、前記円環部材が移動した場合に前記おもりが連動することを特徴とする放射性廃棄物収納バスケット。
【0026】
(1)〜(7)によれば、第2の引き上げ装置から垂下したチェーンの先端に取り付けたフックを、バスケットの下部に設けられた被係合部に直接係合できるようにしたため、従来のように下部接続金具をスライドさせる機構が必要なくなり、横転用吊棒が曲がることによってバスケットを横転させることができなくなるということがなくなる。したがって、バスケットを確実に横転させることが可能になる。
【0027】
特に、(6)、(7)によれば、引っ掛け部材を簡単に構成することが可能になる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、従来のように下部接続金具をスライドさせる機構がないため、横転用吊棒が曲がることによってバスケットを横転させることができなくなるということがなくなる。したがって、バスケットを確実に横転させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態におけるLPRM切断片バスケットの構成を示す説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるLPRM切断片バスケットの要部構成を示す斜視図である。
【図3】図2の引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態におけるLPRM切断片バスケットを横転させる作業を示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態の変形例におけるLPRM切断片バスケットの要部構成を示す斜視図である。
【図10】図9の引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の第1実施形態の変形例におけるLPRM切断片バスケットを横転させる作業を示す説明図である。
【図12】本発明の第2実施形態の変形例に係る引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態の変形例に係る引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。
【図14】従来におけるLPRM切断片バスケットの構成を示す説明図である。
【図15】従来におけるLPRM切断片バスケットを横転させる作業を示す説明図である。
【図16】従来におけるLPRM切断片バスケットの横転用吊棒の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態におけるLPRM切断片バスケットの構成を示す説明図である。LPRM切断片バスケット1は、バスケット10、吊り具12、下部支持金具14及び引っ掛け部材20によって構成されている。
【0032】
バスケット10は、幅60cm、高さ400cmの縦長の筺体であり、開口が形成されているバスケット10の上部には、第1被係合部に相当する吊り具12が回動可能に取り付けられている。また、バスケット10の一側面の下部には土台に相当する下部支持金具14が固定されている。
【0033】
吊り具12は、略コ字状の金属部材からなり、この金属部材における一対の側面部の端部が、LPRM切断片バスケット1における互いに対向する側面部の上端部に、回動可能に取り付けられている。
【0034】
下部支持金具14は、引っ掛け部材20を支持する取付ピン14aを備えている。引っ掛け部材20は、一端部が取付ピン14aによって下部支持金具14に取り付けられ、さらに、他端部に環状部材24が固定されたものである。
【0035】
図2は、下部支持金具に引っ掛け部材を取り付けた構成を示す斜視図、図3は、引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。図2に示すように、引っ掛け部材20は、引っ掛け部材本体22及び環状部材24とから構成されている。なお、以降の説明の便宜上、引っ掛け部材本体22におけるバスケット10の側面に対向する面を背面、背面の反対側を前面と称することにする。また、引っ掛け部材本体22の前面が向いている方向を前方向、引っ掛け部材本体22の背面が向いている方向を後方向と称する。
【0036】
下部支持金具14は、取付ピン14aと、コ字状の金属板14bと、規制板14cとによって構成されている。金属板14bは、中央部とこの中央部の両端部から直角に延びる一対の側面部とを備えており、バスケット10の下部に溶接などで固定される。この時、金属板14bの中央部及び両側部は、バスケット10の側面から前方向に立設し、かつ金属板14bの中央部の下面がバスケット10の下面と面一になるように固定される。また、金属板14bの両側面部の上部には貫通した孔部が形成されており、この孔部に取付ピン14aが挿入、固定される。
【0037】
規制板14cは、金属板14bにおいて取付ピン14aの下部に取り付けられ、引っ掛け部材20の前側の下部を覆うものである。
【0038】
次に、引っ掛け部材20の構成について図3を参照しながら説明する。引っ掛け部材本体22は、直方体部22aと、この直方体部22aの上面における背面側の一部から上方に延在させた略直方体型の延在部22bとからなる部材である。直方体部22aには両側面の中央部を貫通する孔部22cが形成されている。
【0039】
環状部材24は、円環部材を2分割してなるC字状の部材であり、延在部22bの前面の上部の両端部に、環状部材24の両端部が固定されることによって、引っ掛け部材20が構成される。すなわち、引っ掛け部材本体22の一端部には、孔部22cが形成されており、引っ掛け部材本体22の他端部には、環状部材24が前方向に突出するように固定されている。
【0040】
そして、図2に示すように、引っ掛け部材20の直方体部22aを、金属板14bに形成された孔部と孔部22cとが同一直線状に位置するように、下部支持金具14内に配置し、金属板14bに形成された孔部と孔部22cとに取付ピン14aを挿入する。さらに、取付ピン14aの両端部をナットによって固定することにより、下部支持金具14に引っ掛け部材20が取り付けられる。また、規制板14cの上方すなわち延在部22bの前面側が開放されており、延在部22bは、下部支持金具14の上方に突出している。また、直方体部22aは、下部支持金具14におけるコ字状の金属板14bと規制板14cとによって囲まれたスペースに収納される。
【0041】
次に、第1実施形態におけるLPRM切断片バスケット1を横転させる作業について、図4を参照しながら説明する。図4において、第1引き上げ装置200は、チェーンの先端に取り付けたフック30を垂下させ、フック30を上下方向、及び水平方向に移動させるものである。第2引き上げ装置202は、チェーンの先端に取り付けたフック32を垂下させ、フック32を上下方向、及び水平方向に移動させるものである。
【0042】
まず、図4(a)に示すように、作業員が、第1引き上げ装置200を操作してフック30を下げ、吊り具12にフック30を係合させる。さらに、作業員が、第2引き上げ装置200を操作してフック32を下げ、環状部材24と引っ掛け部材本体22の上部とによって囲まれた空間内に、フック32を通すことによって、引っ掛け部材20の環状部材24にフック32を係合させる。
【0043】
次に、作業員が、第1引き上げ装置200を操作し、チェーンを巻き上げることによってフック30を上方に上げ、さらに、第2引き上げ装置202を操作し、チェーンを巻き上げながら、フック32を側方に移動させる。これにより、図4(b)に示すように、フック32が回動して、LPRM切断片バスケット1の下部が斜め上方に持ち上げられる。そして、第2引き上げ装置202を操作して、フック32を引き上げることにより、LPRM切断片バスケット1は、吊り具12の回動軸を中心に回動して、図4(c)に示すように、LPRM切断片バスケット1は横転する。
【0044】
このように、LPRM切断片バスケット1を横転させることにより、LPRM切断片バスケット1の内部に収納されているLPRM切断片を取り出して、サイトバンカプール内に設置されている長尺物貯蔵箱に貯蔵させる。
【0045】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。なお、図1〜図4に示す第1実施形態における部材と同一の部材については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0046】
第2実施形態におけるLPRM切断片バスケット1は、図2に示す第1実施形態における下部支持金具14に対し、引っ掛け部材20の代わりに、図5に示す引っ掛け部材50の一端部を、取付ピン14a(図2参照)によって取り付け、他端部をフック32に係合させるものである。なお、以降の説明の便宜上、引っ掛け部材50におけるバスケット10の側面に対向する面を背面、背面の反対側を前面と称することにする。また、引っ掛け部材50の前面が向いている方向を前方向、引っ掛け部材50の背面が向いている方向を後方向と称する。
【0047】
引っ掛け部材50は、直方体部50aと、この直方体部50aの上面から延在する、側面視直角三角形の延在部50bとから構成されている。また、引っ掛け部材50は、直方体部50aと延在部50bとの段差から、直方体部50aの前側上方の角部にかけて、曲面に形成されている。直方体部50aの下部には、両側面を貫通する孔部50cが形成されている。また、延在部50bの端部には、前面から後面に貫通する貫通孔50dが形成されている。すなわち、引っ掛け部材50の一端部には、孔部50cが形成されており、引っ掛け部材本体22の他端部には、貫通孔50dが形成されている。この貫通孔50dにフック32(図4参照)が挿入されて、延在部50bの先端部の棒状部分にフック32(図4参照)が引っ掛けられる。
【0048】
そして、引っ掛け部材50の直方体部50aを、金属板14b(図2参照)に形成された孔部と孔部50cとが同一直線状に位置するように、下部支持金具14(図2参照)内に配置し、金属板14bに形成された孔部と孔部50cとに取付ピン14a(図2参照)を挿入する。さらに、取付ピン14aの両端部をナットによって固定することにより、下部支持金具14に引っ掛け部材50が取り付けられる。また、延在部50bは、下部支持金具14及び規制板14cの上方に突出している。このため、バスケット10の側面と延在部50b背面との間に、逆三角形型のスペースが形成され、このスペースにフック32(図4参照)の先端が通る。
【0049】
第2実施形態のLPRM切断片バスケットを横転させる場合は、図4に示すように、吊り具12にフック30を係合させ、図5に示す引っ掛け部材50の先端部の棒状部分にフック32を係合させる。
【0050】
そして、図4に示す第1実施形態と同様に、作業員が、第1引き上げ装置200及び第2引き上げ装置202を操作し、チェーンを巻き上げることによってフック30を上方に上げ、第2引き上げ装置200を操作し、チェーンを巻き上げながら、フック32を側方に移動させる。これにより、フック32(図4参照)が回動して、LPRM切断片バスケット1の下部が斜め上方に持ち上げられる。そして、LPRM切断片バスケット1は、吊り具12の回動軸を中心に回動して、LPRM切断片バスケット1は横転する。
【0051】
[第3実施形態]
図6は、本発明の第3実施形態に係る引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。なお、図1〜図4に示す第1実施形態における部材と同一の部材については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0052】
本発明の第3実施形態におけるLPRM切断片バスケット1は、図2に示す第1実施形態における下部支持金具14に対し、引っ掛け部材20の代わりに、図6に示す引っ掛け部材60の一端部を、取付ピン14a(図2参照)によって取り付け、他端部をフック32に係合させるものである。なお、以降の説明の便宜上、引っ掛け部材60におけるバスケット10の側面に対向する面を背面、背面の反対側を前面と称することにする。また、引っ掛け部材60の前面が向いている方向を前方向、引っ掛け部材60の背面が向いている方向を後方向と称する。
【0053】
引っ掛け部材60は、引っ掛け部材本体62及び棒状部材64とから構成されている。なお、以降の説明の便宜上、引っ掛け部材本体62におけるバスケット10の側面に対向する面を背面、背面の反対側を前面と称することにする。また、引っ掛け部材本体62の前面が向いている方向を前方向、引っ掛け部材本体62の背面が向いている方向を後方向と称する。
【0054】
引っ掛け部材本体62は、直方体部62aと、この直方体部62aの上面における、前後、上下方向に直角な左右方向の両側部からそれぞれ上方に延在させた直方体型の延在部62bとから構成されている。この直方体部62aの下部には、両側面の中央部を貫通する孔部62cが形成されている。すなわち、引っ掛け部材本体62の一端部には、孔部62cが形成されており、引っ掛け部材本体62の他端部には、直方体部62aの端部は、両側部に延在部62b、62bが延在するコ字状に形成されている。延在部62b、62bの先端部には棒状部材64が固定されている。ここで、棒状部材64は、孔部62cに平行でかつ孔部62cよりも前方向寄りに固定されている。この棒状部材64にフック32が引っ掛けられる。
【0055】
そして、引っ掛け部材60の直方体部62aを、金属板14b(図2参照)に形成された孔部と孔部62cとが同一直線状に位置するように、下部支持金具14(図2参照)内に配置し、金属板14bに形成された孔部と孔部62cとに取付ピン14a(図2参照)を挿入する。さらに、取付ピン14aの両端部をナットによって固定することにより、下部支持金具14に引っ掛け部材60が取り付けられる。延在部62b、62bは、下部支持金具14の上方に突出しており、棒状部材64とバスケット10の側面との間のスペースにフック32(図4参照)の先端が通る。
【0056】
第3実施形態のLPRM切断片バスケットを横転させる場合は、図4に示すように、吊り具12にフック30を係合させ、図6に示す引っ掛け部材60の棒状部材64にフック32を係合させる。
【0057】
そして、図4に示す第1実施形態と同様に、作業員が、第1引き上げ装置200及び第2引き上げ装置202を操作し、チェーンを巻き上げることによってフック30を上方に上げ、第2引き上げ装置200を操作し、チェーンを巻き上げながら、フック32を側方に移動させる。これにより、フック32(図4参照)が回動して、LPRM切断片バスケット1の下部が斜め上方に持ち上げられる。そして、LPRM切断片バスケット1は、吊り具12の回動軸を中心に回動して、LPRM切断片バスケット1は横転する。
【0058】
なお、上述した第1〜3実施形態によれば、引っ掛け部材20、50、60を取付ピン14aによって支持しているが、複数の取付ピンによって引っ掛け部材20、50、60を支持するように構成してもよい。
【0059】
また、例えば、下部支持金具14に対して、引っ掛け部材20から引っ掛け部材50に付け替えるというように、キャスクやバスケット10に応じて引っ掛け部材を付け替えてもよい。
【0060】
[第4実施形態]
図7は、本発明の第4実施形態に係る引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。なお、図1〜図4に示す第1実施形態における部材と同一の部材については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0061】
本発明の第4実施形態におけるLPRM切断片バスケットは、図2に示す第1実施形態における下部支持金具14に対し、引っ掛け部材20の代わりに、図7に示す引っ掛け部材70を、取付ピン14a(図2参照)を軸として回動自在に取り付けたものである。
【0062】
引っ掛け部材70は、リング部材によって構成されており、引っ掛け部材70を、下部支持金具14(図2参照)内に配置し、金属板14b(図2参照)に形成された孔部と、引っ掛け部材70とに取付ピン14aを挿入する。そして、取付ピン14aの両端部をナットによって固定することにより、下部支持金具14に引っ掛け部材70が回動自在に取り付けられる。
【0063】
ワイヤ72の一端は引っ掛け部材70に固定されており、他端はワイヤ支持金具78に固定されている。また、ワイヤ72には、途中にスプリング76が直列接続されている。さらに、ワイヤ支持金具78は、バスケット10(図1参照)の側面における取付ピン14aよりも上方の所定部位に固定されている。このため、引っ掛け部材70は、ワイヤ支持金具78からワイヤ72によって吊された状態となり、スプリング76が伸長していない通常状態において、引っ掛け部材70が下部支持金具14の上方に突出し、引っ掛け部材70の最下部位が、取付ピン14aの近傍に位置付けられた状態で維持される。このように、ワイヤ72、スプリング76及びワイヤ支持金具78は維持部材に相当する。
【0064】
第4実施形態のLPRM切断片バスケットを横転させる場合は、図4に示すように吊り具12にフック30を係合させ、図7に示す引っ掛け部材70にフック32を係合させる。
【0065】
そして、図4に示す第1実施形態と同様に、作業員が、第1引き上げ装置200を操作し、チェーンを巻き上げることによってフック30を上方に上げ、第2引き上げ装置202を操作し、チェーンを巻き上げながら、フック32を側方に移動させる。これにより、図7に示す引っ掛け部材70の下部が取付ピン14aに当接し、引っ掛け部材70の上部がフック32に当接し、さらに引っ掛け部材70が回動しながら、LPRM切断片バスケット1の下部が斜め上方に持ち上げられる。そして、LPRM切断片バスケット1は、吊り具12の回動軸を中心に回動して、LPRM切断片バスケット1は横転する。
【0066】
ここで、引っ掛け部材70が回動する際にスプリング76が伸長するため、ワイヤ72に過剰な張力が掛かってワイヤ72が切れることが防止できる。
【0067】
[第5実施形態]
図8は、本発明の第5実施形態に係る引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。なお、図1〜図4に示す第1実施形態及び図7に示す第4実施形態における部材と同一の部材については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0068】
本発明の第5実施形態におけるLPRM切断片バスケットは、図7に示す第4実施形態における引っ掛け部材70の最下部位を、取付ピン14aの近傍に位置付けた状態で維持するための構成、すなわちワイヤ72、スプリング76及びワイヤ支持金具78の代わりに、図8に示す、ワイヤ82、おもり84、ワイヤ支持金具86及びおもり収納管88を設けたものである。
【0069】
ワイヤ82の一端は引っ掛け部材70に固定されており、他端にはおもり84が取り付けられている。さらに、ワイヤ支持金具86は、バスケット10の側面における取付ピン14aよりも上方の所定部位に固定されており、このワイヤ支持金具86にワイヤ72が掛けられる。また、バスケット10の側面におけるワイヤ支持金具86の下方には、おもり収納管88が配置されている。
【0070】
このおもり収納管88は、内部でおもり84が上下に移動可能な太さを有するパイプ部材である。また、おもり収納管88の底部には、水抜き穴90が形成されている。
【0071】
そして、一端が引っ掛け部材70に固定されたワイヤ82をワイヤ支持金具86に引っ掛け、ワイヤ82の他端に取り付けられたおもり84をおもり収納管88の内部に収納する。これにより、引っ掛け部材70が下部支持金具14の上方に突出し、引っ掛け部材70の最下部位が、取付ピン14aの近傍に位置付けられた状態で維持される。このように、ワイヤ82、おもり84、ワイヤ支持金具86及びおもり収納管88は維持部材に相当する。
【0072】
第5実施形態のLPRM切断片バスケットを横転させる場合は、図4に示すように、吊り具12にフック30を係合させ、図8に示す引っ掛け部材70にフック32を係合させる。
【0073】
そして、図4に示す第1実施形態と同様に、作業員が、第1引き上げ装置200及び第2引き上げ装置202を操作することにより、LPRM切断片バスケット1の下部が斜め上方に持ち上げられる。これにより、LPRM切断片バスケット1は、吊り具12の回動軸を中心に回動して、LPRM切断片バスケット1は横転する。
【0074】
ここで、引っ掛け部材70が回動する際に、引っ掛け部材70に連動しておもり84が上方に移動するため、ワイヤ82に過剰な張力が掛かってワイヤ82が切れることが防止できる。
【0075】
[第1実施形態の変形例]
図9は、本発明の第1実施形態の変形例に係る下部支持金具に引っ掛け部材を取り付けた構成を示す斜視図、図10は、引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。なお、図1〜図4に示す部材と同一の部材、あるいは同一機能の部材については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略した。
【0076】
図9に示す本発明の第1実施形態の変形例は、図1〜図4に示す引っ掛け部材本体22の下部を、図10に示すように、孔部22cを軸とする半円柱状に形成したものである。
【0077】
そして、図9に示すように、引っ掛け部材20の直方体部22aを、金属板14bに形成された孔部と孔部22cとが同一直線状に位置するように、下部支持金具14内に配置し、金属板14bに形成された孔部と孔部22cとに取付ピン14aを挿入する。さらに、取付ピン14aの両端部をナットによって固定することにより、下部支持金具14に引っ掛け部材20が回動自在に取り付けられる。また、規制板14cの上方すなわち延在部22bの前面側が開放されており、延在部22bは、下部支持金具14の上方に突出している。
【0078】
次に、第1実施形態の変形例におけるLPRM切断片バスケット1を横転させる作業について、図11を参照しながら説明する。図11において、第1引き上げ装置200は、チェーンの先端に取り付けたフック30を垂下させ、フック30を上下方向、及び水平方向に移動させるものである。第2引き上げ装置202は、チェーンの先端に取り付けたフック32を垂下させ、フック32を上下方向、及び水平方向に移動させるものである。なお、図11においては、引っ掛け部材20の動作を説明するために、下部支持金具14の部分は断面を示している。
【0079】
まず、図11(a)に示すように、作業員が、第1引き上げ装置200を操作してフック30を下げ、吊り具12にフック30を係合させる。さらに、作業員が、第2引き上げ装置200を操作してフック32を下げ、環状部材24と引っ掛け部材本体22の上部とによって囲まれた空間内に、フック32を通すことによって、引っ掛け部材20の環状部材24にフック32を係合させる。
【0080】
次に、作業員が、第1引き上げ装置200を操作し、チェーンを巻き上げることによってフック30を上方に上げ、さらに、第2引き上げ装置202を操作し、チェーンを巻き上げながら、フック32を側方に移動させる。これにより、図11(b)に示すように、引っ掛け部材20が回動して、LPRM切断片バスケット1の下部が斜め上方に持ち上げられる。そして、第2引き上げ装置202を操作して、フック32を引き上げることにより、LPRM切断片バスケット1は、吊り具12の回動軸を中心に回動して、図11(c)に示すように、LPRM切断片バスケット1は横転する。
【0081】
ここで、規制板14cの上方すなわち延在部22bの前面側が開放されているため、引っ掛け部材20は、バスケット10の側面に引っ掛け部材20の背面が当接した状態から、規制板14cに引っ掛け部材20の前面が当接するまでの範囲で前後方向に回動可能である。また、引っ掛け部材本体22の延在部22bは、下部支持金具14の上方に突出しているため、引っ掛け部材20が規制板14cに当接した場合に、延在部22bにおける環状部材24の下方の部位が規制板14cに当接するようになり、フック32が、下部支持金具14に衝突することはない。
【0082】
[第2実施形態の変形例]
図12は、本発明の第2実施形態の変形例に係る引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。なお、図5に示す第2実施形態における部材と同一の部材あるいは同一機能の部材については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0083】
図12に示す本発明の第2実施形態の変形例は、図5に示す直方体部50aの下部を、図12に示すように、孔部50cを軸とする半円柱状に形成したものである。
【0084】
そして、引っ掛け部材50を、金属板14b(図9参照)に形成された孔部と孔部50cとが同一直線状に位置するように、下部支持金具14(図9参照)内に配置し、金属板14bに形成された孔部と孔部50cとに取付ピン14a(図9参照)を挿入する。さらに、取付ピン14aの両端部をナットによって固定することにより、下部支持金具14に引っ掛け部材50が回動自在に取り付けられる。引っ掛け部材50は、バスケット10の側面に引っ掛け部材50の背面が当接した状態から、規制板14cに引っ掛け部材50の前面が当接するまでの範囲で回動可能である。また、延在部50bは、下部支持金具14の上方に突出している。このため、引っ掛け部材50が規制板14c(図9参照)に当接した場合に、延在部22bにおける直方体型の部分に規制板14cに当接するようになり、フック32(図11参照)が、下部支持金具14に衝突することはない。
【0085】
第2実施形態のLPRM切断片バスケットを横転させる場合は、図11に示すように、吊り具12にフック30を係合させ、図12に示す引っ掛け部材50の先端部の棒状部分にフック32を係合させる。
【0086】
そして、図11に示す第1実施形態の変形例と同様に、作業員が、第1引き上げ装置200及び第2引き上げ装置202を操作し、チェーンを巻き上げることによってフック30を上方に上げ、第2引き上げ装置200を操作し、チェーンを巻き上げながら、フック32を側方に移動させる。これにより、引っ掛け部材50(図12参照)が回動して、LPRM切断片バスケット1の下部が斜め上方に持ち上げられる。そして、LPRM切断片バスケット1は、吊り具12の回動軸を中心に回動して、LPRM切断片バスケット1は横転する。
【0087】
[第3実施形態の変形例]
図13は、本発明の第3実施形態の変形例に係る引っ掛け部材の構成を示す斜視図である。なお、図6に示す第3実施形態における部材と同一の部材あるいは同一機能の部材については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0088】
図12に示す本発明の第2実施形態の変形例は、図6に示す引っ掛け部材本体62の下部を、図12に示すように、孔部62cを軸とする半円柱状に形成したものである。
【0089】
そして、引っ掛け部材60を、金属板14b(図9参照)に形成された孔部と孔部62cとが同一直線状に位置するように、下部支持金具14(図9参照)内に配置し、金属板14bに形成された孔部と孔部62cとに取付ピン14a(図9参照)を挿入する。さらに、取付ピン14aの両端部をナットによって固定することにより、下部支持金具14に引っ掛け部材60が回動自在に取り付けられる。引っ掛け部材60は、バスケット10の側面に引っ掛け部材60の背面が当接した状態から、規制板14cに引っ掛け部材60の前面が当接するまでの範囲で回動可能である。また、延在部62b、62bは、下部支持金具14の上方に突出している。このため、引っ掛け部材60が規制板14cに当接した場合に、延在部62bにおける棒状部材64の下方の部位が規制板14cに当接するようになり、フック32が、下部支持金具14に衝突することはない。
【0090】
第3実施形態の変形例のLPRM切断片バスケットを横転させる場合は、図11に示すように、吊り具12にフック30を係合させ、図13に示す引っ掛け部材60の棒状部材64にフック32を係合させる。
【0091】
そして、図11に示す第1実施形態の変形例と同様に、作業員が、第1引き上げ装置200及び第2引き上げ装置202を操作し、チェーンを巻き上げることによってフック30を上方に上げ、第2引き上げ装置200を操作し、チェーンを巻き上げながら、フック32を側方に移動させる。これにより、引っ掛け部材60(図13参照)が回動して、LPRM切断片バスケット1の下部が斜め上方に持ち上げられる。そして、LPRM切断片バスケット1は、吊り具12の回動軸を中心に回動して、LPRM切断片バスケット1は横転する。
【0092】
以上、説明したように構成された第1〜5実施形態によれば、第2引き上げ装置202から垂下したチェーンの先端に取り付けたフック32を、バスケット10の下部に設けられた引っ掛け部材20に直接係合できるようにしたため、図14に示す横転用吊棒118、及び長穴122aと取付ピン114aとによる、下部接続金具122をスライドさせる機構がないため、横転用吊棒118が曲がることによってバスケット10を横転させることができなくなるということがなくなる。したがって、LPRM切断片バスケット1を確実に横転させることが可能になり、しかも、簡単な構成でLPRM切断片バスケット1を横転させることが可能になるため、図15に示す曲がった横転用吊棒118のように、新たな放射性廃棄物の発生を低減することができる。
【0093】
特に、第1実施形態によれば、環状部材24が前方向に突出するように固定されているため、フック32を環状部材24に係合させる際に、引っ掛け部材本体22が障害にならなくなり、フック32の先端部を環状部材24の内部に通しやすくなる。このため、引っ掛け部材20にフック32を係合させる作業が容易に可能になる。
【0094】
また、第2実施形態によれば、引っ掛け部材50の製造過程において、貫通孔50dを形成することができる。このため、第1実施形態の環状部材24のような、フック32を係合させるための部材を特別に設ける必要がないため、その分、コストダウンを図ることができる。
【0095】
また、第3実施形態によれば、延在部62b、62bに棒状部材64を固定するため、棒状部材64の固定作業を比較的容易に行うことができる。また、棒状部材64が、孔部62cよりも前方向よりに固定されているため、フック32の先端部を棒状部材64の内部に通しやすくなる。
【0096】
また、第4、5実施形態によれば、引っ掛け部材70がリング部材であるため、簡単に構成することが可能になる。
【0097】
また、第1〜3実施形態の変形例によれば、引っ掛け部材20、50、60が取付ピン14aを軸として回動するため、フック32からの引っ張る力が取付ピン14aに直接加わるようになる。
【符号の説明】
【0098】
1 切断片バスケット
10 バスケット
12 吊り具
14 下部支持金具
14a 取付ピン
14b 金属板
14c 規制板
20、50、60、70 引っ掛け部材
22 引っ掛け部材本体
22a 円柱部
22b、50b、62b 延在部
22c、50c、62c 孔部
24 環状部材
30、32 フック
50a 半円柱部
50d 貫通孔
62a 半円柱部
64 棒状部材
72、82 ワイヤ
76 スプリング
78 ワイヤ支持金具
80 水抜き穴
84 おもり
86 ワイヤ支持金具
88 収納管
200 第1引き上げ装置
202 第2引き上げ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉から取り出された後に切断された使用済み長尺部材を上方から挿入して、立てた状態で収納する縦長のバスケットと、
前記バスケットの上部に設けられ、第1の引き上げ装置から垂下したフックに係合する第1被係合部と、
前記バスケットの下部に設けられ、第2の引き上げ装置から垂下したフックに係合する第2被係合部とを備え、
前記第2被係合部は、前記バスケットの下部に固定された土台と、当該土台に支持されかつ前記土台の上部に突出する引っ掛け部材とを有し、
前記フックは前記引っ掛け部材に係合すること特徴とする放射性廃棄物収納バスケット。
【請求項2】
前記引っ掛け部材は、一端部が前記土台に支持され、他端部側が前記土台の上部に突出する引っ掛け部材本体、及び当該引っ掛け部材本体の他端部に固定され、前記フックが係合する環状部材を有することを特徴とする請求項1記載の放射性廃棄物収納バスケット。
【請求項3】
前記引っ掛け部材は、一端部が前記土台に支持され、他端部側に前記土台の上部から突出する孔部を有し、
前記フックは、前記引っ掛け部材の他端部に係合することを特徴とする請求項1記載の放射性廃棄物収納バスケット。
【請求項4】
前記引っ掛け部材は、一端部が前記土台に支持され、他端部の両端部から上方に延出し、しかも前記土台の上部に突出する一対の延出部を備えた引っ掛け部材本体、及び前記一対の延出部の上端部に固定される棒状部材を有し、
前記フックは、前記棒状部材に係合することを特徴とする請求項1記載の放射性廃棄物収納バスケット。
【請求項5】
前記引っ掛け部材は、円環部材からなり、
前記土台は、前記円環部材に挿入する棒状部材と、当該棒状部材の両端部を支持しかつ当該棒状部材の上部を開放している支持部とを有し、
前記円環部材を前記土台の上部から突出させた状態で維持する維持部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の放射性廃棄物収納バスケット。
【請求項6】
前記維持部材は、スプリングと、一端が前記円環部材に固定され、他端が前記スプリングを介して前記バスケットにおける前記棒状部材より上方の所定部位に固定されるワイヤとからなり、
前記スプリングが通常状態の場合に、前記ワイヤによって前記円環部材を前記土台の上部から突出させた状態を維持し、前記円環部材に前記フックが係合して、前記円環部材が移動した場合に、前記スプリングが伸長することを特徴とする請求項5記載の放射性廃棄物収納バスケット。
【請求項7】
前記維持部材は、おもりと、一端が前記円環部材に固定され、他端に前記おもりが固定されるワイヤと、前記バスケットにおける前記棒状部材より上方の所定部位に備えられた支持部材とからなり、
前記ワイヤを前記円環部材の上方に備えられた支持部材に引っ掛けることで、前記おもりの重量によって前記円環部材を上方に持ち上げ、前記円環部材を前記土台の上部から突出させた状態を維持し、前記円環部材に前記フックが係合して、前記円環部材が移動した場合に前記おもりが連動することを特徴とする請求項5記載の放射性廃棄物収納バスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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