説明

放射線モニタ装置

【課題】検出部と制御部の間の電路において周囲の電気的磁気的影響を受けることが少なく雑音の少ない放射線モニタ装置を提供する。
【解決手段】放射線を検出する検出部1−1〜1−mと、前記検出部から出力される放射線検出信号を処理し装置を制御する制御部5とを備え、前記検出部は当該検出部の駆動電源として放射線電池2を備えている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力プラントの周辺監視等に使用される放射線モニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントの周辺監視等に使用される放射線モニタ装置は、放射線量を検出する検出部と、検出信号を演算処理し装置を制御する制御部からなり、一般に検出部は放射線量を測定する区域に設置し、制御部は制御室に設置して集中監視される。
【0003】
このような放射線モニタ装置としては、放射線検出を行う複数の検出器と、これらの各検出器に対して制御信号を出力するとともにこれらの各検出器から検出信号を入力する1個のモニタ装置と、前記制御信号の伝送と前記検出信号の伝送とを時分割で行う信号線とを備えた構成のものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭61−170688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成の従来の放射線モニタ装置は、検出部は放射線量を測定する区域に設置され、制御部は集中監視のために制御室に設置されるため、検出部と制御部は離れている場合が多く、場合により数百メートル以上にも達することがある。そのため、制御部から検出部へ供給される駆動用電力や検出部から制御部に送られる検出信号の伝送のために通常電線が用いられことが多い。そのため、従来、各部間電路において周囲の電気的磁気的影響を受けて雑音が多くなるという課題がある。
【0005】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、検出部と制御部の間の電路において周囲の電気的磁気的影響を受けることが少なく雑音の少ない放射線モニタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため請求項1の発明は、放射線を検出する検出部と、前記検出部から出力される放射線検出信号を処理し装置を制御する制御部とを備え、前記検出部は当該検出部の駆動電源として放射線電池を備えている構成とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、検出部と制御部の間の電路において周囲の電気的磁気的影響を受けることが少ないので雑音を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る放射線モニタ装置の3つの実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
まず、図1を用いて本発明の第1の実施の形態を説明する。本実施の形態の放射線モニタ装置は、制御室の外に設けられ設置環境の放射線を検出する検出部1−1〜1−mと、検出部1−1〜1−mの検出信号を制御室内の制御部5に送信する光ケーブル4−1〜4−mと、検出部1−1〜1−mから送られてきた放射線検出信号を処理するとともに装置を制御する制御部5と、制御部5の処理・制御内容を表示する表示部6から構成されている。検出部1−1〜1−mは、それぞれ放射線電池2と信号処理回路3を備えている。但し、mは2以上の整数である。
【0009】
このように構成された本実施の形態の放射線モニタ装置において、検出部1−1〜1−mに設けられた放射線電池2は、放射線が照射されることにより電力を発生する性質から検出部内の信号処理回路3の駆動用電源として機能するとともに、検出部が設置された環境放射能量に応じて発電量が変化する性質から放射線検出器としても機能する。このため、検出部駆動電力を外部から供給せずに、放射線モニタ装置として動作させることが可能となる。
【0010】
さらに、検出部1-1〜1-mから制御部5への信号伝送を、光ケーブル4-1〜4-mを用いることで、従来、検出部と制御部間の接続に用いられていた金属材料からなる電線が不要となる。光ケーブルによる信号伝送方法の代替方法としては、無線通信が挙げられる。
【0011】
本実施の形態によれば、外部から検出部に電力供給するための電線が不要で、さらに検出部と制御部の間に金属材料からなる電線を使用しないことにより、検出部1−1〜1−mと制御部5の間における電気的磁気的雑音の進入を排除することができる。
【0012】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る放射線モニタ装置の第2の実施の形態について、図2を用いて説明する。なお第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
本実施の形態の放射線モニタ装置は、検出部1−1〜1−m内にそれぞれ蓄電器10を備え、信号処理回路3内に放射線レベル判定回路7と、光伝送回路8と、蓄電器制御回路9とを備えている。その他の構成は第1の実施の形態と同じである。
【0014】
このように構成された本実施の形態の放射線モニタ装置においては、設置環境の放射線量が放射線レベル判定回路7により判定されて、閾値以下の場合は放射線検出信号の処理および出力を停止して蓄電器制御回路9により蓄電器10へ充電する。放射線量が閾値を超えている場合には、蓄電器制御回路9により蓄電器10から駆動電力を放電し、光伝送回路8を作動させ、制御部5への信号伝送を実施する。
【0015】
本実施の形態によれば、設置環境の放射線量が閾値以下では蓄電器10への充電を継続し、放射線量が閾値を越えた時のみ信号伝送を実施することができるため、検出部1−1〜1−mでの使用電力を最小とすることにより、放射線電池2の効率を向上することができる。
【0016】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る放射線モニタ装置の第3の実施の形態について、図3を用いて説明する。第1、第2の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
本実施の形態の放射線モニタ装置は、検出部1−1〜1−m内にそれぞれ2個の放射線電池2a,2bを設けた構成である。その他の構成は第1または第2の実施の形態と同じである。
【0018】
このように構成された本実施の形態の放射線モニタ装置においては、一方の放射線電池が単一故障した場合も、もう一方の放射線電池が動作していることにより、放射線モニタ装置としての機能を失うことがない。
【0019】
本実施の形態によれば、放射線電池を複数個設置して冗長化することによって、放射線電池の単一故障が発生した場合においても、放射線モニタ装置の機能が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態の放射線モニタ装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の放射線モニタ装置の要部の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の第3の実施の形態の放射線モニタ装置の要部の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0021】
1−1〜1−m…検出部、2,2a,2b…放射線電池、3…信号処理回路、4−1〜4−m…光ケーブル、5…制御部、6…表示部、7…放射線レベル判定回路、8…光伝送回路、9…蓄電器制御回路、10…蓄電器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出する検出部と、前記検出部から出力される放射線検出信号を処理し装置を制御する制御部とを備え、前記検出部は当該検出部の駆動電源として放射線電池を備えていることを特徴とする放射線モニタ装置。
【請求項2】
前記放射線電池を放射線検出器としても機能させることを特徴とする請求項1記載の放射線モニタ装置。
【請求項3】
前記検出部と前記制御部との間の信号伝送は光通信または無線通信によることを特徴とする請求項1記載の放射線モニタ装置。
【請求項4】
前記検出部は、検出された放射線量が所定の値より低いときは放射線検出信号の処理および出力動作を停止させる放射線レベル判定回路を備えていることを特徴とする請求項1記載の放射線モニタ装置。
【請求項5】
前記検出部は、余剰の電力を蓄積する蓄電器を備えていることを特徴とする請求項1記載の放射線モニタ装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記放射線電池を2個以上備えていることを特徴とする請求項1記載の放射線モニタ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−210462(P2009−210462A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54802(P2008−54802)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】