放射線断層撮影装置、放射線画像シミュレーション方法および画像シミュレーション装置
【課題】スキャン条件に応じて発生するノイズを正確に推定する。
【解決手段】サンプル画像Saを再投影処理し再投影データR1を生成後、その再投影データR1においてシミュレーションスキャン条件S2に対応して含まれるノイズを、サンプルスキャン条件S1とシミュレーションスキャン条件S2とに基づいて推定しノイズ推定データNSを生成する。そして、シミュレーションスキャン条件S2に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を、再投影データR1とノイズ推定データNSとに基づいて生成する。
【解決手段】サンプル画像Saを再投影処理し再投影データR1を生成後、その再投影データR1においてシミュレーションスキャン条件S2に対応して含まれるノイズを、サンプルスキャン条件S1とシミュレーションスキャン条件S2とに基づいて推定しノイズ推定データNSを生成する。そして、シミュレーションスキャン条件S2に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を、再投影データR1とノイズ推定データNSとに基づいて生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線断層撮影装置、放射線断層画像シミュレーション方法および画像シミュレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT(Computed Tomography)装置などの放射線断層撮影装置は、被検体を放射線でスキャンして得られる投影データに基づいて、被検体の断層面についての画像を再構成により生成する。放射線断層撮影装置は、医療用途や産業用途などの広範な用途で利用されている。たとえば、放射線断層撮影装置は、造影剤を血管に注入することにより、血管部分が高コントラストな画像を得ている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
放射線断層撮影装置を用いて被検体をスキャンする際においては、まず、スキャン条件を設定する。ここでは、画像のノイズが所望なレベルになるように、スキャン条件を設定する(たとえば、特許文献2,特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平09−253079号公報
【特許文献2】特開2001−170037号公報
【特許文献3】特開平11−235334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スキャン条件を設定する際においては、その設定したスキャン条件にて生成される画像のノイズが所望なレベルになるように、ノイズを事前に推定し、そのノイズの推定に基づいて、最適なスキャン条件を決定している。
【0006】
このようにノイズを推定する際には、事前に被検体をスキャンすることによって得られたローデータを用いている。このため、画像に水ファントムで取った一定のノイズを付加したのでは、構造物の状況による低カウント値のノイズが正確に推定できない場合があり、最適なスキャン条件を設定することが困難な場合があった。また、放射線断層撮影装置に応じてローデータの保存形式が異なる場合があるために、ノイズを推定することが困難になり、最適なスキャン条件を設定することが困難な場合があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、画像のノイズを正確に推定可能であり、最適なスキャン条件を設定することが容易な放射線断層撮影装置,放射線断層画像シミュレーション方法、画像シミュレーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の放射線断層撮影装置は、放射線で被検体をスキャンすることにより前記被検体の断層面についての画像を生成する放射線断層撮影装置であって、第1スキャン条件に基づいて放射線でスキャンされ生成された被検体の断層面についてのサンプル画像を用いて、前記第1スキャン条件と異なる第2スキャン条件に基づいてスキャンされ生成される画像をシミュレートする画像シミュレート部を備え、前記画像シミュレート部は、前記サンプル画像を再投影処理することにより再投影データを生成する再投影処理部と、前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件とに基づいて、前記再投影データにおいて前記第2スキャン条件に対応して含まれるノイズを推定することによりノイズ推定データを生成するノイズ推定部と、前記再投影データと前記ノイズ推定データとに基づいて、前記第2スキャン条件に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を生成するシミュレーション画像生成部とを有する。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の放射線画像シミュレーション方法は、第1スキャン条件に基づいて放射線でスキャンされ生成された被検体の断層面についてのサンプル画像を用いて、前記第1スキャン条件と異なる第2スキャン条件に基づいてスキャンされ生成される画像をシミュレートする放射線画像シミュレーション方法であって、前記サンプル画像を再投影処理することにより再投影データを生成する第1ステップと、前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件とに基づいて、前記再投影データにおいて前記第2スキャン条件に対応して含まれるノイズを推定することによりノイズ推定データを生成する第2ステップと、前記再投影データと前記ノイズ推定データとに基づいて、前記第2スキャン条件に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を生成する第3ステップとを有する。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の画像シミュレーション装置は、第1スキャン条件に基づいてスキャンされ生成された被検体の断層面についてのサンプル画像を用いて、前記第1スキャン条件と異なる第2スキャン条件に基づいてスキャンされ生成される画像をシミュレートする画像シミュレーション装置であって、前記サンプル画像を再投影処理することにより再投影データを生成する再投影処理部と、前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件とに基づいて、前記再投影データにおいて前記第2スキャン条件に対応して含まれるノイズを推定することによりノイズ推定データを生成するノイズ推定部と、前記再投影データと前記ノイズ推定データとに基づいて、前記第2スキャン条件に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を生成するシミュレーション画像生成部とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像のノイズを正確に推定可能であり、最適なスキャン条件を設定することが容易な放射線断層撮影装置,放射線断層撮影方法、画像ノイズシミュレーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明にかかる実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明にかかる実施形態のX線CT装置1についての全体構成を示すブロック図であり、図2は、本実施形態のX線CT装置1における要部を示す構成図である。
【0014】
図1に示すように、X線CT装置1は、走査ガントリ2と、操作コンソール3と、被検体搬送部4とを有し、スキャン条件に基づいて被検体をX線でスキャンすることによって得られた被検体の投影データを用いて、被検体の断層面についての画像を再構成し生成する。
【0015】
走査ガントリ2について説明する。
【0016】
走査ガントリ2は、操作コンソール3からの制御信号CTL30aに基づいて、被検体搬送部4により撮影空間29に移動された被検体をX線でスキャンして、その被検体の投影データを得る。走査ガントリ2は、図1に示すように、X線管20とX線管移動部21とコリメータ22とX線検出器23とデータ収集部24とX線コントローラ25とコリメータコントローラ26と回転部27とガントリコントローラ28とを有する。
【0017】
図3は、走査ガントリ2において、X線管20とコリメータ22とX線検出器23との配置関係を示す図である。
【0018】
図3に示すように、走査ガントリ2においては、被検体が搬入される撮影空間29を挟むように、X線管20とX線検出器23とが配置されている。そして、コリメータ22が、X線管20からのX線を成形するように配置されている。そして、走査ガントリ2は、被検体の体軸方向zを中心にして、X線管20とコリメータ22とX線検出器23とを被検体の周囲で旋回させる。これにより、被検体の周囲における複数のビュー方向からX線管20がX線を照射し、X線管20から被検体を透過するX線をX線検出器23が検出して、投影データを生成する。走査ガントリ2の各部について、順次、説明する。
【0019】
X線管20は、たとえば、回転陽極型であり、X線を被検体に照射する。X線管20は、図2に示すように、X線コントローラ25からの制御信号CTL251に基づいて、所定強度のX線を被検体の撮影領域にコリメータ22を介して照射する。X線管20から放射されたX線は、コリメータ22によって、たとえば、コーン状に成形され、X線検出器23に照射される。そして、X線管20は、被検体の周囲のビュー方向からX線を被検体に照射するために、被検体の体軸方向zを中心に回転部27によって被検体の周囲を回転移動する。つまり、X線管20は、被検体搬送部4が被検体を撮影空間29に移動する方向に沿った軸を中心にして、被検体の周囲を旋回する。
【0020】
X線管移動部21は、図2に示すように、X線コントローラ25からの制御信号CTL252に基づいて、X線管20の放射中心を、走査ガントリ2における撮影空間29内の被検体の体軸方向zに移動させる。
【0021】
コリメータ22は、図2に示すように、X線管20とX線検出器23との間に配置されている。コリメータ22は、たとえば、チャネル方向iと列方向jとにそれぞれ2枚ずつ設けられた板により構成されている。コリメータ22は、コリメータコントローラ26からの制御信号CTL261に基づいて、各方向に設けられた2枚の板を独立して移動させ、X線管20から照射されたX線をそれぞれの方向において遮ってコーン状に成形し、X線の照射範囲を調整する。
【0022】
X線検出器23は、X線管20から照射され被検体を透過するX線を検出し、被検体の投影データを生成する。X線検出器23は、X線管20と共に、回転部27によって被検体の周囲を回転する。そして、被検体の周囲から照射され、被検体を透過するX線を検出して投影データを生成する。
【0023】
図2に示すように、X線検出器23は、複数のチャネルを備えるように、複数の検出素子23aからなる。X線検出器23は、たとえば、回転部27によってX線管20が被検体の体軸方向zを中心にして、被検体の周囲を回転する回転方向に沿ったチャネル方向iと、X線管20が回転部27によって回転する際に中心軸となる回転軸方向に沿った列方向jとに検出素子23aがアレイ状に2次元的に配列されている。X線検出器23は、2次元的に配列された複数の検出素子23aによって、円筒な凹面状に湾曲した面を形成している。
【0024】
X線検出器23を構成する検出素子23aは、たとえば、固体検出器として構成されており、X線を光に変換するシンチレータ(図示なし)と、シンチレータが変換した光を電荷に変換するフォトダイオード(図示なし)とを有する。なお、検出素子23aは、これに限定されるものではなく、たとえば、カドミウム・テルル(CdTe)等を利用した半導体検出素子、あるいはキセノン(Xe)ガスを利用した電離箱型の検出素子23aであって良い。
【0025】
データ収集部24は、X線検出器23からの投影データを収集するために設けられている。データ収集部24は、X線検出器23のそれぞれの検出素子23aが検出した投影データを収集して、操作コンソール3に出力する。図2に示すように、データ収集部24は、選択・加算切換回路(MUX,ADD)241とアナログ−デジタル変換器(ADC)242とを有する。選択・加算切換回路241は、X線検出器23の検出素子23aによる投影データを、情報処理装置30からの制御信号CTL303に応じて選択し、あるいは組み合わせを変えて足し合わせ、その結果をアナログ−デジタル変換器242に出力する。アナログ−デジタル変換器242は、選択・加算切換回路241において選択あるいは任意の組み合わせで足し合わされた投影データをアナログ信号からデジタル信号に変換して情報処理装置30に出力する。
【0026】
X線コントローラ25は、図2に示すように、情報処理装置30からの制御信号CTL301に応じて、X線管20に制御信号CTL251を出力し、X線の照射を制御する。X線コントローラ25は、たとえば、X線管20の管電流や照射時間などを制御する。また、X線コントローラ25は、情報処理装置30による制御信号CTL301に応じて、X線管移動部221に対し制御信号CTL252を出力し、X線管20の放射中心を体軸方向zに移動するように制御する。
【0027】
コリメータコントローラ26は、図2に示すように、情報処理装置30からの制御信号CTL302に応じてコリメータ22に制御信号CTL261を出力し、X線管20から放射されたX線を成形するようにコリメータ22を制御する。
【0028】
回転部27は、図1に示すように、円筒形状であり、内部に撮影空間29が形成されている。回転部27は、ガントリコントローラ28からの制御信号CTL28に応じて、たとえば、モーター(図示なし)を駆動し、撮影空間29内における被検体の体軸方向zを中心に回転する。回転部27には、X線管20とX線管移動部21とコリメータ22とX線検出器23とデータ収集部24とX線コントローラ25とコリメータコントローラ26とが搭載されている。回転部27は、各部が被検体の周囲を回転するように移動させ、撮影空間29に搬入される被検体と各部との位置関係を回転方向にて相対的に変化させる。回転部27が回転することによって、被検体の周囲から複数のビュー方向ごとにX線管20がX線を被検体に照射することが可能になり、被検体を透過したX線をX線検出器23がそれぞれのビュー方向ごとに検出することが可能になる。
【0029】
ガントリコントローラ28は、図1および図2に示すように、操作コンソール3の情報処理装置30による制御信号CTL304に基づいて、回転部27に制御信号CTL28を出力し、回転部27を回転するように制御する。
【0030】
操作コンソール3について説明する。
【0031】
操作コンソール3は、図1に示すように、情報処理装置30と、画像ノイズシミュレーション装置32と、入力装置41と、表示装置51と、記憶装置61とを有する。各部について、順次、説明する。
【0032】
操作コンソール3における情報処理装置30は、オペレータにより入力装置41に入力される指令に基づいて、種々の処理を実施する。情報処理装置30は、コンピュータと、このコンピュータを種々の手段として機能させるプログラムとを含む。
【0033】
図4は、情報処理装置30の構成を示すブロック図である。
【0034】
情報処理装置30は、図4に示すように、制御部301とスキャン画像生成部302とスキャン条件設定部303とを有する。各部は、コンピュータを種々の手段として機能させるプログラムを含む。
【0035】
制御部301は、X線CT装置1の各部を制御するために設けられている。たとえば、制御部301は、スキャン条件設定部303により設定されたスキャン条件に基づいて、制御信号CTL30aを各部に出力し、スキャンを実行させる。具体的には、制御部301は、被検体搬送部4に制御信号CTL30bを出力し、被検体搬送部4に被検体を撮影空間29へ搬送させて移動させる。そして、制御部301は、ガントリコントローラ28に制御信号CTL304を出力して、走査ガントリ2の回転部27を回転させる。そして、制御部301は、X線管20からX線の照射するように、制御信号CTL301をX線コントローラ25に出力する。そして、制御部301は、制御信号CTL302をコリメータコントローラ26に出力し、コリメータ22を制御してX線を成形する。また、制御部301は、制御信号CTL303をデータ収集部24に出力し、X線検出器23の検出素子23aが得る投影データを収集するように制御する。
【0036】
スキャン画像生成部302は、前述の走査ガントリ2のデータ収集部24が収集した投影データに基づいて、被検体の断層面の画像を計算により再構成する。具体的には、スキャン画像生成部302は、投影データに対して、感度補正、ビームハードニング補正などの前処理を実施後、フィルタ処理逆投影法などの画像再構成法によって画像再構成を行い、被検体の断層面の画像を生成する。ここでは、回転部27により回転されるX線管20から照射され、被検体を透過したX線により得られる被検体の投影データに基づいて、被検体の断層面についての画像を生成する。
【0037】
スキャン条件設定部303は、スキャン条件についてオペレータにより入力された指令に基づいて、被検体をスキャンするスキャン条件を設定する。本実施形態においては、スキャン条件設定部303は、オペレータにより入力装置41に入力された指令に基づいて、画像をシミュレーションするためのシミュレーションスキャン条件を設定する。具体的には、スキャン条件設定部303は、スキャン条件として、X線管21に供給する管電流値や、被検体を撮像する際のスライス厚などの条件を設定する。そして、オペレータによりスキャンを実施する指令を受けた際には、その設定したスキャン条件についての指令を制御部301に出力し、スキャンを実施させる。
【0038】
操作コンソール3における画像シミュレーション装置32は、スキャン条件設定部303によって設定されたシミュレーションスキャン条件に基づいてスキャンされ生成される被検体の断層面の画像をシミュレートする。画像シミュレーション装置32は、コンピュータと、このコンピュータを種々の手段として機能させるプログラムとを含むように構成されている。なお、詳細は後述するが、画像シミュレート装置32は、被検体の断層についてのサンプル画像を用いて、そのサンプル画像が生成された際のサンプルスキャン条件と異なるシミュレーションスキャン条件にて生成される画像をシミュレートする。
【0039】
図5は、画像シミュレーション装置32の構成を示すブロック図である。
【0040】
画像シミュレーション装置32は、図5に示すように、サンプル画像記憶部321と、再投影処理部322と、ノイズ推定部323と、シミュレーション画像生成部324とを有する。各部について、順次、説明する。
【0041】
サンプル画像記憶部321は、メモリを含み、スキャン条件設定部303により設定されたシミュレーションスキャン条件と異なるサンプルスキャン条件に基づいてスキャンされて得られた被検体の断層面についてのサンプル画像を記憶する。ここでは、サンプル画像記憶部321は、サンプル画像が生成された際のサンプルスキャン条件に関連付けてサンプル画像を記憶する。たとえば、サンプル画像記憶部321は、シミュレーションスキャン条件として設定された管電流値と異なる管電流値のサンプルスキャン条件にて得られた投影データに基づいて、スキャン画像生成部302が生成した画像を、サンプル画像として記憶すると共に、そのサンプル画像に対応するサンプルスキャン条件を記憶する。また、たとえば、サンプル画像記憶部321は、他のX線CT装置により生成された被検体の断層面についての画像を、サンプル画像として記憶する。このように、サンプル画像記憶部321は、事前に生成された被検体の断層面についての画像を、サンプル画像として記憶する。
【0042】
再投影処理部322は、サンプル画像記憶部321により記憶されたサンプル画像に対して再投影処理を実施することにより、サンプル画像の再投影データを生成する。具体的には、再投影処理部322は、サンプルスキャン条件による投影データに基づいて生成されたサンプル画像の周囲から、そのサンプル画像の断層面に沿うように、複数方向から投影する再投影処理を実施し、再投影データを生成する。なお、再投影処理部322は、コンピュータに当該機能を実施させるプログラムを含むように構成されている。
【0043】
ノイズ推定部323は、再投影処理部322により生成された再投影データにおいてシミュレーションスキャン条件に対応して含まれるノイズを推定することによりノイズ推定データを生成する。ここでは、サンプル画像記憶部321によりサンプル画像に対応して記憶されているサンプルスキャン条件と、スキャン条件設定部303により設定されたシミュレーションスキャン条件とに基づいて、ノイズ推定データを生成する。具体的には、ノイズ推定部323は、サンプルスキャン条件において発生する第1ノイズデータと、シミュレーションスキャン条件において発生する第2ノイズデータとを、スキャン条件とノイズとの関係に基づいて算出する。ここでは、ノイズ推定部323は、スキャン条件と、校正チャネルのノイズとの関係をルックアップテーブルとしてメモリに記憶しており、このルックアップテーブルを用いて、第1ノイズデータと第2ノイズデータとを算出する。また、ノイズ推定部323は、再投影処理部322により生成された再投影データをハイパスフィルタ処理することによって、その再投影データにおけるノイズ成分を抽出しノイズ抽出データを生成する。その後、ノイズ推定部323は、第2ノイズデータを第1ノイズデータで除算し生成された除算データと、ノイズ抽出データとを積算することによって、ノイズ推定データを生成する。
【0044】
シミュレーション画像生成部324は、再投影処理部322により生成された再投影データと、ノイズ推定部323により生成されたノイズ推定データとに基づいて、シミュレーションスキャン条件に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を生成する。具体的には、シミュレーション画像生成部324は、再投影処理部322により生成された再投影データをローパスフィルタ処理することによって、その再投影データからノイズ成分が除去されたノイズ除去データを生成する。その後、その生成したノイズ除去データに、ノイズ推定部323により生成されたノイズ推定データを加算してノイズ加算データを生成する。そして、シミュレーション画像生成部324は、その生成したノイズ加算データに基づいて、シミュレーションスキャン条件にて得られる画像としてシミュレートされたシミュレーション画像を生成する。たとえば、逆投影法により、ノイズ加算データからシミュレーション画像を生成する。
【0045】
操作コンソール3の入力装置41は、たとえば、キーボードやマウスなどにより構成されている。入力装置41は、オペレータの入力操作に基づいて、スキャン条件や被検体の情報などの各種情報を情報処理装置30に入力する。
【0046】
操作コンソール3の表示装置51は、たとえば、CRTを含み、情報処理装置30からの指令に基づき、表示面に画像を表示する。たとえば、表示装置51は、スキャン画像生成部302が再構成した被検体の断層面の画像を画面に表示する。また、表示装置51は、画像ノイズシミュレーション装置32のシミュレーション画像生成部324により生成されたシミュレーション画像を表示する。
【0047】
操作コンソール3の記憶装置61は、メモリにより構成されており、プログラムなどのデータを記憶する。記憶装置61は、その記憶されたデータが必要に応じて情報処理装置30にアクセスされる。
【0048】
被検体搬送部4について説明する。
【0049】
被検体搬送部4は、撮影空間29の内部と外部との間で被検体を搬送する。被検体搬送部4は、被検体が載置される載置面が形成されているテーブルを含み、その載置面で被検体を支持する。被検体は、たとえば、仰向けになるようにテーブルに寝かされて、被検体搬送部4のテーブルに支持される。そして、被検体搬送部4は、テーブル移動部(図示なし)によって、載置面に載置される被検体の体軸方向zに沿った水平方向Hと、水平面に対して垂直な鉛直方向Vとにテーブルを移動し、撮影空間29の内部に被検体を搬入する。そして、被検体搬送部4は、スキャン条件に応じて撮影空間29内でテーブルを移動することにより、被検体がスキャンされる撮影領域の位置を移動させる。
【0050】
なお、上記の本実施形態において、X線CT装置1は、本発明の放射線断層撮影装置に相当する。また、本実施形態の画像シミュレーション装置32は、本発明の画像シミュレーション装置および画像シミュレート部に相当する。また、本実施形態の表示装置51は、本発明の表示部に相当する。また、本実施形態のサンプルスキャン条件は、本発明の第1スキャン条件に相当する。また、本実施形態のシミュレーションスキャン条件は、本発明の第2スキャン条件に相当する。また、本実施形態の再投影処理部322は、本発明の再投影処理部に相当する。また、本実施形態のノイズ推定部323は、本発明のノイズ推定部に相当する。また、本実施形態のシミュレーション画像生成部324は、本発明のシミュレーション画像生成部に相当する。
【0051】
本実施形態のX線CT装置1における動作について説明する。
【0052】
図6は、本実施形態のX線CT装置1において、シミュレーションスキャン条件に基づいて生成される被検体の断層面についての画像をシミュレートする動作を示すフロー図である。
【0053】
画像のノイズをシミュレートする際においては、図6に示すように、まず、ノイズをシミュレーションするためのシミュレーションスキャン条件S2を設定する(S11)。
【0054】
ここでは、オペレータにより入力装置41に入力された指令に基づいて、スキャン条件設定部303が、シミュレーションスキャン条件S2を設定する。具体的には、シミュレーションスキャン条件S2として、X線管21に供給する管電流値や、被検体を撮像する際のスライス厚、スキャンタイムなどの条件を設定する。
【0055】
つぎに、サンプル画像Saについての再投影データR1を生成する(S21)。
【0056】
ここでは、オペレータにより入力装置41に入力された指令に基づいて、サンプル画像記憶部321が記憶しているサンプル画像Saについての画像データを、再投影処理部322が取得する。その後、サンプル画像記憶部321により記憶されたサンプル画像Saに対して再投影処理部322が再投影処理を実施することにより、サンプル画像の再投影データを生成する。
【0057】
図7は、再投影処理を説明するための図であり、図7において、図7(a)は、サンプル画像Saから再投影データR1を生成する再投影処理を示す図であり、一方、図7(b)は、再投影処理により取得される再投影データR1を示す図である。
【0058】
再投影処理を実施する際においては、図7(a)において矢印で示すように、サンプル画像Saの周囲からサンプル画像Saの断層面に沿うように再投影処理部322がサンプル画像Saを投影する。そして、図7(b)に示すように、チャネルCHに対応するカウント値Countとして示される再投影データR1を、再投影処理部322が取得する。なお、再投影データR1は、各ビューに応じて取得される。
【0059】
つぎに、再投影データR1において、シミュレーションスキャン条件S2に対応して含まれるノイズを推定し、ノイズ推定データNSを生成する。(S31)。
【0060】
ここでは、再投影処理部322により生成された再投影データR1においてシミュレーションスキャン条件S2に対応して含まれるノイズを、ノイズ推定部323が推定し、ノイズ推定データNSを生成する。ノイズ推定部323は、サンプル画像記憶部321によりサンプル画像Saに対応して記憶されているサンプルスキャン条件S1と、スキャン条件設定部303により設定されたシミュレーションスキャン条件S2とに基づいて、ノイズ推定データNSを生成する。
【0061】
図8と図9とは、ノイズ推定データNSを生成する動作を説明するための図である。図8は、ノイズ推定データNSを生成する動作のフロー図であり、一方、図9は、本ステップにて生成されるノイズ抽出データNEとノイズ推定データNSとを示す図であり、図9(a)がノイズ抽出データNEを示し、図9(b)がノイズ推定データNSを示す。
【0062】
まず、図8に示すように、サンプルスキャン条件S1において発生する第1ノイズデータN1と、シミュレーションスキャン条件S2において発生する第2ノイズデータN2とを算出する(S311)。
【0063】
ここでは、サンプルスキャン条件S1において発生する第1ノイズデータN1と、シミュレーションスキャン条件S2において発生する第2ノイズデータN2とを、スキャン条件とノイズとの関係に基づいて、ノイズ推定部323が算出する。具体的には、ノイズ推定部323は、サンプル画像記憶部321が記憶しているサンプル画像Saについてのサンプルスキャン条件S1についてのデータを取得した後、校正チャネルのノイズとスキャン条件との関係を示すルックアップテーブルを用いて、そのサンプルスキャン条件S1における校正チャネルについての第1ノイズデータN1を算出する。また、これと同様に、シミュレーションスキャン条件S2についてのデータを取得した後、ルックアップテーブルを用いて、そのシミュレーションスキャン条件における校正チャネルについての第2ノイズデータN2を算出する。
【0064】
つぎに、再投影データR1のノイズ成分を抽出してノイズ抽出データNEを生成する(S312)。
【0065】
ここでは、再投影処理部322により生成された再投影データR1をノイズ推定部323が取得する。その後、ノイズ推定部323は、その再投影データR1をハイパスフィルタ処理することによって、再投影データR1におけるノイズ成分を抽出し、図9(a)に示すようなノイズ抽出データNEを生成する。
【0066】
つぎに、第2ノイズデータN2を第1ノイズデータN1で除算した除算データDと、ノイズ抽出データNEとを積算し、ノイズ推定データNSを生成する(S313)。
【0067】
ここでは、ノイズ推定部323が第2ノイズデータN2を第1ノイズデータN1で除算して除算データDを生成する。その後、図9(b)に示すように、ノイズ推定部323は、その除算データDとノイズ抽出データNEとを積算することによって、ノイズ推定データNSを生成する。
【0068】
つぎに、図6に示すように、再投影データR1とノイズ推定データNSとに基づいて、シミュレーション画像SIを生成する(S41)。
【0069】
ここでは、シミュレーション画像生成部324が、再投影処理部322により生成された再投影データR1と、ノイズ推定部323により生成されたノイズ推定データNSとに基づいて、シミュレーションスキャン条件S2に対応してシミュレートされるシミュレーション画像SIを生成する。
【0070】
図10と図11とは、シミュレーション画像SIを生成する動作を説明するための図である。図10は、シミュレーション画像SIを生成する動作のフロー図であり、一方、図11は、本ステップにて生成されるノイズ除去データNDとノイズ加算データNAとを示す図であり、図11(a)がノイズ除去データNDを示し、図11(b)がノイズ加算データNAを示す。
【0071】
図10に示すように、シミュレーション画像SIを生成する際においては、まず、再投影データR1からノイズ成分が除去されたノイズ除去データNDを生成する(S411)。
【0072】
ここでは、再投影処理部322により生成された再投影データR1をシミュレーション画像生成部324が取得し、その再投影データR1に対してローパスフィルタ処理することによって、再投影データR1からノイズ成分が除去されたノイズ除去データNDを図11(a)のように生成する。
【0073】
つぎに、ノイズ除去データNDに、ノイズ推定データNSを加算してノイズ加算データNAを生成する(S412)。
【0074】
ここでは、ノイズ推定部323により生成されたノイズ推定データNSをシミュレーション画像生成部324が取得後、前述のようにして生成したノイズ除去データNDに、このノイズ推定データNSを加算し、ノイズ加算データNAを生成する。
【0075】
つぎに、ノイズ加算データNAに基づいて、シミュレーション画像SIを生成する(S413)。
【0076】
ここでは、シミュレーション画像生成部324が、前述のようにして生成したノイズ加算データNAに基づいて、シミュレーションスキャン条件にて得られる画像としてシミュレートされたシミュレーション画像を、たとえば、フィルタ処理逆投影法により再構成し生成する。
【0077】
つぎに、図6に示すように、シミュレーション画像を表示する(S51)。
【0078】
ここでは、シミュレーション画像生成部324により生成されたシミュレーション画像を表示装置51が表示面に表示する。
【0079】
つぎに、シミュレーション画像が所望な画像品質か否かを判定する(S61)。
【0080】
ここでは、オペレータが表示装置51に表示されているシミュレーション画像を観察することにより判定する。
【0081】
シミュレーション画像が所望な画像品質でない場合には、図6に示すように、再度、上記のシミュレーションを実行させる条件をオペレータが入力し、その入力に基づいてシミュレーションスキャン条件を設定する(S11)。そして、上記動作を順次実行する。
【0082】
一方、シミュレーション画像が所望な画像品質である場合には、このシミュレーション画像に対応するシミュレーションスキャン条件を本スキャン条件として決定する。そして、この決定された条件に基づいて、本スキャンを実行する。
【0083】
以上のように、本実施形態においては、シミュレーションスキャン条件S2にて得られる画像を、シミュレーションスキャン条件S2と異なるサンプルスキャン条件S1で生成された被検体の断層についてのサンプル画像Saを用いて、画像シミュレーション装置32がシミュレートする。ここで、画像シミュレーション装置32においては、再投影処理部322がサンプル画像Saを再投影処理することにより再投影データR1を生成する。その後、その再投影データR1においてシミュレーションスキャン条件S2に対応して含まれるノイズを、ノイズ推定部323が、サンプルスキャン条件S1とシミュレーションスキャン条件S2とに基づいて推定し、ノイズ推定データNSを生成する。そして、シミュレーションスキャン条件S2に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を、シミュレーション画像生成部324が、再投影データR1とノイズ推定データNSとに基づいて生成する。このように、本実施形態は、ノイズを推定する際に、事前に被検体をスキャンされ得られたサンプル画像を用いているため、チャネルカウントに応じたノイズを正確に推定可能になる。特に、パーフュージョン(Perfusion)などの低被爆化が要求される用途の場合には、事前に取得した画像データを元にドーズ量の最適化が可能になるため、効果的である。また、サンプル画像は保存形式が統一化されているために、ノイズを推定することが簡便になり、最適なスキャン条件を容易に設定することができる。
【0084】
なお、本発明の実施に際しては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形形態を採用することができる。
【0085】
たとえば、上記の実施形態においては、放射線としてX線を用いている例について説明しているが、これに限定されない。たとえば、たとえば、ガンマ線等の放射線を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、本発明にかかる実施形態におけるX線CT装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明にかかる実施形態におけるX線CT装置の要部を示す構成図である。
【図3】図3は、本発明にかかる実施形態のX線CT装置の走査ガントリにおいて、X線管とコリメータとX線検出器との配置関係を示す図である。
【図4】図4は、本発明にかかる実施形態のX線CT装置において、情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明にかかる実施形態のX線CT装置において、画像ミュレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明にかかる実施形態において、シミュレーションスキャン条件に基づいて生成される被検体の断層面についての画像をシミュレートする動作を示すフロー図である。
【図7】図7は、本発明にかかる実施形態において、再投影処理を説明するための図である。
【図8】図8は、本発明にかかる実施形態において、ノイズ推定データを生成する動作のフロー図である。
【図9】図9は、本発明にかかる実施形態において、ノイズ抽出データとノイズ推定データとを示す図である。
【図10】図10は、本発明にかかる実施形態において、シミュレーション画像を生成する動作のフロー図である。
【図11】図11は、本発明にかかる実施形態において、ノイズ除去データとノイズ加算データとを示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1…X線CT装置(放射線断層撮影装置)、
2…走査ガントリ、
3…操作コンソール、
4…被検体搬送部、
20…X線管、
21…X線管移動部、
22…コリメータ、
23…X線検出器、
23a…検出素子、
24…データ収集部、
241…選択・加算切換回路、
242…アナログ−デジタル変換器、
25…X線コントローラ、
26…コリメータコントローラ、
27…回転部、
28…ガントリコントローラ、
29…撮影空間、
30…情報処理装置、
31…画像シミュレーション装置(画像シミュレーション装置)、
41…入力装置、
51…表示装置(表示部)、
61…記憶装置、
301…制御部、
302…スキャン画像生成部、
303…スキャン条件設定部、
321…サンプル画像記憶部、
322…再投影処理部(再投影処理部)、
323…ノイズ推定部(ノイズ推定部)、
324…シミュレーション画像生成部(シミュレーション画像生成部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線断層撮影装置、放射線断層画像シミュレーション方法および画像シミュレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT(Computed Tomography)装置などの放射線断層撮影装置は、被検体を放射線でスキャンして得られる投影データに基づいて、被検体の断層面についての画像を再構成により生成する。放射線断層撮影装置は、医療用途や産業用途などの広範な用途で利用されている。たとえば、放射線断層撮影装置は、造影剤を血管に注入することにより、血管部分が高コントラストな画像を得ている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
放射線断層撮影装置を用いて被検体をスキャンする際においては、まず、スキャン条件を設定する。ここでは、画像のノイズが所望なレベルになるように、スキャン条件を設定する(たとえば、特許文献2,特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平09−253079号公報
【特許文献2】特開2001−170037号公報
【特許文献3】特開平11−235334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スキャン条件を設定する際においては、その設定したスキャン条件にて生成される画像のノイズが所望なレベルになるように、ノイズを事前に推定し、そのノイズの推定に基づいて、最適なスキャン条件を決定している。
【0006】
このようにノイズを推定する際には、事前に被検体をスキャンすることによって得られたローデータを用いている。このため、画像に水ファントムで取った一定のノイズを付加したのでは、構造物の状況による低カウント値のノイズが正確に推定できない場合があり、最適なスキャン条件を設定することが困難な場合があった。また、放射線断層撮影装置に応じてローデータの保存形式が異なる場合があるために、ノイズを推定することが困難になり、最適なスキャン条件を設定することが困難な場合があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、画像のノイズを正確に推定可能であり、最適なスキャン条件を設定することが容易な放射線断層撮影装置,放射線断層画像シミュレーション方法、画像シミュレーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の放射線断層撮影装置は、放射線で被検体をスキャンすることにより前記被検体の断層面についての画像を生成する放射線断層撮影装置であって、第1スキャン条件に基づいて放射線でスキャンされ生成された被検体の断層面についてのサンプル画像を用いて、前記第1スキャン条件と異なる第2スキャン条件に基づいてスキャンされ生成される画像をシミュレートする画像シミュレート部を備え、前記画像シミュレート部は、前記サンプル画像を再投影処理することにより再投影データを生成する再投影処理部と、前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件とに基づいて、前記再投影データにおいて前記第2スキャン条件に対応して含まれるノイズを推定することによりノイズ推定データを生成するノイズ推定部と、前記再投影データと前記ノイズ推定データとに基づいて、前記第2スキャン条件に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を生成するシミュレーション画像生成部とを有する。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の放射線画像シミュレーション方法は、第1スキャン条件に基づいて放射線でスキャンされ生成された被検体の断層面についてのサンプル画像を用いて、前記第1スキャン条件と異なる第2スキャン条件に基づいてスキャンされ生成される画像をシミュレートする放射線画像シミュレーション方法であって、前記サンプル画像を再投影処理することにより再投影データを生成する第1ステップと、前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件とに基づいて、前記再投影データにおいて前記第2スキャン条件に対応して含まれるノイズを推定することによりノイズ推定データを生成する第2ステップと、前記再投影データと前記ノイズ推定データとに基づいて、前記第2スキャン条件に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を生成する第3ステップとを有する。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の画像シミュレーション装置は、第1スキャン条件に基づいてスキャンされ生成された被検体の断層面についてのサンプル画像を用いて、前記第1スキャン条件と異なる第2スキャン条件に基づいてスキャンされ生成される画像をシミュレートする画像シミュレーション装置であって、前記サンプル画像を再投影処理することにより再投影データを生成する再投影処理部と、前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件とに基づいて、前記再投影データにおいて前記第2スキャン条件に対応して含まれるノイズを推定することによりノイズ推定データを生成するノイズ推定部と、前記再投影データと前記ノイズ推定データとに基づいて、前記第2スキャン条件に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を生成するシミュレーション画像生成部とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像のノイズを正確に推定可能であり、最適なスキャン条件を設定することが容易な放射線断層撮影装置,放射線断層撮影方法、画像ノイズシミュレーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明にかかる実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明にかかる実施形態のX線CT装置1についての全体構成を示すブロック図であり、図2は、本実施形態のX線CT装置1における要部を示す構成図である。
【0014】
図1に示すように、X線CT装置1は、走査ガントリ2と、操作コンソール3と、被検体搬送部4とを有し、スキャン条件に基づいて被検体をX線でスキャンすることによって得られた被検体の投影データを用いて、被検体の断層面についての画像を再構成し生成する。
【0015】
走査ガントリ2について説明する。
【0016】
走査ガントリ2は、操作コンソール3からの制御信号CTL30aに基づいて、被検体搬送部4により撮影空間29に移動された被検体をX線でスキャンして、その被検体の投影データを得る。走査ガントリ2は、図1に示すように、X線管20とX線管移動部21とコリメータ22とX線検出器23とデータ収集部24とX線コントローラ25とコリメータコントローラ26と回転部27とガントリコントローラ28とを有する。
【0017】
図3は、走査ガントリ2において、X線管20とコリメータ22とX線検出器23との配置関係を示す図である。
【0018】
図3に示すように、走査ガントリ2においては、被検体が搬入される撮影空間29を挟むように、X線管20とX線検出器23とが配置されている。そして、コリメータ22が、X線管20からのX線を成形するように配置されている。そして、走査ガントリ2は、被検体の体軸方向zを中心にして、X線管20とコリメータ22とX線検出器23とを被検体の周囲で旋回させる。これにより、被検体の周囲における複数のビュー方向からX線管20がX線を照射し、X線管20から被検体を透過するX線をX線検出器23が検出して、投影データを生成する。走査ガントリ2の各部について、順次、説明する。
【0019】
X線管20は、たとえば、回転陽極型であり、X線を被検体に照射する。X線管20は、図2に示すように、X線コントローラ25からの制御信号CTL251に基づいて、所定強度のX線を被検体の撮影領域にコリメータ22を介して照射する。X線管20から放射されたX線は、コリメータ22によって、たとえば、コーン状に成形され、X線検出器23に照射される。そして、X線管20は、被検体の周囲のビュー方向からX線を被検体に照射するために、被検体の体軸方向zを中心に回転部27によって被検体の周囲を回転移動する。つまり、X線管20は、被検体搬送部4が被検体を撮影空間29に移動する方向に沿った軸を中心にして、被検体の周囲を旋回する。
【0020】
X線管移動部21は、図2に示すように、X線コントローラ25からの制御信号CTL252に基づいて、X線管20の放射中心を、走査ガントリ2における撮影空間29内の被検体の体軸方向zに移動させる。
【0021】
コリメータ22は、図2に示すように、X線管20とX線検出器23との間に配置されている。コリメータ22は、たとえば、チャネル方向iと列方向jとにそれぞれ2枚ずつ設けられた板により構成されている。コリメータ22は、コリメータコントローラ26からの制御信号CTL261に基づいて、各方向に設けられた2枚の板を独立して移動させ、X線管20から照射されたX線をそれぞれの方向において遮ってコーン状に成形し、X線の照射範囲を調整する。
【0022】
X線検出器23は、X線管20から照射され被検体を透過するX線を検出し、被検体の投影データを生成する。X線検出器23は、X線管20と共に、回転部27によって被検体の周囲を回転する。そして、被検体の周囲から照射され、被検体を透過するX線を検出して投影データを生成する。
【0023】
図2に示すように、X線検出器23は、複数のチャネルを備えるように、複数の検出素子23aからなる。X線検出器23は、たとえば、回転部27によってX線管20が被検体の体軸方向zを中心にして、被検体の周囲を回転する回転方向に沿ったチャネル方向iと、X線管20が回転部27によって回転する際に中心軸となる回転軸方向に沿った列方向jとに検出素子23aがアレイ状に2次元的に配列されている。X線検出器23は、2次元的に配列された複数の検出素子23aによって、円筒な凹面状に湾曲した面を形成している。
【0024】
X線検出器23を構成する検出素子23aは、たとえば、固体検出器として構成されており、X線を光に変換するシンチレータ(図示なし)と、シンチレータが変換した光を電荷に変換するフォトダイオード(図示なし)とを有する。なお、検出素子23aは、これに限定されるものではなく、たとえば、カドミウム・テルル(CdTe)等を利用した半導体検出素子、あるいはキセノン(Xe)ガスを利用した電離箱型の検出素子23aであって良い。
【0025】
データ収集部24は、X線検出器23からの投影データを収集するために設けられている。データ収集部24は、X線検出器23のそれぞれの検出素子23aが検出した投影データを収集して、操作コンソール3に出力する。図2に示すように、データ収集部24は、選択・加算切換回路(MUX,ADD)241とアナログ−デジタル変換器(ADC)242とを有する。選択・加算切換回路241は、X線検出器23の検出素子23aによる投影データを、情報処理装置30からの制御信号CTL303に応じて選択し、あるいは組み合わせを変えて足し合わせ、その結果をアナログ−デジタル変換器242に出力する。アナログ−デジタル変換器242は、選択・加算切換回路241において選択あるいは任意の組み合わせで足し合わされた投影データをアナログ信号からデジタル信号に変換して情報処理装置30に出力する。
【0026】
X線コントローラ25は、図2に示すように、情報処理装置30からの制御信号CTL301に応じて、X線管20に制御信号CTL251を出力し、X線の照射を制御する。X線コントローラ25は、たとえば、X線管20の管電流や照射時間などを制御する。また、X線コントローラ25は、情報処理装置30による制御信号CTL301に応じて、X線管移動部221に対し制御信号CTL252を出力し、X線管20の放射中心を体軸方向zに移動するように制御する。
【0027】
コリメータコントローラ26は、図2に示すように、情報処理装置30からの制御信号CTL302に応じてコリメータ22に制御信号CTL261を出力し、X線管20から放射されたX線を成形するようにコリメータ22を制御する。
【0028】
回転部27は、図1に示すように、円筒形状であり、内部に撮影空間29が形成されている。回転部27は、ガントリコントローラ28からの制御信号CTL28に応じて、たとえば、モーター(図示なし)を駆動し、撮影空間29内における被検体の体軸方向zを中心に回転する。回転部27には、X線管20とX線管移動部21とコリメータ22とX線検出器23とデータ収集部24とX線コントローラ25とコリメータコントローラ26とが搭載されている。回転部27は、各部が被検体の周囲を回転するように移動させ、撮影空間29に搬入される被検体と各部との位置関係を回転方向にて相対的に変化させる。回転部27が回転することによって、被検体の周囲から複数のビュー方向ごとにX線管20がX線を被検体に照射することが可能になり、被検体を透過したX線をX線検出器23がそれぞれのビュー方向ごとに検出することが可能になる。
【0029】
ガントリコントローラ28は、図1および図2に示すように、操作コンソール3の情報処理装置30による制御信号CTL304に基づいて、回転部27に制御信号CTL28を出力し、回転部27を回転するように制御する。
【0030】
操作コンソール3について説明する。
【0031】
操作コンソール3は、図1に示すように、情報処理装置30と、画像ノイズシミュレーション装置32と、入力装置41と、表示装置51と、記憶装置61とを有する。各部について、順次、説明する。
【0032】
操作コンソール3における情報処理装置30は、オペレータにより入力装置41に入力される指令に基づいて、種々の処理を実施する。情報処理装置30は、コンピュータと、このコンピュータを種々の手段として機能させるプログラムとを含む。
【0033】
図4は、情報処理装置30の構成を示すブロック図である。
【0034】
情報処理装置30は、図4に示すように、制御部301とスキャン画像生成部302とスキャン条件設定部303とを有する。各部は、コンピュータを種々の手段として機能させるプログラムを含む。
【0035】
制御部301は、X線CT装置1の各部を制御するために設けられている。たとえば、制御部301は、スキャン条件設定部303により設定されたスキャン条件に基づいて、制御信号CTL30aを各部に出力し、スキャンを実行させる。具体的には、制御部301は、被検体搬送部4に制御信号CTL30bを出力し、被検体搬送部4に被検体を撮影空間29へ搬送させて移動させる。そして、制御部301は、ガントリコントローラ28に制御信号CTL304を出力して、走査ガントリ2の回転部27を回転させる。そして、制御部301は、X線管20からX線の照射するように、制御信号CTL301をX線コントローラ25に出力する。そして、制御部301は、制御信号CTL302をコリメータコントローラ26に出力し、コリメータ22を制御してX線を成形する。また、制御部301は、制御信号CTL303をデータ収集部24に出力し、X線検出器23の検出素子23aが得る投影データを収集するように制御する。
【0036】
スキャン画像生成部302は、前述の走査ガントリ2のデータ収集部24が収集した投影データに基づいて、被検体の断層面の画像を計算により再構成する。具体的には、スキャン画像生成部302は、投影データに対して、感度補正、ビームハードニング補正などの前処理を実施後、フィルタ処理逆投影法などの画像再構成法によって画像再構成を行い、被検体の断層面の画像を生成する。ここでは、回転部27により回転されるX線管20から照射され、被検体を透過したX線により得られる被検体の投影データに基づいて、被検体の断層面についての画像を生成する。
【0037】
スキャン条件設定部303は、スキャン条件についてオペレータにより入力された指令に基づいて、被検体をスキャンするスキャン条件を設定する。本実施形態においては、スキャン条件設定部303は、オペレータにより入力装置41に入力された指令に基づいて、画像をシミュレーションするためのシミュレーションスキャン条件を設定する。具体的には、スキャン条件設定部303は、スキャン条件として、X線管21に供給する管電流値や、被検体を撮像する際のスライス厚などの条件を設定する。そして、オペレータによりスキャンを実施する指令を受けた際には、その設定したスキャン条件についての指令を制御部301に出力し、スキャンを実施させる。
【0038】
操作コンソール3における画像シミュレーション装置32は、スキャン条件設定部303によって設定されたシミュレーションスキャン条件に基づいてスキャンされ生成される被検体の断層面の画像をシミュレートする。画像シミュレーション装置32は、コンピュータと、このコンピュータを種々の手段として機能させるプログラムとを含むように構成されている。なお、詳細は後述するが、画像シミュレート装置32は、被検体の断層についてのサンプル画像を用いて、そのサンプル画像が生成された際のサンプルスキャン条件と異なるシミュレーションスキャン条件にて生成される画像をシミュレートする。
【0039】
図5は、画像シミュレーション装置32の構成を示すブロック図である。
【0040】
画像シミュレーション装置32は、図5に示すように、サンプル画像記憶部321と、再投影処理部322と、ノイズ推定部323と、シミュレーション画像生成部324とを有する。各部について、順次、説明する。
【0041】
サンプル画像記憶部321は、メモリを含み、スキャン条件設定部303により設定されたシミュレーションスキャン条件と異なるサンプルスキャン条件に基づいてスキャンされて得られた被検体の断層面についてのサンプル画像を記憶する。ここでは、サンプル画像記憶部321は、サンプル画像が生成された際のサンプルスキャン条件に関連付けてサンプル画像を記憶する。たとえば、サンプル画像記憶部321は、シミュレーションスキャン条件として設定された管電流値と異なる管電流値のサンプルスキャン条件にて得られた投影データに基づいて、スキャン画像生成部302が生成した画像を、サンプル画像として記憶すると共に、そのサンプル画像に対応するサンプルスキャン条件を記憶する。また、たとえば、サンプル画像記憶部321は、他のX線CT装置により生成された被検体の断層面についての画像を、サンプル画像として記憶する。このように、サンプル画像記憶部321は、事前に生成された被検体の断層面についての画像を、サンプル画像として記憶する。
【0042】
再投影処理部322は、サンプル画像記憶部321により記憶されたサンプル画像に対して再投影処理を実施することにより、サンプル画像の再投影データを生成する。具体的には、再投影処理部322は、サンプルスキャン条件による投影データに基づいて生成されたサンプル画像の周囲から、そのサンプル画像の断層面に沿うように、複数方向から投影する再投影処理を実施し、再投影データを生成する。なお、再投影処理部322は、コンピュータに当該機能を実施させるプログラムを含むように構成されている。
【0043】
ノイズ推定部323は、再投影処理部322により生成された再投影データにおいてシミュレーションスキャン条件に対応して含まれるノイズを推定することによりノイズ推定データを生成する。ここでは、サンプル画像記憶部321によりサンプル画像に対応して記憶されているサンプルスキャン条件と、スキャン条件設定部303により設定されたシミュレーションスキャン条件とに基づいて、ノイズ推定データを生成する。具体的には、ノイズ推定部323は、サンプルスキャン条件において発生する第1ノイズデータと、シミュレーションスキャン条件において発生する第2ノイズデータとを、スキャン条件とノイズとの関係に基づいて算出する。ここでは、ノイズ推定部323は、スキャン条件と、校正チャネルのノイズとの関係をルックアップテーブルとしてメモリに記憶しており、このルックアップテーブルを用いて、第1ノイズデータと第2ノイズデータとを算出する。また、ノイズ推定部323は、再投影処理部322により生成された再投影データをハイパスフィルタ処理することによって、その再投影データにおけるノイズ成分を抽出しノイズ抽出データを生成する。その後、ノイズ推定部323は、第2ノイズデータを第1ノイズデータで除算し生成された除算データと、ノイズ抽出データとを積算することによって、ノイズ推定データを生成する。
【0044】
シミュレーション画像生成部324は、再投影処理部322により生成された再投影データと、ノイズ推定部323により生成されたノイズ推定データとに基づいて、シミュレーションスキャン条件に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を生成する。具体的には、シミュレーション画像生成部324は、再投影処理部322により生成された再投影データをローパスフィルタ処理することによって、その再投影データからノイズ成分が除去されたノイズ除去データを生成する。その後、その生成したノイズ除去データに、ノイズ推定部323により生成されたノイズ推定データを加算してノイズ加算データを生成する。そして、シミュレーション画像生成部324は、その生成したノイズ加算データに基づいて、シミュレーションスキャン条件にて得られる画像としてシミュレートされたシミュレーション画像を生成する。たとえば、逆投影法により、ノイズ加算データからシミュレーション画像を生成する。
【0045】
操作コンソール3の入力装置41は、たとえば、キーボードやマウスなどにより構成されている。入力装置41は、オペレータの入力操作に基づいて、スキャン条件や被検体の情報などの各種情報を情報処理装置30に入力する。
【0046】
操作コンソール3の表示装置51は、たとえば、CRTを含み、情報処理装置30からの指令に基づき、表示面に画像を表示する。たとえば、表示装置51は、スキャン画像生成部302が再構成した被検体の断層面の画像を画面に表示する。また、表示装置51は、画像ノイズシミュレーション装置32のシミュレーション画像生成部324により生成されたシミュレーション画像を表示する。
【0047】
操作コンソール3の記憶装置61は、メモリにより構成されており、プログラムなどのデータを記憶する。記憶装置61は、その記憶されたデータが必要に応じて情報処理装置30にアクセスされる。
【0048】
被検体搬送部4について説明する。
【0049】
被検体搬送部4は、撮影空間29の内部と外部との間で被検体を搬送する。被検体搬送部4は、被検体が載置される載置面が形成されているテーブルを含み、その載置面で被検体を支持する。被検体は、たとえば、仰向けになるようにテーブルに寝かされて、被検体搬送部4のテーブルに支持される。そして、被検体搬送部4は、テーブル移動部(図示なし)によって、載置面に載置される被検体の体軸方向zに沿った水平方向Hと、水平面に対して垂直な鉛直方向Vとにテーブルを移動し、撮影空間29の内部に被検体を搬入する。そして、被検体搬送部4は、スキャン条件に応じて撮影空間29内でテーブルを移動することにより、被検体がスキャンされる撮影領域の位置を移動させる。
【0050】
なお、上記の本実施形態において、X線CT装置1は、本発明の放射線断層撮影装置に相当する。また、本実施形態の画像シミュレーション装置32は、本発明の画像シミュレーション装置および画像シミュレート部に相当する。また、本実施形態の表示装置51は、本発明の表示部に相当する。また、本実施形態のサンプルスキャン条件は、本発明の第1スキャン条件に相当する。また、本実施形態のシミュレーションスキャン条件は、本発明の第2スキャン条件に相当する。また、本実施形態の再投影処理部322は、本発明の再投影処理部に相当する。また、本実施形態のノイズ推定部323は、本発明のノイズ推定部に相当する。また、本実施形態のシミュレーション画像生成部324は、本発明のシミュレーション画像生成部に相当する。
【0051】
本実施形態のX線CT装置1における動作について説明する。
【0052】
図6は、本実施形態のX線CT装置1において、シミュレーションスキャン条件に基づいて生成される被検体の断層面についての画像をシミュレートする動作を示すフロー図である。
【0053】
画像のノイズをシミュレートする際においては、図6に示すように、まず、ノイズをシミュレーションするためのシミュレーションスキャン条件S2を設定する(S11)。
【0054】
ここでは、オペレータにより入力装置41に入力された指令に基づいて、スキャン条件設定部303が、シミュレーションスキャン条件S2を設定する。具体的には、シミュレーションスキャン条件S2として、X線管21に供給する管電流値や、被検体を撮像する際のスライス厚、スキャンタイムなどの条件を設定する。
【0055】
つぎに、サンプル画像Saについての再投影データR1を生成する(S21)。
【0056】
ここでは、オペレータにより入力装置41に入力された指令に基づいて、サンプル画像記憶部321が記憶しているサンプル画像Saについての画像データを、再投影処理部322が取得する。その後、サンプル画像記憶部321により記憶されたサンプル画像Saに対して再投影処理部322が再投影処理を実施することにより、サンプル画像の再投影データを生成する。
【0057】
図7は、再投影処理を説明するための図であり、図7において、図7(a)は、サンプル画像Saから再投影データR1を生成する再投影処理を示す図であり、一方、図7(b)は、再投影処理により取得される再投影データR1を示す図である。
【0058】
再投影処理を実施する際においては、図7(a)において矢印で示すように、サンプル画像Saの周囲からサンプル画像Saの断層面に沿うように再投影処理部322がサンプル画像Saを投影する。そして、図7(b)に示すように、チャネルCHに対応するカウント値Countとして示される再投影データR1を、再投影処理部322が取得する。なお、再投影データR1は、各ビューに応じて取得される。
【0059】
つぎに、再投影データR1において、シミュレーションスキャン条件S2に対応して含まれるノイズを推定し、ノイズ推定データNSを生成する。(S31)。
【0060】
ここでは、再投影処理部322により生成された再投影データR1においてシミュレーションスキャン条件S2に対応して含まれるノイズを、ノイズ推定部323が推定し、ノイズ推定データNSを生成する。ノイズ推定部323は、サンプル画像記憶部321によりサンプル画像Saに対応して記憶されているサンプルスキャン条件S1と、スキャン条件設定部303により設定されたシミュレーションスキャン条件S2とに基づいて、ノイズ推定データNSを生成する。
【0061】
図8と図9とは、ノイズ推定データNSを生成する動作を説明するための図である。図8は、ノイズ推定データNSを生成する動作のフロー図であり、一方、図9は、本ステップにて生成されるノイズ抽出データNEとノイズ推定データNSとを示す図であり、図9(a)がノイズ抽出データNEを示し、図9(b)がノイズ推定データNSを示す。
【0062】
まず、図8に示すように、サンプルスキャン条件S1において発生する第1ノイズデータN1と、シミュレーションスキャン条件S2において発生する第2ノイズデータN2とを算出する(S311)。
【0063】
ここでは、サンプルスキャン条件S1において発生する第1ノイズデータN1と、シミュレーションスキャン条件S2において発生する第2ノイズデータN2とを、スキャン条件とノイズとの関係に基づいて、ノイズ推定部323が算出する。具体的には、ノイズ推定部323は、サンプル画像記憶部321が記憶しているサンプル画像Saについてのサンプルスキャン条件S1についてのデータを取得した後、校正チャネルのノイズとスキャン条件との関係を示すルックアップテーブルを用いて、そのサンプルスキャン条件S1における校正チャネルについての第1ノイズデータN1を算出する。また、これと同様に、シミュレーションスキャン条件S2についてのデータを取得した後、ルックアップテーブルを用いて、そのシミュレーションスキャン条件における校正チャネルについての第2ノイズデータN2を算出する。
【0064】
つぎに、再投影データR1のノイズ成分を抽出してノイズ抽出データNEを生成する(S312)。
【0065】
ここでは、再投影処理部322により生成された再投影データR1をノイズ推定部323が取得する。その後、ノイズ推定部323は、その再投影データR1をハイパスフィルタ処理することによって、再投影データR1におけるノイズ成分を抽出し、図9(a)に示すようなノイズ抽出データNEを生成する。
【0066】
つぎに、第2ノイズデータN2を第1ノイズデータN1で除算した除算データDと、ノイズ抽出データNEとを積算し、ノイズ推定データNSを生成する(S313)。
【0067】
ここでは、ノイズ推定部323が第2ノイズデータN2を第1ノイズデータN1で除算して除算データDを生成する。その後、図9(b)に示すように、ノイズ推定部323は、その除算データDとノイズ抽出データNEとを積算することによって、ノイズ推定データNSを生成する。
【0068】
つぎに、図6に示すように、再投影データR1とノイズ推定データNSとに基づいて、シミュレーション画像SIを生成する(S41)。
【0069】
ここでは、シミュレーション画像生成部324が、再投影処理部322により生成された再投影データR1と、ノイズ推定部323により生成されたノイズ推定データNSとに基づいて、シミュレーションスキャン条件S2に対応してシミュレートされるシミュレーション画像SIを生成する。
【0070】
図10と図11とは、シミュレーション画像SIを生成する動作を説明するための図である。図10は、シミュレーション画像SIを生成する動作のフロー図であり、一方、図11は、本ステップにて生成されるノイズ除去データNDとノイズ加算データNAとを示す図であり、図11(a)がノイズ除去データNDを示し、図11(b)がノイズ加算データNAを示す。
【0071】
図10に示すように、シミュレーション画像SIを生成する際においては、まず、再投影データR1からノイズ成分が除去されたノイズ除去データNDを生成する(S411)。
【0072】
ここでは、再投影処理部322により生成された再投影データR1をシミュレーション画像生成部324が取得し、その再投影データR1に対してローパスフィルタ処理することによって、再投影データR1からノイズ成分が除去されたノイズ除去データNDを図11(a)のように生成する。
【0073】
つぎに、ノイズ除去データNDに、ノイズ推定データNSを加算してノイズ加算データNAを生成する(S412)。
【0074】
ここでは、ノイズ推定部323により生成されたノイズ推定データNSをシミュレーション画像生成部324が取得後、前述のようにして生成したノイズ除去データNDに、このノイズ推定データNSを加算し、ノイズ加算データNAを生成する。
【0075】
つぎに、ノイズ加算データNAに基づいて、シミュレーション画像SIを生成する(S413)。
【0076】
ここでは、シミュレーション画像生成部324が、前述のようにして生成したノイズ加算データNAに基づいて、シミュレーションスキャン条件にて得られる画像としてシミュレートされたシミュレーション画像を、たとえば、フィルタ処理逆投影法により再構成し生成する。
【0077】
つぎに、図6に示すように、シミュレーション画像を表示する(S51)。
【0078】
ここでは、シミュレーション画像生成部324により生成されたシミュレーション画像を表示装置51が表示面に表示する。
【0079】
つぎに、シミュレーション画像が所望な画像品質か否かを判定する(S61)。
【0080】
ここでは、オペレータが表示装置51に表示されているシミュレーション画像を観察することにより判定する。
【0081】
シミュレーション画像が所望な画像品質でない場合には、図6に示すように、再度、上記のシミュレーションを実行させる条件をオペレータが入力し、その入力に基づいてシミュレーションスキャン条件を設定する(S11)。そして、上記動作を順次実行する。
【0082】
一方、シミュレーション画像が所望な画像品質である場合には、このシミュレーション画像に対応するシミュレーションスキャン条件を本スキャン条件として決定する。そして、この決定された条件に基づいて、本スキャンを実行する。
【0083】
以上のように、本実施形態においては、シミュレーションスキャン条件S2にて得られる画像を、シミュレーションスキャン条件S2と異なるサンプルスキャン条件S1で生成された被検体の断層についてのサンプル画像Saを用いて、画像シミュレーション装置32がシミュレートする。ここで、画像シミュレーション装置32においては、再投影処理部322がサンプル画像Saを再投影処理することにより再投影データR1を生成する。その後、その再投影データR1においてシミュレーションスキャン条件S2に対応して含まれるノイズを、ノイズ推定部323が、サンプルスキャン条件S1とシミュレーションスキャン条件S2とに基づいて推定し、ノイズ推定データNSを生成する。そして、シミュレーションスキャン条件S2に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を、シミュレーション画像生成部324が、再投影データR1とノイズ推定データNSとに基づいて生成する。このように、本実施形態は、ノイズを推定する際に、事前に被検体をスキャンされ得られたサンプル画像を用いているため、チャネルカウントに応じたノイズを正確に推定可能になる。特に、パーフュージョン(Perfusion)などの低被爆化が要求される用途の場合には、事前に取得した画像データを元にドーズ量の最適化が可能になるため、効果的である。また、サンプル画像は保存形式が統一化されているために、ノイズを推定することが簡便になり、最適なスキャン条件を容易に設定することができる。
【0084】
なお、本発明の実施に際しては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形形態を採用することができる。
【0085】
たとえば、上記の実施形態においては、放射線としてX線を用いている例について説明しているが、これに限定されない。たとえば、たとえば、ガンマ線等の放射線を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、本発明にかかる実施形態におけるX線CT装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明にかかる実施形態におけるX線CT装置の要部を示す構成図である。
【図3】図3は、本発明にかかる実施形態のX線CT装置の走査ガントリにおいて、X線管とコリメータとX線検出器との配置関係を示す図である。
【図4】図4は、本発明にかかる実施形態のX線CT装置において、情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明にかかる実施形態のX線CT装置において、画像ミュレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明にかかる実施形態において、シミュレーションスキャン条件に基づいて生成される被検体の断層面についての画像をシミュレートする動作を示すフロー図である。
【図7】図7は、本発明にかかる実施形態において、再投影処理を説明するための図である。
【図8】図8は、本発明にかかる実施形態において、ノイズ推定データを生成する動作のフロー図である。
【図9】図9は、本発明にかかる実施形態において、ノイズ抽出データとノイズ推定データとを示す図である。
【図10】図10は、本発明にかかる実施形態において、シミュレーション画像を生成する動作のフロー図である。
【図11】図11は、本発明にかかる実施形態において、ノイズ除去データとノイズ加算データとを示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1…X線CT装置(放射線断層撮影装置)、
2…走査ガントリ、
3…操作コンソール、
4…被検体搬送部、
20…X線管、
21…X線管移動部、
22…コリメータ、
23…X線検出器、
23a…検出素子、
24…データ収集部、
241…選択・加算切換回路、
242…アナログ−デジタル変換器、
25…X線コントローラ、
26…コリメータコントローラ、
27…回転部、
28…ガントリコントローラ、
29…撮影空間、
30…情報処理装置、
31…画像シミュレーション装置(画像シミュレーション装置)、
41…入力装置、
51…表示装置(表示部)、
61…記憶装置、
301…制御部、
302…スキャン画像生成部、
303…スキャン条件設定部、
321…サンプル画像記憶部、
322…再投影処理部(再投影処理部)、
323…ノイズ推定部(ノイズ推定部)、
324…シミュレーション画像生成部(シミュレーション画像生成部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線で被検体をスキャンすることにより前記被検体の断層面についての画像を生成する放射線断層撮影装置であって、
第1スキャン条件に基づいて放射線でスキャンされ生成された被検体の断層面についてのサンプル画像を用いて、前記第1スキャン条件と異なる第2スキャン条件に基づいてスキャンされ生成される画像をシミュレートする画像シミュレート部
を備え、
前記画像シミュレート部は、
前記サンプル画像を再投影処理することにより再投影データを生成する再投影処理部と、
前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件とに基づいて、前記再投影データにおいて前記第2スキャン条件に対応して含まれるノイズを推定することによりノイズ推定データを生成するノイズ推定部と、
前記再投影データと前記ノイズ推定データとに基づいて、前記第2スキャン条件に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を生成するシミュレーション画像生成部と
を有する
放射線断層撮影装置。
【請求項2】
前記ノイズ推定部は、前記第1スキャン条件において発生する第1ノイズデータと、前記第2スキャン条件において発生する第2ノイズデータとを、スキャン条件とノイズとの関係に基づいて算出すると共に、前記再投影データをハイパスフィルタ処理することによって前記再投影データにおけるノイズ成分からなるノイズ抽出データを生成した後に、前記第2ノイズデータを前記第1ノイズデータで除算し生成された除算データと、前記ノイズ抽出データとを積算することによって前記ノイズ推定データを生成し、
前記シミュレーション画像生成部は、前記再投影データをローパスフィルタ処理することによって、前記再投影データからノイズ成分が除去されたノイズ除去データを生成すると共に、前記ノイズ除去データに前記ノイズ推定データを加算してノイズ加算データを生成した後に、前記ノイズ加算データに基づいて前記シミュレーション画像を生成する
請求項1に記載の放射線断層撮影装置。
【請求項3】
前記シミュレーション画像を表示する表示部を
有する
請求項1または2に記載の放射線断層撮影装置。
【請求項4】
前記ノイズ推定部は、前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件として、管電流と管電圧とスライス厚との少なくとも1つのスキャン条件に基づいて、前記ノイズ推定データを生成する
請求項1から3のいずれかに記載の放射線断層撮影装置。
【請求項5】
第1スキャン条件に基づいて放射線でスキャンされ生成された被検体の断層面についてのサンプル画像を用いて、前記第1スキャン条件と異なる第2スキャン条件に基づいてスキャンされ生成される画像をシミュレートする放射線画像シミュレーション方法であって、
前記サンプル画像を再投影処理することにより再投影データを生成する第1ステップと、
前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件とに基づいて、前記再投影データにおいて前記第2スキャン条件に対応して含まれるノイズを推定することによりノイズ推定データを生成する第2ステップと、
前記再投影データと前記ノイズ推定データとに基づいて、前記第2スキャン条件に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を生成する第3ステップと
を有する
放射線画像シミュレーション方法。
【請求項6】
前記第2ステップにおいては、前記第1スキャン条件において発生する第1ノイズデータと、前記第2スキャン条件において発生する第2ノイズデータとを、スキャン条件とノイズとの関係に基づいて算出すると共に、前記再投影データをハイパスフィルタ処理することによって前記再投影データにおけるノイズ成分からなるノイズ抽出データを生成した後に、前記第2ノイズデータを前記第1ノイズデータで除算し生成された除算データと、前記ノイズ抽出データとを積算することによって前記ノイズ推定データを生成し、
前記第3ステップにおいては、前記再投影データをローパスフィルタ処理することによって、前記再投影データからノイズ成分が除去されたノイズ除去データを生成すると共に、前記ノイズ除去データに前記ノイズ推定データを加算してノイズ加算データを生成した後に、前記ノイズ加算データに基づいて前記シミュレーション画像を生成する
請求項5に記載の放射線画像シミュレーション方法。
【請求項7】
前記シミュレーション画像を表示する第4ステップを
有する
請求項5または6に記載の放射線画像シミュレーション方法。
【請求項8】
前記第2ステップにおいては、前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件として、管電流と管電圧とスライス厚との少なくとも1つのスキャン条件に基づいて、前記ノイズ推定データを生成する
請求項5から7のいずれかに記載の放射線画像シミュレーション方法。
【請求項9】
第1スキャン条件に基づいてスキャンされ生成された被検体の断層面についてのサンプル画像を用いて、前記第1スキャン条件と異なる第2スキャン条件に基づいてスキャンされ生成される画像をシミュレートする画像シミュレーション装置であって、
前記サンプル画像を再投影処理することにより再投影データを生成する再投影処理部と、
前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件とに基づいて、前記再投影データにおいて前記第2スキャン条件に対応して含まれるノイズを推定することによりノイズ推定データを生成するノイズ推定部と、
前記再投影データと前記ノイズ推定データとに基づいて、前記第2スキャン条件に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を生成するシミュレーション画像生成部と
を有する
画像シミュレーション装置。
【請求項10】
前記ノイズ推定部は、前記第1スキャン条件において発生する第1ノイズデータと、前記第2スキャン条件において発生する第2ノイズデータとを、スキャン条件とノイズとの関係に基づいて算出すると共に、前記再投影データをハイパスフィルタ処理することによって前記再投影データにおけるノイズ成分からなるノイズ抽出データを生成した後に、前記第2ノイズデータを前記第1ノイズデータで除算し生成された除算データと、前記ノイズ抽出データとを積算することによって前記ノイズ推定データを生成し、
前記シミュレーション画像生成部は、前記再投影データをローパスフィルタ処理することによって、前記再投影データからノイズ成分が除去されたノイズ除去データを生成すると共に、前記ノイズ除去データに前記ノイズ推定データを加算してノイズ加算データを生成した後に、前記ノイズ加算データに基づいて前記シミュレーション画像を生成する
請求項9に記載の画像シミュレーション装置。
【請求項11】
前記シミュレーション画像を表示する表示部を
有する
請求項9または10に記載の画像シミュレーション装置。
【請求項1】
放射線で被検体をスキャンすることにより前記被検体の断層面についての画像を生成する放射線断層撮影装置であって、
第1スキャン条件に基づいて放射線でスキャンされ生成された被検体の断層面についてのサンプル画像を用いて、前記第1スキャン条件と異なる第2スキャン条件に基づいてスキャンされ生成される画像をシミュレートする画像シミュレート部
を備え、
前記画像シミュレート部は、
前記サンプル画像を再投影処理することにより再投影データを生成する再投影処理部と、
前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件とに基づいて、前記再投影データにおいて前記第2スキャン条件に対応して含まれるノイズを推定することによりノイズ推定データを生成するノイズ推定部と、
前記再投影データと前記ノイズ推定データとに基づいて、前記第2スキャン条件に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を生成するシミュレーション画像生成部と
を有する
放射線断層撮影装置。
【請求項2】
前記ノイズ推定部は、前記第1スキャン条件において発生する第1ノイズデータと、前記第2スキャン条件において発生する第2ノイズデータとを、スキャン条件とノイズとの関係に基づいて算出すると共に、前記再投影データをハイパスフィルタ処理することによって前記再投影データにおけるノイズ成分からなるノイズ抽出データを生成した後に、前記第2ノイズデータを前記第1ノイズデータで除算し生成された除算データと、前記ノイズ抽出データとを積算することによって前記ノイズ推定データを生成し、
前記シミュレーション画像生成部は、前記再投影データをローパスフィルタ処理することによって、前記再投影データからノイズ成分が除去されたノイズ除去データを生成すると共に、前記ノイズ除去データに前記ノイズ推定データを加算してノイズ加算データを生成した後に、前記ノイズ加算データに基づいて前記シミュレーション画像を生成する
請求項1に記載の放射線断層撮影装置。
【請求項3】
前記シミュレーション画像を表示する表示部を
有する
請求項1または2に記載の放射線断層撮影装置。
【請求項4】
前記ノイズ推定部は、前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件として、管電流と管電圧とスライス厚との少なくとも1つのスキャン条件に基づいて、前記ノイズ推定データを生成する
請求項1から3のいずれかに記載の放射線断層撮影装置。
【請求項5】
第1スキャン条件に基づいて放射線でスキャンされ生成された被検体の断層面についてのサンプル画像を用いて、前記第1スキャン条件と異なる第2スキャン条件に基づいてスキャンされ生成される画像をシミュレートする放射線画像シミュレーション方法であって、
前記サンプル画像を再投影処理することにより再投影データを生成する第1ステップと、
前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件とに基づいて、前記再投影データにおいて前記第2スキャン条件に対応して含まれるノイズを推定することによりノイズ推定データを生成する第2ステップと、
前記再投影データと前記ノイズ推定データとに基づいて、前記第2スキャン条件に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を生成する第3ステップと
を有する
放射線画像シミュレーション方法。
【請求項6】
前記第2ステップにおいては、前記第1スキャン条件において発生する第1ノイズデータと、前記第2スキャン条件において発生する第2ノイズデータとを、スキャン条件とノイズとの関係に基づいて算出すると共に、前記再投影データをハイパスフィルタ処理することによって前記再投影データにおけるノイズ成分からなるノイズ抽出データを生成した後に、前記第2ノイズデータを前記第1ノイズデータで除算し生成された除算データと、前記ノイズ抽出データとを積算することによって前記ノイズ推定データを生成し、
前記第3ステップにおいては、前記再投影データをローパスフィルタ処理することによって、前記再投影データからノイズ成分が除去されたノイズ除去データを生成すると共に、前記ノイズ除去データに前記ノイズ推定データを加算してノイズ加算データを生成した後に、前記ノイズ加算データに基づいて前記シミュレーション画像を生成する
請求項5に記載の放射線画像シミュレーション方法。
【請求項7】
前記シミュレーション画像を表示する第4ステップを
有する
請求項5または6に記載の放射線画像シミュレーション方法。
【請求項8】
前記第2ステップにおいては、前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件として、管電流と管電圧とスライス厚との少なくとも1つのスキャン条件に基づいて、前記ノイズ推定データを生成する
請求項5から7のいずれかに記載の放射線画像シミュレーション方法。
【請求項9】
第1スキャン条件に基づいてスキャンされ生成された被検体の断層面についてのサンプル画像を用いて、前記第1スキャン条件と異なる第2スキャン条件に基づいてスキャンされ生成される画像をシミュレートする画像シミュレーション装置であって、
前記サンプル画像を再投影処理することにより再投影データを生成する再投影処理部と、
前記第1スキャン条件と前記第2スキャン条件とに基づいて、前記再投影データにおいて前記第2スキャン条件に対応して含まれるノイズを推定することによりノイズ推定データを生成するノイズ推定部と、
前記再投影データと前記ノイズ推定データとに基づいて、前記第2スキャン条件に対応してシミュレートされるシミュレーション画像を生成するシミュレーション画像生成部と
を有する
画像シミュレーション装置。
【請求項10】
前記ノイズ推定部は、前記第1スキャン条件において発生する第1ノイズデータと、前記第2スキャン条件において発生する第2ノイズデータとを、スキャン条件とノイズとの関係に基づいて算出すると共に、前記再投影データをハイパスフィルタ処理することによって前記再投影データにおけるノイズ成分からなるノイズ抽出データを生成した後に、前記第2ノイズデータを前記第1ノイズデータで除算し生成された除算データと、前記ノイズ抽出データとを積算することによって前記ノイズ推定データを生成し、
前記シミュレーション画像生成部は、前記再投影データをローパスフィルタ処理することによって、前記再投影データからノイズ成分が除去されたノイズ除去データを生成すると共に、前記ノイズ除去データに前記ノイズ推定データを加算してノイズ加算データを生成した後に、前記ノイズ加算データに基づいて前記シミュレーション画像を生成する
請求項9に記載の画像シミュレーション装置。
【請求項11】
前記シミュレーション画像を表示する表示部を
有する
請求項9または10に記載の画像シミュレーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−212308(P2006−212308A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−30060(P2005−30060)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]