説明

放射線検出器モジュール

【課題】半導体素子に与える熱の影響を考慮した放射線検出器モジュールを提供する。
【解決手段】放射線検出器モジュールは、半導体素子10と、半導体素子10からの信号を処理し、処理により発熱する電子部品250、及び半導体素子10が搭載される基板20と、半導体素子10の端から離れた位置にて基板20を支持すると共に電子部品250を覆い、伝熱性及び電気伝導性を有する材料から形成される支持部材とを有する放射線検出器カード1と、複数の放射線検出器カード1が並べられる間隔に対応した予め定められた間隔をおいて並ぶと共に、複数の放射線検出器カードが挿入される複数の第1の溝を有する第1の支持体と、予め定められた間隔をおいて並ぶと共に、複数の放射線検出器カード1が挿入される複数の第2の溝を有し、第1の支持体に平行に配置される第2の支持体とを有する放射線検出器立て5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器モジュールに関する。特に、本発明は、γ線、X線等の放射線を検出する放射線検出器モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線検出用の複数の半導体セルを所定方向に沿って所定の等間隔で配置し、半導体セル各々と電気的に接続する印加電極と信号取り出し電極をそれぞれの電極が隣接する2つの半導体セルに共有されるように放射線入射方向に平行に設けた放射線半導体検出器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に係る放射線半導体検出器においては、半導体セルを多層基板上に搭載し、半導体セルを搭載する面の反対側の多層基板に、半導体セルからの信号を処理する信号処理部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−337646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に係る放射線半導体検出器においては、信号処理部において発生する熱の半導体セルに与える影響について全く考慮していない。
【0005】
したがって、本発明の目的は、半導体素子に与える熱の影響を考慮した放射線検出器モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、放射線を検出可能な半導体素子と、半導体素子からの信号を処理し、処理により発熱する電子部品、及び半導体素子が搭載される基板と、半導体素子の端から離れた位置にて基板を支持すると共に電子部品を覆い、伝熱性及び電気伝導性を有する材料から形成される支持部材とを有する放射線検出器カードと、複数の放射線検出器カードが並べられる間隔に対応した予め定められた間隔をおいて並ぶと共に、複数の放射線検出器カードが挿入される複数の第1の溝を有する第1の支持体と、予め定められた間隔をおいて並ぶと共に、複数の放射線検出器カードが挿入される複数の第2の溝を有し、第1の支持体に平行に配置される第2の支持体とを有する放射線検出器立てとを備える放射線検出器モジュールが提供される。
【0007】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、支持部材の支持部材表面と第1の溝及び第2の溝の溝表面とが接触してもよい。
【0008】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、複数の放射線検出器カードのそれぞれが挿入される複数の第1の溝及び複数の第2の溝のそれぞれと複数の放射線検出器カードのそれぞれとの間に設けられ、支持部材表面と溝表面とが接触する方向に向けて複数の放射線検出器カードのそれぞれを押さえ付ける弾性部材を更に備えることもできる。
【0009】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、電子部品が、支持部材表面と溝表面とが接触する側の基板の一方の面に搭載されてもよい。
【0010】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、支持部材及び放射線検出器立てが、金属材料、又は伝熱性及び電気伝導性を有する樹脂材料から形成されてもよい。
【0011】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、電子部品が搭載される側を覆う支持部材が、電子部品の表面に接触する凸部を基板側に有してもよい。
【0012】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、複数の第1の溝の間と複数の第2の溝の間とを連結し、複数の放射線検出器カード間の隙間を低減させるシールド部を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る放射線検出器モジュールによれば、半導体素子に与える熱の影響を考慮した放射線検出器モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】放射線検出器カードの斜視図である。
【図1B】放射線検出器カードの正面の概要図である。
【図1C】放射線検出器カードの側面の概要図である。
【図2A】本発明の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの斜視図である。
【図2B】本発明の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの上面図である。
【図2C】放射線検出器立ての斜視図である。
【図3A】放射線検出器カードが放射線検出器立てに挿入された状態の側面図である。
【図3B】電子部品からの熱の流れの概要図である。
【図4】本発明の実施の形態の変形例に係る放射線検出器モジュールが備える放射線検出器カードの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施の形態]
図1Aは、放射線検出器カードの斜視図の一例を示し、図1Bは、放射線検出器カードの正面の概要を示し、図1Cは、放射線検出器カードの側面の概要を示す。なお、図1Bにおいては、説明の便宜上、カードホルダ30等の図示は省略する。また、図1Cにおいても、説明の便宜上、カードホルダ30及びカードホルダ31等の図示を省略する。
【0016】
(放射線検出器カード1の構成の概要)
放射線検出器カード1は、カード形状を呈し、γ線、X線等の放射線を検出する放射線検出器カードである。図1Aにおいて放射線100は、紙面の上方から下方に沿って入射してくる。すなわち、放射線100は、放射線検出器カード1の半導体素子10からカードホルダ30及びカードホルダ31に向かう方向に沿って入射して放射線検出器カード1に到達する。そして、放射線検出器カード1は、半導体素子10の側面(つまり、図1Aの上方に面している面)に放射線100が入射する。したがって、半導体素子10の側面が放射線100の入射面となっている。このように、半導体素子10の側面を放射線100の入射面とする放射線検出器カード1を、エッジオン型の放射線検出器カード1と称する。なお、放射線検出器カード1は、特定の方向(例えば、放射線検出器カード1に向かう方向)に沿って伝搬してくる放射線100が通過する複数の開口を有するコリメータを介して放射線100を検出する複数の放射線検出器カード1が並べられて構成される放射線検出装置用の放射線検出器カード1として用いることができる。
【0017】
具体的に、放射線検出器カード1は、放射線100を検出可能な一対の半導体素子10と、半導体素子10からの信号を処理し、信号処理により発熱する電子部品250及び複数の半導体素子10が搭載される薄い基板20と、一対の半導体素子10の端部から離れた位置で基板20を支持する支持部材としてのカードホルダ30及びカードホルダ31とを有する。また、放射線検出器カード1は、放射線検出器カード1の長手方向に沿ったカードホルダ30の両端部のそれぞれに板ばね等の弾性部材32を有する。
【0018】
(半導体素子10の詳細)
化合物半導体から主として構成される半導体素子10は、略直方体状に形成される。つまり、半導体素子10は、平面視にて略四角状に形成される。放射線検出器1は、例えば、8つの半導体素子10(つまり、4組の一対の半導体素子10)を有する。一例として、一対の半導体素子10が4組、基板20を挟み込む位置において基板20に固定される。すなわち、各組の一対の半導体素子10は、基板20の一方の面と他方の面とのそれぞれに基板20を対称面として対称の位置に固定される。
【0019】
そして、半導体素子10は、基板20側の第1の面と、第1の面の反対側の第2の面とのそれぞれに電極を有する。基板20側の第1の面の電極は、基板20の表面に設けられる素子接続部に電気的に接続される。そして、半導体素子10の第2の面の電極は、基板20が有する複数の基板端子22のそれぞれに電気的に接続する。半導体素子10の第2の面の電極と図1A及び図1Bに示す基板20が有する基板端子22とは、例えば、配線パターンを有するフレキシブル基板(図示しない)により電気的に接続することができる。
【0020】
例えば、フレキシブル基板は、一対の半導体素子10の一方の半導体素子10側、及び他方の半導体素子10側の双方に設けられる(例えば、4組の一対の半導体素子10の一方の半導体素子10側のそれぞれと、他方の半導体素子10側のそれぞれとの双方に、フレキシブル基板がそれぞれ設けられる)。そして、フレキシブル基板の複数の配線パターンの一方の端のそれぞれが半導体素子10の第2の面の電極に電気的に接続し、他方の端のそれぞれが複数の基板端子22のそれぞれに電気的に接続する。
【0021】
半導体素子10を構成する化合物半導体としては、例えば、CdTeを用いることができる。また、γ線等の放射線を検出できる限り、半導体素子10はCdTe素子に限られない。例えば、半導体素子10として、CdZnTe(CZT)素子、HgI素子等の化合物半導体素子を用いることもできる。
【0022】
(基板20の詳細)
基板20は、金属導体等の導電性材料からなる導電性薄膜(例えば、銅箔)が表面に形成された薄肉基板(例えば、FR4等のガラスエポキシ基板)を、ソルダーレジスト等の絶縁材料からなる絶縁層で挟んで形成される。また、基板20は、半導体素子10の電極に電気的に接続する素子接続部を有する。素子接続部の表面の一部の領域には導電性を有する銀ペースト等の導電性接着材が設けられる。半導体素子10の第1の面の電極は、素子接続部の表面に設けられる導電性接着材を介して素子接続部に電気的に接続されると共に、基板20に固定される。
【0023】
また、基板20は、図1Bに示すように、基板20の表面から突き出た形状を有する基板端子22と、電子部品250を搭載する電子部品搭載部25と、外部の電気回路としての制御回路、外部からの電源線、グランド線等に電気的に接続されるパターン29aを含むカードエッジ部29とを有する。そして、図1Cに示すように、本実施の形態においては、基板20の一方の面の電子部品搭載部25に電子部品250が搭載される。
【0024】
電子部品搭載部25は、半導体素子10が搭載される領域とカードエッジ部29との間に設けられる。そして、電子部品搭載部25に搭載される電子部品250は、例えば、アナログ信号をデジタル信号に変換する機能を含むApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)である。本実施の形態では電子部品250が基板20上に搭載され、半導体素子10からの信号が電子部品250に供給される。そして、電子部品250は、当該信号に含まれるアナログ信号をデジタル信号に変換する等の信号処理を実行する。この信号処理を実行することにより電子部品250は、消費電力に相当するエネルギーの熱を放出する。電子部品250において処理が施された信号は、カードエッジ部29を介して支持板3の放射線検出器カード1を保持している面の反対側の面に設けられるFPGA(Field Programmable Gate Array)等を含む信号処理回路に供給される。
【0025】
(カードホルダ30及びカードホルダ31の詳細)
基板20はカードホルダ30とカードホルダ31とに挟み込まれて支持される。カードホルダ30とカードホルダ31とはそれぞれ同一形状を有して形成され、カードホルダ30が有する溝付穴34にカードホルダ31が有する突起部36が嵌め合うと共に、カードホルダ31が有する溝付穴34(図示しない)にカードホルダ30が有する突起部36(図示しない)が嵌め合うことにより基板20を支持する。この場合において、一方のカードホルダの突起部36は、基板20の貫通孔27を通って他方のカードホルダの溝付穴34に嵌め合わされる。そして、電子部品250は、基板20の一方の面を支持するカードホルダ31により覆われる。電子部品250の表面とカードホルダ31の基板20側の面とは接触していることが好ましい。
【0026】
ここで、カードホルダ30及びカードホルダ31は、伝熱性及び電気伝導性を有する材料から形成される。具体的に、カードホルダ30及びカードホルダ31は、金属材料又は伝熱性及び電気伝導性を有する樹脂材料から形成される。例えば、カードホルダ30及びカードホルダ31は、アルミニウムから形成することができる。なお、カードホルダ30及びカードホルダ31は、金属材料の削りだしにより作製できる。また、カードホルダ30及びカードホルダ31を伝熱性及び電気伝導性を有する樹脂材料から形成する場合、カードホルダ30及びカードホルダ31は、当該樹脂材料の射出成型により作製できる。
【0027】
ここで、本実施の形態においては、半導体素子10のカードエッジ部29側の端部から電子部品搭載部25の少なくとも電子部品250が搭載されている領域までは、アナログ信号が流れる領域である(以下、「アナログ信号領域」と称する。)。また、電子部品搭載部25のカードエッジ部29側からカードエッジ部29までは、電子部品250によりデジタル変換されたデジタル信号が流れる領域である。そして、カードホルダ30及びカードホルダ31は、半導体素子10のカードエッジ部29側の端部の近傍から、カードエッジ部29までを覆う。したがって、カードホルダ30及びカードホルダ31により少なくともアナログ信号領域が覆われるので、電子部品250から放射される放射ノイズがカードホルダ30及びカードホルダ31によりシールドされ、当該放射ノイズは半導体素子10に実質的に到達しない。
【0028】
(放射線検出器モジュール7)
図2Aは、本発明の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの斜視図の概要を示す。また、図2Bは、本発明の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの上面の概要を示す。更に、図2Cは、放射線検出器立ての斜視図の一例を示す。なお、図2A及び図2Bにおいては、説明の便宜上、放射線検出器立てに1枚の放射線検出器カードのみが挿入されている状態を示す。また、図2Cにおいては、説明の便宜上、1つのコネクタのみを図示する。
【0029】
まず、図2Cに示すように、放射線検出器立て5は、複数の放射線検出器カード1が並べられる間隔に対応した予め定められた間隔をおいて並ぶと共に、複数の放射線検出器カード1が挿入される複数の第1の溝としての溝200bを含む第1の支持体としての支持体2aを有する。また、放射線検出器立て5は、予め定められた間隔をおいて並ぶと共に、複数の放射線検出器カード1が挿入される複数の第2の溝としての溝202bを含み、支持体2aに平行に配置される第2の支持体としての支持体2bを有する。なお、支持体2aと支持体2bとは略同一形状を有する。また、溝200b及び溝202bはそれぞれ、支持体2a及び支持体2bに、支持体2a及び支持体2bの長手方向に略垂直な方向に沿って形成される。
【0030】
また、放射線検出器立て5は、支持体2a及び支持体2bを搭載する支持板3を有する。支持板3は、支持体2aと支持体2bとの間に、複数の放射線検出器カード1のそれぞれが挿入され、外部の電気回路と複数の放射線検出器カード1のそれぞれとを電気的に接続する複数のコネクタ4を有する。また、支持板3のコネクタ4が設けられている面の反対側の面には、例えば、金属材料を用いて形成されるブロック部材を設けることができる。
【0031】
そして、支持体2a及び支持体2bはそれぞれ、放射線検出器カード1の幅に対応する間隔を有して支持板3上に設けられる。支持体2aは、複数の壁部200aを有しており、各壁部200aの間に溝200bが形成される。支持体2bについても支持体2aと同様に、各壁部202aの間に溝202bが形成される。壁部200aには、一方の表面にくぼみ部200cが設けられ、一方の表面に対向する他方の表面に溝表面200dが設けられる。なお、壁部202bについても壁部200aと同様に、くぼみ部と溝表面とが設けられている。
【0032】
ここで、放射線検出器立て5は、金属材料、又は伝熱性及び電気伝導性を有する樹脂材料から形成される。例えば、支持体2a、及び支持体2bは、金属材料又は伝熱性及び電気伝導性を有する樹脂材料から形成される。例えば、支持体2a、及び支持体2bは、アルミニウムから形成することができる。なお、支持体2a、及び支持体2bは、金属材料の削りだしにより作製できる。また、支持体2a、及び支持体2bを伝熱性及び電気伝導性を有する樹脂材料から形成する場合、当該樹脂材料の射出成型により作製できる。
【0033】
次に、図2A及び図2Bに示すように、放射線検出器立て5の複数の壁部200a及び壁部202aの間の溝200b及び溝202bに放射線検出器カード1が挿入される。複数の溝200b及び複数の溝202bのそれぞれに放射線検出器カード1が挿入されることにより、本実施の形態に係る放射線検出器モジュール7が構成される。
【0034】
この場合において、放射線検出器カード1の弾性部材32は、複数の放射線検出器カード1を支持する放射線検出器立て5に放射線検出器カード1が挿入された場合に、放射線検出器カード1を放射線検出器立て5に押し付けて固定する。また、放射線検出器カード1のカードエッジ部29がコネクタ4に挿入され、コネクタ4とカードエッジ部29に設けられるパターン29aとが電気的に接続されることにより、外部の電気回路としての制御回路、外部からの電源線、グランド線等に放射線検出器カード1が電気的に接続される。
【0035】
また、放射線検出器モジュール7は、放射線検出器立て5の周囲を囲む囲み部6を更に備えることができる。囲み部6は例えば金属材料からなる板状の部材である。少なくとも、支持体2aと支持体2bとを囲み部6で固定する。これにより、溝200bに放射線検出器カード1を挿入した場合であっても、支持体2aと支持体2bとの間の拡がりが防止される。また、金属材料を用いて囲み部6を形成するので、囲み部6がノイズに対するシールドとしての機能を発揮する。
【0036】
更に、放射線検出器モジュール7は、複数の溝200bの間と複数の溝202bの間とをそれぞれ連結し、複数の放射線検出器カード1間の隙間を低減させるシールド部60を備えることができる。この隙間の幅は、例えば、電子部品250の動作する周波数に応じて調整できる。この場合、シールド部60の半導体素子10の反対側からのノイズは、シールド部60により遮られる。また、シールド部60の半導体素子10の反対側において熱の対流が発生していた場合であっても、シールド部60は、この熱の対流が半導体素子10に触れることを抑制する。これにより、放射線検出器モジュール7の放射線を検出する特性が低下することを抑制できる。
【0037】
(放射線検出器カード1と放射線検出器立て5との位置関係)
図3Aは、放射線検出器カードが放射線検出器立てに挿入された状態の側面の概要を示す。
【0038】
図3に示すように、放射線検出器立て5の溝200bに放射線検出器カード1が挿入されると、カードホルダ31の支持部材表面としてのカードホルダ表面31aと、支持体2aの溝200bの表面である溝表面200dとが接触する。また、溝200bに挿入される部分に対応するカードホルダ表面31aと溝表面200dとの接触面積を増加させることを目的として、カードホルダ表面31aと溝表面200dとはそれぞれ平坦面にする。なお、支持体2bの溝202bにおいても溝200bと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0039】
ここで、複数の放射線検出器カード1のそれぞれが挿入される複数の溝200b及び複数の溝202bのそれぞれと複数の放射線検出器カード1のそれぞれとの間には、弾性部材32が設けられる。具体的には、複数の放射線検出器カード1のそれぞれが弾性部材32を有する。弾性部材32の一部が、くぼみ部200cに嵌ることにより、放射線検出器カード1が放射線検出器立て5に固定される。そして、弾性部材32は、カードホルダ表面31aと溝表面200dとが接触する方向に向けて、放射線検出器カード1を押さえ付ける。これにより、カードホルダ31の表面の一部(すなわち、カードホルダ表面31aの一部)が溝表面200dに接触する。なお、カードホルダ30及びカードホルダ31の厚さと溝200bの幅との大小関係に応じ、カードホルダ30の表面と壁部200aとの間には隙間300が生じ得る。
【0040】
また、電子部品250は、カードホルダ表面31aと溝表面200dとが接触する側の基板20の一方の面に搭載される。これにより、電子部品250を覆う側のカードホルダが溝表面200dに接触することになる。すなわち、カードホルダ30の表面と壁部200aとの間に隙間300が生じた場合であっても、弾性部材32が、電子部品250を搭載している側の基板20を支持するカードホルダと支持体2a及び支持体2bとを接触させる。
【0041】
図3Bは、電子部品からの熱の流れの概要を示す。
【0042】
電子部品250において発生した熱は、カードホルダ31から支持体2aに伝熱する(図3Bの熱の流れ400参照)。同様に、電子部品250において発生した熱は、カードホルダ31から支持体2bに伝熱する(図3Bの熱の流れ401参照)。そして、例えば、支持板3のコネクタ4が設けられている面の反対側の面に設けられるブロック部材50に、支持体2aから熱が伝熱する(図3Bの熱の流れ402及び熱の流れ404参照)。同様に、支持体2bからブロック部材50に熱が伝熱する。(図3Bの熱の流れ403及び熱の流れ405参照)。これにより、電子部品250において発生した熱の大部分が、半導体素子10が設けられている部分の反対側に向かって伝熱し、放射線検出器モジュール7の外部に放熱される。
【0043】
図4は、本発明の実施の形態の変形例に係る放射線検出器モジュールが備える放射線検出器カードの側面の概要を示す。
【0044】
実施の形態の変形例においては、電子部品250が搭載される側を覆うカードホルダ31aが、電子部品250の表面に接触する凸部310を基板20側に有して構成される。この場合、電子部品250からの熱は、主として凸部310を介してカードホルダ31aに伝熱する。凸部310は、例えば、金属材料から形成される。
【0045】
(実施の形態の効果)
本実施の形態では、熱伝導性を有する材料を用いてカードホルダ30、カードホルダ31、支持体2a、及び支持体2bが形成される。したがって、放射線検出器カード1の基板20上に搭載されている電子部品250から放出される熱は、カードホルダ30及びカードホルダ31から支持体2a及び支持体2bを介し、放射線検出器モジュール7の外部に放熱される。これにより、電子部品250の熱が半導体素子10へ伝熱することを抑制できるので、放射線検出器モジュール7の放射線の検出特性への熱による影響を低減できる。
【0046】
また、電子部品250が搭載されている側の基板20を支持するカードホルダ(例えば、カードホルダ31)が支持体2a及び支持体2bに接触するので、電子部品250からの熱を、カードホルダを介し、支持体2a及び支持体2bに確実に伝熱させることができる。これにより、放射線検出器モジュール7の放熱性を向上させることができる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0048】
1、1a 放射線検出器カード
2a、2b 支持体
3 支持板
4 コネクタ
5 放射線検出器立て
6 囲み部
7 放射線検出器モジュール
10 半導体素子
20 基板
22 基板端子
25 電子部品搭載部
27 貫通孔
29 カードエッジ部
29a パターン
30、31、31a カードホルダ
31a カードホルダ表面
32 弾性部材
34 溝付穴
36 突起部
50 ブロック部材
60 シールド部
100 放射線
200a 壁部
200b 溝
200c くぼみ部
200d 溝表面
202b 溝
250 電子部品
300 隙間
310 凸部
400、401、402、403、404、405 熱の流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出可能な半導体素子と、前記半導体素子からの信号を処理し、前記処理により発熱する電子部品、及び前記半導体素子が搭載される基板と、前記半導体素子の端から離れた位置にて前記基板を支持すると共に前記電子部品を覆い、伝熱性及び電気伝導性を有する材料から形成される支持部材とを有する放射線検出器カードと、
複数の前記放射線検出器カードが並べられる間隔に対応した予め定められた間隔をおいて並ぶと共に、複数の前記放射線検出器カードが挿入される複数の第1の溝を有する第1の支持体と、前記予め定められた間隔をおいて並ぶと共に、複数の前記放射線検出器カードが挿入される複数の第2の溝を有し、前記第1の支持体に平行に配置される第2の支持体とを有する放射線検出器立てと
を備える放射線検出器モジュール。
【請求項2】
前記支持部材の支持部材表面と前記第1の溝及び前記第2の溝の溝表面とが接触する請求項1に記載の放射線検出器モジュール。
【請求項3】
複数の前記放射線検出器カードのそれぞれが挿入される前記複数の第1の溝及び前記複数の第2の溝のそれぞれと複数の前記放射線検出器カードのそれぞれとの間に設けられ、前記支持部材表面と前記溝表面とが接触する方向に向けて前記複数の放射線検出器カードのそれぞれを押さえ付ける弾性部材を更に備える請求項2に記載の放射線検出器モジュール。
【請求項4】
前記電子部品が、前記支持部材表面と前記溝表面とが接触する側の前記基板の一方の面に搭載される請求項3に記載の放射線検出器モジュール。
【請求項5】
前記支持部材及び前記放射線検出器立てが、金属材料、又は伝熱性及び電気伝導性を有する樹脂材料から形成される請求項4に記載の放射線検出器モジュール。
【請求項6】
前記電子部品が搭載される側を覆う前記支持部材が、前記電子部品の表面に接触する凸部を前記基板側に有する請求項5に記載の放射線検出器モジュール。
【請求項7】
前記複数の第1の溝の間と前記複数の第2の溝の間とを連結し、複数の前記放射線検出器カード間の隙間を低減させるシールド部
を更に備える請求項6に記載の放射線検出器モジュール。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−37273(P2012−37273A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175383(P2010−175383)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】